JP2013189634A - 繊維強化複合材料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】静強度及び耐衝撃性に優れた繊維強化複合材料を提供することを目的とする。
【解決手段】連続強化繊維と熱可塑性樹脂からなる繊維強化複合材料において、熱可塑性樹脂は、連続強化繊維4を被覆する第1の熱可塑性樹脂5と第1の熱可塑性樹脂5とメルトフローレートが異なる第2の熱可塑性樹脂6からなる。そして、第1の熱可塑性樹脂5のメルトフローレートが第2の熱可塑性樹脂6のメルトフローレートよりも大きいことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、連続強化繊維と熱可塑性樹脂からなる繊維強化複合材料に関する。
近年、鉄やアルミニウムなどの金属に比べて軽量であり、比強度、比剛性が高い繊維強化複合材料が、航空宇宙分野、自動車、スポーツ用品、パソコン筐体などの用途に適用されはじめている。
その中でも、熱可塑性樹脂を使用した繊維強化複合材料は、熱硬化性樹脂を用いた複合材料において必要となる硬化時間が不要となり、生産サイクルタイムを短くすることが可能であり、また、リサイクル性にも優れているため、自動車分野など生産性を重視される分野で用途が拡大するものと考えられている。
ここで、一般に、このような繊維強化複合材料としては、炭素繊維等からなる連続強化繊維シートと、熱可塑性樹脂からなる樹脂シートとを交互に積層した状態で、熱プレス処理(加熱加圧処理)を行うことにより、連続強化繊維間の隙間に熱可塑性樹脂を含浸させた繊維強化複合材料が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
また、例えば、炭素繊維等からなる連続強化繊維間の隙間に熱可塑性樹脂を含浸させたシート状のプリプレグを積層することにより形成された繊維強化複合材料が提案されている。この繊維強化複合材料は、プリプレグの強化繊維を所定の方向に配向させた状態で、予め所定の形状(長さ)に切断された各プリプレグを熱プレスにより付着(溶融接着)させて積層することにより形成される。そして、このような方法により、生産性に優れ、高性能を有する繊維強化複合材料を得ることができると記載されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2008−254437号公報 特開2010−540282号公報
しかし、上記特許文献1に記載の繊維強化複合材料においては、連続強化繊維と熱可塑性樹脂を熱プレスにより複合化するため、溶融した熱可塑性樹脂が連続強化繊維間の隙間に入って連続強化繊維を含浸するための移動距離が大きい。従って、この方法では、メルトフローレート(以下、「MFR」とも言う。)の小さい熱可塑性樹脂を用いると、含浸に非常に長時間が必要となり、実用的ではなく、更に連続強化繊維と熱可塑性樹脂の界面接着強度も低く耐衝撃性の低い材料となる。また、熱可塑性樹脂を連続強化繊維の間に十分に浸透させることを目的とし、MFRの大きい熱可塑性樹脂を用いた場合、一般的にMFRの大きい樹脂を用いた繊維強化複合材料は耐衝撃性に劣るという問題があった。
また、上記特許文献2に記載の繊維強化複合材料では、適量の熱可塑性樹脂が含浸された均質なプリプレグ(例えば、プリプレグ全体に対する連続強化繊維の体積含有率が60%、熱可塑性樹脂の体積含有率が40%のプリプレグ)を積層して形成するが、MFRの小さい熱可塑性樹脂は連続強化繊維への含浸が困難であり、実用的に使用できるプリプレグはMFRの大きい熱可塑性樹脂であるため、これを用いた繊維強化複合材料は耐衝撃性が劣るという問題があった。
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、曲げ強度等の静強度を低下させることなく耐衝撃性に優れた繊維強化複合材料を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の繊維強化複合材料は、連続強化繊維と熱可塑性樹脂からなり、熱可塑性樹脂は、連続強化繊維を被覆する第1の熱可塑性樹脂と、第1の熱可塑性樹脂とMFRが異なる第2の熱可塑性樹脂からなり、第1の熱可塑性樹脂のMFRが第2の熱可塑性樹脂のMFRよりも大きいことを特徴とする。
同構成によれば、繊維強化複合材料において、連続強化繊維の周辺にMFRの大きい第1の熱可塑性樹脂が存在するため、例えば、熱プレス処理により、繊維強化複合材料を形成する際に、MFRの大きい第1の熱可塑性樹脂が連続強化繊維間の隙間に入りやすくなり、連続強化繊維と第1の熱可塑性樹脂の密着が十分行われ、界面接着強度が向上し、また繊維強化複合材料の空隙(ボイド)が効果的に減少することになる。その結果、高い耐衝撃性を有する繊維強化複合材料を得ることが可能になる。
また、MFRの大きい第1の熱可塑性樹脂とMFRの小さい第2の熱可塑性樹脂とが混溶することで、単独では連続強化繊維の間に浸透しにくいMFRの小さい第2の熱可塑性樹脂を連続強化繊維間の隙間に浸透させることが可能になる。そして、一般に、MFRの小さい熱可塑性樹脂を用いた繊維強化複合材料は、MFRの大きい熱可塑性樹脂よりも静強度が高くなるため、連続強化繊維間の隙間に浸透しているMFRの小さい第2の熱可塑性樹脂により、繊維強化複合材料の静強度を向上させることが可能になる。
従って、これら第1の熱可塑性樹脂と第2の熱可塑性樹脂との相互作用、相補効果により、静強度と耐衝撃性を同時に向上させることができる繊維強化複合材料を得ることが可能になる。
本発明の繊維強化複合材料においては、JIS K7210(温度:240℃、荷重:21.18N)に準拠して測定された第1の熱可塑性樹脂のMFRが500g/10min以上3000g/10min以下であってもよい。
同構成によれば、MFRが大きい第1の熱可塑性樹脂を用いることにより、第1の熱可塑性樹脂の連続強化繊維間の隙間への浸透が促進されるとともに、連続強化繊維と第1の熱可塑性樹脂の密着による界面接着強度も更に向上し、繊維強化複合材料の空隙をより一層減少させることが可能になる。その結果、繊維強化複合材料の耐衝撃性を更に向上させることが可能になる。
本発明の繊維強化複合材料においては、JISK7210(温度:240℃、荷重:21.18N)に準拠して測定された第2の熱可塑性樹脂のMFRが1g/10min以上100g/10min以下であってもよい。
同構成によれば、第2の熱可塑性樹脂のMFRが十分に小さいため、繊維強化複合材料の静強度、耐衝撃性を更に向上させることが可能になる。
本発明の繊維強化複合材料においては、繊維強化複合材料における第1の熱可塑性樹脂の体積が、第2の熱可塑性樹脂の全体の体積に対して5%以上80%以下であってもよい。
同構成によれば、連続強化繊維間の隙間に入るのに十分な体積含有率を有する第1の熱可塑性樹脂が、第1の熱可塑性樹脂に比し体積含有率の高い第2の熱可塑性樹脂と混溶するため、相対的に量の多い第2の熱可塑性樹脂により繊維強化複合材料の静強度、耐衝撃性を更に向上させることが可能になる。
本発明の繊維強化複合材料においては、第1の熱可塑性樹脂と第2の熱可塑性樹脂が、同一系統の樹脂であってもよい。
同構成によれば、同一系統の樹脂同士は相溶性が高いため、第1の熱可塑性樹脂と第2の熱可塑性樹脂との混溶が促進されて、界面強度が更に向上するため、繊維強化複合材料の静強度、耐衝撃性を更に向上させることが可能になる。
本発明の繊維強化複合材料においては、第1及び第2の熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂であってもよい。
同構成によれば、耐薬品性に優れ、強靭性、柔軟性が高いポリアミド樹脂を第1及び第2の熱可塑性樹脂として用いることで、静強度、耐衝撃性以外の物性も兼ね備えた繊維強化複合材料を得ることができる。また、ポリアミド樹脂は、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、MXナイロン、または、これらの共重合物など同一系統の樹脂の種類が多いため、要求される物性を備える繊維強化複合材料を得ることができる。
本発明の繊維強化複合材料においては、連続強化繊維が炭素繊維であってもよい。
同構成によれば、ガラス繊維、アラミド繊維など他の強化繊維と比べて比強度、比弾性率が高い炭素繊維を用いることで、より軽量で、静強度、耐衝撃性の高い繊維強化複合材料を得ることができる。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法は、第1の熱可塑性樹脂を連続強化繊維間の隙間に含浸する工程と、第1の熱可塑性樹脂のMFRよりも小さいMFRを有する第2の熱可塑性樹脂を第1の熱可塑性樹脂を含浸した連続強化繊維間の隙間に含浸する工程とを少なくとも備えることを特徴とする。
同構成によれば、繊維強化複合材料において、連続強化繊維の周辺にMFRの大きい第1の熱可塑性樹脂が存在するため、例えば、熱プレス処理により、繊維強化複合材料を形成する際に、MFRの大きい第1の熱可塑性樹脂が連続強化繊維間の隙間に入りやすくなり、連続強化繊維と第1の熱可塑性樹脂の密着が十分行われ、界面接着強度が向上し、また繊維強化複合材料の空隙(ボイド)が効果的に減少することになる。
また、MFRの大きい第1の熱可塑性樹脂とMFRの小さい第2の熱可塑性樹脂とが混溶することで、単独では連続強化繊維間の隙間に浸透しにくいMFRの小さい第2の熱可塑性樹脂を連続強化繊維間の隙間に浸透させることが可能になる。そして、一般に、MFRの小さい熱可塑性樹脂を用いた繊維強化複合材料は、MFRの大きい熱可塑性樹脂よりも静強度、耐衝撃性が高くなるため、連続強化繊維間の隙間に浸透しているMFRの小さい第2の熱可塑性樹脂により、静強度、耐衝撃性に優れた繊維強化複合材料を効率的に製造することが可能になる。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法においては、第1の熱可塑性樹脂をエマルジョンの形態で連続強化繊維間の隙間に含浸させてもよい。
同構成によれば、エマルジョン中の第1の熱可塑性樹脂の粒子径を小さくすることができるため、連続強化繊維間の隙間への浸透が容易になる。従って、第1の熱可塑性樹脂をより確実に連続強化繊維に近い位置に配置することができるため、効率的に本発明の繊維強化複合材料を製造することができる。
本発明によれば、静強度及び耐衝撃性に優れた繊維強化複合材料を得ることが可能になる。
本発明の実施形態に係る繊維強化複合材料を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る繊維強化複合材料の製造工程を説明するための断面図である。 本発明の実施形態に係る繊維強化複合材料における繊維強化材料を製造するための製造装置を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る繊維強化材料における繊維トウを示す断面図である。 本発明の実施形態に係る繊維強化複合材料を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る繊維強化複合材料を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る繊維強化複合材料の変形例を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る繊維強化複合材料の変形例を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る繊維強化複合材料を示す断面図である。
本実施形態の繊維強化複合材料1は、連続強化繊維と熱可塑性樹脂からなり、図1に示すように、第1の熱可塑性樹脂5で被覆された連続強化繊維4と、連続強化繊維4間の隙間に含浸された第2の熱可塑性樹脂6とを備える。
この繊維強化複合材料1は、図2に示すような第1の熱可塑性樹脂5で被覆された連続強化繊維4からなる繊維強化材料2と、第2の熱可塑性樹脂6からなる熱可塑性樹脂シート3とを交互に積層して、熱プレスすることにより形成される。
この連続強化繊維4としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、ザイロン繊維等、もしくはこれらの繊維を少なくとも一種類以上含む混合体を使用することができ、製品が必要とする機械的特性等に応じて、適宜、選択することができる。また、これらの繊維は、用途に合わせて表面処理等を施してもよい。
また、第1の熱可塑性樹脂5及び第2の熱可塑性樹脂6としては、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、ABS、ポリアミド樹脂(ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、メタキシリレンジアミン(MXナイロン)、または、これらの共重合体、芳香族ポリアミド樹脂等)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂等を使用することができ、これらの樹脂の中から、成形可能温度、耐熱性、耐水性等の特性を考慮して、適宜、選択することができる。
なお、第2の熱可塑性樹脂6の形態としては、シート状(不織布、織物、編物)、フィルム状、粉末状、溶融物、エマルジョン等のものを使用することができ、これらの形態の中から、適宜、選択することができる。
そして、本実施形態の繊維強化複合材料1における熱可塑性樹脂は、この第1の熱可塑性樹脂5と第2の熱可塑性樹脂6とにより構成されている。
ここで、本実施形態の繊維強化複合材料1においては、熱可塑性樹脂が、連続強化繊維4を被覆する第1の熱可塑性樹脂5と、第1の熱可塑性樹脂5とMFRが異なる第2の熱可塑性樹脂6からなり、第1の熱可塑性樹脂5のMFRが第2の熱可塑性樹脂6のMFRよりも大きい点に特徴がある。
このような構成により、繊維強化複合材料1において、連続強化繊維4の周辺にMFRの大きい第1の熱可塑性樹脂5が存在するため、例えば、熱プレス処理により、繊維強化複合材料1を形成する際に、MFRの大きい第1の熱可塑性樹脂5が連続強化繊維4間の隙間に入りやすくなり、連続強化繊維4と第1の熱可塑性樹脂5の密着が十分行われ、界面接着強度が向上し、また繊維強化複合材料1の空隙(ボイド)が効果的に減少する。その結果、高い耐衝撃性を有する繊維強化複合材料1を得ることが可能になる。
また、MFRの大きい第1の熱可塑性樹脂5がMFRの小さい第2の熱可塑性樹脂6と混溶することで、単独では連続強化繊維4間の隙間に浸透しにくいMFRの小さい第2の熱可塑性樹脂6を連続強化繊維4間の隙間に浸透させることが可能になる。一般に、MFRの小さい熱可塑性樹脂を用いた繊維強化複合材料は、MFRの大きい熱可塑性樹脂よりも静強度が高くなるため、連続強化繊維間の隙間に浸透しているMFRの小さい第2の熱可塑性樹脂6により、繊維強化複合材料1の静強度を向上させることが可能になる。
その結果、単に、連続強化繊維と熱可塑性樹脂から成る繊維強化複合材料に比し、強度及び耐衝撃性に優れた繊維強化複合材料1を得ることが可能になる。
なお、連続強化繊維4の周辺に存在する第1の熱可塑性樹脂5が連続強化繊維4間の隙間に入りやすくなることにより、連続強化繊維4と第1の熱可塑性樹脂5との界面を十分に密着させて、界面接着強度を確実に向上させるとの観点から、JIS K7210(温度:240℃、荷重:21.18N)に準拠して測定された第1の熱可塑性樹脂5のMFRが、500g/10min以上3000g/10min以下であることが好ましい。例えば、第1の熱可塑性樹脂5として、MFRが1850g/10minの共重合ナイロン樹脂を使用することができる。
また、繊維強化複合材料1の静強度及び耐衝撃性を向上させる観点から、JISK7210(温度:240℃、荷重:21.18N)に準拠して測定された第2の熱可塑性樹脂6のMFRが、1g/10min以上100g/10min以下であることが好ましい。例えば、第2の熱可塑性樹脂6として、MFRが6.2g/10minのMXナイロンや、MFRが48g/10minのナイロン6を使用することができる。
また、第2の熱可塑性樹脂6として高耐熱性ポリアミド樹脂を使用する場合、JISK7210(温度:265℃、荷重:21.18N)に準拠して測定された第1の熱可塑性樹脂5のMFRが、500g/10min以上3000g/10min以下であることが好ましく、第2の熱可塑性樹脂6のMFRが、1g/10min以上100g/10min以下であることが好ましい。例えば、第1の熱可塑性樹脂5として、MFRが1947g/10minのナイロン6を使用することができ、第2の熱可塑性樹脂6として、MFRが17g/10minのナイロン66を使用することができる。このようにナイロン6は組み合わせにより、第1の熱可塑性樹脂としても第2の熱可塑性樹脂としても用いることができる。
また、第1の熱可塑性樹脂5、及び第2の熱可塑性樹脂6として、ポリオレフィン樹脂を使用する場合、JISK7210(温度:230℃、荷重:21.18N)に準拠して測定された第1の熱可塑性樹脂5のMFRが、500g/10min以上3000g/10min以下であることが好ましく、第2の熱可塑性樹脂6のMFRが、1g/10min以上100g/10min以下であることが好ましい。例えば、第1の熱可塑性樹脂5として、MFRが768〜1537g/10minの変性ポリプロピレンを使用することができ、第2の熱可塑性樹脂6として、MFRが20〜35g/10minのポリプロピレンを使用することができる。
また、第1の熱可塑性樹脂5として、ポリスチレンを使用する場合、JISK7210(温度:200℃、荷重:49N)に準拠して測定されたMFRが、500g/10min以上3000g/10min以下であることが好ましく、第2の熱可塑性樹脂6として、ポリスチレンを使用する場合、JISK7210(温度:200℃、荷重:49N)に準拠して測定されたMFRが、1g/10min以上100g/10min以下であることが好ましい。
また、第1の熱可塑性樹脂5として、ABSを使用する場合、JISK7210(温度:220℃、荷重:98N)に準拠して測定されたMFRが、500g/10min以上3000g/10min以下であることが好ましく、第2の熱可塑性樹脂6として、ABSを使用する場合、JISK7210(温度:220℃、荷重:98N)に準拠して測定されたMFRが、1g/10min以上100g/10min以下であることが好ましい。
また、第1の熱可塑性樹脂5、及び第2の熱可塑性樹脂6として、ポリエステル樹脂を使用する場合、JISK7210(温度:275℃、荷重:21.18N)に準拠して測定された第1の熱可塑性樹脂5のMFRが、500g/10min以上3000g/10min以下であることが好ましく、第2の熱可塑性樹脂6のMFRが、1g/10min以上100g/10min以下であることが好ましい。例えば、第1の熱可塑性樹脂5として、MFRが2357g/10minのポリエチレンテレフタレートを使用することができ、第2の熱可塑性樹脂6として、MFRが25g/10minのポリブチレンテレフタレートを使用することができる。
また、第1の熱可塑性樹脂5として、ポリフェニレンサルファイド樹脂を使用する場合、JIS K7210(温度:300℃、荷重:21.18N)に準拠して測定されたMFRが、500g/10min以上3000g/10min以下であることが好ましく、第2の熱可塑性樹脂6として、ポリフェニレンサルファイド樹脂を使用する場合、JIS K7210(温度:300℃、荷重:21.18N)に準拠して測定されたMFRが、1g/10min以上100g/10min以下であることが好ましい。
また、第1の熱可塑性樹脂5として、ポリエーテルエーテルケトン樹脂を使用する場合、JIS K7210(温度:390℃、荷重:21.18N)に準拠して測定されたMFRが、500g/10min以上3000g/10min以下であることが好ましく、第2の熱可塑性樹脂6として、ポリエーテルエーテルケトン樹脂を使用する場合、JIS K7210(温度:390℃、荷重:21.18N)に準拠して測定されたMFRが、1g/10min以上100g/10min以下であることが好ましい。
また、第1の熱可塑性樹脂5として、ポリカーボネート樹脂を使用する場合、JIS K7210(温度:300℃、荷重:11.76N)に準拠して測定されたMFRが、500g/10min以上3000g/10min以下であることが好ましく、第2の熱可塑性樹脂6として、ポリカーボネート樹脂を使用する場合、JIS K7210(温度:300℃、荷重:11.76N)に準拠して測定されたMFRが、1g/10min以上100g/10min以下であることが好ましい。
このように、本実施形態においては、JISK7210における試験温度は、使用される熱可塑性樹脂に応じて、適宜、変更され、第2の熱可塑性樹脂6の融点よりも5〜55℃高い温度に設定される。
また、繊維強化複合材料1全体における、第1の熱可塑性樹脂5の体積含有率は、第2の熱可塑性樹脂6の体積含有率よりも低いことが好ましい。
より具体的には、繊維強化複合材料1における第1の熱可塑性樹脂5の体積が、第2の熱可塑性樹脂6の全体の体積に対して5%以上80%以下であることが好ましい。換言すると、繊維強化複合材料1における、第1の熱可塑性樹脂5の体積をV、第2の熱可塑性樹脂6の体積をVとした場合に、0.05V≦V≦0.8Vの関係が成立することが好ましい。
これは、MFRの大きい第1の熱可塑性樹脂が過剰に存在することに起因する静強度及び耐衝撃性の低下を防ぎ、MFRの小さい第2の熱可塑性樹脂6の体積含有率をMFRの大きい第1の熱可塑性樹脂5の体積含有率よりも高くすることによって、静強度及び耐衝撃性を向上させるためである。
なお、本実施形態においては、第1及び第2の熱可塑性樹脂5,6と連続強化繊維4の割合を調整することで、繊維強化複合材料1全体における連続強化繊維4の体積含有率が57〜62%程度、第1の熱可塑性樹脂5と第2の熱可塑性樹脂6との合計の体積含有率が38〜43%程度となるように設定されており、繊維強化複合材料1全体において、強度を発現するのに最適な樹脂量に設定されている。
また、連続強化繊維4を被覆する第1の熱可塑性樹脂5が、第2の熱可塑性樹脂6と同一系統の樹脂であることが好ましい。
このような構成により、同一系統の樹脂同士は相溶性が高いため、熱プレスの工程で、第1の熱可塑性樹脂5と第2の熱可塑性樹脂6とが高い相溶性で混溶するため、第2の熱可塑性樹脂6の連続強化繊維4間の隙間への浸透が促進され、静強度、及び耐衝撃性により優れた繊維強化複合材料1が得られる。
なお、ここで言う「同一系統の樹脂」とは、特徴となる結合が同一である樹脂のことを言う。この「同一系統の樹脂」は、物性も似たものが多く、特徴となる結合以外の部分の構造上の差異により、物性が多少異なるため、用途等に応じて使い分けることができる。
例えば、ポリアミド樹脂であれば、アミド結合を有するナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、MXナイロン、または、これらの共重合物などが同一系統の樹脂となる。
一方、アミド結合を有するケブラー(登録商標)、ノーメックス(登録商標)は、分子中に剛直な芳香環を有するという特徴があり、そのため、上述のナイロン6等とは物性が大きく異なり、広義には同一系統の樹脂となるが、一般的には同一系統の樹脂とは呼ばない。
また、例えば、ポリエステル樹脂であれば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が同一系統の樹脂として挙げることができ、ポリオレフィン樹脂であれば、ポリエチレン、ポリプロピレン等を同一系統の樹脂として挙げることができる。
本実施形態においては、熱可塑性樹脂として機械的特性に優れ、種類が多く、選択肢が多いポリアミド樹脂を用いることが好ましい。例えば、第1の熱可塑性樹脂5として共重合ナイロン樹脂を使用し、第2の熱可塑性樹脂6としてナイロン6を使用することができる。
本実施形態においては、より軽量な繊維強化複合材料1を得るために、連続強化繊維4として比強度、比弾性率が高い連続炭素繊維を用いることが好ましい。
また、本発明の繊維強化複合材料1を製造する方法として、第1の熱可塑性樹脂5を連続強化繊維4間の隙間に含浸する工程と、第1の熱可塑性樹脂5のMFRよりも小さいMFRを有する第2の熱可塑性樹脂6を第1の熱可塑性樹脂5を含浸した連続強化繊維4間の隙間に含浸する工程とをとることで効率的に製造することができる。また、第1の熱可塑性樹脂5がエマルジョンの形態である製造方法が好ましい。このような構成により、エマルジョン中の第1の熱可塑性樹脂5の粒子径を小さくすることができるため、連続強化繊維4間の隙間への浸透性が良好になり、第1の熱可塑性樹脂5にエマルジョンの形態を用いることで、第1の熱可塑性樹脂5をより確実に連続強化繊維4に近い位置に配置することができる。
次に、本実施形態の繊維強化複合材料の製造方法の一例について説明する。図3は、本発明の実施形態に係る繊維強化複合材料1における繊維強化材料2を製造するための製造装置30を説明するための図である。また、図4は、繊維強化材料2における繊維トウ7を説明するための図である。
繊維強化材料2を製造する際には、まず、連続強化繊維引き揃え部31において、連続強化繊維4からなる繊維トウ7の引き揃えを行う。ここで、引き揃える繊維トウ7の本数は、製造する繊維強化材料2の幅や形状等に対応させて、適宜、変更することができる。
例えば、繊維トウ7として、15K(15、000本)の連続強化繊維4を有し、幅が7mmの連続炭素繊維トウを8本引き揃えることにより、最大で56mmの幅を有する繊維強化材料2を製造することができる。
次いで、引き揃えた繊維トウ7を、第1の熱可塑性樹脂5を含有する熱可塑性樹脂エマルジョン12を有するエマルジョン含浸槽32へと送り出し、引き揃えられたテープ状の繊維トウ7に対して熱可塑性樹脂エマルジョン12を含浸する。
ここで、熱可塑性樹脂エマルジョン12としては、例えば、MFRが1850g/10minである上述の共重合ナイロン樹脂を主成分とする水系のエマルジョンを使用することができる。
なお、熱可塑性樹脂エマルジョン12の固形分比率は、50質量%以下が好ましい。これは、固形分比率が50質量%よりも大きい場合は、粘度が高すぎて含浸しにくいという不都合が生じる場合があるためである。
また、熱可塑性樹脂エマルジョン12において使用される溶媒としては、第1の熱可塑性樹脂5である熱可塑性エマルジョン樹脂に対して貧溶媒として作用するものであれば、特に限定されず、水、等を使用することができ、使用する熱可塑性エマルジョン樹脂に対応させて、適宜、選択することができる。
また、この溶媒としては、連続強化繊維4への含浸を良好にするとの観点から、粘度の低いものが好ましく、含浸後の熱処理工程においてエマルジョン中の溶媒を確実に蒸発させるとの観点から、沸点が低いものが好ましい。また、作業工程の安全性の観点から、引火性、揮発有害性のない溶媒が好ましい。
次いで、熱可塑性樹脂エマルジョン12が含浸された繊維トウ7を絞り部33へと送り出し、絞り部33において、熱可塑性樹脂エマルジョン12が含浸された繊維トウ7を絞り、余分な熱可塑性樹脂エマルジョン12を除去する。
なお、絞り部33における絞り力を調整することで、繊維トウ7に付着する熱可塑性樹脂エマルジョン12の量を調整することができる。
次いで、繊維トウ7を熱処理部34へと送り出し、熱可塑性樹脂エマルジョン12が含浸された繊維トウ7を熱処理により乾燥して、連続強化繊維4間の隙間に第1の熱可塑性樹脂5である熱可塑性エマルジョン樹脂が含浸されたテープ状の繊維強化材料2を形成する。
この際、熱可塑性エマルジョン樹脂の融点よりも高い温度で所定時間(例えば、3分間)熱処理を行うことにより、連続強化繊維4間の隙間に熱可塑性エマルジョン樹脂が確実に含浸されたテープ状の繊維強化材料2を得ることができる。
なお、溶媒を蒸発させることができる条件であれば、熱可塑性エマルジョン樹脂の融点よりも低い温度で、この熱処理を行ってもよく、粒子径の小さい熱可塑性エマルジョン樹脂は連続強化繊維4間の隙間に十分に含浸することができる。
そして、繊維強化材料2を冷却部35で冷却後、巻取部36により冷却された繊維強化材料2を巻き取ることにより、テープ状の繊維強化材料2の製造工程が完了する。
なお、製造した繊維強化材料2の幅は、熱可塑性樹脂エマルジョン12の収束力により、上述の56mmよりも細くなる。
次いで、製造した繊維強化材料2と第2の熱可塑性樹脂6からなる熱可塑性樹脂シート3とを積層して、熱プレスすることにより、図1に示す繊維強化複合材料1を製造することができる。
なお、繊維強化材料2と熱可塑性樹脂シート3の積層枚数は、適宜、変更することができる。例えば、4枚の繊維強化材料2を用意し、各繊維強化材料2の間に熱可塑性樹脂シート3を図5に示すように各繊維強化材料2の連続強化繊維4が互いに同一の方向(即ち、図中の矢印Xの方向)、あるいは図6に示すように各繊維強化材料2の連続強化繊維4が互いに直交する方向(即ち、図中の矢印X、Yの方向)、あるいは各繊維強化材料2の連続強化繊維4が互いに任意の方向に積層(即ち、繊維強化材料2と熱可塑性樹脂シート3とを交互に積層)して、4枚の繊維強化材料2と3枚の熱可塑性樹脂シート3からなる積層体を熱プレスする構成とすることができる。
ここで、上記特許文献1に記載の繊維強化複合材料のように、熱可塑性樹脂シートを連続強化繊維の間に入れて熱プレスする方法においては、連続強化繊維4間の隙間に熱可塑性樹脂を含浸させる際に、長時間必要となり、成形時間が長くなるという問題があった。
一方、本実施形態の繊維強化複合材料1の製造方法の一例では、繊維強化材料2に熱可塑性エマルジョン樹脂(即ち、第1の熱可塑性樹脂5)が存在しているため、熱プレス処理により、繊維強化材料2の熱可塑性エマルジョン樹脂と熱可塑性樹脂シート3を形成する第2の熱可塑性樹脂6とを相溶させて、繊維強化材料2と熱可塑性樹脂シート3とを熱融着させる際に、熱可塑性樹脂シート3を形成する第2の熱可塑性樹脂6の繊維強化材料2への移動距離が短くなり、成形時間を短くすることが可能になる。
また、上述のごとく、熱可塑性エマルジョン樹脂のMFRが大きいため、連続強化繊維4間の空隙(ボイド)を効果的に減少させることが可能になり、結果として、空隙の少ない高品質な繊維強化複合材料1を得ることが可能になる。
なお、熱プレスを行う際の加熱温度は、熱可塑性樹脂シート3を形成する第2の熱可塑性樹脂6を確実に溶融させるとの観点から、第2の熱可塑性樹脂6の融点+10℃以上に設定することができ、例えば、ナイロン6を用いた場合には、220℃〜280℃に設定することができる。
また、熱プレスを行う際の圧力は、連続強化繊維4間の隙間に熱可塑性エマルジョン樹脂を入りやすくさせるとの観点から、例えば、1MPa〜10MPaに設定することができる。
また、熱プレスを行う時間は、第2の熱可塑性樹脂6を確実に含浸させるとの観点から、例えば、30秒〜600秒に設定することができる。なお、加熱温度、圧力を上げることにより、プレス時間を短縮できることもある。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
上記実施形態においては、繊維強化材料2として、連続強化繊維4からなる繊維トウ7(または繊維トウを開繊した開繊糸)が一方向に引き揃えられたものを使用したが、繊維強化材料2として、織物を使用する構成としてもよい。
このような構成により、一方向性材料を使用する場合に比し、繊維強化材料2の成形加工性が向上し、複雑な形状の成形品を得ることができる。
織物としては、例えば、縦糸として、複数の連続強化繊維4を互いに所定の間隔で平行に配列し、この平行に配列された複数の連続強化繊維4に対して、縦糸の長手方向に沿って所定間隔で、横糸として複数の連続強化繊維4を織り込みした、織物を使用することができる。
また、上述のごとく、繊維強化複合材料1は、第1の熱可塑性樹脂5で被覆された連続強化繊維4からなる繊維強化材料2と、第2の熱可塑性樹脂6からなる熱可塑性樹脂シート3とを交互に積層して、熱プレスすることにより形成されるが、この際、成形温度、成形時間、成形圧力、第1または第2の熱可塑性樹脂の種類・量等を調整することにより、図7、図8に示す構造を有する繊維強化複合材料1を得ることができる。
より具体的には、図7に示すように、連続強化繊維4と、連続強化繊維4を被覆するとともに、連続強化繊維4間の隙間の一部に含浸された第1の熱可塑性樹脂5と、連続強化繊維4間の隙間に含浸された第2の熱可塑性樹脂6とを備える繊維強化複合材料10を得ることができる。
また、図8に示すように、連続強化繊維4と、連続強化繊維4間の隙間に含浸された第1の熱可塑性樹脂5と、連続強化繊維4と第1の熱可塑性樹脂5とを狭持する第2の熱可塑性樹脂6とを備える繊維強化複合材料20を得ることができる。
なお、図1に示す繊維強化複合材料1は、成形温度、または成形圧力を高くする、あるいは成形時間を長くすることにより、熱プレスの際に、第1の熱可塑性樹脂5が連続強化繊維4の表面に残存するとともに、熱可塑性樹脂シート3を形成する第2の熱可塑性樹脂6が繊維強化材料2の内部へ均一に含浸することにより形成される。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
(実施例1)
(繊維強化材料の作製)
サイジング剤処理のみを施した8本の連続炭素繊維トウ(15K、幅7mm)を引き揃えた後、引き揃えた繊維トウに対して熱可塑性樹脂エマルジョンを含浸した。なお、熱可塑性樹脂エマルジョンとしては、JIS K7210(温度:240℃、荷重:21.18N)に準拠して測定されたMFRが1850g/10minの共重合ナイロン樹脂を主成分とする水系エマルジョンを使用した。
次いで、熱可塑性樹脂エマルジョンが含浸された連続炭素繊維トウを絞り、余分な熱可塑性樹脂エマルジョンを除去した後、繊維トウを熱処理(140℃、3分間)により乾燥して、冷却を行うことにより、連続強化繊維間の隙間に熱可塑性エマルジョン樹脂が含浸されたテープ状の繊維強化材料(幅:50mm、厚み:0.125mm、熱可塑性エマルジョン樹脂の体積含有率:12%)を作製した。
(繊維強化複合材料の作製)
作製した繊維強化材料を複数枚、並列させて、半田ごてを使用して部分接着し、20cm角のシート状の繊維強化材料を作製した。次いで、このシート状の繊維強化材料を10枚用意し、各繊維強化材料の連続強化繊維が同一の方向(並行する方向)に配列されるように、繊維強化材料を重ねて配置した。次いで、各繊維強化材料の間に、熱可塑性樹脂シートとして、20cm角のナイロン布(ナイロン6、MFR:48g/10min)により形成された平織りの布(厚み:約0.1mm)を挟み込んで、繊維強化材料とナイロン布とを積層した。この積層体を、大きさが20cm角、厚みが1mmの型に入れ、245℃の温度、6MPaの圧力で40分間、熱プレス処理を行い、厚みが1mmの繊維強化複合材料を作製した。
なお、JIS K7075(炭素繊維強化プラスチックの繊維含有率及び空洞率試験方法)に準拠して、作製した繊維強化複合材料における樹脂体積含有率を測定したところ、熱可塑性樹脂全体の体積含有率は42%であり、そのうち、ナイロン布由来の熱可塑性樹脂の体積含有率は32%、熱可塑性エマルジョン樹脂の体積含有率は10%であった。
より具体的には、上述の方法で熱プレス処理を行った厚みが1mmの繊維強化複合材料を、10×10mに切り出して試験片とし、この試験片を70℃で24時間乾燥させ、質量と体積を測定するとともに、ブンゼンバーナーの還元炎中で、試験片中の樹脂分を燃焼し、燃焼後の質量を測定した。そして、燃焼前後の質量から、試験片中の繊維質量含有率と樹脂質量含有率を求め、JIS K7075の方法により、樹脂体積含有率を求めた。
(曲げ強度試験)
次いで、静強度として、曲げ強度試験を、JIS K7074(炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方法)に準拠して行った。具体的には、万能材料試験機(島津製作所製(株)製、商品名:オートグラフAG−10KNE)を使用して、3点曲げ法により、曲げ強度〔MPa〕の測定を行い、作製した繊維強化複合材料の静強度を評価した。なお、厚みが1mm、長さ60mm、幅15mmの試験片を使用し、支点間距離を40mmに設定して行った。以上の結果を表1に示す。
(実施例2)
熱プレス処理時間を8.5分としたこと以外は、上述の実施例1と同様にして、繊維強化複合材料を作製した。その後、上述の実施例1と同様にして、曲げ強度試験の評価を行った。以上の結果を表1に示す。
(実施例3)
まず、上述の実施例1と同様にして、テープ状の繊維強化材料(幅:49mm、厚み:0.170mm、熱可塑性エマルジョン樹脂の体積含有率:12%)を作製した。次いで、作製した繊維強化材料を複数枚、並列させ、半田ごてを使用して部分接着し、24cm角のシート状の繊維強化材料を作製した。次いで、このシート状の繊維強化材料を8枚用意し、各繊維強化材料の連続強化繊維が全て同一の方向(並行する方向)に配列されるように、繊維強化材料を重ねて配置した。次いで、各繊維強化材料の間に、熱可塑性樹脂シートとして、24cm角のナイロン布(ナイロン6、MFR:48g/10min)により形成された平織りの布(厚み:約0.1mm)を挟み込んで、繊維強化材料とナイロン布とを積層した。この積層体を、大きさが25cm角、厚みが1mmの型に入れ、245℃の温度で10分間加熱後、245℃の温度、6MPaの圧力で5分間、熱プレス処理を行い、厚みが1mmの繊維強化複合材料を作製した。
なお、熱可塑性樹脂全体の体積含有率は40%であり、そのうち、ナイロン布由来の熱可塑性樹脂の体積含有率は32%、熱可塑性エマルジョン樹脂の体積含有率は8%であった。すなわち、熱可塑性エマルジョン樹脂のナイロン布由来の熱可塑性樹脂に対する体積割合は25%であった。
その後、上述の実施例1と同様にして、曲げ強度試験の評価を行った。以上の結果を表1に示す。
(実施例4)
まず、上述の実施例1と同様にして、テープ状の繊維強化材料(幅:48mm、厚み:0.20mm、熱可塑性エマルジョン樹脂の体積含有率:14%)を作製した。次いで、作製した繊維強化材料を複数枚、並列させ、半田ごてを使用して部分接着し、24cm角のシート状の繊維強化材料を作製した。次いで、このシート状の繊維強化材料を8枚用意し、各繊維強化材料の連続強化繊維が全て同一の方向(並行する方向)に配列されるように、繊維強化材料を重ねて配置した。次いで、各繊維強化材料の間に、熱可塑性樹脂シートとして、24cm角のナイロン布(ナイロン6、MFR:48g/10min)により形成された平織りの布(厚み:約0.1mm)を挟み込んで、繊維強化材料とナイロン布とを積層した。この積層体を、大きさが25cm角、厚みが1mmの型に入れ、245℃の温度で10分間加熱後、245℃の温度、6MPaの圧力で5分間、熱プレス処理を行い、厚みが1mmの繊維強化複合材料を作製した。
なお、熱可塑性樹脂全体の体積含有率は41%であり、そのうち、ナイロン布由来の熱可塑性樹脂の体積含有率は31%、熱可塑性エマルジョン樹脂の体積含有率は10%であった。すなわち、熱可塑性エマルジョン樹脂のナイロン布由来の熱可塑性樹脂に対する体積割合は32%であった。
その後、上述の実施例1と同様にして、曲げ強度試験の評価を行った。以上の結果を表1に示す。
(実施例5)
まず、上述の実施例1と同様にして、テープ状の繊維強化材料(幅:41mm、厚み:0.28mm、熱可塑性エマルジョン樹脂の体積含有率:24%)を作製した。次いで、作製した繊維強化材料を複数枚、並列させ、半田ごてを使用して部分接着し、24cm角のシート状の繊維強化材料を作製した。次いで、このシート状の繊維強化材料を8枚用意し、各繊維強化材料の連続強化繊維が全て同一の方向(並行する方向)に配列されるように、繊維強化材料を重ねて配置した。次いで、各繊維強化材料の間に、熱可塑性樹脂シートとして、24cm角のナイロン布(ナイロン6、MFR:48g/10min)により形成された平織りの布(厚み:約0.1mm)を挟み込んで、繊維強化材料とナイロン布とを積層した。この積層体を、大きさが25cm角、厚みが1mmの型に入れ、245℃の温度で10分間加熱後、245℃の温度、6MPaの圧力で5分間、熱プレス処理を行い、厚みが1mmの繊維強化複合材料を作製した。
なお、熱可塑性樹脂全体の体積含有率は43%であり、そのうち、ナイロン布由来の熱可塑性樹脂の体積含有率は25%、熱可塑性エマルジョン樹脂の体積含有率は18%であった。すなわち、熱可塑性エマルジョン樹脂のナイロン布由来の熱可塑性樹脂に対する体積割合は72%であった。
その後、上述の実施例1と同様にして、曲げ強度試験の評価を行った。以上の結果を表1に示す。
(実施例6)
まず、上述の実施例1と同様にして、テープ状の繊維強化材料(幅:50mm、厚み:0.15mm、熱可塑性エマルジョン樹脂の体積含有率:6%)を作製した。次いで、作製した繊維強化材料を複数枚、並列させ、半田ごてを使用して部分接着し、24cm角のシート状の繊維強化材料を作製した。次いで、このシート状の繊維強化材料を8枚用意し、各繊維強化材料の連続強化繊維が全て同一の方向(並行する方向)に配列されるように、繊維強化材料を重ねて配置した。次いで、各繊維強化材料の間に、熱可塑性樹脂シートとして、24cm角のナイロン布(ナイロン6、MFR:48g/10min)により形成された平織りの布(厚み:約0.1mm)を挟み込んで、繊維強化材料とナイロン布とを積層した。この積層体を、大きさが25cm角、厚みが1mmの型に入れ、245℃の温度で10分間加熱後、245℃の温度、6MPaの圧力で5分間、熱プレス処理を行い、厚みが1mmの繊維強化複合材料を作製した。
なお、熱可塑性樹脂全体の体積含有率は38%であり、そのうち、ナイロン布由来の熱可塑性樹脂の体積含有率は34%、熱可塑性エマルジョン樹脂の体積含有率は4%であった。すなわち、熱可塑性エマルジョン樹脂のナイロン布由来の熱可塑性樹脂に対する体積割合は11%であった。
その後、上述の実施例1と同様にして、曲げ強度試験の評価を行った。以上の結果を表1に示す。
(実施例7)
上述の実施例1と同様にして、テープ状の繊維強化材料(幅:49mm、厚み:0.170m、熱可塑性エマルジョン樹脂の体積含有率:12%)を作製した。次いで、作製した繊維強化材料を複数枚、並列させ、半田ごてを使用して部分接着し、24cm角のシート状の繊維強化材料を作製した。次いで、このシート状の繊維強化材料を8枚用意し、各繊維強化材料の連続強化繊維が直行する方向に配列されるように、繊維強化材料を重ねて配置した。次いで、各繊維強化材料の間に、熱可塑性樹脂シートとして、24cm角のナイロン布(ナイロン6、MFR:48g/10min)により形成された平織りの布(厚み:約0.1mm)を挟み込んで、繊維強化材料とナイロン布とを積層し、この積層体を、大きさが25cm角、厚みが1mmの型に入れ、245℃の温度で10分間加熱後、245℃の温度、6MPaの圧力で5分間、熱プレス処理を行い、厚みが1mmの繊維強化複合材料を作製した。なお、熱可塑性樹脂全体の体積含有率は40%であり、そのうち、ナイロン布由来の熱可塑性樹脂の体積含有率は32%、熱可塑性エマルジョン樹脂の体積含有率は8%であった。即ち、熱可塑性エマルジョン樹脂のナイロン布由来の熱可塑性樹脂に対する体積割合は25%であった。
(耐衝撃性試験)
次いで、耐衝撃性試験をJIS K7085(炭素繊維強化プラスチックの多軸衝撃試験方法)に準拠して行った。具体的には、熱プレス処理を行った厚みが1mmの繊維強化複合材料を100×100mmに切り出して試験片とし、この試験片を70℃で8時間、乾燥させ、23℃に温調された試験室で、温度が一定になるまで1時間放置した。その後、耐衝撃性試験機(東洋精機製作所(株)製、商品名:GRAPHIC IMPACTTESTER B)を使用して、落錘衝撃試験を行った。そして、全吸収エネルギー〔J〕を測定し、作製した繊維強化複合材料の耐衝撃性を評価した。なお、試験機におけるホルダー径を76mm、ストライカー径を12.7mm、ウェイト重量を6.5kg、落下高さを100cm、及び衝撃速度を4.4m/secに設定して行った。以上の結果を表2に示す。
(実施例8)
熱可塑性樹脂エマルジョンが含浸された連続炭素繊維トウを絞る際の絞り力を調整して作製したテープ状の繊維強化材料(幅:48mm、厚み:0.20mm、熱可塑性エマルジョン樹脂の体積含有率:14%)を用いたこと以外は、上述の実施例7と同様にして、繊維強化複合材料を作製した。
なお、熱可塑性樹脂全体の体積含有率は41%であり、そのうち、ナイロン布由来の熱可塑性樹脂の体積含有率は31%、熱可塑性エマルジョン樹脂の体積含有率は10%であった。即ち、熱可塑性エマルジョン樹脂のナイロン布由来の熱可塑性樹脂に対する体積割合は32%であった。その後、上述の実施例7と同様にして、耐衝撃性試験の評価を行った。以上の結果を表2に示す。
(実施例9)
熱可塑性樹脂エマルジョンが含浸された連続炭素繊維トウを絞る際の絞り力を調整して作製したテープ状の繊維強化材料(幅:41mm、厚み:0.28mm、熱可塑性エマルジョン樹脂の体積含有率:24%)を用いたこと以外は、上述の実施例7と同様にして、繊維強化複合材料を作製した。
なお、熱可塑性樹脂全体の体積含有率は43%であり、そのうち、ナイロン布由来の熱可塑性樹脂の体積含有率は25%、熱可塑性エマルジョン樹脂の体積含有率は18%であった。即ち、熱可塑性エマルジョン樹脂のナイロン布由来の熱可塑性樹脂に対する体積割合は72%であった。その後、上述の実施例7と同様にして、耐衝撃性試験の評価を行った。以上の結果を表2に示す。
(実施例10)
熱可塑性樹脂エマルジョンの濃度を調整して作製したテープ状の繊維強化材料(幅:50mm、厚み:0.15mm、熱可塑性エマルジョン樹脂の体積含有率:6%)を用いたこと以外は、上述の実施例7と同様にして、繊維強化複合材料を作製した。
なお、熱可塑性樹脂全体の体積含有率は38%であり、そのうち、ナイロン布由来の熱可塑性樹脂の体積含有率は34%、熱可塑性エマルジョン樹脂の体積含有率は4%であった。即ち、熱可塑性エマルジョン樹脂のナイロン布由来の熱可塑性樹脂に対する体積割合は11%であった。その後、上述の実施例7と同様にして、耐衝撃性試験の評価を行った。以上の結果を表2に示す。
(比較例1)
(繊維強化複合材料の作製)
サイジング剤処理のみを施した連続炭素繊維トウ(15K、幅7mm)を並列させて、その端部を固定し、20cm角のシート状の繊維強化材料を作製した。次いで、シート状の繊維強化材料を10枚用意し、各繊維強化材料の連続強化繊維が同一の方向に配列されるように、繊維強化材料を重ねて配置した。次いで、各繊維強化材料の間に熱可塑性樹脂シートとして、20cm角のナイロン布(ナイロン6、MFR:32g/10min)により形成された平織りの布(厚み:約0.1mm)を挟み込んで、繊維強化材料とナイロン布とを積層し、さらに上下最外層に1枚のナイロン布を重ねた。この積層体を大きさが20cm角、厚みが1mmの型に入れ、245℃の温度、6MPaの圧力で40分間熱プレス処理を行い、厚みが1mmの繊維強化複合材料を作製した。なお、樹脂体積含有率は43%であった。
次いで、上述の実施例1と同様にして、曲げ強度試験を行った。以上の結果を表1に示す。
(比較例2)
熱プレス処理時間を8.5分としたこと以外は、上述の比較例1と同様にして、繊維強化複合材料を作製した。次いで、上述の実施例1と同様にして、曲げ強度試験を行った。以上の結果を表1に示す。
(比較例3)
連続炭素繊維にMFRが24g/10minであるナイロン6樹脂を含浸させた熱可塑性プリプレグ(30cm角、厚さ0.125mm)を24cm角に切り出し、プリプレグの連続強化繊維が直交する方向に配列されるように、プリプレグを8枚重ねて配置した。この積層体を、大きさ25cm角、厚みが1mmの型に入れ、245℃の温度で10分間加熱後、245℃の温度、6MPaの圧力で5分間、熱プレス処理を行い、厚みが2mmの繊維強化複合材料を作製した。なお、樹脂体積含有率は43%であった。次いで、上述の実施例1と同様にして、曲げ強度試験の評価を行うとともに、上述の実施例7と同様にして、耐衝撃性試験を行った。以上の結果を表1、表2に示す。
Figure 2013189634
Figure 2013189634
表1に示すように、実施例1〜4,6のいずれの繊維強化複合材料も、比較例1〜2の繊維強化複合材料に比し、曲げ強度の値が大きく、また、実施例5の繊維強化複合材料についても、比較例1の繊維強化複合材料と同等の曲げ強度を有するとともに、比較例2の繊維強化複合材料よりも大きな曲げ強度を有しており、静強度が良好であることが判る。これは、実施例1〜6においては、連続炭素繊維を被覆する第1の熱可塑性樹脂である熱可塑性エマルジョン樹脂として、熱可塑性樹脂シートを形成する第2の熱可塑性樹脂(ナイロン6)のMFR(48g/10min)よりも大きいMFR(1850g/10min)を有する共重合ナイロン樹脂を使用したため、実施例3のような短時間(5分)の熱プレス処理においても、MFRの大きい第1の熱可塑性樹脂が連続炭素繊維間の隙間に入りやすくなり、連続炭素繊維と第1の熱可塑性樹脂の密着が十分行われて、界面接着強度が向上し、また、繊維強化複合材料の空隙(ボイド)が効果的に減少したためであると考えられる。
さらに、連続炭素繊維に第1の熱可塑性樹脂が被覆されていることから、MFRの小さい第2の熱可塑性樹脂の連続炭素繊維の間の隙間への移動距離が短くなり、単独では連続炭素繊維間の隙間に浸透しにくいMFRの小さい第2の熱可塑性樹脂を、実施例3のような短時間(5分)の熱プレスで連続炭素繊維間の隙間に浸透させることができ、また、一般に、MFRの小さい熱可塑性樹脂を用いた繊維強化複合材料はMFRの大きい熱可塑性樹脂よりも静強度が高くなるため、連続炭素繊維の間に浸透しているMFRの小さい第2の熱可塑性樹脂が繊維強化複合材料の静強度を向上させることができたためであると考えられる。
また、比較例2においては、熱可塑性樹脂シートとして用いたナイロン布(ナイロン6)のMFRは小さく、連続炭素繊維間の隙間にナイロン6を含浸させる際に、長時間必要となるため、熱プレス時間が短い(8.5分)場合、連続炭素繊維間の隙間にナイロン6が十分に含浸せず、結果として、曲げ強度が著しく低下したものと考えられる。
また、表2に示すように、実施例7〜10のいずれの繊維強化複合材料も、比較例3の繊維強化複合材料に比し、全吸収エネルギーが大きく、耐衝撃性が良好であることが判る。これは、実施例7〜10においては、連続炭素繊維の周辺にMFRの大きい第1の熱可塑性樹脂が存在するため、熱プレス処理により、MFRの大きい第1の熱可塑性樹脂が連続炭素繊維間の隙間に入りやすいため、連続炭素繊維と第1の熱可塑性樹脂の密着が十分行われ、界面接着強度が向上し、また繊維強化複合材料の空隙(ボイド)が効果的に減少させることができたためであると考えられる。
特に、実施例10における、第2の熱可塑性樹脂に対する第1の熱可塑性樹脂の体積割合(11%)は、実施例7〜9における体積割合(25〜72%)に比べて小さく、この実施例10における全吸収エネルギー(8.93J)は、実施例7〜9における全吸収エネルギー(10.62〜12.15J)に比べて小さいことから、繊維強化複合材料における第1の熱可塑性樹脂の体積が、第2の熱可塑性樹脂の全体の体積に対して25%以上72%以下であることが好ましいことが判る。
一方、比較例3においては、熱可塑性樹脂としてMFRの小さい(24g/10min)ナイロン6を用いていることから、全吸収エネルギーは低くなった。これは、熱可塑性樹脂のMFRが小さいことから、連続炭素繊維間の隙間に入りにくいため、連続炭素繊維と熱可塑性樹脂との界面接着強度が低く、また、繊維強化複合材料の空隙(ボイド)が存在するため、耐衝撃性が低下したものと考えられる。
以上説明したように、本発明は、連続強化繊維と熱可塑性樹脂からなる繊維強化複合材料に適している。
1 繊維強化複合材料
2 繊維強化材料
3 熱可塑性樹脂シート
4 連続強化繊維
5 第1の熱可塑性樹脂
6 第2の熱可塑性樹脂
7 繊維トウ
10 繊維強化複合材料
12 熱可塑性樹脂エマルジョン
20 繊維強化複合材料
30 製造装置
31 連続強化繊維引き揃え部
32 エマルジョン含浸槽
33 絞り部
34 熱処理部
35 冷却部
36 巻取部

Claims (9)

  1. 連続強化繊維と熱可塑性樹脂からなる繊維強化複合材料において、
    前記熱可塑性樹脂は、前記連続強化繊維を被覆する第1の熱可塑性樹脂と、該第1の熱可塑性樹脂とメルトフローレートが異なる第2の熱可塑性樹脂からなり、前記第1の熱可塑性樹脂のメルトフローレートが前記第2の熱可塑性樹脂のメルトフローレートよりも大きいことを特徴とする繊維強化複合材料。
  2. JIS K7210(温度:240℃、荷重:21.18N)に準拠して測定された前記第1の熱可塑性樹脂のメルトフローレートが500g/10min以上3000g/10min以下であることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材料。
  3. JIS K7210(温度:240℃、荷重:21.18N)に準拠して測定された前記第2の熱可塑性樹脂のメルトフローレートが1g/10min以上100g/10min以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の繊維強化複合材料。
  4. 前記繊維強化複合材料における前記第1の熱可塑性樹脂の体積が、前記第2の熱可塑性樹脂の全体の体積に対して5%以上80%以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の繊維強化複合材料。
  5. 前記第1の熱可塑性樹脂と前記第2の熱可塑性樹脂が、同一系統の樹脂であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の繊維強化複合材料。
  6. 前記第1及び前記第2の熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の繊維強化複合材料。
  7. 前記連続強化繊維が炭素繊維であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の繊維強化複合材料。
  8. 第1の熱可塑性樹脂を連続強化繊維間の隙間に含浸する工程と、
    前記第1の熱可塑性樹脂のメルトフローレートよりも小さいメルトフローレートを有する第2の熱可塑性樹脂を前記第1の熱可塑性樹脂を含浸した連続強化繊維間の隙間に含浸する工程と
    を少なくとも備えることを特徴とする繊維強化複合材料の製造方法。
  9. 前記第1の熱可塑性樹脂をエマルジョンの形態で前記連続強化繊維間の隙間に含浸させることを特徴とする請求項8に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
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