JP2014234427A - 繊維強化樹脂用繊維集合体、繊維強化樹脂シート及び繊維強化樹脂成形体 - Google Patents

繊維強化樹脂用繊維集合体、繊維強化樹脂シート及び繊維強化樹脂成形体 Download PDF

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一博 中瀬
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Abstract

【課題】天然植物繊維と熱可塑性合成繊維との一体性及び均一性が良い繊維強化樹脂用繊維集合体、並びに溶融した熱可塑性合成樹脂の天然植物繊維間への含浸性が良好であり、剛性が高く、成形性が良い繊維強化樹脂シート及び繊維強化樹脂成形体を提供する。【解決手段】天然植物繊維と熱可塑性合成繊維を含み、繊維強化樹脂にしたとき、前記天然植物繊維は補強繊維となり、前記熱可塑性合成繊維は溶融して前記天然植物繊維間に含浸してマトリックス樹脂となる繊維強化樹脂用繊維集合体であって、熱可塑性合成繊維は、酸変性繊維を含む繊維強化樹脂用繊維集合体。ウェブ,紡績糸、不織布、織物、編物等の各種に天然植物繊維と熱可塑性繊維を混綿した繊維強化樹脂用繊維集合体を用い、加熱加圧処理して、熱可塑性合成繊維を溶融して天然植物繊維間に含浸させ、マトリックス樹脂とする繊維強化樹脂シート、繊維強化樹脂成形体。【選択図】図1

Description

本発明は、天然植物繊維を含む繊維強化樹脂用繊維集合体、繊維強化樹脂シート及び繊維強化樹脂成形体に関する。
自動車、飛行機、車両などの内装にはプラスチックが使用され、金属に比較して軽量化されている。プラスチックだけでは強度が不足するため、プラスチックにガラスの短繊維(一定の長さにカットしたもの)を混入している。しかし廃棄したときに、焼却炉で燃焼させると、プラスチックは分解して二酸化炭素と水になるが、ガラスは溶融して固まり、焼却炉内部に付着する。これにより焼却炉の寿命が著しく低下するといった問題が懸念されている。ガラス繊維のような高い強度を持つ材料として、炭素繊維が知られているが、高価であり使用できる用途が制限される。
そこで、近年天然植物繊維による繊維強化熱可塑性樹脂成形体(FRTP)に対する社会的な関心が高まっている。これは、リサイクル可能であり、その中でマテリアルリサイクルとして繰り返し使用可能であること、サーマルリサイクルとして燃焼時に有毒ガスが発生しないこと、エネルギー問題による移動体の軽量化が可能であり、軽量化することで燃費を向上できること、天然植物繊維は光合成時に二酸化炭素をその内部に吸収し、燃焼しても排出されるのは二酸化炭素であるため、環境問題を起こさないことなどの利点がある。
補強繊維として天然植物繊維を用いた繊維強化樹脂(FRP)は、特許文献1〜2に提案されている。特許文献1には、麻繊維の短繊維を不織布、織物、編物に加工して繊維補強樹脂にすることが記載され、特許文献2には、ケナフ繊維の短繊維を不織布、織物に加工して繊維補強樹脂にすることが記載されている。
さらに本出願人は、特許文献3では麻などの天然植物繊維糸と合成樹脂フィルムとを溶融一体化した繊維強化樹脂成形体を提案し、特許文献4では麻などの天然植物繊維糸の周囲に合成樹脂繊維糸を被覆するように巻きつけたカバーリング糸を繊維強化樹脂成形体用複合糸にすることを提案した。
特開2004−143401号公報 特開2004−149930号公報 特開2007−138361号公報 特開2008−240193号公報
しかし、特許文献1〜2に記載の補強繊維として天然植物繊維を用いた繊維強化樹脂は、麻繊維やケナフ繊維の短繊維を用いて不織布、織物、編物に加工し、樹脂と溶融混合するか樹脂を含浸して繊維強化樹脂にするため、繊維間に樹脂が浸透しにくく、大掛かりな装置が必要であり、成形も容易でないという問題があった。特に、天然植物繊維は、ガラス繊維や炭素繊維に比べて分解温度が低く、マトリックス樹脂となる熱可塑性合成樹脂を浸透容易となる粘度にまで加熱することができず、浸透性の問題が非常に重要であった。
また、本出願人は、特許文献3に記載の発明においては合成樹脂フィルムを溶融させて天然植物繊維糸内に均一に含浸(浸透)させることが困難であり、特許文献4に記載の発明はカバーリング糸を製造するためのコストが高いうえ、多軸挿入たて編み物にする際に、カバーリングに使う合成樹脂繊維フィルムがピンテンターなどに引っ掛かりやすく、生産性低下の問題があることを見出した。
補強繊維である天然植物繊維間へのマトリックス樹脂となる熱可塑性合成樹脂の含浸性が悪いと、繊維強化樹脂の剛性が低下する恐れがある。
本発明は、上記問題を解決するため、天然植物繊維と熱可塑性合成繊維との一体性及び均一性が良い繊維強化樹脂用繊維集合体、並びに、溶融した熱可塑性合成樹脂の天然植物繊維間への含浸性が良好であり、剛性が高く、成形性が良い繊維強化樹脂シート及び繊維強化樹脂成形体を提供する。
本発明は、天然植物繊維と熱可塑性合成繊維を含み、繊維強化樹脂にしたとき、上記天然植物繊維は補強繊維となり、上記熱可塑性合成繊維は溶融して上記天然植物繊維間に含浸してマトリックス樹脂となる繊維強化樹脂用繊維集合体であって、上記熱可塑性合成繊維は、酸変性繊維を含むことを特徴とする繊維強化樹脂用繊維集合体に関する。
また、本発明は、上記の繊維強化樹脂用繊維集合体を、上記熱可塑性合成繊維の融点以上の温度にて加熱加圧処理した繊維強化樹脂シートであり、上記天然植物繊維は補強繊維となり、上記熱可塑性合成繊維は溶融して上記天然植物繊維間に含浸してマトリックス樹脂となっている繊維強化樹脂シートに関する。
また、本発明は、上記の繊維強化樹脂用繊維集合体を、上記熱可塑性合成繊維の融点以上の温度にて加熱加圧処理した繊維強化樹脂成形体であり、上記天然植物繊維は補強繊維となり、上記熱可塑性合成繊維は溶融して上記天然植物繊維間に含浸してマトリックス樹脂となっており、かつ所定の形状に成形されている繊維強化樹脂成形体に関する。
また、本発明は、上記の繊維強化樹脂シートを所定の形状に成形した繊維強化樹脂成形体に関する。
また、本発明は、上記の繊維強化樹脂シートを切断して得られ、少なくとも4つのカット面を有する六面体の繊維強化樹脂ペレットを含む樹脂材料を所定の形状に成形した繊維強化樹脂成形体に関する。
本発明の繊維強化樹脂用繊維集合体は、天然植物繊維と熱可塑性合成繊維を含み、繊維強化樹脂にしたとき、天然植物繊維は補強繊維となり、熱可塑性合成繊維は溶融してマトリックス樹脂となるため、溶融した熱可塑性合成樹脂が迅速かつ均一に天然植物繊維間に含浸し、天然植物繊維と熱可塑性合成樹脂の複合一体化が行われる。すなわち、本発明の繊維強化樹脂用繊維集合体において、天然植物繊維と熱可塑性合成繊維との一体性及び均一性が良いため、熱可塑性合成繊維が溶融した際に、天然植物繊維間に溶融した熱可塑性合成樹脂が含浸し易い。そして、熱可塑性合成繊維として酸変性繊維を含むことにより、酸変性繊維を含む熱可塑性合成繊維が溶融した際、溶融した熱可塑性合成樹脂と、天然植物繊維の界面接着性が高く、剛性が高い繊維強化樹脂が得られる。また、天然植物繊維と熱可塑性合成繊維とは均一混合されているため一体性が良く、取り扱い性も良く、生産性も向上できる。また、天然植物繊維を用いることから、廃棄の際の環境問題を解消することができる。
図1は、本発明の繊維強化樹脂用繊維集合体の一例の概念斜視図である。 図2A〜Dは、繊維強化樹脂シートを製造する方法を示す概念斜視図であ る。 図3は、繊維強化樹脂ペレットを製造する方法を示す概念斜視図である。 図4は、本発明の繊維強化樹脂用繊維集合体の一例である多軸挿入たて編み物の概念斜視図である。
(繊維強化樹脂用繊維集合体)
本発明の繊維強化樹脂用繊維集合体は、天然植物繊維と熱可塑性合成繊維を含み、繊維強化樹脂にしたとき、上記天然植物繊維は補強繊維となり、上記熱可塑性合成繊維は溶融してマトリックス樹脂となるため、天然植物繊維間に熱可塑性合成樹脂が含浸し易い。そして、上記熱可塑性合成繊維として酸変性繊維を含むため、繊維強化樹脂にしたとき、酸変性繊維を含む熱可塑性合成繊維が溶融して形成されたマトリックス樹脂と、天然植物繊維間の界面接着性が高く、剛性が高い繊維強化樹脂が得られる。本発明において、「剛性」とは、引張強度、引張弾性率、曲げ強度及び曲げ弾性率などの物性をいう。
本発明で使用できる天然植物繊維としては、特に限定されないが、例えば、木綿繊維、リネン、フラックス、ラミー、ケナフ及びジュートなどの麻繊維、竹繊維、カポックなどが挙げられる。木綿(コットン)は大量生産されており、均質なものを容易に入手できることから好ましい。リネン及びラミーなどの麻繊維も好ましい。麻繊維は力学的性質が優れているため、補強繊維(強化繊維)として適しているとともに、原料供給も安定しているからである。上記天然植物繊維は乾燥したものを用いることが好ましいが、乾燥せず平衡水分率を有する状態でも使用できる。平衡水分率を有する状態であれば、強度を高く維持できるからである。
本発明で使用できる熱可塑性合成繊維を構成する熱可塑性合成樹脂は、通常FRPのマトリックス樹脂として使用されている樹脂であって、かつ天然植物繊維の分解温度より低い融点を有する樹脂が好ましい。例えば、融点が90〜200℃である樹脂が好ましい。特に、例えば天然植物繊維として木綿又は麻繊維を使用する場合は、90〜200℃の融点を有する樹脂が好ましい。このような樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、共重合ポリエステル、共重合ポリアミド、ポリ塩化ビニル、共重合ポリアセタール、ポリ乳酸、ポリコハク酸ブチルなどがある。また、ポリオレフィンとしては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)及びプロピレン・エチレン共重合体などが挙げられる。
上記熱可塑性合成繊維としては、例えば、ポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維、共重合ポリエステル繊維、共重合ポリアミド繊維、ポリ塩化ビニル繊維、共重合ポリアセタール繊維、ポリ乳酸繊維、ポリコハク酸ブチル繊維などが挙げられる。また、ポリオレフィン繊維としては、例えば、ポリプロピレン(PP)繊維、ポリエチレン(PE)繊維、及びプロピレン・エチレン共重合体で構成された繊維などが挙げられる。本発明において、上記熱可塑性合成繊維は酸変性繊維を含む。酸変性繊維の詳細については、後述する。上記熱可塑性繊維は、単一繊維であっても良く、複合繊維であっても良い。複合繊維としては、例えば、芯鞘型複合繊維などが挙げられる。上記熱可塑性合成繊維は、単独又は2種以上を組み合わせて用いても良い。熱可塑性合成繊維の融点は、特に限定されないが、FRPにするとき、天然植物繊維を分解させず熱可塑性合成繊維を溶融させるという観点から、90〜200℃であることが好ましい。
上記酸変性繊維としては、酸変性された熱可塑性合成繊維であれば良く、特に限定されないが、天然植物繊維との接着性を高めるという観点から、酸変性されたポリオレフィン繊維であることが好ましく、カルボキシル基又はその誘導体(無水物基など)を有する化合物で酸変性されたポリオレフィン繊維であることがより好ましく、マレイン酸変性ポリオレフィン繊維及び無水マレイン酸変性ポリオレフィン繊維からなる群から選ばれる一種以上であることがさらに好ましく、マレイン酸変性ポリプロピレン繊維及び無水マレイン酸変性ポリプロピレン繊維からなる群から選ばれる一種以上であることが特に好ましい。上記酸変性繊維は、単一繊維であっても良く、複合繊維であっても良い。複合繊維としては、例えば、芯鞘型複合繊維などが挙げられる。芯鞘型複合繊維の場合、芯成分は未変性樹脂で構成し、鞘成分を酸変性樹脂で構成することが好ましい。例えば、芯成分は未変性ポリプロピレン樹脂で構成し、鞘成分は酸変性ポリプロピレン樹脂で構成した芯鞘型複合繊維を用いることができる。上記酸変性繊維は、単独又は2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記熱可塑性合成繊維は、均一分散性の観点から、酸変性繊維と、酸変性されていない熱可塑性合成繊維(以下において、通常の熱可塑性合成繊維と記す。)を組み合わせて用いることが好ましい。より好ましくは、上記熱可塑性合成繊維は、通常のポリオレフィン繊維と、酸変性ポリオレフィン繊維を含むことが好ましい。さらに好ましくは、通常のポリプロピレン繊維と、酸変性ポリプロピレン繊維を含むことが好ましい。
上記繊維強化樹脂用繊維集合体において、天然植物繊維と熱可塑性合成繊維の配合割合は、質量比で天然植物繊維:熱可塑性合成繊維=80:20〜20:80の範囲が好ましい。この範囲であれば、天然植物繊維と、熱可塑性合成繊維が溶融した熱可塑性合成樹脂の複合一体化を効率良く行える。
上記繊維強化樹脂用繊維集合体は、繊維強化樹脂用繊維集合体全体質量に対して酸変性繊維を0.5〜30質量%含むことが好ましく、より好ましくは1〜25質量%含み、さらに好ましくは2〜20質量%含む。酸変性繊維の含有量が上記範囲内であると、繊維強化樹脂にしたとき、引張強度、曲げ強度などの剛性が高いとともに、耐衝撃性も高い。また、加熱加圧処理時に金型などに付着することがなく生産性も良好である。
上記繊維強化樹脂用繊維集合体は、繊維強化樹脂用繊維集合体全体質量に対して酸成分を0.01〜0.60質量%含むことが好ましく、より好ましくは0.02〜0.50質量%含み、さらに好ましくは0.04〜0.40質量%含む。上記繊維強化樹脂用繊維集合体において、酸成分の含有量は、酸変性繊維の含有量と酸変性繊維中の酸含有量に基づいて算出することができる。酸成分の含有量が上記範囲内であると、繊維強化樹脂にしたとき、引張強度、曲げ強度などの剛性が高いとともに、耐衝撃性も高い。また、加熱加圧処理時に金型などに付着することがなく生産性も良好である。
上記繊維強化樹脂用繊維集合体の形態は特に限定されず、例えば、ウェブ、ラップ、スライバー、紡績糸、不織布、織物、編物、多軸挿入たて編み物、組物などのいずれの形態でも良い。種々の形態への展開が可能である点から、ラップ及びスライバーからなる群から選ばれる一種以上の形態であることが好ましい。また、スライバーとしては、特に限定されないが、均一性及び一体性が高い観点から、練条で混合した練条スライバーを用いることが好ましい。
上記繊維強化樹脂用繊維集合体において、天然植物繊維の好ましい繊維長は10〜400mmである。具体的には、木綿繊維は繊維長10〜50mmが好ましく、麻繊維(ラミー)は繊維長20〜300mmが好ましい。また、天然植物繊維の好ましい繊維径は10〜100μmである。木綿繊維の繊維径は10〜30μmが好ましく、麻繊維の繊維径は20〜100μmが好ましい。この範囲の繊維長及び繊維径であれば、FRP用補強繊維として取り扱いやすく、熱可塑性合成繊維との混繊や混綿などが容易となる。
上記熱可塑性合成繊維の繊度及び繊維長は、天然植物繊維とほぼ同一の範囲のものを使用するのが好ましい。特に、天然植物繊維及び熱可塑性合成樹脂の繊維長の差を±20mm程度の範囲内にするのが好ましい。天然植物繊維及び熱可塑性合成繊維の混繊や混綿などが容易となる。また、熱可塑性合成繊維は、単繊維の繊度が0.5〜10dtexであることが好ましく、より好ましくは1〜5dtexである。
ラップとしては、特に限定されないが、例えば、混打綿工程後の天然植物繊維と熱可塑性合成繊維とが混綿されたシート状のラップを用いることができる。スライバーとしては、特に限定されないが、天然植物繊維のスライバーと熱可塑性合成繊維のスライバーを複数本並べて用いることができる。また、天然植物繊維と熱可塑性合成繊維が混合されたスライバーを複数本並べて用いることもできる。上記繊維強化樹脂用繊維集合体としては、ウェブ、ラップ、スライバー、不織布、織物、編物、多軸挿入たて編み物などを互いに積層した積層体を用いても良い。
上記繊維強化樹脂用繊維集合体としては、例えば、複数のスライバーを並べたスライバーのシート状物を用いることができる。図1は、繊維強化樹脂用繊維集合体の一例の概念斜視図である。図1に示しているように、繊維強化樹脂用繊維集合体10は、天然植物繊維1のスライバーと、酸変性繊維を含む熱可塑性合成繊維2のスライバーを複数本並べたスライバーのシート状物である。例えば、多軸挿入たて編み物を用いることができる。図4は、多軸挿入たて編み物の概念斜視図である。図4に示しているように、多軸挿入たて編み物40では、複数の方向に各々配列された天然植物繊維と熱可塑性合成繊維の混紡糸21a〜21fが、編針26に掛けられたステッチング糸(縫製糸)27、28によって厚さ方向にステッチング(結束)され、一体化されている。
上記繊維強化樹脂用繊維集合体は、さらに、繊維強化樹脂に求められる物性や用途に応じて添加剤を含んでも良い。上記添加剤としては、例えば、難燃剤、顔料、安定剤、帯電防止剤、相溶化剤などが挙げられ、これらは必要に応じて単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(繊維強化樹脂シート)
本発明の繊維強化樹脂シートは、上記繊維強化樹脂用繊維集合体を上記熱可塑性合成繊維の融点以上の温度にて加熱加圧処理したシートであり、上記天然植物繊維は補強繊維となり、上記熱可塑性合成繊維は溶融して天然植物繊維間に含浸してマトリックス樹脂となっている。すなわち、本発明の繊維強化樹脂シートは、天然植物繊維と熱可塑性合成繊維を含むシートであり、上記熱可塑性合成繊維は酸変性繊維を含み、上記天然植物繊維は補強繊維となり、上記酸変性繊維を含む熱可塑性合成繊維は溶融して天然植物繊維間に含浸してマトリックス樹脂となっている。
上記繊維強化樹脂シートは、繊維強化樹脂シート全体質量に対して酸変性繊維を0.5〜30質量%含むことが好ましく、より好ましくは1〜25質量%含み、さらに好ましくは2〜20質量%含む。酸変性繊維の含有量が上記範囲内であると、繊維強化樹脂の引張強度、曲げ強度などの剛性が高い。
上記繊維強化樹脂シートは、繊維強化樹脂シート全体質量に対して酸成分を0.01〜0.60質量%含むことが好ましく、より好ましくは0.02〜0.50質量%含み、さらに好ましくは0.04〜0.40質量%含む。上記繊維強化樹脂シートにおいて、酸成分の含有量は、酸変性繊維の含有量と酸変性繊維中の酸含有量に基づいて算出することができる。酸成分の含有量が上記範囲内であると、繊維強化樹脂の引張強度、曲げ強度などの剛性が高い。
上記繊維強化樹脂用繊維集合体をシート化する加熱加圧処理は、特に限定されず、例えばホットスタンピング法、プリプレグ成形法、プレス成形法などの成形方法で行うことできる。
図2A〜2Dは、上記繊維強化樹脂用繊維集合体をシート化して繊維強化樹脂シートを製造する工程を示す概念斜視図である。まず、図2Aに示すように、下金型11上に、繊維強化樹脂用繊維集合体(スライバーのシート状物)10を配置し、その上に上金型12を配置する。次に、図2Bに示すように、繊維強化樹脂用繊維集合体10を、加熱プレス機に掛け、熱可塑性合成繊維の融点以上の温度にて加熱プレスした後、図2Cに示すように、冷却プレス機に移動して冷却プレスすることで、熱可塑性合成繊維を溶融させ、溶融した熱可塑性合成樹脂が天然植物繊維間に含浸して繊維強化樹脂用繊維集合体10が溶融一体化する。その後、図2Dに示すように、脱型して、繊維強化樹脂シート20を得る。なお、繊維強化樹脂シート20の厚さは、下金型11と上金型12の間にクリアランススペーサを配置することで調整することができる。プレス成形において、加熱プレスの温度は熱可塑性合成繊維を構成する樹脂の融点以上、かつ天然植物繊維の分解温度以下であることが好ましく、より好ましくは180〜240℃であり、さらに好ましくは190〜230℃である。特に、上記温度範囲であって、天然植物繊維間への溶融した熱可塑性合成樹脂の含浸性(浸透性)を考慮したうえで、なるべく高い温度で成形するのが好ましい。天然植物繊維として麻繊維を使用する場合は、成形温度として200℃程度を越えない温度が好ましい。なお、熱可塑性合成繊維を構成する樹脂の融点が120℃程度のように、麻繊維の分解温度に比べ低い温度の場合には、融点より0〜50℃程度高い温度で成形しても良い。また、加熱プレス時の成形圧力は0.1〜20MPaであり、成形時間は0.5〜30分であることが好ましく、成形圧力0.5〜8MPa、成形時間2〜15分であることがより好ましい。冷却プレス条件としては、特に限定されず、例えば、温度15〜80℃、成形圧力0.1〜20MPa、成形時間15〜600秒とすることができる。ここでは、バッチプレス方式で繊維強化樹脂用繊維集合体をシート化する方法について説明したが、ダブルベルトプレス方式で繊維強化樹脂用繊維集合体をシート化しても良い。
上記繊維強化樹脂シートは、剛性が高いという観点から、JIS K 7165(2008)又はJIS K 7162(1994)に準じた引張試験にて測定した引張弾性率が2GPa以上であることが好ましく、より好ましくは2.5GPa以上であり、引張強度が10MPa以上であることが好ましく、20MPa以上であることがより好ましい。また、剛性に優れるという観点から、上記繊維強化樹脂シートは、JIS K 7017(1999)又はJIS K 7171(2008)に準じた曲げ試験にて測定した曲げ弾性率が1.5GPa以上であることが好ましく、より好ましくは2GPa以上であり、曲げ強度が30MPa以上であることが好ましく、より好ましくは35MPa以上である。
上記繊維強化樹脂シートを切断して、少なくとも4つのカット面を有する六面体の繊維強化樹脂ペレットを得ることができる。すなわち、上記繊維強化樹脂ペレットは、天然植物繊維と熱可塑性合成繊維を含む繊維強化樹脂ペレットであり、上記熱可塑性合成繊維は酸変性繊維を含み、上記天然植物繊維は補強繊維となり、上記酸変性繊維を含む熱可塑性合成繊維は溶融して天然植物繊維間に含浸してマトリックス樹脂となっており、少なくとも4つのカット面を有する六面体である。
上記繊維強化樹脂シートを長さ方向と幅方向の両方向に切断すると、4つのカット面を有する六面体のペレットが得られる。図3A〜3Bは、繊維強化樹脂ペレットを製造する方法を示す概念斜視図である。図3A〜3Bに示しているように、繊維強化樹脂シート20を長さ方向と幅方向の両方向に切断して所定に大きさの繊維強化樹脂ペレット30にする。さらに、繊維強化樹脂シートを厚み方向にもスライスすることで、5つのカット面又は6つのカット面を有する六面体の繊維強化樹脂ペレットを得ることもできる。切断方法としては、繊維強化樹脂シートを所定の大きさに切断できれば良く、特に限定されない。また、上記繊維強化樹脂用繊維集合体を角形ペレタイザーなどで成形し、得られたシートを切断する方法でもペレットを得ることができる。
上記繊維強化樹脂ペレットのサイズは特に限定されず、目的及び用途に応じて適宜選択することができる。成形体の物性や成形時の作業性の観点から、上記繊維強化樹脂ペレットは、長さ1〜20mm、幅1〜20mm、厚み0.1〜10mmであり、より好ましくは、長さ1.5〜10mm、幅1.5〜10mm、厚み0.5〜8mmであることが好ましい。
上記繊維強化樹脂ペレットは、繊維強化樹脂ペレット全体質量に対して酸変性繊維を0.5〜30質量%含むことが好ましく、より好ましくは1〜25質量%含み、さらに好ましくは2〜20質量%含む。酸変性繊維の含有量が上記範囲内であると、繊維強化樹脂の引張強度、曲げ強度などの剛性が高い。
上記繊維強化樹脂ペレットは、繊維強化樹脂ペレット全体質量に対して酸成分を0.01〜0.60質量%含むことが好ましく、より好ましくは0.02〜0.50質量%含み、さらに好ましくは0.04〜0.40質量%含む。上記繊維強化樹脂ペレットにおいて、酸成分の含有量は、酸変性繊維の含有量と酸変性繊維中の酸含有量に基づいて算出することができる。酸成分の含有量が上記範囲内であると、繊維強化樹脂の引張強度、曲げ強度などの剛性が高い。
上記繊維強化樹脂ペレットは、射出成形、押出成形、ブロー成形などの成形原料として用いることにより複雑な形状に成形することが可能であり、成形性に優れる。
(繊維強化樹脂成形体)
本発明の繊維強化樹脂成形体は、上記繊維強化樹脂用繊維集合体を、上記熱可塑性合成繊維の融点以上の温度にて加熱加圧処理した繊維強化樹脂成形体であり、上記天然植物繊維は補強繊維となり、上記酸変性繊維を含む熱可塑性合成繊維は溶融して上記天然植物繊維間に含浸してマトリックス樹脂となっており、かつ所定の形状に成形されている。また、上記繊維強化樹脂ペレットを含む樹脂材料を、所定の形状に成形することで繊維強化樹脂成形体を得ることができる。或いは、上記繊維強化樹脂シートを所定の形状に成形することで繊維強化樹脂成形体を得ることもできる。
上記繊維強化樹脂用繊維集合体の加熱加圧処理は、特に限定されず、例えばホットスタンピング法、プリプレグ成形法、プレス成形法などの成形方法で行うことできる。具体的には、上述した上記繊維強化樹脂用繊維集合体をシート化する加熱加圧処理と同様の処理でも良い。加熱加圧処理とともに、所定の形状に成形しても良く、加熱加圧処理した後に、所定の形状に成形しても良い。
上記繊維強化樹脂成形体を成形する方法は、特に限定されず、射出成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形などのいずれの成形方法でも良い。
上記繊維強化樹脂ペレットを用いて繊維強化樹脂成形体を成形する場合は、賦形性や生産性の観点から、射出成形で成形することが好ましい。射出成形の条件としては、特に限定されず、繊維強化樹脂成形体の物性及び用途に応じて適宜設定することができる。補強効果の観点から、スクリュー温度(材料温度)は、天然植物繊維の分解温度以下であり、かつ熱可塑性合成繊維を構成する樹脂の融点以上であることが好ましく、より好ましくは180〜240℃であり、さらに好ましくは190〜230℃である。保持圧力は0〜100MPaであり、射出速度は10〜100mm/秒であり、射出圧力(一次圧力)は10〜200MPaであることが好ましく、より好ましくは、保持圧力は20〜80MPaであり、射出速度は20〜80mm/秒であり、射出圧力は60〜200MPaである。繊維強化樹脂成形体の剛性の観点から、上記樹脂材料全体質量に対して上記天然植物繊維の含有量は10質量%以上であることが好ましく、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは40質量%以上である。
上記繊維強化樹脂シートを用いて繊維強化樹脂成形体を成形する場合は、賦形性や生産性の観点から、プレス成形で成形することが好ましい。プレス成形において、加熱プレスの温度は熱可塑性合成繊維を構成する樹脂の融点以上、かつ天然植物繊維分解温度以下であることが好ましく、より好ましくは180〜240℃であり、さらに好ましくは190〜230℃である。特に、上記温度範囲であって、天然植物繊維間への溶融した熱可塑性合成樹脂の含浸性を考慮したうえで、なるべく高い温度で成形するのが好ましい。天然植物繊維として麻繊維を使用する場合は、成形温度として200℃程度を越えない温度が好ましい。なお、熱可塑性合成繊維を構成する樹脂の融点が120℃程度のように、麻繊維の分解温度に比べ低い温度の場合には、融点より0〜50℃程度高い温度で成形しても良い。また、加熱プレス時の成形圧力は0.1〜20MPaであり、成形時間は0.5〜30分であることが好ましく、成形圧力0.5〜8MPa、成形時間2〜15分であることがより好ましい。冷却プレス条件としては、特に限定されず、例えば、温度15〜80℃、成形圧力0.1〜20MPa、成形時間15〜600秒とすることができる。
上記繊維強化樹脂成形体は、繊維強化樹脂成形体全体質量に対して酸変性繊維を0.5〜30質量%含むことが好ましく、より好ましくは1〜25質量%含み、さらに好ましくは2〜20質量%含む。酸変性繊維の含有量が上記範囲内であると、繊維強化樹脂の引張強度、曲げ強度などの剛性が高い。
上記繊維強化樹脂成形体は、繊維強化樹脂成形体全体質量に対して酸成分を0.01〜0.60質量%含むことが好ましく、より好ましくは0.02〜0.50質量%含み、さらに好ましくは0.04〜0.40質量%含む。上記繊維強化樹脂成形体において、酸成分の含有量は、酸変性繊維の含有量と酸変性繊維中の酸含有量に基づいて算出することができる。酸成分の含有量が上記範囲内であると、繊維強化樹脂の引張強度、曲げ強度などの剛性が高い。
上記繊維強化樹脂成形体は、剛性が高いという観点から、JIS K 7162(1994)又はJIS K 7165(2008)に準じた引張試験にて測定した引張弾性率が2GPa以上であることが好ましく、より好ましくは2.5GPa以上であり、引張強度が10MPa以上であることが好ましく、20MPa以上であることがより好ましい。また、剛性に優れるという観点から、上記繊維強化樹脂成形体は、JIS K 7171(2008)又はJIS K 7017(1999)に準じた曲げ試験にて測定した曲げ弾性率が1.5GPa以上であることが好ましく、より好ましくは2GPa以上であり、曲げ強度が30MPa以上であることが好ましく、より好ましくは35MPa以上である。
以下実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<繊維集合体の作製>
天然植物繊維として木綿繊維(平均繊維径12μm、平均繊維長28mm)を使用し、熱可塑性合成繊維としてポリプロピレン繊維(単一繊維、単繊維繊度2.2dtex、平均繊維長38mm、融点175℃)と無水マレイン酸変性ポリプロピレン繊維(単一繊維、単繊維繊度2.2dtex、平均繊維長38mm、融点170℃、酸含有量2質量%)を使用した。まず、ポリプロピレン繊維(以下において、PP繊維とも記す。)と無水マレイン酸変性ポリプロピレン繊維(以下において、酸変性PP繊維とも記す。)を下記表1に示す配合割合で混綿してスライバーにした。得られた合成繊維のスライバー(太さ5.6g/m)と、木綿繊維のスライバー(太さ5.6g/m)を用い、3回練条を行うことで均一に混合し、得られた練条スライバー(太さ5.6g/m)72本を引き揃え、シート状物を得た。
<繊維強化樹脂シートの作製>
上記で得られたシート状物(繊維強化樹脂用繊維集合体)を、単動圧縮成形機(株式会社神藤金属工業所製、「NF−37型」、加熱/冷却二段式)でプレス成形し、繊維強化樹脂シート(長さ20cm、幅20cm、厚み2mm)を得た。加熱プレスは、常温にて繊維強化樹脂用繊維集合体を金型にセットし、1MPaの圧力を加えながら9分掛けて金型温度を200℃まで昇温させた後、1MPaの圧力で2分間行った。冷却プレスは、20℃、1MPaの圧力で5分間行った。得られた繊維強化樹脂シートにおいて、ポリプロピレン繊維と無水マレイン酸変性ポリプロピレン繊維は溶融して木綿繊維間に含浸してマトリックス樹脂となっていた。
<繊維強化樹脂ペレットの作製>
上記で得られた繊維強化樹脂シートをペレタイザー(株式会社三力製作所製、SGP−450型)を用いて長さ方向と幅方向の両方向にカットし、長さ3.5mm、幅3.5mm、厚さ2mmの六面体の繊維強化樹脂ペレットを作製した。
<繊維強化樹脂成形体の作製>
上記で得られた繊維強化樹脂ペレットを80℃で2時間乾燥した。乾燥後の繊維強化樹脂ペレットを射出成形機(東洋機械金属株式会社製、80t電動サーボ射出成形機、Si−80IV)にて射出成形して繊維強化樹脂成形体を作製した。成形条件は、スクリュー温度を200℃にし、冷却時間を30秒にし、保圧時間を10秒にし、保持圧力を50MPaにし、射出速度を30mm/秒にし、射出圧力(一次圧力)を180MPaにし、金型温度を40℃にした。なお、成形形状は、各引張試験(厚み3mm)及び曲げ試験(厚み5mm)の試験片形状であった。
(実施例2)
無水マレイン酸変性ポリプロピレン繊維の配合割合を表1に示した配合割合にした以外は、実施例1と同様にして、繊維強化樹脂用繊維集合体、繊維強化樹脂シート、繊維強化樹脂ペレット、繊維強化樹脂成形体を作製した。
(実施例3)
無水マレイン酸変性ポリプロピレン繊維の配合割合を表1に示した配合割合にした以外は、実施例1と同様にして、繊維強化樹脂用繊維集合体、繊維強化樹脂シート、繊維強化樹脂ペレット、繊維強化樹脂成形体を作製した。
(実施例4)
無水マレイン酸変性ポリプロピレン繊維として、芯鞘型複合繊維(芯:ポリプロピレン樹脂、鞘:酸変性ポリプロピレン樹脂、芯鞘複合比:50/50、酸含有量1質量%)を用い、無水マレイン酸変性ポリプロピレン繊維の配合割合を表1に示した配合割合にした以外は、実施例1と同様にして、繊維強化樹脂用繊維集合体、繊維強化樹脂シート、繊維強化樹脂ペレット、繊維強化樹脂成形体を作製した。
(実施例5)
無水マレイン酸変性ポリプロピレン繊維の配合割合を表1に示した配合割合にした以外は、実施例4と同様にして、繊維強化樹脂用繊維集合体、繊維強化樹脂シート、繊維強化樹脂ペレット、繊維強化樹脂成形体を作製した。
(実施例6)
無水マレイン酸変性ポリプロピレン繊維の配合割合を表1に示した配合割合にした以外は、実施例4と同様にして、繊維強化樹脂用繊維集合体、繊維強化樹脂シート、繊維強化樹脂ペレット、繊維強化樹脂成形体を作製した。
(比較例1)
熱可塑性合成繊維としてポリプロピレン繊維(単一繊維、単繊維繊度2.2dtex、平均繊維長38mm)のみを用い、木綿繊維との配合割合を表1に示した配合割合にした以外は、実施例1と同様にして、繊維強化樹脂用繊維集合体、繊維強化樹脂シート、繊維強化樹脂ペレット、繊維強化樹脂成形体を作製した。
(参考例1)
熱可塑性合成繊維としてポリプロピレン繊維(単一繊維、単繊維繊度2.2dtex、平均繊維長38mm)のみを用い、天然植物繊維との配合割合を表1に示した配合割合にした以外は、実施例1と同様にして、繊維強化樹脂用繊維集合体、繊維強化樹脂シート、繊維強化樹脂ペレットを作製した。
<繊維強化樹脂成形体の作製>
上記で得られた繊維強化樹脂ペレットを80℃で2時間乾燥した。乾燥後の繊維強化樹脂ペレットに、下記表1に示す配合割合で無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(東洋紡社製、商品名「TOYOTAC PMA−H1000P」、酸含有量5質量%)を混合した。得られた繊維強化樹脂ペレットと無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(以下において、酸変性PP樹脂とも記す。)の混合物を、射出成形機(東洋機械金属株式会社製、80t電動サーボ射出成形機、Si−80IV)にて射出成形して繊維強化樹脂成形体を作製した。成形条件は、スクリュー温度を200℃にし、冷却時間を30秒にし、保圧時間を10秒にし、保持圧力を50MPaにし、射出速度を30mm/秒にし、射出圧力(一次圧力)を180MPaにし、金型温度を40℃にした。なお、成形形状は、各引張試験及び曲げ試験(厚み5mm)の試験片形状であった。
(参考例2)
<繊維集合体の作製>
天然植物繊維として木綿繊維(平均繊維径12μm、平均繊維長28mm)を使用し、熱可塑性合成繊維としてポリプロピレン繊維(単一繊維、単繊維繊度2.2dtex、平均繊維長38mm、融点175℃)を使用した。ポリプロピレン繊維のスライバー(太さ5.6g/m)と、木綿繊維のスライバー(太さ5.6g/m)を用い、3回練条を行うことで均一に混合し、得られた練条スライバー(太さ5.6g/m)72本を引き揃え、そこへ下記表1に示す配合割合で無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(東洋紡社製、商品名「TOYOTAC PMA−H1000P」、酸含有量5質量%)を混合し、シート状物を得た。
<繊維強化樹脂シートの作製>
上記で得られたシート状物(繊維強化樹脂用繊維集合体)を、単動圧縮成形機(株式会社神藤金属工業所製、「NF−37型」、加熱/冷却二段式)でプレス成形し、繊維強化樹脂シート(長さ20cm、幅20cm、厚み2mm)を得た。加熱プレスは、常温にて繊維強化樹脂用繊維集合体を金型にセットし9分掛けて金型温度を200℃まで昇温させた後、1MPaの圧力で2分間行った。冷却プレスは、20℃、1MPaの圧力で5分間行った。
実施例1〜6、比較例1及び参考例1で得られた繊維強化樹脂成形体の比重を下記のように測定し、その結果を下記表2に示した。また、実施例1〜6、比較例1及び参考例1で得られた繊維強化樹脂成形体の引張弾性率、引張強度、曲げ弾性率、曲げ強度を下記のように測定し、その結果を下記表2に示した。
(比重)
JIS K 7112(1999)に従って測定した。
(引張試験1)
JIS K 7162(1994)に準じて引張試験を行い、引張弾性率及び引張強度を測定した。試験片としては、ダンベル形(A形試験片)を用い、つかみ具間距離100mm、試験速度1m/minとした。
(曲げ試験1)
JIS K 7171(2008)に準じて曲げ試験を行い、曲げ弾性率及び曲げ強度を測定した。試験片としては、長さ125mm、幅12.6mm、厚み5mmの短冊形試験片を用い、支点間距離80mm、試験速度1mm/minとした。
Figure 2014234427
Figure 2014234427
表2の結果から明らかなように、熱可塑性合成繊維として酸変性繊維を含む実施例の繊維強化樹脂用繊維集合体を用いて成形した繊維強化樹脂成形体は、熱可塑性合成繊維として酸変性繊維を含まない比較例1の繊維強化樹脂用繊維集合体を用いた繊維強化樹脂成形体に比べて、引張弾性率、引張強度、曲げ弾性率、曲げ強度が高く、剛性及び耐衝撃性に優れるものであった。また、酸変性繊維の含有量が5質量%以上であると、引張弾性率、引張強度、曲げ弾性率、曲げ強度がより高く、より剛性が高いことが分かった。なお、熱可塑性合成繊維として酸変性繊維を含む実施例の繊維強化樹脂用繊維集合体を用いて成形した繊維強化樹脂成形体は、酸変性樹脂を用いた参考例1の繊維強化樹脂成形体とほぼ同等の剛性を示した。熱可塑性合成繊維として酸変性繊維を含む実施例の繊維強化樹脂用繊維集合体を用いて成形した繊維強化樹脂成形体は、製造工程で酸変性樹脂を添加する必要がなく、作業性に優れる。
実施例1、実施例5、比較例1及び参考例2で得られた繊維強化樹脂シートの比重を下記のように測定し、その結果を下記表3に示した。また、実施例1、実施例5、比較例1及び参考例2で得られた繊維強化樹脂シートの引張弾性率、引張強度、曲げ弾性率、曲げ強度を下記のように測定し、その結果を下記表3に示した。
(比重)
JIS K 7112(1999)に従って測定した。
(引張試験2)
JIS K 7165(2008)に準じて引張試験を行い、引張弾性率及び引張強度を測定した。試験片としては、長さ200mm、幅20mm、厚み2mmの短冊形試験片を用い、つかみ具間距離100mm、試験速度1m/minとした。
(曲げ試験2)
JIS K 7017(1999)に準じて曲げ試験を行い、曲げ弾性率及び曲げ強度を測定した。試験片としては、長さ50mm、幅25mm、厚み2mmの短冊形試験片を用い、支点間距離32mm、試験速度1mm/minとした。
Figure 2014234427
表3の結果から明らかなように、熱可塑性合成繊維として酸変性繊維を含む実施例の繊維強化樹脂用繊維集合体を用いてプレス成形した繊維強化樹脂シートは、熱可塑性合成繊維として酸変性繊維を含まない比較例1の繊維強化樹脂用繊維集合体を用いた繊維強化樹脂シートに比べて、引張弾性率、引張強度、曲げ弾性率、曲げ強度が高く、剛性及び耐衝撃性に優れるものであった。なお、熱可塑性合成繊維として酸変性繊維を含む実施例の繊維強化樹脂用繊維集合体を用いてプレス成形した繊維強化樹脂シートは、酸変性樹脂を用いた参考例2の繊維強化樹脂シートに比べて、引張弾性率、引張強度、曲げ弾性率、曲げ強度が高く、剛性及び耐衝撃性に優れるものであった。熱可塑性合成繊維として酸変性繊維を含む実施例の繊維強化樹脂用繊維集合体を用いてプレス成形した繊維強化樹脂シートは、製造工程で酸変性樹脂を添加する必要がなく、作業性に優れる。
1 天然植物繊維
2 熱可塑性合成繊維
10 繊維強化樹脂用繊維集合体
11 下金型
12 上金型
20 繊維強化樹脂シート
21a〜21f 天然植物繊維と熱可塑性合成繊維の混繊糸
26 編針
27、28 ステッチング糸
30 繊維強化樹脂ペレット
40 多軸挿入たて編み物

Claims (7)

  1. 天然植物繊維と熱可塑性合成繊維を含み、繊維強化樹脂にしたとき、前記天然植物繊維は補強繊維となり、前記熱可塑性合成繊維は溶融して前記天然植物繊維間に含浸してマトリックス樹脂となる繊維強化樹脂用繊維集合体であって、
    前記熱可塑性合成繊維は、酸変性繊維を含むことを特徴とする繊維強化樹脂用繊維集合体。
  2. 前記酸変性繊維の含有量は、前記繊維強化樹脂用繊維集合体全体質量に対して2〜30質量%である請求項1に記載の繊維強化樹脂用繊維集合体。
  3. 前記酸変性繊維は、マレイン酸変性ポリオレフィン繊維及び無水マレイン酸変性ポリオレフィン繊維からなる群から選ばれる一種以上である請求項1又は2に記載の繊維強化樹脂用繊維集合体。
  4. 前記酸変性繊維は、単一繊維及び/又は芯鞘型複合繊維である請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂用繊維集合体。
  5. 前記熱可塑性合成繊維は、酸変性繊維に加えて他の熱可塑性合成繊維を含み、前記他の熱可塑性合成繊維は、ポリオレフィン繊維である請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂用繊維集合体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂用繊維集合体を、前記熱可塑性合成繊維の融点以上の温度にて加熱加圧処理した繊維強化樹脂シートであり、
    前記天然植物繊維は補強繊維となり、前記酸変性繊維を含む熱可塑性合成繊維は溶融して前記天然植物繊維間に含浸してマトリックス樹脂となっている繊維強化樹脂シート。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂用繊維集合体を、前記熱可塑性合成繊維の融点以上の温度にて加熱加圧処理した繊維強化樹脂成形体であり、
    前記天然植物繊維は補強繊維となり、前記酸変性繊維を含む熱可塑性合成繊維は溶融して前記天然植物繊維間に含浸してマトリックス樹脂となっており、かつ所定の形状に成形されている繊維強化樹脂成形体。
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