JP5911755B2 - 繊維強化樹脂ペレットの製造方法及び繊維強化樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

繊維強化樹脂ペレットの製造方法及び繊維強化樹脂成形体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5911755B2
JP5911755B2 JP2012121808A JP2012121808A JP5911755B2 JP 5911755 B2 JP5911755 B2 JP 5911755B2 JP 2012121808 A JP2012121808 A JP 2012121808A JP 2012121808 A JP2012121808 A JP 2012121808A JP 5911755 B2 JP5911755 B2 JP 5911755B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
reinforced resin
fiber reinforced
natural plant
thermoplastic synthetic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012121808A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013245328A (ja
Inventor
一博 中瀬
一博 中瀬
宮外 清貴
清貴 宮外
和也 楠
和也 楠
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kurashiki Spinning Co Ltd
Original Assignee
Kurashiki Spinning Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kurashiki Spinning Co Ltd filed Critical Kurashiki Spinning Co Ltd
Priority to JP2012121808A priority Critical patent/JP5911755B2/ja
Publication of JP2013245328A publication Critical patent/JP2013245328A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5911755B2 publication Critical patent/JP5911755B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)

Description

本発明は、天然植物繊維を含む繊維強化樹脂ペレット、その製造方法及び繊維強化樹脂成形体
に関する。
自動車、飛行機、車両等の内装にはプラスチックが使用され、金属に比較して軽量化されている。プラスチックだけでは強度が不足するため、プラスチックにガラスの短繊維(一定の長さにカットしたもの)を混入している。しかし廃棄したときに、焼却炉で燃焼させると、プラスチックは分解してCO2と水になるが、ガラスは溶融して固まり、焼却炉内部に付着する。これにより焼却炉の寿命が著しく低下するといった問題が懸念されている。ガラス繊維のような高い強度を持つ材料として、炭素繊維が知られているが、高価であり使用できる用途が制限される。
そこで、近年天然植物繊維による繊維強化熱可塑性樹脂成形体(FRTP)に対する社会的に関心が高まっている。これは、リサイクル可能であり、その中でマテリアルリサイクルとして繰り返し使用可能であること、サーマルリサイクルとして燃焼時に有毒ガスが発生しないこと、エネルギー問題による移動体の軽量化が可能であり、軽量化することで燃費を向上できること、天然植物繊維は光合成時に二酸化炭素をその内部に吸収し、燃焼させても排出される二酸化炭素は元と変わらないことから、環境問題を起こさないこと等の利点がある。
補強繊維に天然植物繊維を用いた繊維強化樹脂は、特許文献1〜2に提案されている。特許文献1には、麻繊維の短繊維を不織布、織物、編物に加工して繊維補強樹脂にすることが記載され、特許文献2には、ケナフ繊維の短繊維を不織布、織物に加工して繊維補強樹脂にすることが記載されている。
さらに本出願人は、特許文献3では麻等の天然植物繊維糸と合成樹脂フィルムとを溶融一体化した繊維強化樹脂成形体を提案し、特許文献4では麻等の天然植物繊維糸の周囲に合成樹脂繊維糸を被覆するように巻きつけたカバーリング糸を繊維強化樹脂成形体用複合糸にすることを提案した。
しかし、特許文献1〜2に記載の発明は、麻繊維やケナフ繊維の短繊維を用いて不織布、織物、編物に加工し、樹脂と溶融混合するか含浸して繊維強化樹脂(FRP)にするため、繊維内部に樹脂が浸透しにくく、大掛かりな装置が必要であり、成形も容易でないという問題があった。特に、天然植物繊維は、ガラス繊維や炭素繊維に比べて分解温度が低く、マトリックス樹脂となる熱可塑性樹脂を浸透容易となる粘度にまで加熱することができず、浸透性の問題が非常に重要であった。
また、本出願人は、特許文献3に記載の発明においては合成樹脂フィルムを溶融させて天然植物繊維糸内に均一に含浸させることが困難であり、特許文献4に記載の発明はカバーリング糸を製造するためのコストが高いうえ、多軸挿入たて編み物にする際に、カバーリングに使う合成樹脂フィルムがピンテンター等に引っ掛かりやすく、生産性低下の問題があることを見出している。
特開2004−143401号公報 特開2004−149930号公報 特開2007−138361号公報 特開2008−240193号公報
本発明は、上記問題を解決するため、天然植物繊維と熱可塑性合成繊維との一体性がよく、成形性が良好な繊維強化樹脂ペレット、その製造方法及び繊維強化樹脂成形体を提供する。
本発明の繊維強化樹脂ペレットの製造方法は補強繊維とマトリックス樹脂を含む繊維強化樹脂ペレットの製造方法であって、上記補強繊維は木綿又は麻繊維からなる天然植物繊維であり、上記マトリックス樹脂は熱可塑性合成繊維が溶融したものであり、天然植物繊維と熱可塑性合成繊維を含む繊維集合体を、上記熱可塑性合成繊維を構成する樹脂の融点以上かつ上記天然植物繊維の分解温度以下の温度にてプレス成形して、天然植物繊維が補強繊維となり、熱可塑性合成繊維が溶融してマトリックス樹脂となる繊維強化樹脂シートとし、上記繊維強化樹脂シートを長さ方向と幅方向の両方向に切断することにより、少なくとも4つのカット面を有する六面体の繊維強化樹脂ペレットとすることを特徴とする繊維強化樹脂ペレットの製造方法。
本発明の繊維強化樹脂成形体の製造方法は、上記の繊維強化樹脂ペレットの製造方法で得られた繊維強化樹脂ペレットを含む樹脂材料を所定の形状に成形することを特徴とする。
本発明は、天然植物繊維と熱可塑性合成繊維を含む繊維強化樹脂ペレットにおいて、天然植物繊維を補強繊維とし、溶融した熱可塑性合成繊維をマトリックス樹脂とし、少なくとも4つのカット面を有する六面体のペレットにすることにより、天然植物繊維と熱可塑性合成繊維との一体性がよく、成形性が良好な繊維強化樹脂ペレット及びそれを用いた繊維強化樹脂成形体を提供することができる。特に、本発明の繊維強化樹脂ペレットは、射出成形、押出成形、ブロー成形等の成形原料として用いることができ、複雑な形状に成形することが可能であり、成形性に優れる。また、天然植物繊維を用いることから、廃棄の際の環境問題を解消することができる。また、本発明は、剛性及び耐衝撃性に優れる繊維強化樹脂成形体を提供することができる。
図1A〜Cは、繊維強化樹脂ペレットを製造する方法を示す概念斜視図である。 図2A〜Dは、繊維強化樹脂シートを製造する方法を示す概念斜視図である。 図3は、多軸挿入たて編み物の概念斜視図である。
本発明の繊維強化樹脂ペレットにおいて、天然植物繊維は補強繊維であり、熱可塑性合成繊維は溶融してマトリックス樹脂となっているため、天然植物繊維と熱可塑性合成繊維との一体性がよい繊維強化樹脂ペレットが得られる。
本発明で使用できる天然植物繊維としては、特に限定されないが、例えば木綿繊維、リネン、フラックス、ラミー、ケナフ及びジュート等の麻繊維、竹繊維、カポック等が挙げられる。木綿(コットン)は大量生産されており、均質なものを容易に入手できることから好ましい。リネン又はラミー等の麻繊維も好ましい。麻繊維は力学的性質が優れているため強化繊維として適しているとともに、原料供給も安定しているからである。上記麻繊維は乾燥したものを用いることが好ましいが、乾燥しないで平衡水分率を有する状態でも使用できる。平衡水分率であれば、強度を高く維持できるからである。
本発明で使用できる熱可塑性合成繊維を構成する樹脂は、通常FRPのマトリックス樹脂として使用されている樹脂であって、かつ天然植物繊維の分解温度より低い融点を有する樹脂が好ましい。例えば、融点が90〜200℃である樹脂が好ましい。特に、例えば天然植物繊維として木綿(コットン)又は麻繊維を使用する場合は、90〜200℃の融点を有する樹脂が好ましい。このような樹脂としては、例えばポリオレフィン、ポリアミド、共重合ポリエステル、共重合ポリアミド、ポリ塩化ビニル、共重合ポリアセタール、ポリ乳酸、ポリコハク酸ブチル等がある。また、ポリオレフィンとしては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)及びこれらの共重合体が挙げられる。
本発明の繊維強化樹脂ペレットにおける天然植物繊維と熱可塑性合成繊維の配合割合は、質量比で天然植物繊維:熱可塑性合成繊維=80:20〜20:80の範囲が好ましい。この範囲であれば、天然植物繊維と、熱可塑性合成繊維が溶融した樹脂の複合一体化を効率よく行える。
本発明の繊維強化樹脂ペレットは、六面体であり、少なくとも4つのカット面を有する。上記繊維強化樹脂ペレットは、5つのカット面を有してもよく、六面体の全ての面がカット面であってもよい。このような繊維強化樹脂ペレットを成形原料として用いると、複雑な形状の繊維強化樹脂成形体に成形することが可能であり、成形性に優れる。上記繊維強化樹脂ペレットのサイズは特に限定されず、目的及び用途に応じて適宜選択することができる。成形体の物性や成形時の作業性の観点から、上記繊維強化樹脂ペレットは、長さ1〜20mm、幅1〜20mm、厚み0.1〜10mmであり、より好ましくは、長さ1.5〜10mm、幅1.5〜10mm、厚み0.5〜8mmであることが好ましく、さらに好ましくは立方体である。
以下、図面等を用いて本発明の繊維強化樹脂ペレットの製造方法について説明する。
上記繊維強化樹脂ペレットは、特に限定されないが、天然植物繊維と熱可塑性合成繊維を含む繊維集合体をシート化し、このシートを長さ方向と幅方向の両方向に切断することで得ることが好ましい。
図1A〜1Cは、繊維強化樹脂ペレットを製造する方法を示す概念斜視図である。図1A〜図1Cに示しているように、まず、繊維集合体1をシート化して繊維強樹脂シート2にする。次に、繊維強化樹脂シート2を長さ方向と幅方向の両方向に切断して所定に大きさの繊維強化樹脂ペレット3にする。
(1)繊維集合体
上記繊維集合体としては、天然植物繊維と熱可塑性合成繊維を含んでいればよく特に限定されず、例えば、ラップ、スライバー、不織布、織物、編物等のいずれの形態のものを用いてもよい。コストが低いという観点から、ラップ及び/又はスライバー形態の繊維集合体を用いることがより好ましい。
上記繊維集合体において、天然植物繊維と熱可塑性合成繊維の配合割合は、質量比で天然植物繊維:熱可塑性合成繊維=80:20〜20:80の範囲が好ましい。この範囲であれば、天然植物繊維と、熱可塑性合成繊維が溶融した樹脂の複合一体化を効率よく行える。
天然植物繊維の好ましい繊維長は10〜400mmである。具体的には、木綿繊維(コットン)は繊維長10〜50mmが好ましく、麻繊維(ラミー)は繊維長20〜300mmが好ましい。また、天然植物繊維の好ましい繊維径は10〜100μmである。木綿繊維(コットン)の繊維径は10〜30μmが好ましく、麻繊維(ラミー)の繊維径は20〜100μmが好ましい。この範囲の繊維長及び繊維径であれば、FRP用繊維として取り扱いやすく、熱可塑性合成繊維との混繊や混綿等が容易となる。
熱可塑性合成繊維の繊度及び繊維長は、天然植物繊維とほぼ同一の範囲のものを使用するのが好ましい。特に、天然繊維及び熱可塑性合成樹脂の繊維長の差を±20mm程度の範囲内にするのが好ましい。天然繊維及び熱可塑性合成樹脂の混繊や混綿等が容易となる。また、熱可塑性合成繊維は、単繊維の繊度が0.5〜10dtexであることが好ましく、より好ましくは1〜5dtexである。
ラップとしては、特に限定されないが、例えば、混打綿工程後の天然植物繊維と熱可塑性合成繊維とが混綿されたシート状のラップを用いることができる。スライバーとしては、特に限定されないが、例えば天然植物繊維のスライバーと熱可塑性合成繊維のスライバーを複数本一方向に並行に並べて用いることができる。また、天然植物繊維と熱可塑性合成繊維が混合されたスライバーを複数本並べて用いることもできる。なお、天然植物繊維と熱可塑性合成繊維が混合されたスライバーは、それぞれのスライバーを練条工程等で混合することにより得ることができる。
上記繊維集合体としては、ラップ、スライバー、不織布、織物、編物などを互いに積層した積層体を用いてもよい。例えば、上記繊維集合体としては、多軸挿入たて編み物を用いることができる。図3は、多軸挿入たて編み物の概念斜視図である。図3に示しているように、多軸挿入たて編み物20では、複数の方向に各々配列された天然植物繊維と熱可塑性合成繊維の混紡糸21a〜21fが、編針26に掛けられたステッチング糸(縫製糸)27、28によって厚さ方向にステッチング(結束)され、一体化されている。
上記繊維集合体は、さらに、繊維強化樹脂形成体に求められる物性や用途に応じて添加剤を含んでもよい。上記添加剤としては、例えば難燃剤、顔料、安定剤、帯電防止剤、相溶化剤等が挙げられ、必要に応じて単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(2)シート化
繊維集合体のシート化は、従来の公知の成形方法で行うことができ、例えばホットスタンピング法、プリプレグ成形法、プレス成形法等が挙げられる。
図2A〜Dは、繊維集合体をシート化して繊維強化樹脂シートを製造する工程を示す概念斜視図である。まず、図2Aに示すように、下金型11上に、繊維集合体1をシート状に配置し、その上に上金型12を配置する。次に、図2Bに示すように、繊維集合体1のシート状物を、加熱プレス機に掛け、熱可塑性合成繊維の融点以上の温度にて加熱プレスした後、図2Cに示すように、冷却プレス機に移動して冷却プレスすることで、熱可塑性合成繊維を溶融させて繊維集合体1を溶融一体化する。その後、図2Dに示すように、脱型して、繊維強化樹脂シート2を得る。なお、繊維強化樹脂シート2の厚さは、下金型11と上金型12の間にクリアランススペーサを配置することで調整することができる。プレス成形において、加熱プレスの温度は熱可塑性合成繊維を構成する樹脂の融点以上、かつ天然植物繊維分解温度以下であることが好ましく、より好ましくは180〜240℃であり、さらに好ましくは190〜230℃である。特に、上記温度範囲であって、天然植物繊維中への熱可塑性合成繊維を構成する樹脂の含浸性を考慮したうえで、なるべく高い温度で成形するのが好ましい。天然植物繊維として麻繊維を使用する場合は、成型温度として200℃程度を越えない温度が好ましい。なお、熱可塑性合成繊維を構成する樹脂の融点が120℃程度のように、麻繊維の分解温度に比べ低い温度の場合には、融点温度より0℃〜50℃程度高い温度で成形してもよい。また、加熱プレス時の成形圧力は0.1〜20MPaであり、成形時間は0.5〜30分であることが好ましく、成形圧力0.5〜8MPa、成形時間2〜15分であることがより好ましい。冷却プレス条件としては、特に限定されず、例えば、温度15〜80℃、成形圧力0.1〜20MPa、成形時間15〜600秒とすることができる。ここでは、バッチプレス方式で繊維集合体をシート化する方法について説明したが、ダブルベルトプレス方式で繊維集合体をシート化してもよい。
(3)ペレット化
上記で得られた繊維強化樹脂シートを長さ方向と幅方向の両方向に切断することで、少なくとも4つのカット面を有する六面体の繊維強化樹脂ペレットが得られる。さらに、繊維強化樹脂シートを厚み方向にもスライスすることで、5つのカット面又は6つのカット面を有する六面体の繊維強化樹脂ペレットを得ることができる。切断方法としては、繊維強化樹脂シートを所定の大きさに切断できればよく、特に限定されない。また、角形ペレタイザー等で成型し、得られたシートを切断する方法でもペレットを得ることができる。
上記繊維強化樹脂ペレットは、射出成形、押出成形、ブロー成形等の成形原料として用いることにより複雑な形状に成形することが可能であり、成形性に優れる。
上記繊維強化樹脂ペレットを含む樹脂材料を、所定の形状に成形することで繊維強化樹脂成形体を得る。繊維強化樹脂成形体の剛性と耐衝撃性の観点から、上記樹脂材料100質量%に対して上記天然植物繊維の含有量は10質量%以上であることが好ましく、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは40質量%以上である。
上記繊維強化樹脂成形体を成形する方法は、特に限定されず、射出成形、押出成形、ブロー成形などのいずれの成形方法でもよい。賦形性や生産性の観点から、射出成形で成形することが好ましい。射出成形の条件としては、特に限定されず、繊維強化樹脂成形体の物性及び用途に応じて適宜設定することができる。補強効果の観点から、スクリュー温度(材料温度)は、天然植物繊維の分解温度以下であり、かつ熱可塑性合成繊維を構成する樹脂の融点以上であることが好ましく、より好ましくは180〜240℃であり、さらに好ましくは190〜230℃である。保持圧力は 0〜100MPaであり、射出速度は10〜100mm/秒であり、射出圧力(一次圧力)は 10〜200MPaであることが好ましく、より好ましくは、保持圧力は20〜80MPaであり、射出速度は20〜80mm/秒であり、射出圧力(一次圧力)は60〜200MPaである。
上記繊維強化樹脂成形体は、剛性に優れるという観点から、JIS K 7162(1994)に準じた引張試験にて測定した引張弾性率が2GPa以上であることが好ましく、より好ましくは2.5GPa以上であり、引張強さが10MPa以上であることが好ましく、20MPa以上であることがより好ましい。また、剛性に優れるという観点から、上記繊維強化樹脂成形体は、JIS K 7171(2004)に準じた曲げ試験にて測定した曲げ弾性率が1.5GPa以上であることが好ましく、より好ましくは2GPa以上であり、曲げ強さが30MPa以上であることが好ましく、より好ましくは35MPa以上である。また、耐衝撃性に優れるという観点から、上記繊維強化樹脂成形体は、ASTM D 256に従ったシャルピー衝撃試験にて測定したシャルピー衝撃強さが、好ましくは3kJ/m2以上であり、より好ましくは5kJ/m2以上である。
以下実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<シート化>
天然植物繊維として木綿繊維(平均繊維径12μm、平均繊維長28mm)を使用し、熱可塑性合成繊維としてポリプロピレン繊維(ダイワボウポリテック社製、商品名「PN−17038」、単繊維繊度1.7dtex,平均繊維長38mm)を使用した。まず、木綿繊維のスライバー(太さ4.7g/m)43本と、ポリプロピレン繊維のスライバー(太さ4.7g/m)43本を引き揃え、長さ20cm、幅20cmの集合体を得た。得られた集合体を、単動圧縮成形機(株式会社神藤金属工業所製、「NF−37型」、加熱/冷却二段式)でプレス成形し、長さ20cm、幅20cm、厚み2mmの繊維強化樹脂シートを得た。加熱プレスは、常温にて集合体を金型にセットし9分掛けて金型温度を200℃まで昇温させた後、1MPaで2分間行った。冷却プレスは、20℃、1MPaで5分間行った。
<ペレット化>
上記で得られた繊維強化樹脂シートをペレタイザー(株式会社三力製作所製、SGP−450型)を用いて長さ方向と幅方向の両方向にカットし、長さ3.5mm、幅3.5mm、厚さ2mmの六面体の繊維強化樹脂ペレットを得た。
<成形体の作製>
上記で得られた繊維強化樹脂ペレットを80℃で2時間乾燥した。乾燥後の繊維強化樹脂ペレットを射出成形機(東洋機械金属株式会社製、80t電動サーボ射出成形機、Si−80IV)にて射出成形して繊維強化樹脂成形体を作製した。成形条件は、スクリュー温度をホッパ下から順番に200℃、200℃、200℃、200℃、200℃にし、冷却時間を30秒にし、保圧時間を10秒にし、保持圧力を50MPaにし、射出速度を30mm/秒にし、射出圧力(一次圧力)を180MPaにし、金型温度を40℃にした。なお、成型形状は、各引張試験及び曲げ試験(厚み5mm)の試験片形状である。
(実施例2)
実施例1で使用した木綿スライバー及びポリプロピレン繊維スライバーを用いて、練条を1回行い、太さ4.7g/mに調整された混合スライバーを得た後、当該スライバーを86本並べ、実施例1と同様にして繊維強化樹脂ペレット及び繊維強化樹脂成形体を作製した。
(実施例3)
実施例1で使用した木綿スライバー及びポリプロピレン繊維スライバーを用いて、練条を2回行い、太さ4.7g/mに調整された混合スライバーを得た後、当該スライバーを86本並べ、実施例1と同様にして繊維強化樹脂ペレット及び繊維強化樹脂成形体を作製した。
(実施例4)
実施例1で使用した木綿スライバー及びポリプロピレン繊維スライバーを用いて、練条を3回行い、太さ4.7g/mに調整された混合スライバーを得た後、当該スライバーを86本並べ、実施例1と同様にして繊維強化樹脂ペレット及び繊維強化樹脂成形体を作製した。
(実施例5)
<シート化>
84dtexの綿PP混紡糸(綿50質量%、PP50質量%)を、挿入角度が90℃、挿入本数が48本/インチ、目付が159.0g/m2になるように一層配列した。また、その上に、84dtexの綿PP混紡糸(綿50質量%、PP50質量%)を、挿入角度が30℃、挿入本数が15本/インチ、目付が159.0g/m2になるようにもう一層配列した。さらに、その上に、84dtexの綿PP混紡糸(綿50質量%、PP50質量%)を、挿入角度が−30℃、挿入本数が15本/インチ、目付が159.0g/m2になるようにもう一層配列した。最後に、8.3dtexのポリエステル糸を縫製糸として、挿入本数250本/インチで厚さ方向にステッチング(結束)し、一体化して、目付が483.8g/m2の多軸挿入たて編み物を得た。
上記で得られた多軸挿入たて編み物を4枚積層して用いた以外は、実施例1と同様にして繊維強化樹脂ペレット及び繊維強化樹脂成形体を作製した。
(実施例6)
実施例1で使用した木綿スライバー及びポリプロピレン繊維スライバーを用いて、練条を3回行い、太さ5.6g/mに調整された混合スライバーを得た後、当該スライバーを72本並べ、実施例1と同様にして繊維強化樹脂ペレット及び繊維強化樹脂成形体を作製した。
(実施例7)
実施例6と同様にして繊維強化樹脂ペレットを作製した。得られた繊維強化樹脂ペレットを80℃で2時間乾燥した後、繊維強化樹脂ペレットと射出成形用ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテック」、MA1B、MFR21g/10分)を、質量比が80:20になるように混合した樹脂材料を用いた以外は、実施例6と同様にして繊維強化樹脂成形体を作製した。
(実施例8)
繊維強化樹脂ペレットと射出成形用ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテック」、MA1B、MFR21g/10分)を、質量比が60:40になるように混合した樹脂材料を用いた以外は、実施例7と同様にして繊維強化樹脂成形体を作製した。
(実施例9)
繊維強化樹脂ペレットと射出成形用ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテック」、MA1B、MFR21g/10分)を、質量比が40:60になるように混合した樹脂材料を用いた以外は、実施例7と同様にして繊維強化樹脂成形体を作製した。
(実施例10)
繊維強化樹脂ペレットと射出成形用ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテック」、MA1B、MFR21g/10分)を、質量比が20:80になるように混合した樹脂材料を用いた以外は、実施例7と同様にして繊維強化樹脂成形体を作製した。
(比較例1)
射出成形用ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテック」、MA1B、MFR21g/10分)を用いた以外は、実施例1と同様にして維強化樹脂成形体を作製した。
実施例1〜6で得られた繊維強化樹脂ペレットと実施例及び比較例で用いた射出成形用ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテック」、MA1B、MFR21g/10分)の比重を下記のように測定し、その結果を下記表1に示した。また、実施例1〜10で得られた繊維強化樹脂成形体及び比較例1で得られた繊維強化樹脂成形体の引張弾性率、引張強さ、曲げ弾性率、曲げ強さ及びシャルピー衝撃強さを下記のように測定し、その結果を下記表1に示した。
(比重)
JISK7112に従って測定した。
(引張試験)
JIS K 7162(1994)に準じて引張試験を行い、引張弾性率及び引張強さを測定した。試験片としては、ダンベル形(A形試験片)を用い、つかみ具間距離100mm、試験速度1m/minとした。
(曲げ試験)
JIS K 7171(2004)に準じて曲げ試験を行い、曲げ弾性率及び曲げ強さを測定した。試験片としては、長さ125mm、幅12.6mm、厚み5mmの短冊形試験片を用い、支点間距離80mm、試験速度1mm/minとした。
(シャルピー衝撃試験)
ASTM D 256に従ってシャルピー衝撃試験(ノッチ有り)を行い、シャルピー衝撃強さを測定した。試験片としては、曲げ試験と同様の短冊形試験片を用い、衝撃速度は3.47m/sとした。
Figure 0005911755
表1から明らかなように、実施例の繊維強化樹脂ペレットを用いて成形した繊維強化樹脂成形体は、引張弾性率、引張強さ、曲げ弾性率、曲げ強さ、シャルピー衝撃強さが高く、剛性及び耐衝撃性に優れるものであった。また、実施例の繊維強化樹脂ペレットは、取り扱い性がよく、成形性が良好であることも確認できた。
1 繊維集合体
2 繊維強化樹脂シート
3 繊維強化樹脂ペレット
11 下金型
12 上金型
20 多軸挿入たて編み物
21a〜21f 天然植物繊維と熱可塑性合成繊維の混繊糸
26 編針
27、28 ステッチング糸

Claims (4)

  1. 補強繊維とマトリックス樹脂を含む繊維強化樹脂ペレットの製造方法であって、
    前記補強繊維は木綿又は麻繊維からなる天然植物繊維であり、前記マトリックス樹脂は熱可塑性合成繊維が溶融したものであり、
    天然植物繊維と熱可塑性合成繊維を含む繊維集合体を、前記熱可塑性合成繊維を構成する樹脂の融点以上かつ前記天然植物繊維の分解温度以下の温度にてプレス成形して、天然植物繊維が補強繊維となり、熱可塑性合成繊維が溶融してマトリックス樹脂となる繊維強化樹脂シートとし、
    前記繊維強化樹脂シートを長さ方向と幅方向の両方向に切断することにより、少なくとも4つのカット面を有する六面体の繊維強化樹脂ペレットとすることを特徴とする繊維強化樹脂ペレットの製造方法。
  2. 前記天然植物繊維と前記熱可塑性合成繊維の配合割合は、質量比で、天然植物繊維:熱可塑性合成繊維=80:20〜20:80の範囲である請求項1に記載の繊維強化樹脂ペレットの製造方法
  3. 前記繊維集合体は、ラップ、スライバー、不織布、織物及び編物からなる群から選ばれる一種以上である請求項に記載の繊維強化樹脂ペレットの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂ペレットの製造方法で得られた繊維強化樹脂ペレットを含む樹脂材料を所定の形状に成形することを特徴とする繊維強化樹脂成形体の製造方法
JP2012121808A 2012-05-29 2012-05-29 繊維強化樹脂ペレットの製造方法及び繊維強化樹脂成形体の製造方法 Active JP5911755B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012121808A JP5911755B2 (ja) 2012-05-29 2012-05-29 繊維強化樹脂ペレットの製造方法及び繊維強化樹脂成形体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012121808A JP5911755B2 (ja) 2012-05-29 2012-05-29 繊維強化樹脂ペレットの製造方法及び繊維強化樹脂成形体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013245328A JP2013245328A (ja) 2013-12-09
JP5911755B2 true JP5911755B2 (ja) 2016-04-27

Family

ID=49845360

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012121808A Active JP5911755B2 (ja) 2012-05-29 2012-05-29 繊維強化樹脂ペレットの製造方法及び繊維強化樹脂成形体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5911755B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8734127B2 (en) 2007-09-19 2014-05-27 Komatsu Ltd. Hydraulic pump-motor and method of preventing pulsation of hydraulic pump-motor

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
IN2014DN08021A (ja) * 2012-02-29 2015-05-01 Bridgestone Corp
KR101775202B1 (ko) 2014-06-02 2017-09-20 (주)엘지하우시스 친환경 복합재 및 이의 제조방법
JP7450877B2 (ja) * 2020-03-11 2024-03-18 倉敷紡績株式会社 繊維強化成形体
JP7420641B2 (ja) * 2020-05-15 2024-01-23 倉敷紡績株式会社 成形体
IT202100019670A1 (it) * 2021-07-23 2023-01-23 Arianna Fibers Srl Processo per la produzione di concentrati di fibre naturali e/o sintetiche e/o artificiali in matrici polimeriche in forma di granuli
WO2023074842A1 (ja) * 2021-10-29 2023-05-04 王子ホールディングス株式会社 パルプ繊維含有樹脂ペレットの製造方法および成形体の製造方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS48102160A (ja) * 1972-04-07 1973-12-22
JPS5828307A (ja) * 1981-08-12 1983-02-19 Asahi Fiber Glass Co Ltd Frtp成型用ペレツトの製造方法
JPH06106601A (ja) * 1992-09-24 1994-04-19 Bando Chem Ind Ltd 短繊維混入エラストマーの押出方法及び押出装置
JP2002144329A (ja) * 2000-11-16 2002-05-21 Araco Corp 天然繊維を混合した合成樹脂ペレット、その製造方法およびその製造装置
JP5556091B2 (ja) * 2009-09-04 2014-07-23 住友化学株式会社 ペレットの製造方法
JP5780968B2 (ja) * 2009-11-17 2015-09-16 倉敷紡績株式会社 繊維強化樹脂用紡績糸と中間体及びこれを用いた繊維強化樹脂成形体
DE102010008349A1 (de) * 2010-02-17 2011-08-18 Thüringisches Institut für Textil- und Kunststoff-Forschung e.V., 07407 Verfahren zur Herstellung von Pellets aus Faserverbundwerkstoffen

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8734127B2 (en) 2007-09-19 2014-05-27 Komatsu Ltd. Hydraulic pump-motor and method of preventing pulsation of hydraulic pump-motor

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013245328A (ja) 2013-12-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5911755B2 (ja) 繊維強化樹脂ペレットの製造方法及び繊維強化樹脂成形体の製造方法
JP5780968B2 (ja) 繊維強化樹脂用紡績糸と中間体及びこれを用いた繊維強化樹脂成形体
JP5658176B2 (ja) 繊維強化樹脂用シート及びこれを用いた繊維強化樹脂成形体
JP4748717B2 (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂成形体
US5316834A (en) Fiber-reinforced thermoplastic sheet
WO2009131149A1 (ja) 繊維強化樹脂用複合糸と中間体及びこれを用いた繊維強化樹脂成形体
US11084187B2 (en) Fiber-reinforced composite material molded article and method for manufacturing same
JP2015515553A (ja) 平面状複合材料
JP2020100156A (ja) 積層基材およびその製造方法並びに炭素繊維強化樹脂基材
JP4810481B2 (ja) 繊維強化樹脂用複合糸と中間体及びこれを用いた繊維強化樹脂成形体
JP6801321B2 (ja) リブ成形用積層基材
JP2014234427A (ja) 繊維強化樹脂用繊維集合体、繊維強化樹脂シート及び繊維強化樹脂成形体
CN111497414A (zh) 一种生物可降解的箱包壳体的制作工艺
JP5789933B2 (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂シートの圧縮成形方法
JP2006001035A (ja) ポリプロピレン系樹脂積層成形材及びその積層体
JP2017095662A (ja) プリプレグシート
JP2013091252A (ja) 炭素繊維強化樹脂成形品及びその製造方法
JP6730572B6 (ja) 難燃性複合成形用基材、ならびに難燃性複合成形体およびその製造方法
Wellekötter et al. Recycling of composites–A new approach minimizes downgrading
JP2013049750A (ja) 有機繊維ランダムマット及びこれを用いた繊維複合材料
JP6783882B2 (ja) 繊維強化樹脂成型体の製造方法
CN212555296U (zh) 一种箱包壳体用复合板材
JP6783883B2 (ja) 繊維強化樹脂成型体を得るための素板
JP2016188452A (ja) 熱成型品用不織布
JP6550644B2 (ja) 複合成形用基材、ならびに複合成形体およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141205

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151014

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151022

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151218

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160324

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160330

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5911755

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250