JP6550644B2 - 複合成形用基材、ならびに複合成形体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、再生セルロース繊維で強化され、マトリックス成分が熱可塑性樹脂である繊維強化複合成形体の製造に用いられる基材、ならびに再生セルロース繊維で強化され、マトリックス成分が熱可塑性樹脂である複合成形体およびその製造方法に関する。
炭素繊維またはガラス繊維等を強化繊維として含み、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂をマトリックス成分とする複合成形体は、優れた機械的物性を有し、軽量であることから、種々の用途において広く用いられている。また、他の系の複合成形体として、強化繊維がセルロース系繊維であり、マトリックス成分が熱可塑性樹脂である複合成形体もまた、提案されている。セルロース系繊維/熱可塑性樹脂の複合成形体は、炭素繊維(またはガラス繊維)/熱硬化性樹脂複合成形体と比較して、機械的物性は劣るものの、1)マトリックス成分が熱可塑性樹脂であるため、生産時間を短くできる、2)強化繊維が天然由来であるため、これを含む製品は環境により配慮した製品として提案できる、といった利点を有する。
セルロース系繊維/熱可塑性樹脂の複合成形体として、例えば、特許文献1には、1種又は2種以上のセルロース系繊維及び1種又は2種以上の熱可塑性樹脂繊維を構成素材とする布を少なくとも一層又は二層以上積層して、熱可塑性樹脂繊維中の少なくとも1種の熱可塑性樹脂繊維のガラス転移温度又は溶融温度以上の温度で成形してなる複合成形体であって、所定の線膨張係数を有する複合成形体が提案されている。特許文献2には、平均径が5〜20μmであり、数加重平均長が200〜800μmであるセルロース系人工繊維を、熱可塑性ポリマー中に分配させて複合材料を作製することが記載されている。
特開2014−95049号公報 特表2013−503980号公報
環境保護に対する関心が高まっているために、複合成形体についても環境により配慮した製品が求められている。本発明は、強化繊維だけでなく、マトリックス成分をも環境に配慮した材料から成るものとすることによって、環境により配慮した製品として提案できる複合成形体を得ることを目的としてなされたものである。
本発明は一つの要旨において、再生セルロース繊維および熱可塑性樹脂を含む複合成形用基材であって、前記熱可塑性樹脂として、ポリカーボネートおよびポリ乳酸を少なくとも含む、複合成形用基材を提供する。
本発明は別の要旨において、再生セルロース繊維が強化繊維として含まれ、熱可塑性樹脂がマトリックスとして含まれる複合成形体であって、前記熱可塑性樹脂として、ポリカーボネートおよびポリ乳酸を少なくとも含む、複合成形体を提供する。
本発明はさらに別の要旨において、
再生セルロース繊維、ならびに熱可塑性樹脂としてポリカーボネートおよびポリ乳酸を少なくとも含む複合成形用基材を作製すること、および
前記複合成形用基材を、ポリカーボネートおよびポリ乳酸の少なくとも一部が溶融または軟化する温度にて加熱すること
を含む、複合成形体の製造方法を提供する。
本発明の複合成形用基材は、植物由来の原料から製造可能な再生セルロース繊維を強化繊維として含むだけでなく、植物由来の原料から製造可能なポリ乳酸をマトリックス成分となる熱可塑性樹脂の一部として含む。そのため、本発明の複合成形用基材は全体に占める植物由来原料の割合がより高く、環境により配慮した製品として提供可能な複合成形体を与え得る。また、本発明の複合成形用基材は、ポリカーボネートを含むところ、ポリカーボネートはポリ乳酸との親和性が高く、またそれ自体機械的強度が大きいので、ポリ乳酸と組み合わされたときに、複合成形体の機械的強度を良好に確保する。さらに、ポリカーボネートとポリ乳酸は、再生セルース系繊維との親和性が高く、そのこともまた複合成形体の機械的強度の向上に寄与する。したがって、当該基材から得られる複合成形体は種々の製品に提供できる。
(本発明に至った経緯)
上記のとおり、環境により配慮した複合成形体を提供するには、強化繊維のみならず、マトリックス成分にも植物等の生物に由来する原料(バイオマス原料)を用いることが望ましい。ポリ乳酸は、バイオマスから製造される樹脂として広く知られ、これを用いた製品も既に市販されている。そこで、本発明者らは、マトリックス成分の少なくとも一部をポリ乳酸とすることによって、複合成形体に占めるバイオマス原料の割合を高くすることを検討した。
ポリ乳酸は、汎用されている石油系プラスチックに比べて機械的強度が小さいために、これを用いる場合には、複合成形体の機械的強度がある程度低下することは避けられない。本発明者らは、鋭意検討した結果、ポリ乳酸をポリカーボネートと組み合わせてマトリックス成分として用いる場合には、強度の低下が比較的抑制され、複合成形体として実用可能なものが得られることを見出した。また、ポリ乳酸およびポリカーボネートはいずれも繊維化可能な熱可塑性樹脂であるから、これらの樹脂を含む繊維と再生セルロース繊維とを用いれば、複合成形体を作製するための中間材料的なシートを作製することができる。さらに、本発明者らは、そのようなシートによれば、ポリ乳酸とポリカーボネートの熱的挙動の違いを利用して、マトリックスが部分的に繊維形状を有する形態の複合成形体が容易に得られることを見出した。以下に本発明者らが得た知見を説明する。
以下において、本発明の複合成形用基材および複合成形体を構成する、補強用繊維および熱可塑性樹脂等を説明する。ここで、「複合成形用基材」とは、複合成形体を製造する原料となるものであり、熱および圧力を加えることにより、その機械的物性および/または形状が変化して、複合成形体を与えるものを指す。複合成形用基材として、例えば、再生セルロース繊維と熱可塑性樹脂繊維とを含んでなる繊維シート、および再生セルロース繊維が熱可塑性樹脂中に内在されたペレット等が挙げられる。
(再生セルロース繊維)
本発明の複合成形用基材および複合成形体においては、補強用繊維として再生セルロース繊維が含まれる。再生セルロース繊維は、天然のセルロースを化学薬品で処理して溶解したのち、繊維の形に成形する方法で得られる繊維を指す。再生セルロース繊維は、バイオマス原料から製造されるものであり、かつ一定の繊度および繊維長を有するものとして得ることが容易であるから、好ましく用いられる。具体的には、ビスコースレーヨン、ポリノジック、銅アンモニアレーヨン(商品名「キュプラ」で販売されているものを含む)、アセテート、溶剤紡糸セルロース繊維(商品名「テンセル」および「リヨセル」で販売されているものを含む)等が、再生セルロース繊維として挙げられる。ビスコースレーヨンは、入手が容易であることに加えて、繊維の周面に細かい襞状の凹凸を有し、熱可塑性樹脂との接触面積が大きく、熱可塑性樹脂との間で高い界面強度を示しやすいことから、本発明において好ましく用いられる。尤も、複合成形体の機械的特性(引張強度および曲げ強度等)は、補強用繊維の単繊維強度が大きいほど、より向上する傾向にあるので、補強効果の点からは、ポリノジックおよび溶剤紡糸セルロース繊維も好ましく用いられる。
本発明で用いる再生セルロース繊維の繊度は特に限定されず、例えば、0.1dtex以上20dtex以下であってよく、好ましくは0.5dtex以上、10dtex以下の繊度を有し、より好ましくは0.6dtex〜8dtexの繊度を有する。強化繊維の繊度が小さいほど、同じ質量の繊維が複合成形体に含まれているときに、より多くの強化繊維が複合成形体に存在する、すなわち複合成形体に含まれる強化繊維の本数がより多くなり、補強効果がより大きくなる。しかしながら、繊度が0.1dtex未満である再生セルロース繊維を得ることは難しい。また、そのように細い再生セルロース繊維は取り扱いにくいので、熱可塑性樹脂繊維とともに繊維シートを作製することを含む方法で複合成形体を製造する場合、複合成形体の生産効率が低下する。本発明では、異なる繊度の二種類以上の再生セルロース繊維を使用してよい。
本発明で用いる再生セルロース繊維の繊維長もまた特に限定されない。例えば、繊維長は1mm以上であってよい。複合成形体には、複数の異なる繊維長の再生セルロース繊維が意図的にまたは不可避的に含まれてよい。一つの態様において、再生セルロース繊維はすべて実質的に同一の繊維長を有する。有限長の再生セルロース繊維は、紡糸後、切断機によって同一の繊維長となるように切断する方法で製造されるので、所定繊維長を有するものとして市販されている再生セルロース繊維を用いる場合には、同一の繊維長の繊維を複合成形体に存在させることができる。
強化繊維は、その繊維長が長いほど、良好な補強効果を発揮する。したがって、再生セルロース繊維の繊維長が短すぎると(例えば、1mm未満であると)、十分な補強効果を得られにくい。特に繊維長が1mm未満の繊維は粉体状であるため、熱可塑性樹脂繊維とともに繊維シートを作製することを含む方法で複合成形体を製造する場合、繊維シートから再生セルロース繊維が脱落する等の不都合が生じることがある。
強化繊維と熱可塑性樹脂繊維とから、複合成形用基材としての繊維シートを作製することを含む方法で複合成形体を製造する場合、再生セルロース繊維の繊維長は、作製する繊維シートの形態によって異なる。例えば、カードウェブを作製して不織布の形態の繊維シートを作製する場合、再生セルロース繊維の繊維長は、好ましくは20mm〜70mm、より好ましくは25mm〜52mmである。エアレイウェブまたは湿式抄紙ウェブを作製して不織布の形態の繊維シートを作製する場合、再生セルロース繊維の繊維長は、好ましくは3mm〜25mm、より好ましくは5mm〜20mmである。あるいは、繊維シートは、有限長の繊維を用いて構成されたものでなくてよく、例えば、スパンボンド不織布のような長繊維不織布、またはフィラメント糸の織物もしくは編物等であってよい。
複合成形用基材をペレットの形態で提供する場合、ペレット中には、例えば、1mm〜3mmの繊維長を有する再生セルロース繊維が不規則に分散していてよい。あるいは、ペレットが、溶融状態の熱可塑性樹脂を束状の強化繊維に含浸させ、樹脂を固化させて棒状物を得た後、所定の長さに切断する方法で製造される場合、当該ペレットにおいて、再生セルロース繊維はペレットの長さ方向に配向され、ペレットの長さ(通常1mm以上、例えば2mm〜15mm)に等しい繊維長を有することとなる。
再生セルロース繊維は、内部に繊維の長手方向に沿って延びる空洞を有する、中空繊維の形態であってよい。再生セルロース繊維が中空繊維であると、最終的に得られる複合成形体において気泡部が存在することとなり、複合成形体の断熱性および吸音性を向上させることができる。
再生セルロース繊維は、その繊維断面形状が扁平化されていて、テープのような外観を有するものであってよい。断面形状が扁平であると、再生セルロース繊維と熱可塑性樹脂(マトリックス)との間の界面強度が高くなる傾向にあり、複合成形体の機械的特性をより向上させ得る。
再生セルロース繊維には、必要に応じてセルロース以外の成分、例えば、難燃剤、紫外線吸収剤、炭、顔料、消臭剤、抗菌剤、ゼオライト等の鉱物等から選択される1または複数の添加剤が含まれていてよい。添加剤の種類によっては、再生セルロース繊維に含まれる添加剤が複合成形体に所定の機能を付与する、または複合成形体の機能を向上させることがある。例えば、難燃剤を添加した再生セルロース繊維を用いると、複合成形体の難燃性を向上させることができる。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂は、複合成形体においてマトリックスとなるものである。熱可塑性樹脂は、加熱により溶融または軟化し、その状態で所望の形状に加工することが可能で、加工後は冷却することにより固化する。熱可塑性樹脂が溶融または軟化してから固化するまでの時間は、熱硬化性樹脂の固化に要する時間(その流動性が一旦高くなった後、硬化するまでの時間)よりも短い。また、熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂とは異なり、一旦成形した後も、熱を加えることによって再成形することが可能である。そのため、熱可塑性樹脂をマトリックスとすることにより、高い生産効率で複合成形体を製造することができ、また、加工性に優れた複合成形体を得ることができる。
本発明の複合成形用基材、および本発明の複合成形体は、熱可塑性樹脂として、少なくともポリ乳酸およびポリカーボネートを含む。
ポリ乳酸は植物由来の原料から製造できることが知られている。ポリ乳酸は、例えば、ジャガイモ、トウモロコシ、およびサトウキビ等を原料として製造できる。また、ポリ乳酸は、その原料によらず、一般に生分解性を有する。したがって、ポリ乳酸の使用は、再生セルロース繊維が植物由来のものであることと相俟って、本発明の複合成形用基材、および本発明の複合成形体を環境により配慮した製品として提供することを可能にする。
ポリ乳酸は、公知のものであってよい。例えば、ポリ乳酸は、L−乳酸単位からなるL体、D―乳酸単位からなるD体、L体およびD体が混合されて形成されたポリ乳酸ステレオコンプレックスを含む混合物、またはこの混合物を固相重合してなるポリ乳酸ブロック共重合体であってよい。
あるいは、本発明において、ポリ乳酸は、例えば、L−乳酸および/またはD−乳酸を原料とする、L−ラクチドおよび/またはD−ラクチドと、これらと共重合可能なオキシ酸、ラクトン、ジカルボン酸、または多価アルコール(例えば、カプロラクトンまたはグリコール酸)とを共重合させることにより得られる共重合体であってよい。
ポリ乳酸の分子量および分子量分布は、特に限定されないが、重量平均分子量は10000以上、好ましくは50000以上である。特に、ポリ乳酸を繊維化して、複合成形用基材を得る場合には、繊維化に適した重量平均分子量のものを選択することが望ましい。あるいは、ポリ乳酸は、例えば、B型粘度計で測定した値RV値が2.4〜3.8であるものであってよい。
ポリカーボネートは、ポリ乳酸の低い機械的強度を補うために用いられる。ポリカーボネートは、特にポリ乳酸の機械的強度の補償に適している。これは、ポリカーボネートに含まれるカーボネート結合と、ポリ乳酸に含まれるエステル結合との類似性によるものと推察されるが、これにより本発明が限定されるものではない。
ポリカーボネートは、例えば、数平均分子量が19000以下、好ましくは12500〜15000であり、分岐化度が0.1モル%〜0.8モル%の範囲内であるポリカーボネートであってよい。そのようなポリカーボネートは、繊維化に適したものであり、後述する複合成形用シート基材を作製するのに適している。
ポリカーボネートは、植物由来の原料から製造されるもの(バイオポリカーボネートと呼ばれることもある)であってよい。そのようなポリカーボネートを用いれば、複合成形体全体を植物由来の原料から構成することが可能となり、本発明の複合成形用基材および本発明の複合成形体を環境にさらに配慮した製品として提供することができる。
ポリ乳酸とポリカーボネートは、好ましくは、質量比で80:20〜20:80、より好ましくは70:30〜30:70となるように、複合成形用基材および複合成形体に含まれる。この範囲の割合で両者が組み合わされると、ある程度高い機械的強度を確保しつつ、環境に配慮した製品として、複合成形体を提供することが可能となる。
複合成形用基材および複合成形体には、ポリ乳酸およびポリカーボネート以外の熱可塑性樹脂(便宜的に「第三の樹脂」とも呼ぶ)が含まれていてよい。第三の樹脂として、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリブチレンサクシネートなどのポリエステル樹脂;低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、および超高分子量ポリエチレンなど、通常のチーグラ・ナッタ触媒やメタロセン触媒を使用して重合されるポリエチレン、通常のチーグラ・ナッタ触媒やメタロセン触媒を使用して重合されるアイソタクチック、アタクチック、およびシンジオタクチックなどのポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン−1、エチレン−ビニルアルコール共重合体、およびエチレン−プロピレン共重合体などの各種ポリオレフィン;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、およびナイロン12などのポリアミド;ポリアセタール、ポリスチレン、および環状ポリオレフィンなどのエンジニアリング・プラスチック;ならびにポリエーテルイミド、およびポリイミドなどのスーパーエンジニアリング・プラスチックなどが挙げられる。第三の樹脂は、上記において列挙した樹脂が酸等で変性されたものであってよく、あるいは共重合樹脂であってよい。
第三の樹脂は、植物由来の原料から製造できるものであってよい。例えば、サトウキビから製造した、バイオポリエチレンと呼ばれるポリエチレン、およびバイオポリプロピレンと呼ばれるポリプロピレンも提案されている。そのような植物由来の原料から製造される樹脂の使用は、複合成形体をさらに環境に配慮したものとして提供することを可能にする。
第三の樹脂を使用する場合、それが複合成形用基材および複合成形体の熱可塑性樹脂に含まれる割合は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。第三の樹脂の占める割合が多すぎると、ポリ乳酸の占める割合および/またはポリカーボネートの占める割合が少なくなり、ポリ乳酸の使用による環境への配慮という訴求効果が低下することがあり、あるいは十分な機械的強度を確保できないことがある。
熱可塑性樹脂は、それがマトリックスとして強化繊維を固定する前には、どのような形態であってもよい。したがって、熱可塑性樹脂は、例えば、繊維形態であったもの、またはペレットまたは粉体の形態であったものが、溶融または軟化してから固化して、複合成形体のマトリックスを構成していてよい。
熱可塑性樹脂には、必要に応じて、難燃剤、顔料、親水化剤、抗菌剤、防黴剤、充填剤、研磨剤、および滑剤等から選択される1または複数の添加剤が含まれていてよい。添加剤を含む場合、その割合は、添加剤と熱可塑性樹脂とを合わせた質量の30%以下であることが好ましい。再生セルロース繊維の添加剤と同様、樹脂に添加される添加剤もまた、複合成形体に所定の機能を付与することができ、あるいは複合成形体の機能を向上させることができる。
(熱可塑性樹脂繊維)
本発明の複合成形用基材は、熱可塑性樹脂を繊維の形態で含む繊維シート(以下、「複合成形用シート基材」または「シート基材」とも呼ぶ)の形態で提供することができる。シート基材を構成する熱可塑性樹脂繊維は、後述するとおり、シート基材の形態に応じて選択された繊度および繊維長を有する。熱可塑性樹脂繊維の繊度が小さいほど、これを溶融または軟化させたときに、熱可塑性樹脂が再生セルロース間に浸透しやすい。一方、繊度が小さい繊維は取り扱い性が悪く、紡績糸または不織布の製造効率を低下させることがある。したがって、熱可塑性樹脂繊維の繊度は、再生セルロース繊維間への浸透性およびシート基材の製造容易性(シート基材の製造に用いる紡績糸等の製造容易性を含む)を考慮して、適宜選択される。
熱可塑性樹脂繊維は、二以上の成分からなる複合繊維であってよい。複合繊維の複合形態は特に限定されず、例えば、芯鞘型、サイドバイサイド型、繊維断面において二つの成分が菊花状に交互に配置された分割型、および海島型のいずれであってもよい。複合繊維を用いると、マトリックスが二以上の熱可塑性樹脂から成る複合成形体において、熱可塑性樹脂が均一に混合されたマトリックスをより容易に得ることができる。
あるいは、熱可塑性樹脂繊維は、単一繊維であっても、あるいは複合繊維であっても、中空繊維の形態であってよい。
本発明のシート基材には、熱可塑性樹脂繊維として、少なくともポリカーボネートを含む繊維(以下、単に「ポリカーボネート繊維」とも呼ぶ)およびポリ乳酸を含む繊維(以下、単に「ポリ乳酸繊維」とも呼ぶ)が含まれる。
ポリカーボネート繊維が単一繊維である場合、当該単一繊維はポリカーボネートを好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらにより好ましくは70質量%以上含み、最も好ましくはポリカーボネート樹脂から実質的に成る。ここで、「実質的に」という用語は、通常、製品として提供されるポリカーボネートは安定剤等の添加剤を含むため、及び/又は繊維の製造に際して各種添加剤が添加されるため、ポリカーボネートのみから成り、他の成分を全く含まない形態の繊維が得られないことを考慮して使用している。通常、添加剤の含有量は、最大で15質量%である。ポリカーボネート繊維が単一繊維であって、ポリカーボネート以外の熱可塑性樹脂を含む場合、当該熱可塑性樹脂は上記第三の樹脂に該当する。
ポリカーボネート繊維が、ポリカーボネートを含む成分と他の成分との複合繊維である場合、ポリカーボネートを含む成分は、ポリカーボネートを好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらにより好ましくは70質量%以上含み、最も好ましくはポリカーボネート樹脂から実質的に成る。ポリカーボネートを含む成分に含まれる他の熱可塑性樹脂は、上記第三の樹脂に該当する。複合繊維の他の成分もまた上記第三の樹脂に該当する。他の成分は、例えば、上記において第三の樹脂として例示した熱可塑性樹脂から選択される1または複数の樹脂から成ってよい。複合繊維とする場合には、第三の樹脂の割合が上記好ましい範囲内となるように、複合比および複合形態等を適宜選択することが好ましい。
ポリカーボネート繊維の繊度は、具体的には、0.5dtex〜50dtexであってよく、好ましくは0.8dtex〜20dtex、より好ましくは1dtex〜10dtexである。
ポリ乳酸繊維が単一繊維である場合、当該単一繊維はポリ乳酸を好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらにより好ましくは70質量%以上含み、最も好ましくはポリ乳酸から実質的に成る。ここで、「実質的に」という用語の意味はポリカーボネート繊維に関連して説明したとおりである。ポリ乳酸繊維が単一繊維であって、ポリ乳酸以外の熱可塑性樹脂を含む場合、当該熱可塑性樹脂は上記第三の樹脂に相当する。
ポリ乳酸繊維が、ポリ乳酸を含む成分と他の成分との複合繊維である場合、ポリ乳酸を含む成分は、ポリ乳酸を好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらにより好ましくは70質量%以上含み、最も好ましくはポリ乳酸から実質的に成る。ポリ乳酸を含む成分に含まれる他の熱可塑性樹脂は、上記第三の樹脂に該当する。複合繊維の他の成分もまた上記第三の樹脂に該当する。他の成分は、例えば、上記において第三の樹脂として例示した熱可塑性樹脂から選択される1又は複数の樹脂から成ってよい。複合繊維とする場合には、第三の樹脂の割合が上記好ましい範囲内となるように、複合比および複合形態等を適宜選択することが好ましい。
ポリ乳酸繊維の繊度は、具体的には、0.5dtex〜50dtexであってよく、好ましくは0.8dtex〜20dtex、より好ましくは1dtex〜50dtexである。
シート基材には他の熱可塑性樹脂からなる繊維が含まれていてよい。他の熱可塑性樹脂は、上記第三の樹脂に相当する。第三の樹脂から成る繊維は、0.5dtex〜50dtexの繊度を有してよい。
強化繊維と熱可塑性樹脂繊維とから、複合成形用基材としての繊維シートを作製することを含む方法で複合成形体を製造する場合、熱可塑性樹脂繊維の繊維長は作製する繊維シートの形態によって異なる。例えば、カードウェブを作製して不織布の形態の繊維シートを作製する場合、熱可塑性樹脂繊維の繊維長は、好ましくは30mm〜70mm、より好ましくは40mm〜60mmである。エアレイウェブまたは湿式抄紙ウェブを作製して不織布の形態の繊維シートを作製する場合、熱可塑性樹脂繊維の繊維長は、好ましくは2mm〜10mm、より好ましくは4mm〜6mmである。
(複合成形用基材)
本発明の複合成形用基材は、上記において説明した再生セルロース繊維、および上記において説明した熱可塑性樹脂を含む。複合成形用基材は、熱可塑性樹脂を繊維として含む場合には、繊維シートとして提供される。繊維シートの形態の基材については後述する。
複合成形用基材は、ペレットの形態であってよい。ペレットは、複合成形体を製造する成形機に供給される原料として用いられるものであり、例えば、直方形状、立方形状、碁石形状、円柱状、または楕円柱状を有する。上記のとおり、ペレットにおいて、再生セルロース繊維は、ランダムに分散していてよく、あるいは一定方向に配向していてよい。ペレットは、再生セルロース繊維と繊維状でない熱可塑性樹脂とを混合して通常のペレット製造方法により製造することができる。あるいは、ペレットは、上記のとおり、溶融状態の熱可塑性樹脂を束状の強化繊維に含浸させ、樹脂を固化させて棒状物を得た後、所定の長さに切断する方法で製造することができる。
(複合成形用シート基材)
本発明の複合成形用シート基材は、再生セルロース繊維と、熱可塑性樹脂から成る繊維とを含む繊維シートである。このシート基材を加熱すると、熱可塑性樹脂繊維の少なくとも一部が溶融または軟化して、再生セルロース繊維間に浸透し、その後、冷却されることにより固化して、繊維を固定するマトリックスとなる。シート基材は、熱可塑性樹脂繊維として、少なくともポリカーボネート繊維およびポリ乳酸繊維を含む。
シート基材は、例えば、織物、編物、もしくは不織布、またはそれらの組み合わせであってよい。また、シート基材は、熱可塑性樹脂繊維からなるシートと、再生セルロース繊維からなるシートとの積層体の形態であってよく、その場合、積層するシートの形態は同じであってよく、互いに異なっていてよい。例えば、シート基材は、再生セルロース繊維からなる織物に、熱可塑性樹脂繊維からなる不織布が積層されて一体化されたものであってよい。
シート基材が織物または編物である場合、織物を構成する糸は、再生セルロース繊維と熱可塑性樹脂繊維とからなる、混紡糸、混撚糸、コアヤーン、およびカバードヤーンのいずれであってもよい。コアヤーンおよびカバードヤーンは、芯糸を再生セルロースの長繊維からなるフィラメント糸とし、その周囲に熱可塑性樹脂の短繊維を巻き付けたものであってよく、あるいは芯糸を熱可塑性樹脂繊維の長繊維からなるフィラメント糸とし、その周囲に再生セルロース繊維の短繊維を巻き付けたものであってよい。混紡糸、混撚糸、コアヤーン、およびカバードヤーンはそれぞれ、再生セルロース繊維とポリカーボネート繊維、および再生セルロース繊維とポリ乳酸繊維とを組み合わせた、二種類の糸として提供されてよい。
あるいはまた、織物は、経糸及び緯糸のいずれか一方を再生セルロース繊維からなる糸とし、他方を熱可塑性樹脂繊維からなる糸として作製してよい。編物もまた、再生セルロース繊維からなる糸および熱可塑性樹脂繊維からなる糸で交編したものであってよい。熱可塑性樹脂繊維からなる糸は、それぞれポリカーボネート繊維およびポリ乳酸繊維からなる二種類の糸として提供されてよい。シート基材を構成する織物および編物の組織は特に限定されず、汎用されている組織のものであってよい。織物および編物はそれぞれ、多重織物および多重編物であってもよい。
シート基材が織物または編物である場合、構成繊維の繊度および繊維長は、織物または編物を構成する糸の種類等に応じて選択される。例えば、ステープル長の短繊維で紡績糸を作製する場合には、繊度0.9dtex〜5dtex、繊維長25mm〜100mmの繊維が一般的に用いられるので、これらの範囲から再生セルロース繊維および熱可塑性樹脂繊維の繊度および繊維長をそれぞれ選択してよい。
シート基材が織物または編物である場合、織物または編物の目付は、得ようとする複合成形体の厚さ等に応じて、例えば400g/m〜12000g/m、特に500g/m〜3600g/m、より特には100g/m〜500g/m、さらにより特には150g/m〜300g/mとしてよい。織物または編物の目付は、糸の番手、ならびに経糸および緯糸の密度等を適宜選択して調整する。
本発明において、シート基材は不織布であることが好ましい。不織布は、二種類以上の繊維を、所望の割合で均一に混合することが比較的容易である方法で製造できることによる。
シート基材を不織布とする場合、不織布は、再生セルロース繊維と熱可塑性樹脂繊維とを用いて繊維ウェブを作製した後、繊維を接着させる及び/または交絡させて一体化させることにより製造される。繊維ウェブの形態は特に限定されず、パラレルウェブ、クロスウェブ、セミランダムウェブおよびランダムウェブ等のカードウェブ、エアレイウェブ、湿式抄紙ウェブ、ならびにスパンボンドウェブ等から選択されるいずれの形態であってもよい。
不織布の製造において、繊維ウェブの繊維を一体化させる方法は特に限定されない。例えば、繊維の一体化は、ニードルパンチ法および水流交絡処理法等の機械的交絡法によって行ってよい。あるいは、熱可塑性樹脂繊維が二以上の成分から成る複合繊維であり、一つの成分が、再生セルロース繊維が分解する温度よりも低い温度で熱接着性を示す場合には、繊維同士を当該成分により熱接着させて、繊維を一体化させてよい。熱可塑性樹脂繊維の熱接着性を利用する方法は、熱可塑性樹脂繊維を二種類以上用いる場合にも適用してよい。
不織布を構成する繊維の繊度および繊維長は、繊維ウェブの形態等に応じて選択される。シート基材を不織布の形態とする場合の再生セルロース繊維および熱可塑性樹脂繊維の繊維長の好ましい範囲は先に説明したとおりである。いずれの繊維ウェブを作製する場合においても、再生セルロース繊維の繊維長は、熱可塑性樹脂繊維のそれと同じであってよく、あるいは異なっていてもよい。また、ポリカーボネート繊維およびポリ乳酸繊維の繊維長は互いに異なっていてよい。
いずれの繊維ウェブを作製する場合においても、再生セルロース繊維の繊度は、例えば、0.1dtex〜20dtexとしてよい。熱可塑性樹脂繊維の繊度は、例えば、0.5dtex〜50dtexとしてよい。また、不織布を構成するポリカーボネート繊維およびポリ乳酸繊維の繊度は互いに異なっていてよい。
不織布は、二以上の繊維ウェブを積層してなるものであってよい。その場合、一又は複数の繊維ウェブを再生セルロース繊維からなるものとし、他の一又は複数の繊維ウェブを熱可塑性樹脂繊維からなるものとしてよい。例えば、それぞれ再生セルロース繊維、ポリカーボネート繊維、およびポリ乳酸繊維からなる三つの繊維ウェブを用意して、これらを積層して不織布を作製してよい。二以上の繊維ウェブは同じ方法で作製されたものであってもよく、あるいは異なる方法で作製されたもの(例えば、カードウェブと湿式抄紙ウェブの組み合わせ)であってもよい。
シート基材を不織布とする場合、不織布の目付は、得ようとする複合構造体の厚さ等に応じて、例えば400g/m〜12000g/mとしてよく、特に500g/m〜3600g/mとしてよい。不織布の目付を大きくするために、二以上の同じ又は異なる繊維ウェブを積層して、繊維を一体化させる処理(例えば、ニードルパンチ等の繊維交絡処理)に付してよい。
シート基材となる繊維シートの種類によらず、再生セルロース繊維および熱可塑性樹脂繊維の混合比(質量比)は、20:80〜60:40(再生セルロース繊維:熱可塑性樹脂繊維)であることが好ましい。より好ましくは、30:70〜50:50である。再生セルロース繊維の割合が少なすぎると、再生セルロース繊維による補強効果が十分に得られないことがある。再生セルロース繊維の割合が大きすぎると、熱可塑性樹脂が再生セルロース繊維間に十分に浸透せず、複合成形体の機械的強度が著しく低下することがある。
シート基材は、再生セルロース繊維および熱可塑性樹脂繊維以外の繊維(以下、「第三の繊維」とも呼ぶ)を含んでよい。例えば、シート基材は、第三の繊維として、再生セルロース繊維以外の強化繊維、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、もしくはアラミド繊維、または他のセルロース系繊維(例えば、コットン、バンブーリネン等)を含んでいてよい。第三の繊維の混合割合は、シート基材全体の例えば30質量%以下であり、好ましくは20質量%以下である。これらの第三の繊維は、シート基材でない基材、例えばペレットの形態の基材にも含まれてよい。
シート基材は、繊維シートと他のシート状物とからなる積層シートであってよい。他のシート状物は、例えば、熱可塑性樹脂から成るフィルムまたはネットである。他のシート状物は、例えば、繊維の形態とすることが難しい熱可塑性樹脂から成るものとしてよく、その場合には、そのような熱可塑性樹脂をマトリックスとして含む複合成形体を得ることがより容易となる。
(複合成形体)
本発明の複合成形体は、少なくともポリカーボネートおよびポリ乳酸を含む熱可塑性樹脂がマトリックスであり、再生セルロース繊維により強化された繊維強化複合成形体であるともいえる。繊維により強化される物性は、引張強度、曲げ強度、および衝撃強度(特にシャルピー衝撃値)等から選択される機械的物性の少なくとも一つである。再生セルロース繊維の添加により少なくとも一つの機械的物性の向上が認められる複合成形体は繊維強化複合成形体である。
本発明の複合成形体は、例えば、シート状物、または所定の形状に成形された三次元的な構造体として提供される。
シート状の複合成形体の厚さおよび目付は、その用途等に応じて適宜選択され、特に限定されず、例えば、0.3mm〜10mmの厚さ、および400g/m〜12000g/mの目付を有する。熱可塑性樹脂をマトリックスとして含むシート状の複合成形体は、加熱および加圧により、別の形状に成形することが可能なスタンパブルシート(stampable sheet)として提供することができる。スタンパブルシートの成形は、スタンピング成形と呼ばれることもある。
シート状の複合成形体は、上記シート基材から製造されたものであってよく、あるいは再生セルロース繊維と熱可塑性樹脂のペレットまたは粉体状物とを混合し、成形機を用いてシート状に製造する方法で製造したものであってよい。シート基材から複合成形体を製造する場合には、熱可塑性樹脂繊維に加わる温度および圧力によっては、熱可塑性樹脂繊維が完全に溶融せず、複合成形体において熱可塑性樹脂繊維がその繊維形状をある程度維持した状態で存在することがある。特に、後述するように、熱可塑性樹脂の融点が高く、当該融点より高い温度で加熱すると、再生セルロース繊維の分解が生じる場合には、当該融点よりも低い温度で処理されるので、熱可塑性樹脂繊維の形状がより維持される傾向にある。熱可塑性樹脂を二種類以上含み、それらの融点が互いに異なる場合には、シート基材から製造した複合成形体において、一種類の熱可塑性樹脂繊維のみが溶融して、その繊維形状が失われ、他の熱可塑性樹脂繊維の形状が残存していることもある。
本発明の複合成形体がシート基材から製造される場合、複合成形体は、ポリカーボネート繊維およびポリ乳酸繊維に由来するマトリックス成分を有する。ポリカーボネートは、その融解温度が一般に200℃〜250℃程度であって、再生セルロース繊維の分解温度よりも高いため、ポリカーボネート繊維は、複合成形体において、その繊維形状を部分的に維持した状態で存在する傾向にある。ポリ乳酸は、その融点が一般に160℃〜180℃程度であり、かつガラス転移温度が低いため、ポリ乳酸繊維は、複合成形体において完全に溶融して、その繊維形状を失いやすい。したがって、シート基材から製造される複合成形体は、マトリックスにおいて、ポリカーボネートが一部繊維形状を維持し、ポリ乳酸繊維が完全に溶融している形態で提供されることがある。
熱可塑性樹脂繊維が完全に溶融していない複合成形体は、再生セルロース繊維間の空隙が熱可塑性樹脂で完全に充填されていないために、熱可塑性樹脂が完全に溶融して固化した複合成形体と比較して比容積が大きく、具体的には、例えば1.1cm3/g〜2.0cm3/g、特に1.2cm3/g〜1.5cm3/g程度の比容積を有し得る。熱可塑性樹脂繊維が完全に溶融していない複合成形体は、熱可塑性樹脂繊維が溶融した部分が骨格となるとともに、繊維間の空隙がある程度保持された構造を有する。このような構造の複合成形体は、この空隙に起因して、吸音性および/または衝撃吸収性を示すことがある。また、そのような複合成形体は、熱可塑性樹脂が完全に溶融して固化した複合成形体と比較して表面が平滑でなく、シート基材に由来するざらついた触感を有し、あるいは、表面において繊維の毛羽立ちが観察される。なお、本発明の複合成形体は、それ自体吸水性を有する再生セルロース繊維を含むので、熱可塑性樹脂繊維の溶融度合いがより高く、例えば完全に溶融してから固化している場合でも、複合成形体はある程度吸水性を示す。
本発明の複合成形体は、一般に、所定の形状に加工された三次元的な構造体として提供される。三次元的な構造体は、例えば、上記ペレットを用いて成形機により成形したもの、上記シート基材を加熱する際に三次元的に成形したもの、上記シート状の複合成形体(スタンパブルシート)を三次元的に成形したもの、または、再生セルロース繊維と熱可塑性樹脂のペレットまたは粉体とを混合して成形機により成形したものであってよい。あるいは、三次元的な構造体は、複合成形体のブロックを切削加工に付して、所定の形状にしたものであってもよい。
本発明の複合成形体は、いずれの形態においても、強化繊維としての再生セルロース繊維を、再生セルロース繊維と熱可塑性樹脂とを合わせた質量に対して20質量%〜60質量%の割合で含んでよい。好ましくは、30質量%〜50質量%である。そのような割合で再生セルロース繊維を含む複合成形体は優れた機械的特性を有する。また、再生セルロース繊維の割合がその程度であると、複合成形体において再生セルロース繊維が均一に分散した複合成形体を得やすい。
(複合成形体の製造方法)
本発明の複合成形体は、再生セルロース繊維、および熱可塑性樹脂を含む複合成形用基材を作製すること、および複合成形用基材を、熱可塑性樹脂の少なくとも一部が溶融または軟化する温度にて加熱することを含む製造方法によって製造される。ここでは、その製造方法の一形態として、上記シート基材を用いた製造方法を説明する。本実施形態は、シート基材を作製すること、およびシート基材を熱可塑性樹脂繊維が溶融または軟化する温度にて加熱することを含む。
織物または編物の形態のシート基材は、再生セルロース繊維と熱可塑性樹脂繊維の混紡糸等を通常の方法により織成または編成することにより作製できる。
不織布の形態のシート基材は、繊維ウェブを作製し、繊維ウェブ中の繊維を接着させる及び/または交絡させて一体化させることにより製造される。繊維の接着は、熱可塑性樹脂繊維が熱接着性を有する場合には、熱風貫通式熱処理機(エアスルー式熱加工機とも呼ぶ)、熱風吹き付け式熱処理機、赤外線式熱処理機等、または熱ロール加工機等を用いて実施してよい。繊維による熱接着は、熱可塑性樹脂が溶融または軟化するが、再生セルロース繊維が分解しない温度にて実施する。尤も、熱可塑性樹脂繊維を熱接着させると、シート基材が硬くなりすぎてロールに巻き取ることができない等、シート基材として取り扱いにくくなり、むしろ複合成形体となってしまうので、加熱温度および加熱時間に留意する。あるいは、繊維の接着は接着剤等を用いて実施してよい。
繊維同士を交絡させる場合には、水流交絡処理法またはニードルパンチ法を用いる。本実施形態においては、ニードルパンチ法が好ましく用いられる。ニードルパンチ法によれば、繊維ウェブの目付が例えば400g/m〜12000g/m程度と比較的大きい場合でも、繊維同士を比較的容易に交絡させ得る。この範囲の目付の繊維ウェブのニードルパンチ処理は、例えば、36〜42番手の針であって、バーブの数が3〜9である針を用いて、針深度を3〜20mmとし10〜500本/cm2の密度で打ち込みをして実施してよい。
次に、シート基材を加熱処理に付して、熱可塑性樹脂を溶融または軟化させて、再生セルロース繊維間に樹脂を浸透させる。加熱処理は、加圧処理を伴ってよい。特に、熱可塑性樹脂の融点が高い場合、および/または熱可塑性樹脂の溶融粘度が高い場合には、加圧処理を同時に実施することにより、熱可塑性樹脂の再生セルロース繊維間への浸透がより促進される。
加熱は、熱可塑性樹脂が溶融または軟化する温度にて実施する。加熱温度を熱可塑性樹脂の融点より高く設定すれば、熱可塑性樹脂を再生セルロース繊維間により浸透させやすくなるが、加熱温度が再生セルロース繊維の分解開始温度(230℃〜240℃)を上回ると、再生セルロース繊維が劣化して、再生セルロース繊維による補強効果を得られないことがある。その場合には、加熱温度を熱可塑性樹脂の融点よりも低くして、加圧処理を実施することが好ましい。熱可塑性樹脂として、少なくともポリカーボネートおよびポリ乳酸が含まれ、前者の融点が後者の融点よりも高いことを考慮すれば、加熱処理は、少なくともポリ乳酸が溶融または軟化する温度で実施することが好ましい。
加熱温度を熱可塑性樹脂の融点より低い温度とする場合、加熱温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上の温度であることが好ましい。ガラス転移温度以上の温度で加熱する場合には、加圧処理を実施することにより、再生セルロース繊維へのダメージを少なくして、熱可塑性樹脂により再生セルロース繊維を固定することができる。熱可塑性樹脂のガラス転移温度が再生セルロース繊維の分解温度よりも高い場合、ならびに/あるいは加圧処理により再生セルロース繊維への熱可塑性樹脂の浸透が確保される場合には、加熱温度を当該ガラス転移温度より低くしてもよい。得られる複合成形体において、熱可塑性樹脂繊維の形状をある程度維持したい場合にもまた、熱可塑性樹脂の融点よりも低い加熱温度を選択してよい。熱可塑性樹脂繊維の形状を維持したい場合には、加圧処理の際の圧力をより低くしてよい。
熱可塑性樹脂として、少なくともポリカーボネートおよびポリ乳酸が含まれることを考慮すれば、加熱温度は、ポリ乳酸のガラス転移温度以上の温度であるか、あるいはポリカーボネートのガラス転移温度以上の温度であることが好ましい。尤も、ポリ乳酸のガラス転移温度以上、ポリカーボネートのガラス転移温度未満の温度で加熱処理を行うと、ポリカーボネート繊維が軟化しにくく、再生セルロース間に熱可塑性樹脂(マトリックス成分)が十分に浸透しないことがあるため、加熱処理は、より好ましくはポリカーボネートのガラス転移温度以上の温度で実施される。第三の樹脂を含む場合には、当該樹脂の融点およびガラス転移温度を考慮して、マトリックス成分の十分な浸透が達成される温度を選択する。
例えば、融解温度200℃〜250℃程度のポリカーボネート繊維と融点160℃〜180℃程度のポリ乳酸繊維を使用する場合、再生セルロース繊維の分解を抑制するために、加熱温度は150℃〜250℃とすることが好ましい。加熱温度をこの範囲内とする場合には、加圧処理を実施する。加圧処理は、例えば、1MPa〜10MPaの圧力を加えて実施する。第三の樹脂として他の熱可塑性樹脂を含む場合には、加熱温度および圧力は、2つ以上の樹脂が溶融または軟化する温度及び圧力を加えて実施することが好ましい。
加熱処理と加圧処理を実施する場合には、熱プレス機を用いてよい。あるいはまた、先に加熱処理を施し、熱可塑性樹脂が溶融または軟化状態にある間に、続いて加圧処理を実施してもよい。
目付のより大きい複合成形体を製造する場合には、加熱処理および/または加圧処理を、複数のシート基材を積層して実施してよい。その場合、複数のシート基材を、機械的に(例えば縫合により)、または化学的に(例えば接着により)、予め一体としてから、加熱処理および/または加圧処理に付してよい。
本実施形態によれば、シート状の複合成形体を得ることができ、あるいは加熱処理および/または加圧処理の際に三次元的な形状を付与することによって、三次元的な構造体である複合成形体を得ることができる。シート状の複合成形体(スタンパブルシート)は、さらに熱プレス処理に付することによって、凹凸を有する形状にすることができる。その場合には、シート状の複合成形体を複数積層して熱プレス処理を実施し、より厚い複合成形体を得るようにしてよい。
本実施形態の製造方法は、本発明の複合成形体を製造する一形態であり、本発明の複合成形体はその形状に応じて他の製造方法で製造してよいことはいうまでもない。例えば、シート状の複合成形体は、再生セルロース繊維からなる繊維シートに、含浸または塗布等により溶融した熱可塑性樹脂を適用する方法で製造してもよい。
(複合成形体の用途)
本発明の複合成形体は、宇宙および航空機用資材、船舶用資材、車両(自動車および自転車含む)用資材、スポーツ用品用資材、OA機器用資材、電子機器用資材、工業資材、タンクおよび容器類の資材、雑貨類用資材、ならびに建設資材として使用することができる。具体的には、本発明の複合成形体は、自動車の内装材および吸音材、スーツケース本体、およびパーソナルコンピュータ、携帯電話、コピー機、複合機、ゲーム機などの筐体を構成するのに適している。
再生セルロース繊維として、以下のものを用意した。
再生セルロース繊維:
繊度1.7dtex、繊維長51mmのビスコースレーヨンであって、難燃剤として芳香族リン酸エステルを含有する難燃再生セルロース繊維を用意した(商品 DFG、ダイワボウレーヨン(株)製)、捲縮数11.8個/25mm、単繊維強度2.18cN/dtex、限界酸素指数29)。
熱可塑性樹脂繊維として、以下のものを用意した。
ポリカーボネート繊維:
繊度6.7dtex、繊維長64mmのポリカーボネート繊維を用意した。このポリカーボネート繊維は次の方法により製造した。ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製、M7020J)を紡糸温度300℃の条件にて溶融紡糸して、繊度6.7dtexの紡糸フィラメントを得た。繊維処理剤を付与し、さらに、スタッフィングボックス型クリンパーにて15個/25mmの捲縮を付与し、乾燥させた後、64mmの繊維長に切断した。このポリカーボネート繊維は、2.5cN/dtexの単繊維強度を有していた。
ポリ乳酸繊維:
繊度3.3dtex、繊維長51mmのポリ乳酸繊維を用意した。このポリ乳酸繊維は次の方法により製造した。融点175℃のポリ乳酸を紡糸温度230℃の条件にて溶融紡糸して、繊度9.9dtexの紡糸フィラメントを得た。次いで、紡糸フィラメントを、80℃の温水中で3倍に延伸して繊度3.3dtexとした後、繊維処理剤を付与し、さらに、スタッフィングボックス型クリンパーにて15個/25mmの捲縮を付与し、乾燥させた後、51mmの繊維長に切断した。このポリ乳酸繊維は、3cN/dtexの単繊維強度を有していた。
上記において、単繊維強度は、JIS L 1015に準じて、引張試験機を用いて、試料のつかみ間隔を20mmとして引張試験を実施した際に、繊維が切断したときの荷重値である。
(実施例1)
再生セルロース繊維40質量%と、ポリカーボネート繊維30質量%と、ポリ乳酸繊維30質量%とを混合して(ポリカーボネート:ポリ乳酸=5:5(質量比)、ローラーカード機により、目付376g/m2のカードウェブを得た。このウェブを、40番手の針を用いて、針深度10mm、密度130本/cm2の条件で、ニードルパンチ処理に付して、厚み1.1mmのニードルパンチ不織布を得た。この不織布を、熱プレス機を用いて、温度200℃および圧力3MPaの条件にて加熱および加圧処理に付し、シート状の複合成形体を得た。
(比較例1)
再生セルロース繊維40質量%と、ポリカーボネート繊維60質量%とを混合して、実施例1と同様の手順で繊維ウェブを作製し、当該ウェブから不織布を作製した。この不織布を、熱板プレス機を用いて、温度200℃および圧力3MPaの条件にて加熱および加圧処理に付し、シート状の複合成形体を得た。
(比較例2)
再生セルロース繊維40質量%と、ポリ乳酸繊維60質量%とを混合して、実施例1と同様の手順で繊維ウェブを作製し、当該繊維ウェブから不織布を作製した。この不織布を、熱プレス機を用いて、温度200℃および圧力3MPaの条件にて加熱および加圧処理に付し、シート状の複合成形体を得た。
各実施例および各比較例の複合成形体の目付、厚み、比容積、引張強度、伸度および裂断長を表1に示す。なお、目付、厚み、比容積、引張強度および裂断長は下記の方法に従って決定した。
(目付)
試料を15cm×15cmにカットして、その重さを測定して求めた。
(厚み)
不織布の厚み測定機(商品名“THICKNESS GAUGE”、モデル:CR−60A、株式会社大栄科学精器製作所製)を用い、JIS L 1096に準じて試料1cm2あたり20gの荷重を加えた状態で測定した。
(比容積)
目付と厚みから計算して求めた。
(引張強度)
JIS L 1096に準じ、幅5cm、長さ15cmの試料片をチャックの間隔が10cmとなるように把持し、定速伸長型引張試験機(商品名:テンシロン UCT−1T オリエンテック株式会社製)を用いて引張速度30cm/分で試料片を伸長し、破断時の荷重値及び伸長率をそれぞれ破断強力、破断伸度として測定した。
(裂断長)
引張強度および目付から、下記の式により算出した。
裂断長(km)=[引張強度(N/5cm)/9.8)×1000]/[引張強度の測定試料の幅(mm)×目付(g/m2)]
Figure 0006550644
熱可塑性樹脂繊維としてポリカーボネート繊維とポリ乳酸繊維とを併用した実施例1は、熱可塑性樹脂繊維としてポリ乳酸繊維のみを使用した比較例2よりも、引張強度等が大きく、機械的強度の大きいものであった。実施例1は、ポリカーボネート繊維のみを熱可塑性樹脂繊維として用いた比較例1よりも引張強度が小さかったものの、その減少度合いは、半分の繊維をポリ乳酸繊維で置き換えたことを考慮すれば小さいものであった。このことは、ポリカーボネート繊維とポリ乳酸繊維との組み合わせが、再生セルロース繊維を強化繊維として複合成形体を製造する場合に、引張強度の比較的高い複合成形体を与えるのに有用であることを示している。
本発明には以下の態様のものが含まれる。
(態様1)
再生セルロース繊維および熱可塑性樹脂を含む複合成形用基材であって、前記熱可塑性樹脂として、ポリカーボネートおよびポリ乳酸を少なくとも含む、複合成形用基材。
(態様2)
基材が不織布であり、前記熱可塑性樹脂が熱可塑性樹脂繊維として含まれる、態様1の複合成形用基材。
(態様3)
再生セルロース繊維が強化繊維として含まれ、熱可塑性樹脂がマトリックスとして含まれる複合成形体であって、前記熱可塑性樹脂として、ポリカーボネートおよびポリ乳酸を少なくとも含む、複合成形体。
(態様4)
再生セルロース繊維、ならびに熱可塑性樹としてポリカーボネートおよびポリ乳酸を少なくとも含む複合成形用基材を作製すること、および
前記複合成形用基材を、ポリカーボネートおよびポリ乳酸の少なくとも一部が溶融または軟化する温度にて加熱すること
を含む、複合成形体の製造方法。
(態様5)
前記複合成形用基材を加熱する温度を、ポリカーボネートのガラス転移温度以上であり、かつ再生セルロース繊維の分解温度よりも低い温度とする、態様4の複合成形体の製造方法。
(態様6)
前記複合成形用基材を加圧することをさらに含む、態様4または5の複合成形体の製造方法。
(態様7)
前記複合成形用基材が前記熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂繊維として含む繊維シートであり、繊維シートを加圧してシート状の複合成形体を得ることをさらに含む、態様4または5の複合成形体の製造方法。
本発明の複合成形体は、宇宙および航空機用資材、船舶用資材、車両(自動車および自転車含む)用資材、スポーツ用品用資材、OA機器用資材、電子機器用資材、工業資材、タンクおよび容器類の資材、雑貨類用資材、ならびに建設資材として有用である。

Claims (8)

  1. 再生セルロース繊維および熱可塑性樹脂繊維を含む複合成形用不織布であって、前記熱可塑性樹脂繊維としてポリカーボネート繊維およびポリ乳酸繊維を少なくとも含む、複合成形用不織布
  2. 前記再生セルロース繊維の繊維長が20〜70mmである、請求項1に記載の複合成形用不織布
  3. 前記ポリカーボネート繊維の繊度が0.5〜10dtexである、請求項1または2に記載の複合成形用不織布
  4. 前記熱可塑性樹脂繊維が均一に混合している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合成形用不織布。
  5. 前記再生セルロース繊維と前記熱可塑性樹脂繊維が均一に混合している、請求項4に記載の複合成形用不織布。
  6. 再生セルロース繊維が強化繊維として含まれ、熱可塑性樹脂がマトリックスとして含まれる複合成形体であって、前記再生セルロース繊維の繊維長が20〜70mmであり、前記熱可塑性樹脂としてポリカーボネートおよびポリ乳酸を少なくとも含み、少なくとも前記ポリ乳酸が繊維形状を有していない、複合成形体。
  7. 再生セルロース繊維、ならびに熱可塑性樹脂繊維としてポリカーボネート繊維およびポリ乳酸繊維を少なくとも含む複合成形用不織布を作製すること、および前記複合成形用不織布を加熱することを含み、
    前記複合成形用不織布を加熱する温度を、ポリカーボネートのガラス転移温度以上であり、かつ再生セルロース分解温度よりも低い温度とし、
    前記複合成形用不織布を加熱する際にさらに加圧することを含み、
    前記加熱および前記加圧により、少なくともポリ乳酸繊維の繊維形状を失わせる、
    複合成形体の製造方法。
  8. 前記再生セルロース繊維の繊維長が20〜70mmである、請求項7記載の複合成形体の製造方法。
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