JP2022055598A - 繊維強化樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐衝撃性などの力学特性や熱サイクル耐久性などの耐環境性に優れる繊維強化樹脂を提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂材料と、熱硬化性樹脂材料と、強化繊維集合体を少なくとも含んでなる繊維強化樹脂であって、前記熱可塑性樹脂の、ハンセン溶解度パラメータの分散項(dD1)と極性項(dP1)と水素結合項(dH1)で示される座標[dD1,dP1,dH1]を中心とする相互作用球の半径を(r1)、前記熱硬化性樹脂の、ハンセン溶解度パラメータの分散項(dD2)と極性項(dP2)と水素結合項(dH2)で示される座標[dD2,dP2,dH2]を中心とする相互作用球の半径を(r2)、Ra=(4(dD1-dD2)2+(dP1-dP2)2+(dH1-dH2)2)1/2としたとき、Ra≦(r1+r2)を満たし、且つ、前記熱可塑性樹脂材料の、ノッチ付きアイゾッド衝撃強さが30J/m以上である繊維強化樹脂である。【選択図】図1

Description

本発明は、耐衝撃性などの力学特性や熱サイクル耐久性などの耐環境性に優れる繊維強化樹脂に関するものである。
強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させた繊維強化樹脂(FRP)は、優れた力学特性、軽量化等の要求特性を満たすことから主に航空、宇宙、スポーツ用途に用いられてきた。これらの代表的な製造方法として、オートクレーブ成形法が知られている。かかる成形法では、強化繊維束群にマトリックス樹脂を予め含浸させたプリプレグを、成形型に積層してオートクレーブにて加熱・加圧し、FRPを成形する。プリプレグを用いると極めて信頼性の高いFRPが得られる利点があるが、製造に高いコストがかかる問題があった。
一方、FRPの生産性に優れる成形法としては、例えばレジン・トランスファー・モールディング成形法(RTM)等の注入成形が挙げられる。RTM成形法は、マトリックス樹脂を予備含浸していないドライな強化繊維束群で構成される強化繊維基材を、成形型に積層して、液状で低粘度のマトリックス樹脂を注入することにより、後からマトリックス樹脂を含浸・固化させてFRPを成形する成形法である。
注入成形法は、FRPの生産性には優れるが、マトリックス樹脂が低粘度である必要があるため、プリプレグに用いられる高粘度のマトリックス樹脂から成形されたFRPに比べて、力学特性を十分に発揮できない場合があった。
上記に対する解決手段として、例えば特許文献1に開示されるように、規定の目付を有する炭素繊維の一方向層と規定の厚みを有する熱可塑性繊維ウェブ(不織布)が合わされている中間材料が提案されている。しかしながら、これらの熱可塑性繊維ウェブを用いた場合、一定の力学特性を発揮することができると開示されているが、一部の熱可塑性繊維ウェブはマトリックス樹脂との接着性が十分でないことがあるため、衝撃付与時の変形や熱サイクルに伴う膨張収縮時に界面で剥離が発生し、FRPの力学特性や耐環境性が十分に発現できないことがあった。
また特許文献2には、熱可塑性ポリマーと熱硬化性ポリマーの溶解度パラメータをコントロールすることで互いの接着性を向上し、力学特性を向上する技術が開示されている。しかしながら、熱可塑性ポリマーの選択によっては熱可塑性ポリマーと熱硬化性ポリマーが完全に相溶してしまい、耐熱性や靭性などの特性が不足し、FRPの力学特性や耐環境性が十分に発現できないことがあった。
特表2012-506499号公報 特表2009-511297号公報
本発明は、かかる従来技術の課題を解決するものであり、耐衝撃性などの力学特性や熱サイクル耐久性などの耐環境性に優れる繊維強化樹脂に関するものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、
(1)熱可塑性樹脂材料と、熱硬化性樹脂材料と、強化繊維集合体を少なくとも含んでなる繊維強化樹脂であって、前記熱可塑性樹脂の、ハンセン溶解度パラメータの分散項(dD)と極性項(dP)と水素結合項(dH)で示される座標[dD,dP,dH]を中心とする相互作用球の半径を(r)、前記熱硬化性樹脂の、ハンセン溶解度パラメータの分散項(dD)と極性項(dP)と水素結合項(dH)で示される座標[dD,dP,dH]を中心とする相互作用球の半径を(r)、Ra=(4(dD-dD+(dP-dP+(dH-dH1/2 としたとき、Ra≦(r+r)を満たし、
且つ、前記熱可塑性樹脂材料の、ノッチ付きアイゾッド衝撃強さが30J/m以上である繊維強化樹脂。
(2)上記Raが、4(MPa)1/2以上、10(MPa)1/2以下であることを特徴とする、(1)に記載の繊維強化樹脂。
(3)前記熱可塑性樹脂材料のビカット軟化温度が70~200℃の範囲であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の繊維強化樹脂。
(4)前記熱可塑性樹脂材料が前記熱硬化性樹脂に対して1~50重量%の範囲で存在することを特徴とする、(1)~(3)のいずれかに記載の繊維強化樹脂。
(5)前記熱可塑性樹脂材料がポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂およびフェノキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種またはそれらの混合物からなることを特徴とする、(1)~(4)のいずれかに記載の繊維強化樹脂。
(6)前記熱可塑性樹脂材料が非晶性ポリアミドであることを特徴とする、(5)に記載の繊維強化樹脂。
(7)前記熱可塑性樹脂材料がイソフタル酸成分を含む半芳香族ポリアミドであることを特徴とする、(5)または(6)に記載の繊維強化樹脂。
(8)前記熱可塑性樹脂材料の形状が粒子状または繊維状であることを特徴とする、(1)~(7)のいずれかに記載の繊維強化樹脂。
(9)前記熱可塑性樹脂材料の形状が繊維からなるポーラス状であることを特徴とする、(8)に記載の繊維強化樹脂。
(10)前記強化繊維集合体が、[1]:強化繊維糸条、[2]:強化繊維糸条を並行に引き揃えてなる強化繊維糸条群、[3]:[1]または[2]で構成される強化繊維布帛、のうちいずれかより選ばれる少なくとも2層以上積層された集合体であり、前記熱可塑性樹脂材料は前記強化繊維集合体の層間に存在することを特徴とする(1)~(9)のいずれかに記載の繊維強化樹脂。
(11)前記強化繊維糸条群が、複数の強化繊維糸条が並行に引き揃えられたシート状のものである、(10)に記載の繊維強化樹脂。
(12)前記強化繊維糸条群が、オートメーテッドファイバープレイスメント装置により並行に引き揃え配置されたシート状のものである、(10)または(11)に記載の繊維強化樹脂。
(13)前記強化繊維集合体が、強化繊維糸条を一方向に並行に引き揃えてなる強化繊維糸条群と、強化繊維糸条と交差する方向に延在する、繊度が強化繊維糸条の繊度の1/5以下である補助繊維糸条群とから構成される一方向性織物である、(1)~(12)のいずれかに記載の繊維強化樹脂。
(14)前記強化繊維集合体が、一方向に配列された前記強化繊維糸条群と、異なる方向に一方向に配列された強化繊維糸条群とから構成される二方向性織物である、(1)~(12)のいずれかに記載の繊維強化樹脂。
(15)前記強化繊維布帛が、一方向に配列された前記強化繊維糸条群と、異なる方向に一方向に配列された強化繊維糸条群との少なくとも2層以上が交差積層され、繊度が強化繊維糸条の1/5以下である補助繊維糸条群により縫合一体化されたステッチ布帛である、(10)に記載の繊維強化樹脂。
(16)強化繊維体積含有率が53~65%の範囲であり、SACMA-SRM-2R-94に記載されている衝撃付与後の常温圧縮強度が240MPa以上である、(1)~(15)のいずれかに記載の繊維強化樹脂。
である。
本発明によれば、以下に詳述するとおり、耐衝撃性などの力学特性や熱サイクル耐久性などの耐環境性に優れる複合材料を得ることができる。
本発明に係る熱可塑性樹脂材料と熱硬化性樹脂材料のハンセン溶解度パラメータの関係を説明する概略図である。 本発明における強化繊維基材の一態様を説明する概略断面図である。 本発明における強化繊維基材の製造装置の一態様を示す概略側面図である。 本発明における強化繊維糸条群の一態様を示す概略斜視図である。 本発明における強化繊維集合体としての一方向性織物の一態様を示す概略斜視図である。 本発明における強化繊維集合体としての二方向性織物の一態様を示す概略斜視図である。 本発明における強化繊維集合体としてのステッチ布帛の一態様を示す概略斜視図である。
以下、本発明の繊維強化樹脂について具体的に説明する。
本発明の繊維強化樹脂は、熱可塑性樹脂材料と、熱硬化性樹脂材料と、強化繊維集合体を少なくとも含んでなるものであって、前記熱可塑性樹脂の、ハンセン溶解度パラメータの分散項(dD)と極性項(dP)と水素結合項(dH)で示される座標[dD,dP,dH]を中心とする相互作用球の半径を(r)、前記熱硬化性樹脂の、ハンセン溶解度パラメータの分散項(dD)と極性項(dP)と水素結合項(dH)で示される座標[dD,dP,dH]を中心とする相互作用球の半径を(r)としたとき、下式
(4(dD-dD+(dP-dP+(dH-dH1/2 ≦ (r+r
を満たし、且つ、前記熱可塑性樹脂の、ノッチ付きアイゾッド衝撃強さが30J/m以上であるものである。
2種の材料の親和性を表す指標として、ヒルデブランド溶解度パラメータ(以下、単にSP値と記載する場合がある)が従来からよく使われており、2種の材料のSP値の差が小さいほど、溶解性や接着性などが良好となることが経験的に知られている。SP値は正則溶液理論から導かれ、蒸発潜熱と密度から求められるが、同じようなSP値を持つ溶剤が全く異なる溶解挙動を示す場合があったり、ブタノールとニトロエタンのSP値はほぼ等しく、共にエポキシ樹脂を溶かさないにもかかわらず、これら2種の溶剤を1:1で混ぜた混合溶剤はエポキシ樹脂を溶かすことができるなど、SP値のみでは説明できない現象が起こるといった問題があった。
これらの問題に対し、ハンセン溶解度パラメータ(以下、HSP値と記載する場合がある)は、ヒルデブランド溶解度パラメータを分散項(dD)、極性項(dP)、水素結合項(dH)の3成分に分割したものであり、3次元空間中の点で表すことで、ベクトルの向きを含めた親和性評価指標となっている。即ち、2種の材料のHSP値のベクトルの大きさが等しくても、HSP値のベクトルの向きが大きく異なっていれば、親和性は小さいと推定される。
HSP値は例えば、ハンドブック(Hansen Solubility Parameters A User’s Handbook Second Edition、CRC Press(2007)参照)の値を用いることができる他に、HSP値が既知の複数の試験溶媒を用いて、試料の溶解性試験(溶・不溶の判定試験)を行い求めることも可能である。溶解性試験の結果を3次元空間にプロットすると良溶媒は似た位置に集まるので、良溶媒が球の内側に、貧溶媒は球の外側にくるような最大の球を考え、その球の中心を試料のHSP値と定めることができる。この球を相互作用球、この球の半径を相互作用半径(r)という。
図1は本発明に係る熱可塑性樹脂材料と熱硬化性樹脂材料のハンセン溶解度パラメータの関係を説明する概略図である。
前記熱可塑性樹脂の、ハンセン溶解度パラメータの分散項(dD)と極性項(dP)と水素結合項(dH)で示される座標[dD,dP,dH]を中心とする相互作用球の半径を(r)、前記熱硬化性樹脂の、ハンセン溶解度パラメータの分散項(dD)と極性項(dP)と水素結合項(dH)で示される座標[dD,dP,dH]を中心とする相互作用球の半径を(r)としたとき、両者の座標の距離(Ra)は
Ra=(4(dD-dD+(dP-dP+(dH-dH1/2
で表される。Raが小さいほど、2つの物質の親和性は大きいと推定できる。
ここで、rおよびrは溶解性試験を実施した際の溶媒に対する可溶範囲を示すものであることから、それらが重なっている範囲では2つの物質はIPNまたはセミIPN構造を取り得ると考えられる。ここでIPNとは、インターペネトレーティングポリマーネットワーク(Interpenetrating Polymer Network)の略で、架橋高分子同士の相互侵入網目構造をいう。一方、セミIPNとは、架橋高分子と直鎖状高分子との相互侵入網目構造をいう。したがって、前記熱可塑性樹脂材料と前記熱硬化性樹脂材料のRaが(r+r)以下であることにより、熱可塑性樹脂材料と熱硬化性樹脂材料との親和性、すなわち濡れ性が向上する他、成形プロセス中にIPNもしくはセミIPN構造を形成することで耐溶剤性や接着性が良好となり、耐衝撃性などの力学特性(圧縮後圧縮強度:CAI)や熱サイクル耐久性、耐溶剤性など、多くの特性を効率的に発現することが可能になる。
したがって、Ra≦(r+r)であることが重要である。さらに、Ra≦rまたはr であることがさらに好ましい。
ここで、相互作用球の半径(r)は種々の溶剤に対する耐薬品性の指標でもある。熱可塑性材料として、相互作用球の半径(r)が大きいものを選択すると、成形後の強化繊維樹脂材料の耐薬品性、例えばMEK(2-ブタノン)浸漬後の層間せん断強度(ILSS)や面内せん断弾性率(IPSM)が低下する恐れがある。係る観点から、熱可塑性材料の相互作用球の半径(r)は10(MPa)1/2以下であることが好ましく、熱硬化性樹脂材料の相互作用球の半径(r)以下、つまりr≦rであることがより好ましい。
さらに、前記熱可塑性樹脂材料と前記熱硬化性樹脂材料が完全に相溶してしまうと、耐熱性や耐衝撃性などの特性が劣化することがあるため、Ra≧ 4(MPa)1/2であることが好ましく、Ra≧ 4.5(MPa)1/2であることがより好ましい。 また熱可塑性樹脂材料のノッチ付きアイゾット衝撃強さが30J/m以上であることが重要である。ここで本発明においてノッチ付きアイゾット衝撃強さは、ASTM D256(2018)にしたがい測定した値を指す。ノッチ付きアイゾット衝撃強さが30J/m未満であると、FRPの耐衝撃性が低下するため好ましくない。
また熱可塑性樹脂材料はビカット軟化温度が70~200℃の範囲であることが好ましい。ここで本発明においてビカット軟化温度(VST)は、JIS K7206(2016)にしたがいA-50法で測定した値を指す。VSTが70℃未満であると、FRPの高温時機械物性が低下するため好ましくない。またVSTが200℃を超えると熱可塑性樹脂材料と熱硬化性樹脂材料の接着性が低下し、FRPの力学特性(特にCAIやILSS)が低下する場合がある。したがって、熱可塑性樹脂材料はビカット軟化温度が100~180℃の範囲であることがさらに好ましい。
本発明で使用する熱可塑性樹脂材料は、熱硬化樹脂材料の1~50重量%であることが好ましい。好ましくは2~30重量%、より好ましくは3~20重量%である。熱可塑性樹脂材料が、1重量%未満であると力学特性(特にCAI)の向上効果が小さくなるため好ましくない。また50重量%を超えると、FRPにしたときのVfが低くなりすぎたり、FRPの耐熱性、耐薬品性や圧縮強度が低下する場合があるので好ましくない。
本発明の熱可塑性樹脂材料はポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂およびフェノキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種またはそれらの混合物からなることが好ましい。これらの熱可塑性樹脂材料は耐衝撃性が優れるだけでなく、熱硬化性樹脂材料との親和性に優れることから、耐衝撃性などの力学特性や熱サイクル耐久性などの耐環境性に優れる複合材料を得ることができる。
また、熱可塑性樹脂材料は耐熱性、耐衝撃性および加工の容易さの観点から非晶性ポリアミドであることが好ましい。ここで本発明において非晶性とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて、JIS K7121(1987)にしたがい10℃/分の昇温速度で測定した結晶融解エンタルピーΔHmの値が5J/g未満のものを指す。
さらに熱可塑性樹脂材料は、イソフタル酸成分を含む半芳香族ポリアミドであることが好ましい。イソフタル酸成分を含む半芳香族ポリアミドとしては、ポリアミド2I、ポリアミド4I、ポリアミド6I、ポリアミド9I、ポリアミド10I、ポリアミド12I、ポリアミド6-6/6-I樹脂、ポリアミド6-10/6-I樹脂、ポリアミド12/6-I樹脂、ポリアミド6-6/6-T/6-I樹脂、ポリアミドMACMIなどを挙げることができ、中でも吸水性や柔軟さの観点からポリアミド9I、ポリアミド10I、ポリアミド12I、ポリアミド6-6/6-I樹脂、ポリアミド6-10/6-I樹脂、ポリアミド12/6-I樹脂、ポリアミド6-6/6-T/6-I樹脂、ポリアミドMACMIなどメチレン鎖部分が長いものが好ましい。かかる熱可塑性樹脂材料は、FRP成形時に熱硬化性樹脂材料と密着することでFRP層間に靭性の高い層を形成することができ、力学特性(特にCAIやILSS)や熱サイクル耐久性を高めることができる。
本発明の熱可塑性樹脂材料の形状は粒子状または繊維状であることが好ましい。粒子状の場合は熱硬化性樹脂に混錬して用いたり、強化繊維集合体の表面に散布して用いることで、強化繊維複合材料の耐衝撃性を飛躍的に高めることが可能となる。繊維状の場合も同様に用いることが可能である他、強化繊維同士を固定する補助糸として用いることで、従来補助糸と比較して、熱サイクルに伴う剥離や亀裂に対する耐久性を向上することが可能になる。ステッチ糸として用いる場合、モノフィラメント、マルチフィラメントのいずれも選択可能である。繊度は細すぎると糸切れが発生する他、太すぎると成形品の繊維体積含有率(Vf)を低下させることがあることから、30~300dtexの範囲にあることが好ましい。
また、熱可塑性樹脂材料の形態は繊維からなるポーラス状であることが好ましい。本発明において、ポーラス状とは平面上の厚み方向に孔が空いている形状のことをいい、例えば不織布状、マット状、ネット状、メッシュ状、織物状、編物状、短繊維群状などが挙げられる。中でも不織布、マットまたはメッシュは安価に入手でき、且つ平面方向にもマトリックス樹脂や空気の流路が形成されているため好ましい。熱可塑性樹脂材料が不織布である場合、構成する繊維の形態としては長繊維や短繊維が挙げられ、メルトブロー、スパンボンド、エアレイド、カーディング、抄紙などの方法によって製造されるが、特に限定はされない。また副成分として繊維同士を結着させるためのバインダー成分を含んでいてもよい。構成する繊維の繊維径は1μm以上100μm未満であることが好ましく、5μm以上80μm未満がより好ましく、10μm以上60μm未満がさらに好ましい。繊維径が1μm未満であると樹脂材料の表面積が大きくなるため、後述する樹脂含浸工程において樹脂の流動が妨げられることがあるため好ましくない。また繊維径が100μm以上であるとFRPとしたときの強化繊維基材層間の厚みが大きくなり、Vfが低下するため好ましくない。
次に、前記強化繊維集合体が、[1]:強化繊維糸条、[2]:強化繊維糸条を並行に引き揃えてなる強化繊維糸条群、[3]:[1]または[2]で構成される強化繊維布帛、のうちいずれかより選ばれる少なくとも2層以上積層された集合体であり、前記熱可塑性樹脂材料は前記強化繊維集合体の層間に存在することが好ましい。
本発明で用いられる強化繊維集合体の具体的な形態の例を、図面を参照しながら説明する。図2は本発明における強化繊維樹脂に係る強化繊維基材11の一態様を説明する概略断面図である。図2に示す強化繊維基材11は、強化繊維集合体12の片面に熱可塑性樹脂材料13が配置された後、接着一体化されているものである。
強化繊維基材11は、強化繊維糸条、強化繊維糸条群、または強化繊維糸条もしくは強化繊維糸条群で構成される強化繊維布帛、のうちいずれかより選ばれる強化繊維集合体12の、少なくとも片側表面に熱可塑性樹脂材料13を有することが好ましい。かかる熱可塑性樹脂材料13を少なくとも片側表面に存在させることにより、強化繊維基材11の幅や繊維配向などの形態安定性を向上させることができたり、強化繊維糸条群からなるシート状の強化繊維基材11の搬送時などの取扱性を向上させたりすることができる。
また、後述する強化繊維基材11または強化繊維集合体12を積層した積層体(プリフォーム)を得る際の強化繊維集合体12同士の接着性を付与させることができたり、プリフォームに適度な剛性を付与させることができたり、プリフォームの中の強化繊維の目ズレを防止する等の形態安定効果を付与させることができる等、プリフォームの取扱性の向上ができる。
特に、熱可塑性樹脂材料13は、強化繊維集合体12の層間に、後述するマトリックス樹脂を流動、拡散させるスペースを確保(マトリックス樹脂による強化繊維集合体12の層間の塑性変形能の付与)することができたり、熱可塑性樹脂材料13が強化繊維集合体12の層間に発生する亀裂のストッパーとなる等、衝撃を受けた時に、強化繊維集合体12の層間の損傷を抑制することができ、特に優れた力学特性(特に衝撃後圧縮強度:CAI)を達成することができるという効果を発現する。また熱サイクル負荷時の応力を緩和するなどの耐環境性を発現する。その他にも、熱可塑性樹脂材料13がスペーサーとなって、強化繊維集合体12の層間にマトリックス樹脂の流路が確保され、注入成形に供した際にマトリックス樹脂の含浸が容易になるだけでなく、その含浸速度も速くなり、FRPの生産性により優れる、といった効果をも発現する。
熱可塑性樹脂材料13は、強化繊維集合体12と接着し、少なくとも強化繊維集合体12の片側表面に存在していればよく、強化繊維集合体12の内部に存在(強化繊維糸条に浸透)していてもよい。好ましくは、前述の理由で強化繊維集合体12の表面にその50重量%以上、より好ましくは70重量%以上が偏在しているのが好ましい。また熱可塑性樹脂材料13と強化繊維たば集合体12とを接着する目的でバインダー成分を含んでいてもよく、例えば熱可塑性樹脂材料13より軟化点(融点やガラス転移温度Tg)の低い熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂を用いることも可能である。
また、熱可塑性樹脂材料13の形態は不織布状、マット状、ネット状、メッシュ状、織物状、編物状、短繊維群状などの形態であることが好ましい。かかる形態のものであれば、強化繊維基材11の厚み方向にマトリックス樹脂や空気の流路が確保できるだけでなく、平面方向の繋がりがあるため、強化繊維糸条を用いた場合の幅安定性の向上や、強化繊維糸条群からなるシート状の強化繊維基材11の搬送時などの取扱性や、また強化繊維糸条群や布帛を用いた場合の基材の形態安定性を向上させることができる。
本発明における強化繊維糸条は、マルチフィラメント糸であってガラス繊維糸、有機(アラミド、PBO、PVA、PE等)繊維糸、炭素繊維(PAN系、ピッチ系等)糸等である。炭素繊維は比強度および比弾性率に優れ、殆ど吸水しないので、航空機構造材や自動車の強化繊維として好ましく用いられる。
本発明に使用する強化繊維糸条は3,000~50,000フィラメントであることが好ましく、取扱性の観点から12,000~24,000フィラメントであるのが特に好ましい。強化繊維糸条の形態は特に限定されないが、糸条の幅や厚みの安定性に優れる無撚糸であることが好ましく、さらに繊維配向に優れる開繊糸であることが好ましい。
ここで、本発明における強化繊維基材は[1]:強化繊維糸条、[2]:強化繊維糸条を並行に引き揃えてなる強化繊維糸条群、または[3]強化繊維糸条もしくは強化繊維糸条群で構成される強化繊維布帛、のうちいずれかより選ばれる強化繊維集合体からなることが好ましい。
まず、[1]:強化繊維糸条からなる強化繊維基材21は、例えば図3に例示する装置を使用して作成される。詳しくは、ボビン20から引き出された強化繊維糸条22は、開繊ユニット201により開繊、幅規制ローラ202にて所望の幅に調整した後、あらかじめ所望の幅にスリットした樹脂材料23(好ましくは、ポーラス状樹脂材料)と重ね合わせ、ヒーター203により加熱、プレスロール204により圧着することにより作成される。開繊ユニット201は振動ローラなどにより構成され、強化繊維糸条22の進行方向に対して直行する鉛直方向や水平方向に振動を加える機構を備える。また開繊ユニット201は、強化繊維糸条22表面に付着したサイジング剤を軟化させるためのヒーター(図示せず)を備えていても良い。このとき、ボビン20から引き出された強化繊維糸条22の糸幅をw0とすると、開繊後の強化繊維糸条22の幅はw1(w0<w1)に拡幅され、その後幅規制ローラ202によって幅w2(w1>w2)に調整される。w2は強化繊維基材21に求められる目付に応じて調整することが好ましい。また強化繊維基材21の幅精度を向上させるため、プレスロール204は溝付き構造とすることが好ましい。
かかる装置により作成された強化繊維基材21は、幅や目付の安定性が良く、また繊維配向にも優れるため、FRPの力学特性(特に圧縮強度)向上に寄与することができる。また樹脂材料23は強化繊維糸条群の両面に配置すると、強化繊維基材21の形態安定性がさらに向上するため好ましい。
次に、[2]:強化繊維糸条群からなる強化繊維基材21は、強化繊維糸条22からなる強化繊維基材の作成方法と同様に、例えば図3に例示する装置に複数のボビン20を掛け、複数の強化繊維糸条22を並行に引き揃えながら引き出すことにより作成される。ここで、並行に引き揃えるとは、隣接する強化繊維糸条22同士が、実質的に交差または交錯しない様に引き揃えることをいい、好ましくは、隣接する2本の強化繊維糸条を100mmの長さの範囲で直線に近似したとき、近似した直線が形成する角度が5°以下、さらに好ましくは2°以下となるよう引き揃えることである。ここで、強化繊維糸条22を直線に近似するとは、100mmの起点と終点とを結んで直線を形成することをいう。また隣接する強化繊維糸条22同士は、求められる強化繊維基材21の目付に応じて一定の間隔を隔てていてもよく、重なり合っていてもよい。一定の間隔を隔てる場合、間隔は強化繊維糸条22幅の200%以下であることが好ましく、重なり合っている場合は強化繊維糸条22幅の100%重なっていてもよい。このように並行に引き揃えながら引き出された強化繊維糸条群は、開繊ユニットを通過することにより、幅方向の目付を均一に分布させることが好ましい。また、かかる強化繊維糸条群から作られた強化繊維基材21は、必要であればスリットを行い、任意の幅に制御することも可能である。
[3]強化繊維糸条もしくは強化繊維糸条群で構成される強化繊維布帛については後述する。
また、強化繊維糸条22および強化繊維糸条群を使用した強化繊維基材21は、オートメーテッドファイバープレイスメント(AFP)やオートメーテッドテープレイアップ(ATL)装置が好適に用いられる。かかる装置は強化繊維基材21の廃棄率削減や積層工程自動化を目的として使用されるが、配置後の幅や繊維配向などが厳しく求められるため、強化繊維基材21の形態安定性が重要になる。ここで本発明に用いるポーラス状樹脂材料23はポーラス状の形態をしているため、平面方向の繋がりにより幅安定性や形態安定性に優れるため、AFPやATLに好適に用いることができる。
さらに本発明における強化繊維糸条群の別の態様としては、AFPやATLにより並行に引き揃え配置されたシート状のものも挙げられる。図4は本発明に用いられる強化繊維糸条群の一態様を示すものであり、強化繊維糸条32はAFPヘッド300によって供給され、並行に引き揃え配置される。かかる強化繊維糸条群31に、ポーラス状樹脂材料(図示せず)を重ね合わせるように配置し、遠赤外ヒーターなどにより加熱接着することで、強化繊維基材を得ることができる。AFPやATLによって引き揃え配置されたシート状の強化繊維糸条群31は、繊維方向と交差する方向に拘束が無いため、搬送の際に強化繊維糸条群31の形態が崩れる問題がある。かかる問題に対し、ポーラス状樹脂材料を配置し接着することで、繊維方向と交差する方向の拘束力が生まれ、搬送の問題を解決することができる。また、AFPやATLによって強化繊維糸条32を引き揃え配置する際の強化繊維糸条32同士の間隔は0.5~2mmであることが好ましい。間隔が0.5mm未満の場合、RTM成形時の樹脂含浸性が十分でなくなることがある。また間隔が2mmを超えると、複数枚の強化繊維基材を積層した際に、上層の強化繊維が下層の強化繊維糸条32間に落ち込み、厚さ方向のうねりが発生し力学特性(特に圧縮強度)が低下することがある。
次に[3]強化繊維糸条もしくは強化繊維糸条群で構成される強化繊維布帛としては、織物(一方向性、二方向性、多軸)、編物、組物、一方向に引き揃えられたシート(一方向シート)、一方向シートを2層以上重ね合わせた多軸シート等が挙げられる。このような強化繊維集合体はステッチ糸、結節糸、粗布、バインダー等の樹脂等による各種接合手段により複数のものを一体化したものであってもよい。特に輸送機器(特に航空機)の構造(特に一次構造)部材として用いる場合には、一方向シート、一方向性織物、または多軸シート(特にステッチ接合したもの)であるのが好ましい。
図5は、本発明に用いる強化繊維布帛としての一方向性織物41の一態様を示す概略斜視図である。強化繊維糸条42および経補助糸43が一方向性織物41の長さ方向、つまりたて方向に配列し、よこ方向には強化繊維糸条42より細い緯補助糸44が配列し、経補助糸43と緯補助糸44が交錯し、図5に示す織組織を有する一方向性織物である。かかる補助糸43としては低収縮性のものであることが好ましく、例えば、ガラス繊維糸、アラミド繊維糸、炭素繊維糸等が挙げられ、補助糸の繊度(単位長さあたりの重量)は強化繊維糸条の1/5以下であるのが好ましい。1/5を超えると、補助糸が太くなるので、補助糸によって強化繊維糸条がクリンプし、FRPにした際に若干強化繊維の強度低下をもたらす。一方、強化繊維集合体の形態安定性、製造安定性の面から、補助糸の繊度は強化繊維糸条の0.05%以上であるのが好ましい。上記範囲の繊度であると、強度低下を最小限にし、かつ成形の際に経補助糸によって形成される強化繊維糸条42の間隙が樹脂流路となり、マトリックス樹脂の含浸が促進できるので好ましい。
図6は、本発明に用いる強化繊維布帛としての二方向性織物51の一態様を示す概略斜視図である。強化繊維糸条52が二方向性織物51の長さ方向、つまりたて方向に配列し、よこ方向に強化繊維糸条53が配列し、たて糸52とよこ糸53が交錯し、図6に示す織組織を有する二方向性織物である。
図7は、本発明に用いる強化繊維布帛としてのステッチ布帛61の一態様を示す概略斜視図である。ステッチ布帛61の下面から、まず長さ方向イに対して斜め方向に多数本の強化繊維糸条が並行に配列して+α°層62を構成し、次いで強化布帛の幅方向に多数本の強化繊維糸条が並行に配列して90°層63を構成し、次いで斜め方向に多数本の強化繊維糸条が並行に配列して-α°層64を構成し、次いで強化布帛の長さ方向に多数本の強化繊維糸条が並行に配列して0°層65を構成し、互いに配列方向が異なる4つの層が積層された状態で、ステッチ糸66でこれら4層が縫合一体化されている。縫合一体化にあたってのステッチ糸66が形成する縫い組織としては、例えば単環縫い、1/1のトリコット編みが挙げられる。ステッチ糸の材料としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ビニルアルコール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアラミド樹脂、それらの組成物等から選ぶことができる。中でも、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂であると好ましい。布帛の賦型性の観点からは、スパンデックス(ポリウレタン弾性繊維)、ポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂の加工糸であることが好ましい。ステッチ糸の繊度は強化繊維糸条のクリンプを抑制するために強化繊維糸条の1/5以下であることが好ましい。また強化繊維集合体の形態安定性、製造安定性の面から10dtex以上、より好ましくは30dtex以上であることが好ましい。さらに、後述するプリフォーミング工程での賦形性の観点から、ステッチ糸は伸縮性を有することが好ましい。なお、図7で、断面形状が楕円状に示されている強化繊維の集合体が1糸条で、この強化繊維糸条間にステッチ糸66が配列しているかに見えるが、ステッチ糸66は強化繊維糸条に対してはランダムに挿入され、楕円状に示されている強化繊維の集合体はステッチ糸66の拘束によって形成されているのである。
ここで、図7に示した多軸ステッチ布帛61の強化繊維の構成は+α°層/90°層/-α°層/0°層の4層構成について説明したが、これに限定するものではない。たとえば0°層/90°層、+α°層/-α°層、0°層/+α°層などからなる2層、+α°層/0°層/-α°層、+α°層/-α°層/0°層などからなる3層、また、0°層/+α°層/0°層/-α°層/90°層/-α°層/0°層/+α°層/0°層のように、0°層が多く含まれるような、0°、+α°、-α°、90゜の4方向を含むものであってもよい。また、0°、+α°、-α°、90゜のいずれかを含むものであってもよい。なお、バイアス角α゜は、ステッチ布帛をFRPの長さ方向に積層し、強化繊維による剪断補強を効果的に行う観点から45゜が好ましい。
本発明における強化繊維基材の好ましい1層当たりの目付は50~800g/mの範囲内である。より好ましくは100~500g/m、更に好ましくは120~300g/mの範囲内である。50g/m未満であると所定のFRPの厚みを得るための積層枚数が増え、成形の作業性が悪く好ましくない。また、一層当たりの目付が小さいと、層内の強化繊維糸条と強化繊維糸条の間に隙間ができ、強化繊維体積含有率Vfが部分的に不均一となり、成形すると強化繊維体積含有率Vfが大きなところはFRPが厚くなり、また強化繊維体積含有率Vfが小さなところはFRPが薄くなり、表面が凸凹したFRPとなる。このような場合には、製織寸前やステッチ糸による一体化加工前に、または/および強化布帛加工後に強化繊維糸条を振動ローラやエアー・ジェット噴射で薄く拡げると、強化布帛の全面にわたり強化繊維の体積比が均一となり、表面が平滑なFRPが得られるので好ましい。また、800g/mを超えるとマトリックス樹脂の含浸性が悪くなるので好ましくない。
次に、本発明における強化繊維積層体について説明する。本発明における強化繊維基材はFRP成形に先立って、所望とする厚みに達するまで複数枚積層を行い、強化繊維積層体を形成する。本発明において、強化繊維積層体の取扱性や形態安定性を付与するために熱融着やステッチにより一体化されていることが好ましい。
また本発明における強化繊維積層体は、目的とする炭素繊維強化樹脂成形体の形態に合わせて、前記炭素繊維積層基材に対して賦形型や治具等を用いて立体形状を付与し、形状固着したプリフォームとすることもできる。特に、成形型が立体形状である場合において、このようにすることによって、型締め時、あるいは、樹脂注入・含浸時の繊維乱れやしわの発生を容易に抑制することができる。
次に、本発明のFRPについて説明する。本発明のFRPは、上述の強化繊維積層体にマトリックス樹脂が含浸したものである。かかるマトリックス樹脂は必要に応じて固化(硬化または重合)される。かかるマトリックス樹脂の好ましい例としては、例えば、熱硬化性樹脂、RIM(Reaction Injection Molding)用熱可塑性樹脂等が挙げられるが、中でも注入成形に好適であるエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂およびベンゾオキサジン樹脂から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
また、本発明のFRPは優れた力学特性を有し、かつ軽量であるため、その用途が航空機、自動車、船舶の輸送機器のいずれかにおける一次構造部材、二次構造部材、外装部材または内装部材であることが好ましい。
次に、本発明における強化繊維基材を用いたFRPの成形方法について説明する。
本発明における強化繊維基材のうち、強化繊維糸条や強化繊維糸条群からなる強化繊維基材は、AFPやATL装置によって所望の形状に引き揃え配置される。
かかる配置工程は、2次元平面形状で行われてもよいし、3次元形状で行われてもよい。2次元平面形状の場合は、1層毎に強化繊維基材を配置した後、ポーラス状の樹脂材料を配置・接着することで、1層毎の搬送が容易なシート状の強化繊維基材を作成することができ、別で用意している賦形用金型に、引き揃え配置された状態の形状を崩さず搬送することが可能となる。このとき配置するポーラス状の樹脂材料に少なくとも部分的に切れ込みが入っていると、後述するプリフォーミング工程での賦形性がより良好になるため好ましい。また搬送手段としては、静電気や吸引、針刺しなどの方法による搬送手段を用いることができる。
また1層毎に作成したシート状の強化繊維基材は、更に取扱性を良くするため、複数の層を重ね合わせて熱融着もしくはステッチにより一体化した強化繊維積層体としてもよい。このとき、2層目以降のn層目の強化繊維基材の配置方向を、(n-1)層目の配置方向とは異なる方向とすることにより、布帛と同様に扱うことができる複数層の強化繊維積層体とすることができる。かかる強化繊維基材の一体化工程は、強化繊維基材が重なり合っている全面に行われても良いし、部分的に行われていても良い。全面で一体化されていると強化繊維基材の形態安定性に優れる。一方、部分的に一体化されていると、後述するプリフォーミング工程において成形品形状への賦形の際に変形がしやすい(すなわち賦形性が良い)。よって成形品形状の複雑さによって、これらを任意に使い分けることが好ましい。
ここで、本発明における強化繊維基材は、(樹脂材料の付着していない)強化繊維糸条をAFPやATL装置によって所望の形状に引き揃え配置した強化繊維糸条群に、ポーラス状の樹脂材料を配置・接着したものも含むことができる。このことにより、耐衝撃性などの特性を有していない炭素繊維糸条に対しても耐衝撃性などの特性を付与することができる。
更に、1層目の強化繊維基材を配置した後、同じ平面上で2層目以降の配置を繰り返しても良い。かかる配置工程ではAFPやATL装置のヘッド部分にヒーターを設け、強化繊維基材表面の樹脂材料を溶融しながら2層目以降の強化繊維基材を配置することにより、強化繊維基材の配置工程と一体化工程の一括化ができる。このとき、2層目以降のn層目の強化繊維基材の配置方向を、(n-1)層目の配置方向とは異なる方向とすることにより、布帛と同様に扱うことができる複数層の強化繊維積層体とすることができる。
また本発明における強化繊維基材のうち、強化繊維集合体からなる強化繊維基材、および強化繊維糸条群の層間に樹脂材料を含む強化繊維積層体は、成形品形状に合わせて所望の形状にカットして用いられる。
このように作成した強化繊維基材もしくは強化繊維積層体は、1層ずつ、もしくは複数層を所望の角度構成で積層したのち、プリフォーミング工程を実施しプリフォームを作成する。プリフォーミング工程は樹脂材料のビカット軟化温度-30℃~ビカット軟化温度+30℃の範囲で加熱するのが望ましい。加熱温度が低いと樹脂材料が充分に軟化せずプリフォームの形態固定が成されないことがある。また加熱温度が高いと樹脂材料が強化繊維基材に浸透し、マトリックス樹脂の含浸性が悪くなることがある。
本発明のFRPの成形は、所謂樹脂注入成形によって行われ、RTM(Resin Transfer Molding)成形やVaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding)成形が好ましく適用される。本発明における強化繊維基材の少なくとも片面に配置されたポーラス状の樹脂材料は、強化繊維基材内部の空気を排出する際の流路(エアパス)としての機能や、樹脂拡散媒体としての機能を発揮する。したがって成形品内部品質の向上や、樹脂注入工程の高速化が実現できる。また本発明における強化繊維基材の少なくとも片面に配置されたポーラス状の樹脂材料は平面方向の繋がりがあるため、高圧で樹脂を注入した際の強化繊維基材の変形を防ぐことができる。
本発明に係る熱硬化性樹脂材料は、硬化後の樹脂じん性の指標の一つであるKicの値が0.8MPa・m1/2よりも大きい樹脂を用いることが好ましい。このような高い靭性の樹脂を用いることで、熱サイクル負荷により生じる亀裂発生の抑制や、発生した亀裂の進展を抑制することが出来る。より亀裂の発生や進展の抑制効果を高めるためには、Kicの値は1.0MPa・m1/2以上であることが好ましい。本発明におけるKicの値はASTM-D5045に則って測定される。
ここで、前記熱可塑性樹脂材料(1)のビカット軟化温度をT1(℃)としたときに、前記熱硬化性樹脂材料(2)を強化繊維集合体(3)に注入する注入温度Ti(℃)と前記熱硬化性樹脂の硬化温度Tr(℃)との関係が、Tr(℃)≧Tt(℃)>Ti(℃)とすることが好ましい。
かかる熱可塑性樹脂材料(1)の軟化温度が低く、マトリックス樹脂を炭素繊維基材に注入する温度以下で軟化・融解をしてしまうと、マトリックス樹脂が含浸する前に炭素繊維群の間もしくは表面に融け広がって隙間を埋めてしまい、炭素繊維基材へのマトリックス樹脂の含浸を阻害してしまうことがある。一方で、マトリックス樹脂が硬化を始める前に軟化を始めることで、マトリックス樹脂との間の界面が強固に接着し、耐衝撃性を効率よく発現することができたり、熱サイクル負荷により進展する亀裂の発生原因となる材料間の剥離が生じにくくなる。
本発明のFRPは、強化繊維体積含有率(Vf)が53~65%の範囲であり、SACMA-SRM-2R-94に記載されている衝撃付与後の常温圧縮強度が240MPa以上であることが好ましい。なお、Vf(単位はvol%)とは、繊維強化樹脂において強化繊維が占める体積比率のことを指し、具体的には次式によって定義され、ここで用いた記号は下記に示すとおりである。
Vf=(W×100)/(ρ×T)
W:強化繊維基材1cm当たりの強化繊維の重量(g/cm
ρ:強化繊維の密度(g/cm
T:繊維強化樹脂の厚さ(cm)
繊維強化樹脂のVfが53~65%の範囲であると、繊維強化樹脂の優れた力学特性を最大限に発現することができる。Vfが53%未満であると、軽量化効果に劣り、65%を超えると、上述の注入成形での成形が困難となるほか、力学特性(特に耐衝撃性)が低下する場合がある。すなわち、かかるVf範囲において、繊維強化樹脂のSACMA-SRM-2R-94に記載されている衝撃付与後の常温圧縮強度が240MPa以上であると、軽量化効果と力学特性とを共に満足する材料とすることができる。かかる要件を満たす繊維強化樹脂においては、その優れた力学特性と軽量化効果から、多岐の用途にわたって利用される。特に限定されないが、航空機、自動車、または、船舶等の輸送機器における一次構造部材、二次構造部材、外装部材、内装部材もしくはそれらの部品等に用いられ、その効果を最大限に発現する。
なお、SACMAとは、Suppliers of Advanced Composite Materials Associationの略であり、SACMA-SRM-2R-94とは、ここが定める試験法の規格である。衝撃付与後の常温圧縮強度とは、SACMA-SRM-2R-94に従って、Dry条件にて270インチポンドの衝撃エネルギーにおいて測定されたものである。
以下、実施例を用いて本発明を更に説明する。実施例および比較例に用いた原材料および成形方法は、次の通りである。なお、本発明はこれら実施例および比較例に限定されるものではない。
<ハンセン溶解度パラメータ>
測定対象試料をHSP値既知の溶媒36種類に浸漬し、試料の溶解もしくは膨潤状態の判定結果に基づいて、HSP値計算ソフトウェアを用いて求めた。
1)試料形態:熱可塑性樹脂材料:2mmφペレットもしくは繊維状
熱硬化性樹脂材料:硬化後樹脂小片(各辺約2mmの立方体)
2)試験溶媒:HSP値の異なる溶媒36種
3)処理条件:室温で2週間浸漬
4)判定基準:サンプルの状態を目視で観察し、以下の基準で判定した。
×:見た目溶解しておらず、サンプルの外観にも変化なし。
△△:サンプルが白化している(膨潤はしていない)。
△:サンプルが白化し、明らかに膨潤している。
○:サンプルの形状が崩れている。
◎:サンプル全てが溶解している。
5)計算ソフトウェア:HSPiP (Hansen Solubility Parameter in Practice) ver.5.0
<アイゾット衝撃試験>
住友重工製射出成形機SE75DUZを用い、長さ60mm、幅12.5mm、厚さ3.2mmのアイゾット衝撃試験片を成形した。この試験片にノッチカッターでノッチを付け、温度23℃×相対湿度50%下でASTM D256(2018)に従ってカットノッチ付きアイゾット衝撃強度を測定した。
<熱サイクル耐久性試験>
繊維強化樹脂サンプルを50mm×80mmに切断加工した後、以下の前処理を施した後、熱サイクル試験を行った。
前処理条件:70℃温水に2週間浸漬した。
熱サイクル条件:低温-55℃、高温70℃のサイクルを連続的に2000回繰り返した。各サイクルにおいて、低温、高温共に5分保持した。
熱サイクル試験完了後、顕微鏡にてサンプル断面を切り出し、倍率200倍にて観察し、剥離および亀裂の発生を以下の通り判定した。
×:剥離および亀裂が見られる。
△:剥離が見られる。
〇:剥離および亀裂は見られない。
<強化繊維糸条>
炭素繊維糸条として、PAN系炭素繊維、24,000フィラメント、引張強度:6.0GPa、引張弾性率:294GPaのものを用いた。
<熱可塑性樹脂材料>
4種の熱可塑性樹脂材料を以下の通り用意した。
実施例1:ポリアミド6Iとポリアミド12を共重合したポリアミド6I/12を調製した。
実施例2:“グリルアミド(登録商標)”TR90(エムスケミー・ジャパン(株)製)を使用した。
比較例1:ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸を等モル比重合し、ポリアミド6Iを調製した。
比較例2:共重合ポリアミド“アミラン(登録商標)”CM6041F1(東レ(株)製)を使用した。
ハンセン溶解度パラメータの相互作用球半径(r)、熱硬化性樹脂材料とのRa、アイゾット衝撃強さ、VSTは表1に示す通りであった。
<ポーラス状樹脂材料>
上記熱可塑性樹脂材料をメルトブロー装置により不織布化した。目付は10g/mであった。
<強化繊維基材>
図3に示す装置を使用して、幅1/4インチのテープ状強化繊維基材を作成した。強化繊維基材の目付は162g/mであった。
<強化繊維積層体>
かかる強化繊維基材は、AFP装置でシート化し、擬似等方積層[45/0/-45/90]3S(24層:ここで「3S」とは、[ ]内に示す配向角度順に積層したものと対称〔Symmetry〕配置となるように積層したものとを合わせて1組(4層×2=8層)とし、これを3組積層(8層×3=24層)した態様を示す。以下同じ。)の構成で平面状のプリフォーム型上に積層した後、バッグフィルムとシーラントにて密閉して真空に減圧した状態で、100℃のオーブンで1時間加熱した。その後、オーブンから取り出し、プリフォーム型を室温まで冷却した後に放圧して強化繊維積層体を得た。
<熱硬化性樹脂材料>
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型エポキシ(“アラルダイト(登録商標)”MY-721、ハンツマン・ジャパン(株)製)80重量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(“エピクロン(登録商標)”830、DIC(株)製)20重量部、4,4’-メチレンビス(2-イソプロピル-6-メチルアニリン)(“Lonzacure(登録商標)”M-MIPA(Lonza(株)製)70重量部をそれぞれ計り取り、100℃で1時間攪拌して均一溶解させた。ハンセン溶解度パラメータの相互作用球半径(r)は7.5(MPa)1/2であった。
<繊維強化樹脂>
得られた強化繊維積層体上に樹脂拡散媒体(アルミ金網)を積層し、平面状の成形金型とバッグ材とでシーラントを用いて密閉することによりキャビティを形成し、100℃のオーブン中に入れた。強化繊維積層体の温度が100℃に達した後に密閉したキャビティを真空に減圧して、マトリックス樹脂を100℃に保ちながら大気圧との差圧のみで注入した。樹脂が含浸した後、減圧を続けながら180℃に昇温し、2時間放置して硬化させて脱型し、FRP平板を得た。得られたFRP平板のVf、CAI値、熱サイクル耐久性は表1に示す通りであった。
Figure 2022055598000002
上記、実施例と比較例との比較により、本発明の熱可塑性樹脂材料、熱硬化性樹脂材料、強化繊維集合体からなる強化繊維樹脂は、耐衝撃性などの力学特性や熱サイクル耐久性などの耐環境性を高位でバランス化できることがわかる。
本発明のFRPは優れた力学特性を有し、かつ軽量であるため、その用途が航空機、自動車、船舶の輸送機器のいずれかにおける一次構造部材、二次構造部材、外装部材または内装部材に限らず、風車ブレード、ロボットアームやX線天板といった医療機器等の一般産業用途の部材にも好適である。
11:強化繊維基材
12:強化繊維集合体
13:熱可塑性樹脂材料
20:ボビン
21:強化繊維基材
22:強化繊維糸条
23:熱可塑性樹脂材料
201:開繊ユニット
202:幅規制ローラ
203:ヒーター
204:プレスロール
31:強化繊維糸条群
32:強化繊維糸条
300:AFPヘッド
41:一方向性織物
42:強化繊維糸条(経糸)
43:補助糸(経糸)
44:補助糸(緯糸)
51:二方向性織物
52:強化繊維糸条(経糸)
53:強化繊維糸条(緯糸)
61:ステッチ布帛
62:強化布帛を形成する+α°の強化繊維層
63:強化布帛を形成する90°の強化繊維層
64:強化布帛を形成する-α°の強化繊維層
65:強化布帛を形成する0°の強化繊維層
66:ステッチ糸

Claims (16)

  1. 熱可塑性樹脂材料と、熱硬化性樹脂材料と、強化繊維集合体を少なくとも含んでなる繊維強化樹脂であって、前記熱可塑性樹脂の、ハンセン溶解度パラメータの分散項(dD)と極性項(dP)と水素結合項(dH)で示される座標[dD,dP,dH]を中心とする相互作用球の半径を(r)、前記熱硬化性樹脂の、ハンセン溶解度パラメータの分散項(dD)と極性項(dP)と水素結合項(dH)で示される座標[dD,dP,dH]を中心とする相互作用球の半径を(r)、Ra=(4(dD-dD+(dP-dP+(dH-dH1/2 としたとき、Ra≦(r+r)を満たし、
    且つ、前記熱可塑性樹脂材料の、ノッチ付きアイゾッド衝撃強さが30J/m以上である繊維強化樹脂。
  2. 前記Raが、4(MPa)1/2以上、10(MPa)1/2以下であることを特徴とする、請求項1に記載の繊維強化樹脂。
  3. 前記熱可塑性樹脂材料のビカット軟化温度が70~200℃の範囲であることを特徴とする、請求項1または2に記載の繊維強化樹脂。
  4. 前記熱可塑性樹脂材料が前記熱硬化性樹脂に対して1~50重量%の範囲で存在することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の繊維強化樹脂。
  5. 前記熱可塑性樹脂材料がポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂およびフェノキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種またはそれらの混合物からなることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の繊維強化樹脂。
  6. 前記熱可塑性樹脂材料が非晶性ポリアミドであることを特徴とする、請求項5に記載の繊維強化樹脂。
  7. 前記熱可塑性樹脂材料がイソフタル酸成分を含む半芳香族ポリアミドであることを特徴とする、請求項5または6に記載の繊維強化樹脂。
  8. 前記熱可塑性樹脂材料の形状が粒子状または繊維状であることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の繊維強化樹脂。
  9. 前記熱可塑性樹脂材料の形状が繊維からなるポーラス状であることを特徴とする、請求項8に記載の繊維強化樹脂。
  10. 前記強化繊維集合体が、[1]:強化繊維糸条、[2]:強化繊維糸条を並行に引き揃えてなる強化繊維糸条群、[3]:[1]または[2]で構成される強化繊維布帛、のうちいずれかより選ばれる少なくとも2層以上積層された集合体であり、前記熱可塑性樹脂材料は前記強化繊維集合体の層間に存在することを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の繊維強化樹脂。
  11. 前記強化繊維糸条群が、複数の強化繊維糸条が並行に引き揃えられたシート状のものである、請求項10に記載の繊維強化樹脂。
  12. 前記強化繊維糸条群が、オートメーテッドファイバープレイスメント装置により並行に引き揃え配置されたシート状のものである、請求項10または11に記載の繊維強化樹脂。
  13. 前記強化繊維集合体が、強化繊維糸条を一方向に並行に引き揃えてなる強化繊維糸条群と、強化繊維糸条と交差する方向に延在する、繊度が強化繊維糸条の繊度の1/5以下である補助繊維糸条群とから構成される一方向性織物である、請求項1~12のいずれかに記載の繊維強化樹脂。
  14. 前記強化繊維集合体が、一方向に配列された前記強化繊維糸条群と、異なる方向に一方向に配列された強化繊維糸条群とから構成される二方向性織物である、請求項1~12のいずれかに記載の繊維強化樹脂。
  15. 前記強化繊維布帛が、一方向に配列された前記強化繊維糸条群と、異なる方向に一方向に配列された強化繊維糸条群との少なくとも2層以上が交差積層され、繊度が強化繊維糸条の1/5以下である補助繊維糸条群により縫合一体化されたステッチ布帛である、請求項10に記載の繊維強化樹脂。
  16. 強化繊維体積含有率が53~65%の範囲であり、SACMA-SRM-2R-94に記載されている衝撃付与後の常温圧縮強度が240MPa以上である、請求項1~15のいずれかに記載の繊維強化樹脂。
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