JP2005272526A - 複合材料および複合材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】力学特性(特に圧縮強度)に優れ、かつ、マトリックス樹脂の含浸性にも優れることにより複合材料が生産性よく製造できる複合材料およびその複合材料の製造方法を提供する。
【解決手段】強化繊維糸条を少なくとも一方向に平行するように引き揃えて構成される強化繊維糸条群と、該強化繊維糸条群と交差する方向に延在する補助繊維糸条または補助単繊維から構成される補助繊維糸条群とを含む強化繊維基材を、複数枚積層してマトリックス樹脂で固化してなる複合材料であって、該複合材料の強化繊維基材層と強化繊維基材層との間に形成される層間には前記マトリックス樹脂とは異なる樹脂材料が配されており、かつ、前記複合材料の強化繊維糸条が引き揃えられている方向と平行でかつ強化繊維基材が形成する面と垂直である断面において、前記補助繊維糸条が構成する糸条領域における強化繊維基材が形成する面と垂直方向の径dが50μm以下であることを特徴とするものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、航空機や自動車等の構造部材等において要求される力学特性(特に、圧縮強度等)に優れ、かつ、生産性よく製造できる複合材料およびその複合材料の製造方法に関するものである。
強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させた複合材料は、優れた力学特性、軽量化等の要求特性を満たすことから主に航空、宇宙、スポーツ用途に用いられてきた。
これらの複合材料の代表的な製造方法として、オートクレーブ成形法が知られている。
かかるオートクレーブ成形法では、一方向に配列した強化繊維束群にマトリックス樹脂を予め含浸させたプリプレグを、成形型に積層してオートクレーブにて加熱・加圧し、複合材料を成形する。ここで用いられるプリプレグは、極めて信頼性の高い複合材料が得られる利点があるが、製造に高いコストがかかるという問題があった。
一方、複合材料の生産性に優れる成形法としては、例えば、レジン・トランスファー・モールディング成形法(RTM法)等の注入成形が挙げられる。
かかるRTM法は、マトリックス樹脂を予備含浸していない、いわゆるドライな強化繊維束群で構成されている布帛を、成形型に積層して、低粘度の液状のマトリックス樹脂を該成形型内に注入して、該布帛中にマトリックス樹脂を含浸させることによって複合材料を成形するものである。
ところが、このような注入成形は、複合材料の生産性には優れるものの、ドライな状態で取り扱いが可能な布帛、例えば、織物を用いる必要があるという不都合があった。
すなわち、一般に織物においては、強化繊維を二方向に織組織するものであるため、経糸と緯糸の交錯点で強化繊維に屈曲(クリンプ)が発生するが、このクリンプによる強化繊維・繊維糸の真直性の低下、更には、用いる経糸や緯糸と、マトリックス樹脂との接着性により、プリプレグを用いた場合に比べて、最終製品では力学特性、特に圧縮強度に劣るのが一般的であった。
すなわち、通常の織物では、例えば、航空機等の一次構造部材に要求されるレベルの非常に高い力学特性、特に圧縮強度の実現が達成できないという問題があった。
かかる問題に対し、例えばシート状の強化繊維束を固定するための熱接着性シートとして、成形加工時にマトリックス樹脂の溶剤に溶かされるものを用いるという発明が提案がされている(特許文献1)。
しかしながら、一般的に、かかる熱接着性シートを融着したシート状の強化繊維束を用いる場合、マトリックス樹脂の流路がなく、含浸性が著しく低下するために、上述したRTM法による生産性の向上という利点が損なわれるだけでなく、マトリックス樹脂の未含浸部が発生しやすいといった複合材料の品質低下に直結する問題があった。
更には、特許文献にも開示されているように、溶剤を用いるようなマトリックス樹脂(例えば、ビニルエステル)では、本発明の課題である極めて高い力学特性は達成し得ない(特許文献1)。それは、完全には脱溶媒できず、ボイドを形成しやすいことによる。
また、先行技術として、マトリックス樹脂に溶解する性質を有する熱可塑性樹脂繊維を、強化繊維と同じ方向に配列して交織し、該交織後、該熱可塑性樹脂繊維をマトリックス樹脂中に溶解させて高靭性化を図るという提案がされている(非特許文献1)。
しかしながら、このような先行技術においては、高靭性化はある程度は達成できるものの、構造部材として特に重要視される圧縮強度に対する向上効果、すなわち、強化繊維の真直性の向上効果は、強化繊維と同じ方向に上記マトリックス樹脂に溶解する性質を有する熱可塑性樹脂繊維を配列している非特許文献1では、ほとんど発現されないものであった。
また、非特許文献1では、織物として2方向性織物を用いているため、前述した通り、本発明の課題である極めて高い力学特性は達成し得ないものであった。ここで、2方向性織物とは、強化繊維糸条を経糸および緯糸として用いた織物をいい、そのような2方向性織物では、クリンプが発生することから、強化繊維糸条が屈曲して、優れた力学特性(特に圧縮強度)を達成するのが難しいである。
以上のような先行技術文献による提案では、専ら、基材における強化繊維糸条の真直性を有効に発揮することができず、特に圧縮についての力学特性は向上しないのである。さらには、ともすれば、力学的特性の向上が不十分なだけにとどまらず、樹脂の含浸性等に起因する生産性の点においても問題があったものである。
特開平3−234522号公報(第3頁) "Epoxy Soluble Thermoplastic Fibers:Enabling Technology For The Manufacture of High Toughness Aerospace Primary Structure Via Liquid Resin Infusion Processes"SAMPE Europe Technical Paper,April 2003,P1-16(第6頁)、Carmelo lo Faro他
本発明は、かかる従来技術の問題点の解決を目的とするものであり、具体的には力学特性、特に、圧縮強度特性に優れ、かつ、マトリックス樹脂の含浸性にも優れることにより、高性能でかつ生産性良く製造することのできる複合材料と、その複合材料の製造方法を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
すなわち、本発明の複合材料は、強化繊維糸条を少なくとも一方向に並行するように引き揃えて構成される強化繊維糸条群と、該強化繊維糸条群と交差する方向に延在する補助繊維糸条または補助単繊維から構成される補助繊維糸条群とを含む強化繊維基材を、複数枚積層してマトリックス樹脂で固化してなる複合材料であって、該複合材料の強化繊維基材層と強化繊維基材層との間に形成される層間には前記マトリックス樹脂とは異なる樹脂材料が配されており、かつ、前記複合材料の強化繊維糸条が引き揃えられている方向と平行でかつ強化繊維基材が形成する面と垂直である断面において、前記補助繊維糸条が構成する糸条領域における強化繊維基材が形成する面と垂直方向の径dが50μm以下であることを特徴とするものである。
また、本発明の複合材料の製造方法は、強化繊維糸条を少なくとも一方向に平行するように引き揃えて構成される強化繊維糸条群と、強化繊維糸条と交差する方向に延在する補助繊維糸条から構成される緯方向補助繊維糸条群とを含む強化繊維基材を複数層積層したものに、マトリックス樹脂を含浸し、固化させて複合材料を成形する方法であって、次の(A)〜(C)の工程を経ることを特徴とするものである。
(A):補助繊維糸条の断面における短径がd1である強化繊維基材を得る製布工程。
(B):強化繊維基材にマトリックス樹脂を含浸させる含浸工程。
(C):前記補助繊維糸条の断面における短径が、前記d1よりも小さい値d2の状態でマトリックス樹脂を固化させて複合材料にする固化工程。
請求項1にかかる本発明によれば、力学特性、特に、圧縮強度特性に優れ、また、マトリックス樹脂の含浸性にも優れることにより、高性能でかつ生産性の良い複合材料が提供される。
請求項2にかかる本発明によれば、更に力学特性に優れ、高性能な複合材料が提供される。
請求項3にかかる本発明によれば、更に含浸性に優れ、更に生産性の良い複合材料が提供される。
請求項4にかかる本発明によれば、基材の積層が効率化され、更に生産性の良い複合材料が提供される。
請求項5にかかる本発明によれば、特に含浸性に優れ、更に生産性に優れる複合材料が提供される。
請求項6にかかる本発明によれば、特に基材の積層が効率化され、更に生産性の良い複合材料が提供される。
請求項7にかかる本発明によれば、特に力学特性(引張、圧縮強度)と含浸性とを高いレベルで両立できる複合材料が提供される。
請求項8にかかる本発明によれば、特に圧縮強度に優れ、高性能な複合材料が提供される。
請求項9にかかる本発明によれば、特に基材のハンドリング性と力学特性とを高いレベルで両立した複合材料が提供される。
請求項10にかかる本発明によれば、特に基材の積層構成に自由度を有した高性能な複合材料が提供される。
請求項11にかかる本発明によれば、特に低コストな複合材料が提供される。
請求項12にかかる本発明によれば、特に力学特性と軽量化効果を高いレベルで両立した複合材料が提供される。
請求項13にかかる本発明によれば、特に力学特性(圧縮強度)に優れ、高性能な複合材料が提供される。
請求項14にかかる本発明によれば、特に強靱性に優れ、高性能な複合材料が提供される。
請求項15にかかる本発明によれば、特に高い力学特性を有しているので、構造部材として耐え得る複合材料が提供される。
請求項16にかかる本発明によれば、力学特性、特に、圧縮強度特性に優れ、また、マトリックス樹脂の含浸性にも優れることにより、高性能でかつ生産性の良い複合材料を生産することを可能にする複合材料の製造方法が提供される。
請求項17〜19にかかる本発明によれば、更に圧縮強度に優れ、高性能な複合材料の製造方法が提供される。
請求項20にかかる本発明によれば、更に強靱性に優れるだけでなく、含浸性にも優れ、高性能と高い生産性とを高いレベルで両立した複合材料の製造方法が提供される。
本発明の複合材料は、まず、強化繊維糸条が少なくとも一方向に平行するように引き揃えられて構成されている強化繊維糸条群と、該強化繊維糸条と交差する方向に延在する補助繊維糸条から構成される緯方向補助繊維糸条群とを含む強化繊維基材が、複数枚積層されて、マトリックス樹脂で固化されている複合材料である。そして、該複合材料の層間にはマトリックス樹脂とは異なる樹脂材料が配されており、かつ、複合材料の強化繊維糸条が引き揃えられている方向と平行に、かつ、強化繊維基材が形成する面と垂直である断面において、前記補助繊維糸条が構成する糸条領域における強化繊維基材が形成する面と垂直方向の径dが50μm以下以下であるものである。
本発明で用いる強化繊維基材において、強化繊維糸条は、互いに平行に引き揃えられ、少なくとも一方向に配列されて、それら複数の糸条が強化繊維糸条群を構成している。
また、補助繊維糸条は、強化繊維糸条の配列されている方向と交差する方向、すなわち、強化繊維糸条を横切って、すなわち、強化繊維糸条と直交するか、斜めに交差する方向のもとに配置されている。ここで、交差する方向とは、補助繊維糸条が強化繊維糸条の配されている方向と交差する方向、すなわち、強化繊維糸条を横切って強化繊維糸条と直交するか、斜めに交差する方向に配置しているものである。
これらの二種類の糸条群は、強化繊維基材を構成している。
該強化繊維基材においては、主に強化繊維糸条が後述する複合材料中でマトリックス樹脂材を物理的に強化する役目をなし、例えば、その繊維素材としては、後述する炭素繊維や黒鉛繊維、ガラス繊維、さらにはその組合せ等、その他各種の繊維を使用でき、一方、補助繊維糸条または補助単繊維は、それ自体は、基材の形態保持の役目をなすものである。
該強化繊維基材は、それらが複数枚積層されて、マトリックス樹脂で固化されて一つの複合材料を構成している。
本発明において、強化繊維糸条とは、 マトリックス樹脂単独で得られた成形体よりも強度または弾性率を50%以上向上させる効果を奏する糸条を指す。
また、補助繊維糸条とは、強化繊維糸条よりも繊度が小さく、該強化繊維糸条の25%(1/4)以下であるものを指し、種類は特に制限されない。より好ましくは繊度が10%以下、さらに好ましくは1%以下のものである。
そして、該複合材料においては、複合材料の層間にはマトリックス樹脂とは異なる樹脂材料が配されており、さらに、強化繊維糸条が引き揃えられている方向と平行で、かつ、強化繊維基材が形成する面と垂直である断面において、前述の補助繊維糸条が構成する糸条領域における強化繊維基材が形成する面と垂直方向の径dが50μm以下であるものである。
ここで、図6は、該径dを模式的に示した概略断面モデル図であり、径dは、図示のとおりに上述の強化繊維基材が形成する面と垂直方向の径の最大値である。ここで、前記補助繊維糸条の場合、糸条領域とは、最外に位置する補助繊維の単繊維を含む領域を示すものであり(図6(a))、また、前記補助繊維糸条がモノフィラメントである場合、そのフィラメントが占める領域を指す(図6(b))。
ここで、「層間」とは、強化繊維基材が積層された構造において、強化繊維機材層と強化繊維機材層との間に形成される層間という概念であり、図7にその概念をモデル的に示した。
本発明において、「複合材料との層間にはマトリックス樹脂とは異なる樹脂材料が配されている」とは、上述したような層間において、マトリックス樹脂とは相違する樹脂材料が存在していることが認められることをいう。該マトリックス樹脂と相違する樹脂材料は、補助繊維糸条由来のものであってもよい。そのような構造であれば、補助繊維糸条が、特に複合材料中になじみ良く存在することとなり、マトリックス樹脂との接着性に優れた複合材料を得ることができるようになる。補助繊維糸条は、マトリックス樹脂を含浸させたときに、該マトリックス樹脂により該補助繊維糸条が溶解または変形されるという構成をとるのが最もよい。
該補助繊維糸条は、本発明にかかる複合材料中において、上述の如く、その単繊維短径dが50μm以下であるものであるが、溶解または変形により細化されて初めて単繊維短径dが50μm以下となったもの、すなわち、溶解前は50μmよりも太いものでもよく、あるいは溶解または変形される前から単繊維短径dが50μm以下であるものでも良いものである。
また、本発明において、強化繊維糸条の体積率Vfは、53〜65%の範囲内であることが好ましい。ここで、強化繊維糸条の体積率Vfとは、強化繊維糸条の体積配合率をいうものである。
強化繊維基材の組織形態は、特に限定されず、本発明の課題を解決できるものなら各種の形態をとることができる。
例えば、一方向性、二方向性、三次元性等の織物、編物、組物、一方向性シート、一方向性シートを多方向下に2層以上重ね合わせた多方向性シート等を用いることができ、さらに、これら布帛は、ステッチ糸、結節糸、樹脂(不連続フィルム、不織布、バインダー等)等による各種接合手段により複数のものが一体化されてなるものであってもよい。
特に、輸送機器の構造部材として用いる場合には、一方向性織物、二方向性織物、一方向性シートまたは多方向性シート(特にステッチ糸により一体化したもの)であるのが好ましい。中でも、航空機の一次構造部材では、非常に高い力学特性(特に、圧縮強度)が要求されるが、二方向性シートでは強化繊維糸条を二方向に配向すること、経方向の強化繊維糸条と緯方向の強化繊維糸条との交錯点での強化繊維糸条のクリンプが大きくなることにより、要求に耐え得る力学特性が発現しにくい場合がある。つまり、かかる問題が確実に解消できる点で、本発明で使用する強化繊維基材としては、一方向性シートであるのがとりわけ好ましい。
ここで、かかる一方向性シートについて、より具体的に説明する。
一方向性シートとは、強化繊維糸条が互いに平行するように引き揃えられ、一方向にのみ配列しているものを指す。該シートの基本構造は、織組織によるものでよく、不織組織によるものなどのいずれであってもよい。また、強化繊維糸条が一方向に配列されていればよく、さらに、補助繊維糸条がたて編(例えば、1/1トリコット編組織等)またはよこ編で配置している編組織であってもよいし、それらの組み合わせでもよい。
一方向性シートは、それらの中でも、特に一方向性織物であるのが好ましい。かかる一方向性織物であると、一方向性強化繊維布帛の製造の容易さ、形態安定性が最大限に発現されるだけでなく、マトリックス樹脂の含浸性、強化繊維糸条の真直性にも優れる。
図1は、本発明の複合材料中の強化繊維基材の一態様の断面模式図である。図1において、強化繊維基材11は、強化繊維糸条12と、補助繊維糸条13と、樹脂材料14とから形成されている。かかる強化繊維基材11は、強化繊維糸条12が主体をなしていることから、一方向性織物の一種である。
樹脂材料14は、強化繊維基材11の表面に接着して、複合材料の層間に存在しているものであり、この状態は図7にモデルを示したとおりである。
樹脂材料が、かかる層間に配置されていると、複数枚が積層されて形成される疑似等方積層構成を有する複合材料の衝撃付与後の圧縮強度(Compression After Impact、以下、略して、CAIと記載する)に優れるものとなる。かかるCAIは、複合材料が輸送機器(特に航空機)の構造部材(特に一次構造部材)として用いられる場合、非常に重視される力学特性であり、複合材料を構造部材に用いるに際し、高いCAIを有している必要性が高いものである。
本発明で用いる樹脂材料は、強化繊維基材を積層して得られる複合材料において、クラックストッパーの役目、および複合材料の成形時の残留応力の緩和の役目を果たす。特に、複合材料が衝撃を受けたときに、基材層間の損傷抑制の役目を果たし、優れた力学特性(特にCAI)、すなわち、高靱性化効果をもたらす。
高靱性化効果に加え、基材を積層した場合に、樹脂材料がスぺーサーとなって、隣接する基材の層間にスペースを形成する。このスぺースを形成することによる効果は、マトリックス樹脂が積層された基材に注入された複合材料が成形される際、マトリックス樹脂の流路の形成の役目を果たすことになり、これにより、マトリックス樹脂の基材への含浸が容易になるだけでなく、その含浸速度も速くなり、複合材料の優れた生産性をもたらすこととなる。
本発明で用いられる樹脂材料は、複合材料の力学的特性を向上させるものであればよく、特に限定されない。樹脂材料として、熱硬化性樹脂および/または熱可塑性樹脂を適宜に選択して使用することができる。
熱硬化性樹脂を樹脂材料の主成分として用いる場合には、エポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、フェノール、ビスマレイミドから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、その中でもエポキシが好ましい。エポキシを使用すると、接着性が高いため基材の接着性やタック性に優れるだけでなく、特にマトリックス樹脂としてエポキシ樹脂を用いた場合に高い力学特性を発現することができる。
エポキシを主成分とする場合は、硬化材や硬化触媒などを含んでもよいし、あるいは含まなくてもよいが、樹脂材料のライフの面から後者の方が好ましい。前者の場合でも潜在性の高い硬化材や硬化触媒であれば、特に大きな問題とはならない。
熱可塑性樹脂を樹脂材料の主成分として用いる場合には、ポリアミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、フェノキシから選ばれる少なくとも1種であるのが好ましく、その中でも、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルスルフォン、フェノキシがとりわけ好ましい。
かかる熱可塑性樹脂は、樹脂材料の主成分となり、その配合量が70〜100重量%であることが好ましく、75〜97重量%であることがより好ましく、80〜95重量%であることが最も好ましい。配合量が70重量%未満であると、CAIに優れた複合材料を得にくい場合があり好ましくない。
ただし、熱可塑性樹脂を主成分とした場合、樹脂材料の基材への接着性やタック性が劣る場合がある。この場合には、樹脂材料に副成分として少量の粘着付与剤、可塑剤等を配合するとよい。かかる副成分として、熱硬化性樹脂を含むことが好ましく、上述の例に挙げられるものが使用できる。中でもエポキシが好ましい。
本発明において、複合材料の層間において、マトリックス樹脂とは異なる樹脂材料が配されていることの意義は、次の通りである。すなわち、マトリックス材料と樹脂材料とは、その役割がそれぞれ異なることから、少なくとも一部でも異なる成分を用いるのがよいのであり、マトリックス樹脂は含浸性に優れ(注入温度で樹脂粘度が低く、ゲル化時間が長い)、かつ力学特性に優れるものを選択し、一方、樹脂材料は高い力学特性を付与するものをそれぞれ選択して使用するのが好ましい。もちろん、マトリックス樹脂と樹脂材料とが、その一部に同一成分を使用することに何ら制限はなく、両者の相性の面からは好ましい形態と言える。
かかるマトリックス樹脂を注入成形にて含浸する場合は、その粘度が低いと含浸が容易なため、成形サイクルを短くできるため好ましい。より具体的には注入温度において400mPa・s以下、より好ましくは200mPa・s以下の粘度である。また、注入温度は100℃以下であると設備が簡易なものにできるため好ましい。
樹脂材料の形態としては、フィラメント状や、例えば、織物、編物、不織布、マット等の布帛状、粒子状、不連続状(短繊維状)等の任意の形態をとることができ、これらを組合せて使用することもできる。これらの形態は、複合材料の使用目的によって使い分けるのが好ましいが、ミクロ的な均一性の面、力学特性の向上効果の面から粒子状(好ましくは球状)または不織布状であるのが最も好ましい。
図2は、本発明の範囲外の複合材料中の強化繊維基材の一態様例としてモデルを示した断面模式図である。図2において、強化繊維基材21は、強化繊維糸条22と、補助繊維糸条23とから構成される。強化繊維基材21は、図1と同様に一方向性シートであるが、補助繊維糸条の形成する短径dが50μmを越えているため、強化繊維糸条の真直性が阻害されてしまっているものである。
すなわち、かかる補助繊維糸条は、強化繊維糸条を横切って配置されているため、両者が交差または交錯する箇所が必ず形成される。かかる箇所において、補助繊維糸条の断面積(短径d)が大きすぎると、補助繊維糸条が強化繊維糸条を機材の厚み方向に屈曲(クリンプ)させ、強化繊維糸条の真直性を阻害してしまうこととなり、これが、力学特性に優れる複合材料を得ることができないことの一因となる。
かかるクリンプは、複合材料の強化繊維体積率が高ければ高いほど顕著に発現し、その場合、一般的に軽量化効果には優れるものであるが、力学特性を著しく低下させているのである。本発明者らの知見によれば、補助繊維糸条の断面積または補助単繊維の断面積(短径d)が、d>50μmである場合には、優れた軽量化効果と極めて高い力学特性が要求される航空機の一次構造部材等に用いることができるような複合材料は、一般的に、得られない。
一方、d≦50μmである場合には、強化繊維糸条のクリンプは僅かながら形成されるものの、強化繊維糸条の真直性にはほとんど影響を及ぼすには至らない。そのため、力学特性の低下は実質的に無視できるレベルとなり、高い強化繊維体積率でありながら、極めて高い力学特性を発現する複合材料を得ることができるのである。
クリンプを抑制する観点から、補助繊維糸条は、マルチフィラメントであることが好ましい。さらに好ましくは5フィラメントを超えるものである。マルチフィラメントであると、フィラメント単糸の繊度(直径)を更に小さくすることが可能となり、一層クリンプを小さくして強化繊維糸条の真直性を高めることができる。また、補助繊維糸条の糸切れも少なくでき、取扱性、強化繊維基材の製造安定性の面からも優れるため好ましい。なお、マルチフィラメントの場合、成形した複合材料が高い力学特性、強化繊維体積率を達成するために、実質的に無撚のものを用いることが好ましい。
また、強化繊維基材は、強化繊維糸条が経方向の一方向にのみ平行するように引き揃えられた一方向性シートの複数がステッチ糸により一体化されていて、全体として強化繊維基材は二方向性シートまたは多方向性シートを構成してなるものであることが好ましい。
また、強化繊維糸条の体積率が、53〜65%の範囲内にある複合材料であって、SACMA−SRM−1R−94に規定される方法による常温0°での圧縮強度が1,350MPa以上であり、かつ、湿熱処理後の高温0°圧縮強度が1,100MPa以上である複合材料であることが好ましい。
また、先発明の複合材において、強化繊維基材の1層の厚みが100〜600μmであることが好ましい。
また、複合材料は、マトリックス樹脂を注入した注入成形により成形されてなるものであることが好ましい。
また、補助繊維糸条の断面形態は、できるだけ扁平状、またはテープ状になっているのが好ましい。具体的には、糸条幅(w)と糸条厚(t)との比率(w/t)が2以上であるのが好ましい。より好ましくは4以上である。例えば、加撚、糸条によるカバーリング、複数糸条の合糸、または集束剤の付与等により断面形態が丸くなると、強化繊維糸条のクリンプを大きくしてしまう場合がある。なお、マルチフィラメントの場合、フィラメント単糸が厚み方向にそれぞれ重ならずに、平行に並んでいる形態が好ましい。
すなわち、補助繊維糸条は、補助繊維糸条が太くなる(断面形態が厚くなる)ような処理または加工がなされていないのが好ましい。例えば、加撚、糸条によるカバーリング、複数糸条の合糸、または集束剤や接着剤などの付与等を行うと、太くなる場合がある。
また、補助繊維糸条は、ウーリ加工、捲縮加工、交絡加工等の二次加工されたものであると、太くなる場合がある。好ましい補助繊維糸条の断面積(短径d)は、50μm以下、より好ましくは30μm以下、とりわけ20μm以下であるのが好ましい。かかる厚みは、複合材料の強化繊維糸条の引き揃えた方向と平行に、かつ、一方向シートが形成する面と垂直である断面について、鏡面研磨を行い、補助繊維糸条の形成する短径dを光学顕微鏡を用いて測定し、n数は20〜50の範囲として平均した値を指す。
かかる一方向性シートの組織形態としては、上述の組織形態以外に、例えば、経方向の補助繊維糸条が互いに平行に引き揃えられ、強化繊維糸条と同じ方向に配列している織組織または不織組織であってもよいし、経方向の補助繊維糸条がたて編組織(例えば、鎖編、鎖編と1/1トリコット編を組み合わせた袋網編組織等の複合編組織等)で配置している編物であってもよいし、それらの組み合わせ(例えば、並行に引き揃えた強化繊維糸条と補助繊維糸条との不織組織を、経方向の補助繊維糸条のたて編にて編組織化する等)でもよい。それらの中でも一方向性織物(一方向性ノンクリンプ織物)であるのが好ましい。
かかる一方向性ノンクリンプ織物は、強化繊維糸条を、互いに並行にかつシート状に一方向に引き揃えた強化繊維糸条群のシート面の両側に、強化繊維糸条群と交差する補助糸条群が位置し、それら補助糸条群と、強化繊維糸条と並行する経方向の補助糸条群とが織組織をなして糸条群を一体に保持したものである。かかる一方向性ノンクリンプ織物であると、上述の一方向性織物よりも、強化繊維基材の取扱性だけでなく、強化繊維糸条の真直性、マトリックス樹脂の含浸性が、一層高く発現するため、本発明の基材として最も好ましい形態といえる。
上述において、「二方向性シート」とは、強化繊維糸条が、互いに平行するように引き揃えられ、二方向にのみ配列しているものを指す。
「多方向性シート」とは、強化繊維糸条が互いに平行するように引き揃えられ、多方向にそれぞれが配列しているものを指す。
また、「ノンクリンプ織物」とは、強化繊維糸条と平行する方向に延在する、連続した補助繊維糸条から構成される経方向補助繊維糸条群を有し、かつ、強化繊維機材の両面に緯方向補助繊維糸条群が配され、それを構成する補助繊維糸条と経方向背所繊維糸条群を構成する補助繊維糸条とが織組織を構成し、強化繊維糸条を一体に保持した織形態を指す。
図3は、本発明の強化繊維基材として用いられる一方向性織物の一態様の斜視図である。図3において、強化繊維基材31である一方向性織物は、互いに並行に引き揃えられ、一方向に配列された強化繊維糸条32をたて糸とし、それと直角に横切った補助繊維糸条33をよこ糸として、互いに交錯して平織組織にて強化繊維基材31を形成したものである。なお、図3の織組織は平織であるが、朱子織、綾織等の適宜の織組織を適用することができる。
図4は、本発明の強化繊維基材として用いられる一方向性織物の別の態様の斜視図である。図4において、強化繊維基材41である一方向性織物は、互いに並行に引き揃えられ、一方向に配列された経方向の補助繊維糸条44のたて糸と、それと直交する緯方向の補助繊維糸条43であるよこ糸とが、互いに交錯して平織組織を形成し、互いに並行に引き揃えられ、一方向に配列された強化繊維糸条42を支持して布帛41を形成したものである。
なお、図4の経方向の補助繊維糸条42と緯方向の補助繊維糸条43との織組織は平織であるが、これられに限定されず、朱子織、綾織等の織組織を用いることができる。
本発明において、強化繊維基材は、強化繊維糸条と補助繊維糸条との交錯点数を1万〜13万点/m2 の範囲で有するものであることが好ましい。交錯点数(点/m2 )とは、織物の場合、経糸密度(本/cm)と緯糸密度(本/cm)の積に10000倍を乗じた値である。使用する強化繊維基材が、その交錯点数が上述の範囲内であれば、強化繊維基材が優れた取り扱い性(ハンドリング性)を発現することができる。交錯点数が、13万点/m2 よりも多い場合には優れた力学特性を発現できない場合があり、また、1万点/m2 よりも少ない場合には取り扱い性に劣る場合があり、いずれも注意する必要がある。
本発明における基材を構成する強化繊維束としては、例えば、炭素繊維や黒鉛繊維(PAN系、ピッチ系、セルロース系等)、ガラス繊維(Sガラス、Eガラス、Tガラス等)、有機繊維(アラミド、パラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリビニルアルコール、高強度ポリエチレン等)、これらを2種類以上併用したものを使用することができる。
中でも、炭素繊維は、比強度・比弾性率に優れ、ほとんど吸水、燃焼しないので、航空機用途の強化繊維束として好ましく用いられる。また、かかる強化繊維束は、優れた力学特性、取り扱い性等を付与するために、カップリング剤やサイジング剤等の表面処理剤を予め付与することができる。
かかる表面処理剤としては、例えば、シラン系、チタネート系等のカップリング剤、エポキシ系、ウレタン系、エーテル系、エステル系、アミド系、アクリル系のサイジング剤等が挙げられ、後述のマトリックス樹脂に応じて用いることができる。ここで、用いる強化繊維束は、無撚でも有撚でも使用することができるが、力学特性(引張、圧縮等)の面からは実質的に無撚のものが好ましい。
本発明にかかる複合材料において、特に好ましくは、強化繊維糸条が炭素繊維からなり、かつ、補助繊維糸条の主成分が、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、フェノールおよびフェノキシから選ばれる少なくとも1種であり、かつ、マトリックス樹脂が溶媒を含まない熱硬化性樹脂であるものである。
また、本発明の複合材料において、その平面部の表面における最大高さRz(JIS B0601−2001)が100μm以下であることが好ましい。
本発明の複合材料は、一つの製造方法の例として、以下に説明する方法によって、製造することができる。
すなわち、強化繊維糸条を少なくとも一方向に平行するように引き揃えて構成される強化繊維糸条群と、強化繊維糸条と交差する方向に延在する補助繊維糸条または補助単繊維から構成される緯方向補助繊維糸条群とを含む強化繊維基材を複数層積層したものに、マトリックス樹脂を含浸し、固化させて複合材料を成形する方法であって、次の(A)〜(C)の工程を経る複合材料の製造方法である。
(A):補助繊維糸条が構成する糸条領域における強化繊維基材が形成する面と垂直方向の径がd1である強化繊維基材を得る製布工程。
(B):強化繊維基材にマトリックス樹脂を含浸させる含浸工程。
(C):前記補助繊維糸条が構成する糸条領域における強化繊維基材が形成する面と垂直方向の径が、前記d1よりも小さい値d2の状態でマトリックス樹脂を固化させて複合材料にする固化工程。
かかる方法において、(C)の固化工程において補助繊維糸条をマトリックス樹脂中に少なくとも部分的に溶解させて細化せしめて、該d2を50μm以下にせしめること、すなわち、最終の複合材料中におけるdを、50μm以下にせしめることが好ましい方法である。
ただし、このような細化するプロセスを経ずとも、当初からd2(=d)が50μm以下のものを用いるようにしてもよい。そのときには、細化するプロセスをとる必要はない。
細化するプロセスをとるときには、細化後にd1とd2(細化後はd)との比d1/d2が、1.5以上になるように細化せしめることが好ましい。
上述の細化処理を経て得られる本発明の複合材料においては、強化繊維基材を積層したものの層間において、細化された補助繊維糸条部分の周囲には、溶解されて繊維状形態をもはや維持していないマトリックス樹脂とは異なる樹脂材料が配されていることになる。
実施例1
補助繊維糸条を次の手順でロウソク紡糸機を用いて紡糸した。まず、ポリエーテルスルフォン(住友化学工業製スミカエクセル5003Pの微粉砕品)60重量%とエポキシ樹脂(日本化薬製AK−601)40重量%とを2軸押出機にて溶融混練して相溶させたペレット(ガラス転移点(DSC測定)=75℃)を用意した。かかるペレットを用いて、直径0.15mm×1孔の口金を用いて温度190℃にて紡糸した。得られたモノフィラメントは、15tex、直径が0.17mmであった。
強化繊維糸条として炭素繊維糸条(PAN系、フィラメント数24千本、1000tex、引張強度5830MPa、引張弾性率294GPa)をたて糸として用い、上記補助繊維糸条をよこ糸として用いて、一方向性織物(平織、織物厚0.20mm、炭素繊維目付193g/m2 、たて糸密度1.8本/cm、よこ糸密度3本/cm)を製織した。次いで、樹脂材料として不織布(ナイロン6、不織布厚0.03mm、目付3g/m2 )と貼り合わせながら、遠赤外線ヒーターで140℃に加熱しながら加圧して、たて糸、よこ糸、不織布とを接着して一方向性織物Aを得た。
このようにして得られた強化繊維基材Aは、強化繊維糸条のずれ(目ズレ)が発生しにくく形態が安定で、取り扱い性に優れた。また、マトリックス樹脂が含浸される前のドライな状態での補助繊維糸条の形成する短径dは、0.1mmであった。
得られた強化繊維基材Aを用いて、複合材料を成形した。かかる複合材料を用いて、SACMA SRM 1R−94に準拠したクーポンを作製した。そのクーポンを室温(23℃)における0°圧縮強度(CS)および湿熱処理(70℃×14日熱水浸漬)後の高温(82℃)0°圧縮強度を測定した。なお、複合材料の成形方法は、下記の方法にて行った。
図5は、複合材料の成形方法の実施に用いる装置の一態様の概略断面図である。
図5に示す通り、アルミ製成形型52の表面に、強化繊維基材51を所定の枚数と角度で積層した。積層された強化繊維基材の最表面にピールプライ53であるポリエステル繊維の離型処理された織物を配置し、その上に樹脂拡散媒体54であるポリプロピレン製メッシュ状シートを配置し、更にその上に、押さえ板となるアルミ製カウルプレート60を配置した。積層された強化繊維基材が成形型と接した周囲には、エッジ・ブリーザー56であるポリエステル繊維の不織布を複数枚積層して張り巡らした。真空吸引口58やエッジ・ブリーザーから最も近い樹脂拡散媒体までの距離が10mm以上離れるように樹脂拡散媒体の平面視の最大外形が樹脂拡散媒体面の強化繊維基材の平面視の最大外形よりも10〜50mm程度小さくなるように配置した(図示せず)。
全体をバッグ材55であるナイロンフィルムで覆い、バッグ材と成形型の周囲を、シール材57で密閉した。樹脂注入口59は、樹脂拡散媒体に接するように取り付け、シール材で密閉した。真空吸引口は、樹脂注入口から遠いエッジ・ブリーザー上に取り付け、同様にシールした。真空吸引口から吸引し、バッグ材内が0.08〜0.1MPaの圧力になるように真空吸引した。なお、この時に空気が漏れていないか確認した。3℃/分の速度で、装置全体をマトリックス樹脂の注入温度(80℃)に昇温した。真空吸引を継続しながら、強化繊維基材が注入温度に達してから1時間保持した。
その後、樹脂注入口のバルブを解放して、樹脂拡散媒体からマトリックス樹脂を必要な量だけ注入した。含浸が完了した後、樹脂注入口のバルブを閉め、マトリックス樹脂の注入を中止した。真空吸引は、マトリックス樹脂がゲル化するまで継続する(注入開始から1.5時間)。1.5℃/分の速度で、装置全体をマトリックス樹脂の硬化温度まで昇温した。一次硬化温度(130℃)に達した時点で、真空吸引口をシールして吸引を中止した。このとき、バッグ材の中を真空状態に保つようにシールした。硬化温度に達してから2時間保持してマトリックス樹脂を十分硬化させた。その後、3℃/分の速度で常温まで降温した。バッグ材、ピールプライおよび樹脂含浸媒体を除去した。その後、同様の昇降速度で二次硬化(180℃)させ、複合材料を得た。
なお、マトリックス樹脂としては、次の主液100重量部に、次の硬化液を39重量部加え、80℃にて均一になるように撹拌したエポキシ樹脂組成物を用いた。なお、180℃で2時間硬化後のガラス転移点(DSCによる20℃/分昇温速度での値)は197℃、曲げ弾性率は3.3GPaである。
主液:エポキシとして、Vantico(株)製“アラルダイト”MY−721を40重量部、ジャパンエポキシレジン(株)製“エピコート”825 を35重量部、日本化薬(株)製GANを15重量部、およびジャパンエポキシレジン(株)製“エピコート”630 を10重量部を70℃で1時間撹拌して均一溶解させたもの。
硬化液:ポリアミンとして、ジャパンエポキシレジン(株)製“エピキュア”Wを70重量部、三井化学ファイン(株)製3,3’−ジアミノジフェニルスルホンを20重量部、および住友化学工業(株)製“スミキュア”Sを10重量部を100℃で1時間撹拌して均一にした後に70℃に降温し、硬化促進剤として、宇部興産(株)製t−ブチルカテコール2重量部を更に70℃で30分間撹拌して均一溶解させたもの。
得られた複合材料における背所繊維糸条の形成する短径dは、モノフィラメントの時の径よりも小さくなっており、41μmであった。また、1層あたりの厚みは192μm、強化繊維糸条の体積率Vfは56%であった。
なお、強化繊維糸条の体積率Vfとは、強化繊維糸条の体積配合率のことをいうものである。
実施例2
用いる補助繊維糸条を低融点ナイロン糸条(融点120℃、繊度5.5tex、10フィラメント、糸条径0.02mm)に代える以外は、実施例1と同様に強化繊維基材Bを製織して複合材料を成形し、0°圧縮強度を評価した。得られた複合材料中での補助繊維糸条の形成する短径dは、糸条の時の短径よりも小さくなっており、10μmであった。
また、1層あたりの厚みは278μm、強化繊維糸条の体積率Vfは57%であった。
実施例3
用いる補助繊維糸条をナイロン66糸条(融点255℃、繊度1.7tex、7フィラメント、糸条径0.02mm、単糸フィラメント径17μm)に代える以外は、実施例1と同様に強化繊維基材Cを製織して複合材料を成形し、0°圧縮強度を評価した。得られた複合材料中での補助繊維糸条の形成する短径dは、糸条のときの単糸フィラメント径と同等であり、17μmであった(フィラメント単糸7本が横一列に列んだ状態)。
また、1層あたりの厚みは189μm、強化繊維糸条の体積率Vfは57%であった。
比較例1
よこ糸としてガラスヤーン(ECE225 1/0 1.0Z、繊度:22.5tex、伸度:3%以上、バインダータイプ“DP”(日東紡績製)、糸条径0.1mm)を用いる以外は実施例1と同様にして強化繊維基材Cを製織して複合材料を成形し、同様に評価した。得られた複合材料中での補助繊維糸条の形成する短径dは59μmであった。また、強化繊維糸条の体積率Vfは54%であった。
比較例2
よこ糸として炭素繊維糸条(PAN系、フィラメント数1000本、66tex、引張強度3530MPa、引張弾性率230GPa、糸条径0.2mm)を用いる以外は実施例1と同様にして強化繊維基材Dを製織して複合材料を成形し、同様に評価した。得られた複合材料中での補助繊維糸条の形成する短径dは110μmであった。また、強化繊維糸条の体積率Vfは53%であった。
評価結果は、表1にまとめたとおりである。表1に示すとおり、実施例1、2、3では高い強化繊維堆積率において高い圧縮強度を発現しているが、比較例1、2では低い圧縮強度となり、特に比較例2では大幅に低い圧縮強度となっている。
なお、表1に示した交錯点数(点/m2 )とは、前述のとおり、織物の場合、経糸密度(本/cm)と緯糸密度(本/cm)の積に10000倍を乗じた値である。
Figure 2005272526
本発明の強化繊維基材により得られた複合材料は、航空機、自動車、船舶等の輸送機器における構造部材、内層部材または外層部材などの各部材をはじめ、特に航空機の構造部材に好適である。
図1は、本発明の強化繊維基材の一態様を示した断面図である。 図2は、本発明の強化繊維基材を用いた複合材料の一態様を示した断面図である。 図3は、本発明の強化繊維基材として用いられる一方向性織物の一態様の斜視図である。 図4は、本発明の強化繊維基材として用いられる一方向性織物の別の態様の斜視図である。 図5は、複合材料の成形方法の実施に用いる装置の一態様の概略断面図である。 図6は、本発明で用いた複合材料の強化繊維糸条が引き揃えられている方向と平行でかつ強化繊維基材が形成する面と垂直である断面において、前記補助繊維糸条が構成する糸条領域における強化繊維基材が形成する面と垂直方向の径dについて模式的に説明する概略断面モデル図である。 図7は、樹脂材料が強化繊維基材の表面に接着して、複合材料の層間に存在している状態を示したモデル図である。
符号の説明
11:強化繊維基材
12:強化繊維糸条
13:補助繊維糸条
14:樹脂材料

Claims (20)

  1. 強化繊維糸条を少なくとも一方向に平行するように引き揃えて構成される強化繊維糸条群と、該強化繊維糸条群と交差する方向に延在する補助繊維糸条または補助単繊維から構成される補助繊維糸条群とを含む強化繊維基材を、複数枚積層してマトリックス樹脂で固化してなる複合材料であって、該複合材料の強化繊維基材層と強化繊維基材層との間に形成される層間には前記マトリックス樹脂とは異なる樹脂材料が配されており、かつ、前記複合材料の強化繊維糸条が引き揃えられている方向と平行でかつ強化繊維基材が形成する面と垂直である断面において、前記補助繊維糸条が構成する糸条領域における強化繊維基材が形成する面と垂直方向の径dが50μm以下であることを特徴とする複合材料。
  2. 強化繊維基材が、強化繊維糸条を経方向の一方向にのみ平行するように引き揃えた一方向性シートであることを特徴とする請求項1記載の複合材料。
  3. 強化繊維基材が、織物からなるものであることを特徴とする請求項1または2記載の複合材料。
  4. 強化繊維基材が、強化繊維糸条を少なくとも2方向に平行するように引き揃えてなる二方向性シート、または3方向以上に配列されている多方向性シートであることを特徴とする請求項1記載の複合材料。
  5. 二方向性シートが、織物からなるものであることを特徴とする請求項4記載の複合材料。
  6. 強化繊維基材が、強化繊維糸条が経方向の一方向にのみ平行するように引き揃えられた一方向性シートの複数がステッチ糸により一体化されてなり、全体として該強化繊維基材は二方向性シートまたは多方向性シートを構成してなるものであることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれかに記載の複合材料。
  7. 強化繊維基材が、その両面側に緯方向補助繊維糸条群が配されてなり、該緯方向補助繊維糸条群を構成する緯方向補助繊維糸条と、強化繊維糸条と平行する方向に延在する補助繊維糸条からなる経方向補助繊維糸条群とを有し、該両方向の補助繊維糸条群が織組織を構成してなるノンクリンプ織物であることを特徴とする請求項3または5記載の複合材料。
  8. 強化繊維糸条の体積配合率(Vf)が53〜65%の範囲内にある複合材料が、SACMA−SRM−1R−94に規定される方法による常温0°での圧縮強度が1,350MPa以上であり、かつ、湿熱処理後の高温0°圧縮強度が1,100MPa以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の複合材料。
  9. 強化繊維基材が、強化繊維糸条と補助繊維糸条との交錯点数を1万〜13万点/m2 の範囲で有するものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の複合材料。
  10. 強化繊維基材の1層の厚みが100〜600μmであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の複合材料。
  11. 複合材料が、マトリックス樹脂を注入する注入成形により成形されてなるものであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の複合材料。
  12. 複合材料が、強化繊維糸条の体積配合率(Vf)が53〜65%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の複合材料。
  13. 複合材料の平面部の表面における最大高さRz(JIS B0601−2001)が100μm以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の複合材料。
  14. 強化繊維糸条が炭素繊維からなり、かつ、補助繊維糸条の主成分が、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、フェノールおよびフェノキシから選ばれる少なくとも1種であり、かつ、マトリックス樹脂が溶媒を含まない熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の複合材料。
  15. 航空機、自動車または船舶の構成部材として用いられることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の複合材料。
  16. 強化繊維糸条を少なくとも一方向に平行するように引き揃えて構成される強化繊維糸条群と、強化繊維糸条と交差する方向に延在する補助繊維糸条から構成される緯方向補助繊維糸条群とを含む強化繊維基材を複数層積層したものに、マトリックス樹脂を含浸し、固化させて複合材料を成形する方法であって、次の(A)〜(C)の工程を経ることを特徴とする複合材料の製造方法。
    (A):補助繊維糸条の断面における短径がd1である強化繊維基材を得る製布工程。
    (B):強化繊維基材にマトリックス樹脂を含浸させる含浸工程。
    (C):前記補助繊維糸条の断面における短径が、前記d1よりも小さい値d2の状態でマトリックス樹脂を固化させて複合材料にする固化工程。
  17. (C)の固化工程において、補助繊維糸条をマトリックス樹脂中に少なくとも部分的に溶解させて細化せしめることを特徴とする請求項16に記載の複合材料の製造方法。
  18. (C)の固化工程において、前記d2を50μm以下に細化せしめることを特徴とする請求項16または17記載の複合材料の製造方法。
  19. d1とd2との比d1/d2が、1.5以上になるように細化せしめることを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の複合材料の製造方法。
  20. 強化繊維基材を積層したものの層間に、マトリックス樹脂とは異なる樹脂材料を配することを特徴とする請求項16〜19のいずれかに記載の複合材料の製造方法。
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