JP4317289B2 - 積層フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、袋や容器の蓋材等に使用される積層フィルムに関する。詳しくは、ガスバリア性、透明性を保持し、蓋材ピール性、耐ピンホール性に優れた積層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
食品や飲料、医薬等を常温で長期保存する用途、例えば、ゼリー、スープ、カレー等の容器及びその蓋材や、或いはパウチ袋のような袋の用途には、酸素や水蒸気等のバリア性が良いフィルム材料が多く使用されている。例えば、金属箔フィルム、蒸着フィルム、塩化ビニリデン系樹脂フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム、塩化ビニリデン系樹脂或いは、ポリビニルアルコール系樹脂のラテックスコートフィルム等が使用されている。その中でも、塩化ビニリデン系樹脂は、透明性が良いので内容物を透視できるという優れた特徴を有し、なおかつ、酸素と水蒸気の両方のバリア性が良く、特に水分の存在下でも高度なバリア性が保持されるという優れた特徴から、長期保存の食品分野の包装フィルム等に広く利用されている。
【0003】
この塩化ビニリデン系樹脂のフィルムは単体で使用されることもあるが、バリア性が優れる反面タフネスが充分でない場合があるので、フィルムの両面にポリプロピレン系樹脂フィルム、ポリエチレン系樹脂フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム等を積層して、傷つきやピンホールの発生を防ぐなどの使われ方が多い。しかしながら、この場合、残念なことに、これらの樹脂フィルムと塩化ビニリデン系樹脂が樹脂同士接着しないために層間が剥離してしまい、その目的を充分達成できない状態におかれている。
【0004】
そこで、これまでに接着性をあげる方法が多く検討されてきた。例えば、特開昭48−72289号公報には、塩化ビニリデン系樹脂とポリオレフィン系樹脂をウレタン系接着剤を介して接着する方法等が開示されている。
また、更に接着強度を向上させる方法として、塩化ビニリデン系樹脂層側にアクリル酸系共重合体樹脂やスチレン−アクリル酸系共重合体樹脂、あるいはエチレン−酢酸ビニル系樹脂を添加する方法も知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法では、いずれも塩化ビニリデン系樹脂層と他層との実用強度レベルの接着性が得られない為に、層間剥離が起き、それが原因となって、バリアー層に傷つきやピンホールが発生したり、あるいはイージーピールに必要な接着強度が得られない為に、イージーピール用蓋材として使用できないという問題が発生する場合がある。また、接着強度は得られても透明性やバリア性の悪化で商品価値を損なう等の問題が発生することもある。
【0006】
例えば、特開昭48−72289号公報のように、ポリウレタン系接着剤を用いる方法は、透明性を維持したまま接着強度を若干増加させることができるが、接着強度が十分でなく、容器の蓋材として使用する際にデラミネーション(ラミネート剥離)し、それによってピンホールが発生することがある。
また、塩化ビニリデン系樹脂にエチレン−酢酸ビニル系樹脂を添加する方法は、接着強度と耐ピンホール性は確かに改善されるものの、透明性、バリア性が悪化して商品価値が下がるという問題が発生するのである。
【0007】
更に、塩化ビニリデン系樹脂にアクリル酸系共重合体樹脂やスチレン−アクリル酸系共重合体樹脂を添加する方法では、透明性は維持されているものの、重要な耐ピンホール性、バリア性等の特徴が悪化して使用できないという問題が発生するのである。
本発明は上記問題を解決し、他材フィルムとの接着強度を向上させ、蓋材ピール性、耐ピンホール性、透明性、バリア性の全てに優れた積層フィルムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1)内層として塩化ビニリデン系樹脂層を含有する少なくとも3層の積層フィルムであって、該塩化ビニリデン系樹脂層が熱可塑性ポリウレタン系樹脂を0.05重量%〜30重量%含有することを特徴とする積層フィルム。
【0009】
2)熱可塑性ポリウレタン系樹脂がポリエステル型熱可塑性ポリウレタン系樹脂である上記1)の積層フィルム。
3)塩化ビニリデン系樹脂層の少なくとも片面に、ウレタン系接着剤、熱可塑性ポリウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する接着剤層を配した上記1)又は2)の積層フィルム。
【0010】
4)塩化ビニリデン系樹脂層の厚みが5μm〜50μmである上記1)〜3)いずれかの積層フィルム。
以下本発明の内容を説明する。
本発明が従来技術と最も相違するところは、従来技術が、塩化ビニリデン系樹脂層と他材をウレタン系接着剤を用いて接着したり、或いは、塩化ビニリデン系樹脂層にエチレン−酢酸ビニル系樹脂、アクリル酸系共重合体樹脂、スチレン−アクリル酸系共重合体樹脂等を添加していたのに対し、本発明は、塩化ビニリデン系樹脂に熱可塑性ポリウレタン系樹脂を適量添加することである。
【0011】
上記従来技術と相違するところの本発明の構成要件に基づく効果は、塩化ビニリデン系樹脂層と隣接する樹脂層との接着強度が向上し、その結果として、ガスバリア性、透明性を保持したまま、蓋材ピール性、耐ピンホール性を満足させることである。
本発明の積層フィルムはガスバリア性等の点から、内層として塩化ビニリデン系樹脂層を含有する。
【0012】
本発明における塩化ビニリデン系樹脂は、棋界に周知のものが使用できる。すなわち、塩化ビニリデン系樹脂とは、塩化ビニリデンモノマーと少なくとも1種の共重合可能なエチレン誘導体モノマーとの共重合体である。エチレン誘導体モノマーには、例えば、塩化ビニルのようなハロゲン化ビニル、アクリロニトリルメタクリロニトリルなどのエチレン性不飽和カルボン酸のニトリル、メチルアクリレートやメチルメタクリレートなどのアクリル酸やメタクリル酸のアルキルエステル、ヒドロキシプロピルアクリレートやヒドロキシエチルアクリレートやヒドロキシブチルアクリレートなどのヒドロキシアルキルエステルなどがあげられる。更に、酢酸ビニルのような飽和カルボン酸のビニルエステル、アクリルアミドのようなエチレン性不飽和カルボン酸のアミド、アクリル酸のようなエチレン性不飽和カルボン酸、アリルアルコールのようなエチレン性不飽和アルコールなどがあげられる。
【0013】
これらの中で、加熱溶融押出が安定に行い易い点で、塩化ビニリデンと塩化ビニル成分5重量%〜30重量%との共重合体、または、塩化ビニリデンとメチルアクリレート成分3重量%〜10重量%との共重合体がより好ましい。
本発明に用いられる熱可塑性ポリウレタン系樹脂は、棋界に周知のものが使用できる。
【0014】
熱可塑性ポリウレタン系樹脂は、熱を加えると可塑化することを特徴とするポリウレタンであり、例えば(ポリ)イソシアネートと含活性水素化合物と鎖延長剤または/及び架橋剤などの反応から得られるものである。
(ポリ)イソシアネートには、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと称す。)、2,4−トリレンジイソシアネート(以下、2,4−TDIと称す。)、2,6−トリレンジイソシアネート(以下、2,6−TDIと称す。)、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、2,2’−MDIと称す。)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、2,4’−MDIと称す。)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、4,4’−MDIと称す。)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと称す。)キシリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネートなどの化合物や、これらの変性体、誘導体、混合物、高分子化合物などがあげられる。
【0015】
含活性水素化合物のポリヒドロキシル基含有化合物には、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリテトラメチレングリコール、エポキシ樹脂変性ポリオールやポリエステルポリオール変性体、アクリルポリオール、フェノールレジンポリオール、エポキシポリオール、ブタジエンポリオール、ポリエステル−ポリエーテルポリオールなどがあげられる。ポリエーテルポリオールは、アルキレンオキサイドと活性水素原子を持つ化合物の反応などで得られる。このアルキレンオキサイドには、例えば、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどがあげられ、活性水素原子を持つ化合物には、例えば、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、水酸化カリウム、グリセリン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、ヘキサントリオール、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、メチルグリコジッド、ソルビトールなどがあげられる。ポリエステルポリオールには、二塩基酸とヒドロキシル化合物の反応で得られる縮合系ポリエステルポリオールやε−カプロラクタムとヒドロキシル化合物の反応で得られるラクトン系ポリエステルポリオールやポリカーボネートジオールなどがあげられる。縮合系ポリエステルポリオールの二塩基酸とヒドロキシル化合物の反応で得られるラクトン系ポリエステルポリオールやポリカーボネートジオールなどがあげられる。縮合系ポリエステルポリオールの二塩基酸には、例えば、フタル酸、アジピン酸、二量化リノレイン酸、マレイン酸などがあげられ、ヒドロキシル化合物には、例えば、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなどがあげられる。ラクトン系ポリエステルポリオールのヒドロキシル化合物は縮合系ポリエステルポリオールと同様のものが利用できる。
【0016】
これら含活性水素化合物の中で、ポリエステルポリオールを用いたポリエステル型熱可塑性ポリウレタン系樹脂が、透明性をほとんど悪化させない点でより好ましい。
鎖延長剤または/および架橋剤には、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ハイドロキノンジエチロールエーテル、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン、ソルビトールクオドロール、1,3−プロパンジオール、ビスフェノールAなどの化合物やこれらの多量体などの多価アルコール類、3,3−ジクロロ−4,4−ジアミノジフェニルメタン、アルカノールアミン、ジフェニルメタンジアミンなどの化合物やこれらの多量体などの多価アミン類、トリレンジイソシアネート2量体などの末端ヒドロキシプレポリマーなどがあげられる。
【0017】
本発明において、塩化ビニリデン系樹脂層中の熱可塑性ポリウレタン系樹脂の含有量は、透明性、バリア性、接着性の全てを充分保持する点から、0.05重量%〜30重量%である。0.05重量%未満であると、接着強度、耐ピンホール性の向上効果が不充分となり、30重量%を越えると、バリア性の悪化が著しくなることがある。より好ましくは、0.1重量%〜15重量%である。
【0018】
本発明において、塩化ビニリデン系樹脂と熱可塑性ポリウレタン系樹脂の混合方法は、一般に知られている混合装置等で混合できるが、塩化ビニリデン系樹脂は一般に粉体状であり、熱可塑性ポリウレタン系樹脂は一般にペレット状なので、ターンブレンド法やリボンブレンド法やヘンシェルミキサー法等の混合法がより好ましい。熱可塑性ポリウレタン系樹脂は、粉体状であればより好ましい。
【0019】
混合した樹脂は、一般に知られる加熱溶融押出機にて押出し、Tダイ、或いは円形ダイにて成形してフィルムを得る事ができる。これらのフィルムは、一般に未延伸や一軸延伸や二軸延伸のいずれかの処理を行うが、バブルインフレーション方式やテンター方式等の装置で、二軸延伸処理を行うと、耐ピンホール性が良くなるのでより好ましい。
【0020】
本発明に用いられる積層フィルムにおける塩化ビニリデン系樹脂層の厚みは、5μm〜50μmがより好ましく、10μm〜25μmが更により好ましい。5μmより薄いとバリア性が悪化する場合があり、50μmより厚いと耐ピンホール性が悪化する場合がある。
本発明の積層フィルムは、上記塩化ビニリデン系樹脂層の少なくとも片面に、ウレタン系接着剤、熱可塑性ポリウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エポキシ系接着剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する接着剤層を配すると、接着強度の発現と柔軟性に優れるのでより好ましい。
【0021】
ここで、ウレタン系接着剤としては、棋界に周知のものが使用できるが、ポリイソシアネート化合物を単独、あるいはイソシアネートと反応しやすい活性水素を含む物質等と混合して、1液性または2液性としたもの等の溶剤型ドライラミネーション用ウレタン接着剤等がより好ましい。熱可塑性ポリウレタン樹脂としては、棋界に周知のものが使用できるが、塩化ビニリデン系樹脂との接着性がより良い点から、前記ポリエステル型熱可塑性ポリウレタンがより好ましい。エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂としては、棋界に周知のものが使用できるが、塩化ビニリデン系樹脂との接着性がより良い点から、酢酸ビニル成分が10重量%〜40重量%であるものが、更に好ましい。これらは単独で用いてもよいし、混合して用いても良い。
【0022】
本発明の積層フィルムにおいて、上記塩化ビニリデン系樹脂層、接着性樹脂層以外の層として用いられる素材は用途に応じて適したものを用いれば、特に限定されないが、例えば、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィルム、ポリエチレン系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルムのようなフィルムや、ポリプロピレン系樹脂にポリエチレンやポリブテン等を混合させたもの、或いはエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂に石油樹脂を混合させたもの等のイージーピール材等が配される場合、耐ピンホール性、フィルム強度、滑り性等が向上するのでより好ましい。本発明の積層フィルムの層構成としては、5層構成や、7層構成等の多層構成でも良いが、上記フィルムと積層して、外側表層/接着層/塩化ビニリデン系樹脂層/接着層/内側表層といった5層構成とした場合が、積層にかかるコストも少なく抑制できる面から、特に好ましい。
【0023】
本発明の積層フィルムの積層の方法は、熱溶融共押出法、ドライラミネーション方法、押出ラミネーション方法などの一般的に知られている方法のいずれかで積層されてもよい。
本発明に用いられる塩化ビニリデン系樹脂には、可塑剤、熱安定剤、界面活性剤、滑剤、酸化防止剤、光安定剤、顔料等の添加剤を性能に悪影響を及ぼさない範囲で添加しても良い。
【0024】
本発明に用いられる熱可塑性ポリウレタン系樹脂には、必要に応じて酸化防止剤、加水分解防止剤、滑剤、熱安定剤、可塑剤等の添加剤を性能に悪影響を及ぼさない範囲で添加しても良い。
本発明に用いられるウレタン系接着剤には、必要に応じて鎖延長剤、架橋剤、酸化防止剤、加水分解防止剤等の添加剤を性能に悪影響を及ぼさない範囲で添加しても良い。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に実施例、比較例に基づき、詳細に説明する。
なお、本発明で用いる評価方法は下記の通りである。
《容器蓋材ピール性の評価》
ポリプロピレン系樹脂のシートに、センチネルヒートシーラー(PACKAGING INDUSTRIES LTD.INC.)を用いて、巾1cm×長さ10cmのシールバーにてヒートシール(バー温度:190℃、シール時間:2秒、シール面圧:3kg/cm2)を行い、それをピールしたときのピール部の状態が、1cm×10cmのシール部全てイージーピール材の凝集破壊によるピールである場合を良好ピールとし、100回行った時の良好ピールの確率にてピール性を評価する。
【0026】
[評価基準]
◎:100%:容器蓋材として優れている。
○:80%〜99%:容器蓋材として使用できる。
△:50%〜79%:容器蓋材として使用するには不安がある。
×:0%〜49%:容器蓋材として使用できない。
【0027】
《接着強度の評価》
積層フィルムを10mm巾×10cm長さの短冊状に切り、その短冊状フィルムの接着性樹脂層と塩化ビニリデン系樹脂層の界面を剥がして、その界面をT字剥離させたときの荷重を測定して評価を行う(引張速度:300mm/min、チャック間:20mm)。
【0028】
[評価基準]
◎:350g以上:容器蓋材として優れている。
○:300g以上350g未満:容器蓋材として使用できる。
△:250g以上300g未満:容器蓋材として使用するには不安がある。
×:200g未満:容器蓋材として使用できない。
【0029】
《耐ピンホール性の評価》
耐ピンホール性の評価はゲルボフレックステスター(米軍規格MIL−B131に規定)による耐屈曲性の測定に基づく方法で行う。
ゲルボフレックステスターは、17.5cmの距離をおいて向き合った直径8.8cmの2つの円盤に、フィルムを円筒状に固定して機械的にストロークされる測定機であり、ひねりによる屈曲疲労を与えるもので、測定温度23℃の条件で1000回屈曲したときに発生した貫通ピンホールの個数を測定して評価を行う。
【0030】
[評価基準]
◎:0個:高度に目標を達成できる強靭なレベル。
○:5個以下:目標を達成できる強靭なレベル。
△:5個を越えて20個以下:流通袋としては使用が不安なレベル。
×:20個以上:流通袋としては使用ができないレベル。
【0031】
《酸素透過率によるバリア性の評価》
MOCON社製OTR測定器OX−TRAN200型を用いて酸素透過率(cc/m2・day・atm・28℃・65%RH)を測定して評価を行う。
[評価基準]
◎:5以下:長期保存用途に優れるレベル。
【0032】
○:5を越えて10以下:長期保存用途に使用できるレベル。
△:10を越えて20以下:長期保存用途の使用に不安がある。
×:20を越える:長期保存用途に使用できないレベル。
《曇り度による透明性の評価》
日本電色社製300A型を用いて、曇り度(ASTM−D−1003)を測定して評価を行う。[評価基準]
◎:5以下:袋の中身がはっきり見えるレベル。
【0033】
○:5を越えて10以下:袋の中身が見えるレベル。
△:10を越えて20以下:袋の中身が見にくいレベル。
×:20を越える:袋の中身が見えなくて判らないレベル。
《総合評価》
上述の評価を参考として総合評価をする。
【0034】
[評価基準]
◎:全て◎:高度に目標を達成できる
○:◎と○:目標を達成できる。
△:△を含む:目標を達成できない。
×:×を含む:目標を達成できない。
【0035】
上記評価について、◎及び○を合格のレベルとする。
【0036】
【実施例1〜4、比較例1〜2】
実施例1〜4、比較例1〜2の積層フィルムの中心層の樹脂は、表1に示したものを使用し、その中心層の塩化ビニリデン系樹脂層に熱可塑性ポリウレタン系樹脂(エステル型ポリウレタン系樹脂、クラレ社製「クラミロンU1780」)を、0.1、1.0、10、25重量%含有させたものをそれぞれ実施例1、2、3、4とした。
【0037】
また、該樹脂を0.03、40重量%含有させたものを、それぞれ比較例1、2とした。
これらの組成の塩化ビニリデン系樹脂を、100kg用ターンブレンダーを用いて、30分間混合し、その混合したポリマーを、環状ダイス(径=120mmφ)を取付けた押出機(シリンダー:L/D=23、径=60mmφ)を用いて、成形温度約190℃にてチューブ状に溶融成形し、バブルインフレーション法で縦4倍×横4倍の延伸を行った。このインフレーションバブルをデフレーターを通して折りたたんで巻取機でスリットしながら2枚に巻き取ってフィルムとした。
【0038】
このときのフィルム厚みは、いずれも15μmにした。
このフィルムを中心層として、外側層にポリアミド系樹脂フィルム(ユニチカ社製「エンブレムRT−1C」)、内側層にイージーピール材(東レ合成社製「CF9501C」)を配し、それらをウレタン系接着剤(2液性ポリウレタン系接着剤、武田薬品社製「タケラックA610/A50」)を用いて、連続的にドライラミネートを行って巻取り、積層フィルムを得た。
【0039】
該原反を、40℃に温度調節した部屋で3日間保管した後、これらの積層フィルムについて、本文記載の《容器蓋材ピール性》《接着強度》《耐ピンホール性》《酸素透過率によるバリア性》《曇り度測定による透明度》について評価を行った。
その結果を表1に示す。
【0040】
その結果、熱可塑性ポリウレタン系樹脂を0.1重量%〜25重量%添加したものは、耐ピンホール性、バリア性、透明性の優れた性能を保持したまま、ドライラミネート接着強度が高く、容器の蓋材として使用しても良好なピール性を有するものであった。
また、比較例1のように添加量が著しく少量であると、接着強度の向上効果はなく、容器の蓋材として使用できないことや、比較例2のように多量に添加するとバリア性と透明性が悪化して使用できないことが判った。
【0041】
【実施例5〜8】
塩化ビニリデン系樹脂層のフィルム厚みを5、25μmに変更したことの他は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。これらを実施例5、6とする。また同様に、フィルム厚みを3、60μmに変更したものを、実施例7、8とした。これらの積層フィルムについて上記評価を行った。その結果を表1に示す。
【0042】
表1より、塩化ビニリデン系樹脂層の厚みは、5〜25μmがより好ましい厚み範囲であり、優れた性能を有していることが判る。また、実施例7のように薄過ぎると、バリア性が多少低下する場合があったり、実施例8のように厚過ぎると、耐ピンホール性が多少低下する場合があったりすることが判る。
【0043】
【実施例9〜10】
実施例2と同様にして得られた塩化ビニリデン系樹脂フィルムの両面に、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(東ソー社製「ウルトラセン633」)を押出ラミネート(220℃加熱溶融押出/タンデムラミネーション)を行いながら積層したフィルムを実施例9のフィルムとした。
【0044】
また、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(エステル型ポリウレタン系樹脂、クラレ社製「クラミロンD295」)を押出ラミネート(240℃加熱溶融押出/タンデムラミネーション)を行いながら積層したフィルムを実施例10のフィルムとした。
これらを上記評価方法により評価した。その評価結果を表1に示す。
【0045】
これらの事から、押出ラミネートによる積層を行ったフィルムにおいても、熱可塑性ポリウレタン系樹脂を添加したものは、耐ピンホール性、バリア性、透明性の優れた性能を保持したまま、ドライラミネート接着強度が高く、容器の蓋材として使用しても良好なピール性を有するものであるということがわかった。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】
本発明の積層フィルムは、塩化ビニリデン系樹脂層に熱可塑性ポリウレタン系樹脂を0.05重量%〜30重量%含有させることによって、塩化ビニリデン系樹脂の有するバリア性、透明性の特徴を保持しつつ、接着強度、耐ピンホール性の向上効果が得られ、優れた効果を有する。
Claims (4)
- 中心層として塩化ビニリデンとメチルアクリレート成分3重量%〜10重量%との共重合体である塩化ビニリデン系樹脂層を含有する少なくとも3層の積層フィルムであって、
前記塩化ビニリデン系樹脂層がポリエステル型熱可塑性ポリウレタン系樹脂を0.05重量%〜30重量%含有し、
前記塩化ビニリデン系樹脂層の少なくとも片面に、ウレタン系接着剤、ポリエステル型熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する接着剤層を配することを特徴とする積層フィルム。 - 前記塩化ビニリデン系樹脂層の厚みが5μm〜50μmである請求項1に記載の積層フィルム。
- 請求項1又は2に記載の積層フィルムの常温長期保存用途への使用。
- 請求項1又は2に記載の積層フィルムの常温長期保存食品用途への使用。
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