JP4316695B2 - 曲げ角度測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、曲げ加工機により曲げ加工された製品の曲げ角度を測定するための曲げ角度測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図13を参照するに、従来より曲げ加工機により曲げ加工されたワークWの曲げ角度を測定する際には、プロトラクター101を使用するのが一般的である。このプロトラクター101は、基準となるベース103と、このベース103に対してピン105により回転自在に設けられている回転部材107と、この回転部材107の前記ベース103に対する角度を表示する角度表示板109から構成されている。
【0003】
このプロトラクター101を用いた角度測定においては、測定の際に基準となるワークWの一辺WA をベース103に当接させると共に、曲げ上げられたワークWの他辺WB を回転部材107に全面で当接させて、このときの回転部材107の角度を角度表示板109から読み取ることにより角度測定を行なう。
【0004】
しかしながら、このようなプロトラクター101を用いた角度測定においては、ワークWをベース103および回転部材107に面接触させる際に、作業者はワークWとベース103を片方の手に持ち、他方の手で回転部材107を旋回させて隙間が空かないように曲げ上げられたワークWに面接触させて角度を読み取らねばならないため非常に面倒であり、時間を要するという問題がある。
【0005】
そこで、特開平6−262265号公報に示されているように、本出願人は、折り曲げられたワークWの一方を角度測定装置の基準側に吸引させると共に、ワークWの他方の折り曲げられた側も角度測定装置の測定側に吸引させて密着させることにより正確な曲げ角度の測定を行なうことを提案した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の特開平6−262265号公報に示されている角度測定装置においては、正確な角度測定を行なうことができるものの、角度測定装置が複雑でおおがかりなものとなるという問題がある。
【0007】
この発明の目的は、以上のような従来の技術に着目してなされたものであり、小型で計量の装置を用いて容易・迅速且つ精度のよい曲げ角度測定を行なうことのできる曲げ角度測定方法およびその装置並びにこの装置を用いた角度測定システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、曲げ加工機によって曲げ加工されたワーク(W)の一辺を支持する測定基準部材(7)を備えると共に前記ワーク(W)の他辺を当接する測定面(9A)を備えた回転子(9)を回転自在に備えた本体部(3)に、前記回転子(9)の外周に設けられているスケール(37)の目盛を読み取る検出器(39)を備えると共に前記回転子(9)の回転角度を表示する表示部(11)を備え、前記回転子(9)に備えたストッパーピン(33)が前記本体部(3)に備えたストッパー(35)に当接したときに前記回転子(9)の回転角度を180度として記憶するRAM(15)を備え、前記測定基準部材(7)と前記回転子(9)の前記測定面(9A)とに90度のスコヤを押し付けて前記検出器(39)により前記回転子(9)の前記スケール(39)の目盛りを読み取り前記表示器(11)に表示するとき、当該表示器(11)の表示が90度となるように原点位置の調整を行うために、前記ストッパーピン(33)と前記ストッパー(35)との接触位置の調整を、前記ストッパー(35)の位置調整により行う構成であることを特徴とするものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1〜図4には、この発明に係る曲げ角度測定装置1が示されている。この曲げ角度測定装置1は、本体部3、樹脂製のグリップ部5、ワークWの基準となる一辺を面接触させる第一支持部材としての測定基準部材7、ワークWの曲げ上げられた他辺に追従して回転する回転子9、この回転子9の回転角度からワークWの曲げ角度を表示する表示部11等を有している。また、グリップ部5の内部には電池13が収納されている。
【0026】
前記測定基準部材7は全体L字状をしており、一方の辺15が本体部3の図1 中左端面に設けられている上下方向の溝部17に係合すると共に、この一方の辺15に設けられている貫通穴19を介して固定ボルト21により固定自在となっている。すなわち、溝部17には上下方向に切欠き23が設けられると共にこの切欠き23の内側には切欠き23よりも幅の広い空間25が設けられている。固定ボルト21の先端に設けられて螺合している止め板27は前記空間25に沿って上下動自在となっており、固定ボルト21を締めることにより止め板27との協働で測定基準部材7を所望の位置で固定するようになっている。
【0027】
従って、固定ボルト21を緩めることにより測定基準部材7は本体部3の溝部17に沿って上下動自在となり、固定ボルト21を締め付けることにより固定自在となって、測定基準部材7の基準面7Aの相対的高さ位置を調整することができるようになっている。
【0028】
前記回転子9は本体部3から図1中左上方へ突出している第二支持部材である突出部29が設けられており、この突出部29に設けられている回転中心軸31を中心とする円形の一部であり、平面状の測定面9Aを有している。この回転子9は回転中心軸31を中心として旋回自在となっており、前記測定面9Aを曲げ上げられたワークWの他辺に接触させることにより回転して、この回転子9の回転角度が表示部11に表示されるようになっている。
【0029】
図5および図6を併せて参照するに、前記回転子9の円弧部分の外周面の両端にはキャリブレーション用の突起であるストッパーピン33が各々設けられている。一方、本体部3にはストッパー35が設けられており、回転子9が一定の角度回転すると当接してそれ以上回転しないようにしている。また、本体部3の内部における回転子9の後方(図1中右方向)には、回転子9の外周に設けられているスケールとしてのマグネスケール37の目盛りを読み取る検出器39が設けられている。
【0030】
図7〜図9を参照して、ワークWの曲げ角度測定動作について説明する。
【0031】
測定を行なう前に、図10を参照して、本体部3に収納されているキャリブレーション装置41により回転子9のキャリブレーション(原点設定)を行なう。このキャリブレーション装置41は、回転子9の外周に沿って設けられているマグネスケール37の目盛りを読み取る検出器39を有しており、この検出器39からの信号をインターフェース43を介して読み取り制御部45に入力する。
【0032】
読み取り制御部45では、中央処理装置であるCPU47と、記憶装置であるROM49とRAM51を有している。また、オリジンスイッチ53、ホールドスイッチ55、オン・オフスイッチ57等が接続されているインターフェース59、表示器11に角度を表示させたりあるいは発信器61により信号を送るためのインターフェース63を有している。
【0033】
キャリブレーション方法は、オン・オフスイッチ57をオンとし、正確に90度を示す治具である図示省略のスコヤを回転子9に押し付ける。オリジンスイッチ53をオンとして検出器39により回転子9のマグネスケール37の目盛りを読み取ってRAM51に格納する。これにより回転子9が正確に90度を示す位置を登録する。
【0034】
あるいは、図11を参照して別のキャリブレーション方法を説明する。この場合のキャリブレーション装置65では、回転子9の外周に沿って設けられているマグネスケール37の目盛りを読み取る検出器39を有しており、この検出器39からの信号をインターフェース43を介して読み取り制御部45のカウンター67に入力する。この場合、表示器11に加えて発信器61も設けられており、発信器61用のインターフェース69が設けられている。その他の構成は、前述の図10の場合と同様なので、同じ部位には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
【0035】
このようなキャリブレーション装置41を用いて、まず回転子9に設けられているストッパーピン33が本体部3に設けられているストッパー35に当接するように回転子9を回転させる。この状態でオン・オフスイッチ57をオンにすると、カウンター67が自動でゼロにクリアされるので、この時の角度を180度としてRAM51に格納する。90度の図示省略のスコヤを回転子9に押し付けて検出器39により回転子9のマグネスケール37の目盛りを読み取り、表示器11に90度が表示されるか否かを確認する。
【0036】
表示器11の表示が90度でない場合には、ストッパー35により原点の調整を行なう。すなわち、図6を参照するに、ストッパー35は調整ネジ部71、テーパー部73、固定ネジ75を有しており、調整ネジ部71を回転させることによりストッパー35が図6中左右方向へ移動するので、回転子9のストッパーピン33との接触位置が変化する。又、ストッパー35は偏心軸としてもよい。これにより原点位置の調整が行なわれるので、再び90度のスコヤを回転子9に押し付けて表示が90度となるかを確認する。この作業を、表示が90度となるまで繰り返し、調整が完了したら固定ネジ75を締めてストッパー35を固定する。
【0037】
この様にしてキャリブレーションが完了すると、以下のようにしてワークWの曲げ角度測定を行なう。測定を開始すると、まずワークWの曲げ角度を適正に測定することができるように、固定ボルト21を緩めて回転子9の回転中心軸31がワークWの接触領域R(図7参照)に入るように測定基準部材7を上下方向に調整する。
【0038】
すなわち、回転子9の回転中心軸31がワークWの接触領域Rにない場合には、ワークWを回転子9に押し付けても回転子9はワークWに追従して回転しないので、回転子9の測定面9AがワークWに密接に接触しない。このため、正確な角度測定ができない場合が生じるからである。
【0039】
角度測定を行なう際には、作業者Mは一方の手で曲げ角度測定装置1のグリップ部5を持つと共に他方の手でワークWを持って(図8および図9(A)参照)、ワークWを回転子9へ押圧する(図9(B)参照)。これにより、回転子9が回転して、ワークWは回転子9の測定面9Aに密接の接触する(図9(C)参照)ので、検出器39により回転子9のマグネスケール37の目盛りを読み取り、キャリブレーションにおいて登録した90度の場合の目盛りとの差から角度を求めて表示器11に表示する。あるいは発信器61により測定信号を発信する。
【0040】
次に、図12を参照して、前述の曲げ角度測定方法および曲げ角度測定装置1を使用した曲げ角度測定システム77について説明する。この曲げ角度測定システム77では、曲げ加工機79の上下テーブル81U、81Lの一方(ここでは下テーブル81L)にインジケータ83を設け、ワークWの曲げ加工を開始した後図示省略のラムが所定距離だけストロークしたときにワークWをパンチPとダイDでクランプした状態で曲げ角度(はさみこみ角度)の測定を行なう。
【0041】
その後、ワークWを取り出して、スプリングバック後の曲げ角度を前述の曲げ角度測定装置1により測定する。曲げ角度測定装置1により測定された角度は、曲げ角度測定装置1に設けられている発信器61から直接NC装置85に入力される。NC装置85においては、前述のはさみこみ角度とスプリングバック後の曲げ角度の差からスプリングバック量が得られるので、NC装置85の図示省略のメモリのデータベースに格納する。
【0042】
以後の曲げ加工において、同様の加工条件の場合には前記データベースに格納されているスプリングバック量を考慮することにより、試し曲げを行なわずにラムストロークであるD値を決定することが可能となるので、加工時間の短縮化を図ることができる。
【0043】
以上の結果から、ワークWの大きさにかかわらず測定基準部材7の高さ位置を調整することにより、常に回転子9とワークWの接触領域Rに回転子9の回転中心が位置するので、ワークWを回転子9に押し付けるだけで回転子9はワークWに追従して密接状態となり、精度のよい角度測定を短時間で行なうことができる。
【0044】
また、作業者は一方の手で曲げ角度測定装置1のグリップ部5を持ち、他方の手でワークWを持って回転子9に押し付けるだけで容易にワークWと回転子9を密接状態とすることができるので、作業性を改善することができる。
【0045】
なお、この発明は前述の実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことにより、その他の態様で実施し得るものである。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、原点調整を行うとき、ストッパーを調整して、回転子の突起が当接する位置を調整して、微調整を行なうので、原点調整後に正確な角度測定を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る曲げ角度測定装置を示す正面図である。
【図2】図1中II方向から見た平面図である。
【図3】図1中III方向から見た側面図である。
【図4】図1中IV方向から見た側面図である。
【図5】回転子取付部分の拡大図である。
【図6】図5中VI−VI線に沿った断面図である。
【図7】測定基準部材の位置決めの状態を示す正面図である。
【図8】作業者が曲げ角度の測定を行なっている状態を示す説明図である。
【図9】(A)〜(C)は、曲げ角度測定方法の各工程を示す説明図である。
【図10】キャリブレーション装置を示すブロック構成図である。
【図11】別のキャリブレーション装置を示すブロック構成図である。
【図12】この発明に係る角度測定システムを示す全体図である。
【図13】従来の曲げ角度測定装置を示す正面図である。
【符号の説明】
1 曲げ角度測定装置
7 測定基準部材(第一支持部材)
9 回転子
29 突出部(第二支持部材)
31 回転中心軸
33 ストッパーピン(突起)
35 ストッパー
37 マグネスケール(スケール)
39 検出器
61 発信器
73 テーパー部又は偏心部
77 曲げ角度測定システム
79 曲げ加工機
W ワーク
R 接触範囲

Claims (1)

  1. 曲げ加工機によって曲げ加工されたワーク(W)の一辺を支持する測定基準部材(7)を備えると共に前記ワーク(W)の他辺を当接する測定面(9A)を備えた回転子(9)を回転自在に備えた本体部(3)に、前記回転子(9)の外周に設けられているスケール(37)の目盛を読み取る検出器(39)を備えると共に前記回転子(9)の回転角度を表示する表示部(11)を備え、前記回転子(9)に備えたストッパーピン(33)が前記本体部(3)に備えたストッパー(35)に当接したときに前記回転子(9)の回転角度を180度として記憶するRAM(15)を備え、前記測定基準部材(7)と前記回転子(9)の前記測定面(9A)とに90度のスコヤを押し付けて前記検出器(39)により前記回転子(9)の前記スケール(39)の目盛りを読み取り前記表示器(11)に表示するとき、当該表示器(11)の表示が90度となるように原点位置の調整を行うために、前記ストッパーピン(33)と前記ストッパー(35)との接触位置の調整を、前記ストッパー(35)の位置調整により行う構成であることを特徴とする曲げ角度測定装置。
JP03924398A 1998-02-20 1998-02-20 曲げ角度測定装置 Expired - Lifetime JP4316695B2 (ja)

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