JP4312359B2 - 電子写真感光体の製造方法及び電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体の製造方法及び電子写真感光体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は複写機、ファクシミリ、レーザプリンタ、ダイレクトデジタル製版機等に用いられる耐久性を有する電子写真感光体の製造方法に関し、詳しくは該感光体の表面層を形成する塗工液の分散安定性を向上させた製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真複写機、電子写真プリンタなど高速化、小型化、高画質化に伴い、感光体の高耐久化が要求されている。感光体は電子写真プロセスにおいて、帯電、露光、現像、転写、クリーニングの反復過程で機械的、化学的作用を受け劣化する。機械的劣化は感光体の摩耗、傷、化学的劣化は発生するオゾンによるバインダー樹脂、電荷輸送物質の酸化劣化及び堆積物などによる画質低下を招来させる。また前記したように高速化、小型化に伴い感光体が小径化され、電子写真プロセスでの使用条件は厳しくなる。特にクリーニング部ではゴムブレードが使用され、十分にクリーニングするためにはゴム硬度の上昇と当接圧力の上昇が余儀なくされ、そのために感光体の摩耗が促進され、電位変動、感度変動が生じ、それによる異常画像、カラー画像の色バランスの崩れ、色再現性に問題が発生するなどの不具合がある。このために感光体の表面層にフィラーを添加する技術が提案されている。
【0003】
表面層にフィラーを添加する方法としては、バインダー樹脂を溶剤に溶解して、その溶液にフィラーを分散させる方法、あるいはバインダー樹脂と電荷輸送物質を溶剤に溶解して、その溶液にフィラーを分散させる方法により塗工液を作製し、浸漬塗工、リング塗工、スプレー塗工、ロール塗工等の塗工法を用いて感光層上に塗布、乾燥して形成するのが一般的である。このように形成されたフィラーを含む表面層は均一な膜厚や均一なフィラー濃度が要求され、複写機、プリンタ等に搭載した場合に不均一な膜ではハーフトーン画像に膜厚ムラが発生するという問題が発生する。また、膜中のフィラーの粒子径が2μm以上のものが増えると、塗膜がざらつき、光の透過率が減少するため、十分な感度が得られなくなり、画像の階調性の低下、地汚れ等の問題が発生する。このような塗膜の不均一性やフィラー粒子の凝集等の問題は、塗工液中のフィラーの分散状態の不良が原因であり、塗工液中のフィラーの分散性を向上させることにより解決することができる。
【0004】
従来、塗工液の分散性の向上に関して多くの提案がある。例えば特開平6−273962号公報は、フィラーを含有する中間層用塗工液の分散メディアにチタニアやジルコニアを用いることで低温低湿下での帯電性の悪化を防止しようとするものである。しかし摩耗粉の混入量が増大しすぎると逆に悪影響が現れるため、上限の規定のないこの提案では帯電性の悪化を招く危険性がある。
【0005】
特許2797266号公報、特開平3−123045号公報、特開平9−211873号公報は、電荷発生層用塗工液の分散メディアにガラスを用いることで摩耗粉の混入量を少なくし、画像欠陥や帯電特性の悪化を防止しようとするものである。しかし、0.2重量%以上のメディア摩耗粉の混入がないと分散安定性は悪く、これらの提案を実現するためには分散安定に効果があるバインダー樹脂を選択したり、分散剤を添加する必要がある。バインダー樹脂の変更や分酸剤の添加により電気特性はほとんどの場合悪化するため、メディア摩耗粉を抑える方法で分散安定性と帯電特性の両立を実現することは非常に困難である。
【0006】
特開平11−038652号公報は電荷発生層用塗工液の分散に循環式の分散機を用い、駆動接液部分にジルコニア、シリコンカーバイドを用いることで金属摩耗粉の混入を防ぎ、局所的な帯電性の低下による画像欠陥を防止しようとするものである。また特開平2000−056484号公報は表面保護層用塗工液を循環しながら分散することで均一な分散液を作製しようとするものである。また特開平11−27205号公報は表面保護層用塗工液の分散にサンドミルを用いるというものであるが、これらの提案はいずれも分散メディアが規定されていないため分散安定性と帯電特性をうまくコントロールすることができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、感光層上にバインダー樹脂とフィラー、あるいはバインダー樹脂、フィラー及び電荷輸送物質を含有する表面層を設けた電子写真感光体の、該表面層を形成する塗工液の分散性安定性を向上させ、これにより高耐久の電子写真感光体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは表面層用塗工液の最適化を計るため、分散メディアと塗工液の物性について鋭意検討した結果、フィラーを含有する表面層用塗工液中に分散メディアが摩耗して混入することにより、この摩耗粉がフィラーの表面に吸着したり、摩耗粉によってフィラー表面を改質することにより表面層用塗工液の分散安定性が向上することを見出した。また、フィラーに対してメディア摩耗粉が0.2重量%以上混入すると、塗工液は著しく沈降しにくくなり、メディア混入量が増大するほど沈降防止効果は大きくなる傾向があり、特に分散メディアとしてアルミナボールを用いることにより沈降防止効果はさらに大きくなること、一方、表面層中のメディア摩耗粉が増大しすぎると、摩耗粉粒子中の表面が電荷のトラップサイトとして働き、表面層の電荷移動を阻害するため、残留電位の増大や感度の低下を招くこと、すなわちフィラーに対してメディア摩耗粉量が20重量%を超えることは帯電特性上好ましくないことも明らかになり、本発明を完成するに至った
【0009】
すなわち、本発明によれば、(1)「導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を積層した感光層と、該感光層上に酸化チタン、アルミナ、およびシリカの中から選ばれるいずれか一の疎水化処理されていないフィラー及びバインダー樹脂、下記構造式で表される電荷輸送物質を含有する表面層を設けた電子写真感光体の製造方法であって、前記表面層を形成する塗工液が直径2mmのアルミナボールであるメディアを用いる分散機により製造され、該分散工程におけるメディア摩耗粉の混入量が前記フィラーに対して3.3重量%から6.1重量%の範囲にあることを特徴とする電子写真感光体の製造方法
【0010】
【化1】
Figure 0004312359
」が提供される。
【0013】
また、(2)「前記(1)項記載の電子写真感光体の製造方法により製造されることを特徴とする電子写真感光体」が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、導電性支持体上に直接または中間層を介して感光層を有し、この感光層上に少なくともバインダー樹脂とフィラー、あるいはバインダー樹脂、フィラー及び電荷輸送物質を含有する表面層が積層された電子写真感光体の製造方法において、該表面層用塗工液中に混入する分散メディアの摩耗量を上記フィラーに対して0.2重量%から20重量%の範囲に規定することで、塗工液中のフィラーの分散性が向上し、膜厚ムラや膜のざらつき、フィラー濃度の偏りのない均一な塗膜が得られるため、画像ムラや画像欠陥がなく、さらにまた帯電性の劣化がないため地汚れのない高耐久の電子写真感光体を得ることができる。
【0015】
本発明に使用されるフィラーとしては、メラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等の有機顔料、酸化チタン、シリカ、酸化スズ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、窒化ケイ素、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム等の無機顔料が挙げられるが、特に良好なものとしてシリカ、アルミナ、酸化チタンが挙げられる。
【0017】
バインダー樹脂としてはアクリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、エポキシ樹脂等が挙げられ、特に好ましいバインダー樹脂としては下記一般式1及び2で示されるポリカーボネートである。
【0018】
【化1】
Figure 0004312359
【0019】
【化2】
Figure 0004312359
一般式1及び2中、R4、R5、R6、R7はそれぞれ独立して水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基を表し、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(Zは脂肪族の2価基を表す)または下記一般式3で表される基
【0020】
【化3】
Figure 0004312359
(一般式3中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R8、R9は置換もしくは無置換のアルキル基またはアリール基を表す。)を表す。ここで、R6とR7、R8とR9は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。p、qは組成を表し、0.1≦p≦1、0≦q≦0.9、nは繰り返し単位を表し5〜5000の整数である。
これらポリカーボネートは強靭性が高く、フィルム性が良いことが挙げられ、また、このフィラー層は電荷輸送機能をもたせるため電荷輸送物質との相溶性が良いことが重要な条件であることから一般式1及び2で示されるポリカーボネートが好適である。
【0021】
フィラーを含む最表面層には電荷輸送機能を付与するために電荷輸送物質を添加することが好ましい。添加する電荷輸送物質としてはオキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン),1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの電荷輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。特に下記一般式4で示される電荷輸送物質は移動度が速く、上記バインダー樹脂との相溶性がよく好ましい。
【0022】
【化4】
Figure 0004312359
一般式4中、R1は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子または置換もしくは無置換のアリール基を表す。R2、R3は置換もしくは無置換のアリール基を表す。
【0023】
1の具体例としては以下のものを挙げることができる。
アルキル基として好ましくはC1〜C12、とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐のアルキル基であり、これらのアルキル基はさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基またはハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を含有してもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−エトキシエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。R2、R3は置換もしくは無置換のアリール基を表すが、その具体例としては以下のものを挙げることができ、同一でも異なっていてもよい。
芳香族炭化水素基としては、スチリル基、フェニル基、縮合多環基としてナフチル基、ピレニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニル基、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテニリデンフェニル基、非縮合多環基としてビフェニリル基、ターフェニリル基などが挙げられる。
複素環基としては、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基などが挙げられる。
【0024】
上述のアリール基は以下に示す基を置換基として有してもよい。
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)アルキル基としては上記のR1、R2、R3と同様のものが挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR105)としては、R105は(2)で定義したアルキル基を表す。具体的にはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基が挙げられる。
(4)アリールオキシ基としては、アリール基としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的にはフェノキシ基、i−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
(5)置換メルカプト基またはアリールメルカプト基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)アルキル置換アミノ基としては、アルキル基は(2)で定義したアルキル基を表す。具体的にはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−プロピルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
(7)アシル基としては、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
【0025】
また、フィラーを含む表面層には、電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂の機能を持った高分子電荷輸送物質も用いることができ、耐摩耗性向上の点で良好に用いることができる。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特にトリアリールアミン構造を主鎖及び/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも下記(I)〜(X)式で表される高分子電荷輸送物質が良好に用いられ、これらを以下に例示する。
【0026】
(I)式
【化5】
Figure 0004312359
(I)式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基またはハロゲン原子、R4は水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基、R5、R6は置換もしくは無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表し、5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式5で表される2価基を表す。
【化6】
Figure 0004312359
一般式5中、R101、R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状もしくは分岐状または環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表す。)または一般式6
【化7】
Figure 0004312359
(一般式6中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換もしくは無置換のアルキル基またはアリール基を表す。)を表す。ここで、R101とR102、R103とR104はそれぞれ同一でも異なってもよい。
【0027】
(II)式
【化8】
Figure 0004312359
(II)式中、R7、R8は置換もしくは無置換のアリール基、Ar1、Ar2、Ar3は同一または異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは(I)式の場合と同じである。
【0028】
(III)式
【化9】
Figure 0004312359
(III)式中、R9、R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar4、Ar5、Ar6は同一または異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは(I)式の場合と同じである。
【0029】
(IV)式
【化10】
Figure 0004312359
(IV)式中、R11、R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar7、Ar8、Ar9は同一または異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは(I)式の場合と同じである。
【0030】
(V)式
【化11】
Figure 0004312359
(V)式中、R13、R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10、Ar11、Ar12は同一または異なるアリレン基、X1、X2は置換もしくは無置換のエチレン基または置換もしくは無置換のビニレン基を表す。X、k、j及びnは(I)式の場合と同じである。
【0031】
(VI)式
【化12】
Figure 0004312359
(VI)式中、R15、R16、R17、R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13、Ar14、Ar15、Ar16は同一または異なるアリレン基、Y1、Y2、Y3は単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、またはビニレン基を表し、同一であっても異なってもよい。X、k、j及びnは(I)式の場合と同じである。
【0032】
(VII)式
【化13】
Figure 0004312359
(VII)式中、R19、R20は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表し、R19、R20は環を形成していてもよい。Ar17、Ar18、Ar19は同一または異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは(I)式の場合と同じである。
【0033】
(VIII)式
【化14】
Figure 0004312359
(VIII)式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20、Ar21、Ar22、Ar23は同一または異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは(I)式の場合と同じである。
【0034】
(IX)式
【化15】
Figure 0004312359
( IX )式中、R22、R23、R24、R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24、Ar25、Ar26、Ar27、Ar28は同一または異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは(I)式の場合と同じである。
【0035】
(X)式
【化16】
Figure 0004312359
( X )式中、R26、R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29、Ar30、Ar31は同一または異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは(I)式の場合と同じである。
【0036】
フィラーを含む表面層中の電荷輸送物質(D)、バインダー樹脂(R)及びフィラー(F)の含有量比率は、(D):(R):(F)=10〜40:35〜55:5〜40の範囲が良好である。電荷輸送物質が10重量%以下になると電荷輸送性の低下に起因すると考えられる明部電位上昇、40重量%以上であると膜強度低下が発生する。バインダー樹脂は電荷輸送物質及びフィラーを固定させるために用いられ、35重量%以下であるとフィラー層の脆化が発生し、55重量%以上であると電荷輸送物質及びフィラー量とのバランスの点で電気特性、膜強度で好ましくない。フィラー量は5重量%以下であると、耐摩耗性の点で好ましくなく、40重量%以上であると膜の不透明化による地汚れなど画像劣化が発生する。
分散溶媒としては、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、クロロベンゼン、ジクロルメタンなどのハロゲン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類が使用され、ボールミル、サンドミル、振動ミルなどのメディアを用いる分散機により分散、粉砕する。フィラーの分散状態は体積平均粒径が0.05〜1.5μm、好ましくは0.2〜1.0μmに粉砕、分散するのが好ましい。体積平均粒径が0.2μmよりも小さいと、耐摩耗性が低下するという欠点があり、体積平均粒径が1.0μmよりも大きいと書き込み光の散乱による解像度低下が発生したり、表面に突出してクリーニングブレードを傷つけるクリーニング不良が発生してしまう。
【0037】
フィラーを含む最表面層の膜厚は、0.5〜10μmで好ましくは1〜6μmである。塗工方法としては浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が採用される。
【0038】
電荷輸送物質とバインダー樹脂から構成される電荷輸送層上にフィラーを含む表面層を設ける場合、電荷輸送層に用いられたバインダー樹脂とフィラー層に用いられるバインダー樹脂の構造は同じでも異なっていてもよい。
【0039】
以下に本発明により製造される電子写真感光体の構成例を図面に沿って説明する。図1は電子写真感光体の断面図であり、導電性支持体30上に電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする単層の感光層31が設けられ、その上にフィラーを含む表面層32が設けられている。図2は別の構成例を示すもので、導電性支持体30上に電荷発生物質を主成分とする電荷発生層33と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層34とが積層され、その上にフィラーを含む表面層32が設けられている。
【0040】
導電性支持体30としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金、鉄などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの酸化物を蒸着またはスパッタリングによりフィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙等に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらをD.I.、I.I.、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研磨などで表面処理した管などを使用することができる。
【0041】
本発明における感光層は、単層型でも積層型でもよいが、ここでは説明の都合上、まず積層型について述べる。
始めに電荷発生層について説明する。電荷発生層は電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物やアモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
【0042】
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0043】
電荷発生層33に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが用いられる。これらのバインダー樹脂は単独または2種以上の混合物として用いることができる。また必要に応じて電荷輸送物質を添加してもよい。
【0044】
電荷輸送物質としては、以下に表される電子供与物質が挙げられ、良好に用いられる。例えばオキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0045】
電荷発生層33を形成する方法には真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。前者の方法には真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。また後述のキャスティング法によって電荷発生層33を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより形成できる。塗布は浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などを用いて行うことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
【0046】
次に電荷輸送層について説明する。
電荷輸送層は、電荷輸送物質とバインダー樹脂とを共に溶解、塗工して形成される。バインダー樹脂としてはフィルム性の良いポリカーボネート(ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZタイプ、ビスフェノールCタイプ、あるいはこれら共重合体)、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリエステル、メタクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらのバインダー樹脂は単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0047】
電荷輸送層に使用される電荷輸送物質は、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体(特開昭52−139065、52−139066号公報)、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体(特開平1−77839号公報)、ベンジジン誘導体(特公昭58−32372号公報)、α−フェニルスチルベン誘導体(特開昭57−73075号公報)、ヒドラゾン誘導体(特開昭55−154955、55−156954、55−52063、56−81850号公報など)、トリフェニルメタン誘導体(特公昭51−10983号公報)、アントラセン誘導体(特開昭51−94829号公報)、スチリル誘導体(特開昭56−29245、5−1198043号公報)、カルバゾール誘導体(特開昭58−58552号公報)、ピレン誘導体などを使用することができる。
【0048】
また、電荷輸送層には電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂の機能を併せ持つ前述の高分子電荷輸送物質も良好に使用され、これらの高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れたものである。
電荷輸送層の膜厚は、5〜100μm程度、好ましくは10〜40μmである。
【0049】
また、本発明において電荷輸送層中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般に樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量はバインダー樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
【0050】
次に感光層が単層構成の場合について述べる。
キャスティング法等で単層感光層を設ける場合、多くは電荷発生物質と電荷輸送物質並びにバインダー樹脂よりなる機能分離型のものが挙げられる。すなわち、電荷発生物質並びに電荷輸送物質には前出の材料を用いることができる。
また、必要により可塑剤やレベリング剤を添加することもできる。さらに、必要に応じて用いることのできるバインダー樹脂としては、先に電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂をそのまま用いる他に、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。単層感光体の膜厚は5〜100μm程度で、好ましくは10〜40μmである。
【0051】
本発明に用いられる電子写真感光体には、導電性支持体と感光層(積層タイプの場合には電荷発生層)との間に中間層を設けることができる。中間層は接着性を向上する、モワレなどを防止する、上層の塗工性を改良する、残留電位を低減するなどの目的で設けられる。中間層は一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤でもって塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えてもよい。これらの中間層は前述の感光層のごとく適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。
【0052】
この他に、中間層にはAl23を陽極酸化にて設けたものやポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。中間層の膜厚は0〜8μmが適当である。
【0053】
また、本発明においては耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤は有機物を含む層ならばいずれに添加してもよいが、電荷輸送物質を含む層に添加すると良好な結果が得られる。
【0054】
本発明に用いることができる酸化防止剤としては、下記のものが挙げられる。
モノフェノール系化合物
2、6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなど。
ビスフェノール系化合物
2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)など。
高分子フェノール系化合物
1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4、6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3′−ビス(4′−ヒドロキシ−3′−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェノール類など。
パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジメチル−N,N′−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3′−チオジプロピオネートなど。
有機リン化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。本発明における酸化防止剤の添加量は電荷輸送物質100重量部に対して0.1〜100重量部、好ましくは2〜30重量部である。
【0055】
【実施例】
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中、部はすべて重量部を表わす。
【0056】
比較例1
φ30mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の中間層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの中間層、0.2μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層を形成した。その上に直径2mmのジルコニアボールを入れたボールミルを用い、2時間粉砕して下記の有機フィラーを分散した表面層用塗工液(1)−Aを作製した。同様に直径2mmのガラスビーズを入れたボールミルを用い、48時間粉砕して下記の有機フィラーを分散した表面層用塗工液(1)−Bを作製した。同様に直径2mmのアルミナボールを入れたボールミルを用い、48時間粉砕して下記の有機フィラーを分散した表面層用塗工液(1)−Cを作製した。これらの液をスプレーで塗工して約3.0μmの表面層を設け、乾燥後、電子写真感光体を得た。メディア混入量、分散フィラーの体積平均粒径、沈降性評価結果、初期画像及び1万枚通紙試験後の画像と感光体の摩耗量を表1に示す。
【0057】
Figure 0004312359
【化17】
Figure 0004312359
〔フィラー含有表面層用塗工液〕
球形メラミン(日本触媒社製エポスターS) 2部
ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製Zポリカ、Mv5万) 5部
テトラヒドロフラン 120部
シクロヘキサノン 80部
【0058】
比較例2
比較例1と同様に中間層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に直径0.5mmのアルミナボールを入れたビーズミルを用い、10分粉砕して比較例1と同様の有機フィラーを分散した表面層用塗工液(2)−Aを作製した。同様にビーズミルを用い2時間粉砕して比較例1と同様の有機フィラーを分散した表面層用塗工液(2)−Bを作製した。これらの塗工液を用い、表面層を比較例1と同様の方法で設けた。メディア混入量、分散フィラーの体積平均粒径、沈降性評価結果、初期画像及び1万枚通紙試験後の画像と感光体の摩耗量を表1に示す。
【0059】
比較例3
比較例1と同様に中間層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に直径2mmのアルミナボールを入れたボールミルを用い、8時間粉砕して下記有機フィラーを分散した表面層用塗工液(3)を作製した。この塗工液を用い、表面層を比較例1と同様の方法で設けた。メディア混入量、分散フィラーの体積平均粒径、沈降性評価結果、初期画像及び1万枚通紙試験後の画像と感光体の摩耗量を表1に示す。
〔フィラー含有表面層用塗工液〕
球形メラミン(日本触媒社製エポスターS) 2部
ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製Zポリカ、Mv5万) 5部
テトラヒドロフラン 120部
シクロヘキサノン 80部
下記構造式bで表される電荷輸送物質 3部
【化18】
Figure 0004312359
【0060】
比較例4
比較例1と同様に中間層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に直径2mmのアルミナボールを入れたボールミルを用い、8時間粉砕して下記有機フィラーを分散した表面層用塗工液(4)を作製した。この塗工液を用い、表面層を比較例1と同様の方法で設けた。メディア混入量、分散フィラーの体積平均粒径、沈降性評価結果、初期画像及び1万枚通紙試験後の画像と感光体の摩耗量を表1に示す。
〔フィラー含有表面層用塗工液〕
球形メラミン(日本触媒社製エポスターS) 2部
テトラヒドロフラン 120部
シクロヘキサノン 80部
下記構造式cで表される高分子電荷輸送物質 8部
【化19】
Figure 0004312359
【0061】
比較例5
比較例1と同様に中間層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に直径2mmのアルミナボールを入れたボールミルを用い、8時間粉砕して下記無機顔料を分散した表面層用塗工液(5)を作製した。この塗工液を用い、表面層を比較例1と同様の方法で設けた。メディア混入量、分散フィラーの体積平均粒径、沈降性評価結果、初期画像及び1万枚通紙試験後の画像と感光体の摩耗量を表1に示す。
〔フィラー含有表面層用塗工液〕
酸化亜鉛(堺化学社製Sazex4000) 2部
ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製Zポリカ、Mv5万) 5部
テトラヒドロフラン 120部
シクロヘキサノン 80部
下記構造式bで表される電荷輸送物質 8部
【化20】
Figure 0004312359
【0062】
実施例1〜3
比較例1と同様に中間層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた上に直径2mmのアルミナボールを入れたボールミルを用い、8時間粉砕して下記の酸化チタン、アルミナ、シリカを分散した表面層用塗工液(6)−A、(6)−B、(6)−Cを作製した。これら塗工液を用い、表面層を比較例1と同様の方法で設けた。メディア混入量、分散フィラーの体積平均粒径、沈降性評価結果、初期画像及び1万枚通紙試験後の画像と感光体の摩耗量を表1に示す。
〔フィラー含有表面層用塗工液(6)−A〕
酸化チタン(石原産業社製CR−EL)2部
ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製Zポリカ、Mv5万) 5部
テトラヒドロフラン 120部
シクロヘキサノン 80部
下記構造式bで表される電荷輸送物質 8部
【化21】
Figure 0004312359
〔フィラー含有表面層用塗工液(6)−B〕
アルミナ(住友化学工業社製AKP−50) 2部
ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製Zポリカ、Mv5万) 5部
テトラヒドロフラン 120部
シクロヘキサノン 80部
下記構造式bで表される電荷輸送物質 8部
【化22】
Figure 0004312359
〔フィラー含有表面層用塗工液(6)−C〕
シリカ(住友化学工業社製KMPX−100) 2部
ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製Zポリカ、Mv5万) 5部
テトラヒドロフラン 120部
シクロヘキサノン 80部
下記構造式bで表される電荷輸送物質 8部
【化23】
Figure 0004312359
【0063】
比較例
比較例1と同様にして中間層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた。この上に比較例1と同様のジルコニアボールを入れたボールミルを用い、1時間粉砕して比較例1の有機フィラーを分散したフィラー含有表面層用塗工液(7)−Aを作製した。同様に比較例1で使用したガラスビーズを入れたボールミルを用い、72時間粉砕して比較例1の有機フィラーを分散したフィラー含有表面層用塗工液(7)−Bを作製した。同様に比較例1で使用したアルミナボールを入れたボールミルを用い、72時間粉砕して下記の有機フィラーを分散した表面層用塗工液(7)−Cを作製した。これらの塗工液を用いて比較例1と同様の方法で電子写真感光体を作製した。メディア混入量、分散フィラーの体積平均粒径、沈降性評価結果、初期画像及び1万枚通紙試験後の画像と感光体の摩耗量を表2に示す。
【0064】
比較例
比較例2と同様にして中間層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた。この上に超音波分散装置を用い、4時間粉砕して比較例2と同様の有機フィラーを分散したフィラー含有表面層用塗工液(8)を作製し、この塗工液を用いて比較例2と同様の方法で表面層を形成し、電子写真感光体を作製した。メディア混入量、分散フィラーの体積平均粒径、沈降性評価結果、初期画像及び1万枚通紙試験後の画像と感光体の摩耗量を表2に示す。
【0065】
比較例
比較例3と同様にして中間層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた。この上に比較例3と同様のアルミナボールを入れたボールミルを用い、96時間粉砕して比較例3の電荷輸送物質と有機フィラーを分散したフィラー含有表面層用塗工液(9)を作製し、この塗工液を用いて比較例3と同様の方法で表面層を形成し、電子写真感光体を作製した。メディア混入量、分散フィラーの体積平均粒径、沈降性評価結果、初期画像及び1万枚通紙試験後の画像と感光体の摩耗量を表2に示す。
【0066】
比較例
比較例4と同様にして中間層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた。この上に比較例4と同様のアルミナボールを入れたボールミルを用い、96時間粉砕して比較例4の高分子電荷輸送物質と有機フィラーを分散したフィラー含有表面層用塗工液(10)を作製し、この塗工液を用いて比較例4と同様の方法で表面層を形成し、電子写真感光体を作製した。メディア混入量、分散フィラーの体積平均粒径、沈降性評価結果、初期画像及び1万枚通紙試験後の画像と感光体の摩耗量を表2に示す。
【0067】
比較例10
実施例と同様にして中間層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた。この上に実施例と同様のアルミナボールを入れたボールミルを用い、1時間粉砕して実施例の電荷輸送物質とアルミナを分散したフィラー含有表面層用塗工液(11)−Aを作製した。同様に実施例で使用したアルミナボールを入れたボールを用い、72時間粉砕して実施例のアルミナを分散したフィラー含有表面層用塗工液(11)−Bを作製した。これらの塗工液を用いて実施例と同様の方法で表面層を形成し、電子写真感光体を作製した。メディア混入量、分散フィラーの体積平均粒径、沈降性評価結果、初期画像及び1万枚通紙試験後の画像と感光体の摩耗量を表2に示す。
【0068】
比較例11
比較例1と同様にして中間層、電荷発生層、電荷輸送層を設け、フィラー含有表面層を積層しない電子写真感光体を作製した。表2にはサンプルNo.(12)として評価結果を記載した。
【0069】
【表1】
Figure 0004312359
【0070】
【表2】
Figure 0004312359
(注)
・メディア混入量は以下の方法で算出した。
混入量(%)=(分散前メディア重量−分散後メディア重量)/フィラー重量×100
・体積平均粒径は堀場製作所社製CAPA500で計測した。
・沈降性評価基準
◎:2日静置して分散粒子の沈降なし、
○:1日静置して分散粒子の沈降なし、
△:1日静置して分散粒子が一部沈降、
×:1日静置して分散粒子が全部沈降。
・画像及び摩耗量は、感光体をリコー製イマジオMF200に装着し、暗部電位800V、明部電位100Vに設定し、画像(初期)を出し、次に1万枚の通紙試験を行った後、同様の方法で画像(1万枚)と摩耗量を(1万枚通紙前後の膜厚差)を計測した。
・膜厚は渦電流式膜厚計フィシャー社製フィシャーコープMMSで測定した。
【0071】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、感光層上にバインダー樹脂とフィラー、あるいはバインダー樹脂、フィラー及び電荷輸送物質を含有する表面層を設けた電子写真感光体の製造方法において、表面層を形成する塗工液がメディアを用いる分散機により製造され、該塗工液の分散工程におけるメディア摩耗粉の混入量が前記フィラーに対して0.2重量%から20重量%の範囲にあるため、塗工液中でのフィラーの分散性が向上し、膜厚ムラや膜のざらつき、フィラー濃度の偏りのない均一な塗膜が得られる。そのため、画像ムラや画像欠陥がなく、さらに帯電性が劣化しないため、地汚れのない高耐久の電子写真感光体を得ることができる。
【0072】
発明は、上記メディアがアルミナボールであるため、アルミナボールの摩耗粉の混入によりフィラーの沈降防止効果がさらに大きくなり、分散安定性のより優れた表面層塗工液を作製することができる。
【0073】
発明は、上記表面層に含有される電荷輸送物質が高分子電荷輸送物質であるため、電荷輸送物質としての機能のみでなくバインダー樹脂としての機能も持つため、これを表面層に加えることによって耐摩耗性の優れた表面層を形成することができる。
【0074】
発明は、上記表面層に含有されるフィラーが無機顔料であるため、他のフィラーより硬い表面層が形成され、表面層の摩耗量が少なくなる効果がある。
【0075】
発明は、上記無機顔料として酸化チタン、アルミナ、シリカのいずれかを用いるため、他の無機顔料と比べて塗工用分散液のメディア摩耗粉の混入による沈降防止作用が大きい。
【0076】
発明は、上記いずれかの製造方法により製造される電子写真感光体であり、感光層上にフィラーの分散性の優れた表面層が形成されるため、高耐久で繰り返し使用に対して安定な高画質画像を作像できる電子写真感光体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により製造される電子写真感光体の構成例を示す断面図。
【図2】本発明により製造される電子写真感光体の別の構成例を示す断面図。
【符号の説明】
30 導電性支持体
31 感光層
32 表面層
33 電荷発生層
34 電荷輸送層

Claims (2)

  1. 導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を積層した感光層と、該感光層上に酸化チタン、アルミナ、およびシリカの中から選ばれるいずれか一の疎水化処理されていないフィラー及びバインダー樹脂、下記構造式で表される電荷輸送物質を含有する表面層を設けた電子写真感光体の製造方法であって、前記表面層を形成する塗工液が直径2mmのアルミナボールであるメディアを用いる分散機により製造され、該分散工程におけるメディア摩耗粉の混入量が前記フィラーに対して3.3重量%から6.1重量%の範囲にあることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
    Figure 0004312359
  2. 請求項1記載の電子写真感光体の製造方法により製造されることを特徴とする電子写真感光体。
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