JP4312283B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製版機能を有する孔版印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平9−169154号公報などに開示された従来技術として、ロール状の感熱孔版原紙に製版を行う製版部と、前記感熱孔版原紙を切断する切断部と、前記感熱孔版原紙を搬送する原紙給送部と、前記感熱孔版原紙をその外周面に巻き付けてインクを供給する印刷ドラムと、サイズの異なる印刷用紙を収納することができる印刷用紙収納部と、この印刷用紙収納部に収納された前記印刷用紙を前記印刷ドラム部に向けて給送する給紙部と、この給紙部により送られた前記印刷用紙を介し印圧部にてローラ状回転体を前記印刷ドラムの外周面に製版領域を覆う範囲で押圧したのち押圧解除を行う押圧手段と、前記印刷用紙収納部に収納された前記印刷用紙のサイズを検出するサイズ検出手段と、前記切断部における前記感熱孔版原紙の少なくとも切断タイミングを設定する制御手段と、前記印圧部における前記押圧手段による前記印刷用紙の押圧長さを切り替える切り替え手段とを有していて前記印刷用紙のサイズに応じて前記感熱孔版原紙を切断するとともに前記印刷用紙の押圧長さを設定するようになされていて、前記印刷ドラムは内側のインクを微細な開口を介して外側に滲出させ得るスクリーン領域と、インクを滲出させない堰要素とを有し、かかる印刷ドラムに巻き付けられた前記感熱孔版原紙の後端側について、製版領域の後端位置から前記押圧解除の位置までの間に前記堰要素が位置するような大サイズの感熱孔版原紙の場合と、前記製版領域の後端位置から前記押圧解除の位置までの間の領域から外れた位置に前記堰要素が位置するような小サイズの感熱孔版原紙の場合とがあり得る孔版印刷装置がある。
【0003】
このような孔版印刷装置では、印刷用紙のサイズに応じて感熱孔版原紙を切断するとともに印圧部における押圧手段による印刷用紙の押圧長さを設定するので、大サイズの印刷用紙を用いる印刷に際してはこれに合わせた大サイズの感熱孔版原紙が使用されるし、小サイズの印刷用紙を用いる印刷に際してはこれに合わせた小サイズの感熱孔版原紙が使用されることとなり、従来のように、印刷用紙のサイズに関係なく一定の大サイズの感熱孔版原紙を使用する場合と比べて、感熱孔版原紙が無駄に消費されることがない。
【0004】
また、大サイズの印刷用紙で制御を行なうとき大サイズの感熱孔版原紙を使用する場合、小サイズの印刷用紙で印刷を行なうとき小サイズの感熱孔版原紙を使用する場合に拘らず、同一の印刷ドラムを使用し、切り替え手段により印刷用紙の押圧長さを切り替えるようにしているので、従来のように、印刷用紙のサイズに応じて穿孔範囲を異ならせた印刷ドラムを用意して、印刷用紙のサイズに応じて印刷ドラムを取り替えるのと比べて、操作の煩雑さがなく、かつ、コスト的にもユーザーの負担が軽減されるという利点がある。
【0005】
このような利点がある反面、小サイズの感熱孔版原紙の場合、製版領域の後端位置から押圧手段による押圧解除の位置までの間の領域から外れた後方位置に前記堰要素が位置することから、押圧手段によりしごかれたインキが感熱孔版原紙の後方の印刷ドラム上にはみ出してしまい、このはみ出したインキが圧胴に転写されて、次に印刷される印刷用紙に対して所謂裏汚れを発生させるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記したような印刷用紙の裏汚れをなくすことのできる孔版印刷装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するため、以下の構成とした。
(1). ロール状の感熱孔版原紙に製版を行う製版部と、前記感熱孔版原紙を切断する切断部と、前記感熱孔版原紙を搬送する原紙給送部と、前記感熱孔版原紙をその外周面に巻き付けてインクを供給する印刷ドラムと、サイズの異なる印刷用紙を収納することができる印刷用紙収納部と、この印刷用紙収納部に収納された前記印刷用紙を前記印刷ドラム部に向けて給送する給紙部と、この給紙部により送られた前記印刷用紙を介し印圧部にてローラ状回転体を前記印刷ドラムの外周面に製版領域を覆う範囲で押圧したのち押圧解除を行う押圧手段と、前記切断部における前記感熱孔版原紙の少なくとも切断タイミングを設定する制御手段と、前記印圧部における前記押圧手段による前記印刷用紙の押圧長さを切り替える切り替え手段とを有していて前記印刷用紙のサイズに応じて前記感熱孔版原紙を切断するとともに前記印刷用紙の押圧長さを設定するようになされていて、前記印刷ドラムは内側のインクを微細な開口を介して外側に滲出させ得るスクリーン領域と、インクを滲出させない堰要素とを有し、かかる印刷ドラムに巻き付けられた前記感熱孔版原紙の後端側について、製版領域の後端位置から前記押圧解除の位置までの間に前記堰要素が位置するような大サイズの感熱孔版原紙の場合と、前記製版領域の後端位置から前記押圧解除の位置までの間の領域から外れた位置に前記堰要素が位置するような小サイズの感熱孔版原紙の場合とがあり得る孔版印刷装置において、
前記小サイズの感熱孔版原紙についての前記押圧解除位置から原紙後端までの距離を、前記大サイズの感熱孔版原紙について設定される前記押圧解除位置から原紙後端までの距離を前記小サイズの感熱孔版原紙に適用したときに生ずるインクの尻モレ領域を覆うことのできる所定値とし、前記所定値を前記大サイズの感熱孔版原紙について設定される前記押圧解除位置から原紙後端までの距離の2倍以上とし、前記切断部における前記切断タイミングを設定する前記制御手段は、前記印刷用紙のサイズに加え、少なくとも印刷枚数情報をも加味して、当該感熱孔版原紙の切断タイミングを設定することとした(請求項1)。
(2). (1)記載の孔版印刷装置において、
前記大サイズの感熱孔版原紙について設定される前記押圧解除位置から原紙後端までの距離を15mm〜20mmとするとき、前記所定値を印刷枚数1000枚以上では60mm〜100mm、印刷枚数250枚以下のとき又は印刷枚数250枚毎に当該感熱孔版原紙を交換するときには30mm〜40mmとした(請求項2)
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
一.発明の実施に適する孔版印刷装置
(1)孔版印刷装置の全体概略
本発明が適用された孔版印刷装置の全体概略を図1に示す。図1において、印刷ドラム1は多孔構造の円筒体を有し、この円筒体の外周にメッシュスクリーンを巻着して構成されている。
【0016】
この印刷ドラム1の外周部には、該印刷ドラム1の軸線と平行に回転自在なマスタクランパ12が設けられている。このマスタクランパ12は図示されない開閉装置により駆動力を伝達されて、所定位置にて開閉される。マスタクランパ12には感熱孔版原紙(以下、マスタという。)2の一端が挾持され、他端側が版胴1の外周面に巻着されている。
【0017】
マスタ2は図1における印刷ドラム1の右側に位置する製版部19にて原稿の情報に基づき穿孔され、原紙給送部により搬送されて印刷ドラム1に至り、該印刷ドラム1の外周面に巻着される。
【0018】
製版部19には、ロール状に巻かれたマスタロール10が回転可能に保持されている。マスタロール10から繰り出されたマスタ2はサーマルヘッド17の発熱素子部にプラテンローラ9により押し付けられつつ搬送されることで穿孔製版される。
【0019】
ここで、サーマルヘッド17は図示しないスキャナから送られた画像信号に基づいて前記発熱素子部を選択的に発熱させて穿孔製版する。製版されたマスタ2の後端側は切断部としてのカッタ4により切断され、原紙給送部としての給版ローラ5により印刷ドラム1のマスタクランパ12に向けて搬送される。やがて、マスタ2はマスタクランパ12に至る。マスタクランパ12はマスタ2の先端部を捕えクランプする。
【0020】
マスタクランパ12がマスタ2の先端部をクランプした後、印刷ドラム1の回動によりマスタ2の後端側は印刷ドラム1の外周に巻き付けられていく。この間も必要に応じサーマルヘッド17による穿孔は行われる。マスタ2の送り量はプラテンローラ9を駆動するプラテンローラ駆動パルスモータ6によりコントロールされており、制御装置(図5により後述する。)からの指令に基づいて所要の一定量の送りが完了すればカッタ4を駆動するカッタ駆動モータ7が偏心カム8を回転させてカッタ4を動かしマスタ2を切断する。こうして印刷ドラム1がすっかりマスタ2をその外周に巻き付けを完了することで、製版給版が完了する。
【0021】
図1における印刷ドラム1の左側には排版装置18が設けられている。印刷終了後、印刷ドラム1に巻着されている使用済みのマスタ2は該印刷ドラム1から剥離されてこの排版装置18に格納される。
【0022】
印刷ドラム1は図示しない駆動装置により時計回りの向きに回転させられるようになっている。印刷ドラム1の内部には、該印刷ドラム1と同方向に同期して回転するインキローラ13と、このインキローラ13の外周面と僅かに隙間をおいて設けられたドクターローラ15とが位置している。
【0023】
これらインキローラ13とドクターローラ15との間に形成される楔状の対向空間がインキ溜り16をなしている。このインキ溜り16へは、軸パイプ11の穴よりインキ14が供給される。これらインキローラ13、ドクターローラ15の回転により、インキ溜り16のインキ14はインキローラ13の外周面に供給される。さらに、インキローラ13の外周面に供給されたインキは、印刷ドラム1の内周面とインキローラ13外周面との間に僅かな隙間があるので、印刷ドラム1の内周面に供給される。
【0024】
印刷ドラム1の下方には、インキローラ13に対向して、ローラ状の回転体からなる圧胴20が位置している。圧胴20は、インキローラ13に対向した印刷ドラム1の外周面上の位置である印圧部において印刷ドラム1上のマスタ2に印刷用紙3を押し付ける機能を有するもので、ローラ状の回転体からなる。圧胴20に代えて所謂プレスローラが使用されることもある。以下の例では、圧胴20の例で説明する。
【0025】
圧胴20は印刷ドラム1上のマスタクランパ12との衝突を避けるため、該圧胴20の外周の一部が平坦部を以って構成されていて、軸方向からみるとD形の形状となっている。この平坦部には印刷用紙3の先端部を保持するくわえ爪21が回動により開閉自在に設けてある。
【0026】
このくわえ爪21は、図示されないカムにより所定のタイミングで開き、印刷用紙3の先端部をくわえた後、閉じて圧胴20に印刷用紙3を保持し、印刷が終了したら該圧胴20の外周部近傍に設けた排紙爪29のところで再び開き、排紙爪29を介して排紙搬送装置35に印刷用紙3の先端部を送り出すべく、該印刷用紙3の先端部を開放する。
【0027】
なお、圧胴20は印刷用紙3のサイズに合わせて印刷用紙3を押圧するものであり、印刷ドラム1上での印刷用紙3がない部位で印刷用紙3が押圧されることがないように、圧胴20の押圧、離間のタイミングを制御する手段として一端側を支点軸24で支持してこの支点軸24を中心に揺動自在とし、且つ、この揺動アーム25の自由端側に該圧胴20を回転自在に支持し、この揺動アーム25を印刷ドラム1と同期して回転するカム54、54’(図2、図4により後述する)により所定タイミングで揺動させ圧胴20を印刷ドラム1に押圧したり、離間させたりして必要なときだけ、印刷用紙3を押圧するようにしている。
【0028】
このように圧胴20を印圧部にて印刷用紙3に押圧させ、又離間させる手段を、押圧手段と称する。押圧手段は、揺動アーム25、緊縮性のばねである押圧スプリング26、前記カム、圧胴20などにより構成されている。なお、揺動アーム25、押圧スプリング26、前記カムについては、図1に示す他に、圧胴20の図1における紙面を貫く反対側にも同様の部材による構成が施されている。
【0029】
また、圧胴20は、搬送ミスが発生した場合には印刷ドラム1に押圧されず、図示しない印圧解除装置により圧解除されるようになっている。前記カム54、54’は、圧胴20による印刷用紙の押圧長の種類に対応した数のカム面を有している。このカム面は印刷用紙のサイズに応じて切り替えられる。この切り替え手段については、後述する。
【0030】
図1において、印刷ドラム1の左下方には圧胴20外周面に近接して、印刷後(インキ塗布後)の印刷用紙3を圧胴20から剥離するための排紙爪29と、剥離した印刷用紙3を搬送する排紙搬送装置35と、排紙搬送装置35により搬送された印刷用紙3を蓄えておく排紙台36が設けられている。
【0031】
図1において、印刷ドラム1の右下方には、サイズの異なる印刷用紙を収納することができるエレベータ方式の給紙台31からなる印刷用紙収納部が設けられている。この給紙台31には収納された印刷用紙のサイズを検出するサイズ検出手段としての光センサ40、光センサ41が設けられている。
【0032】
光センサ40は印刷用紙の先端側を検知できる位置に配置され、光センサ41は光センサ40よりも搬送方向の後方に所定の間隔をおいて配置されている。これにより、光センサ40のみが印刷用紙の存在を検知した場合と、光センサ40及び光センサ41が印刷用紙の存在を検知した場合とで、収納された印刷用紙のサイズを識別することができる。
【0033】
この給紙台31は図示されない駆動装置により、積載された印刷用紙3の最上位が常に呼出しローラ30に、搬送が可能となる適度の押圧力が与えられように保持されつつ、昇降されるようになっている。
【0034】
給紙部は、回転自在に支持された給紙ローラ32と、呼出しローラ30を有し、これらのローラは図示省略の無端ベルトにより連結されている。給紙ローラ32の下方には、印刷用紙3の重送送りを防止する分離ローラ34が圧接している。さらに、印刷用紙搬送方向前方には、回転自在に支持された一対のフィードローラ33と、印刷用紙3をフィードローラニップ部に案内する一対のガイド板38が設けられている。
【0035】
給紙ローラ32は、印刷ドラム1と同期して回転する図示しないカムと、このカムに係合するカムフォロワを有する扇形ギヤ、ワンウェイクラッチが組み込まれた給紙ローラギヤにより、時計回りの向きに回転される。フィードローラ33も同様に、印刷ドラム1と同期して回転する図示しないカムと、このカムに係合するカムフォロワを有する扇形ギヤ、ワンウエイクラッチが組み込まれたフィードローラギヤなどにより、フィードローラ下方側が反時計回りの向きに回転される。フィードローラ33による印刷用紙3の送り速度は、印刷ドラム1の周速と同じに設定されている。
【0036】
(2)印刷用紙の搬送手順
給紙ローラ32、呼出しローラ30の回転により送り出された印刷用紙3は、給紙ローラ32と分離ローラ34部分で重送が防止され、最上位の1枚だけがフィードローラ33に送られる。この印刷用紙3の先端がフィードローラ33間のニップ部に衝突しさらに後方からの送り出しが行われると、上方に所定量のわん曲たるみが形成される。このわん曲たるみが形成された時点で、給紙ローラ32と呼出しローラ30は回転を停止する。
【0037】
その後、カムにより印刷ドラム1上のマスタ2と該印刷用紙3とを合致させ得る所定のタイミングでフィードローラ33を回転させて印刷用紙3のわん曲たるみを消滅させる。さらに、ワンウェイクラッチが組み込まれて用紙搬送方向に回転可能な給紙ローラ32と呼出しローラ30も、印刷用紙3の搬送によって従動回転させられつつ、印刷用紙3は圧胴20に向けて搬送される。このタイミングに合わせ、圧胴20中のくわえ爪21は開き、印刷用紙3をくわえた後、くわえ爪21は閉じ、圧胴20に印刷用紙3が保持されたまま、圧胴20は回転し、印刷ドラム1と圧胴20とのニップ部、つまり印圧部に印刷用紙3が送り込まれる。
【0038】
こうして印圧部に印刷用紙3が送り込まれるとき、圧胴20は、緊縮性の押圧スプリング26の力により加圧されており、印刷用紙3はマスタ2を介して印刷ドラム1の外周面に押圧される。この押圧の際に、インキローラ13により、印刷ドラム1の外周面に形成された微細な開口および該外周面に取り付けられているマスタ2の穿孔部を通過してきたインキが印刷用紙3に転写され、印刷が行われる。
【0039】
インキが転写された印刷用紙3は、さらに圧胴20が回転してから排紙爪29の手前でくわえ爪21が開くことにより先端部から排紙爪29により剥離されていき、排紙搬送装置35によって排紙台36に搬送されて排紙台36上に積載され、印刷を終了する。
【0040】
(3)マスタ切断長設定手段、印刷用紙の押圧長切り替え手段
図1乃至図6を参照しつつ説明する。
圧胴20はその中心軸23、中心軸23’と一体的に構成されている。これら中心軸23、23’は該圧胴20の軸方向の両側に突出しており、この突出した部分が軸受50、50’を介して揺動アーム25、25’の中間位置に支持されている。これにより、圧胴20は揺動アーム25、25’に対して回転自在である。
【0041】
揺動アーム25、25’の各一端側には軸受51、51’を介して支点軸24、24’が装着されている。支点軸24の端部は前側板52に固定されている。支点軸24’は揺動アーム25’を貫通して軸受55を介して後側板52’を貫通している。かかる構成により、圧胴20は支点軸24、24’を中心に揺動する揺動アーム25、25’により支持されていることになる。このように、一対の揺動アーム25、25’によって圧胴20を支持しているのは、圧胴20を印刷ドラム1に対して軸方向に均一に押圧させるためである。
【0042】
揺動アーム25、25’の各支点軸24、24’と反対側、つまり自由端側には緊縮性のばねからなる押圧スプリング26、26’の各一端側が掛けられ、他端側は不動部材に掛けられている。よって、これら押圧スプリング26、26’の弾性により揺動アーム25、25’には図2において支点軸24、24’を中心にして圧胴20を紙面と垂直に手前側に向かう向きに回動させられる向きの回転力が与えられる。つまり、押圧スプリング26、26’は圧胴20を印刷ドラム1に押圧させる向きの回転モーメントを揺動アーム25、25’に作用させている。
【0043】
揺動アーム25’を貫通した支点軸24’の一端側にはギヤ57が一体的に取付けられ、このギヤ57は中心軸23’に一体的に取付けられたギヤ58に噛み合わされている。又、後側板52’を貫通した支点軸24’は、該後側板52’の外側に設けた支持枠80の軸受55’に支持されている。これら軸受55、55’間の支点軸24’にはプーリ56が固定されていて、このプーリ56と図示しない駆動源との間に掛けわたされたベルトにより、圧胴20は印刷ドラム1と同じ線速度で回転されるようになっている。
【0044】
圧胴20は印刷を行う毎に印刷ドラム1に押圧させる必要があり、揺動アーム25、25’を支点軸24、24’を中心にして繰り返し揺動運動させねばならない。このため、揺動アーム25、25’の各自由端部にカムフォロワ53、53’を枢着し、これらのカムフォロワ53、53’をカム54、54’のカム面に押圧スプリング26、26’の弾性により当接させている。
【0045】
これらカム54、54’は共に軸60に固定されている。カム54は異なるカム面を有するカム板54a,54bを有する一体的構成になっていて、図2において、カム板54aの右隣にカム板54bが位置している。同様にカム54’はカム板54a’、54b’を有し、カム板54a’の右隣にカム板54b’が位置している。カム板54aとカム板54a’とは同じ大きさ形状をしている。又、カム板54bとカム板54b’とは同じ大きさ形状をしている。
【0046】
カム板54a、カム板54a’は「A4横」サイズ(図6参照)までの印刷用紙に対する圧胴20の押圧制御に適合する。又、カム板54b、54b’は「A4横」サイズを越えて「A3縦」サイズ(図6参照)までの印刷用紙に対する圧胴20の押圧制御に適合する。
【0047】
これらのカム54、54’と一体的に構成された軸60は、前側板52に対し軸受65を介し、又、後側板52’に軸受65’を介して回転自在且つ、軸長手方向に摺動自在に支持されている。軸受65、65’は軸60が摺動してもずれないようにネジ85で各々の側板52、52’に固定されている。
【0048】
軸受65’より突出した軸60の部位にはギヤ66が固定されている。このギヤ66にはギヤ66’が噛み合わされており、ギヤ66’は図示しない駆動系に連結されていて、この駆動系からの動力伝達により軸60は印刷ドラム1の回転と同期して回転されるようになっている。
【0049】
軸60は前記したように軸長手方向に摺動自在であり、この摺動に応じてカムフォロワ53、53’に対してカム板54a、54a’が当接する状態と、カムフォロワ53、53’に対してカム板54b、54b’が当接する状態とが切り替えられるようになっている。
【0050】
図2には、カムフォロワ53、53’に対してカム板54a、54a’が当接した状態が示されている。軸60の移動ストロークはカム板54aとカム板54bの間隔寸法に等しく、カム板54a,54a’とカム板54b,54b’との切り替えにはこのストロークで移動させればよい。この軸60の摺動においても軸60の回転を確保するため、ギヤ66の厚さは、前記移動ストロークに相当する大きさに設定されている。
【0051】
図2、図3に示すように、軸60の軸受65より突出した軸端部には軸受68を介して軸受カバー67が装着されている。この軸受68は軸60を回転可能に支持すると共に、軸60の軸端部に当接して軸60を軸長手方向に摺動させることができる。
【0052】
軸受カバー67には揺動アーム63の一端側が軸70により枢着されている。揺動アーム63の中間部は軸64を介して前側板52と一体的な支持部材81に枢着されている。揺動アーム63の他端側は不動部材に固定されたソレノイド82のプランジャに枢着されている。軸受65と軸受68との間には、伸張性のばね69が軸60をゆるく巻くようにして設けられている。又、前側板52と揺動アーム25との間の軸60上にはストッパ71が固定されている。
【0053】
ソレノイド82がオフにされたとき、ばね69の弾性により軸60は図2において左向きに付勢されている。この付勢による軸60の移動はストッパ71が軸受65に当接するか、或いは軸受カバー67により阻止される。ソレノイド82をオンにすると軸60は、ばね69の弾性に抗して右行して図2に示す状態となり、カム板54a,54a’がカムフォロワ53、53’に当接する位置関係になる。
【0054】
一方、ソレノイド82をオフにしたときは、ばね69の力によりソレノイド82のプランジャを突出状態にすることを可能としている。よって、ソレノイド82をオフにすると軸60は図2に示す位置から左行し、ストッパ71が軸受65に当接した位置で停止する。この停止位置において、カム板54b,54b’がカムフォロワ53、53’に当接するようになる。
【0055】
従って、この構成では、ソレノイド82のオン、オフ制御に伴いカムフォロワ53、53’にカム板54a,54a’を当接させ、或いはカム板54b,54b’を当接させるように切り替えることができる。ソレノイド82は押圧手段による印刷用紙の押圧長さを切り替える切り替え手段を構成する。
【0056】
一方、マスタの切断長の切り替え方法は、前記のプラテンローラ駆動パルスモータ6やカッタ駆動モータ7の起動、停止を制御することでマスタ2の長さを印刷用紙の長さに合わせて切断することができるようになっている。
【0057】
このようなプラテンローラ駆動パルスモータ6やカッタ駆動モータ7の起動、停止の制御や、ソレノイド82のオン、オフ制御は、図5に示したように光センサ40、41からの出力を入力した制御手段84の所定のプログラムに基づく指令によりなされる。そこで、かかる制御のためのもととなる印刷用紙のサイズを検出するための光センサ40、41の配置について説明する。
【0058】
(4)給紙台における光センサの配置
図6において、給紙台31上での印刷用紙の収納は、給紙台31の左端に印刷用紙の端部を合致させ、該給紙台31の中心に印刷用紙の中心を合わせる所謂中央基準で収納されるものとし、この印刷用紙の搬送方向を白抜きの矢印で示している。この給紙台31上には、A6サイズからA3サイズまでの印刷用紙を載置することができる。
【0059】
図6中、「A6縦」サイズは、A6版の印刷用紙をその長手方向と搬送方向とを合致させて配置したときの配置態様であり、「A4横」サイズとはA4版の印刷用紙をその短手方向と搬送方向とを合致させて配置したときの配置態様である。
【0060】
このような表示方向に従い、この給紙台31上には、「A6縦」、「A4横」、「B5縦」、「A4縦」、「B4縦」、「A3縦」の6通りのサイズの印刷用紙の配置態様が可能である。この例では、光センサ40を給紙台31の左端近傍に設けている。又、光センサ41を給紙台31の左端からA4横の寸法であるA4hの位置より外側であって、かつ、給紙台31の左端からB5縦の寸法であるB5vの位置より内側に配置している。
【0061】
このように光センサ40、41を配置することにより印刷用紙が「A6縦」、「A4横」の何れのサイズの場合であっても光センサ40のみが印刷用紙の存在を検知したときは「A4横」サイズの収納状態にあると判定し、又、印刷用紙が「B5縦」、「A4縦」、「B4縦」、「A3縦」の何れのサイズの場合であっても光センサ40と光センサ41の両方が印刷用紙の存在を検知したときは「A3縦」サイズの収納状態にあると判定して、マスタの切断長と圧胴の押圧長とを制御することができる。
【0062】
本例では、マスタの切断長と圧胴の押圧長とは2段階に分けて制御することとし、カム54、54’についてそれぞれが2つのカム板54a、54b及びカム板54a’,54b’を有する構成とし、カム板54a,54a’の組により制御される押圧長と、カム板54b,54b’の組により制御される押圧長の2段階での制御が可能である。
【0063】
つまり、カム板54a、54a’は印刷用紙が「A6縦」、「A4横」の各サイズの場合に一律に適合する押圧長を可能とするカム面を有し、カム板54b、54b’は印刷用紙が「B5縦」、「A4縦」、「B4縦」、「A3縦」の各サイズの場合に一律に適合する押圧長を可能とするカム面を有する。
【0064】
この例では、マスタの切断長と圧胴の押圧長とを2段階に分けたが、光センサの配置個所を増やし、これに対応したカムを設けることにより、よりきめ細かく印刷用紙のサイズに合わせてマスタの切断長や圧胴の押圧長を設定することは可能である。なお、マスタの切断長と圧胴の押圧長を上記のように光センサからの情報に基づいて自動設定する方法以外に、図5に示す操作パネル96に設けたキーをオペレータが操作することにより大サイズか小サイズかを入力してマスタの切断長や圧胴の押圧長を設定することもできる。
【0065】
(5)印刷ドラム周面部の構造
印刷ドラム1は円筒状をしていて、円周面部が金属の薄板からなり、マスタクランパ12が設けられた部位を除いた一定範囲について、インキの透過のために0.5mm直径の小さな穴が無数に開けられた開孔部が形成されている。この開孔部を覆うようにして図7に符号27で示すようなメッシュスクリーン27が設けられている。
【0066】
図7(a)に示すようにメッシュスクリーン27は裏側スクリーン27aと表側スクリーン27bの2枚重ねのスクリーンにより構成されている。図8に示すように表側スクリーン27bの一端側は前ステー90を一巻きした上で、裏側スクリーン27aの一端側を間に挾んだ接着部91’において接着剤により相互に接着されることによりリング状をなし、前ステー90はこのリング状をしたリング状部の中にある。また、表側スクリーン27bの他端側は後ステー92を一巻きした上で接着部91において接着剤により相互に接着されることによりリング状をなし、後ステー92はこのリング状をした部位を貫通している。
【0067】
図7(b)、(c)では、説明の便宜上、前ステー90および後ステー92を各リング状部から引出した状態で拡大して示している。図7(b)に示すように、前ステー90の長手方向の一端部には取り付け用の穴90aが形成され、図9(a)に示すように前ステー90の他端部についても同様に取り付け用の穴90a’が形成されている。
【0068】
同様に、図7(c)に示すように、後ステー92の長手方向の一端部には取り付け用の凹部92aが形成され、図示しないが該ステー92の他端部にも同様の取り付け用の凹部92a’が形成されている。
【0069】
図9(a)、(b)、(c)に示すように、前ステー90および後ステー92は、これらに設けた取り付け用の穴90a、90a’および取り付け用の凹部92a、92a’を利用して、印刷ドラム1の図示省略の取り付け座に取り付け用のねじ93、94、95、96を用いて固定されている。これにより、メッシュスクリーン27は印刷ドラム1の外周面に密着した状態で覆った構成となっている。
【0070】
ここで、接着部91、91’の部位は接着剤によりメッシュスクリーン27のメッシュがつぶれてインクを通さない状態となっている。接着部91、91’のうち、特に印刷ドラム1の回転方向の下流側(後端側ともいう)に位置する接着部91については、印刷時において圧胴20によりしごかれたインクがこの接着部91の上流側の端部で堰き止められることから、以後、この接着部91を堰要素91と称することとする。
【0071】
(6)請求項の
印刷ドラム1の一部を印刷用紙の巻着方向について部分展開した状態を図10(a)、(b)に示す。図10(a)、(b)において、メッシュスクリーン27上にマスタ2やマスタ2'が取付けられた状態が示されている。マスタ2やマスタ2'の先端部はマスタクランパ12により保持されている。印刷ドラム1の前記開孔部の長さを符号Cで示している。
【0072】
図10(a)はこの印刷ドラム1で印刷可能な最大サイズの印刷用紙であるA3サイズ紙を「A3縦」サイズの配置態様で収納したときに実行されるマスタの切断長と圧胴の押圧長の関係を説明したものである。マスタ2の全長は符号Dで示され、「A3縦」の印刷用紙に適合して印刷が適正に行われるように長さがカットされている。このようにカットされたマスタ2は先端部がマスタクランパ12で保持され、該マスタ2の後端部は堰要素91上に位置している。
【0073】
このマスタ2の製版領域A(本例では長さ410mm)は開孔部Cおよびメッシュスクリーン27と重なる位置となるように設定されている。さらに、製版領域Aの全域が確実に押圧されるように製版領域Aの前後には余裕G,Hの領域が設けられ、これらの余裕G,Hの各領域を含めて圧胴20が押圧するように押圧長B(本例では430mm)が設定されている。余裕Gは5〜6mmの範囲中での任意の値(本例では5mm)、余裕Hは10〜20mmの範囲中での任意の値(本例では15mm)が設定されている。
【0074】
さらに、マスタ2について、印刷ドラム1の回転方向上であって押圧長Bの領域よりも上流側の部位は先端余白E(本例では80mm)、押圧長Bの領域の下流側の部位は後端余白F=15〜20mm(本例では20mm)を採ってある。ここで、製版領域Aの後端P1は堰要素91の手前の位置であってメッシュスクリーン27の領域中にあり、圧胴20による押圧解除位置P2およびマスタ2の後端P3はそれぞれ堰要素91上に位置している。従って、製版領域Aの後端P1と押圧解除位置P2との間の領域に堰要素91が位置している。
【0075】
堰要素91以後の押圧解除位置P2まで押圧されるため、印刷に際して圧胴20によりしごかれてマスタ2とメッシュスクリーン27との間に溜りつつあるインクは堰要素91により堰止められ、マスタ2の後端から外部にはみ出す前にメッシュスクリーン27を通り印刷ドラム1内に戻る。よって、圧胴20が押圧解除位置P2で押圧を解除するときには、マスタ2とメッシュスクリーン27との間には外部にはみ出すほどの余分な量のインクは存在しない状態になっている。よって、このケースでは印刷用紙の裏汚れは生じない。
【0076】
図10(a)に示すケースでは原稿のサイズおよび配置に合わせてオペレータにより給紙台31にセットされた印刷用紙のサイズおよび配置態様を図6で説明した光センサ40、41が読み取り、この読み取り出力により図5に示した制御手段84が該印刷用紙のサイズに適合したマスタのサイズが得られるように、プラテンローラ駆動パルスモータ6及びカッタ駆動モータ7を制御することによりマスタをカットしてマスタ全長Dのマスタ2が得られる。
【0077】
このマスタ2の全長Dは、押圧長B=430mmに先端余白E=80mmと後端余白F=20mmとを加えた約530mmである。印刷に際して、制御手段84はソレノイド82を制御することでカム板54b,54b’がカムフォロワ53、53’と当接するようにし、圧胴20による先端余白E=80mm、押圧長B=430mm、後端余白F=20mmの押圧が行われるようにする。
【0078】
これに対して、図10(b)に示すケースでは、印刷用紙が小サイズ紙であってA4サイズを「A4横」の態様で収納したときに実行されるマスタの切断長と圧胴の押圧長の関係を説明したものである。図10(b)において、マスタ2’は「A4横」の印刷用紙に適合するように全長D’がカットされている。印刷ドラム1に装着されたマスタ2’は先端部がマスタクランパ12で保持され、製版領域A’(本例では長さ200mm)は開孔部Cおよびメッシュスクリーン27と重なる位置に位置するように設定されている。さらに、製版領域A’を覆うように前後に前記図10(a)におけると同じ余裕G(本例では5mm),H(本例では15mm)をおいて押圧長B’(本例では220mm)が設定されている。また、マスタ2’について印刷ドラム1の回転方向上であって押圧長B’の領域よりも上流側の部位には前記図10(a)におけるマスタ2と同じ値の先端余白E(本例では80mm)を採っている。
【0079】
ここで仮に、押圧長B’の下流側であって押圧解除位置P2’からマスタ2’の後端P3’までの区間である後端余白F’の値として前記図10(a)に示す場合と同じに20mmを採ったとすると、マスタ2’の後端P3’は堰要素91の手前の位置であって該堰要素91から離間した位置に位置しており、この状態では、押圧解除位置P2内に堰要素91がないためインクを堰き止め、印刷ドラム1内にインクを戻すことができず、圧胴20が押圧長B’の範囲でマスタ2’を押圧したときに図10(c)に拡大して示すように、印刷を繰り返し行なううちにインクがメッシュスクリーン27内に蓄積し、しまいにはインクが押圧解除位置P2’よりも後端側へもれてしまい、符号94で示すように、インクによる、所謂尻モレを生じてしまう。
【0080】
この尻モレ94の領域をマスタ2’の後端側が覆う関係、つまり、後端余白F’が尻モレ94よりも大きければ、尻モレ94はマスタ2’から外部へはみ出すことはないが、後端余白F’が尻モレ94よりも小さいと、尻モレ94はマスタ2’の後側にはみ出してしまう。このように尻モレ94がマスタ2’の後側にはみ出した状態を図11に示す。
【0081】
図11に示すように尻モレ94がマスタ2’の外部へはみ出したときには、次の印刷工程で圧胴20の表面に転写されて圧胴20の表面をインクで汚し、この圧胴20の汚れが以後の印刷用紙の裏面に転写されていき、裏汚れを生じさせることとなるので、これを避けなければならない。尻モレ94がマスタ2’の外部に出ないような後端余白F’を設定する指針を得るために、次の実験を行った。
〔実験条件〕
連続印刷枚数10枚、100枚、250枚、500枚、1000枚、5000枚のそれぞれについて、孔版印刷機がおかれた環境の温度が30°C,23°C,5°Cのそれぞれについて押圧解除位置P2’から尻モレ94の後端までの長さK(図10(a),図11参照)を測定した。また、各温度におけるインクのフロー値をJIS−K−5701に従い計測した。表1に、各条件に対応する尻モレの長さKの測定値(単位:mm)を示す。なお、フロー値は、スプレットメータを使用して加圧後1分後のインクの直径を測定した値である。印刷ドラム1、マスタ2、2’の諸寸法、圧胴20による押圧条件等は、図10(a),図10(b)で説明した条件による。環境温度は5〜30°Cをカバーしており、四季を通じての通常の環境温度をほぼカバーしているものと考える。
【0082】
【表1】
Figure 0004312283
【0083】
(i):表1からわかるように、尻モレ長さKは最大で53mmであり、図10(b)に示したようにマスタ2'の後端P3'から押圧解除位置P2'までの間に堰要素91が位置しないような小サイズのマスタ2'、例えば「A4横」サイズの場合に、後端余白F'53mmを超える任意の値とすれば印刷枚数5000枚でかつ環境温度5°Cという、実験の範囲での最悪の条件のもとでも、裏汚れは生じない。
【0084】
ここで、後端余白F’が53mmを超える値とは、図10(a)に示したようにマスタ2の後端P3から押圧解除位置P2までの間に堰要素91が存在する大サイズのマスタ2、例えば「A3縦」サイズの場合における後端余白F=15〜20mm(本例では20mm)の場合よりも明らかに大きい。
【0085】
また、後端余白F’を、上記大サイズの後端余白F=15mmよりも大きいときの限界値である16mmとした場合でも、表1からわかるように環境温度30°Cでは5000枚まで、環境温度23°Cでは500枚まで、環境温度5°Cでは100枚まで、の各条件では該後端余白F’=16mmを以って尻モレの領域をを十分に覆うことができているので、印刷用紙の裏汚れを発生しない。
【0086】
このことは、マスタ2’が「A4横」サイズの場合に限らず、製版領域の後端位置から押圧解除の位置までの間の領域から外れた位置に堰要素が位置するような小サイズのマスタ全般について適合することが経験的にいえる。
【0087】
(ii):表1の実験条件における環境温度5°C〜30°Cよりも少し苛酷な条件を想定し、或いは、実際の印刷時における尻モレ長さKのばらつきなどを考慮し、表1における尻モレの長さKの最大値53mmに余裕値を加えて、後端余白F'として60〜100mm程度とする例を採用することができる。この範囲ならば、経験的に全ての使用条件で印刷用紙に裏汚れを生じない。
【0088】
このことは、マスタ2’として「A4横」を用いた場合に限らず、製版領域の後端位置から押圧解除の位置までの間の領域から外れた位置に堰要素が位置するような小サイズのマスタ全般について適合することが経験的にいえる。
【0089】
(iii):表1によれば、環境温度5°Cかつ、印刷枚数が250枚で、尻モレの長さKが21mmであるので、印刷枚数250枚以下のときや、印刷枚数250枚毎にマスタ2'を交換するときには、上記21mmにばらつきを考慮して適宜の余裕値を加え、後端余白F'を30〜40mmにすることで印刷用紙の裏汚れを回避することができる。
【0090】
このことは、マスタ2’として「A4横」を用いた場合に限らず、製版領域の後端位置から押圧解除の位置までの間の領域から外れた位置に堰要素が位置するような小サイズのマスタ全般について適合することが経験的にいえる。(請求項3)。
【0091】
(iv):マスタ2'について、尻モレの長さK(尻モレ領域)を覆うことのできる後端余白F'の所定値を表1に基づいて設定することとした。この所定値として、製版領域の後端位置から押圧解除の位置までの間に堰要素が位置するような大サイズのマスタ2について通常設定される後端余白である15〜20mmのうち、20mmを採用したときにはこの値の2倍以上、つまり、40mm以上とすることで、500枚までの印刷枚数では、実験した全部の環境温度(30°C、23°C、50°C)について裏汚れを回避できる。
【0092】
また、表1から、製版領域の後端位置から押圧解除の位置までの間に堰要素が位置するような大サイズのマスタ2について通常設定される後端余白がF=15〜20mmの値とするとき、印刷枚数1000枚以上ではこの所定値を60〜100mm、印刷枚数250枚以下のとき又は印刷枚数250枚毎にマスタ2’を交換するときにはこの所定値を30〜40mmとすれば、これにより、マスタ2’の後端側で尻モレ領域を覆い、印刷用紙の裏汚れを回避することができる。
【0093】
なお、上記のことは、大サイズのマスタを「A3縦」のマスタ2とし、小サイズのマスタを「A4横」のマスタ2’とする場合だけでなく、製版領域の後端位置から押圧解除の位置までの間の領域に堰要素が位置する大マスタと、製版領域の後端位置から押圧解除の位置までの間の領域から外れた位置に堰要素が位置するような小サイズのマスタにおいて適用できることが経験的にいえる。
【0094】
(v):図10(a)に示すケースでは、原稿に合わせてオペレータにより給紙台31にセットされた印刷用紙のサイズ(A3縦)を図6で説明した光センサ40、41が読み取る。この読み取り出力は図5に示した制御手段84に入力され、該制御手段84は該印刷用紙のサイズに適合したサイズのマスタのサイズとなるように、プラテンローラ駆動パルスモータ6及びカッタ駆動モータ7を制御してマスタをカットし、全長Dのマスタ2を得る。さらに制御手段84は圧胴20による、押圧長B=430mm、先端余白E=80mm、後端余白F=20mmでの押圧を実行するべく、ソレノイド82を制御してカム板54b,54b'をカムフォロワ53に当接する位置に移動させる。こうしてカム板54b,54b'によりマスタ2に対する圧胴20の押圧のタイミングを設定する。
【0095】
図10(b)に示すケースでは、原稿に合わせてオペレータにより給紙台31にセットされた印刷用紙のサイズ(A4横)を図6で説明した光センサ40、41が読み取る。この読み取り出力は図5に示した制御手段84に入力される。また、図5に示すように、オペレータが印刷に際して操作パネル96に入力した印刷枚数情報が制御手段84に入力される。
【0096】
制御手段84は、印刷用紙のサイズ(A4横)と印刷枚数とから、前記表1の実験結果を踏まえて所定の手順に従い、与えられた条件のもとで生じ得るであろうところの尻モレ領域を覆い得る最小限の後端余白F’およびマスタ2’の全長D’を算出し、この長さのマスタ2’を得るためにプラテンローラ駆動パルスモータ6及びカッタ駆動モータ7を制御してマスタをカットし、全長D’のマスタ2’を得る。さらに制御手段84は圧胴20による、押圧長B’=220mm、先端余白E=80mm、後端余白F’として尻モレ領域を覆い得る適値での押圧を実行するべく、ソレノイド82を制御してカム板54a,54a’をカムフォロワ53,53’に当接する位置に移動させる。こうしてカム板54a,54a’によりマスタ2’に対する圧胴20の押圧のタイミングが設定される。これにより、インクはマスタ2’の外にもれることがなく、尻モレに起因する印刷用紙の裏汚れは生じない。
【0097】
製版領域の後端位置から押圧解除の位置までの間の領域から外れた位置に堰要素が位置するような小サイズのマスタについて、印刷枚数に応じた後端余白F’の値を例示すると、前記表1に基づき、例えば、「A4横」サイズのマスタ2’の場合には、印刷枚数1000枚以上のときには後端余白F’が60〜100mm、印刷枚数250枚以下のとき又は印刷枚数250枚毎にマスタ2’を交換するときには後端余白F’が30〜40mmとなるように全長D’を決めて、カッタ4の切断タイミングを設定する。また、製版領域の後端位置から押圧解除の位置までの間に堰要素が位置するような大サイズのマスタの場合、例えば、「A3縦」サイズのマスタ2の場合には後端余白Fが15〜20mmとなるようなマスタの全長Dが得られるようにカッタ4の切断タイミングとするように制御する。
【0098】
【発明の効果】
発明によれば、製版領域の後端位置から押圧解除の位置までの間の領域から外れた位置に堰要素が位置するような小サイズの感熱孔版原紙について所定の印刷枚数に応じて、より短い長さのサイズで所謂尻モレに起因する印刷用紙の裏汚れを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された孔版印刷装置の全体概略を説明した図である。
【図2】図1における〔I〕−〔I〕矢視断面図である。
【図3】軸受カバーおよびその周辺部の斜視図である。
【図4】図1における圧胴およびその周辺部材の右側面図である。
【図5】本発明にかかる制御システムを説明した制御ブロック図である。
【図6】給紙台上に載置される各種の印刷用紙の態位およびセンサの配置を説明した図である。
【図7】図7(a)はメッシュスクリーンの構成を説明した斜視図、図7(b)は前ステーの部分斜視図、図7(c)は後ステーの部分斜視図である。
【図8】メッシュスクリーンの部分断面正面図である。
【図9】図9(a)は印刷ドラムに対するメッシュスクリーンの取り付け態様を説明した分解斜視図、図9(b)は前ステーによるメッシュスクリーンの印刷ドラムに対する取り付け態様を説明した部分斜視図、図9(c)は後ステーによるメッシュスクリーンの印刷ドラムに対する取り付け態様を説明した部分斜視図である。
【図10】図10(a)は、大サイズのマスタを巻着した印刷ドラムの展開図、図10(b)は、小サイズのマスタを巻着した印刷ドラムの展開図、図10(c)は、小サイズのマスタを巻着した印刷ドラムの、該マスタ後端部の部分展開図である。
【図11】マスタの後端部外の印刷ドラム周面にインクがもれた状態を示した印刷ドラムの斜視図である。
【符号の説明】
2 大サイズのマスタ(感熱孔版原紙)
2’小サイズのマスタ(感熱孔版原紙)
84 制御手段
P3、P3’ 原紙後端
P2、P2’ 押圧解除位置
F,F’ 後端余白

Claims (2)

  1. ロール状の感熱孔版原紙に製版を行う製版部と、前記感熱孔版原紙を切断する切断部と、前記感熱孔版原紙を搬送する原紙給送部と、前記感熱孔版原紙をその外周面に巻き付けてインクを供給する印刷ドラムと、サイズの異なる印刷用紙を収納することができる印刷用紙収納部と、この印刷用紙収納部に収納された前記印刷用紙を前記印刷ドラム部に向けて給送する給紙部と、この給紙部により送られた前記印刷用紙を介し印圧部にてローラ状回転体を前記印刷ドラムの外周面に製版領域を覆う範囲で押圧したのち押圧解除を行う押圧手段と、前記切断部における前記感熱孔版原紙の少なくとも切断タイミングを設定する制御手段と、前記印圧部における前記押圧手段による前記印刷用紙の押圧長さを切り替える切り替え手段とを有していて前記印刷用紙のサイズに応じて前記感熱孔版原紙を切断するとともに前記印刷用紙の押圧長さを設定するようになされていて、前記印刷ドラムは内側のインクを微細な開口を介して外側に滲出させ得るスクリーン領域と、インクを滲出させない堰要素とを有し、かかる印刷ドラムに巻き付けられた前記感熱孔版原紙の後端側について、製版領域の後端位置から前記押圧解除の位置までの間に前記堰要素が位置するような大サイズの感熱孔版原紙の場合と、前記製版領域の後端位置から前記押圧解除の位置までの間の領域から外れた位置に前記堰要素が位置するような小サイズの感熱孔版原紙の場合とがあり得る孔版印刷装置において、
    前記小サイズの感熱孔版原紙についての前記押圧解除位置から原紙後端までの距離を、前記大サイズの感熱孔版原紙について設定される前記押圧解除位置から原紙後端までの距離を前記小サイズの感熱孔版原紙に適用したときに生ずるインクの尻モレ領域を覆うことのできる所定値とし、前記所定値を前記大サイズの感熱孔版原紙について設定される前記押圧解除位置から原紙後端までの距離の2倍以上とし
    前記切断部における前記切断タイミングを設定する前記制御手段は、前記印刷用紙のサイズに加え、少なくとも印刷枚数情報をも加味して、当該感熱孔版原紙の切断タイミングを設定することを特徴する孔版印刷装置。
  2. 請求項1記載の孔版印刷装置において、
    前記大サイズの感熱孔版原紙について設定される前記押圧解除位置から原紙後端までの距離を15mm〜20mmとするとき、前記所定値を印刷枚数1000枚以上では60mm〜100mm、印刷枚数250枚以下のとき又は印刷枚数250枚毎に当該感熱孔版原紙を交換するときには30mm〜40mmとしたことを特徴とする孔版印刷装置
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