JP4312102B2 - 成形品の製造方法及び成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、ボタンなどの成形品の製造方法に係り、特にインクジェットによって印刷された模様等を成形と同時に転写する方法に関する。
従来、転写シートを用いてプラスチック製品の成形と同時に絵柄を転写する手法はよく知られており、そのための転写シートも種々開発されている(特許文献1など)。例えば、熱成形性を有するプラスチックフィルム上に剥離層を設け、その上に絵柄印刷層を設けるとともに熱成形性の樹脂からなる接着剤層を設けた転写シートが一般的に用いられている。この転写シートを、接着剤層が成形品と重なるように型に配置し、接着剤層と絵柄印刷層を成形品に転写し、基材を剥離することにより絵付き成形品を製造する。
また少量多品種の生産を目的として、インクジェットや複写機を利用して印刷できる転写シートも種々開発され、それを利用した成形品の製造方法も種々提案されている。例えば、特許文献2には、基材シート上に剥離層を介してインク受容層を設けた転写シートのインク受容層にインクジェットプリンタで印刷した後、インク受容層の上に接着剤層面を形成して転写シートを作製し、これを射出成形の成形型に配置して成形と同時に転写する方法が記載されている。
また特許文献3には、熱成形性を有する基材シート上に、熱成形性を有する絵柄構成用インク受容層を設けた絵付け成形用転写シートが開示されており、インク受容層にインクジェットプリンタで絵柄を構成した後、基材シート及びインク受容層を成形品と一体化して絵柄を構成する方法が記載されている。
特開2000−84977号公報 特開平11−28856号公報 特開平10−305456号公報
一般に、インクジェットで印刷可能なインク受容層を有する転写シートでは、インク受容層が水性インクに対する親和性を有しているため、インク受容層自体を成形品に重ねて転写することが困難である。このため特許文献2に記載された転写シートは印刷後にインク受容層上に接着剤層を設ける必要がある。また特許文献3に記載された転写シートは、基材側を成形品に重ね、基材ともに一体化している。これら従来の方法では、インク受容層が成形品の最外層となった場合、インク受容層自体は耐水性や耐擦傷性が乏しいので、そのような特性が要求される用途ではさらに保護シート等を設ける必要がある。また接着剤層や保護シートはインク受容層への印刷の後になされなければならないため、インクジェット記録と転写との間にこれらを設けるための工程が必要となる。さらに転写される層の厚みが厚くなるため、繊細な模様を再現するのが困難となる。
そこで本発明は、耐水性、耐擦傷性に優れ、美しい転写模様を施された成形品を得ることができる製造方法を提供することを目的とする。また本発明は少ない工程で、転写と成形とを同時に行なうことが可能な成形品の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の成形品の製造方法は、加熱及び/又は加圧により金型間にある樹脂を成形すると同時に成形品に転写画像を形成する方法であって、(1)基材上に熱可塑性樹脂を含むプライマー層及びインク受容層を備え、成形時の前記プライマー層と前記インク受容層との接着性が成形時の前記インク受容層と前記成形品との接着性よりも小である転写シートにインクジェット記録する工程、(2)インクジェット記録後の転写シートを一対の金型の間に位置付ける工程、(3)前記インク受容層と直接接触するように金型間に樹脂を供給する工程、(4)加熱及び/又は加圧により金型間にある樹脂を成形するとともにインク受容層と一体化する工程、及び(5)成形品から前記転写シートの基材及びプライマー層を剥離する工程を含む。
成形工程(4)は、射出成形、圧縮成形のいずれにも適用することが可能である。
本発明の成形品の製造方法によれば、工程(4)において、インク受容層と成形される樹脂とが一体化する一方、インク受容層とプライマー層との接着力が低下し、成形後にインクジェット記録されたインク受容層のみが残り、再現性よく模様が転写される。またインク受容層は成形品と一体化しており、耐水性も良好である。
特にインク受容層が連続気泡の多孔構造を有している場合及び/又は熱や架橋によって耐水化する親水性樹脂からなる場合には、その物理的構造又は化学的変化により成形品と強固な密着性が得られ、しかも高い耐水性を有する成形品が得られる。またインク受容層を転写するので、印刷後に接着剤層や保護層を形成する必要がない。
また転写シートは、プライマー層として、イソシアネート系化合物及びポリエステル樹脂から形成され、ポリエステル樹脂が水酸基価1〜30を有し、且つイソシアネート系化合物のイソシアネート基とポリエステル樹脂の水酸基とがモル比1:1〜10:1の範囲であるものを用いることが好ましい。
本発明の成形品は、上記成形品の製造方法によって形成されたものであり、例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン共縮合樹脂などのアミノ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂及びポリ乳酸樹脂から選択されるいずれかの樹脂から形成された成形品に適用することができる。特に、ボタンなどの耐水性、耐擦傷性の求められる成形品に好適である。
以下、本発明の成形品の製造方法の実施形態を説明する。
本発明の成形品の製造方法は、成形と同時にインクジェット記録可能な転写シートを用いて絵柄等を転写するものであり、転写シートとして基材上に、熱可塑性樹脂を含むプライマー層とインクジェット記録が可能であるインク受容層とを設けた転写シートを用いることを特徴としている。
以下、本発明の成形品の製造方法において使用する転写シートについて詳述する。
基材は、インクジェットプリンタによる搬送性と熱可塑性を備えた材料からなり、具体的には、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂からなるプラスチックシート又はフィルムを用いることができる。特にプリンタの搬送性、ハンドリング性、被転写材の凹凸面への転写性などの点で、比較的剛性があり収縮しにくい、熱可塑性ポリエステル樹脂又はポリプロピレンからなるシート又はフィルムが好適である。
基材の、インク受容層が形成される側の面は、平坦でもよいしマット化されていてもよい。マット化されている場合には、インク受容層に形成された絵柄を転写すると同時に被転写材表面をつや消し面とすることが可能である。
基材の厚みは特に限定されないが、インクジェット記録時の搬送性および転写後の剥離のしやすさの観点から5〜300μm程度が好適である。
インク受容層は、インクジェットプリンタによる記録が可能な層で、一層でも多層でもよいが、少なくとも表面は(1)親水性バインダーと必要に応じて顔料からなる層(第1の態様)、或いは(2)多孔構造を有する層(第2の態様)とする。水性インクを用いる場合には、(1)又は(2)とし、油性インクを用いる場合には(2)とすることが好ましい。
まず第1の態様によるインク受容層について説明する。
バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースやヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミドなどの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの親水性樹脂などを用いることができるが、特に成形時の熱又は架橋により耐水化する親水性樹脂が好ましい。このような樹脂として、具体的には、ケン化度70%以上のポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリウレタンなどを挙げることができる。ケン化度70〜90%のポリビニルアルコール部分ケン化物及びケン化度90%以上のポリビニルアルコール完全ケン化物は架橋により耐水化し、ケン化度90%以上のポリビニルアルコール完全ケン化物、ポリビニルピロリドン及びポリウレタンは熱により耐水化する。特に重合度1000〜3000、ケン化度70〜90%の部分ケン化タイプのポリビニルアルコールが好ましい。また特にポリビニルアルコール等には、グリオキザール、ジメチロール尿素、トリメチロールメラミンなどの架橋剤を添加するか、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂などの架橋剤として機能する熱硬化性樹脂と併用することにより耐水化することも可能である。
インク受容層は、これら親水性樹脂のほかに、被転写材との接着性を高めるために、スチレン−マレイン酸共重合物、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルアセタールなどの他の樹脂を含有することができる。他の樹脂は被転写材を構成する材料にもよるが、例えば被転写材が尿素系樹脂の場合、尿素樹脂などを用いることができる。但し、水性インクによる良好な記録性を得るために、インク受容層を構成する樹脂の50重量%以上、好適には60重量%以上は親水性樹脂であることが好ましい。
顔料としては、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、合成ゼオライト、アルミナ、スメクタイトなどの無機顔料の他、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂などからなる樹脂ビーズ、若しくはこれらを原料とする中空樹脂ビーズなどの有機顔料があげられ、これらを単独であるいは2種以上混合して使用することができる。特に多孔質シリカが好ましい。
顔料の含有量は、バインダー100重量部に対し100重量部以下、好ましくは5〜50重量部であることが望ましい。顔料の含有量を5重量部以上とすることにより、ブロッキングを防止できる。また100重量部以下とすることにより、転写時に塗膜を凝集破壊しにくくすることができる。
インク受容層の厚みは、5〜30μmであることが好ましい。5μm以上とすることによりインク吸収性を良好にすることができる。また本発明の転写シートでは、インク画像(絵柄)が形成されたインク受容層そのものを被転写材に転写し、絵柄をインク受容層を透して見ることになるので、明瞭な絵柄を形成するためにインク受容層の厚みは30μm以下であることが好ましい。但し、絵柄をぼかしたい場合には、30μm以上であってもよい。
インク受容層は、上述した樹脂及び顔料のほかに、インクジェット記録性及び被転写材との接着性を阻害しない範囲で、レベリング剤、紫外線吸収剤、耐水化剤、酸化防止剤、キレート剤等の公知の添加剤を含むことができる。
次に第2の態様によるインク受容層について説明する。
このインク受容層は、物理的な構造によってインク受容性をもたせたものであり、樹脂と必要に応じて顔料とからなり、水性インク、油性インクのいずれに対してもインク受容性を有する。樹脂としては、第1のインク受容層と同様の加熱又は架橋により耐水化する親水性樹脂或いは耐水性の樹脂を用いることができる。耐水性の樹脂としては、親水性樹脂を耐水化した樹脂やスチレンマレイン酸共重合物、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどの樹脂を用いることができる。
多孔構造は、平均孔径が0.2〜10μmの範囲の連続気泡であることが好ましい。このような範囲とすることにより、成形時に樹脂が孔内部に浸透し、成形後にインク受容層と一体化し、インク受容層と被転写材である成形品との間の高い接着力を得ることができる。また溶融した樹脂が孔内部に入り込むことにより、耐水性及び耐擦傷性を向上させることができる。
この多孔構造を有するインク受容層は、例えば、インク受容層を構成する樹脂を、この樹脂に対する良溶媒と貧溶媒とを混合した溶媒に溶解し、基材上に塗布乾燥することにより形成することができる。この際、良溶媒と貧溶媒との混合割合を適宜変化させることにより孔径を調整することができる。この方法では、孔径が約5μm以下の細かい孔を形成することができる。また孔径が約5〜10μmの範囲の多孔構造のインク受容層は、樹脂を適当な溶媒に溶解させた溶液を、基材に塗布後、60〜80%程度の湿度雰囲気中で乾燥させることにより、形成することができる。この方法で形成されるインク受容層は、いわゆるブラッシング膜と呼ばれ、使用する溶媒の水への親和性を調整することにより孔径を調整することができる。
さらに多孔構造は、上述した樹脂に顔料を添加することによっても形成することができる。顔料としては、上述した第1の形態のインク受容層に用いた顔料と同様のものを用いることができるが、特に多孔質シリカ、多孔質炭酸カルシウムなどの多孔質顔料が好適である。多孔構造は顔料どうしの間隙に形成され、顔料の粒子径及び含有量を調整することにより、所望の平均孔径の連続気泡を形成することができ、被転写材の樹脂が孔内に浸透することにより高い接着性が得られる。また顔料が多孔質の場合には、顔料自体の細孔によって良好なインクジェット記録特性を得ることができる。
具体的には、顔料は平均粒径が0.1〜10μm、平均細孔径が4〜20nmのものが好ましく、顔料の含有量は、樹脂100重量部に対し好ましくは10〜200重量部、より好ましくは20〜150重量部の範囲とする。このような範囲とすることにより、インクジェットプリンタによる鮮明な記録が可能であり、且つ加圧/加熱転写した場合に、被転写材を構成する樹脂が多孔構造内に入り込み、印刷後のインク受容層と一体的に接合される。
インク受容層の厚みは、5〜50μmであることが好ましい。5μm以上とすることによりインク吸収性を良好にすることができる。この場合にも、転写される絵柄を明瞭にするためには50μm以下とすることが好ましい。インク受容層は、上述した樹脂及び顔料のほかに、インクジェット記録性及び被転写材との接着性を阻害しない範囲で、レベリング剤、紫外線吸収剤、耐水化剤、酸化防止剤、キレート剤等の公知の添加剤を含むことができる。
以上説明した、第1及び第2の態様によるインク受容層は、基材の上に形成したプライマー層の上に形成される。
プライマー層は、インク受容層と基材との接着性を高めるとともに、転写時にはインク受容層に対する剥離層としても機能する層で、具体的には、イソシアネート系化合物及びイソシアネート系化合物と相溶性のよい樹脂から成る。イソシアネート系化合物と相溶性のよい樹脂として、具体的には、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、基材の材料に応じて適宜選択して用いることができる。例えば、基材としてポリエステルフィルムを用いる場合には、ポリエステル樹脂が好適である。またインク受容層が第1の態様による親水性樹脂を主体とする層の場合には、イソシアネート系化合物と相溶性のよい樹脂が水酸基価1〜30を有し、イソシアネート系化合物のイソシアネート基(NCO基)とイソシアネート系化合物と相溶性のよい樹脂の水酸基とのモル比が1:1〜10:1の範囲であることが好ましい。NCO基と水酸基とのモル比は、イソシアネート系化合物と水酸基を有する樹脂との混合比を調節することにより上述した範囲にすることができる。
このようなプライマー層は、ポリエステル樹脂やアクリル樹脂等からなる基材との接着性にも親水性樹脂からなるインク受容層との接着性にも優れ、且つ基材との接着性がインク受容層との接着性より強固であるため、転写シートの使用前やインクジェット記録時にインク受容層が基材から浮き上がったり剥がれたりすることを確実に防止し、しかも転写時には被転写材に強固に結合したインク受容層から完全に剥離することができる。
プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.1〜5μm程度が好ましい。
このような構成の転写シートは、基材の上にプライマー層及びインク受容層を構成する材料を含む塗布液を公知のコーティング法により塗工・乾操することにより形成することができる。
次にこの転写シートを用いた本発明の成形品の製造方法を説明する。
本発明の方法は、圧縮成形、射出成形のいずれにも適用でき、成形品の用途や用いる樹脂に応じて選択することができる。但し、インク受容層の樹脂として熱により耐水化する親水性樹脂を用いた転写シートを用いる場合には、加熱を伴う圧縮成形が好適である。またインク受容層が多孔構造を有する転写シートを用いた場合には射出成形、圧縮成形のいずれにも好適である。以下、圧縮成形及び射出成形の場合を説明する。
圧縮成形は、熱硬化性樹脂の成形技術であり、図1に示すように金型1、1を用い、金型内のキャビティに転写シート2と成形材料3を供給し、熱プレスする。転写シートは、模様が印刷されたインク受容層が成形材料と接するようにセットする。
成形材料としては粉末又は顆粒状の或いはそれをプレフォームしたものを用いる。樹脂の種類は成形品の用途等によって適宜選択されるが、例えば尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン共縮合樹脂などのアミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などが用いられる。特にアミノ樹脂は、上述した転写シートとの密着性に優れ堅牢な転写成形品を得ることができる。
成形条件は、一般的な成形条件である圧力130〜200kg/cm2、温度120〜170℃を採用することができるが、インク受容層が熱により耐水化する親水性樹脂からなる場合には、特に成形温度130〜150℃の範囲が好適である。成形時間は、2〜4分程度とする。このような条件で熱プレスすることにより、インク受容層を形成する親水性樹脂が耐水化し、熱硬化性樹脂と一体化して耐水性のある成形品を製造することができる。
熱プレス後、金型を開いて成形品を取り出し、転写シートの基材を剥離する。このときインク受容層は熱硬化性樹脂と一体化しており、プライマー層との間が剥離し、プライマー層と基材とが除去される。これにより30μm程度の薄いインク受容層のみが成形品側に残り、明瞭な絵柄が成形品に再現される。またインク受容層と成形品を構成する樹脂とが強固に結びついており、かつ転写された絵柄をインク受容層がカバーしているので絵柄が剥がれたり、こすれとられたりすることもない。
射出成形は、熱可塑性樹脂に好適な成形技術であり、溶融状態の樹脂を金型に供給し固化させることにより成形する。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂及びポリスチレン樹脂などが用いられる。転写シートは、射出成形に先立って、印刷面が樹脂供給側となるように金型内に固定し、転写シートと金型との間に溶融した樹脂を射出供給する。このとき、転写シートのインク受容層が多孔構造である場合には、溶融した樹脂がこの多孔構造内に入り込み、成形品を構成する樹脂とインク受容層とが一体化する。またインク受容層を構成する樹脂が熱又は架橋により耐水化する樹脂の場合には、成形品を構成する樹脂と強固に接着するとともに、耐水性が向上する。
射出成形後、金型を開いて成形品を取り出し、転写シートの基材を剥離する。この場合にも、プライマー層との間が剥離し、プライマー層と基材とが除去され、薄いインク受容層のみが成形品側に残り、明瞭な絵柄が成形品に再現される。
本発明の成形品の製造方法では、絵柄は印刷した方向と逆方向から見ることになるので、印刷時には反転した絵柄を形成することが必要である。
以下、本発明の実施例を説明する。
1.転写シートの製造
参考例1]
厚み75μmのポリエステルフィルムからなる基材上に、以下のようにプライマー層、インク受容層を順に形成し、転写シートを作製した。
<プライマー層>
ポリエステル樹脂(バイロン200:東洋紡社、水酸基価3)1重量部をメチルエチルケトン9重量部に溶解させ、その溶解液10重量部にイソシアネート(タケネートD110N:三井武田薬品工業社、有効成分75%)を0.2重量部加えて液を調整した。調整した液を基材上に塗布乾燥し、厚み0.5μmのプライマー層を得た。なお、調整した液のイソシアネートのイソシアネート基とポリエステル樹脂の水酸基のモル比は1.7:1.0であった。
<インク受容層>
ポリビニルアルコール(ゴーセノールKM-11:日本合成化学工業社、重合度1100、ケン化度78%、有効成分100%)を10%水溶液に調整し、プライマー層上に塗布乾燥し、厚み15μmのインク受容層を得た。
[実施例
インク受容層を以下のものに変更した以外は、参考例1と同様にして転写シートを作製した。
<インク受容層>
下記の材料を混合、分散させて塗布液を調整し、プライマー層上に塗布乾燥し、厚み30μmで平均孔径約0.5〜3μmの連続気泡を有する多孔構造のインク受容層を得た。
・ポリビニルアセタール 0.7重量部
(KS−1:積水化学工業社、有効成分100%)
・シリカ 0.3重量部
(ミズカシルP78A:水澤化学社)
(平均粒子径3.3μm、細孔径17.8nm)
・トルエン 4.5重量部
・エタノール 4.5重量部
[実施例
インク受容層を以下のものに変更した以外は、参考例1と同様にして転写シートを作製した。
<インク受容層>
下記の材料を混合、分散させて塗布液を調整し、プライマー層上に塗布乾燥し、厚み30μmで平均孔径約1〜3μmの連続気泡を有する多孔構造のインク受容層を得た。
・ポリビニルピロリドン 0.8重量部
(K−90:ISP社、有効成分100%)
・シリカ 0.2重量部
(ミズカシルP78D:水澤化学社)
(平均粒子径8μm、細孔径18.3nm)
・水 9重量部
[比較例1]
厚み75μmのポリエステルフィルムからなる基材上に、ヒドロキシエチルセルロース(SP200:ダイセル化学工業社、有効成分100%)を8%水溶液に調整した塗布液を塗布乾燥し、厚み15μmのインク受容層を形成し、転写シートを作製した。
[比較例2]
基材として厚み97μmの水系易接着ポリエステルフィルム(メリネックス535:帝人デュポンフィルム社)を使用した以外は、比較例1と同様にして、転写シートを作製した。
[比較例3]
厚み97μmの水系易接着ポリエステルフィルム(メリネックス535:帝人デュポンフィルム社)からなる基材上に、以下のインク受容層を形成し、転写シートを作製した。
<インク受容層>
下記の材料を混合させて塗布液を調整し、基材上に塗布乾燥し、厚み30μmのインク受容層を得た。
・ポリビニルアセタール 1.0重量部
(KS−1:積水化学工業社、有効成分100%)
・トルエン 4.5重量部
・エタノール 4.5重量部
[比較例4]
厚み100μmの水系易接着ポリエステルフィルム(メリネックス535:帝人デュポンフィルム社)からなる基材上に、以下のインク受容層を形成し、転写シートを作製した。
<インク受容層>
微細シリカ(サイロジェットP612:グレースデビソン社、平均一次粒子径9nm)を水に分散させた20%の分散液100重量部に、塩化ナトリウムの10%水溶液を0.5重量部、及びポリビニルアルコール(PVA-140:クラレ社、重合度4000、ケン化度98.5%)の10%水溶液を40重量部混合し、水を加え16.0%の塗布液とし、基材上に20g/m2になるように塗布乾燥し、厚み30μmで平均孔径45〜60nmの連続気泡を有する多孔構造のインク受容層を得た。
[比較例5]
厚み75μmのポリエステルフィルムからなる基材に、コロナ放電処理を施し、実施例3と同様のインク受容層を形成し、転写シートを作製した。なお、コロナ放電処理の条件として、コロナ放電処理機はVETAPHONE社のものを用い、放電ノズル先端からフィルム表面までの距離は50mmとし、放電処理速度は150M/minであり、その出力を2.6kWとした。また、コロナの発生ガスには空気を用いた。
2.転写シートを用いた成形品(ボタン)の製造
参考例1、実施例1,2および比較例1〜4で得られた転写シートに、インクジェットプリンタ(デザインジェット5000CP染料インク:ヒューレットパッカード社)で印字し、印字部分を充分乾燥させた後、尿素樹脂のペレットに重ね、金型で挟み込み、140℃で2分間熱プレスした。得られたボタンを冷却させた後、基材を剥離し、ボタンを得た。
この成形における転写シートの転写性、得られた画像の画質、ボタンの耐水性及び耐擦傷性を下記のように評価した。その結果を表1に示す。
また、比較例5、参考例1及び実施例で得られた転写シートに同様に印字を行い、印字部分を十分に乾燥させた後、それぞれ尿素樹脂からなるボタンに厚み25μmのマウントフィルム(マウントTL−83:リンテック社)で貼り合わせたものについて、同様の評価を行った。その結果を比較例5〜7として表1に示す。
(1)転写性
インク受容層が基材からきれいに剥離して、ペレットに転写されたものを「○」、インク受容層が基材から剥離せず、ペレットに転写されなかったものを「×」とした。
(2)最終画質
ボタンの印字画質を目視で評価し、印字画質が良好なものを「○」、濃度が沈んでしまい印字画質が不良のものを「×」とした。なお、比較例2、6、7については、転写シートの基材を通して見える画質の評価を行なった。
(3)耐水性
ボタンを、沸騰水に15分浸漬し、インク受容層(画像)に変化がないものを「○」、インク受容層が溶ける又は画像に異常を生じたものを「×」とした。
(4)耐擦傷性
爪型治具に荷重1kgをかけ100mm/sの速度で傷をつけた際に、素地の露出のないものを「○」、露出してしまったものを「×」とした。
(5)その他(耐久性テスト)
参考例1及び実施例1,2で得られたボタンを衣服に取り付け、市販の全自動洗濯機により繰り返し洗濯し、転写の耐久性をテストした。
Figure 0004312102
参考例1及び実施例1,2の転写シートを用いて成形同時転写を行なった場合には、特定のプライマー層により作業性よく良好な印字を行なうことができ、しかも加熱により転写する際には、プライマー層とインク受容層との間の接着力が弱まり、被転写材(ペレット)にインク受容層を良好に転写することができた。
また転写後の画質(最終画質)については、参考例1のものは、インク受容層中に顔料を含んでいないのでインク受容層が透明であり、最終画質に優れていた。実施例1,2のものは、インク受容層が多孔構造で不透明であるが、転写時にインク受容層の連続気泡に被転写材が入り込んだことにより、気泡が塞がれ透明性が向上し、最終画質に優れていた。
また気泡が塞がれることにより、気泡が塞がれていない比較例7に比べて耐擦傷性が向上した。
転写後の耐水性については、インク受容層中の樹脂として通常時は耐水性に劣るが架橋硬化により耐水化可能な樹脂を用いた参考例1の転写シートは、尿素樹脂ペレットへの転写の際に、インク受容層の樹脂が尿素樹脂により架橋硬化され、耐水性を有するものとなった。実施例のものは、インク受容層を構成する樹脂が耐水性に優れるものであるが、転写時にインク受容層の連続気泡に被転写材である尿素樹脂が入り込むことによって、さらに耐水性が向上した。インク受容層を構成する樹脂として加熱又は架橋により耐水化可能な樹脂を用いるとともにインク受容層に連続気泡を形成した実施例のものは、実施例と同様に優れた耐水性を示した。
なお、表には記載していないが、参考例1及び実施例1,2のボタンについて実際の洗濯機を用いて耐久性テストを行なった結果、30回繰り返し洗濯してもインク受容層(画像)が剥離することがなかった。
一方、比較例1のものは、プライマー層を有しないため、通紙時でインク受容層が浮き上がってしまい、その後の作業性に劣るものであった。また、転写後の耐水性も劣っていた。
比較例2のものは、基材として易接着フィルムを使用したため、通紙性及び印字画質は良好であったものの、成型後容易に膜を剥離できず、転写性に劣るものであった。
比較例3のものは、インク受容層の樹脂として実施例と同様の耐水性樹脂を用いたものであるが、連続気泡を有していないため、インク受容層に印字をすることができなかった。
比較例4のものは、インク受容層に連続気泡を有しているものの、その平均孔径が細かいため、印字画質が良好であったが、転写時に膜が割れてしまい、それ以降の評価はできなかった。
比較例5のものは、ポリエステルフィルムからなる基材とインク受容層とが強固に接着していないことから、マウントフィルムでボタンに貼り合わせた後に、インク受容層を基材から剥離することはできたが、加熱及び/又は加圧による転写工程を経ないため、多孔構造内に樹脂が入り込んだり、インク受容層の樹脂が耐水化することができず、最終画質、耐水性、耐擦傷性に劣るものであった。
比較例6、7のものは、加熱及び/又は加圧による転写工程を経ないため、転写性が悪く、マウントフィルムでボタンに貼り合せた後に、インク受容層が基材からきれいに剥離できなかった。さらに比較例7のものは、多孔構造内に樹脂が入り込むことがないため、画像濃度も低く沈んで見えた。
以上の実施例からも明らかなように、本発明によれば、インクジェット記録によって記録した画像を成形と同時に成形品に転写することができ、良好な転写画質、耐水性、耐擦傷性を備えた成形品を得ることができる。
本発明の成形品の製造方法に用いる圧縮成形の金型を示す図
符号の説明
1、1・・・金型、2・・・転写シート、3・・・成形材料

Claims (4)

  1. 加熱及び/又は加圧により金型間にある樹脂を成形すると同時に成形品に転写画像を形成する方法であって、前記樹脂は、アミノ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂及びポリ乳酸樹脂から選択されるいずれかの樹脂であり、
    (1)基材上に、イソシアネート系化合物及びポリエステル樹脂から形成され、前記ポリエステル樹脂が水酸基価1〜30を有し、且つ前記イソシアネート系化合物のイソシアネート基と前記ポリエステル樹脂の水酸基とがモル比1:1〜10:1の範囲であるプライマー層と、前記プライマー層の上に形成され、耐水性樹脂或いは加熱による変性または架橋剤による架橋硬化により耐水化する親水性樹脂を含み、連続気泡で構成された多孔構造を有するインク受容層とを備え、成形時の前記プライマー層と前記インク受容層との接着性が成形時の前記インク受容層と前記成形品との接着性よりも小である転写シートにインクジェット記録する工程、
    (2)インクジェット記録後の転写シートを一対の金型の間に位置付ける工程、
    (3)前記インク受容層と直接接触するように金型間に樹脂を供給する工程、
    (4)加熱及び/又は加圧により金型間にある樹脂を成形するとともにインク受容層と一体化する工程、及び
    (5)成形品から前記転写シートの基材及びプライマー層を剥離する工程を含む成形品の製造方法。
  2. 前記成形する工程(4)は、圧縮成形工程または射出成形工程であることを特徴とする請求項1記載の成形品の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の製造方法により製造された成形品。
  4. 前記成形品が、ボタンである請求項記載の成形品。
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