JP4163928B2 - 染料受容層転写シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材シートの一方に剥離可能に転写性染料受容層を有する染料受容層転写シートに関し、更に詳しくは、被転写体と転写された受容層との接着性が高く、被転写体に転写された後の受容層と、基材上に染料層を有する熱転写シートとの印画時の離型性が良好となる染料受容層転写シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、種々の熱転写記録方法が知られているが、それらの中でも、昇華性の染料を含有する染料層をポリエステルフィルム等の支持体上に形成した熱転写シートを、サーマルヘッドやレーザー等の加熱媒体によって加熱することにより、被転写体上に染料画像を形成する昇華転写記録方式は、種々の分野における情報記録手段として利用されている。この方式によれば、極めて短時間の加熱で3色又は4色の多数の色ドットを被記録物上に転移させ、原稿のフルカラー画像を表現することができ、また得られた画像は、非常に鮮明でかつ透明性に優れているため、中間色の再現性や階調性に優れ、フルカラー写真画像に匹敵する高品質の画像を形成することができる。
【0003】
しかし、上記の方法で画像形成が可能な被転写体は、染料染着性のあるプラスチックシート或いは染料染着性のある染料受容層を被転写体上に予め設けたものに限定され、一般の紙はもちろん金属板やガラス等の上には直接画像が形成できないという問題点があった。
【0004】
このような問題点を解決するために、被転写体上に染料受容層を形成する受容層転写シートが使用されている。これは、基材上に染料受容層を剥離可能に設けたものであって、フイルムの裏側からサーマルヘッド等により任意の領域を加熱することによって、必要な面積のみに受容層を転写するものである。受容層が形成された被転写体には、染料画像の形成が可能となる。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−237359号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の昇華転写材料の染料受容層転写シートに使用される受容層では、その被転写体との接着性と、受容層の被転写体へ転写後の染料層を有する熱転写シートとの印画離型性とを両立させることは困難であり、現状では接着性を維持する為に離型性が不充分となることが問題となっている。
【0007】
転写型染料受容層で転写後の表面部の離型性を確保するためには、受容層の剥離界面付近に離型剤(たとえばシリコーン)を局在させる必要があるが、通常、染料受容層転写シート作成の過程では受容層の剥離界面と反対の界面(接着層との界面)に離型剤が局在する。
【0008】
添加するシリコーン量が少ない場合では、被転写体との接着性は維持されるが印画離型性が不足し、一方、シリコーン量が多い場合では、印画離型性は発現するが被転写体との接着性が維持出来ない。そのため染料受容層転写シートの染料受容層の上に位置する接着層との接着性を維持する為には、染料受容層に添加するシリコーンの量を制限しなくてはならず、そのため印画時での染料層を有する熱転写シートとの充分な離型性が得られなくなるという問題がある。
【0009】
シリコーンを代表とする離型剤の染料受容層における存在状態を制御し、染料層を有する熱転写シートとの充分な離型性と、被転写体への接着性を有する転写型受容層の実現が望まれていた。
【0010】
また、これまでは基材シートの転写性が不十分だったため、シートの折り曲げや熱伸縮により、受容層の剥離や画像の破壊が起こるという問題があった。このような状況において、高濃度、高精細の写真調のフルカラー画像を有し、熱的特性に優れた画像形成物をオンデマンドで作成することが望まれている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
したがって、本発明は、このような問題に着目してなされたものであり、昇華転写画像を形成する被転写体との接着性と、受容層の被転写体へ転写後の染料層を有する熱転写シートとの印画離型性の両方の性能を調和的に具備する染料受容層転写シートを提供することを目的とする。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、基材シート、前記基材シートの一方に剥離可能に形成された転写性染料受容層とを有する染料受容層転写シートにおいて、前記転写性染料受容層がエポキシ変性シリコーン、メチルスチレン変性シリコーンおよびポリエーテル変性シリコーンを含有することを特徴とする。
【0013】
上記本発明においては、前記転写性染料受容層が樹脂部分に対してエポキシ変性シリコーンを3〜15重%、メチルスチレン変性シリコーンを3〜15重量%、ポリエーテル変性シリコーンを3〜15重量%含有することが好ましい。
【0014】
さらに、本発明の他の態様においては、前記基材シートの転写性染料受容層を設けた側の他方の面に耐熱滑性層が形成されていることが望ましい。
【0015】
さらに本発明は、引張強さ(ASTM−D638)が10〜120MPa、線膨張係数(ASTM−D696)が3×10−5〜20×10−5cm/cm℃、かつ熱変形温度(ASTM−D648)が35〜200℃である被転写基材シート上に、上記の熱転写性染料受容層を接着層を介して熱転写し、前記染料受容層に昇華転写画像を形成し、染料受容層の前記画像上に保護層を熱転写により積層することを含む画像形成方法を含む。本発明者の知見によれば、このような方法で印画物を作成することにより、シートの折り曲げや熱伸縮による受容層の剥離や画像の破壊を効果的に防止することができる。
【0016】
本発明では、染料受容層転写シートに使用される転写性染料受容層に添加するシリコーンの種類およびその添加量を選定することにより、離型剤の染料受容層における存在状態を制御し、染料受容層転写シートの染料受容層の剥離界面付近に離型剤(シリコーン)を局在化させて、転写型染料受容層の転写後の表面部での染料層を有する熱転写シートとの充分な印画離型性及び被転写体への接着性を発現する染料受容層転写シートを実現する。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に本発明を好ましい実施形態を挙げて更に詳述する。
【0018】
本発明に係る染料受容層転写シートは、基材シートと、前記基材シートの一方に剥離可能に形成された転写性染料受容層とを有する染料受容層転写シートであって、前記転写性染料受容層が、エポキシ変性シリコーン、メチルスチレン変性シリコーンおよびポリエーテル変性シリコーンを含有することを特徴とする。
【0019】
(基材シート)
本発明の染料受容層転写シートの基材シートは染料受容層を剥離可能に設けるもので、受容層を保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、加熱された状態でも取扱い上支障のない程度の機械的強度を有することが望ましい。形状は、必要なサイズに合わせた枚葉型であってもよいし、長尺フィルムであってもよい。このような基材シートの材料は特に限定されず、従来の熱転写シートに使用されている基材シートと同じものをそのまま使用することができる。
【0020】
例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、パラフィン紙等の薄葉紙、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等のフィルムが挙げられ、また、これらの合成樹脂と前記の紙を積層したものでもよい。
【0021】
これらの基材シートの厚さは、その強度および耐熱性等が適切になるように、材料に応じて適宜変更することができるが、2〜100μm程度が好ましい。
【0022】
(離型層)
上記の基材シートに染料受容層を形成する際に、基材シートと染料受容層との剥離性を向上させる目的で、受容層形成の前に離型層を形成することができる。
【0023】
離型層は、サーマルヘッドの熱によって溶融しない比較的高軟化点の樹脂、例えば、シリコーン変性アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、あるいはこれらの樹脂にワックス等の熱離型剤を含有させた樹脂等から形成する。形成方法は例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたりバースロールコーティング法等の形成手段により塗布及び乾燥することによって形成される。その厚みは乾燥時で0.5〜5g/m2程度で十分である。又、転写後に艶消し染料受容層が望ましい場合には、離型層中に各種の粒子を包含させるか、あるいは離型層の染料受容層側の表面をマット処理することにより、表面をマット状にすることもできる。
【0024】
(染料受容層)
本発明の染料受容層転写シートで基材シートに剥離可能に設ける染料受容層は、任意の被転写体上に転写された後、熱転写シートから移行してくる昇華染料を受容し、形成された画像を維持するためのものである。染料受容層を形成するための樹脂としては、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリアクリルエステル等のビニルポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、等のポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等を挙げることができ、特に好ましいものは、ビニル系樹脂、およびポリエステル系樹脂である。
【0025】
染料受容層中には、離型剤としてエポキシ変性シリコーン、メチルスチレン変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンの3種類を併用して含有する。
【0026】
これらの3種類の変性シリコーンを染料受容層に用いることにより、詳細な理由はわからないが、エポキシ変性シリコーンとメチルスチレン変性シリコーンの2成分の離型剤を染料受容層に含有させた時には、昇華転写画像を形成する被転写体と転写された受容層との接着性と、受容層の被転写体へ転写後に染料層を有する熱転写シートとの印画離型性の両方の性能を満足できなかったが、ポリエーテル変性シリコーンを染料受容層に加え、これら3種の変性シリコーンの含有量を特定することにより、染料受容層の表面における離型剤の存在状態(離型剤がブリードした状態)を制御し、染料受容層転写シートの染料受容層の剥離界面付近に離型剤(シリコーン)を局在化させることが可能となり、被転写体との接着性と、熱転写シートとの印画離型性の両方の性能を満足することができた。
【0027】
上記3種の変性シリコーンは、染料受容層の樹脂分に対して、エポキシ変性シリコーンを3〜15重量%、メチルスチレン変性シリコーンを3〜15重量%、ポリエーテル変性シリコーンを3〜15重量%含有させるものである。
【0028】
染料受容層の白色度を向上させて転写画像の鮮明度を更に高める目的で、酸化チタン、酸化亜鉛、カオリンクレー、炭酸カルシウム、微粉末シリカ等の顔料や充填剤を受容層中に添加することができる。
【0029】
上記の染料受容層は、樹脂にエポキシ変性シリコーン、メチルスチレン変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンの3種類の離型剤を併用し、必要に応じて、添加剤を加えたものを、適当な有機溶剤に溶解したり、或いは有機溶剤や水に分散した分散液を、例えばグラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により塗布・乾燥して形成される。以上の如く形成される染料受容層は任意の厚さでよいが、一般的には乾燥時で1〜50g/m2の厚さである。また、受容層は連続被覆層であるのが好ましいが、樹脂エマルジョンや樹脂分散液を使用して、不連続の被覆として形成してもよい。
【0030】
(接着層)
本発明の染料受容層転写シートでは、上記の転写性染料受容層の表面に、これらの層の転写性を良好にする為に接着層を設けることが好ましい。これらの接着層は、従来公知の粘着剤や感熱接着剤がいずれも使用できるが、ガラス転移温度が50℃〜80℃の熱可塑性樹脂から形成することがより好ましく、例えば、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、紫外線吸収剤樹脂、ブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂等の如く熱時接着性の良好な樹脂から、適当なガラス転移温度を有するものを選択することが好ましい。特に、接着剤層は、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、紫外線吸収剤樹脂、ブチラール樹脂、エポキシ樹脂の少なくとも一つを含有していることが好ましい。又、接着性や、サーマルヘッド等の加熱手段にて全面ではなく一部がパターン形成される場合には、前記に挙げたよりな樹脂は分子量の小さい方が好ましい。また、接着層に白色顔料、蛍光増白剤及び/又は気泡(或いは発泡剤)を含有させるこどもできる。
【0031】
上記の紫外線吸収剤樹脂は、反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂に反応、結合させて得た樹脂を使用することができる。具体的には、サリシレート系、フェニルアクリレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、クマリン系、トリアジン系、ニッケルキレート系の様な従来公知の非反応性の有機系紫外線吸収剤に、付加重合性二重結合(例えばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基など)、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基のような反応性基を導入したものを例示することができる。上記のような接着層を構成する樹脂に必要に応じて、無機または有機フィラー等の添加剤を加えた塗工液を塗布及び乾燥することによって、好ましくは乾燥時で0.5〜10g/m2程度の厚みに形成する。
【0032】
(耐熱滑性層)
本発明の染料受容層転写シートは、基材シートの裏面、すなわち転写性染料受容層の設けてある面と反対面に、サーマルヘッドの熱によるスティッキングやシワなどの悪影響を防止するため、耐熱滑性層を設けることができる。上記の耐熱滑性層を形成する樹脂としては、従来公知のものであればよく、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセトプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
【0033】
これらの樹脂からなる耐熱滑性層に添加、あるいは上塗りする滑り性付与剤としては、燐酸エステル、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコーン系グラフトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等のシリコーン重合体が挙げられるが、好ましくは、ポリオール、例えば、ポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物及び燐酸エステル系化合物からなる層であり、更に充填剤を添加することがより好ましい。耐熱滑性層は、上記に記載した樹脂、滑り性付与剤、更に充填剤を、適当な溶剤により、溶解又は分散させて、耐熱滑性層形成用インキを調製し、これを、上記の基材シートの裏面に、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたりバースコーティング法等の形成手段により、乾燥時0.1〜2.0g/m2程度の厚さで塗布し、乾燥して形成することができる。
【0034】
さらに本発明は、引張強さ(ASTM−D638基準)が10〜120MPa、線膨張係数(ASTM−D696基準)が3×10−5〜20×10−5cm/cm℃、かつ熱変形温度(ASTM−D648基準)が35〜200℃である被転写基材シート上に、上記の熱転写性染料受容層を接着層を介して熱転写し、前記染料受容層に昇華転写画像を形成し、染料受容層の前記画像上に保護層を熱転写により積層することを含む画像形成方法を包含する。本発明者の知見によれば、このような方法で印画物を作成することにより、シートの折り曲げや熱伸縮による受容層の剥離や画像の破壊を効果的に防止することができる。
【0035】
【実施例】
以下に実施例及び比較例をあげて、本発明をさらに具体的に説明する。尚、文中部または%とあるのは重量基準である。
【0036】
実施例1
厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフイルム(東レ製)の表面に、下記組成の塗工液をバーコーターにより乾燥時0.5g/m2になる割合で塗布し、ドライヤーで仮乾燥後、100℃のオーブン中で30分間乾燥して、耐熱滑性層を形成した。
【0037】
[耐熱滑性層用塗工液組成]
硬化性シリコーンオイル 100部
(KS−770A、信越化学工業(株)製)
硬化触媒(CAT−PL8、信越化学工業(株)製) 1部
トルエン 400部
次に下記の塗工液から離型層、染料受容層及び接着層をこの順に形成し、実施例1の染料受容層転写シートを作製した。
【0038】
離型層は、下記組成の塗工液をバーコーターにより乾燥時0.5g/m2になる割合で塗布し、ドライヤーで仮乾燥後、100℃のオーブン中で30分間乾燥して形成した。
【0039】
[離型層用塗工液組成]
シリコーン変性アクリル系樹脂 16部
(セルトップ226ダイセル化学(株)製)
アルミ触媒(セルトップAT−Aダイセル化学(株)製) 3部
メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 16部
染料受容層は、下記組成の塗工液をバーコーターにより乾燥時3.0g/m2になる割合で塗布し、ドライヤーで仮乾燥後、100℃のオーブン中で30分間乾燥して形成し、接着層は下記組成の塗工液を用いて、同様にして乾燥時2.0g/m2の割合で塗布及ぴ乾燥して形成した。
【0040】
[染料受容層用塗工液組成]
塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体 100部
(1000A、電気化学工業(株)製)
エポキシ変性シリコーン 7.5部
(X−22−3000T、信越化学工業(株)製)
メチルスチレン変性シリコーン 7.5部
(X−24−510、信越化学工業(株)製)
ポリエーテル変性シリコーン 5部
(FZ2101、日本ユニカー(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 400部
[接着層用塗工液組成]
ポリエステル樹脂(UE3201、ユニチカ製) 100部
メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 300部
シリカ(ブロッキング防止剤) 0.1部
比較例1
実施例1で作製した染料受容層転写シートの染料受容層用塗工液を下記組成に変更し、その他は実施例1と同様にして比較例1の染料受容層転写シートを作製した。
【0041】
[染料受容層用塗工液組成]
塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体 100部
(1000A、電気化学工業(株)製)
エポキシ変性シリコーン 20部
(X−22−3000T、信越化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 400部
比較例2
実施例1で作製した染料受容層転写シートの染料受容層用塗工液を下記組成に変更し、その他は実施例1と同様にして比較例2の染料受容層転写シートを作製した。
【0042】
[染料受容層用塗工液組成]
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 100部
(1000A、電気化学工業.(株)製)
メチルスチレン変性シリコーン 20部
(X−24−510、信越化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 400部
比較例3
実施例1で作製した染料受容層転写シートの染料受容層用塗工液を下記組成に変更し、その他は実施例1と同様にして比較例3の染料受容層転写シートを作製した。
【0043】
[染料受容層用塗工液組成]
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 100部
(1000A、電気化学工業(株)製)
ポリエーテル変性シリコーン 20部
(FZ2101、日本ユニカー(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 400部
比較例4
実施例1で作製した染料受容層転写シートの染料受容層用塗工液を下記組成に変更し、その他は実施例1と同様にして比較例4の染料受容層転写シートを作製した。
【0044】
[染料受容層用塗工液組成]
塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体 100部
(1000A、電気化学工業(株)製)
エポキシ変性シリコーン 2部
(X−22−3000T、信越化学工業(株)製)
メチルスチレン変性シリコーン 2部
(X−24−510、信越化学工業(株)製)
ポリエーテル変性シリコーン 2部
(FZ2101、日本ユニカー(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 400部
比較例5
実施例1で作製した染料受容層転写シートの染料受容層用塗工液を下記組成に変更し、その他は実施例1と同様にして比較例5の染料受容層転写シートを作製した。
【0045】
[染料受容層用塗工液組成]
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 100部
(1000A、電気化学工業(株)製)
エポキシ変性シリコーン 16部
(X−22−3000T、信越化学工業(株)製)
メチルスチレン変性シリコーン 16部
(X−24−510、信越化学工業(株)製)
ポリエーテル変性シリコーン 16部
(FZ2101、日本ユニカー(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 400部
上記の実施例1及び比較例1〜5で作製した染料受容層転写シートと、被転写体として染料染着性を有さないアクリル系樹脂製シート(厚さ150μm)を用い、転写性染料受容層を下記条件で被転写体に転写し、その後染料受容層が転写された被転写体(受像体)に、基材上に染料層を有する熱転写シート(三菱電機(株)製ビデオプリンターCP−700用転写フィルムPK700L)を用いて、染料層と染料受容面とを対向させて重ね合わせ、Y、M、Cの順番で熱転写シートの裏面から、下記条件でサーマルヘッドを用い熱転写記録を行ない、グレーのグラデーション画像を形成した。
【0046】
(被転写体への受容層転写条件)
サーマルヘッド:KGT−217−12MPL20(京セラ(株)製)
・発熱体平均抵抗値:31915(Ω)
・主走査方向印字密度:300dpi
・副走査方向印字密度:300dpi
・印加電力:0.12(w/dot)
・1ライン周期:5(msec.)
・印字開始温度:40(℃)
・印加パルス
1ライン周期中に、1ライン周期を256に等分割したパルス長をもつ分割パルスの数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式のテストプリンターを用い、各分割パルスのDuty比を60%固定、ライン周期あたりのパルス数を255個に固定する。
【0047】
(グレーのグラデーション画像印字条件)
・サーマルヘッド:KGT−217−12MPL20(京セラ(株)製)
・発熱体平均抵抗値:3195(Ω)
・主走査方向印字密度:300dpi
・副走査方向印字密度:300dpi
・印加電力:0.12(w/dot)
・1ライン周期:5(msec.)
・印字開始温度:40(℃)
・階調制御方法
1ライン周期中に、1ライン周期を256に等分割したパルス長をもつ分割パルスの数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式のテストプリンターを用い、各分割パルスのDuty比を60%固定とし、階調によって、ライン周期あたりのパルス数を0ステップでは0個、1ステップでは17個、2ステップでは34個と0から255個まで17個毎に順次増加させることにより、0ステップから15ステップまでの16階調を制御する。
【0048】
上記の染料受容層の転写された被転写体と、グラデーション画像の印画された受像体に対し、転写された受容層と被転写体とのテープ接着性、さらにグラデーション画像の印画時の離型性について、評価を行った。
【0049】
(転写受容層と被転写体とのテープ接着性)
上記条件にて作製した各染料受容層転写シートを用いて、上記被転写体に上記条件で染料受容層を転写した試料に対し、セロハンテープを用いて、転写された受容層側にそのテープを親指で一往復押し付けて貼り付け、その後すぐに180。剥離角度により手でテープを剥がし、テープ側に受容層側の層がとられて、剥がれていないか目視して観察し、以下の基準で評価した。
○:テープ側に取られて剥がれるものがなく、接着性が良好である。
×:テープ側に取られて剥がれるものがあり、接着性が不良である。
【0050】
(印画時の離型性)
上記の条件で作製した染料受容層の転写された被転写体に昇華転写のグラデーション画像を印画時における、熱転写シートの染料層と被転写体の転写された受容層側との離型性(剥離しにくいか、両者が融着していないか等)を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
○:離型性が良好である。
△:両者の剥離が重い。(但し、両者は融着はしていない。)
×:一部もしくは全面が融着し、異常転写している。
【0051】
(評価結果)
上記の評価した結果を下記の表1に示す。
【0052】
以上の結果の通り、それぞれのシリコーン単独では受容層の被転写体への転写接着性と、転写後の印画離型性が両立できない。エポキシ変性シリコーン、メチルスチレン変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンの3成分を適正な配合で添加することにより、これまで両立できなかった上記の性能を発現した。また、上記3成分の変性シリコーンのうち、2成分では受容層の被転写体への転写接着性と、転写後の印画離型性の両方の性能を満足できず、上記3成分の変性シリコーンを添加することが必要である。
【0053】
また、3成分の変性シリコーンを添加するにも、その添加量が少ない場合では受容層の被転写体への転写接着性は維持されるが、充分な印画離型性は発現しない。また、3成分の変性シリコーンの添加量が多い場合では、印画離型性は発現するが、受容層の被転写体への転写接着性が維持できない。
【0054】
比較例6
引張強さ(ASTM−D638)が8.5MPa、線膨張係数(ASTM−D696)が2×10−5cm/cm℃、かつ熱変形温度(ASTM−D648)が32℃である低密度ポリエチレン系樹脂シート(厚さ150μm)を用い、実施例1と同様の方法で画像形成物を作成した。
【0055】
比較例7
引張強さ(ASTM−D638)が150MPa、線膨張係数(ASTM−D696)が2×10−5cm/cm℃、かつ熱変形温度(ASTM−D648)が250℃であるガラス繊維強化樹脂シート(厚さ150μm)を用い、実施例1と同様の方法で画像形成物を作成した。
【0056】
上記各例について、折り曲げテスト、熱伸縮テスト、印画時の離型性テストを行った結果を下記表2に示す。
【0057】
なお、折り曲げテストならびに熱伸縮テストは以下の方法で行った。
【0058】
(折り曲げテスト)
長さ10cm、幅2.54cmの画像形成物を試験片として、支点間距離5cmの支持台(先端R9.5±0.2mm)に印画面を下側にして設置し、支点間中央の上方より先端R9.5±0.2mmの加圧くさびにより試験片中央部が10mm変形するように荷重を加えた。この運動を10回繰り返した後に、印画表面の転写性を前記と同様の方法で評価した。
【0059】
(熱伸縮テスト)
長さ10cm、幅2.54cmの画像形成物を試験片として、80℃に設定した恒温槽中で試験片の片端に50gの重りをつけて他の片端を天井に固定した状態で3時間吊り下げたのち、試験片の重りを外した状態で常温(23℃)にて1時間放置後、印画表面の転写性を前記と同様の方法で評価した。
【0060】
基材シートと前記基材シートの一方に剥離可能に形成された転写性染料受容層とを有する染料受容層転写シートにおいて、前記転写性染料受容層がエポキシ変性シリコーン、メチルスチレン変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンを含有し、また前記転写性染料受容層が樹脂分に対してエポキシ変性シリコーンを3〜15重量%、メチルスチレン変性シリコーンを3〜15重量%、ポリエーテール変性シリコーンを3〜15重量%含有することにより、離型剤(変性シリコーン)の染料受容層における存在状態を制御し、染料受容層転写シートの染料受容層の剥離界面付近に離型剤(シリコーン)を局在化させて、転写型染料受容層の転写後の表面部での染料層を有する熱転写シートとの充分な印画離型性及び受容層の被転写体への転写接着性の良好なものが得られる。
Claims (3)
- 基材シートと、
前記基材シートの一方に剥離可能に形成された転写性染料受容層とを有する染料受容層転写シートであって、
前記転写性染料受容層が、樹脂分に対して、エポキシ変性シリコーンを3〜15重量%、メチルスチレン変性シリコーンを3〜15重量%、ポリエーテル変性シリコーンを3〜15重量%含有してなることを特徴とする、染料受容層転写シート。 - 前記基材シートの転写性染料受容層を設けた側の他方の面に耐熱滑性層が形成されてなる、請求項1に記載する染料受容層転写シート。
- 引張強さ(ASTM−D638基準)が10〜120MPa、線膨張係数(ASTM−D696基準)が3×10−5〜20×10−5cm/cm℃、かつ熱変形温度(ASTM−D648基準)が35〜200℃である被転写基材シートを用意し、
前記被転写基材シート上に、請求項1記載の熱転写性染料受容層を接着層を介して熱転写し、
このようにして転写された前記染料受容層に昇華転写画像を形成し、
前記昇華転写画像が形成された染料受容層の前記画像上に保護層を熱転写により積層する、ことを含むことを特徴とする、画像形成方法。
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