JP4311735B2 - 絵柄転写セット - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェットによって形成された画像等を被転写材に転写するのに好適な転写用インクジェット記録シートに関する。
種々のプラスチック成形品に模様を形成する方法として、転写材料を用いた転写方法が広く利用されている。このような模様の転写は、プラスチック製品の成形と同時に行うことが好ましく、成形と同時に転写可能な材料が種々提案されている。例えば、特許文献1には、昇華性染料を用いて記録媒体上に形成した転写用画像をポリエステル成形品に熱転写する模様形成方法が開示され、特許文献2には離型層を設けた支持体上にアクリル樹脂等の剥離層と装飾層とを積層した、射出成形と同時に転写可能な加飾用転写シートが開示されている。
これら従来の転写材料では、転写材料に模様を形成するためにグラビア印刷や昇華プリンタを用いる必要があり、多品種少量生産には不向きである。これに対し、インクジェット記録で模様を形成することが可能な転写シートが特許文献3や特許文献4に開示されている。特許文献3に記載された転写シートは、熱成形性プラスチックフィルムよりなる基材シート上にインクジェットプリンタ用インク受容層を設けたもので、インク受容層にインクジェットプリンタで印刷後、インク受容層と基材シートをともに成形品と接合することにより絵柄を成形品に付与するというものである。この場合、転写シートの基材シート側を成形品に圧接するので、金型に触れるインク受容層には保護層や剥離シートなどを設ける必要がある。また保護層を設けない場合や剥離シートを剥離した後、成形品の表面はインク受容層で構成されることになるが、インクジェット用のインク受容層は、一般的に親水性であるため、得られる成形品は耐水性に劣る。
一方、特許文献4に記載された転写シートは、基材シート、剥離層、絵柄印刷層及び接着層からなり、絵柄印刷層をインクジェット記録装置で印刷可能なインク受容層で構成したものであり、インクジェット記録後の絵柄印刷層に接着剤層を形成し、射出成形金型にセットして成形と同時に絵柄を転写する。従って、この転写材料では、成形転写に先立ってインクジェット記録後に接着剤層を形成する工程が必要となる。
特開平9−86030号公報 特開2000−84977号公報 特開平10−305456号公報 特開平11−28856号公報
本発明は、接着剤や保護層を必要とせず、絵柄が印刷されたインク受容層のみを成形と同時に転写することが可能である転写用インクジェット記録シートと被転写材との絵柄転写セットを提供することを目的とする。また本発明は、転写後に成形品との密着性が良好で且つ耐水性に優れた絵柄転写成形品を製造することが可能な転写用インクジェット記録シートと被転写材との絵柄転写セットを提供することを目的とする。
上記課題は、転写用インクジェット記録シートのインク受容層に絵柄を形成した後、前記インク受容層を被転写材に転写させて絵柄転写物を形成するために用いる絵柄転写セットであって、
前記被転写材は、アミノ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂及びポリ乳酸樹脂の群から選ばれる1種を含み、
前記シートは、基材と、前記基材上に形成されたプライマー層と、前記プライマー層上に形成されたインク受容層とを備え、
前記プライマー層は、イソシアネート系化合物及びポリエステル樹脂から形成され、前記ポリエステル樹脂が水酸基価1〜30を有し、且つ前記イソシアネート系化合物のイソシアネート基と前記ポリエステル樹脂の水酸基とがモル比1:1〜10:1の範囲であり、
前記インク受容層は、耐水性樹脂或いは加熱による変性または架橋剤による架橋硬化により耐水化する親水性樹脂からなり、連続気泡で構成された多孔構造を有し、
加熱により転写する際の前記インク受容層と前記被転写材との接着性が、前記インク受容層と前記プライマー層との接着性よりも強固である絵柄転写セットにより達成される
本発明によれば、転写用インクジェット記録シートインク受容層にインクジェットプリンタによって所望の絵柄を印刷した後、圧縮成形或いは射出成形用の金型に、インクジェット記録シート印刷面が成形品に接触するようにセットし、金型内に被転写材を導入し、必要に応じて圧縮及び/又は加熱後、金型から取り出し、基材を剥離する。この際、インク受容層を構成する樹脂の熱変性により或いはインク受容層の構造内に被転写材を構成する樹脂が入り込むことによって、インク受容層と被転写材とが強固に接着するとともに、インク受容層とプライマー層或いはインク受容層と基材との接着性が相対的に弱まり、基材を剥離することにより印刷されたインク受容層のみが成形品に転写される。こうして成形と同時に絵柄の転写を行うことができる。
以下、本発明の絵柄転写セットの実施形態について詳述する。
本発明で用いる転写用インクジェット記録シート基材は、インクジェットプリンタによる搬送性と熱可塑性を備えた材料からなり、具体的には、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂からなるプラスチックシート又はフィルムを用いることができる。特にプリンタの搬送性、ハンドリング性、被転写材の凹凸面への転写性などの点で、比較的剛性があり収縮しにくい、熱可塑性ポリエステル樹脂又はポリプロピレンからなるシート又はフィルムが好適である。
基材の、インク受容層が形成される側の面は、平坦でもよいしマット化されていてもよい。マット化されている場合には、インク受容層に形成された絵柄を転写すると同時に被転写材表面をつや消し面とすることが可能である。
基材の厚みは特に限定されないが、インクジェット記録時の搬送性および転写後の剥離のしやすさの観点から5〜300μm程度が好適である。
インク受容層は、インクジェットプリンタによる記録が可能な層で、一層でも多層でもよいが、少なくとも表面は(1)親水性バインダーと必要に応じて顔料からなる層(第1の態様)、或いは(2)多孔構造を有する層(第2の態様)とする。水性インクを用いる場合には、(1)又は(2)とし、油性インクを用いる場合には(2)とすることが好ましい。
まず第1の態様によるインク受容層について説明する。
バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースやヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミドなどの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの親水性樹脂などを用いることができるが、特に成形時の熱又は架橋により耐水化する親水性樹脂が好ましい。このような樹脂として、具体的には、ケン化度70%以上のポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリウレタンなどを挙げることができる。ケン化度70〜90%のポリビニルアルコール部分ケン化物及びケン化度90%以上のポリビニルアルコール完全ケン化物は架橋により耐水化し、ケン化度90%以上のポリビニルアルコール完全ケン化物、ポリビニルピロリドン及びポリウレタンは熱により耐水化する。特に重合度1000〜3000、ケン化度70〜90%の部分ケン化タイプのポリビニルアルコールが好ましい。また特にポリビニルアルコール等には、グリオキザール、ジメチロール尿素、トリメチロールメラミンなどの架橋剤を添加するか、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂などの架橋剤として機能する熱硬化性樹脂と併用することにより耐水化することも可能である。
インク受容層は、これら親水性樹脂のほかに、被転写材との接着性を高めるために、スチレン−マレイン酸共重合物、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルアセタールなどの他の樹脂を含有することができる。
他の樹脂は被転写材を構成する材料にもよるが、例えば被転写材が尿素系樹脂の場合、尿素樹脂などを用いることができる。但し、水性インクによる良好な記録性を得るために、インク受容層を構成する樹脂の50重量%以上、好適には60重量%以上は親水性樹脂であることが好ましい。
顔料としては、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、合成ゼオライト、アルミナ、スメクタイトなどの無機顔料の他、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂などからなる樹脂ビーズ、若しくはこれらを原料とする中空樹脂ビーズなどの有機顔料があげられ、これらを単独であるいは2種以上混合して使用することができる。特に多孔質シリカが好ましい。
顔料の含有量は、バインダー100重量部に対し100重量部以下、好ましくは5〜50重量部であることが望ましい。顔料の含有量を5重量部以上とすることにより、ブロッキングを防止できる。また100重量部以下とすることにより、転写時に塗膜を凝集破壊しにくくすることができる。
インク受容層の厚みは、5〜30μmであることが好ましい。5μm以上とすることによりインク吸収性を良好にすることができる。また本発明の転写用インクジェット記録シートでは、インク画像(絵柄)が形成されたインク受容層そのものを被転写材に転写し、絵柄をインク受容層を透して見ることになるので、明瞭な絵柄を形成するためにインク受容層の厚みは30μm以下であることが好ましい。但し、絵柄をぼかしたい場合には、30μm以上であってもよい。
インク受容層は、上述した樹脂及び顔料のほかに、インクジェット記録性及び被転写材との接着性を阻害しない範囲で、レベリング剤、紫外線吸収剤、耐水化剤、酸化防止剤、キレート剤等の公知の添加剤を含むことができる。
次に第2の態様によるインク受容層について説明する。
このインク受容層は、物理的な構造によってインク受容性をもたせたものであり、樹脂と必要に応じて顔料とからなり、水性インク、油性インクのいずれに対してもインク受容性を有する。樹脂としては、第1のインク受容層と同様の加熱又は架橋により耐水化する親水性樹脂或いは耐水性の樹脂を用いることができる。耐水性の樹脂としては、親水性樹脂を耐水化した樹脂やスチレンマレイン酸共重合物、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどの樹脂を用いることができる。
多孔構造は、平均孔径が0.2〜10μmの範囲の連続気泡であることが好ましい。このような範囲とすることにより、成形時に樹脂が孔内部に浸透し、成形後にインク受容層と一体化し、インク受容層と被転写材である成形品との間の高い接着力を得ることができる。また溶融した樹脂が孔内部に入り込むことにより、耐水性及び耐擦傷性を向上させることができる。
この多孔構造を有するインク受容層は、例えば、インク受容層を構成する樹脂を、この樹脂に対する良溶媒と貧溶媒とを混合した溶媒に溶解し、基材上に塗布乾燥することより形成することができる。この際、良溶媒と貧溶媒との混合割合を適宜変化させることにより孔径を調整することができる。この方法では、孔径が約5μm以下の細かい孔を形成することができる。また孔径が約5〜10μmの範囲の多孔構造のインク受容層は、樹脂を適当な溶媒に溶解させた溶液を、基材に塗布後、60〜80%程度の湿度雰囲気中で乾燥させることにより、形成することができる。この方法で形成されるインク受容層は、いわゆるブラッシング膜と呼ばれ、使用する溶媒の水への親和性を調整することにより孔径を調整することができる。
さらに多孔構造は、上述した樹脂に顔料を添加することによっても形成することができる。顔料としては、上述した第1の形態のインク受容層に用いた顔料と同様のものを用いることができるが、特に多孔質シリカ、多孔質炭酸カルシウムなどの多孔質顔料が好適である。多孔構造は顔料どうしの間隙に形成され、顔料の粒子径及び含有量を調整することにより、所望の平均孔径の連続気泡を形成することができ、被転写材の樹脂が孔内に浸透することにより高い接着性が得られる。また顔料が多孔質の場合には、顔料自体の細孔によって良好なインクジェット記録特性を得ることができる。
具体的には、顔料は平均粒径が0.1〜10μm、平均細孔径が4〜20nmのものが好ましく、顔料の含有量は、樹脂100重量部に対し好ましくは10〜200重量部、より好ましくは20〜150重量部の範囲とする。このような範囲とすることにより、インクジェットプリンタによる鮮明な記録が可能であり、且つ加圧/加熱転写した場合に、被転写材を構成する樹脂が多孔構造内に入り込み、印刷後のインク受容層と一体的に接合される。
インク受容層の厚みは、5〜50μmであることが好ましい。5μm以上とすることによりインク吸収性を良好にすることができる。この場合にも、転写される絵柄を明瞭にするためには50μm以下とすることが好ましい。インク受容層は、上述した樹脂及び顔料のほかに、インクジェット記録性及び被転材との接着性を阻害しない範囲で、レベリング剤、紫外線吸収剤、耐水化剤、酸化防止剤、キレート剤等の公知の添加剤を含むことができる。
以上説明した、第1及び第2の態様によるインク受容層は、基材自体が離型性を有する場合には、直接形成することが可能であるが、好適には、基材の上にプライマー層を設け、プライマー層の上に形成することが好ましい。
プライマー層は、インク受容層と基材との接着性を高めるとともに、転写時にはインク受容層に対する剥離層としても機能する層で、具体的には、イソシアネート系化合物及びイソシアネート系化合物と相溶性のよい樹脂から成る。イソシアネート系化合物と相溶性のよい樹脂として、具体的には、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、基材の材料に応じて適宜選択して用いることができる。例えば、基材としてポリエステルフィルムを用いる場合には、ポリエステル樹脂が好適である。またインク受容層が第1の態様による親水性樹脂を主体とする層の場合には、イソシアネート系化合物と相溶性のよい樹脂が水酸基価1〜30を有し、イソシアネート系化合物のイソシアネート基(NCO基)とイソシアネート系化合物と相溶性のよい樹脂の水酸基とのモル比が1:1〜10:1の範囲であることが好ましい。NCO基と水酸基とのモル比は、イソシアネート系化合物と水酸基を有する樹脂との混合比を調節することにより上述した範囲にすることができる。
このようなプライマー層は、ポリエステル樹脂やアクリル樹脂等からなる基材との接着性にも親水性樹脂からなるインク受容層との接着性にも優れ、且つ基材との接着性がインク受容層との接着性より強固であるため、本発明の転写用インクジェット記録シートの使用前やインクジェット記録時にインク受容層が基材から浮き上がったり剥がれたりすることを確実に防止し、しかも転写時には被転写材に強固に結合したインク受容層から完全に剥離することができる。
プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.1〜5μm程度が好ましい。
本発明で用いる転写用インクジェット記録シートは、基材の上にプライマー層及びインク受容層を構成する材料を含む塗布液を公知のコーティング法により塗工・乾操することにより形成することができる。本発明で用いる転写用インクジェット記録シートは、図1に示すように、インクジェットプリンタによりインク受容層12に所望の絵柄13を印刷した後、印刷後のインク受容層12を被転写材20に重ね、加圧/加熱することにより、インク受容層12を被転写材20に接合し、次いで基材10をプライマー層11とともに剥離することにより、被転写材20に絵柄13を転写することができる。このように本発明で用いる転写用インクジェット記録シートを用いた転写では、絵柄は印刷した方向と逆方向から見ることになるので、印刷時には反転した絵柄を形成することが必要である。
本発明で用いる転写用インクジェット記録シートは、プラスチック、紙、金属など任意の被転写材に適用することが可能であるが、プラスチック成形品に適用することが好ましく、特に、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素メラミン共縮合樹脂などのアミノ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂及びポリ乳酸樹脂の群から選ばれる1種を含むプラスチック成形品に好適である。
本発明で用いる転写用インクジェット記録シートを用いた転写を、射出成形や圧縮成形などの被転写材の成形と同時に行う場合には、被転写材を構成する樹脂或いは樹脂粉末が供給される側がインク受容層となるように、インクジェット記録後のインクジェット記録シートを金型にセットする。次いで、射出成形であれば金型内に樹脂を射出し、圧縮成形であれば加圧、加熱して、被転写材を成形すると共にインク受容層を絵柄とともに転写する。その後、金型を開き、転写用インクジェット記録シートの基材をプライマー層とともに剥離し、絵柄の転写された被転写材を取り出す。こうして形成された被転写材は、その表面が本発明で用いる転写用インクジェット記録シートのインク受容層で形成されることになるが、このインク受容層は加熱又は架橋により耐水化する樹脂或いは耐水性の樹脂で構成されているので、耐水性のある成形品を得ることができる。またインク受容層と成形品を構成する樹脂とが強固に結びついており、かつ転写された絵柄をインク受容層がカバーしているので絵柄が剥がれたり、こすれとられたりすることもない。
以下、本発明で用いる転写用インクジェット記録シートの実施例を説明する。
参考例1]
厚み75μmのポリエステルフィルムからなる基材上に、以下のようにプライマー層、インク受容層を順に形成し、転写用インクジェット記録シートを作製した。
<プライマー層>
ポリエステル樹脂(バイロン200:東洋紡社、水酸基価3)1重量部をメチルエチルケトン9重量部に溶解させ、その溶解液10重量部にイソシアネート(タケネートD110N:三井武田薬品工業社、有効成分75%)を0.2重量部加えて液を調整した。調整した液を基材上に塗布乾燥し、厚み0.5μmのプライマー層を得た。なお、調整した液のイソシアネートのイソシアネート基とポリエステル樹脂の水酸基のモル比は1.7:1.0であった。
<インク受容層>
ポリビニルアルコール(ゴーセノールKM-11:日本合成化学工業社、重合度1100、ケン化度78%、有効成分100%)を10%水溶液に調整し、プライマー層上に塗布乾燥し、厚み15μmのインク受容層を得た。
[実施例
インク受容層を以下のものに変更した以外は、参考例1と同様にして転写用インクジェット記録シートを作製した。
<インク受容層>
下記の材料を混合、分散させて塗布液を調整し、プライマー層上に塗布乾燥し、厚み30μmで平均孔径約0.5〜3μmの連続気泡を有する多孔構造のインク受容層を得た。
・ポリビニルアセタール 0.7重量部
(KS−1:積水化学工業社、有効成分100%)
・シリカ 0.3重量部
(ミズカシルP78A:水澤化学社)
(平均粒子径3.3μm、細孔径17.8nm)
・トルエン 4.5重量部
・エタノール 4.5重量部
[実施例
インク受容層を以下のものに変更した以外は、参考例1と同様にして転写用インクジェット記録シートを作製した。
<インク受容層>
下記の材料を混合、分散させて塗布液を調整し、プライマー層上に塗布乾燥し、厚み30μmで平均孔径約1〜3μmの連続気泡を有する多孔構造のインク受容層を得た。
・ポリビニルピロリドン 0.8重量部
(K−90:ISP社、有効成分100%)
・シリカ 0.2重量部
(ミズカシルP78D:水澤化学社)
(平均粒子径8μm、細孔径18.3nm)
・水 9重量部
参考
厚み75μmのポリエステルフィルムからなる基材に、コロナ放電処理を施し、参考例1と同様のインク受容層を形成し、転写用インクジェット記録シートを作製した。コロナ放電処理は、VETAPHONE社のコロナ放電処理機を用い、コロナの発生ガスには空気を用い、放電ノズル先端からフィルム表面までの距離50mm、放電処理速度150M/min、出力2.6kWの条件で行なった。
[比較例1]
厚み75μmのポリエステルフィルムからなる基材上に、ヒドロキシエチルセルロース(SP200:ダイセル化学工業社、有効成分100%)を8%水溶液に調整した塗布液を塗布乾燥し、厚み15μmのインク受容層を形成し、インクジェット記録シートを作製した。
[比較例2]
基材として厚み97μmの水系易接着ポリエステルフィルム(メリネックス535:帝人デュポンフィルム社)を使用した以外は、比較例1と同様にして、インクジェット記録シートを作製した。
[比較例3]
厚み97μmの水系易接着ポリエステルフィルム(メリネックス535:帝人デュポンフィルム社)からなる基材上に、以下のインク受容層を形成し、インクジェット記録シートを作製した。
<インク受容層>
下記の材料を混合させて塗布液を調整し、基材上に塗布乾燥し、厚み30μmのインク受容層を得た。
・ポリビニルアセタール 1.0重量部
(KS−1:積水化学工業社、有効成分100%)
・トルエン 4.5重量部
・エタノール 4.5重量部
[比較例4]
厚み100μmの水系易接着ポリエステルフィルム(メリネックス535:帝人デュポンフィルム社)からなる基材上に、以下のインク受容層を形成し、インクジェット記録シートを作製した。
<インク受容層>
微細シリカ(サイロジェットP612:グレースデビソン社、平均一次粒子径9nm)を水に分散させた20%の分散液100重量部に、塩化ナトリウムの10%水溶液を0.5重量部、及びポリビニルアルコール(PVA-140:クラレ社、重合度4000、ケン化度98.5%)の10%水溶液を40重量部混合し、水を加え16.0%の塗布液とし、基材上に20g/m2になるように塗布乾燥し、厚み30μmで平均孔径45〜60nmの連続気泡を有する多孔構造のインク受容層を得た。
参考例、実施例および比較例で得られたインクジェット記録シートにつき下記の項目の評価を行った。結果を表1に示す。
(1)通紙性
インクジェットプリンタ(デザインジェット5000CP染料インク:ヒューレットパッカード社)に通紙させ印字を行った。その結果、通紙時に問題ないものを「○」、通紙時に基材からインク受容層が部分的に浮き上がってしまうものを「×」とした。
(2)印字画質
通紙されたインクジェット記録シートの印字画質を目視で評価した。その結果、滲むことなく印字画質が良好なものを「○」、滲んで印字画質が悪いものを「×」とした。
(3)碁盤目テープ剥離試験
インク受容層に碁盤目状にカッターで切れ込みを入れ、そこにテープを貼り、剥がした際に、基材からインク受容層が全く剥がれないものを「◎」、一部の切れ込み付近のみがさざなみ状に剥がれたものを「○」、切れ込み付近以外も剥がれたものを「×」とした。
(4)転写性
印字が良好にできたインクジェット記録シートについて、印字部分を充分乾燥させた後、尿素樹脂のペレットに重ね、金型で挟み込み、140℃で2分間熱プレス成形し、得られた成形品を冷却させた後、転写性について評価を行った。評価は、インク受容層が基材からきれいに剥離して、ペレットに転写されたものを「○」、インク受容層が基材から剥離せず、ペレットに転写されなかったものを「×」とした。
(5)最終画質
上記転写性の評価において得られた成形品の印字画質について目視で評価を行った。なお比較例2については、インクジェット記録シートの基材を通して見える画質の評価を行った。その結果、印字画質が良好なものを「○」、濃度が沈んでしまい印字画質が不良のものを「×」とした。
(6)耐水性
上記転写性の評価において得られた成形品を、沸騰水に15分浸漬し、インク受容層(画像)に変化がないものを「○」、インク受容層が溶ける又は画像に異常を生じたものを「×」とした。
(7)耐擦傷性
上記転写性の評価において得られた成形品を、爪型治具に荷重1kgをかけ100mm/sの速度で傷を付けた際に、素地の露出のないものを「○」、露出してしまったものを「×」とした。
Figure 0004311735
参考例1及び実施例1,2の転写用インクジェット記録シートは、特定のプライマー層を有しているため、常温でのインク受容層の接着性に優れ、通紙時にインク受容層が浮き上がってしまうようなことはなく、かつ、加熱により転写する際には、プライマー層とインク受容層との間の接着力が弱まり、被転写材(ペレット)にインク受容層を良好に転写することができた。参考のものは、プライマー層を設けていないが、基材をコロナ処理することによって、インク受容層と基材との接着性よりも、加熱により転写する際のインク受容層と被転写材との接着性が強固となるため、参考例1及び実施例1,2と同様にインク受容層のみを被転写材に良好に転写することができた。また、インク受容層を構成する樹脂として水溶性樹脂を使用した(参考例1、実施例参考)或いはインク受容層を多孔構造とした(実施例1、2)ことにより、印字画質も良好であった。
また転写後の画質(最終画質)については、参考例1、2のものは、インク受容層中に顔料を含んでいないのでインク受容層が透明であり、最終画質に優れていた。実施例1、2のものは、インク受容層が多孔構造で不透明であるが、転写時にインク受容層の連続気泡に被転写材が入り込んだことにより、気泡が塞がれ透明性が向上し、最終画質に優れていた。また実施例1、2のものは、気泡が塞がれることにより、参考例1、2と同様に耐擦傷性に優れるものとなった。
転写後の耐水性については、インク受容層中の樹脂として通常時は耐水性に劣るが架橋硬化により耐水化可能な樹脂を用いた参考例1、2のインクジェット記録シートは、尿素樹脂ペレットへの転写の際に、インク受容層の樹脂が尿素樹脂により架橋硬化され、耐水性を有するものとなった。実施例のものは、インク受容層を構成する樹脂が耐水性に優れるものであるが、転写時にインク受容層の連続気泡に被転写材である尿素樹脂が入り込むことによって、さらに耐水性が向上した。インク受容層を構成する樹脂として加熱により耐水化可能な樹脂を用いるとともにインク受容層に連続気泡を形成した実施例のものは、実施例と同様に優れた耐水性を示した。
一方、比較例1のものは、プライマー層を有しないため、通紙時でインク受容層が浮き上がってしまい、その後の作業性に劣るものであった。また、転写後の耐水性も劣っていた。
比較例2のものは、基材として易接着フィルムを使用したため、通紙性及び印字画質は良好であったものの、成形後容易に膜を剥離できず、転写性に劣るものであった。
比較例3のものは、インク受容層の樹脂として実施例と同様の耐水性樹脂を用いたものであるが、連続気泡を有していないため、インク受容層に印字をすることができなかった。
比較例4のものは、インク受容層に連続気泡を有しているものの、その平均孔径が細かいため、印字画質が良好であったが、転写時に膜が割れてしまい、それ以降の評価はできなかった。
以上の実施例からも明らかなように、本発明によれば、インクジェット記録による記録性に加えて、転写シートとして必要な機能(良好な転写性、転写後の良質な画質、耐水性)を備えた転写用インクジェット記録シートが提供される。
本発明の転写用インクジェット記録シートを用いた転写方法を説明する図
符号の説明
10・・・基材
11・・・プライマー層
12・・・インク受容層
13・・・絵柄
20・・・被転写材

Claims (3)

  1. 転写用インクジェット記録シートのインク受容層に絵柄を形成した後、前記インク受容層を被転写材に転写させて絵柄転写物を形成するために用いる絵柄転写セットであって、
    前記被転写材は、アミノ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂及びポリ乳酸樹脂の群から選ばれる1種を含み、
    前記シートは、基材と、前記基材上に形成されたプライマー層と、前記プライマー層上に形成されたインク受容層とを備え、
    前記プライマー層は、イソシアネート系化合物及びポリエステル樹脂から形成され、前記ポリエステル樹脂が水酸基価1〜30を有し、且つ前記イソシアネート系化合物のイソシアネート基と前記ポリエステル樹脂の水酸基とがモル比1:1〜10:1の範囲であり、
    前記インク受容層は、耐水性樹脂或いは加熱による変性または架橋剤による架橋硬化により耐水化する親水性樹脂からなり、連続気泡で構成された多孔構造を有し、
    加熱により転写する際の前記インク受容層と前記被転写材との接着性が、前記インク受容層と前記プライマー層との接着性よりも強固であることを特徴とする絵柄転写セット
  2. 前記多孔構造の平均孔径が、0.2〜10μmの範囲であることを特徴とする請求項1記載の絵柄転写セット
  3. 前記親水性樹脂は、重合度1000〜3000、ケン化度70%以上のポリビニルアルコールのケン化物、ポリビニルピロリドン、ポリウレタンから選ばれる1種以上の樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の絵柄転写セット
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