JP4311735B2 - 絵柄転写セット - Google Patents
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Description
前記被転写材は、アミノ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂及びポリ乳酸樹脂の群から選ばれる1種を含み、
前記シートは、基材と、前記基材上に形成されたプライマー層と、前記プライマー層上に形成されたインク受容層とを備え、
前記プライマー層は、イソシアネート系化合物及びポリエステル樹脂から形成され、前記ポリエステル樹脂が水酸基価1〜30を有し、且つ前記イソシアネート系化合物のイソシアネート基と前記ポリエステル樹脂の水酸基とがモル比1:1〜10:1の範囲であり、
前記インク受容層は、耐水性樹脂或いは加熱による変性または架橋剤による架橋硬化により耐水化する親水性樹脂からなり、連続気泡で構成された多孔構造を有し、
加熱により転写する際の前記インク受容層と前記被転写材との接着性が、前記インク受容層と前記プライマー層との接着性よりも強固である絵柄転写セットにより達成される。
本発明で用いる転写用インクジェット記録シートの基材は、インクジェットプリンタによる搬送性と熱可塑性を備えた材料からなり、具体的には、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂からなるプラスチックシート又はフィルムを用いることができる。特にプリンタの搬送性、ハンドリング性、被転写材の凹凸面への転写性などの点で、比較的剛性があり収縮しにくい、熱可塑性ポリエステル樹脂又はポリプロピレンからなるシート又はフィルムが好適である。
基材の厚みは特に限定されないが、インクジェット記録時の搬送性および転写後の剥離のしやすさの観点から5〜300μm程度が好適である。
バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースやヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミドなどの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの親水性樹脂などを用いることができるが、特に成形時の熱又は架橋により耐水化する親水性樹脂が好ましい。このような樹脂として、具体的には、ケン化度70%以上のポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリウレタンなどを挙げることができる。ケン化度70〜90%のポリビニルアルコール部分ケン化物及びケン化度90%以上のポリビニルアルコール完全ケン化物は架橋により耐水化し、ケン化度90%以上のポリビニルアルコール完全ケン化物、ポリビニルピロリドン及びポリウレタンは熱により耐水化する。特に重合度1000〜3000、ケン化度70〜90%の部分ケン化タイプのポリビニルアルコールが好ましい。また特にポリビニルアルコール等には、グリオキザール、ジメチロール尿素、トリメチロールメラミンなどの架橋剤を添加するか、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂などの架橋剤として機能する熱硬化性樹脂と併用することにより耐水化することも可能である。
他の樹脂は被転写材を構成する材料にもよるが、例えば被転写材が尿素系樹脂の場合、尿素樹脂などを用いることができる。但し、水性インクによる良好な記録性を得るために、インク受容層を構成する樹脂の50重量%以上、好適には60重量%以上は親水性樹脂であることが好ましい。
このインク受容層は、物理的な構造によってインク受容性をもたせたものであり、樹脂と必要に応じて顔料とからなり、水性インク、油性インクのいずれに対してもインク受容性を有する。樹脂としては、第1のインク受容層と同様の加熱又は架橋により耐水化する親水性樹脂或いは耐水性の樹脂を用いることができる。耐水性の樹脂としては、親水性樹脂を耐水化した樹脂やスチレンマレイン酸共重合物、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどの樹脂を用いることができる。
プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.1〜5μm程度が好ましい。
[参考例1]
厚み75μmのポリエステルフィルムからなる基材上に、以下のようにプライマー層、インク受容層を順に形成し、転写用インクジェット記録シートを作製した。
ポリエステル樹脂(バイロン200:東洋紡社、水酸基価3)1重量部をメチルエチルケトン9重量部に溶解させ、その溶解液10重量部にイソシアネート(タケネートD110N:三井武田薬品工業社、有効成分75%)を0.2重量部加えて液を調整した。調整した液を基材上に塗布乾燥し、厚み0.5μmのプライマー層を得た。なお、調整した液のイソシアネートのイソシアネート基とポリエステル樹脂の水酸基のモル比は1.7:1.0であった。
ポリビニルアルコール(ゴーセノールKM-11:日本合成化学工業社、重合度1100、ケン化度78%、有効成分100%)を10%水溶液に調整し、プライマー層上に塗布乾燥し、厚み15μmのインク受容層を得た。
インク受容層を以下のものに変更した以外は、参考例1と同様にして転写用インクジェット記録シートを作製した。
下記の材料を混合、分散させて塗布液を調整し、プライマー層上に塗布乾燥し、厚み30μmで平均孔径約0.5〜3μmの連続気泡を有する多孔構造のインク受容層を得た。
・ポリビニルアセタール 0.7重量部
(KS−1:積水化学工業社、有効成分100%)
・シリカ 0.3重量部
(ミズカシルP78A:水澤化学社)
(平均粒子径3.3μm、細孔径17.8nm)
・トルエン 4.5重量部
・エタノール 4.5重量部
インク受容層を以下のものに変更した以外は、参考例1と同様にして転写用インクジェット記録シートを作製した。
下記の材料を混合、分散させて塗布液を調整し、プライマー層上に塗布乾燥し、厚み30μmで平均孔径約1〜3μmの連続気泡を有する多孔構造のインク受容層を得た。
・ポリビニルピロリドン 0.8重量部
(K−90:ISP社、有効成分100%)
・シリカ 0.2重量部
(ミズカシルP78D:水澤化学社)
(平均粒子径8μm、細孔径18.3nm)
・水 9重量部
厚み75μmのポリエステルフィルムからなる基材に、コロナ放電処理を施し、参考例1と同様のインク受容層を形成し、転写用インクジェット記録シートを作製した。コロナ放電処理は、VETAPHONE社のコロナ放電処理機を用い、コロナの発生ガスには空気を用い、放電ノズル先端からフィルム表面までの距離50mm、放電処理速度150M/min、出力2.6kWの条件で行なった。
厚み75μmのポリエステルフィルムからなる基材上に、ヒドロキシエチルセルロース(SP200:ダイセル化学工業社、有効成分100%)を8%水溶液に調整した塗布液を塗布乾燥し、厚み15μmのインク受容層を形成し、インクジェット記録シートを作製した。
基材として厚み97μmの水系易接着ポリエステルフィルム(メリネックス535:帝人デュポンフィルム社)を使用した以外は、比較例1と同様にして、インクジェット記録シートを作製した。
厚み97μmの水系易接着ポリエステルフィルム(メリネックス535:帝人デュポンフィルム社)からなる基材上に、以下のインク受容層を形成し、インクジェット記録シートを作製した。
下記の材料を混合させて塗布液を調整し、基材上に塗布乾燥し、厚み30μmのインク受容層を得た。
・ポリビニルアセタール 1.0重量部
(KS−1:積水化学工業社、有効成分100%)
・トルエン 4.5重量部
・エタノール 4.5重量部
厚み100μmの水系易接着ポリエステルフィルム(メリネックス535:帝人デュポンフィルム社)からなる基材上に、以下のインク受容層を形成し、インクジェット記録シートを作製した。
微細シリカ(サイロジェットP612:グレースデビソン社、平均一次粒子径9nm)を水に分散させた20%の分散液100重量部に、塩化ナトリウムの10%水溶液を0.5重量部、及びポリビニルアルコール(PVA-140:クラレ社、重合度4000、ケン化度98.5%)の10%水溶液を40重量部混合し、水を加え16.0%の塗布液とし、基材上に20g/m2になるように塗布乾燥し、厚み30μmで平均孔径45〜60nmの連続気泡を有する多孔構造のインク受容層を得た。
(1)通紙性
インクジェットプリンタ(デザインジェット5000CP染料インク:ヒューレットパッカード社)に通紙させ印字を行った。その結果、通紙時に問題ないものを「○」、通紙時に基材からインク受容層が部分的に浮き上がってしまうものを「×」とした。
通紙されたインクジェット記録シートの印字画質を目視で評価した。その結果、滲むことなく印字画質が良好なものを「○」、滲んで印字画質が悪いものを「×」とした。
インク受容層に碁盤目状にカッターで切れ込みを入れ、そこにテープを貼り、剥がした際に、基材からインク受容層が全く剥がれないものを「◎」、一部の切れ込み付近のみがさざなみ状に剥がれたものを「○」、切れ込み付近以外も剥がれたものを「×」とした。
印字が良好にできたインクジェット記録シートについて、印字部分を充分乾燥させた後、尿素樹脂のペレットに重ね、金型で挟み込み、140℃で2分間熱プレス成形し、得られた成形品を冷却させた後、転写性について評価を行った。評価は、インク受容層が基材からきれいに剥離して、ペレットに転写されたものを「○」、インク受容層が基材から剥離せず、ペレットに転写されなかったものを「×」とした。
上記転写性の評価において得られた成形品の印字画質について目視で評価を行った。なお比較例2については、インクジェット記録シートの基材を通して見える画質の評価を行った。その結果、印字画質が良好なものを「○」、濃度が沈んでしまい印字画質が不良のものを「×」とした。
上記転写性の評価において得られた成形品を、沸騰水に15分浸漬し、インク受容層(画像)に変化がないものを「○」、インク受容層が溶ける又は画像に異常を生じたものを「×」とした。
上記転写性の評価において得られた成形品を、爪型治具に荷重1kgをかけ100mm/sの速度で傷を付けた際に、素地の露出のないものを「○」、露出してしまったものを「×」とした。
比較例2のものは、基材として易接着フィルムを使用したため、通紙性及び印字画質は良好であったものの、成形後容易に膜を剥離できず、転写性に劣るものであった。
比較例3のものは、インク受容層の樹脂として実施例1と同様の耐水性樹脂を用いたものであるが、連続気泡を有していないため、インク受容層に印字をすることができなかった。
比較例4のものは、インク受容層に連続気泡を有しているものの、その平均孔径が細かいため、印字画質が良好であったが、転写時に膜が割れてしまい、それ以降の評価はできなかった。
11・・・プライマー層
12・・・インク受容層
13・・・絵柄
20・・・被転写材
Claims (3)
- 転写用インクジェット記録シートのインク受容層に絵柄を形成した後、前記インク受容層を被転写材に転写させて絵柄転写物を形成するために用いる絵柄転写セットであって、
前記被転写材は、アミノ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂及びポリ乳酸樹脂の群から選ばれる1種を含み、
前記シートは、基材と、前記基材上に形成されたプライマー層と、前記プライマー層上に形成されたインク受容層とを備え、
前記プライマー層は、イソシアネート系化合物及びポリエステル樹脂から形成され、前記ポリエステル樹脂が水酸基価1〜30を有し、且つ前記イソシアネート系化合物のイソシアネート基と前記ポリエステル樹脂の水酸基とがモル比1:1〜10:1の範囲であり、
前記インク受容層は、耐水性樹脂或いは加熱による変性または架橋剤による架橋硬化により耐水化する親水性樹脂からなり、連続気泡で構成された多孔構造を有し、
加熱により転写する際の前記インク受容層と前記被転写材との接着性が、前記インク受容層と前記プライマー層との接着性よりも強固であることを特徴とする絵柄転写セット。 - 前記多孔構造の平均孔径が、0.2〜10μmの範囲であることを特徴とする請求項1記載の絵柄転写セット。
- 前記親水性樹脂は、重合度1000〜3000、ケン化度70%以上のポリビニルアルコールのケン化物、ポリビニルピロリドン、ポリウレタンから選ばれる1種以上の樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の絵柄転写セット。
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