JP4311921B2 - 書類綴り具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、書類や資料を内部に止着された綴じ具により容易に着脱できるようにして保管、保存することができるバインダーやファイル等における書類綴り具の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一方の端縁部に穿孔された書類をファイリングする綴り具として、基板と、一対の押さえ板と、一方の押さえ板に固着された綴じパイプと、もう一方の押さえ板に固着された綴じ杆とからなり、前記綴じ杆を前記綴じパイプ内に挿通することにより前記一対の押さえ板の間に穿孔された書類等を収容可能としたものが知られている。このような綴り具では、一方の押さえ板を基板に対し着脱可能とし、もう一方の押さえ板を基板に回動可能に取付けることによって、着脱可能な押さえ板を基板から遊離して綴じ杆と綴じパイプとの挿通状態を解除し書類等の抜き差しが可能となる一方(開放状態)、着脱可能な押さえ板を基板に取付けた状態(閉止状態)では収容した書類等を保持することが可能な構成となっている。
【0003】
さらに使い勝手を改善したものとして、前記一対の押さえ板を所定の係わり合い手段を用いて基板に対し回動可能かつ着脱可能に取付けることによって、一対の押さえ板の任意の一方を基板に対し着脱可能とする傍ら残る一方を基板に回動可能に保持することが可能であり、それにより使用者の任意の選択によって左右いずれの押さえ板からも書類等の抜き差しが可能な、いわゆる両開きファイルの綴り具が存在する。
【0004】
このような綴り具の一例として、基板にヒンジ部を介して回動可能に取付けられた左右一対の起立板を有し、当該起立板を前記押さえ板に対し左右方向外側から当てることにより前記起立板と前記押さえ板とを係合可能としたものがある。このような綴じ具においては、左右いずれかの起立板を外側に開き対応する押さえ板との係合状態を解除することによって、その側より書類等の抜き差しが可能である。このようなタイプの綴り具として、例えば特許文献1〜12に開示されるものがある。
【0005】
前記係わり合い手段における係合状態を維持する手段として、係わり合いの度合を強める方向に付勢する係合解除抑制手段を備えるものが挙げられる。例えば上記一例においては、ヒンジ部に巻きばねを備え起立板を起立方向に付勢することによって、係合状態で起立板を押さえ板に押し当てている。
【0006】
【特許文献1】
実開昭56−154378
【特許文献2】
実公昭57−31107
【特許文献3】
実公昭57−38301
【特許文献4】
実開昭62−136680
【特許文献5】
実公平1−20144
【特許文献6】
実公平2−32466
【特許文献7】
特公平4−35360
【特許文献8】
特公平7−115557
【特許文献9】
特開平8−300867
【特許文献10】
特開平10−58880
【特許文献11】
特開平11−180084
【特許文献12】
特許3249015号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような書類綴り具において書類等の保持力を高めるには、前記係合解除抑制手段の付勢力を強めることが有効である。ところが上記書類綴り具においては、基板と押さえ板との関係において回動可能であることと着脱可能であることの2種類の機能を前記係わり合い手段に同時に具備させたことから、着脱可能であることに関する機能である係わり合いの度合いを強める方向に付勢する係合解除抑制手段を設けると、必然的に回動可能であることの機能にもその付勢力が及んでしまう。上記一例においては、起立板を起立方向に付勢することによって、起立板に着脱可能に係合する押さえ板をも付勢してしまい、押さえ板に連設した綴じパイプ若しくは綴じ杆を水平方向に維持しようとする力として働いてしまうのである。すなわち、前記付勢力を強めることによって、使用者が書類等の抜き差しを行おうとする際に左右のうち一方の起立板と押さえ板との係合を解除し押さえ板を回動させようとしても、もう一方の側の係わり合い手段における付勢力によって元に戻ろうとしてしまい、操作性を損なってしまう。この現象は、収容している書類等の量が少ない場合に、書類等の重量によって前記もう一方の側の付勢力が抑えられないぶん、特に顕著である。
【0008】
従って、上記のような書類綴り具において、書類等を収容した閉止状態ではしっかりと係合を保持しつつも、開放状態では書類等を抜き差しする際の操作性を損なうことのないものの提供が望まれていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明においては、基板と、所定の係わり合い手段を用いて基板に対し回動可能かつ着脱可能に取付けられる左右一対の押さえ板と、前記一対の押さえ板の一方より連設される1又は複数の綴じ杆と、前記一対の押さえ板の他方より連設される前記綴じ杆の本数に対応する綴じパイプとを具備し、前記綴じ杆を前記綴じパイプ内に挿通することにより前記一対の押さえ板の間に穿孔された書類等を収容可能である一方、左右いずれかの押さえ板と基板との係わり合い手段を解除することによって書類等の抜き差しを可能とした書類綴り具において、前記係わり合い手段は、前記押さえ板が前記基板に近接した時にのみ係わり合いの度合を強める方向に付勢する係合解除抑制手段を備えており、かつ前記係合解除抑制手段は、前記基板と押さえ板とが前記係わり合い手段によって取付けられた状態において回動の動作に影響を与えないものとした。このようなものであれば、前記押さえ板が前記基板に近接した時、すなわち前記基板に前記押さえ板を取付けようとしたときにのみ前記係合解除抑制手段が作用するので、前記係合解除抑制手段の付勢力を強めに設定しても一方の押さえ板を開放しようとした際にそれを戻そうとする力が働ないため書類等を抜き差しする際の操作性を損なうことがないと同時に、前記付勢力を強めに設定することにより書類の保持力を増すことが可能である。
【0010】
より具体的には、前記係わり合い手段は、前記基板にヒンジ部を介して回動可能に取付けられた左右一対の起立板の各々に設けられた第一の係合要素と、前記一対の押さえ板に設けられた第二の係合要素とを含み、前記起立板を前記押さえ板に対し左右方向外側から当てることにより前記第一の係合要素と前記第二の係合要素とが互いに係合可能としたものであり、前記係合解除抑制手段は、前記押さえ板が前記ヒンジ部に近接したときに前記起立板を起立させる方向に付勢するものであれば、前記起立板を単に外側に倒すことにより前記押さえ板との係合を解除することができ、また起立板に操作部を設けることもできるので、さらなる操作性の向上が期待できる。
【0011】
さらには、前記ヒンジ部は前記基板と前記起立板に設けられた軸受に挿通された軸を中心に回動可能としたものであって、前記係合解除抑制手段は前記軸に巻回された第一の巻きばねと当該第一の巻きばねより突出する被押さえ片とからなっており、前記押さえ板を前記ヒンジ部に近接した際に前記被押さえ片に当接させることによって前記第一の巻きばねの付勢力が有効となり前記起立板を起立させる方向に付勢するものであれば、ヒンジ部と第一の巻きばねを同じ軸で保持することから、全体の構造をシンプルなものにすることができる。
【0012】
さらに前記第一の巻きばねの構造をシンプルにするには、前記被押さえ片は、前記第一の巻きばねの一部を前記押さえ板が当たる方向に延出したものとすればよい。
【0013】
一方、前記ヒンジ部がさらに、前記起立板を常に起立方向に付勢する係合促進手段をしていれば、前記起立板は常に押さえ板と係合する位置にあるので、使用者が押さえ板を基板に近接するだけでワンタッチで綴り具を綴じることができる。
【0014】
その際、前記係合促進手段が前記軸に巻回された第二の巻きばねであれば、ヒンジ部と第一の巻きばね、第二の巻きばねをすべて同じ軸で保持することから、全体の構造をシンプルなものにすることができる。
【0015】
さらに、前記第一の巻きばねと前記第二の巻きばねとが互いに隣接した状態で前記軸に巻き回されていれば、製造工程をより簡略化することが可能である。
【0016】
また、前記被押さえ片は、前記起立板が倒れた状態にあっても、前記押さえ板が前記ヒンジ部に近接した際に、前記押さえ板が当接するよう配置されていれば、押さえ板を基板に近接した際に押さえ板が被押さえ片を押し下げることによって起立板が自動的に起立するので、使用者が押さえ板を基板に近接するだけでワンタッチで綴り具を綴じることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る好適な実施の形態を、図面を参照しつつ詳述する。
【0018】
尚、本明細書において左右の方向に言及する場合、第1図の左下方向を左と定義する。
(第一実施例)
本実施例における書類綴り具Bは、第1図に示すように表表紙S1、裏表紙S2及び背表紙S3を有する表紙体Sの背表紙S3の内面側に止着片Pを用いて着脱可能に止着されるものである。
【0019】
書類綴り具Bは、基板1と、基板1の左右端部に回動可能に取り付けられた一対の起立板2と、前記一対の起立板2と各々係脱可能な一対の押さえ板3と、一方の押さえ板3aに連接される2本の綴じ杆4と、もう一方の押さえ板3bに連接される2本の綴じパイプ5とを大まかな構成要素とする。
【0020】
基板1は、概略縦長長方形の板であり、左右側縁部は垂直方向に若干起立し、さらにその上端部に軸受け11を断続的に設けている。なお、上下近傍にはそれぞれ左右一対の方形孔12が、さらに上下端縁にはそれぞれ左右一対の凹状切欠き13が設けられているが、これらは止着片Pを嵌め込み基板1を背表紙S3に止着するためのものである。
【0021】
一対の起立板2は概略長方形の板状片であり、長辺の一端縁である基端部には断続的に設けられた軸受け21と、切り欠き孔22と、斜め下方に延びるストッパ23とを有しており、また自由端側コーナー部には補強のためのフランジ部25を形成し、自由端側の中央部には着脱操作時の指あたりをよくするための操作部26を折り返しによって設けている。さらに自由端側コーナー部近傍には、丸穴である係合孔27が形成されている。
【0022】
起立板2に設けた軸受け21と基板1に設けた軸受け11とは、共に軸Aが貫通することによってヒンジ部hを形成しており、起立板2は基板1に対しこのヒンジ部hを介してそれぞれ回動可能に取り付けられている。
【0023】
ヒンジ部hはさらに、以下の2種類の軸Aに巻き回された巻きばねを有する。
【0024】
第一の巻きばねS1は中央部に空隙S11と舌片状の突出部S12を有するもので、両端部S13はともに起立板2の外面側で固着されている。突出部S12は、起立板2が起立した状態でヒンジ部hから基板1の中心方向に押下可能な状態に延出している。
【0025】
第二の巻きばねS2は一方の端部を起立板2の外面側で固着し、もう一方の端部を基板1の側端部に当接することによって、起立板2が基板1に対し常時起立状態になる方向に付勢している。第二の巻きばねS2によって付勢される強度は、起立板2に負荷を加えない状態で起立板2が水平状態から起立状態に回動する程度に設定されている。
【0026】
第二の巻きばねS2は、第一の巻きばねS1の空隙S11に位置し、ヒンジ部hの中央で軸Aに巻き回されている。
【0027】
かくして起立板2は、無負荷の状態では第二の巻きばねS2の付勢力により基板1に対し起立しており、さらにストッパ23が基板1に当接することによりさらに内側に倒れ込むのを防ぎ、略垂直に起立した状態を保っている。尚、この状態では第一の巻きばねS1は作用していない。
【0028】
一対の押さえ板3は、起立板2と近似の寸法を有する概略長方形の板状片であり、長辺の一端縁である基端部には、起立板2に取付けた状態で基板1の中心方向斜め下方に延びる内側支持脚31と、内側支持脚31とは反対方向斜め下方に伸びる外側支持脚32と、中央部に下向きに突出する押さえ片33とを備えている。また自由端側の中央部には凹部34が形成され、自由端側コーナー部近傍には円柱形の係合突起35が設けられおり、さらには前記基端部側を除く3辺にはフランジ部36が形成されている。
【0029】
押さえ板3が起立板2と係合した状態においては、係合突起35は起立板2の係合孔27と係合し、起立板2はフランジ部32の内側に概略ぴったりとはまり込み、自由端側の中央部に設けた凹部34から起立板2の操作部26が露出する。この時、内側支持脚31と外側支持脚32は互いにヒンジ部hの軸Aをまたぐ格好に位置し、起立板2と押さえ板3が一体となって軸Aを支点に回動する。
【0030】
またこの状態においては、押さえ片33が第一の巻きばねS1に設けた突出部S12を押し下げており、これにより生じた付勢力が係合突起35と起立板2の係合孔27との係合に横向きの押圧力を付与し、係合時のがたつきを無くしているのと同時に、第一の巻きばねS1の付勢力が押さえ板3に起立板2を押しつけている。
【0031】
尚注意すべきは、この状態においても第一の巻きばねS1の付勢力はあくまで押さえ板3と起立板2との係合具合にのみ作用するものであることである。従って、この状態においても起立板2が基板1に対し起立方向に回動しようとする付勢力は第二の巻きばねS2によるもののみである。
【0032】
2本の綴じ杆4は円柱形のロッドであって、押さえ板3を起立板2に係合した状態で起立板2が接する面と反対側、すなわち内側に直立する状態で固着されている。
【0033】
2本の綴じパイプ5は綴じ杆4を内部に挿通可能な程度の内径を有する円筒であって、こちらも綴じ杆4と同じく、押さえ板3を起立板2に係合した状態で起立板2が接する面と反対側、すなわち内側に直立する状態で固着されている。尚、綴じパイプ5の自由端側小口51は、綴じ杆4を容易に挿入することができるように斜めにカットすることによって断面を大きくしている。
【0034】
上記の構成よりなる書類綴り具Bを閉止した状態では、一対の押さえ板3がそれぞれ起立板に装着され、さらに綴じ杆4は綴じパイプ5に挿通されている。
【0035】
上記の構成において、第一の巻きばねS1は起立板2を押さえ板3に押しつけて両者の係合が解除されるのを抑制しようとする係合解除抑制手段として、また第二の巻きばねS2は起立板を常に起立方向に付勢する係合促進手段として、それぞれ機能する。
【0036】
次に、このような書類綴り具Bを開閉する際の動作について説明する。
【0037】
使用者が書類等の抜き差しをするためにこの書類綴り具Bを開こうとする場合、まず左右いずれか任意の操作部26を指で外側に押し広げる。すると、押さえ板3と起立板2とが自由端側で離間し、押さえ板の係合突起35と起立板2の係合孔27との係合状態が解除されるとともに、押さえ板3の押さえ片33が第一の巻きばねS1に設けた突出部S12を押さえつけていた状態が失われるので、押さえ板3が起立板2よりも若干上に持ち上がる。
【0038】
次に、起立板2との係合が解除された押さえ板3を持ち上げる。綴じ杆4及び綴じパイプ5が基板1に対し垂直になるほどに持ち上げると、重心が基板1の外側に移動し、もはや勝手に元に戻ってしまうことはない。
【0039】
そうしておいて、係合を解除した側の押さえ板3を上方に引き、綴じ杆4を綴じパイプ5から抜き出せば、書類の抜き差しが可能となる。
【0040】
尚、この状態において、左右反対側の第二の巻きばねS2の付勢力が左右反対側の起立板2を起立させようとする方向、すなわち持ち上げた押さえ板を元に戻そうとする方向に働いてはいるが、前述の通り、第二の巻きばねS2によって付勢される強度は起立板2に負荷を加えない状態で起立板2が水平状態から起立状態に回動する程度に設定されているので、起立板2に押さえ板3が係合し、さらに綴綴じ杆4、綴じパイプ5、左右反対側の押さえ板3、そしてさらには収容した書類等の負荷が加わった状態では、第二の巻きばねS2の付勢力はそれらの重みに負けてしまっているため、押さえ板3を持ち上げた状態を戻す力が働くことによって使用者が書類等の抜き差しする操作を阻害してしまうことはない。
【0041】
一方、使用者がこの書類綴り具Bを閉止しようとする場合は、上記の動作と逆に操作すればよい。すなわち、まず綴綴じ杆4を対応する綴じパイプ5に挿通し、次に上方に位置する側の押さえ板3を下方に位置するヒンジ部hを中心に回動させつつ下に降ろして押さえ板3の押さえ片33を第一の巻きばねS1に設けた突出部S12に乗せる(図5〜図6参照)。
【0042】
この状態で、押さえ片33の上部を指で押してやれば、巻きばねS1の突出部S12は下方にたわみ、押さえ片33はさらに下方に移動する。すると、第二の巻きばねS2の付勢力によってすでに押さえ板3に当接している起立板2の係合孔27と押さえ板3の係合突起35とが係合する。この状態で指を離せば第一の巻きばねS1の付勢力により、起立板2は押さえ板3に押しつけられ、また押さえ板3が上方に押し上げられるために起立板2の係合孔27と押さえ板3の係合突起35との係合は摩擦力が増すので、起立板2と押さえ板3とは強固に係合し、閉止の操作が完了する(図7の状態)。
(第二実施例)
本発明に係る他の実施の形態として、上記第一実施例における第二の巻きばねS2を省略したものが挙げられる。
【0043】
第二の巻きばねS2を省略する場合、第一の巻きばねS1に設けた突出部S12を斜め下方に延出し、起立板2が略水平状態にあっても対応する押さえ板3の押さえ片33に当接可能に設定する。
【0044】
その他の構成は第一実施例と同一であるから、説明を省略する。
【0045】
次に、このような書類綴り具Bを開閉する際の動作について、図4、図8、図9を参照しながら説明する。
【0046】
使用者が書類等の抜き差しをするためにこの書類綴り具Bを開こうとする場合、まず左右いずれか任意の操作部26を指で外側に押し広げる。すると、押さえ板3と起立板2とが自由端側で離間し、押さえ板の係合突起35と起立板2の係合孔27との係合状態が解除されるとともに、押さえ板3の押さえ片33が第一の巻きばねS1に設けた突出部S12を押さえつけていた状態が失われるので、押さえ板3が起立板2よりも若干上に持ち上がる。その状態で指を離せば、起立板2はそのまま略水平状態に倒れる(図8参照)。あとは第一実施例と同様に起立板2との係合が解除された押さえ板3を持ち上げ、綴じ杆4を綴じパイプ5から抜き出せば、書類の抜き差しが可能となる。
【0047】
一方、使用者がこの書類綴り具Bを閉止しようとする場合は、まず第一実施例と同じく、綴綴じ杆4を対応する綴じパイプ5に挿通し、次に上方に位置する側の押さえ板3を下方に位置するヒンジ部hを中心に回動させつつ下に降ろす。
【0048】
この状態では起立板2は略水平状態に倒れたままになっているが、第一の巻きばねS1の突出部S12の先端側は押さえ板3の回動動作の軌跡の延長線上にある。従って、押さえ板3を下方に位置するヒンジ部hを中心に回動させつつ下に降ろせば押さえ板3の押さえ片33が第一の巻きばねS1に設けた突出部S12に乗る。
【0049】
さらに押さえ片3を下方に移動すると、第一の巻きばねS1の突出部S12が下方に押されることにより、第一の巻きばねS1は軸Aを中心に回動し、両端部S13を介して起立板2を起立する方向に押しやる。すると起立板2はヒンジ部を支点として押さえ板3と当接するところまで回動起立する(図9参照)。
【0050】
この状態で、押さえ板3の上部を指で押してやれば、巻きばねS1の突出部S12は下方にたわみ押さえ片33がさらに下方に移動する。すると、すでに押さえ板3に当接している起立板2の係合孔27と押さえ板3の係合突起35とが係合する。この状態で指を離せば第一の巻きばねS1の付勢力により、起立板2は押さえ板3に押しつけられ、また押さえ板3が上方に押し上げられるために起立板2の係合孔27と押さえ板3の係合突起35との係合は摩擦力が増すので、起立板2と押さえ板3とは強固に係合し、閉止の操作が完了する。
【0051】
以上の通り本発明に係る実施の形態を2例詳述したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
【0052】
例えば、上記実施例においては綴綴じ杆と綴じパイプとを各2本固着しているが、その本数は問わない。市場にはすでに4穴の書類綴り具やさらには26穴や30穴のバインダーが存在しているが、本発明はそれらのいずれにも適用可能である。
【0053】
また、上記実施例においては起立板と押さえ板はそれぞれ板状部材からなっており、全体がほぼぴったりと重なり合う形状をしているが、押さえ板と起立板が係合可能であってそれらを係合した状態で基板に対し回動可能であればよく、例えば起立板に相当するものが基板に対し起伏可能に設けられた棒状のものであって、それが押さえ板と係合するようにしたものであっても足りる。
【0054】
第一の巻きばねは、中間に空隙を設ける必要は必ずしもない。第二の巻きばねと隣りあわせて軸に巻き回しても、同様の効果は得られる。
【0055】
さらには、第一の巻きばねに設けた突出部は、ばねの一端を延出したものであってもよい。その場合、延出した先端部に樹脂等からなる押さえ板の受け部を設ければ、動作の確実性が増す。
【0056】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の変形、応用が可能である。
【0057】
【発明の効果】
本発明の書類綴り具によれば、前記押さえ板が前記基板に近接した時、すなわち前記基板に前記押さえ板を取付けようとしたときにのみ前記係合解除抑制手段が作用するので、前記係合解除抑制手段の付勢力を強めに設定しても一方の押さえ板を開放しようとした際にそれを戻そうとする力が働ないため、本綴り具を開放状態にし書類等を抜き差しする際の操作性を損なうことがないと同時に、前記付勢力を強めに設定することにより、本綴り具を閉止状態にしたときには書類の保持力を増すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る書類綴り具をファイル表紙に装着した状態の斜視図。
【図2】本発明の第一実施例を示す斜視図。
【図3】同実施例の概略分解斜視図。
【図4】同実施例におけるヒンジ部の構造を説明する分解斜視図。
【図5】同実施例の開放状態における断面図。
【図6】同実施例の半開放状態における断面図。
【図7】同実施例の閉止状態における断面図。
【図8】本発明の第二実施例の開放状態における断面図。
【図9】同実施例の半開放状態における断面図。
【符号の説明】
B・・・書類綴り具
1・・・基板
2・・・起立板
26・・・操作部
27・・・係合孔(第一又は第二の係合要素)
3・・・押さえ板
33・・・押さえ片
35・・・係合突起(第二又は第一の係合要素)
4・・・綴じ杆
5・・・綴じパイプ
A・・・軸
h・・・ヒンジ部
S1・・・第一の巻きばね(係合解除抑制手段)
S12・・・突出部(被押さえ片)
S2・・・第二の巻きばね(係合促進手段)

Claims (4)

  1. 基板と、所定の係わり合い手段を用いて基板に対し回動可能かつ着脱可能に取付けられる左右一対の押さえ板と、前記一対の押さえ板の一方より連設される1又は複数の綴じ杆と、前記一対の押さえ板の他方より連設される前記綴じ杆の本数に対応する綴じパイプとを具備し、前記綴じ杆を前記綴じパイプ内に挿通することにより前記一対の押さえ板の間に穿孔された書類等を収容可能である一方、左右いずれかの押さえ板と基板との係わり合い手段を解除することによって書類等の抜き差しを可能としたものであって、前記係わり合い手段は、前記押さえ板が前記基板に近接した時に係わり合いの度合を強める方向に付勢する係合解除抑制手段を備えており、かつ前記係合解除抑制手段は、前記基板と押さえ板とが前記係わり合い手段によって取付けられた状態において回動の動作に影響を与えないものであり、
    前記係わり合い手段は、前記基板にヒンジ部を介して回動可能に取付けられた左右一対の起立板の各々に設けられた第一の係合要素と、前記一対の押さえ板に設けられた第二の係合要素とを含み、前記起立板を前記押さえ板に対し左右方向外側から当てることにより前記第一の係合要素と前記第二の係合要素とが互いに係合可能としたものであり、前記係合解除抑制手段は、前記押さえ板が前記ヒンジ部に近接したときに前記起立板を起立させる方向に付勢するものであり、
    前記ヒンジ部は前記基板と前記起立板に設けられた軸受に挿通された軸を中心に回動可能としたものであって、前記係合解除抑制手段は前記軸に巻回された第一の巻きばねと当該第一の巻きばねより突出する被押さえ片とからなっており、前記押さえ板を前記ヒンジ部に近接した際に前記被押さえ片に当接させることによって前記第一の巻きばねの付勢力が有効となり前記起立板を起立させる方向に付勢するものであり、
    前記ヒンジ部はさらに、前記起立板を常に起立方向に付勢する係合促進手段を有し、
    前記係合促進手段は前記軸に巻回された第二の巻きばねであることを特徴とする書類綴り具。
  2. 前記被押さえ片は、前記第一の巻きばねの一部を前記押さえ板が当たる方向に延出したものであることを特徴とする、請求項1に記載の書類綴り具。
  3. 前記第一の巻きばねと前記第二の巻きばねとは、互いに隣接した状態で前記軸に巻き回されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の書類綴り具。
  4. 前記被押さえ片は、前記起立板が倒れた状態にあっても、前記押さえ板が前記ヒンジ部に近接した際に前記押さえ板が当接するよう配置されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の書類綴り具。
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