JP4311117B2 - スイッチング電源装置 - Google Patents
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Description
電流共振形コンバータにおけるスイッチング駆動では、2組のスイッチング素子が交互にオン/オフするようにされるとともに、両者がオフ期間となる、いわゆるデッドタイムを形成するようにしている。上記のようにして、1組のスイッチング素子に対してのみ部分共振コンデンサを並列に接続すると、上記デッドタイムとしての期間において、部分共振コンデンサからの放電電流が直流入力電圧に流入しないようにされ、共振動作がより安定したものとなる。
また、スイッチング素子Q1に対しては、ボディダイオードD1がいわゆる逆並列に接続される。同様にして、スイッチング素子Q2に対しては、ボディダイオードD2が逆並列に接続される。
なお、ハイサイド側のスイッチング素子Q1に対しては、部分共振コンデンサは接続されていないが、周知のように、スイッチング素子Q1,Q2の両者に対して部分電圧共振コンデンサを並列に接続したとしても、同様にして部分共振動作は得られるものである。
発振器10は、所要の周波数による発振信号を発生させ、駆動回路11に出力する。駆動回路11は、入力された発振信号を利用して、スイッチング素子Q1,Q2をスイッチング駆動するためのドライブ信号SG1,SG2を生成する。このドライブ信号SG1,SG2の周波数は、入力された発振信号に対応したものとなる。また、ドライブ信号SG1,SG2は、互いに180°の位相差を有する。
これにより、スイッチング素子Q1,Q2は、発振回路11にて生成される発振信号周波数に応じたスイッチング周波数により、交互にオン/オフするタイミングでスイッチング動作を行うことになる。
また、実際には、スイッチング素子Q1,Q2がターンオン又はターンオフする短時間のタイミングで、スイッチング素子Q1,Q2が共にオフとなるデッドタイム期間が形成されるように、ドライブ信号SG1,SG2の波形が形成されている。部分電圧共振動作としての部分電圧共振コンデンサCpに対する充放電は、このデッドタイム期間に行われる。
また、スイッチング駆動/制御回路1においては誤差増幅器12とフォトカプラ14が設けられているが、これについては後述する。
トランスT1の一次巻線Npの巻始め端部は、スイッチング素子Q1,Q2の接続点と接続され、巻終わり端部は、一次側直列共振コンデンサC1の直列接続を介して、直流入力電圧Vinの負極と接続される。また、この場合のトランスT1は、所定の結合係数による疎結合の状態が得られるようになっていることで、漏洩インダクタンスを生じるようにされている。そこで、この図では、トランスT1の一次側に得られる漏洩インダクタンスLrと、励磁インダクタンスLpを等価的に示している。漏洩インダクタンスLrは、一次巻線Npとスイッチング素子Q1,Q2の接続点との間に直列に接続されるものとしてみることができる。また、励磁インダクタンスLpは、一次巻線Npと並列に接続されるものとしてみることができる。
この二次側両波整流回路によっては、二次巻線Ns1,Ns2に励起された交番電圧を整流平滑化して、平滑コンデンサCoの両端電圧として、二次側直流電圧を生成する。この二次側直流電圧が、図示するようにして負荷に供給される。
誤差増幅器12では、上記二次側直流電圧のレベルと、所定レベルの基準電圧Vrefとを比較して、その誤差に応じてレベルが可変となる誤差増幅信号をフォトカプラ14を介して発振器10に出力する。フォトカプラ14は、一次側に在るとされる発振器10に対して、二次側から誤差増幅信号をフィードバックさせるのにあたって、一次側と二次側とを直流的に絶縁するために設けられる。また、抵抗R1は、誤差増幅信号に応じて、フォトカプラ14のフォトダイオードに流すべき電流を調整するために挿入される。
この場合の安定化制御としては、二次側直流電圧のレベルが低下したときには、スイッチング周波数を低くするように制御する。これにより、二次側へのエネルギー伝送量が増加して二次側直流電圧が上昇する。また、二次側直流電圧のレベルが上昇したときには、スイッチング周波数を高くするように制御して、これにより二次側へのエネルギー伝送量を減少させて、二次側直流電圧を低下させるようにしている。
駆動回路11からスイッチング素子Q1,Q2の各ゲートに対して出力されるドライブ信号SG1,SG2により、スイッチング素子Q1,Q2の各ゲート−ソース間には、図9(a)(b)に示すゲートソース間電圧Vgs(Q1),Vgs(Q2)が生じる。ドライブ信号SG1,SG2の実際の波形は、これらゲートソース間電圧Vgs(Q1),Vgs(Q2)に対応する。
ゲートソース間電圧Vgs(Q1),Vgs(Q2)の各々について、正極性のパルスが立ち上がっている期間が、スイッチング素子をオンとするオン期間であり、0レベルとなる期間がスイッチング素子をオフとするオフ期間である。
これらゲートソース間電圧Vgs(Q1),Vgs(Q2)の波形から分かるように、スイッチング素子Q1,Q2は、交互にオン/オフするタイミングでスイッチングを行う。また、スイッチング素子Q1,Q2がターンオン/ターンオフする際において、スイッチング素子Q1,Q2が共にオフとなるデッドタイムといわれる短時間の期間が形成されていることも分かる。
また、図9(c)は、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間電圧Vds(Q1)を示す。ここでは図示していないが、スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間電圧とは、180°の位相差を有する。
ここで、図9(d)に示されるように、スイッチング素子Q1のターンオン時には、先ず、ボディダイオードD1(アノード→カソード)を介して、負極性によるスイッチング電流Id1が流れる。このボディダイオードD1を流れるスイッチング電流Id1は、スイッチング素子Q1のターンオン直前まで、部分電圧共振コンデンサCpに充電するようにして流れていた電流が転移して流れたものとしてみることができる。そこで本明細書では、ボディダイオードに流れる電流を転流電流ということにする。そして、この負極性のスイッチング電流Id1が反転して、正極性によりスイッチング素子Q1(ドレイン−ソース)に流れた後に、スイッチング素子Q1はターンオフする。
このターンオフ直後の期間(デッドタイム期間Td)においては、部分電圧共振コンデンサCpにおいて部分電圧共振動作が生じる期間が得られ、この期間において、部分電圧共振コンデンサCpに部分電圧共振電流が流れて放電が行われる。
この転流電流は、反転して正極性によりスイッチング素子Q2(ドレイン→ソース)を流れた後にターンオフする。そして、このスイッチング素子Q2のターンオフ時(デッドタイム期間Td)においても、部分電圧共振コンデンサCpにおいて部分電圧共振動作が生じる期間が得られ、この期間においては、部分電圧共振コンデンサCpに部分電圧共振電流としての充電電流が流れる。
この一次側直列共振電流ILP+INPは、図9(d)(e)に示すスイッチング電流Id1,Id2と、図9においては図示されていないが、上記のようにしてスイッチング素子Q1,Q2のターンオフ時(デッドタイム期間Td)において部分電圧共振コンデンサCpに流れる充放電電流(部分共振電流)とが合成されたものとなる。
この鋸歯状波形の両端電圧V1は、後述するようにして、レベルの上昇期間Tupが可変で、下降期間Tdnが固定となる。
また、時定数コンデンサ27の両端電圧V1は、コンパレータ35にも入力される。コンパレータ35は、時定数コンデンサ27の両端電圧V1が、下限閾値のレベルとなるときに、図11(c)に示すようにして、検出信号S2を出力するように動作する。検出信号S2は、RSフリップフロップ36のリセット(R)入力となる。
トランジスタ29は、ベースに入力される非反転出力信号S3がHレベルの期間に対応してオンとなることで、抵抗28を介して、時定数コンデンサ27の充電電荷を放電させる放電モードに移行する。これにより、時定数コンデンサ27の両端電圧V1は、上限閾値レベルから下降していくことになる。つまり、下降期間Tdnを形成する。そして、非反転出力信号S3がHレベルからLレベルに変化すると、トランジスタ29はオフとなるので、前述した差動回路による時定数コンデンサ27に対する充電が有効となる、充電モードに移行する。
このような動作により、時定数コンデンサ27の両端電圧V1は、図11(a)に示すようにして、鋸歯状波となるものである。
この反転出力信号S4は、スイッチング素子Q1,Q2をスイッチング駆動するためのドライブ信号SG1,SG2を生成する源信号として、駆動回路11に入力される。
このような駆動回路11の回路構成では、ANDゲート38及びANDゲート39の出力であるドライブ信号SG1,SG2は、それぞれ、例えば図11(f)(g)に示すものとなる。ドライブ信号SG1は、[上昇期間Tup(Hレベル)−下降期間Tdn(Lレベル)−上昇期間Tup(Lレベル)−下降期間Tdn(Lレベル)]から成る周期の繰り返しによる波形となる。ドライブ信号SG2は、ドライブ信号SG1に対して、180°の位相差を有した波形となる。
このようにしてスイッチング周波数が可変制御されることで前述もしたように、二次側直流電圧が安定化されることになる。
先ず、図8に示す電源装置が起動された直後においては、二次側直流電圧は規定レベルに上昇する過渡期にあるので、誤差増幅器12による二次側直流電圧の正常なレベル検出動作は得られず、このために、例えばフォトカプラ14のフォトトランジスタも導通していない状態にある。
また、電源装置の起動後においては、図10に示す直流電圧Vccのラインに電流源41が発生し、この電流源41の電流によりコンデンサ42への充電が開始されることになるが、起動直後においては、コンデンサ42における充電電荷はほぼ0であり、非反転入力はほぼアース電位となっているから、オペアンプ43からは負極性の出力が生じ、これに応じて、差動回路のトランジスタ23,25のベースから、ダイオード44を介して、オペアンプ43に電流が流れることになる。つまり、差動回路のトランジスタ23,25のベース電流が流れる。このようにしてベース電流が流れることで、差動回路による時定数コンデンサ27への充電も行われることになるが、このときのベース電流レベルに応じた充電電流量は、ほぼ最短の上昇期間Tupが得られる程度に増加されたものとなっている。つまり、電源起動直後においては、スイッチング周波数をほぼ上限にまで強制的に上昇させる動作が得られることになる。
前述したように、スイッチング周波数が高くなるのに応じて二次側直流出力電圧を低下させる傾向で制御することになる。従って、上記したように、起動時においてスイッチング周波数を強制的に高くすることによっては、二次側直流出力電圧レベルを強制的に低下させる動作が得られることになる。つまり、電源起動時における二次側直流電圧の急峻なレベル上昇を抑制する、いわゆるソフトスタート動作が得られるものである。
そして、例えば、コンデンサ42の電位が所定以上となって、オペアンプ43に電流が流入しなくなると、スイッチング周波数の強制的な引き上げ制御は以降停止することになる。つまりソフトスタート動作が終了される。そして、ソフトスタート動作が終了した時点では、二次側直流出力電圧は、ほぼ定常に近いレベルにまで引き上げられており、以降においては、誤差増幅器12による通常の定電圧制御に移行することになる。
スイッチング動作に応じた電流の流れをこのようなものとしていることで、例えばスイッチング素子などについてストレスが生じないようにされている。
このような動作モードは、定電圧制御のための応答が何らかの原因によって急激に変化して、スイッチング周波数も急激に変化したような場合に発生しやすい。また、図8に示した電源装置では、図10に示したように、ソフトスタート回路40を備えているが、電源起動時においてソフトスタート回路40が動作することで、スイッチング周波数を強制的に上昇させている状態のときにも発生しやすい。
このような状態では、ボディダイオードには、逆方向電圧が印加されることになる。このため、ボディダイオードのカソードからアノードの方向に、直流入力電圧Vinから他方サイドのスイッチング素子(MOS−FET)を介して、内部の残留キャリアに起因した逆回復電流が流れる。このようにして流れる逆回復電流は、貫通電流ともいわれる。
この図では、時点t1においてスイッチング素子Q2がターンオンしていることで、時点t1以降において、負極性のスイッチング電流Id2が流れている。つまり、ボディダイオードD2のアノード→カソードを介して一次側直列共振電流が流れている。そして、時点t1から或る時間を経過した時点t2において、ボディダイオードD2に一次側直列共振電流が流れている状態で、他方サイドのスイッチング素子Q1がオンとなっている。これにより、上記したようにして、スイッチング素子Q1に過大レベルの貫通電流が流れている。
貫通電流が流れる動作モードとなった場合において、ボディダイオードの逆回復電流のdi/dtが大きいと、スイッチング素子であるMOS−FETの内部構造上、寄生的に形成されるサイリスタがオン状態となって、上記図12の時点t2に示すようにして、貫通電流レベルは過大なものとなる。このようにして、貫通電流レベルが過大となった場合、許容以上の電流ストレスがかかることもあるので好ましくない。
つまり、第1の転流用ダイオード素子を逆並列接続した第1のスイッチング素子と、第2の転流用ダイオード素子を逆並列接続した第2のスイッチング素子とを直列接続して形成されるスイッチング回路を少なくとも1組備えて形成され、直流入力電圧の両端間に対して接続されるスイッチング手段と、上記第1のスイッチング素子、及び上記第2のスイッチング素子をスイッチング駆動するための駆動信号についての源信号を生成して出力する発振器手段と、上記源信号を入力して上記駆動信号を生成する駆動回路手段と、一次巻線と二次巻線とを備え、上記一次巻線に得られる上記スイッチング回路のスイッチング出力により、二次巻線に交番電圧が励起されるトランスと、上記一次巻線の漏洩インダクタンス成分と、自己のキャパシタンスとにより、共振形のスイッチング動作を得るための共振回路を形成する共振コンデンサと、上記二次巻線に励起された交番電圧を入力して整流平滑動作を行うことで二次側直流電圧を生成する二次側直流電圧生成手段と、上記スイッチング回路のスイッチング動作に応じて流れる電流と、上記駆動信号とを入力して、上記第1のスイッチング素子が上記駆動信号によりオンとされている状態で上記第1の転流用ダイオード素子に転流電流が流れていない期間と、上記第2のスイッチング素子が上記駆動信号によりオンとされている状態で上記第2の転流用ダイオード素子に転流電流が流れていない期間とにおいてHレベルとなる期間信号を出力する電流状態検出手段とを備え、上記発振器手段は、スイッチング周波数に応じて変化する期間により下限閾値から上限閾値まで増加し、固定とされる期間により上限閾値から下限閾値まで減少するレベル変化を繰り返す鋸歯状波を生成し、上記鋸歯状波が上記上限閾値のレベルのときにHレベルとなる上限閾値検出信号と、この鋸歯状波が上記下限閾値のレベルのときにHレベルとなる下限閾値検出信号とを生成し、ANDゲートにより、上記上限閾値検出信号と上記期間信号との論理積の信号を出力し、RSフリップフロップにより、上記論理積の信号をセット入力とし、上記下限閾値検出信号をリセット入力として、デットタイム期間においてHレベルとなる非反転信号と、その反転信号とを出力し、さらに、本電源装置が起動するときに応じて、上記鋸歯状波が増加する期間を短くさせるように動作するソフトスタート回路を備え、上記駆動回路手段は、上記RSフリップフロップの反転信号を上記源信号として入力して、デッドタイム期間以外の期間において上記第1のスイッチング素子、及び上記第2のスイッチング素子を交互にオン/オフさせる駆動信号を生成することとした。
そのうえで、転流用ダイオード素子にスイッチング電流が流れる状態にあることを検出したことに基づいて、スイッチング素子がターンオンする動作と、ターンオフする動作が生じないように制御される。
このような構成により、例えば第1のスイッチング素子側の転流用ダイオード素子に転流電流が流れている途中で、この第1のスイッチング素子がターンオフし、また、第2のスイッチング素子がターンオンするという状態には遷移することがないようにされる。
これにより、例えば、スイッチング周波数が急峻に変動したような状態になったとしても、転流用ダイオード素子に転流電流が流れている途中で、スイッチング素子がターンオン/ターンオフして貫通電流が流れてしまうことを回避することができる。つまり、スイッチング素子のスイッチング動作を適正に保って、回路を保護することが可能となり、電源装置としての信頼性が向上される。
この図に示すスイッチング電源装置においては、一次側に2本のスイッチング素子Q1,Q2が備えられる。この場合には、スイッチング素子Q1,Q2にはMOS−FETが選定されている。
この場合には、スイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインとを接続していることで、スイッチング素子Q1がハイサイドで、スイッチング素子Q2がローサイドとなる関係により、これらスイッチング素子を直列接続している。
また、スイッチング素子Q1のドレイン−ソースに対しては、ボディダイオードD1が並列に接続される。ボディダイオードD1のアノード、カソードは、それぞれ、スイッチング素子Q1のドレイン、ソースに対して接続される。ここで、スイッチング素子Q1のドレイン→ソースの順方向と、ボディダイオードD1のアノード→カソードの順方向は、相互に逆向きとなっている。つまり、ボディダイオードD1は、スイッチング素子Q1に対して逆並列接続されている。
どうようにして、スイッチング素子Q2に対しても、ボディダイオードD2が逆並列接続される。
このようにして、それぞれボディダイオードD1,D2が逆並列接続されたスイッチング素子Q1,Q2を直列接続して形成される回路が、ハーフブリッジ結合方式によるスイッチング回路となる。
また、ドライブ信号SG1,SG2は、互いに180°の位相差を有したうえで、スイッチング素子Q1,Q2がターンオン又はターンオフする短時間のタイミングで、スイッチング素子Q1,Q2が共にオフとなるデッドタイム期間を形成するような波形ともされている。
これにより、スイッチング素子Q1,Q2は、発振回路11にて生成される発振信号周波数に応じたスイッチング周波数により、交互にオン/オフするタイミングでスイッチング動作を行うように駆動される。また、スイッチング動作として、スイッチング素子Q1,Q2のターンオン、ターンオフ時に対応してスイッチング素子Q1,Q2が共にオフとなるデッドタイム期間が得られるようにも駆動される。前述した部分電圧共振動作である部分電圧共振コンデンサCpに対する充放電は、このデッドタイム期間に行われる。
なお、スイッチング駆動/制御回路1内の誤差増幅器12とフォトカプラ14については後述する。
トランスT1の一次巻線Npの巻始め端部は、スイッチング素子Q1,Q2のソース,ドレインの接続点(スイッチング出力点)と接続され、巻終わり端部は、一次側直列共振コンデンサC1の直列接続を介して、直流入力電圧Vinの負極と接続される。また、この場合のトランスT1は、所定の結合係数による疎結合の状態が得られるようになっており、結合係数に応じた漏洩インダクタンスを生じる。
この図では、トランスT1の一次側に得られる漏洩インダクタンスLrと、励磁インダクタンスLpを等価的に示している。漏洩インダクタンスLrは、一次巻線Npとスイッチング素子Q1,Q2の接続点との間に直列に接続されるものとして示される。また、励磁インダクタンスLpは、一次巻線Npと並列に接続されるものとして示される。
なお、トランスT1については密結合で構成した上で、漏洩インダクタンスLrに相当するチョークコイルを挿入するようにして構成しても、上記と同様に電流共振形とするための一次側直列共振回路を形成することができる。
電流状態検出回路52は、例えば後述する構成を採ることで、スイッチング回路(Q1,D1,Q2,D2)に流れるとされるスイッチング電流(Id1,Id2)の電流方向として、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2のいずれかにおいて正方向(ドレイン→ソース)の方向に電流が流れている状態にあるか否かについて検出するように動作する。
この二次側両波整流回路によっては、二次巻線Ns1,Ns2に励起された交番電圧を整流平滑化して、平滑コンデンサCoの両端電圧として、二次側直流電圧を生成する。この二次側直流電圧が、図示するようにして負荷に供給される。
誤差増幅器12では、上記二次側直流電圧のレベルと、所定レベルの基準電圧Vrefとを比較して、その誤差に応じてレベルが可変となる誤差増幅信号をフォトカプラ14を介して発振器10に出力する。フォトカプラ14は、一次側に在るとされる発振器10に対して、二次側から誤差増幅信号をフィードバックさせるのにあたって、一次側と二次側とを直流的に絶縁するために設けられる。また、抵抗R1は、誤差増幅信号に応じて、フォトカプラ14のフォトダイオードに流すべき電流を調整するために挿入される。
つまり、負荷電流が増加して二次側直流電圧のレベルが低下したときには、スイッチング周波数を低くするように制御する。これにより二次側へのエネルギー伝送量が増加して二次側直流電圧が上昇するようにして制御される。
逆に、負荷電流が減少して二次側直流電圧のレベルが上昇したときには、スイッチング周波数を高くするように制御して、これにより二次側へのエネルギー伝送量を減少させて、二次側直流電圧を低下させる。このようにして、スイッチング周波数の可変制御により二次側直流電圧の安定化が図られることとなる。
つまり、スイッチング素子Q1,Q2の各ゲート−ソース間には、図9(a)(b)に示すゲートソース間電圧Vgs(Q1),Vgs(Q2)が生じており、これらの波形は、駆動回路11からスイッチング素子Q1,Q2の各ゲートに対して印加されるドライブ信号SG1,SG2の波形に対応する。つまり、ゲートソース間電圧Vgs(Q1),Vgs(Q2)の各々について、正極性のパルスが立ち上がっている期間が、スイッチング素子がオンとなるオン期間となり、0レベルの期間がスイッチング素子がオフとなるオフ期間となる。
これらゲートソース間電圧Vgs(Q1),Vgs(Q2)の波形から分かるように、スイッチング素子Q1,Q2は、交互にオン/オフするタイミングでスイッチングを行う。また、スイッチング素子Q1,Q2がターンオン/ターンオフする際において、スイッチング素子Q1,Q2が共にオフとなるデッドタイム期間(Td)といわれる短時間の期間を形成するようにしてスイッチング動作を行っていることも分かる。
また、このようにしてスイッチングを行うスイッチング素子Q1,Q2のうち、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間電圧Vds(Q1)は、図9(c)に示すように、オンとなる期間においては0レベルで、オフとなる期間においては一定レベルでクランプされ、デッドタイムにおいてレベル遷移する波形となる。なお、スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間電圧とは、180°の位相差を有する。
図9(d)に示されるように、スイッチング電流Id1は、先ず、スイッチング素子Q1のターンオン時において、一次側直列共振コンデンサCr→励磁インダクタンスLp→漏洩インダクタンスLrからボディダイオードD1を介して、負極性の方向で流れる。このボディダイオードD1の順方向(アノード→カソード)を流れる期間のスイッチング電流Id1は、MOS−FETのスイッチング素子のドレイン→ソース方向である正方向に対しては逆方向に流れる電流であり、波形的には負極性となる。そして、この負極性によりボディダイオードD1に流れるスイッチング電流は、スイッチング素子Q1がターンオンする直前まで、部分電圧共振コンデンサCpに充電するようにして流れていた電流が転移して流れたものとしてみることができる。つまり、スイッチング電流としては、転流電流である。
このスイッチング素子Q1のターンオフ直後の期間(デッドタイム期間Td)においては、部分電圧共振コンデンサCpにおいて部分電圧共振動作が生じる期間が得られる。つまり、この期間において、漏洩インダクタンスLr→励磁インダクタンスLp→一次側直列共振コンデンサCr→部分電圧共振コンデンサCpの経路で部分電圧共振電流が流れて、部分電圧共振コンデンサCpに対する放電が行われる。
このスイッチング素子Q2のターンオン時には、上記のようにして、部分電圧共振コンデンサCpからの放電電流が転流して、漏洩インダクタンスLr→励磁インダクタンスLp→一次側直列共振コンデンサCr→ボディダイオードD2の経路により電流が流れる。つまり、ボディダイオードD2に転流電流が流れる期間が生じる。これにより、スイッチング素子Q2のターンオン時のスイッチング電流Id2は、図9(e)に示すように負極性となる。スイッチング電流Id2は、この後に反転して、スイッチング素子Q2(ドレイン→ソース)→一次側直列共振コンデンサCr→励磁インダクタンスLp→漏洩インダクタンスLrの経路で流れ、続いて、スイッチング素子Q2がターンオフするタイミングで0レベルとなる。
そして、このスイッチング素子Q2のターンオフ時(デッドタイム期間Td)においても、部分電圧共振コンデンサCpにおいて部分電圧共振動作が生じる期間が得られることになるが、この期間においては、一次側直列共振コンデンサCr→励磁インダクタンスLp→漏洩インダクタンスLr→部分電圧共振コンデンサCpの経路で部分電圧共振電流が流れることで、部分電圧共振コンデンサCpに対する充電が行われることになる。
この一次側直列共振電流ILP+INPは、図9(d)(e)に示すスイッチング電流Id1,Id2と、図9においては図示されていないが、上記のようにしてスイッチング素子Q1,Q2のターンオフ時(デッドタイム期間Td)において部分電圧共振コンデンサCpに流れる充放電電流(部分電圧共振電流)とが合成されたものとなる。
トランジスタ23のエミッタは、抵抗R22を介して直流電圧Vccと接続され、コレクタは、フォトカプラ14のフォトトランジスタ(コレクタ→エミッタ)と抵抗26の並列接続を介して一次側アースと接続される。また、トランジスタ23のエミッタは、発振器10内に備えられるとされる、ソフトスタート回路40の出力(ダイオード44のアノード)と接続される。
トランジスタ25のエミッタは、抵抗R22を介して直流電圧Vccと接続され、コレクタは、時定数コンデンサ27を介して一次側アースと接続される。また、トランジスタ25のコレクタと時定数コンデンサの接続点は、コンパレータ35の反転入力と接続される。
そして、トランジスタ23,25のベースは、共にフォトカプラ14のフォトトランジスタのエミッタと接続される。
さらに、トランジスタ25のエミッタと時定数コンデンサ27の接続点には、抵抗28の一端が接続され、その他端はNPNのトランジスタ29のコレクタと接続される。エミッタは、一次側アースに接続される。つまり、時定数コンデンサ27に対して、抵抗28−トランジスタ29の直列接続回路を並列に接続している。
ANDゲート59の出力であるAND出力信号S13は、RS(Reset-Set)フリップフロップ36のセット入力(S)に入力される。
また、コンパレータ35の出力は、RSフリップフロップ36のリセット入力(R)に入力される。
上記のようにしてRSフリップフロップ36から出力された反転出力信号S4は、駆動回路11において、T(Toggle)フリップフロップ37の入力端子(T)に入力されると共に、分岐して、ANDゲート38及びANDゲート39の各一方の入力端子に入力される。Tフリップフロップ37の非反転出力(Q)はANDゲート38の他方の入力端子に入力され、反転出力(反転Q)は、ANDゲート39の他方の入力端子に入力される。
そして、ANDゲート38の出力がスイッチング素子Q1をスイッチング駆動するドライブ信号SG1となり、ANDゲート39の出力がスイッチング素子Q2をスイッチング駆動するドライブ信号SG2となる。
ソフトスタート回路40においては、増幅器としてのオペアンプ43が備えられ、オペアンプ43の非反転入力は、直流電圧Vccのラインと接続される。また、オペアンプ43の非反転入力は、所定の時定数を有するコンデンサ27を介して一次側アースと接続される。これにより、オペアンプ43の非反転入力からは、直流電圧Vccのラインが電流源としてみえることになる。
オペアンプ43の反転入力には、同じオペアンプ43の出力が帰還されている。また、オペアンプ43の出力は、ダイオード44のカソード→アノードを介して、フォトカプラ14のフォトトランジスタのエミッタと、差動回路を形成するトランジスタ23,25のベースとの接続点に対して接続される。なお、このソフトスタート回路の動作については後述する。
この場合のI/V変換回路51は、図示するようにして、直列共振コンデンサCrと一次側アース間に対して挿入した電流検出用抵抗RDを備えて構成される。この場合、電流検出用抵抗RDは、一次側直列共振回路(Cr−Lp//Np)の端部に接続されていることになるから、一次側直列共振電流(ILp+INp)の経路に挿入されていることになる。従って、電流検出用抵抗RDの両端電圧としては、一次側直列共振電流に応じたレベル変化が得られることになる。つまり、一次側直列共振電流を電流検出用抵抗RDの両端電圧に変換していることになる。
例えば、この場合において、一次側直列共振電流(ILp+INp)は交流であるから、図3に示すようにして、カレントトランスT2を備えた構成とすることも可能である。この場合には、直列共振コンデンサCrと一次側アース間に対してカレントトランスT2の一次巻線を直列に挿入する。これにより、カレントトランスT2の二次巻線には、一次巻線に流れる一次側直列共振電流(ILp+INp)に応じた交番電圧が励起されることになり、カレントトランスT2の二次側において、一次側直列共振電流(ILp+INp)が電圧として変換されたこととなる。そして、例えば、このカレントトランスT2の二次巻線と抵抗素子との並列接続回路の両端電圧を検出すれば、一次側直列共振電流(ILp+INp)のレベルを電圧として検出することができる。
コンパレータ53の非反転入力は、直列共振コンデンサCrと電流検出用抵抗RDの接続点と接続され、反転入力は一次側アースと接続される。また、コンパレータ54の非反転入力は一次側アースと接続され、反転入力は直列共振コンデンサCrと電流検出用抵抗RDの接続点と接続される。
このようにして電流検出用抵抗RDとコンパレータ53、54が接続されることにより、コンパレータ53、54では相互に逆極性となる関係により、電流検出用抵抗RDの両端電圧を検出することになる。この場合、一次側直列共振電流ILp+INpが正極性(Cr→RDの方向)に流れるときには、コンパレータ53はHレベルを出力することになり、コンパレータ54はLレベル(0レベル)を出力することになる。また、一次側直列共振電流ILp+INpが負極性(RD→Crの方向)に流れるときには、コンパレータ54がHレベルを出力することになり、コンパレータ54がLレベル(0レベル)を出力する。
また、ANDゲート57は、コンパレータ54の出力と、スイッチング素子Q2をドライブするためのドライブ信号SG2が入力され、これらの入力の論理積をとる。従って、ANDゲート57では、一次側直列共振電流ILp+INpが負極性方向に流れ、かつ、ドライブ信号SG2がHレベルとなってスイッチング素子Q2がオン状態とされている状態のときにHレベルを出力し、これ以外の状態ではLレベルを出力することになる。
ORゲート58の出力がANDゲート56,57の出力の論理和であるということは、ORゲート58では、先ず、一次側直列共振電流ILp+INpが正極性で、かつ、スイッチング素子Q1がオン状態となっているときと、一次側直列共振電流ILp+INPが負極性で、かつ、スイッチング素子Q2がオン状態となっているときとでHレベルとなる信号を出力するということになる。これは、即ち、スイッチング素子Q1,Q2のそれぞれにおいて、ドレイン→ソースの順方向により電流が流れている期間に対応してのみHレベルとなるものである。
逆に言えば、スイッチング素子Q1,Q2が共にオフとなるべきデッドタイム期間Tdとされて、一次側直列共振電流ILp+INpとして、部分電圧共振コンデンサCpに部分電圧共振電流が流れる状態のときにはLレベルとなる。また、スイッチング素子Q1,Q2の各ターンオン時で、ボディダイオードD1,D2に、転流電流(スイッチング電流Id1,Id2として負極性に流れる電流)が、一次側直列共振電流ILp+INpとして流れる状態のときにもLレベルとなる。そして、このORゲート58の出力が、電流状態検出回路52における検出出力として、発振器10のANDゲート59に入力される。
電流状態検出回路52からの出力は、上記もしているように、スイッチング素子Q1,Q2において順方向(ドレイン→ソース方向)によりスイッチング電流が流れているときにHレベルとなる。
このため、定常動作時としては、検出信号S1がLレベルからHレベルに立ち上がれば、ほぼ確実にANDゲートからも、Hレベルが出力されてRSフリップフロップ36のセット入力(S)に入力されるといえる。
このことから、定常動作時の動作を考えるのにあたっては、発振器10の構成としては、ANDゲート59を省略して、コンパレータ34の検出信号S1を、そのままRSフリップフロップ36のセット入力(S)に入力させたものとしてみてよいことになる。これは、発振器10については、先に説明した図10と同一の構成であると捉えてよいということである。
そこで、図2に示した回路の基本的な動作については、説明を分かりやすいものとするために、先に述べた図11の波形図を参照することとする。この場合において、図11の波形図は、図2に示す回路部位における定常(正常)時の動作を示すものとなる。
例えばここで、差動回路による時定数コンデンサ27に対する充電が開始されたとすると、時定数コンデンサ27の両端電圧V1は、時定数コンデンサ27の時定数と、充電電流レベルに応じた増加率(傾き)でもって、波形的には直線的(比例的)に上昇していくことになる。
そして、トランジスタ29がオフとされるときには、抵抗28とトランジスタ29から成る直列回路はオープンとなるので、差動回路により時定数コンデンサ27に対する充電を行う充電モードとなる。これに対して、トランジスタ29がオンとなったときには、時定数コンデンサ27に対して抵抗28が並列接続されたものとみることができるが、これにより、時定数コンデンサ27に蓄積された充電電荷は、抵抗28からトランジスタを介して放電されることになる。つまり、トランジスタ29がオンとなったときには、時定数コンデンサ27が放電する放電モードとなる。このようにして、トランジスタ29がオン/オフコントロールされることで、時定数コンデンサ27に対する充電モードと放電モードとの間での切換が行われる。
従って、RSフリップフロップ36の非反転出力(Q)から出力される非反転出力信号S3は、図11(d)に示す波形が得られることになる。つまり、図11(a)に示す時定数コンデンサ27の両端電圧V1が上限閾値レベルとなって検出信号S1が立ち上がるタイミングでHレベルとなり、両端電圧V1が下限閾値レベルとなって、検出信号S2が立ち上がるタイミングでLレベルに立ち下がる波形が得られることになる。つまり、両端電圧V1が上限閾値レベルから下限閾値レベルに下降する下降期間Tdnに対応してHレベルとなる。
このような動作により、時定数コンデンサ27の両端電圧V1は、図11(a)に示すようにして、鋸歯状波となるものである。
この反転出力信号S4は、スイッチング素子Q1,Q2をスイッチング駆動するためのドライブ信号SG1,SG2を生成する源信号として、駆動回路11に入力される。
このような駆動回路11の回路構成では、ANDゲート38及びANDゲート39の出力であるドライブ信号SG1,SG2は、それぞれ、例えば図11(f)(g)に示すものとなる。ドライブ信号SG1は、[上昇期間Tup(Hレベル)−下降期間Tdn(Lレベル)−上昇期間Tup(Lレベル)−下降期間Tdn(Lレベル)]から成る周期の繰り返しによる波形となる。ドライブ信号SG2は、このドライブ信号SG1に対して、180°の位相差を有した波形となる。
そこで、図11(f)(g)に示すドライブ信号SG1,SG2をみると、定常動作時においては、スイッチング素子Q1,Q2は、交互にオン/オフするタイミングでスイッチングを行っていることがわかる。また、スイッチング素子Q1,Q2の各オン期間は、時定数コンデンサ27の両端電圧V1の上昇期間Tupに相当する時間であることが分かる。また、スイッチング素子Q1,Q2のターンオン/ターンオフ時に対応して、スイッチング素子Q1,Q2が共にオフとなるデッドタイム期間が形成されており、このデッドタイム期間は、下降期間Tdnに相当する時間であることが分かる。
ここで、フォトカプラ14のフォトトランジスタのコレクタには、誤差増幅器12からの出力に応じて可変されたレベルの電流が流れることになる。このフォトトランジスタのコレクタ電流が可変することによっては、差動回路を形成するトランジスタ23,25のベース電流量を変化さえることになるから、差動回路により流すべき時定数コンデンサ27への充電電流量が可変されることになる。
発振器10内に備えられるソフトスタート回路40は、いわゆるソフトスタート動作として、上記のようにして電源起動直後において、二次側直流出力電圧の急峻な上昇を抑制するように動作する。
そして、例えば、コンデンサ42の電位が所定以上となって、オペアンプ43に電流が流入しなくなると、スイッチング周波数の強制的な制御は以降停止することになる。つまりソフトスタート動作が終了する。ソフトスタート動作が終了した時点では、二次側直流出力電圧は、ほぼ定常に近いレベルにまで引き上げられている。そして、以降においては、誤差増幅器12による通常の定電圧制御に移行することになる。
図4においては、この図に示されるスイッチング周期の2周期目においてスイッチング周波数を急峻に上昇させようとスイッチング周波数制御系が動作し、これにより、スイッチング動作が不安定となった場合の動作例を示している。先に説明しているように、このような状態は、何らかの要因によって、定電圧制御のための応答が急激に変化したことで、スイッチング周波数が急激に変化したような場合に生じる場合がある。また、図2に示したソフトスタート回路40が電源起動時において動作することで、前述のようにして、スイッチング周波数が強制的に上昇されている状態のときにも生じやすい。
つまり、スイッチング素子Q1,Q2は、それぞれ、図4(b)(c)のスイッチング電流Id1,Id2の波形に示されるようにして、オン/オフを行っている。ここで、スイッチング素子Q1がオン状態にある場合のスイッチング電流Id1の波形としては、先ず、負極性により電流が流れ、この後反転して正極性となっている。負極性による電流は、ボディダイオードD1のアノード→カソードを介して流れる転流電流であり、正極性による電流が、スイッチング素子Q1のドレイン→ソースを介して正方向に流れるとされる電流である。同様にしてスイッチング素子Q2がオン状態にある場合のスイッチング電流Id2としても、負極性の区間がボディダイオードD2のアノード→カソードを介して流れる転流電流であり、正極性の区間が、スイッチング素子Q2のドレイン→ソースを介して正方向に流れるとされる電流となる。
図4(a)に示す一次側直列共振電流ILp+INpは、上記図4(b)(c)に示されるスイッチング電流Id1,Id2と、スイッチング素子Q1,Q2の各ターンオフ時(デッドタイム期間Td)に対応して得られる部分電圧共振動作により、部分電圧共振コンデンサCpに流れる充放電電流とが合成されて得られるものとなる。
これにより、時点t1にてHレベルに立ち上がった検出信号S1が立ち下がる時点t2に対応するタイミングで、スイッチング素子Q1のドライブ信号SG1はLレベルとなってスイッチング素子Q1をオフさせることになる。そして、期間t2〜t3に対応するデッドタイム期間を経て、ドライブ信号SG2がHレベルに立ち上がることで、スイッチング素子Q2をターンオンさせることになる。
スイッチング周波数を急峻に上昇させる動作は、図4(f)に示す時定数コンデンサ27の両端電圧V1として、これまでよりも大きな傾きで急峻に上昇する波形となっていることで示されている。このとき、発振回路10では、差動回路による時定数コンデンサ27への充電電流量を短時間のうちに大幅に増加させていることになる。このような状態では、実際のスイッチング素子Q1,Q2のオン/オフタイミングに対して、ドライブ信号SG1,SG2が不適正なタイミングとなる場合がある。このタイミングが、図4においては、時点t4となる。
例えば先に図10に示した従来の構成では、検出信号S1がHレベルに立ち上がるのに応じて、ドライブ信号SG1がLレベルに立ち下がるようにされるので、スイッチング素子Q1はオフし、デッドタイム期間を経過して、ドライブ信号SG1がHレベルに立ち上がってスイッチング素子Q2をオンさせることになる。
また、時点t4では、ドライブ信号SG2はLレベルであるから、コンパレータ54の出力である検出信号S12がHレベルであるとしても、ANDゲート57の出力もLレベルとなる。このようにして、時点t4ではORゲート58には共にLレベルが入力されるので、Lレベルの検出信号S14を出力する。ここで、Lレベルの検出信号S14が出力されているということは、前述もしたように、一次側直列共振電流ILp+INpの状態として、スイッチング素子のボディダイオードにおいて転流電流が流れていることを示すものである。そして、この時点t4においてLレベルの検出信号S14が得られているということは、スイッチング素子Q1のボディダイオードD1において転流電流が流れている状態に対応していることになる。
この時点t4の後においては、スイッチング電流Idは、図4(b)に示すようにして、ボディダイオードD1に転流電流として流れる期間を経過して、時点t5に至ると、スイッチング素子Q1のドレイン−ソースに流れるようにされ、負極性から正極性に反転する。
このため、時点t5において、ORゲート58の出力である検出信号S14もHレベルとなったことで、図4(j)に示すようにして、ANDゲート59の出力であるAND出力信号S13がLレベルからHレベルに立ち上がることになる。
そして、発振器10及び駆動回路11から成るスイッチング素子の駆動回路系では、検出信号S14が示す検出結果として、ボディダイオード(D1,D2)において転流電流が流れている期間を検出してLレベルを出力しているときには、ドライブ信号SG1,SG2のH/Lのレベル状態について変化を与えずに、そのときの状態を維持させることとしている。
これにより、スイッチング周波数が急峻に上昇/下降するように制御されたときや、また、ソフトスタート回路40が動作したときなどにおいて、スイッチング動作(スイッチング素子Q1,Q2のオン/オフ動作)が正常に保たれる。このようにして、貫通電流が流れることが避けられ、スイッチング素子Q1,Q2などをはじめスイッチングコンバータを形成する素子にかかる電流ストレスの問題も解消されることになって、回路の保護が図られることになる。
この図に示す電源装置においては、一次側の電流共振形コンバータの構成として、2本の直列共振コンデンサCr1,Cr2を備える。直列共振コンデンサCr1は、トランスT1の一次巻線Npの巻終わり端部と、一次側アースとの間に挿入されることで、一次巻線Npと直列接続されることになる。直列共振コンデンサCr2は、トランスT1の一次巻線Npの巻終わり端部と、直流入力電圧Vinの正極端子との間に直列に挿入される。
なお、この図において、発振器10及び駆動回路11の内部構成は、図2と同様であり、同一符号を付している。従って、これら発振器10及び駆動回路11の動作としては、図4による説明と同様となる。
そして、この場合の電流状態検出回路52は、1つのコンパレータ53を備えて構成される。コンパレータ53の非反転入力端子は一次側アース側と接続されることで、アース電位としての電圧が入力される。反転入力端子は、直流入力電圧Vinの負極端子と接続されることで、電流検出用抵抗RDの両端電圧が入力される。コンパレータ53の出力は検出信号S14とされて、発振器10内のANDゲート59に入力される。
スイッチング素子Q1がターンオンすると、それまで、直列共振コンデンサCr1→励磁インダクタンスLp→漏洩インダクタンスLr→部分電圧共振コンデンサCpの経路で流れていた電流が、部分電圧共振コンデンサCpからボディダイオードD1(アノード→カソード)に転流するようにして流れる。つまり、ボディダイオードD1に転流電流が流れ、図7(a)に示すスイッチング電流Id1としては、負極性となる。
この後、スイッチング電流Id1は反転して正極性方向により流れる。このときには、スイッチング素子Q1(ドレイン→ソース)→漏洩インダクタンスLr→励磁インダクタンスLp→直列共振コンデンサCr1→(I/V変換回路51)→直流入力電圧Vinの経路で流れる。また、このときには、スイッチング電流Id1は、スイッチング素子Q1(ドレイン→ソース)→漏洩インダクタンスLr→励磁インダクタンスLp→直列共振コンデンサCr2の経路によっても同時に流れる。
この後、スイッチング電流Id2は反転して正極性方向となって、直流入力電圧Vin→直列共振コンデンサCr2→励磁インダクタンスLp→漏洩インダクタンスLr→スイッチング素子Q2(ドレイン→ソース)→(I/V変換回路51)の経路で流れる。また、スイッチング素子Q2(ドレイン→ソース)→直列共振コンデンサCr1→励磁インダクタンスLp→漏洩インダクタンスLrの経路でも同時に流れる。そして、スイッチング素子Q2がターンオフすると、部分電圧共振コンデンサCpに充電電流が流れるデッドタイム期間Tdの経過後に、スイッチング素子Q1がターンオンする。このようにして、スイッチング動作が繰り返される。
これに応じて、コンパレータ53の反転入力端子の接続位置に対応する、直流入力電圧Vinと電流検出用抵抗RDとの接続点に生じる電圧VDとしては、図7(d)に示すものとなる。つまり、スイッチング素子Q1,Q2に正極性の電流が流れている期間に対応しては負極性で、ボディダイオードD1,D2の何れか一方に転流電流が流れているときには正極性となる波形が得られることになる。
スイッチング動作に応じてこのような電圧VDの波形が得られるということは、電圧VDが正極性となっていることを検出すれば、ボディダイオードD1,D2に転流電流が流れている期間を検出できるということになる。
検出信号S14としては、スイッチング素子のボディダイオードにおいて転流電流が流れている状態であることに対応して、Lレベルが出力される信号となるべきものであるが、上記図7(e)に示す検出信号S14としても、このような信号となっていることが理解される。
そこで、ANDゲート56、57により、ドライブ信号SG1,SG2と、一次側直列共振電流ILp+INpがそれぞれ正/負となる期間との論理積をとることで、一次側直列共振電流ILp+INpが正極性により流れている期間において、スイッチング素子Q1に正方向の電流が流れる期間と、スイッチング素子Q2側のボディダイオードD2に電流が流れる期間とを弁別するようにしていた。また、一次側直列共振電流ILp+INpが負極性により流れている期間において、スイッチング素子Q2に正方向の電流が流れる期間と、スイッチング素子Q1側のボディダイオードD1に電流が流れる期間とを弁別するようにしていた。
このようにして、第2の実施の形態では、電流状態検出回路52についての回路の簡略化が図られている。
つまり、I/V変換回路51及び電流状態検出回路52から成る回路の構成としては、例えば、スイッチング電流(一次側直列共振電流)の電流状態として、ボディダイオードD1,D2に対して転流電流が流れているとされる期間を検出できるように、論理回路等により構成すればよい。
また、発振器10及び駆動回路11の構成としても、安定化のためのスイッチング周波数制御を伴うスイッチング駆動が可能とされた上で、電流状態検出回路52から出力される検出信号に応じて、ボディダイオードD1,D2に対して転流電流が流れているとされる期間には、ターンオン/ターンオフを生じさせないように動作する構成とされればよいものである。
Claims (3)
- 第1の転流用ダイオード素子を逆並列接続した第1のスイッチング素子と、第2の転流用ダイオード素子を逆並列接続した第2のスイッチング素子とを直列接続して形成されるスイッチング回路を少なくとも1組備えて形成され、直流入力電圧の両端間に対して接続されるスイッチング手段と、
上記第1のスイッチング素子、及び上記第2のスイッチング素子をスイッチング駆動するための駆動信号についての源信号を生成して出力する発振器手段と、
上記源信号を入力して上記駆動信号を生成する駆動回路手段と、
一次巻線と二次巻線とを備え、上記一次巻線に得られる上記スイッチング回路のスイッチング出力により、二次巻線に交番電圧が励起されるトランスと、
上記一次巻線の漏洩インダクタンス成分と、自己のキャパシタンスとにより、共振形のスイッチング動作を得るための共振回路を形成する共振コンデンサと、
上記二次巻線に励起された交番電圧を入力して整流平滑動作を行うことで二次側直流電圧を生成する二次側直流電圧生成手段と、
上記スイッチング回路のスイッチング動作に応じて流れる電流と、上記駆動信号とを入力して、上記第1のスイッチング素子が上記駆動信号によりオンとされている状態で上記第1の転流用ダイオード素子に転流電流が流れていない期間と、上記第2のスイッチング素子が上記駆動信号によりオンとされている状態で上記第2の転流用ダイオード素子に転流電流が流れていない期間とにおいてHレベルとなる期間信号を出力する電流状態検出手段とを備え、
上記発振器手段は、
スイッチング周波数に応じて変化する期間により下限閾値から上限閾値まで増加し、固定とされる期間により上限閾値から下限閾値まで減少するレベル変化を繰り返す鋸歯状波を生成し、
上記鋸歯状波が上記上限閾値のレベルのときにHレベルとなる上限閾値検出信号と、この鋸歯状波が上記下限閾値のレベルのときにHレベルとなる下限閾値検出信号とを生成し、
ANDゲートにより、上記上限閾値検出信号と上記期間信号との論理積の信号を出力し、
RSフリップフロップにより、上記論理積の信号をセット入力とし、上記下限閾値検出信号をリセット入力として、デットタイム期間においてHレベルとなる非反転信号と、その反転信号とを出力し、
さらに、本電源装置が起動するときに応じて、上記鋸歯状波が増加する期間を短くさせるように動作するソフトスタート回路を備え、
上記駆動回路手段は、
上記RSフリップフロップの反転信号を上記源信号として入力して、デッドタイム期間以外の期間において上記第1のスイッチング素子、及び上記第2のスイッチング素子を交互にオン/オフさせる駆動信号を生成する、
スイッチング電源装置。 - 上記直列共振コンデンサと上記直流入力電圧の負極ラインとの間に挿入されて、この挿入位置に流れる一次側直列共振電流を電圧に変換して出力する電流/電圧変換手段をさらに備え、
上記電流状態検出手段は、
上記電流/電圧変換手段から出力される電圧と、上記駆動回路手段から出力される上記駆動信号に基づいて、上記一次側直列共振電流が正極性であり、かつ、上記第1のスイッチング素子をオンにする駆動信号波形が得られている期間と、上記一次側直列共振電流が負極性であり、かつ、上記第2のスイッチング素子をオンにする駆動信号波形が得られている期間とにおいてHレベルとなる信号を、上記期間信号として生成する、
請求項1に記載のスイッチング電源装置。 - 上記電流状態検出手段は、
上記直流入力電圧の負極ラインとグランドとの間に挿入されて、この挿入位置に流れる一次側直列共振電流を電圧に変換して出力する電流/電圧変換手段をさらに備え、
上記電流状態検出手段は、
上記電流/電圧変換手段から出力される電圧レベルがグランド電位よりも高いときにHレベルで、低いときにLレベルとなる信号を、上記期間信号として出力する、
請求項1に記載のスイッチング電源装置。
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