従来、電流共振回路は、高効率の電源の構成に好適な回路として知られている。ところが、この種の電流共振回路は、共振はずれと呼ばれる動作モードになると、電流共振回路を構成するスイッチ素子に過大なストレスをかけてしまうという問題点がある。そこで、例えば特許文献1に開示されているように、電流共振回路は、共振はずれ検出レベルを設けて共振電流の電流値を監視し、電流値が低下したことを検出して共振はずれを防止する制御を行っている。
しかしながら、検出のバラツキや検出の遅れ等の安全性を考慮すると、共振はずれ検出レベルをできるだけ高く設定する必要があり、起動時や停止時のように入力電圧が低くなると、共振はずれ検出レベルを用いた共振電流の監視では、低い入力電圧を検出することができないといった問題点がある。このため、例えば特許文献2又は特許文献3に開示されているように、電流共振回路は、入力電圧自体を監視して、入力電圧が低くなるとスイッチ素子のスイッチング動作を停止させる等の制御を行っている。
〔従来の電流共振回路の構成〕
図12に、従来の電流共振回路の回路図を示す。電流共振回路900は、スイッチング電源を実現する一種の回路として、負荷200に直流電圧を供給する。この電流共振回路900は、トランスTと、電流電圧変換部910と、電流共振制御部920と、直流電源Vinと、スイッチ素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2と、キャパシターC1,C2,C3と、抵抗素子R14,R15とを備えている。ハイサイドスイッチとしてのスイッチ素子Q1、及びローサイドスイッチとしてのスイッチ素子Q2は、N型MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)により構成される。ダイオードD1は、スイッチ素子Q1のボディーダイオードである。ダイオードD2は、スイッチ素子Q2のボディーダイオードである。更に、電流共振回路900は、出力電圧検出部950と、ダイオードD3,D4と、キャパシターC4と、抵抗素子R1と、フォトダイオードPC1とを備えている。
まず、トランスTの一次側における電流共振回路900の構成について説明する。トランスTの一次側では、直流電源Vinの両端の間に、直列に接続されたスイッチ素子Q1及びスイッチ素子Q2を有する直列回路が接続される。
トランスTの一次巻線T1の一端には、スイッチ素子Q1のソースと、ダイオードD1のアノードと、キャパシターC1の一方の電極と、スイッチ素子Q2のドレインと、ダイオードD2のカソードと、キャパシターC2の一方の電極とが接続される。スイッチ素子Q1のドレインには、ダイオードD1のカソードと、キャパシターC1の他方の電極と、直流電源Vinの正極と、抵抗素子R14の一端とが接続される。スイッチ素子Q2のソースには、ダイオードD2のアノードと、キャパシターC2の他方の電極と、直流電源Vinの負極と、抵抗素子R15の一端とが接続される。抵抗素子R14の他端には、抵抗素子R15の他端が接続される。
トランスTの一次巻線T1の他端には、共振コンデンサーとしてのキャパシターC3の一方の電極が接続される。キャパシターC3の他方の電極には、電流電圧変換部910を介して、直流電源Vinの負極が接続される。
電流共振制御部920は、制御手段としての制御回路930と、キャパシターC5,C6と、抵抗素子R2,R3と、フォトトランジスターPC2とを備えている。フォトトランジスターPC2は、フォトダイオードPC1に対応して設けられ、フォトダイオードPC1から出射される光を受光することができる位置に配置される。
制御回路930には、端子P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7が設けられる。端子P1には、キャパシターC5を介して基準電位源GNDが接続され、端子P2には、キャパシターC6を介して基準電位源GNDが接続される。また、端子P2には、抵抗素子R2を介して基準電位源GNDが接続されると共に、直列に接続される抵抗素子R3及びフォトトランジスターPC2を介して基準電位源GNDが接続される。端子P3には、電流電圧変換部910が接続される。端子P4には、基準電位源GNDが接続される。端子P5には、抵抗素子R14の他端と抵抗素子R15の他端との接続ノードが接続される。端子P6には、スイッチ素子Q2のゲートが接続される。端子P7には、スイッチ素子Q1のゲートが接続される。
次に、トランスTの二次側における電流共振回路900の構成について説明する。トランスTの第1の二次巻線T2の一端には、ダイオードD3のアノードが接続される。ダイオードD3のカソードには、キャパシターC4の一方の電極と、負荷200の一端と、ダイオードD4のカソードとが接続される。トランスTの第1の二次巻線T2の他端には、キャパシターC4の他方の電極と、負荷200の他端と、基準電位源GNDとが接続される。
トランスTの第2の二次巻線T3の一端には、キャパシターC4の他方の電極と、負荷200の他端と、基準電位源GNDとが接続される。トランスTの第2の二次巻線T3の他端には、ダイオードD4のアノードが接続される。
ダイオードD3のカソードと、ダイオードD4のカソードとには、出力電圧検出部950の第1端子が接続されると共に、直列に接続される抵抗素子R1及びフォトダイオードPC1を介して出力電圧検出部950の第2端子が接続される。出力電圧検出部950の第3端子には、基準電位源GNDが接続される。
〔従来の電流共振回路の動作〕
電流共振回路900は、制御回路930において生成したスイッチング信号によってデッドタイムを挟んでスイッチ素子Q1,Q2を交互にオンにすることで、負荷200に直流電圧を供給する。ここで、デッドタイムとは、スイッチ素子Q1,Q2の双方がオフとなる期間のことである。
スイッチ素子Q1がオンで、且つ、スイッチ素子Q2がオフである期間では、直流電源Vinの正極から出力された電流が、オン状態であるスイッチ素子Q1を介してトランスTの一次巻線T1に供給される。従って、トランスTの一次巻線T1の一端から他端に向かって、電流が流れる。すると、トランスTの第1の二次巻線T2と、トランスTの第2の二次巻線T3とには、他端から一端に向かって電流を流そうとする起電力がそれぞれ発生し、ダイオードD3ではアノードの電圧がカソードの電圧より高くなり、ダイオードD3が導通する。その結果、トランスTの第1の二次巻線T2と、トランスTの第2の二次巻線T3とに発生した起電力は、整流され、キャパシターC4で平滑されて、負荷200に供給される。
スイッチ素子Q1がオフで、且つ、スイッチ素子Q2がオンである期間では、トランスTの一次巻線T1の一端から他端に電流が流れた期間にトランスTに蓄えられたエネルギーが用いられる。即ち、この期間では、トランスTに蓄えられたエネルギーにより、トランスTの一次巻線T1からオン状態のスイッチ素子Q2を介して直流電源Vinの負極に電流が供給される。従って、トランスTの一次巻線T1の他端から一端に向かって、電流が流れる。すると、トランスTの第1の二次巻線T2と、トランスTの第2の二次巻線T3とには、一端から他端に向かって電流を流そうとする起電力がそれぞれ発生し、ダイオードD4ではアノードの電圧がカソードの電圧より高くなり、ダイオードD4が導通する。その結果、トランスTの第1の二次巻線T2と、トランスTの第2の二次巻線T3とに発生した起電力は、整流され、キャパシターC4で平滑されて、負荷200に供給される。
負荷200に供給される直流電圧は、抵抗素子R1を介してフォトダイオードPC1に供給されると共に、出力電圧検出部950に供給される。出力電圧検出部950は、負荷200に供給される直流電圧を監視し、この直流電圧が高くなるに従って、フォトダイオードPC1に流れる電流を増加させて、フォトダイオードPC1から出射される光の光量を増加させる。
フォトダイオードPC1から出射された光は、フォトトランジスターPC2で受光される。フォトトランジスターPC2に流れる電流は、受光した光の光量が増加するに従って、増加する。
一方、制御回路930の端子P2に流れる電流は、抵抗素子R2に流れる電流と、抵抗素子R3及びフォトトランジスターPC2に流れる電流とからなる。このため、フォトトランジスターPC2に流れる電流が「0」の場合には、端子P2に流れる電流が最も小さくなる。
制御回路930は、端子P1の電圧と、端子P2の電圧と、端子P3の電圧と、端子P5の電圧とに応じて、スイッチ素子Q1,Q2をスイッチングさせるスイッチング信号を生成する。制御回路930は、端子P1の電圧に応じた周波数でソフトスタート動作を制御し、端子P2の電圧に応じた周波数でスイッチ素子Q1,Q2をスイッチングさせる。また、制御回路930は、端子P3の電圧と端子P5の電圧とに基づいて共振はずれの防止制御を行う。ここで、端子P1の電圧は、キャパシターC5の電極間電圧に等しく、端子P2の電圧は、キャパシターC6の電極間電圧に等しい。また、端子P3の電圧は、トランスTの一次巻線T1に流れる共振電流を電流電圧変換部910により電圧に変換したものであり、トランスTの一次巻線T1に流れる電流が大きくなるに従って、高くなる。端子P5の電圧は、直流電源Vinの電圧を抵抗素子R14,R15により分圧した電圧であり、直流電源Vinが低くなるに従って、低くなる。
〔従来の制御回路の構成〕
図13に、図12の制御回路930の回路図を示す。なお、図13では、制御回路930の外部に設けられる抵抗素子R14等についても図示している。制御回路930は、基準電圧生成部931と、駆動部932と、制御部933と、ソフトスタート制御部934と、入力監視部935とを備えている。更に、制御回路930は、比較器CMP1,CMP2と、立ち上がり検出部936,937と、スイッチ素子Q1H,Q2H,Q1L,Q2Lとを備えている。スイッチ素子Q1H,Q2Hは、P型MOSFETにより構成される。スイッチ素子Q1L,Q2Lは、N型MOSFETにより構成される。
端子P1には、ソフトスタート制御部934が接続される。端子P2には、駆動部932に接続された制御部933が接続される。端子P3には、比較器CMP1の反転入力端子と、比較器CMP2の非反転入力端子とが接続される。端子P4には、制御回路930の基準電位源GNDが接続される。端子P5には、ソフトスタート制御部934に接続された入力監視部935が接続される。
ここで、端子P3の電圧について説明する。端子P3の電圧は、図12の電流電圧変換部910により生成される。
図14に、図12の電流電圧変換部910の回路図を示す。図14は、電流電圧変換部910の他に、直流電源Vin、スイッチ素子Q1,Q2、ダイオードD1,D2、キャパシターC1,C2,C3、一次巻線T1も合わせて図示している。電流電圧変換部910は、抵抗素子R10,R11,R12と、キャパシターC10とを備えている。
抵抗素子R10の一端には、キャパシターC3の他方の電極と、抵抗素子R11の一端とが接続され、抵抗素子R10の他端には、直流電源Vinの負極が接続される。抵抗素子R11の他端には、端子P3と、抵抗素子R12の一端と、キャパシターC10の一方の電極とが接続される。抵抗素子R12の他端には、直流電源Vinの負極が接続される。キャパシターC10の他方の電極には、直流電源Vinの負極が接続される。
スイッチ素子Q1がオンとなり、トランスTの一次巻線T1の一端から他端に向かって電流が流れる期間では、抵抗素子R10の一端から他端に向かって電流が流れる。このとき、抵抗素子R10の両端の電圧を抵抗素子R11,R12により抵抗分割した正の電圧が、端子P3に供給される。
一方、スイッチ素子Q2がオンとなり、トランスTの一次巻線T1の他端から一端に向かって電流が流れる期間では、抵抗素子R10の他端から一端に向かって電流が流れる。このとき、抵抗素子R10の両端の電圧を抵抗素子R11,R12により抵抗分割した負の電圧が、端子P3に供給される。
図13に示すように、このような端子P3が反転入力端子に接続される比較器CMP1の非反転入力端子には、閾値電圧Vref1が供給される。閾値電圧Vref1は、スイッチ素子Q1を介してトランスTの一次巻線T1に流れる第1の共振はずれ検出レベルIref1の共振電流の電流レベルに対応した電圧である。比較器CMP1は、閾値電圧Vref1と、端子P3の電圧とを比較する。また、端子P3が非反転入力端子に接続される比較器CMP2の反転入力端子には、閾値電圧Vref2が供給される。閾値電圧Vref2は、スイッチ素子Q2を介してトランスTの一次巻線T1に流れる第2の共振はずれ検出レベルIref2の共振電流の電流レベルに対応した電圧である。比較器CMP2は、閾値電圧Vref2と、端子P3との電圧とを比較する。
立ち上がり検出部936の入力端子には、比較器CMP1の出力端子が接続され、立ち上がり検出部936の出力端子には、制御部933が接続される。立ち上がり検出部937の入力端子には、比較器CMP2の出力端子が接続され、立ち上がり検出部937の出力端子には、制御部933が接続される。
端子P6には、スイッチ素子Q2Hのドレインと、スイッチ素子Q2Lのドレインとが接続される。スイッチ素子Q2Hのソースには、基準電圧生成部931が接続される。スイッチ素子Q2Lのソースには、基準電位源GNDが接続される。スイッチ素子Q2H,Q2Lのそれぞれのゲートには、基準電圧生成部931が接続された駆動部932が接続される。
端子P7には、スイッチ素子Q1Hのドレインと、スイッチ素子Q1Lのドレインとが接続される。スイッチ素子Q1Hのソースには、基準電圧生成部931が接続される。スイッチ素子Q1Lのソースには、基準電位源GNDが接続される。スイッチ素子Q1H,Q1Lのそれぞれのゲートには、駆動部932が接続される。
〔従来の制御回路の動作〕
制御部933は、主として、端子P1,P2の電圧に基づいて、スイッチング信号の発振周波数を制御する。そのため、制御部933は、端子P2の電圧が第1の電圧に達するまでの充電期間では、定電流源によりキャパシターC6に電荷を充電し、その後の放電期間では、電荷の充電を停止する。キャパシターC6に充電された電荷は、抵抗素子R2により、常時、放電されると共に、フォトトランジスターPC2において受光される光量に応じて、抵抗素子R3及びフォトトランジスターPC2により放電される。放電期間では、端子P2の電圧は時間の経過に従って降下し、制御部933は、第2の電圧に達すると、再び、充電期間となり、上記の定電流源によりキャパシターC6への電荷の充電を開始する。制御部933は、このような充電期間及び放電期間に応じて電圧レベルが変化する駆動パルス信号を生成する。
例えば、放電期間の長さは、端子P2の電圧や端子P2に接続されるキャパシターC6から電荷を引き抜く電流駆動能力によって調整することができる。従って、制御部933は、端子P2の電圧や電流駆動能力に対応した周波数の駆動パルス信号を生成することができる。
ソフトスタート制御部934は、端子P1の電圧に応じて、端子P2に接続されるキャパシターC6から電荷を引き抜く電流駆動能力を制御する。そのため、ソフトスタート制御部934は、制御回路930の動作が開始されると、端子P1に接続されるキャパシターC5の充電を開始する。端子P1の電圧が低い場合、キャパシターC6から電荷を引き抜く電流駆動能力を高くすることで、上記の放電期間を短くし、駆動パルス信号の周波数を高くする。
入力監視部935は、端子P5の電圧と、所与の入力閾値電圧とを比較する。端子P5の電圧が入力閾値電圧より低いとき、入力監視部935は、端子P5の電圧に対応した直流電源Vinの入力電圧が低くなったと判断して、ソフトスタート制御部934を制御して端子P1の電圧を低くする。この結果、制御部933は、生成する駆動パルス信号の周波数を高くした状態で起動させることができる。
立ち上がり検出部936又は立ち上がり検出部937は、共振はずれ検出レベルを基準とした端子P3の電圧に基づいて、検出パルス信号di/dta,di/dtbを制御部933に対して出力する。制御部933は、検出パルス信号di/dta,di/dtbに基づいて、共振はずれの防止制御を行う。
図15に、制御回路930による共振はずれの防止制御の動作説明図を示す。図15は、横軸に時間軸をとり、縦軸にスイッチ素子Q1又はスイッチ素子Q2がオンになったときに流れる電流を模式的に表したものである。スイッチ素子Q1,Q2のゲートがHレベルになると、ゲートがHレベルとなったスイッチ素子のソース・ドレイン間には、例えば図15に示す電流波形の電流J1が共振電流として流れる。
電流J1がスイッチ素子Q1に流れる電流とすると、比較器CMP1は、共振電流の電流レベルに対応した端子P3の電圧と、第1の共振はずれ検出レベルIref1に対応する閾値電圧Vref1とを比較する。比較器CMP1は、端子P3の電圧が閾値電圧Vref1より低いとき、Hレベルを出力する。立ち上がり検出部936は、比較器CMP1の出力電圧に基づいて、閾値電圧Vref1以上の端子P3の電圧が、閾値電圧Vref1未満に変化したことを検出し、Hレベルに変化する検出パルス信号di/dtaを出力する。制御部933は、この検出パルス信号di/dtaにより、スイッチ素子Q1,Q2のゲートをオフする駆動パルス信号を生成する。
電流波形J1がスイッチ素子Q2に流れる電流とすると、比較器CMP2は、共振電流の電流レベルに対応した端子P3の電圧と、第2の共振はずれ検出レベルIref2に対応する閾値電圧Vref2とを比較する。比較器CMP2は、端子P3の電圧が閾値電圧Vref2より高いとき、Hレベルを出力する。立ち上がり検出部937は、比較器CMP2の出力電圧に基づいて、閾値電圧Vref2以下の端子P3の電圧が、閾値電圧Vref2を超えた電圧に変化したことを検出し、Hレベルに変化する検出パルス信号di/dtbを出力する。制御部933は、この検出パルス信号di/dtbにより、スイッチ素子Q1,Q2のゲートをオフする駆動パルス信号を生成する。
具体的には、立ち上がり検出部936又は立ち上がり検出部937からの検出パルス信号di/dta,di/dtbがHレベルになると、制御部933は、強制的に放電期間を終了させることで、スイッチ素子Q1,Q2のゲートをオフする制御を行う。
図13において、基準電圧生成部931は、基準電圧を生成し、駆動部932と、スイッチ素子Q1Hのソースと、スイッチ素子Q2Hのソースとに供給する。
駆動部932は、制御部933から供給される駆動パルス信号に基づいて、スイッチ素子Q1H,Q1L,Q2H,Q2Lのそれぞれのゲートに供給されるゲート信号を生成する。このとき、駆動部932は、スイッチ素子Q1H,Q1L,Q2H,Q2Lに対応した振幅レベルで、駆動パルス信号の周波数に応じた発振周波数のゲート信号を生成する。その結果、端子P6,P7から、デッドタイムを挟んでスイッチ素子Q1,Q2が交互にオンに制御するスイッチング信号が出力される。
図16に、電流共振回路900の起動時の動作例のタイミング図を示す。図16は、横軸に時間軸をとり、直流電源Vinの電圧、端子P7の電圧VGH、端子P6の電圧VGL、スイッチ素子Q1に流れる電流IDH、スイッチ素子Q2に流れる電流IDL、端子P3の電圧、比較器CMP1,CMP2の出力、検出パルス信号di/dta,di/dtb、端子P1の電圧のそれぞれの変化を模式的に表したものである。
電流共振回路900が起動しソフトスタート動作が開始されると、所定のソフトスタート電圧に対応した周波数のスイッチング信号が生成され、スイッチ素子Q1,Q2のスイッチングが開始される。しかしながら、時刻t1では、端子P3の電圧が、閾値電圧Vref1,Vref2に達していないため、共振はずれの状態となり、スイッチ素子Q1,Q2に過大なストレスがかかる。本来、入力監視部935は、このような状態になる入力電圧の低下を検出し、共振はずれの防止制御に寄与するが、図16では、説明の便宜上、入力監視部がない場合であって、低入力電圧時に共振はずれになった状態を示す。その後、直流電源Vinの入力電圧が高くなり、時刻t2において、端子P3の電圧が閾値電圧Vref1に達し、時刻t3において、端子P3の電圧が閾値電圧Vref2に達する。
時刻t2では、端子P3が閾値電圧Vref1以上の電圧から閾値電圧Vref1未満の電圧に変化するため、検出パルス信号di/dtaがHレベルに変化し、スイッチ素子Q1,Q2のゲートをオフすることで、共振はずれを防止する。時刻t3では、端子P3が閾値電圧Vref2以下の電圧から閾値電圧Vref2を超えた電圧に変化するため、検出パルス信号di/dtbがHレベルに変化し、スイッチ素子Q1,Q2のゲートをオフすることで、共振はずれを防止する。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の課題を解決するために必須の構成要件であるとは限らない。
〔第1の実施形態〕
〔電流共振回路の構成〕
図1に、本発明の第1の実施形態における電流共振回路の構成例の回路図を示す。図1において、図12と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。第1の実施形態における電流共振回路10は、図12の電流共振回路900と同様に、スイッチング電源を実現する一種の回路として、負荷200に直流電圧を供給する。電流共振回路10は、トランスTと、電流電圧変換部910と、電流共振制御部20と、直流電源Vinと、スイッチ素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2と、キャパシターC1,C2,C3とを備えている。また、電流共振回路10は、出力電圧検出部950と、ダイオードD3,D4と、キャパシターC4と、抵抗素子R1と、フォトダイオードPC1とを備えている。
電流共振回路10は、電流共振回路900とほぼ同様の構成を有している。即ち、トランスTの一次側では、直流電源Vinの両端の間に、直列に接続されたスイッチ素子Q1(ハイドスイッチ)及びスイッチ素子Q2(ローサイドスイッチ)を有する直列回路が接続される。このトランスTは、スイッチ素子Q2と並列に接続され一次側と二次側との間が絶縁される。また、トランスTの一次巻線T1と直列にキャパシターC3(共振コンデンサー)が接続される。このような電流共振回路10の構成が図12の電流共振回路900の構成と異なる点は、直流電源Vinの入力電圧を監視するための抵抗素子R14,R15が省略された点と、電流共振制御部920に代えて電流共振制御部20が設けられた点である。
電流共振制御部20は、制御手段としての制御回路100と、キャパシターC5,C6と、抵抗素子R2,R3と、フォトトランジスターPC2とを備えている。電流共振制御部20の構成が図12の電流共振制御部920の構成と異なる点は、制御回路930に代えて、端子P5が省略された構成を有する制御回路100が設けられた点である。そのため、制御回路100は、共振はずれ検出レベルとは別に、該共振はずれ検出レベルより低い検出レベルを設けて、共振電流に基づいて直流電源Vinの入力電圧の低下を検出することができるようになっている。
〔制御回路の構成〕
図2に、図1の制御回路100の構成例を示す。なお、図2では、制御回路100の端子P1に接続されるキャパシターC5、端子P2に接続される抵抗素子R2,R3、キャパシターC6、フォトトランジスターPC2についても図示している。図2において、図13と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
制御回路100には、端子P1,P2,P3,P4,P6,P7が設けられる。また、制御回路100は、基準電圧生成部110と、駆動部120と、制御部130と、ソフトスタート制御部150とを備えている。更に、制御回路100は、比較器CMP1,CMP2,CMP3,CMP4と、OR回路170,171と、立ち上がり検出部936,937と、スイッチ素子Q1H,Q2H,Q1L,Q2Lとを備えている。
端子P1には、ソフトスタート制御部150が接続される。端子P2には、駆動部120に接続された制御部130が接続される。端子P3には、比較器CMP1の反転入力端子と、比較器CMP2の非反転入力端子と、比較器CMP3の反転入力端子と、比較器CMP4の非反転入力端子とが接続される。端子P4には、制御回路100の基準電位源GNDが接続される。
端子P3の電圧は、図14に示したように、トランスTの一次巻線T1に流れる共振電流が電流電圧変換部910により変換された電圧である。即ち、スイッチ素子Q1がオンとなり、トランスTの一次巻線T1の一端から他端に向かって電流が流れる期間では、図14の抵抗素子R10の一端から他端に向かって電流が流れる。このとき、抵抗素子R10の両端の電圧を抵抗素子R11,R12により抵抗分割した正の電圧が、端子P3に供給される。
このような端子P3が反転入力端子に接続される比較器CMP1の非反転入力端子には、閾値電圧Vref1が供給される。閾値電圧Vref1は、スイッチ素子Q1を介してトランスTの一次巻線T1に流れる第1の共振はずれ検出レベルIref1の共振電流の電流レベルに対応した電圧であり、第1の共振はずれ検出レベルIref1に対応する。比較器CMP1は、第3の比較部として、閾値電圧Vref1と、端子P3の電圧とを比較する。また、端子P3が反転入力端子に接続される比較器CMP3の非反転入力端子には、閾値電圧Vref3が供給される。閾値電圧Vref3は、スイッチ素子Q1を介してトランスTの一次巻線T1に流れる第1の共振はずれ検出レベルIref1より低い第1の検出レベルIref3の共振電流の電流レベルに対応した電圧であり、第1の検出レベルIref3に対応する。なお、第1の検出レベルIref3は、定常入力電圧範囲での無負荷動作時の電流レベルに応じて決められることが望ましい。比較器CMP3は、第1の比較部として、閾値電圧Vref3と、端子P3の電圧とを比較する。
一方、スイッチ素子Q2がオンとなり、トランスTの一次巻線T1の他端から一端に向かって電流が流れる期間では、図14の抵抗素子R10の他端から一端に向かって電流が流れる。このとき、抵抗素子R10の両端の電圧を抵抗素子R11,R12により抵抗分割した負の電圧が、端子P3に供給される。
このような端子P3が非反転入力端子に接続される比較器CMP2の反転入力端子には、閾値電圧Vref2が供給される。閾値電圧Vref2は、スイッチ素子Q2を介してトランスTの一次巻線T1に流れる第2の共振はずれ検出レベルIref2の共振電流の電流レベルに対応した電圧であり、第2の共振はずれ検出レベルIref2に対応する。比較器CMP2は、第4の比較部として、閾値電圧Vref2と、端子P3の電圧とを比較する。また、端子P3が非反転入力端子に接続される比較器CMP4の反転入力端子には、閾値電圧Vref4が供給される。閾値電圧Vref4は、スイッチ素子Q2を介してトランスTの一次巻線T1に流れる第2の共振はずれ検出レベルIref2より低い第2の検出レベルIref4の共振電流の電流レベルに対応した電圧であり、第2の検出レベルIref4に対応する。なお、第2の検出レベルIref4は、定常入力電圧範囲での無負荷動作時の電流レベルに応じて決められることが望ましい。比較器CMP4は、第2の比較部として、閾値電圧Vref4と、端子P3の電圧とを比較する。
OR回路170は、2入力の論理和演算結果を出力する2入力OR回路であり、それぞれの入力端子には、比較器CMP1の出力端子と、比較器CMP3の出力端子とが接続される。OR回路171は、2入力の論理和演算結果を出力する2入力OR回路であり、それぞれの入力端子には、比較器CMP2の出力端子と、比較器CMP4の出力端子とが接続される。
立ち上がり検出部936の入力端子には、OR回路170の出力端子が接続され、立ち上がり検出部936の出力端子には、制御部130が接続される。立ち上がり検出部937の入力端子には、OR回路171の出力端子が接続され、立ち上がり検出部937の出力端子には、制御部130が接続される。
また、比較器CMP3,CMP4の出力端子には、ソフトスタート制御部150が接続される。
なお、比較器CMP1の出力は、スイッチ素子Q1がオンになる期間においてのみ制御部130に反映される。比較器CMP2の出力は、スイッチ素子Q2がオンになる期間においてのみ制御部130に反映される。比較器CMP3の出力は、スイッチ素子Q1がオンになる期間においてのみ制御部130及びソフトスタート制御部150に反映される。比較器CMP4の出力は、スイッチ素子Q2がオンになる期間においてのみ制御部130及びソフトスタート制御部150に反映される。
端子P6には、スイッチ素子Q2Hのドレインと、スイッチ素子Q2Lのドレインとが接続される。スイッチ素子Q2Hのソースには、基準電圧生成部110が接続される。スイッチ素子Q2Lのソースには、基準電位源GNDが接続される。スイッチ素子Q2H,Q2Lのそれぞれのゲートには、基準電圧生成部110が接続された駆動部120が接続される。
端子P7には、スイッチ素子Q1Hのドレインと、スイッチ素子Q1Lのドレインとが接続される。スイッチ素子Q1Hのソースには、基準電圧生成部110が接続される。スイッチ素子Q1Lのソースには、基準電位源GNDが接続される。スイッチ素子Q1H,Q1Lのそれぞれのゲートには、駆動部120が接続される。
図2の構成において比較器CMP3及び立ち上がり検出部936が、第1の検出部として機能するものとする。この場合、比較器CMP4及び立ち上がり検出部937は、第2の検出部として機能し、比較器CMP1及び立ち上がり検出部936は、第3の検出部として機能し、比較器CMP2及び立ち上がり検出部937は、第4の検出部として機能する。
〔制御回路の動作〕
以上のような構成を有する制御回路100の動作について、まず、図3、図4(A)、図4(B)、及び図5を用いて説明する。
図3に、制御回路100の動作フローの一例を示す。
図4(A)、図4(B)に、第1の共振はずれ検出レベルIref1、第2の共振はずれ検出レベルIref2、第1の検出レベルIref3、及び第2の検出レベルIref4の説明図を示す。図4(A)、図4(B)は、横軸に時間軸をとり、スイッチ素子Q1又はスイッチ素子Q2がオンになったときに流れる電流の変化を模式的に表したものである。図4(A)は、スイッチ素子Q1又はスイッチ素子Q2がオンになったときに流れる電流の電流レベルが共振はずれ検出レベルを超える場合の様子を表す。図4(B)は、スイッチ素子Q1又はスイッチ素子Q2がオンになったときに流れる電流の電流レベルが共振はずれ検出レベル未満で、共振はずれ検出レベルより低い検出レベルを超える場合の様子を表す。
図5に、閾値電圧Vref1,Vref2,Vref3,Vref4の説明図を示す。図5は、横軸に時間軸をとり、端子P3の電圧の変化を模式的に表したものである。
電流共振回路10が起動すると、スイッチ素子Q1,Q2が交互にオンして各スイッチ素子に電流が流れる。スイッチ素子Q1のゲートがHレベルになると、スイッチ素子Q1のソース・ドレイン間には、例えば図4(A)に示す電流波形の電流J2が共振電流として流れる。このようにスイッチ素子Q1に電流が流れる期間のとき(ステップS1:Y)、制御回路100は、第1の共振はずれ検出レベルIref1に基づいて、トランスTの一次巻線T1に流れる共振電流の電流レベルの変化を検出する(ステップS2)。ステップS2では、第1の共振はずれ検出ステップとして、制御回路100が、共振電流の第1の共振はずれ検出レベルIref1以上の電流レベルが、第1の共振はずれ検出レベルIref1未満に変化したか否かを検出する。
具体的には、ステップS2では、制御回路100は、比較器CMP1において、端子P3の電圧と、閾値電圧Vref1とを比較する。比較器CMP1は、端子P3の電圧が閾値電圧Vref1より低いとき、Hレベルを出力する。立ち上がり検出部936は、スイッチ素子Q1がオンになる期間において、比較器CMP1の出力電圧に基づいて、閾値電圧Vref1以上の端子P3の電圧が、閾値電圧Vref1未満に変化したことを検出する。立ち上がり検出部936は、この変化を検出したとき、Hレベルに変化する検出パルス信号di/dtaを出力する。
ステップS2における電流レベルの変化が検出されなかったとき(ステップS2:N)、制御回路100は、第1の検出レベルIref3に基づいて、共振電流の電流レベルの変化を検出する(ステップS3)。図4(A)に示すように、第1の検出レベルIref3は、第1の共振はずれ検出レベルIref1より低いレベルである。ステップS3では、第1の検出ステップとして、制御回路100が、共振電流の第1の検出レベルIref3以上の電流レベルが、第1の検出レベルIref3未満に変化したか否かを検出する。
具体的には、ステップS3では、制御回路100は、比較器CMP3において、端子P3の電圧と、閾値電圧Vref3とを比較する。閾値電圧Vref3は、図5に示すように閾値電圧Vref1より低電位側の正の電圧である。比較器CMP3は、端子P3の電圧が閾値電圧Vref3より低いとき、Hレベルを出力する。立ち上がり検出部936は、スイッチ素子Q1がオンになる期間において、比較器CMP3の出力電圧に基づいて、閾値電圧Vref3以上の端子P3の電圧が、閾値電圧Vref3未満に変化したことを検出する。立ち上がり検出部936は、この変化を検出したとき、Hレベルに変化する検出パルス信号di/dtaを出力する。これにより、図4(B)に示すような電流波形を有する電流J3についても、立ち上がり検出部936は、Hレベルに変化する検出パルス信号di/dtaを出力することができる。
ステップS3における電流レベルの変化が検出されなかったとき(ステップS3:N)、制御回路100は、ステップS1に戻って、処理を続ける(リターン)。
ステップS2における電流レベルの変化が検出されたとき(ステップS2:Y)、制御回路100は、制御部130においてスイッチ素子Q1,Q2のゲートをオフする制御を行うことで、共振はずれの防止制御を行う(ステップS4、制御ステップ)。また、ステップS3における電流レベルの変化が検出されたとき(ステップS3:Y)、制御回路100は、制御部130においてスイッチ素子Q1,Q2のゲートをオフする制御を行うことで、共振はずれの防止制御を行う(ステップS4)。
ステップS4の後、制御回路100は、ステップS1に戻って、処理を続ける(リターン)。
スイッチ素子Q2のゲートがHレベルになると、スイッチ素子Q2のソース・ドレイン間には、例えば図4(A)に示す電流波形の電流J2が共振電流として流れる。このようなスイッチ素子Q2に電流が流れる期間のとき(ステップS1:N、ステップS5:Y)、制御回路100は、第2の共振はずれ検出レベルIref2に基づいて、共振電流の電流レベルの変化を検出する(ステップS6)。ステップS6では、第2の共振はずれ検出ステップとして、制御回路100が、共振電流の第2の共振はずれ検出レベルIref2以上の電流レベルが、第2の共振はずれ検出レベルIref2未満に変化したか否かを検出する。
具体的には、ステップS6では、制御回路100は、比較器CMP2において、端子P3の電圧と、閾値電圧Vref2とを比較する。比較器CMP2は、端子P3の電圧が閾値電圧Vref2より高いとき、Hレベルを出力する。立ち上がり検出部937は、スイッチ素子Q2がオンになる期間において、比較器CMP2の出力電圧に基づいて、閾値電圧Vref2以下の端子P3の電圧が、閾値電圧Vref2を超えた電圧に変化したことを検出する。立ち上がり検出部937は、この変化を検出したとき、Hレベルに変化する検出パルス信号di/dtbを出力する。
ステップS6における電流レベルの変化が検出されなかったとき(ステップS6:N)、制御回路100は、第2の検出レベルIref4に基づいて、共振電流の電流レベルの変化を検出する(ステップS7)。図4(B)に示すように、第2の検出レベルIref4は、第2の共振はずれ検出レベルIref2より低いレベルである。ステップS7では、第2の検出ステップとして、制御回路100が、共振電流の第2の検出レベルIref4以上の電流レベルが、第2の検出レベルIref4未満に変化したか否かを検出する。
具体的には、ステップS7では、制御回路100は、比較器CMP4において、端子P3の電圧と、閾値電圧Vref4とを比較する。閾値電圧Vref4は、図5に示すように閾値電圧Vref2より高電位側の負の電圧である。比較器CMP4は、端子P3の電圧が閾値電圧Vref4より高いとき、Hレベルを出力する。立ち上がり検出部937は、スイッチ素子Q2がオンになる期間において、比較器CMP4の出力電圧に基づいて、閾値電圧Vref4以下の端子P3の電圧が、閾値電圧Vref4を超えた電圧に変化したことを検出する。立ち上がり検出部937は、この変化を検出したとき、Hレベルに変化する検出パルス信号di/dtbを出力する。これにより、図4(B)に示すような電流波形を有する電流J3についても、立ち上がり検出部937は、Hレベルに変化する検出パルス信号di/dtbを出力することができる。
ステップS7における電流レベルの変化が検出されなかったとき(ステップS7:N)、制御回路100は、ステップS1に戻って、処理を続ける(リターン)。
ステップS6における電流レベルの変化が検出されたとき(ステップS6:Y)、制御回路100は、制御部130においてスイッチ素子Q1,Q2のゲートをオフする制御を行うことで共振はずれの防止制御を行う(ステップS8、制御ステップ)。また、ステップS7における電流レベルの変化が検出されたとき(ステップS7:Y)、制御回路100は、制御部130においてスイッチ素子Q1,Q2のゲートをオフする制御を行うことで共振はずれの防止制御を行う(ステップS8)。
ステップS8の後、制御回路100は、ステップS1に戻って、処理を続ける(リターン)。
以上のように、比較器CMP3及び立ち上がり検出部936によりスイッチ素子Q1がオンの期間で共振はずれの防止制御を行い、比較器CMP4及び立ち上がり検出部937によりスイッチ素子Q2がオンの期間で共振はずれの防止制御を行うことができる。これにより、共振はずれ検出レベルより低い検出レベルにより、直流電源の入力電圧の低下をパルスバイパルスで検出して、共振はずれの防止制御を行うことができるようになる。従って、第1の実施形態によれば、部品点数を削減し、より確実に、安全に起動や切断が可能な電流共振回路の制御回路やその制御方法等を提供することができるようになる。
更に、比較器CMP1及び立ち上がり検出部936により、共振電流の第1の共振はずれ検出レベル以上の電流レベルが、第1の共振はずれ検出レベル未満の電流レベルに変化したことを検出し、この検出結果に基づいて共振はずれの防止制御を行うことができる。これにより、第1の共振はずれ検出レベルとは別の第1の検出レベルを設けるようにしたため、第1の共振はずれ検出レベルをできるだけ高いレベルに設定して、共振はずれを防止することもでき、より信頼性を向上させることが可能となる。
更にまた、比較器CMP1及び立ち上がり検出部936によりスイッチ素子Q1がオンの期間で共振はずれの防止制御を行い、比較器CMP2及び立ち上がり検出部937によりスイッチ素子Q2がオンの期間で共振はずれの防止制御を行うことができる。これにより、共振はずれ検出レベルにより共振はずれになりそうな入力電圧の低下をパルスバイパルスで検出して、共振はずれの防止制御を行うことができるようになる。従って、第1の実施形態によれば、より確実に、安全に起動や切断が可能な電流共振回路の制御回路やその制御方法等を提供することができるようになる。
なお、図3において、ステップS2及びステップS3の順序を入れ替えてもよいし、同時に行うようにしてもよい。同様に、ステップS6及びステップS7の順序を入れ替えてもよいし、同時に行うようにしてもよい。
以上のように、制御回路100は、従来と同様に、図4(A)に示すような電流J2に対して、できるだけ高いレベルで共振はずれを検出し、共振はずれの防止制御を行うことができる。更に、端子P5及び図14のような入力監視部を備えることなく、制御回路100は、直流電源Vinの入力電圧が低くなり、図4(B)に示すような電流J3になった場合でも、これを検出して共振はずれの防止制御を行うことができる。
このような制御回路100を構成する各部は、次のように動作する。制御部130は、制御部933と同様に、端子P2の電圧が第1の電圧V1に達するまでの充電期間では、定電流源によりキャパシターC6に電荷を充電し、その後の放電期間では、電荷の充電を停止する。キャパシターC6に充電された電荷は、抵抗素子R2により、常時、放電されると共に、フォトトランジスターPC2において受光される光量に応じて、抵抗素子R3及びフォトトランジスターPC2により放電される。放電期間では、端子P2の電圧は時間の経過に従って降下し、制御部130は、第2の電圧V2に達すると、再び、充電期間となり、上記の定電流源によりキャパシターC6への電荷の充電を開始する。制御部933は、このような充電期間及び放電期間に応じて電圧レベルが変化する駆動パルス信号を生成する。
例えば、放電期間の長さは、端子P2の電圧や端子P2に接続されるキャパシターC6から電荷を引き抜く電流駆動能力によって調整することができる。従って、制御部130は、端子P2の電圧や電流駆動能力に対応した周波数の駆動パルス信号を生成することができる。
ソフトスタート制御部150は、スイッチ素子Q1,Q2のオンオフ制御を行うスイッチング信号の発振周波数を所与のソフトスタート周波数でソフトスタート動作させる。このとき、ソフトスタート制御部150は、端子P1の電圧に応じて、端子P2に接続されるキャパシターC6から電荷を引き抜く電流駆動能力を制御する。そのため、ソフトスタート制御部150は、制御回路100の動作が開始されると、端子P1に接続されるキャパシターC5の充電を開始する。端子P1の電圧が低い場合、キャパシターC6から電荷を引き抜く電流駆動能力を高くすることで、上記の放電期間を短くし、駆動パルス信号の周波数を高くすることができる。
立ち上がり検出部936又は立ち上がり検出部937は、パルス信号di/dta,di/dtbを制御部130に対して出力することで、制御部130は、放電期間を短縮して、共振はずれの防止制御を行う。
また、ソフトスタート制御部150には、対応するスイッチ素子がオンの期間において、比較器CMP3,CMP4の出力電圧が供給され、端子P3の電圧と閾値電圧Vref3,Vref4との比較結果が通知される。これにより、ソフトスタート制御部150は、共振電流の電流レベルが第1の検出レベル又は第2の検出レベル未満になったことを検知することで直流電源Vinの入力電圧が低くなったことを検知することができる。そして、ソフトスタート制御部150は、端子P1の電圧を、所与のソフトスタート電圧に設定し、駆動パルス信号の周波数を高くする。この結果、スイッチ素子Q1,Q2のスイッチング周波数が高くなり、所与のソフトスタート電圧に対応したソフトスタート周波数でソフトスタート動作させることができるようになる。
基準電圧生成部110は、基準電圧を生成し、駆動部120と、スイッチ素子Q1Hのソースと、スイッチ素子Q2Hのソースとに供給する。
駆動部120は、制御部130から供給される駆動パルス信号に基づいて、スイッチ素子Q1H,Q1L,Q2H,Q2Lのそれぞれのゲートに供給されるゲート信号を生成する。このとき、駆動部120は、スイッチ素子Q1H,Q1L,Q2H,Q2Lに対応した振幅レベルで、駆動パルス信号の周波数に応じた発振周波数のゲート信号を生成する。その結果、端子P6,P7から、デッドタイムを挟んでスイッチ素子Q1,Q2が交互にオンに制御するスイッチング信号が出力される。
図6に、電流共振回路10の動作例のタイミング図を示す。図6は、横軸に時間軸をとり、直流電源Vinの電圧、端子P7の電圧VGH、端子P6の電圧VGL、スイッチ素子Q1に流れる電流IDH、スイッチ素子Q2に流れる電流IDL、検出パルス信号di/dta,di/dtb、及び端子P1の電圧のそれぞれの変化を模式的に表したものである。
図6に示すように直流電源Vinの入力電圧が低くなると、スイッチ素子Q1,Q2に流れる共振電流の電流レベルのピーク値も低くなる。このとき、対応するスイッチ素子がオンの期間において、第1の共振はずれ検出レベルIref1又は第2の共振はずれ検出レベルIref2により、Hレベルに変化する検出パルス信号di/dta,di/dtbが出力される。これにより、対応するスイッチ素子のゲートをオフする制御を行うことで、スイッチング信号の発振周波数を高くて、共振はずれを防止する。
更に、入力電圧が低くなると、対応するスイッチ素子がオンの期間において、より低い第1の検出レベルIref3又は第2の検出レベルIref4により、Hレベルに変化する検出パルス信号di/dta,di/dtbが出力される。このとき、ソフトスタート制御部150は、比較器CMP3,CMP4の出力に基づいて、入力電圧が低くなったことを検知することができるので、端子P1の電圧を所与のソフトスタート電圧に設定する。端子P1の電圧をソフトスタート電圧に設定することで、スイッチング信号の発振周波数が、ソフトスタート電圧に対応したソフトスタート周波数に設定される。
以上のように、起動時や停止時に入力電圧が低くなった場合、スイッチ素子Q1,Q2のゲートをオフする制御を行うことで、スイッチング信号の発振周波数を高くして、共振はずれを防止する。また、外部の付加回路を設けた入力監視機能がなくても、端子P1の電圧を所与のソフトスタート電圧に設定することができるので、スイッチング信号の発振周波数を高くし、安全に起動を行うことができる。
〔制御回路の詳細な構成例〕
次に、図2の制御回路100の詳細な構成例について説明する。
図7に、図2の制御回路100の詳細な構成例の回路図を示す。図7において、図2と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図7は、対応するスイッチ素子がオンの期間において各比較器の出力を有効にするため、AND回路122,123の出力により、各比較器の出力がマスク制御される制御回路100の構成例を表している。制御回路100は、基準電圧生成部110と、駆動部120と、制御部130と、ソフトスタート制御部150とを備えている。また、制御回路100は、比較器CMP1,CMP2,CMP3,CMP4と、OR回路170,171,172と、AND回路181,182,183,184と、立ち上がり検出部936,937と、スイッチ素子Q1H,Q2H,Q1L,Q2Lとを備えている。
AND回路181は、2入力論理積演算結果を出力する2入力AND回路であり、それぞれの入力端子には、比較器CMP1の出力端子と、AND回路123の出力に対応したデッドタイム生成部124の第1の出力端子とが接続される。AND回路181の出力端子には、OR回路170の入力端子が接続される。
AND回路182は、2入力論理積演算結果を出力する2入力AND回路であり、それぞれの入力端子には、比較器CMP2の出力端子と、AND回路122の出力に対応したデッドタイム生成部124の第2の出力端子とが接続される。AND回路182の出力端子には、OR回路171の入力端子が接続される。
AND回路183は、2入力論理積演算結果を出力する2入力AND回路であり、それぞれの入力端子には、比較器CMP3の出力端子と、AND回路123の出力に対応したデッドタイム生成部124の第1の出力端子とが接続される。AND回路183の出力端子には、OR回路170の入力端子が接続される。
AND回路184は、2入力論理積演算結果を出力する2入力AND回路であり、それぞれの入力端子には、比較器CMP4の出力端子と、AND回路122の出力に対応したデッドタイム生成部124の第2の出力端子とが接続される。AND回路184の出力端子には、OR回路171の入力端子が接続される。
OR回路172は、2入力の論理和演算結果を出力する2入力OR回路であり、それぞれの入力端子には、立ち上がり検出部936の出力端子と、立ち上がり検出部937の出力端子とが接続される。OR回路172の出力端子には、制御部130が接続される。
制御部130は、定電流源ISと、P型MOSFET131と、ヒステリシスコンパレーター132と、NOR回路133とを備えている。ヒステリシスコンパレーター132は、比較器134と、切替部135とを備えている。
定電流源ISの一端には、高電位側電源が接続され、定電流源ISの他端には、MOSFET131のソースが接続される。MOSFET131のゲートには、NOR回路133の出力端子が接続される。MOSFET131のドレインには、端子P2と、比較器134の非反転入力端子とが接続される。
比較器134の反転入力端子には、NOR回路133の出力信号D(駆動パルス信号)により切替制御が行われる切替部135が接続される。切替部135には、第1の電圧V1を出力する電圧源と、第2の電圧V2を出力する電圧源とが接続される。
NOR回路133は、2入力の否定論理和演算結果を出力する2入力NOR回路であり、それぞれの入力端子には、ヒステリシスコンパレーター132(比較器134)の出力端子と、OR回路172の出力端子とが接続される。
駆動部120は、T型フリップフロップ121と、AND回路122,123と、デッドタイム生成部124と、基準電圧生成部110に接続されたレベルシフター125とを備えている。
T型フリップフロップ121の入力端子(T端子)には、NOR回路133の出力端子が接続される。T型フリップフロップ121の第1の出力端子(Q端子)には、AND回路123の入力端子が接続される。T型フリップフロップ121の第2の出力端子(XQ端子)には、AND回路122の入力端子が接続される。
AND回路122は、2入力の論理積演算結果を出力する2入力AND回路であり、もう一方の入力端子には、NOR回路133の出力端子が接続される。AND回路123は、2入力の論理積演算結果を出力する2入力AND回路であり、もう一方の入力端子には、NOR回路133の出力端子が接続される。AND回路122の出力端子には、デッドタイム生成部124が接続される。AND回路123の出力端子には、デッドタイム生成部124が接続される。
デッドタイム生成部124の第1の出力端子及び第2の出力端子には、レベルシフター125の第1の入力端子及び第2の入力端子が接続される。レベルシフター125の第1の出力端子には、スイッチ素子Q2H,Q2Lのゲートが接続され、レベルシフター125の第2の出力端子には、スイッチ素子Q1H,Q1Lのゲートが接続される。
ソフトスタート制御部150は、差動アンプ151と、N型MOSFET152と、比較出力ラッチ部153と、INV回路154と、アナログスイッチ155,156と、バッファー回路157,158とを備えている。
差動アンプ151の非反転入力端子には、端子P1が接続される。差動アンプ151の反転入力端子には、所与の基準電圧V0を出力する電圧源が接続される。差動アンプ151の出力端子には、MOSFET152のゲートが接続される。MOSFET152のドレインには、端子P2が接続される。MOSFET152のソースには、基準電位源GNDが接続される。
比較出力ラッチ部153の入力端子には、AND回路183の出力端子と、AND回路184の出力端子とが接続される。比較出力ラッチ部153の出力端子には、INV回路154の入力端子と、アナログスイッチ155の第1の制御端子と、アナログスイッチ156の第2の制御端子とが接続される。比較出力ラッチ部153は、入力信号としてAND回路183の出力信号又はAND回路184の出力信号の変化タイミング(立ち下がりエッジ)を基準にスイッチング信号の1サイクルの期間、2つの入力信号の否定論理和演算結果をラッチする。
INV回路154は、1入力の否定演算結果を出力する1入力INV回路である。INV回路154の出力端子には、アナログスイッチ155の第2の制御端子と、アナログスイッチ156の第1の制御端子とが接続される。アナログスイッチ155は、端子P1と、バッファー回路157の出力端子との間に接続される。アナログスイッチ155は、比較出力ラッチ部153の出力端子がLレベルのとき、端子P1とバッファー回路157の出力端子とを接続する。アナログスイッチ156は、端子P1と、バッファー回路158の出力端子との間に接続される。アナログスイッチ156は、比較出力ラッチ部153の出力端子がHレベルのとき、端子P1とバッファー回路158の出力端子とを接続する。
バッファー回路157は、その出力端子とその反転入力端子とが接続されたオペアンプを有し、該オペアンプの非反転入力端子には、電圧Vss1を出力する電圧源が接続される。バッファー回路158は、その出力端子とその反転入力端子とが接続されたオペアンプを有し、該オペアンプの非反転入力端子には、電圧Vss2を出力する電圧源が接続される。電圧Vss1は、ソフトスタート周波数に対応したソフトスタート電圧である。Vss2は、スイッチング信号の最低周波数に対応した電圧であり、電圧Vss1より高い電圧である。
図8に、制御部130の動作タイミングの一例を示す。図8は、横軸に時間軸をとり、端子P2の電圧、ヒステリシスコンパレーター132の出力であるノードBの電圧、OR回路172の出力であるノードCの電圧、及びNOR回路133の出力であるノードDの電圧のそれぞれの変化を模式的に表したものである。
例えばノードB,CがLレベルでノードDがHレベルのとき、切替部135が、第1の電圧V1を比較器134の反転入力端子に供給する。比較器134は、端子P2の電圧と第1の電圧V1とを比較し、端子P2の電圧が第1の電圧V1より低いとき、ノードBにLレベルを出力する。このとき、MOSFET131がオフであり、キャパシターC6の放電期間Tdとなる。放電期間Tdでは、端子P2の電圧が徐々に降下し、端子P2の電圧が第2の電圧V2に達するまで、比較器134は、Lレベルを出力する。
端子P2の電圧が第2の電圧V2に達すると、比較器134は、ノードBにHレベルを出力する。これにより、ノードDがLレベル、MOSFET131がオンとなり、キャパシターC6の充電期間Tcが開始される。ノードDがLレベルのとき、切替部135が、第2の電圧V2を比較器134の反転入力端子に供給する。比較器134は、端子P2の電圧と第2の電圧V2とを比較し、端子P2の電圧が第2の電圧V2より高いとき、Hレベルを出力する。充電期間Tcでは、定電流源ISによりキャパシターC6が充電され、端子P2の電圧が上昇し、端子P2の電圧が第1の電圧V1に達するまで、比較器134は、Hレベルを出力する。
端子P2の電圧が第1の電圧V1に達すると、比較器134は、ノードBにLレベルを出力する。これにより、ノードDがHレベル、MOSFET131がオフとなり、キャパシターC6の放電期間Tdが再び開始される。これ以降、同様に繰り返す。
キャパシターC6の充放電が繰り返される間に、検出パルス信号di/dta,di/dtbにより、ノードCがHレベルになると、ノードDがLレベルとなる。従って、放電期間TdにおいてノードCがHレベルになると、MOSFET131がオンとなり、キャパシターC6の放電期間Tdが短縮され、充電期間Tcが開始される。
図9に、駆動部120の動作タイミングの一例を示す。図9は、横軸に時間軸をとり、NOR回路133の出力であるノードDの電圧、T型フリップフロップ121のQ端子の電圧、XQ端子の電圧、AND回路122の出力であるノードaの電圧、AND回路123の出力であるノードbの電圧、端子P7の電圧VGH、及び端子P6の電圧VGLの電圧のそれぞれの変化を模式的に表したものである。
図9は、タイミングta,tb,tcでHレベルに変化する検出パルス信号di/dta,di/dtbにより、駆動パルス信号であるノードDの電圧が、Hレベル又はLレベルに切り替わる周波数が高くなる例を表す。T型フリップフロップ121は、ノードDの駆動パルス信号の立ち上がりタイミングに同期して、Q端子の出力レベルを反転して出力することを繰り返す。XQ端子は、Q端子の出力レベルを反転したレベルを出力する。従って、AND回路122の出力であるノードaと、AND回路123の出力であるノードbとには、ノードDの駆動パルス信号のHレベルのパルスが交互に伝達される。デッドタイム生成部124は、ノードa,bの信号に基づいてスイッチング信号がデッドタイムを設ける制御を行う。レベルシフター125は、デッドタイム生成部124の出力信号の振幅レベルを、スイッチ素子Q1H,Q1L,Q2H,Q2Lに揃える。この結果、端子P6,P7から出力されるスイッチング信号は、ノードDの駆動パルス信号がLレベルの期間がデッドタイムとなると共に、交互にHレベルとなる。
ここで、タイミングta,tb,tcにおいてノードCがHレベルに変化することによりノードDがLレベルとなるため、端子P6,P7の電圧がLレベルとなり、スイッチ素子Q1,Q2をオフすることができる。その結果、スイッチ素子Q1,Q2をスイッチングするスイッチング信号の周波数が高くなる。
図10に、図7の制御回路100を備えた電流共振回路10の起動時の動作タイミングの一例を示す。図10は、横軸に時間軸をとり、直流電源Vinの電圧、端子P7の電圧VGH、端子P6の電圧VGL、スイッチ素子Q1の電流IDH、スイッチ素子Q2の電流IDL、端子P3の電圧、比較器CMP1〜CMP4の各出力電圧、検出パルス信号di/dta,di/dtb、端子P1の電圧、ノードAの電圧、端子P2の電圧、ノードB,C,Dの電圧のそれぞれの変化を模式的に表したものである。
電流共振回路10が起動されると、直流電源Vinの入力電圧が徐々に高くなる。直流電源Vinの入力電圧が低い段階では、比較器CMP3,CMP4の出力がHレベルとなり、比較出力ラッチ部153は、その否定論理和演算結果をラッチすることにより、ノードAがHレベルとなる。従って、端子P1は、バッファー回路157により電圧Vss1が印加され、キャパシターC5は、端子間電圧が電圧Vss1になる。差動アンプ151は、電圧V0と端子P1の電圧との差分に応じてMOSFET152のゲートを制御する。これにより、MOSFET152のソース・ドレイン間のインピーダンスが低くなり、高い電流駆動能力で端子P2に接続されるキャパシターC6の電荷が引き抜かれる。その結果、キャパシターC6の放電期間が短くなり、スイッチ素子Q1,Q2をスイッチングするスイッチング信号の発振周波数が高くなる。
そして、直流電源Vinの入力電圧が高くなり、時刻t10において端子P3の電圧が閾値電圧Vref4未満になると、比較出力ラッチ部153はHレベルをラッチしてHレベルを出力し、ノードAの電圧がLレベルとなる。従って、端子P1には、バッファー回路158により電圧Vss2が印加される。その後、時刻t11においても、端子P3の電圧が閾値電圧Vref3を超えて、比較出力ラッチ部153はHレベルを出力し、端子P1は、バッファー回路158により電圧Vss2が印加される。これ以降、スイッチング信号の1周期毎に比較器CMP3,CMP4の出力が変化し、1周期毎に比較器CMP3,CMP4の出力の否定論理和演算結果が比較出力ラッチ部153にラッチされるため、ノードAはLレベルに固定される。
時刻t10以降では、差動アンプ151は、電圧V0と端子P1の電圧との差分に応じてMOSFET152のゲートを制御して、MOSFET152のソース・ドレイン間のインピーダンスを上げる。この結果、端子P2の電圧が第2の電圧V2に達するまでの期間が徐々に長くなり、スイッチング信号の発振周波数が徐々に低くなる。
時刻t12では、端子P3の電圧が閾値電圧Vref3以上となり、時刻t13では、端子P3の電圧が閾値電圧Vref3未満に変化したため、検出パルス信号di/dtaがHレベルに変化する。その結果、ノードDがLレベルとなり、端子P6,端子P7の電圧はLベルとなってスイッチ素子Q1,Q2をオフする。
時刻t14では、端子P3の電圧が、閾値電圧Vref4以下から閾値電圧Vref4を超えた電圧に変化したため、検出パルス信号di/dtbがHレベルに変化する。その結果、ノードDがLレベルとなり、端子P6,端子P7の電圧はLベルとなってスイッチ素子Q1,Q2をオフする。
時刻t15では、端子P3の電圧が、閾値電圧Vref1以上から閾値電圧Vref1未満の電圧に変化したため、検出パルス信号di/dtaがHレベルに変化する。その結果、ノードDがLレベルとなり、端子P6,端子P7の電圧はLベルとなってスイッチ素子Q1,Q2をオフする。
時刻t16では、端子P3の電圧が、閾値電圧Vref2以下から閾値電圧Vref2を超えた電圧に変化したため、検出パルス信号di/dtbがHレベルに変化する。その結果、ノードDがLレベルとなり、端子P6,端子P7の電圧はLベルとなってスイッチ素子Q1,Q2をオフする。
時刻t16以降は、スイッチ素子Q1,Q2のオン期間に、共振はずれ検出レベル及び検出レベルを下回ることがないため、検出パルス信号di/dta,di/dtbはHレベルに変化しない。
以上説明したように、第1の実施形態によれば、共振はずれ検出レベルとは別に、該共振はずれ検出レベルより低い検出レベルを設け、共振電流に基づいて直流電源Vinの入力電圧の低下を検出し、共振はずれの防止制御を行うことができるようになる。これにより、抵抗素子R14,R15が不要となり、制御回路100の内部に、端子P5や入力監視部を設ける必要がなくなる。従って、損失の増大、誤動作の可能性、部品点数の増加、実装面積の増大を大幅に抑えることができる電流共振回路の制御回路を提供することができるようになる。このとき、共振はずれ検出レベルとは別の検出レベルを設けるようにしたため、共振はずれ検出レベルをできるだけ高いレベルに設定することができ、スイッチ素子に過大な負荷を与えることなく、安全に起動や停止を行い、且つ、信頼性を向上させることができる。
〔第2の実施形態〕
第1の実施形態では、共振はずれ検出レベルにより検出できないような入力電圧のとき、共振はずれの防止制御を行うものとして説明したが、本発明に係る実施形態は、これに限定されるものではない。
図11に、本発明の第2の実施形態における電流共振回路の制御回路の構成例を示す。図11において、図2と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。第2の実施形態における制御回路100aは、基準電圧生成部110と、駆動部120と、制御部130と、ソフトスタート制御部150とを備えている。更に、制御回路100aは、比較器CMP1,CMP2,CMP3,CMP4と、立ち上がり検出部936,937と、スイッチ素子Q1H,Q2H,Q1L,Q2Lとを備えている。図1の電流共振回路10において、制御回路100に代えて制御回路100aを設けることができる。
制御回路100aの構成が図2に示す制御回路100の構成と異なる点は、制御回路100aにおいてOR回路170,172が省略されている点である。制御回路100aの動作については、制御回路100と同様であり、詳細な説明を省略する。また、制御回路100aの詳細な構成例については、図7と同様であるため、図示及び説明を省略する。
以上のような構成を有する第2の実施形態によれば、共振はずれ検出レベルとは別に、該共振はずれ検出レベルより低い検出レベルを設けて、共振電流に基づいて直流電源Vinの入力電圧の低下を検出して、ソフトスタート制御を行うことができるようになる。これにより、抵抗素子R14,R15が不要となり、制御回路100の内部に、端子P5や入力監視部を設ける必要がなくなる。従って、損失の増大、誤動作の可能性、部品点数の増加、実装面積の増大を大幅に抑えることができる電流共振回路の制御回路を提供することができるようになる。このとき、共振はずれ検出レベルとは別の検出レベルを設けるようにしたため、共振はずれ検出レベルをできるだけ高いレベルに設定することができ、安全に起動や停止を行い、且つ、信頼性を向上させることができる。
以上、本発明に係る電流共振回路の制御方法、及び電流共振回路の制御方法等を上記のいずれかの実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記のいずれかの実施形態に限定されるものではない。例えば、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、次のような変形も可能である。
(1)上記のいずれかの実施形態における電流共振回路として、図1に示す構成を有するものとして説明したが、本発明は、図1に示す構成の電流共振回路に限定されるものではない。
(2)上記のいずれかの実施形態における制御回路は、主として、端子P1,P2によりスイッチ素子のスイッチング信号の周波数を制御するものとして説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
(3)上記のいずれかの実施形態における制御回路において、第1の共振はずれ検出レベルIref1及び第2の共振はずれ検出レベルIref2の他に、第1の検出レベルIref3及び第2の検出レベルIref4を設ける例を説明した。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではない。本発明に係る制御回路は、第1の共振はずれ検出レベルIref1及び第2の共振はずれ検出レベルIref2の一方を省略して共振はずれの防止制御を行ってもよい。こうすることで、共振はずれをパルスバイパルスで検出する必要がない場合には、比較器を1つ省略することができる。また、本発明に係る制御回路は、第1の検出レベルIref3及び第2の検出レベルIref4の一方を省略して共振はずれの防止制御を行ったりしてもよい。こうすることで、検出レベルを用いてパルスバイパルスで検出する必要がない場合には、比較器を1つ省略することができる。
(4)上記のいずれかの実施形態における制御回路は、電流電圧変換部910により共振電流の電流レベルを電圧に変換し、変換後の電圧と、検出レベルに対応した閾値電圧とを比較するものとして説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
(5)上記のいずれかの実施形態における制御回路として、図2、図7、又は図11の構成を有するものとして説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。例えば、制御回路100,100aは、図2等において外部に接続されるキャパシターC5,C6、抵抗素子R2,R3、及びフォトトランジスターPC2の少なくとも1つを内蔵する構成を有していてもよい。
(6)上記のいずれかの実施形態において、本発明を電流共振回路の制御回路、及び電流共振回路の制御方法等として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、本発明に係る電流共振回路の制御方法の処理手順が記述されたプログラム、このプログラムが記録された記録媒体であってもよい。