JP4307916B2 - テープ送りローラ制御方法および半導体実装装置 - Google Patents
テープ送りローラ制御方法および半導体実装装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子(チップという)などが実装されたフィルム状のテープを走行させる送りローラの制御を行うテープ送りローラ制御方法およびそのテープ送りローラ制御を行って半導体実装を行う半導体実装装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、半導体実装装置として、フィルム状のテープを走行させてチップを実装するTCP(Tape Carrier Package)方式を採用したものが普及している。
【0003】
このTCP方式の半導体実装装置の1つとして、テープにインナリードボンディングされた半導体素子を樹脂でポッティング(液体の樹脂を塗布すること一般をいい、アンダーフィルも含む)したのち、そのポッティングされたものを熱硬化する半導体実装装置が知られている。このような半導体実装装置において、キャリアテープを位置精度良く、正確に停止させる装置も知られている(特許文献1参照)。
【0004】
図6は、この種の半導体実装装置の主な処理工程を概略的に示すもので、ポッティングを行うポッティング工程箇所と、ポッティングされた樹脂を硬化させる樹脂硬化工程箇所が存在する。
【0005】
ポッティング工程を行う部分には、ここでは図示しないテープ供給装置からのチップ付きのテープ100を前方(矢印X方向)に送る送りローラ101とテープ100にテンションをかけるためのテンションローラ102が配置される。そして、さらにそのテープ100の表面に実装されたチップ103に対して熱硬化樹脂を吐出するポッティング部104と、ポッティング部104の前後でテープ100をクランプする1対のクランパ105a,105bが設けられている。
【0006】
このポッティング工程では、テンションローラ102と送りローラ101との間のテープ100に対しテンションをかけた状態で、しかも、1対のクランパ105a,105bでテープ100をクランプした状態にしてポッティングの位置決めなどを行った後に、ポッティング部104によってチップ103およびその周囲に樹脂を塗布している。これによってチップ103が樹脂によって封止される。
【0007】
そして、ある1つのチップ103に対するポッティングが終了すると、1対のクランパ105a,105bのクランプが解除され、送りローラ101によって樹脂硬化工程に送られる。
【0008】
このとき、樹脂硬化工程の後段側に設けられる送りローラ106も送りローラ101と同期して回転し、送りローラ101(第1の送りローラ101という)と送りローラ106(第2の送りローラ106という)との間でテープ100がたるまないようにしてテープ送りを行う。そして、テープ100が所定量送られた後、次のチップ103がポッティング位置に到達すると、テープ走行が一旦停止して、1対のクランパ105a,105bがクランプ動作を行って、ポッティングの位置決めなどを行った後に樹脂の塗布を行う。
【0009】
このように、この半導体実装装置は、第1の送りローラ101と第2の送りローラ106が同期して回転・停止を繰り返すことで、テープ100を間欠送りしている。なお、第1の送りローラ101と第2の送りローラ106の駆動源はそれぞれパルスモータが用いられるのが一般的である。また、これら第1および第2の送りローラ101,106は、テープ接触面となるローラの周縁部がシリコンゴムなどのゴム材で形成されたいわゆるゴムローラが広く用いられている。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−68550号公報(第6〜第7頁、図1、図2)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述した半導体実装装置では、ポッティング工程でポッティング動作を行っている間は、テープ100の走行を停止し、ポッティング動作が終了すると、テープ100を走行させるという間欠的なテープ送りを行っている。このような間欠送りを行う場合、第1のローラ101から先に配置されるテープ走行路が長かったり、そのテープ走行路にレールなどのテープ走行に抵抗を与えるような部材が存在したりすると、ポッティング動作が終了してテープ100の走行を再開させるとき、たとえ、第1のローラ101と第2のローラ106が同期して同時に回転したとしても、テープ100が第1の送りローラ101を通過した後でテープ100に図6の破線で囲った円形枠Cに示すような上側に折れ曲がるようなたわみ(以下、折れ曲がり部Wという)が生じやすい。
【0012】
この図6の場合は、テープ100の上側に折れ曲がり部Wが生じた例を示しているが、テープ100の下側にテープ100を下から支える支持板などがない場合などには下側に折れ曲がる場合もある。
【0013】
また、第1の送りローラ101と第2の送りローラ106のテープ送り速度が設定誤差によって微妙に違う場合もある。特に、第2の送りローラ106が第1の送りローラ101よりも、テープ送り速度がわずかに遅い場合には、第1の送りローラ101と第2の送りローラ106との間のテープ100にテンションがない状態でテープ走行がなされることとなる。
【0014】
したがって、その状態でテープ走行が停止すると、第1の送りローラ101と第2の送りローラ106と間のテープ100にわずかなたるみが生じたまま、テープ100の走行が停止した状態となる場合がある。この状態で、再び、テープ走行が再開されると、上述した現象、すなわち、第1の送りローラ101を通過した後でテープ100に折れ曲がり部Wが生じる現象が現れやすくなる。
【0015】
本来、第1の送りローラ101と第2の送りローラ106は、その外径(ローラ径)が同じであって、パルスモータによって同じテープ送り速度となるように駆動されるのが一般的であるが、これら第1の送りローラ101と第2の送りローラ106がゴムローラであると、長期間の使用によるゴムの磨耗などによって、両者のローラ径に違いが生じて、送り速度が微妙に異なってくる場合がある。また、ゴムローラの場合、製造段階でそのローラ径にばらつきのあることも考えられる。
【0016】
これらの理由から、第1の送りローラ101と第2の送りローラ106のテープ送り速度が微妙に違ってくることがあり、それが上述したような現象、すなわち、テープ走行を再開させたとき、第1の送りローラ101を通過した後でテープ100に折れ曲がり部Wが生じる要因の一つとなると考えられる。
【0017】
また、この種の半導体実装装置にあっては、ポッティング工程後で、テープ100がたるまないようにすることが重要である。そのため、第1の送りローラ101のテープ送り速度を基準として、第2の送りローラ106は、テープ100が第1の送りローラ101と第2の送りローラ106間でテープ100にたるみが生じない程度にテープ送りを行うようになっているのが一般的である。すなわち、第1の送りローラ101側のトルクの方が第2の送りローラ106のトルクよりも大きくしてある。このトルクの差も、テープ100が第1の送りローラ101を通過した後でテープ100に図6で示すような折れ曲がり部Wを生じやすくさせる要因のひとつと考えられる。
【0018】
なお、このような折れ曲がり部Wは、テープ100が薄いほど発生しやすくなる。最近では、TAB(Tape Automated Bonding)やCOF(Chip On Film)の一部には、厚みが25μm程度のごく薄いテープが使用されることも多く、このような薄いテープ100は特にたわみやすい。テープ100が図6の例のように折れ曲がると、テープ100そのものを損傷させる恐れもあるだけでなく、その部分に実装されているチップ103やボンディング状態に悪影響を及ぼす場合もある。
【0019】
すなわち、テープ100が図6の例のように折れ曲がると、その折れ曲がり部Wに、たとえば、インナリードボンディングなどによってボンディグされたチップ103が存在した場合、チップ103のリード線が切断されたり、チップ103そのものが損傷したりする恐れもある。また、テープ100が第1の送りローラ101を通過した段階では、ポッティングされた樹脂はまだ硬化していないので、折れ曲がり部Wの急傾斜部によって樹脂が流れてしまうといった不具合も生じる。また、この折れ曲がり部Wに起因して、テープが反転ローラとガイドレールから外れる不具合も生じる。
【0020】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたもので、間欠送りされるテープが、送りローラを通過した後で折れ曲がるのを未然に防止し、円滑なテープ送りを可能としたテープ送り制御方法を提供するとともに、そのテープ送り制御方法を採用することで、ポッティング処理や樹脂硬化処理などを円滑かつ適切に行える半導体実装装置を提供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するために、本発明のテープ送りローラ制御方法は、チップが実装された厚みが10〜50μmであるテープの走行路上に設けられる第1の送りローラおよびこの第1の送りローラよりもテープ進行方向前方であってかつ走行路上に設けられる第2の送りローラを共に回転させることでテープを走行させ、かつ、そのテープが走行・停止を繰り返す間欠的走行となるように第1の送りローラおよび第2の送りローラの制御を行うテープ送りローラ制御方法であって、間欠走行するテープの走行開始ごとに、第1の送りローラの回転開始よりも第2の送りローラの回転開始を早くする制御を行うようにしている。
【0022】
このように、このテープ送りローラ制御方法では、テープの走行開始時において、第1の送りローラが回転し始めるのに先立ってわずかな時間だけ早く、第2の送りローラが回転し始めるようなテープ送りローラ制御を行っている。これによって、第1の送りローラが回転を開始した時点では、この第1の送りローラよりも前方側(第1の送りローラ側)に存在するテープはすでに走行を開始した状態となっている。このため、テープ厚みが10〜50μmと薄い場合でも、第1の送りローラと第2の送りローラ間のテープはたるみがない状態で走行するようになり、テープが第1の送りローラを通過した後で折れ曲がるといった現象の発生を未然に防止することができる。
【0023】
このようなテープ送りローラ制御方法において、第1の送りローラと第2の送りローラの回転開始の時間差は0.1秒から1.0秒の範囲内の所定時間に設定されるのが好ましい。
【0024】
このように、第1の送りローラよりも第2の送りローラを早く回転開始させる際の時間差を0.1秒から1.0秒の範囲で設定しているので、テープの走行の動作そのものに影響を与えることはなく、かつ、第1の送りローラを通過した後でテープが折れ曲がるといった現象を確実に防止することができる。
【0025】
また、間欠走行するテープの走行停止ごとに、第1の送りローラよりも第2の送りローラを遅く回転停止させる制御を行うようにすることが好ましい。
【0026】
このように、テープの走行停止時において、第1の送りローラよりも第2の送りローラを遅く回転停止させる制御を行うことで、テープが一定量走行してテープ走行を停止させる際、第1の送りローラの回転が停止したあとも第2の送りローラがわずかな時間だけ回転してテープ走行を継続することとなる。このため、第2の送りローラが停止した時点では、第1の送りローラと第2の送りローラ間のテープにはたるみがない状態とすることができる。これによって、次のテープ走行開始時において、第1の送りローラを通過した後でテープが折れ曲がるといった現象を、より一層、確実に防止することができる。
【0027】
また、他の発明は、上述の各発明に加え、第2の送りローラは、トルクキーパを介してモータによって駆動され、この第2の送りローラの回転中に、予め設定された以上のトルクがその第2の送りローラに加わると、トルクキーパによって、モータと第2の送りローラとの間にすべりを生じさせるようにしている。
【0028】
これによって、テープ走行の開始時および/または停止時に第2の送りローラのみがあらかじめ設定された時間だけ回転することによって、その間に、テープに一定以上の力が加わる場合も発生する。しかし、その場合、第2の送りローラに駆動力を伝達するトルクキーパは、モータからのトルクをそのまま第2の送りローラに伝えないように機能するので、テープに無理な力が加わることがなくなり、テープの損傷を未然に防止することができる。
【0029】
また、第1の送りローラと第2の送りローラは、そのテープ接触面をゴム系部材としている。
【0030】
これによって、テープに設けたスプロケット孔を利用してテープを送る必要がなく、ごく薄いテープの送りにも対応することが可能となるとともに、テープを安価なものとすることができる。
【0031】
また、本発明の半導体実装装置は、テープ供給装置からチップが実装されたテープを送り出してチップに樹脂を塗布するポッティング装置と、このポッティング装置で塗布された樹脂を熱硬化させる樹脂硬化装置と、これらポッティング装置と樹脂硬化装置をテープが通過するように配設されたテープ走行路と、ポッティング装置におけるテープ走行路上であってポッティング装置による樹脂塗布後の位置に設けられるに設けられる第1の送りローラおよび上記樹脂硬化装置により熱硬化されたテープを巻き取るテープ巻き取り装置における上記テープ走行路上に設けられる第2の送りローラと、第1の送りローラよりもテープ進行方向前方に設けられた第2の送りローラを回転させることでテープを走行させ、かつ、そのテープが走行・停止を繰り返す間欠的走行となるように第1の送りローラおよび第2の送りローラの制御を行うテープ送りローラ制御装置と、を有した半導体実装装置であって、テープ送りローラ制御装置は、間欠走行の開始ごとに、第1の送りローラの回転開始よりも第2の送りローラの回転開始を早くする制御を行うようにしている。
【0032】
この半導体実装装置は、あるチップに対するポッティング動作を終了すると、テープ走行を開始し、次のチップが所定位置に達すると、テープ走行を停止するというような間欠的なテープ走行を行う。そして、この半導体実装装置は、テープのこのような間欠的な走行の各開始時において、第1の送りローラよりも第2のローラをわずかな時間だけ早く回転させるようにしている。このため、第1の送りローラが回転し始める時点では、第2の送りローラによってすでにテープ走行が開始されている状態となっており、第1の送りローラと第2の送りローラ間のテープはたるみがない状態を維持する。これによって、テープの厚みが10〜50μmというきわめて薄い場合でも、第1の送りローラの後段側でテープが折れ曲がるといった現象を確実に防止できることとなり、駆動の度に毎回、テープ送りを円滑に開始することができる。また、テープが反転ローラとガイドレールから外れることを防止できる。
【0033】
また、テープ送りローラ制御装置は、間欠走行するテープの走行停止ごとに、第1の送りローラよりも第2の送りローラを遅く回転停止させる制御を行うのが好ましい。
【0034】
このように、テープの走行停止時において、第1の送りローラよりも第2の送りローラを遅く回転停止させる制御を行うことで、テープが一定量走行してテープ走行を停止させる際、第1の送りローラの回転が停止したあとも第2の送りローラがわずかな時間だけ回転してテープ走行を継続することとなる。このため、第2の送りローラが停止した時点では第1の送りローラと第2の送りローラ間のテープにはたるみがない状態とすることができる。これによって、次のテープ走行開始時において、第1の送りローラを通過した後でテープが折れ曲がるといった現象を、より一層、確実に防止することができる。
【0035】
他の発明は、上述の半導体実装装置に加え、第1の送りローラは、ポッティング装置による樹脂塗布後のテープ走行路上に設けられ、第2の送りローラは、樹脂硬化装置による樹脂硬化終了後のテープ走行路上に設けられている。
【0036】
これにより、インナリードボンディングなどによってボンディグされたチップのリード線が切断したり、チップそのものが損傷したりするのを防止することができ、また、硬化していない樹脂が折れ曲がり部分で流れてしまうといった不具合が生じるのを防止することができる。
【0037】
また、第1の送りローラと第2の送りローラは、そのテープ接触面をゴム系部材としている。
【0038】
これによって、テープに設けたスプロケット孔を利用してテープを送らないので、スプロケット孔の変形・破損がなくなり、ごく薄いテープの送りにも対応することが可能となるとともに、テープを安価なものとすることができる。
【0039】
また、第1の送りローラと第2の送りローラを同一径とし、かつ同一の回転数で同一のトルクとするのが好ましい。
【0040】
この構成を採用すると、各送りローラの形成や駆動方法等が簡単となり、低コスト化が達成され、かつ制御しやすいものとなる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、この実施の形態で説明する内容は、本発明のテープ送りローラ制御方法とそのテープ送りローラ制御方法を使用して半導体実装を行う半導体実装装置の両方を含むものである。
【0042】
図1は、本発明の半導体実装装置の実施の形態を説明する全体的な構成図である。この半導体実装装置は、テープ供給装置1、チップ11に対し樹脂のポッティングを行うポッティング装置2、ポッティングされた樹脂を硬化させる樹脂硬化装置3、熱硬化されたテープを巻き取るテープ巻き取り装置4、さらに、この図1では図示しないテープ送りローラ制御装置などから構成され、これら各構成要素についてその概略を説明する。
【0043】
テープ供給装置1は、多数のチップ11(図示の破線で示す円形枠A参照)が実装された長い帯状であって厚さ25μmのテープ12をスペーサテープ13を挟んだ状態でロール状に保持するテープ供給リール14と、スペーサテープ13を巻き取るスペーサテープ巻取りリール15と、複数のガイドローラ16と、ガイド部材17などからなる。
【0044】
テープ12としては、その厚みが、10〜50μmのものとし、この厚さのテープ12に対して本半導体実装装置を適用するのが好ましいが、50μm以上の厚みを有するテープを使用する場合にも適用することができる。なお、50μm以上のテープ厚のテープを使用する際は、この実施の形態で述べるテープ送りローラ制御方法を用いず、従来どおりの制御方法を採用するというように、テープ厚さによって制御方法を切り替えるようにしても良い。
【0045】
このテープ供給装置1は、テープ供給リール14に保持されたテープ12とスペーサテープ13とを分離させ、分離されたスペーサテープ13をスペーサテープ巻き取りリール15で巻き取る。一方、テープ12は、円形枠A(テープ供給装置1内の部分拡大図)に示すような状態で、次の工程であるポッティング装置2に供給される。
【0046】
ポッティング装置2は、このテープ供給装置1からのテープ12を前方(矢印X方向)に送る駆動力を有した送りローラ21と、テープ12に常時、バックテンションをかけるためのテンションローラ22を有するとともに、そのテープ12の表面に実装されたチップ11に対してディスペンスヘッド23から熱硬化性樹脂を吐出するポッティング部24と、ディスペンスヘッド23の前後でテープをクランプする1対のクランパ25a,25bとを備えている。なお、テンションローラ22には、トルクキーパが取り付けられており、テンションローラ22用のモータは、バックテンションが掛かる方向(送りローラ21,42のモータとは逆方向)に常時回転し、テープ12にテンションを掛けている。このバックテンションの大きさは、送りローラ21,42からのテンションと比較すると小さいものとなっている。
【0047】
樹脂硬化装置3は、ポッティング装置2から送られてきたテープ12を加熱炉30によって加熱することで、塗布された樹脂を硬化させるものである。加熱炉30は、この図1の例では、いわゆる3段炉と呼ばれる構造となっている。すなわち、ポッティング装置2から送り出された樹脂の塗布されたテープ12は、テープ12の進行方向の左右両側に設けられた2本のガイドレール31a,31b(図示の破線で示す円形枠B参照)のガイドによって、そのまま水平方向(矢印X方向)に進む。なお、円形枠Bは、テープ12の進行方法に対して垂直となる断面で切断した状態の部分拡大図となっている。
【0048】
また、図示の破線で示す円形枠Bには、この加熱炉30に設けられる加熱手段としての発熱体35と、この発熱体35からの熱を拡散する熱板36、熱板35で拡散された熱をテープ12の裏面に効率よく照射するための熱反射板37などが示されている。これら発熱体35と、熱板36と、熱反射板37とは、円形枠Bの状態で第1から第3の走行路L1〜L3に沿って設けられている。ただし、中央の第2の走行路L2では、それぞれの位置関係が、図示の破線で示す円形枠Bの位置関係とは上下逆となっている。
【0049】
第1の走行路L1を矢示X方向に進行してきたテープ12は、その後、第1の反転ローラ32によって反転して、ガイドレール31a,31bのガイドによって、今度は逆方向(矢印X'方向)に進み、第2の反転ローラ33によって反転する。反転したテープ12は、ガイドレール31a,31bのガイドによって水平方向(矢印X方向)に進んで、テープ出口34から排出されテープ巻き取り装置4側に送られて行く。
【0050】
テープ巻き取り装置4は、樹脂硬化装置3のテープ出口34に対向するように設けられたテープ導入口41と、このテープ導入口41から入ってくるテープ12を巻き取りリール44側に送るための駆動力を有した送りローラ42と、この送りローラ42で送られるテープ12を下方向へ導くようにガイドするガイド部材43と、このガイド部材43によって下方向にガイドされたテープ12を、たるみを持たせた状態で巻き取る巻き取りリール44と、巻き取りリール44でテープ12を巻き取る際に、テープ12同士が直接重ならないようにするためのスペーサテープ46を供給するスペーサテープ供給用リール47とを有している。なお、これらの構成要素のほかに、テープ12やスペーサテープ46の走行をガイドする幾つかのガイドローラ48などが必要に応じて設けられている。
【0051】
テープ送りローラ制御装置50は、送りローラ21(これを第1の送りローラ21という)と送りローラ42(これを第2の送りローラ42という)を駆動制御するものである。テープ送りローラ制御装置50の構成は、図2に示すように、第1の送りローラ21を駆動するパルスモータ(第1のパルスモータ51という)と、第2の送りローラ42を駆動するパルスモータ(第2のパルスモータ52という)と、これら第1、第2のパルスモータを制御するモータ制御部53と、駆動力の伝達、解除を行うトルクキーパ54と、からなる。なお、テープ送りローラ制御装置50は、この実施の形態では、テンションローラ22の駆動制御も併せて行う。
【0052】
第2の送りローラ42と第2のパルスモータ52との間に配置されるトルクキーパ54は、第2の送りローラ42に予め設定された以上のトルクが加わると、第2のパルスモータ52から第2の送りローラ42への駆動力が解除されるようになっているが、この具体的な動作については後に説明する。
【0053】
第1の送りローラ21と、第2の送りローラ42は、共に図3に示す構造および形状とされている。すなわち、上側が駆動ローラ61となり、下側が従動ローラ62とされていると共に、駆動ローラ61の中心部63と従動ローラ62の中心部64は共に金属部材で形成され、周縁部65,66は共にゴム系部材とされている。
【0054】
駆動ローラ61の周縁部65の断面は、内側部分に傾斜辺を有する直角三角形状とされ、その先端(=最外方)が従動ローラ62の周縁部66の幅方向の略中心に当接するように構成されている。この実施の形態では、駆動ローラ61の周縁部65の先端と従動ローラ62の周縁部66の先端とが接触するように構成されている。
【0055】
この実施の形態では、駆動ローラ61や従動ローラ62の中心部63,64の直径R1,R2は、共に45.4mmとされ、中心部63,64の幅と周縁部65,66の幅L1,L2は、すべて同一とされ、ここでは3mmとされている。また各周縁部65,66の径方向の厚さH1,H2は、共に同一で、2mmとされている。
【0056】
このような半導体実装装置は、第1の送りローラ21と第2の送りローラ42が回転・停止を繰り返すことで、チップ11が実装されたテープ12を、テープ供給装置1から間欠的に送り出す。その送り出されたテープ12に対し、ポッティング装置2で樹脂のポッティングを行い、樹脂硬化装置3で加熱処理したのちに、テープ巻き取り装置4によってチップ11が樹脂で封止されたテープ12を巻き取る。また、ポッティング装置2でポッティングを行う際は、テンションローラ22と第1の送りローラ21との間のテープ12に対しテンションをかけた状態で、ポッティングを行うための位置決めをした後に、1対のクランパ25a,25bでテープ12をクランプして、ポッティングを行う。
【0057】
そして、ある1つのチップ11に対するポッティングが終了すると、1対のクランパ25a、25bのクランプが解除され、第1の送りローラ21と第2の送りローラ42が回転し、テープ12を所定量送る。この結果、次のチップ11が所定の位置に到達すると、再び、1対のクランパ25a,25bがテープ12をクランプして、テープ12の固定などを行った後に、ポッティングを行う。
【0058】
このように、この半導体実装装置は、第1の送りローラ21と第2の送りローラ42の2つの送りローラ21,42が回転・停止を繰り返してテープ12を間欠送りしている。この両送りローラ21,42は、同一のパルスレート、すなわち同一の回転数にて駆動されれば、理論上、問題が発生しない。しかし、実際上、両送りローラ21,42がテープ12を送る速度は、所定値とならない場合があるので、テープ12にたるみが生じることが起きる。本装置は、テープ12のたるみ防止のため、第2の送りローラ42の送り速度を第1の送りローラ21の送り速度より0.01〜5%、より好ましくは、0.02〜0.5%速くしている。したがって、第2の送りローラ42側に設けられているトルクキーパ54は、滑る(空回り)状態で作動している。すなわち、第2の送りローラ42と第2のパルスモータ52との間は、常時、滑り状態となっている。
【0059】
なお、第1の送りローラ21と第2の送りローラ42は、上述したように、テープ接触面となる周縁部65,66がシリコンゴムなどのゴム材で形成されたいわゆるゴムローラが用いられている。
【0060】
図1に示す半導体実装装置は、第1の送りローラ21と第2の送りローラ42と間のテープ走行路、すなわち、第1〜第3の走行路L1〜L3の合計距離が長く、しかも、テープ走行路にテープ12が走行を行う上で抵抗(摩擦などによる)となるような部材としてのレール31a,31bが存在している。
【0061】
また、この半導体実装装置においては、両送りローラ21,42のトルクが同一で0.8Nmとなっている。しかし、この種の他の半導体実装装置と同様に、第1の送りローラ21のトルクが第2の送りローラ42のトルクよりも大きくなるようにしても良い。仮に、このような構成を採用すると、ポッティングが終了してテープ12の走行を再開させるとき、たとえ、第1のローラ21と第2のローラ42が同期して同時に回転したとしても、加熱炉30内のテープ12に対する摩擦などによる抵抗を考慮すると、テープ12が第1の送りローラ21を通過した後に図6に示したような折れ曲がり部Wが一層生じやすくなる。しかし、第2の送りローラ42を早めに駆動開始させる本発明の構成を採用すれば、第1の送りローラ21のトルクが第2の送りローラ42のトルクよりも大きくなる場合でも、折れ曲がり部Wがほとんど生じなくなる。
【0062】
また、この実施の形態のように、第1の送りローラ21と第2の送りローラ42の各周縁部65,66がゴム材であると、ゴムの磨耗や製造段階の外形寸法の精度のばらつきなどによってテープ送り速度に違いが生じることもある。特に、第1の送りローラ21が第2の送りローラ42よりも送り速度がわずかでも速くなると、第1の送りローラ21と第2の送りローラ42間のテープ12にテンションがない状態でテープ走行がなされることとなる。このため、テープ送りが間欠送り動作を行う場合、テープ送りが再開される際、上述したように第1の送りローラ21を通過した後でテープが折れ曲がる現象が生じやすい。
【0063】
本実施の形態の半導体実装装置は、第1の送りローラ21と第2の送りローラ42に対し、上述したようなテープの折れ曲がりが起こらないようなテープ送りローラ制御を行う。以下、主として、これら第1の送りローラ21および第2のローラ42の制御について説明する。
【0064】
テープ12が送られる時は、バックテンションより大きいトルク(このトルクは、第1の送りローラ21と第2の送りローラ42によるもの)で、テープ12が引っ張られるので、テンションローラ22のトルクキーパは、滑り、回転する。このため、テンションローラ22は、順方向にテープ12の移動と共に回転する。このとき、テンションローラ22によりテープ12にテンションが常時かかることとなる。図2のテープ送りローラ制御装置50は、第1および第2の送りローラ21,42のそれぞれに対する回転・停止の制御を行うと共に、第1の送りローラ21と第2の送りローラ42のそれぞれの回転・停止のタイミング制御をも行う。この第1の送りローラ21と第2の送りローラ42に対する制御について、図4のタイムチャートを参照しながら説明する。
【0065】
なお、第1の送りローラ21と第2の送りローラ42は、それぞれ対応するパルスモータ(第1のパルスモータ51および第2のパルスモータ52)がモータ制御部53によって同一のパルスレートにて駆動されることによって、これら第1のパルスモータ51や第2のパルスモータ52からの駆動力を受けて同一の回転速度によって動作するものであるが、ここでは"パルスモータの動作=送りローラの動作"と考えて、第1の送りローラ21と第2の送りローラ42の動作のみついて説明する。
【0066】
図4(A)は、第1の送りローラ21の回転・停止のタイミング、図4(B)は、第2の送りローラ42の回転・停止のタイミングを示すものである。第1の送りローラ21は、時刻t1までは停止状態にあり、その時刻t1までに行われていたポッティング動作が終了して、1対のクランパ25a,25bのクランプ動作が解除されたと同時(時刻t1)に回転を開始する。一方、第2の送りローラ42は、第1の送りローラ21の回転開始に先立って、図4に示すようにわずかの時間(Δt)だけ早く回転し始める。すなわち、第2の送りローラ42の回転開始時刻は、t1−Δtとなる。
【0067】
なお、第2の送りローラ42が回転し始める時刻t1−Δtと、第1の送りローラ21が回転し始める時刻t1の差Δtは、この実施の形態ではΔt=0.5秒としている。
【0068】
このように、テープ送りローラ制御装置50は、第1の送りローラ21が回転し始めるのに先立ってわずかな時間(0.5秒)だけ早く、第2の送りローラ42が回転し始めるような制御を行う。このため、第1の送りローラ21が回転し始めるときは、この第1の送りローラ21よりも先方に存在するテープ12は第1の送りローラ42によってすでに走行を開始した状態となっており、第1の送りローラ21と第2の送りローラ42との間のテープ12はたるみがない状態で走行が開始される。
【0069】
これによって、テープ12が停止状態から走行状態となる際、テープ12が第1の送りローラ21を通過した後に、図6に示すような折れ曲がるという現象がなくなるか大幅に減少する。
【0070】
なお、このように第1の送りローラ21が回転し始めるのに先立ってわずかな時間(0.5秒)だけ早く、第2の送りローラ42が回転し始める動作を行う際は、一般的には、その時点で、第1の送りローラ21と第2の送りローラ42との間のテープ12は、たるみが全くなくテンションがかかっているような状態となっている。
【0071】
このような状態の場合、走行開始時に、第1の送りローラ21と第2の送りローラ42との間のテープ12に対して、第2の送りローラ42による引っ張り力が一瞬(0.5秒間)だけ加わることとなる。しかし、第2の送りローラ42には、図2で示したように、第2のパルスモータ52との間にトルクキーパ54が設けられているので、第2の送りローラ42に一定以上の力が加わると、第2のパルスモータ52から第2の送りローラ42への駆動力の伝達が解除され、第2のパルスモータ52と第2の送りローラ42との間にすべりが生じることとなる。
【0072】
これによって、テープ12に無理な力が加わることがなくなり、第1の送りローラ21と第2の送りローラ42との間に存在するテープ12が損傷するのを未然に防止することができる。
【0073】
なお、このトルクキーパ54は、この実施の形態では、0.04Nmから0.18Nmの範囲で調整可能なものが用いられており、0.1Nm以上のトルクが加わると、第2のパルスモータ52の回転力が第2の送りローラ42にはそのまま伝達されず、第2のパルスモータ52と第2の送りローラ42との間にすべりを生じさせる。なお、通常のテープ12の走行時のトルクは、0.053Nm程度とされている。
【0074】
このようにして、第1の送りローラ21が回転し始めるよりもわずかな時間(0.5秒)だけ早い時刻t1−Δtで第2の送りローラ42が回転し始め、その0.5秒後の時刻t1で第1の送りローラ21も回転し始める。その後は、第1の送りローラ21と第2の送りローラ42の両方によってテープ12が走行する。
【0075】
そして、次のポッティング対象となるチップ11がポッティング装置2における所定位置に達すると、第1の送りローラ21および第2の送りローラ42が回転を停止する。この第1の送りローラ21および第2の送りローラ42が回転を停止した時刻をt2とする。このように、第1の送りローラ21および第2の送りローラ42が回転を停止すると、それと同時またはそれよりわずかな時間遅れを有した状態で1対のクランパ25a,25bがクランプ動作する。図4では、わずかな時間遅れΔt2を有した状態で、1対のクランパ25a,25bがクランプ動作する例を示している。
【0076】
このクランパ25a,25bがクランプ動作すると、その状態で位置決めなどの処理が行われたのち、ポッティング動作が行われる。そのポッティング動作が終了すると、1対のクランパ25a,25bのクランプ動作が解除され、それと同時(時刻t3)に、図4(A)に示すように、第1の送りローラ21が回転し始めるが、それに先立って、第2の送りローラ42がわずかの時間(Δt=0.5秒)だけ早く時刻t3−Δtで回転し始める。
【0077】
以上のように、この実施の形態による半導体実装装置は、あるチップ11に対するポッティング動作が終了すると、テープ走行を開始し、次のチップ11が所定位置に達すると、テープ走行を停止するというように、テープ12の走行を間欠的に行っている。そしてその間欠的な走行において、テープ12の走行開始の際、第1の送りローラ21よりも第2のローラ42をわずかな時間(0.5秒)だけ早く回転動作を開始させるようにしている。
【0078】
これによって、第1の送りローラ21が回転し始める時点は、第2の送りローラ42によってすでにテープ走行が開始されているので、第1の送りローラ21と第2の送りローラ42との間のテープ12はたるみがない状態となる。これによって、上述したような第1の送りローラ21の後でテープ12が折れ曲がるといった現象が生じることはなくなり、テープ12の走行開始および走行を円滑に行うことができる。したがって、テープ12が反転ローラとガイドレールから外れることを防止できる。
【0079】
上述した実施の形態は、本発明の好適な実施例であるが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、上述の実施の形態では、テープ12の走行開始の際に、第1の送りローラ21よりも第2のローラ42を早く回転させるようなタイミング制御を行うようにしたが、テープ12の走行停止の際にも、第1の送りローラ21と第2のローラ42の回転停止のタイミングを異ならせるような制御を行うようにしてもよい。この場合、第2の送りローラ42の回転を停止させるタイミングを第1の送りローラ21の回転停止のタイミングよりも遅らせる。この動作について図5のタイムチャートを参照しながら説明する。
【0080】
図5のタイムチャートにおいて、第1の送りローラ21と第2の送りローラ42の回転開始時のタイミングは、図3と同じであるが、回転停止時のタイミングが図3とは異なる。すなわち、前述した図4では、時刻t2で第1の送りローラ21と第2の送りローラ42が同時に停止しているが、この図5では、第1の送りローラ21は時刻T2で回転停止する一方、第2の送りローラ42は、それよりもわずかな時間Δt1(Δt1=0.3秒とする)だけ遅れた時刻t2+Δt1で停止している。
【0081】
このように、第2の送りローラ42を第1の送りローラ21よりもわずかな時間だけ遅らせ、時刻t2+Δt1で回転を停止させることで、テープ12のたるみをより確実に防止できる。すなわち、テープ12が一定量走行したのちに、テープ走行を停止させる際、第1の送りローラ21の回転が停止したあとも第2の送りローラ42がわずかな時間だけ回転すると、第1の送りローラ21から先に進行しているテープ12の走行が継続されることとなる。このため、仮に第1の送りローラ21と第2の送りローラ42との間にテープ12のたるみが存在していても、第2の送りローラ42の回転が停止した時点では、第1の送りローラ21と第2の送りローラ42との間のテープ12はたるみがない状態となる。これによって、次のテープ走行開始時において、図6に示すような折れ曲がりは、より生じにくくなる。したがって、テープ12が反転ローラとガイドレールから外れることを防止できる。
【0082】
また、時間Δt1を設けて第2の送りローラ42を停止させた際に、仮にまだ第1の送りローラ21と第2の送りローラ42との間のテープ12にたるみが存在していたとしても、時間Δt2の存在によって、そのたるみ量は大幅に減少することとなる。このため、テープ走行開始時のΔtがさらに加わることによって、テープ12の折れ曲がりが解消される確率は、きわめて高くなる。
【0083】
なお、第2の送りローラ42を第1の送りローラ21よりもわずかな時間Δt1だけ遅らせて回転を停止させる際、もし、テープ12に一定以上の力が加わることがあっても、第2の送りローラ42と第2のパルスモータ52との間にはトルクキーパ54が存在するので、第2のパルスモータ52と第2の送りローラ42との間にすべりが生じ、テープ12に無理な力が加わることはなくテープ12を損傷させることはない。
【0084】
また、前述の実施の形態では、第1の送りローラ21と第2の送りローラ42を駆動するタイミングの時間差Δt、Δt1は、テープ走行開始時(図4参照)のΔtについては0.5秒とし、テープ走行停止時(図5参照)のΔt1については0.3秒としたが、これらは0.5秒や0.3秒に限られるものではなく、本発明が適用される半導体実装装置に応じて種々設定可能である。
【0085】
ただし、Δt,Δt1は、共に0.1〜1.0秒の範囲で設定するのが好ましい。また、Δt,Δt1を同じ値とすると制御回路的に簡易となる。また、ΔtとΔt1の合計値が同じである場合、Δt>Δt1とすると、たるみの不具合の防止には同一程度の効果を有する一方、ポッティング時の位置決め精度の面ではより有利となる。なお、必要によっては、Δt<Δt1としても良い。
【0086】
なお、ΔtやΔt1を1.0秒といった比較的長い時間としたときやその他の条件によっては、クランプ解除やクランプ動作の開始時刻を図4や図5に示すタイミングとは異なるタイミングとしても良い。たとえば、テープ走行開始時における第1の送りローラ21と第2の送りローラ42のタイミング制御を行う場合は、第2の送りローラ42の回転開始は、ポッティング装置2側でのクランパ25a,25bによるクランプ動作が終了する少し前とし、その後、クランプを解除し、さらにその後に第1の送りローラ21の回転を開始させるようにしても差し支えない。また、クランプを解除してから第2の送りローラ42を回転開始させるようにしても良い。それらによって、より効率的な動作が可能となり、半導体実装動作時間をより短縮化することができる。同様に走行停止時に、まず第1の送りローラ21を停止させ、次に第2の送りローラ42を停止させ、最後にクランプ動作を行うようにしても良い。
【0087】
また、前述の実施の形態では、本発明のテープ送りローラ制御方法をポッティング装置と樹脂硬化装置に適用した例について説明したが、本発明のテープ送りローラ制御方法は、それらの装置に限定されるものではない。すなわち、本発明のテープ送りローラ制御方法は、テープの走行・停止を、第1の送りローラ21と、この第1の送りローラ21よりもテープ進行方向前方にある第2の送りローラ42によって行い、これら第1の送りローラ21と第2の送りローラ42との間のテープ走行路に抵抗を生じさせる部材が存在していたり、第1の送りローラ21と第2の送りローラ42との間のテープ走行路が長いといった条件があって、テープ走行開始時に第1の送りローラ21を通過した後の走行路でテープが折れ曲がりやすい状況にある場合には、広く適用できるものである。
【0088】
上述の実施の形態では、第1の送りローラ21と第2の送りローラ42とが同一径で同一回転数とされているが、第2の送りローラ42の径を第1の送りローラ21の径より大きくしたり、第2の送りローラの回転数を第1の送りローラ21の回転数より多くしたり、またはその2つの条件を加え合わせるようにしても良い。このようにすると、第2の送りローラ42側の方が多くの量のテープ12を移動させることができ、両送りローラ21,42を同時に停止させてもテープ12にたるみが無くなる。
【0089】
また、両送りローラ21,42の周縁部65,66にはゴム材が配置されているが、ゴム材の代わりに弾性のある樹脂材を設置したり、弾性部材を設けずすべて金属材で形成しても良い。
【0090】
また、上述の実施の形態では、テープ12の厚さが10〜50μmの場合に、第2の送りローラ42を第1の送りローラ21より早めに回転開始させる制御を行うのが好ましいとして示したが、この制御はテープ12の厚さが少なくとも20〜40μmの範囲の場合に行うと、テープ12の切断やテープのたるみ防止の面でより効果的となる。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のテープ送りローラ制御方法によれば、第1の送りローラが回転を開始した時点では、第1の送りローラと第2の送りローラの間に存在するテープはすでに走行を開始した状態となっている。このため、第1の送りローラと第2の送りローラとの間のテープは、たるみがない状態で走行を開始するので、10〜50μmという薄いテープ厚のテープを使用した場合であっても、第1の送りローラを通過した後でテープが折れ曲がるといった現象の発生を防止することができる。したがって、テープが反転ローラとガイドレールから外れることを防止できる。
【0092】
また、本発明の半導体実装装置によれば、あるチップに対するポッティング動作が終了すると、テープ走行を開始し、次のチップが所定位置に達すると、テープ走行を停止するというように、間欠的なテープ走行を行う際、テープの走行開始時において、少なくとも、テープの厚みが10〜50μmの範囲のときには、第1の送りローラよりも第2のローラをわずかな時間だけ早く回転させるようにしている。これによって、第1の送りローラが回転し始めたときには、すでに、第2の送りローラによってテープ走行が開始されている状態となり、第1の送りローラと第2の送りローラ間のテープはたるみがない状態で走行することとなる。このため、少なくともテープ厚が10〜50μmというような薄いテープの場合においても、上述したような第1の送りローラを通過した後でテープが折れ曲がるといった現象が生じることはなく、テープ送りを円滑に開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体実装装置の実施の形態を説明する全体的な構成図である。
【図2】図1で示した半導体実装装置中の第1の送りローラと第2の送りローラを制御するテープ送りローラ制御装置の構成図である。
【図3】図1で示した半導体実装装置中の第1の送りローラと第2の送りローラの構成を示す部分断面図である。
【図4】図2で示したテープ送りローラ制御装置が行う第1の送りローラと第2の送りローラに対する制御を説明するタイムチャートである。
【図5】図2で示したテープ送りローラ制御装置が行う第1の送りローラと第2の送りローラに対する制御を説明するタイムチャートであり、テープ走行停止時にも第1の送りローラと第2の送りローラの回転停止タイミング制御を行った例を示すタイムチャートである。
【図6】従来のテープ送り動作を説明するための半導体実装装置の主な処理工程を概略的に示す図である。
【符号の説明図】
1 テープ供給装置
2 ポッティング装置
3 樹脂硬化装置
4 テープ巻き取り装置
11 チップ
12 テープ
21 第1の送りローラ
22 テンションローラ
24 ポッティング部
25a,25b 一対のクランパ
31a,31b ガイドレール
42 第2の送りローラ
51 第1のパルスモータ
52 第2のパルスモータ
53 モータ制御部
54 トルクキーパ
以上
Claims (9)
- チップが実装された厚みが10〜50μmであるテープの走行路上に設けられる第1の送りローラおよびこの第1の送りローラよりもテープ進行方向前方であってかつ上記走行路上に設けられる第2の送りローラを共に回転させることで上記テープを走行させ、かつ、そのテープが走行・停止を繰り返す間欠的走行となるように上記第1の送りローラおよび上記第2の送りローラの制御を行うテープ送りローラ制御方法であって、
上記間欠走行するテープの走行開始ごとに、上記第1の送りローラの回転開始よりも上記第2の送りローラの回転開始を早くする制御を行うことを特徴とするテープ送りローラ制御方法。 - 前記第1の送りローラと前記第2の送りローラの回転開始の時間差は0.1秒から1.0秒の範囲内の所定時間に設定されることを特徴とする請求項1記載のテープ送りローラ制御方法。
- 前記間欠走行するテープの走行停止ごとに、前記第1の送りローラよりも前記第2の送りローラを遅く回転停止させる制御を行うことを特徴とする請求項1または2記載のテープ送りローラ制御方法。
- 前記第2の送りローラは、トルクキーパを介してモータによって駆動され、この第2の送りローラの回転中に、予め設定された以上のトルクがその第2の送りローラに加わると、上記トルクキーパによって、上記モータと前記第2の送りローラとの間にすべりを生じさせることを特徴とする請求項1,2または3記載のテープ送りローラ制御方法。
- 前記第1の送りローラと前記第2の送りローラは、そのテープ接触面がゴム系部材でなることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のテープ送りローラ制御方法。
- テープ供給装置からチップが実装されたテープを送り出して上記チップに樹脂を塗布するポッティング装置と、このポッティング装置で塗布された樹脂を熱硬化させる樹脂硬化装置と、これらポッティング装置と樹脂硬化装置を上記テープが通過するように配設されたテープ走行路と、上記ポッティング装置における上記テープ走行路上であって上記ポッティング装置による樹脂塗布後の位置に設けられる第1の送りローラおよび上記樹脂硬化装置により熱硬化されたテープを巻き取るテープ巻き取り装置における上記テープ走行路上に設けられる第2の送りローラと、上記第1の送りローラよりもテープ進行方向前方に設けられた上記第2の送りローラを回転させることで上記テープを走行させ、かつ、そのテープが走行・停止を繰り返す間欠的走行となるように上記第1の送りローラおよび上記第2の送りローラの制御を行うテープ送りローラ制御装置と、を有した半導体実装装置であって、
上記テープ送りローラ制御装置は、間欠走行の開始ごとに、上記第1の送りローラの回転開始よりも上記第2の送りローラの回転開始を早くする制御を行うことを特徴とする半導体実装装置。 - 前記テープ送りローラ制御装置は、前記間欠走行するテープの走行停止ごとに、前記第1の送りローラよりも前記第2の送りローラを遅く回転停止させる制御を行うことを特徴とする請求項6記載の半導体実装装置。
- 前記第1の送りローラと前記第2の送りローラは、そのテープ接触面がゴム系部材でなることを特徴とする請求項6または7記載の半導体実装装置。
- 前記第1の送りローラと前記第2の送りローラを同一径とし、かつ同一の回転数で同一のトルクとしたことを特徴とする請求項7または8記載の半導体実装装置。
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