JP4114541B2 - シート分割巻取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新しい巻芯の外周面に長手方向に付与した粘着剤に帯状シートの先端部を接着させて帯状シートの巻取りを再開するシート分割巻取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、帯状シートの巻取中に、巻芯のまわりに巻取った帯状シートにより形成される巻取ロールに、タッチローラを接触させながら巻取ロールを巻き上げるシート分割巻取装置があり、この種のシート分割巻取装置には、巻取開始前に巻取装置に装着した巻芯のタッチローラに対向する部分に糊付器により接着剤を塗布し、その巻芯を、帯状シート先端部を保持しているタッチローラに押し付けて、帯状シート先端部を巻芯に接着する形式のものがある(特願2003−071045号明細書及び図面参照)。
【0003】
この形式では、早く乾燥する接着剤を用いると、糊付器内で接着剤が固まり易く、糊付器の保守が非常に面倒になるので、接着剤として粘着力が小さく乾きにくい糊溶液又は粘り気のある液体若しくは水を用いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、帯状シートが厚いものだと上述の接着剤では接着力が弱過ぎるため帯状シートの先端部を確実に巻芯に接着することができない。また製品仕様として両面粘着テープにて帯状シートの先端部を巻芯に接着するよう指定される場合があり、その場合には上述の接着剤は使用することができない。
【0005】
ところで、帯状シートの厚みが厚い場合には、上述のような接着剤の代わりに両面粘着テープを用いると十分な接着力が得られる。しかし、巻取装置に装着した巻芯の所定位置に両面粘着テープを自動的に貼付するには、そのための装置を必要とし、この装置は非常に複雑で大きい占有空間を必要とするので、また高価になるので、実用的観点から採用することができない。また、帯状シートの先端部を巻芯に接着する場合、接着点から帯状シートの先端までの長さが長くなり過ぎると、巻取開始時に接着点から帯状シート先端までの部分が折れ曲がり皺になって不良品となる。そこで作業者が、巻取装置に装着した巻芯のタッチローラに対向する部分に正確に両面粘着テープを貼付しなければならず、その貼付作業に手間がかかる。しかも、巻取装置における作業床はタッチローラと反対側にあるため巻芯上の貼付部分が作業床上の作業者から見えず、作業性の悪い場所での貼付作業が必要なる。したがって、従来のシート分割巻取装置において、新しい巻芯に帯状シート先端部を、両面粘着テープを用いて接着するには、その準備作業に手間がかかり、シート分割巻取装置の稼働率を低下させるという問題を生じる。そして、この問題は、スリッターによる分割数が多い程顕著になる。
【0006】
本発明は、上述の問題点に鑑み、シート分割巻取装置において巻取りを再開するとき、各帯状シートの先端部を夫々新しい巻芯に、その巻芯外周面に長手方向に貼付した両面粘着テープによって短時間で確実に接着することを課題としている。
【0007】
【課題を対決するための手段】
そこで、本発明は、広幅の帯状シートをスリッターへ搬送して通過させる案内ローラ群と、前記スリッターにより所要幅に分割された複数の帯状シートを帯状シート毎の巻芯のまわりに巻取る、前後又は上下に並ぶ巻取装置とを備え、前記巻取装置を、巻芯毎に一対になる巻取アームと、前記巻取アームの一対毎に設けた、前記巻芯の両端を着脱可能に保持する巻芯チャックと、この巻芯チャックを通じて巻芯に、その巻芯を回転させて帯状シートを巻取るための巻取トルクを与える巻芯駆動機構と、帯状シートの巻取中に巻取ロール外周面に接触するタッチローラと、前記タッチローラと前記巻芯とを接触離反させる機構を含むものとし、前記案内ローラ群により広幅の帯状シートをスリッターへ搬送して通過させ、前記スリッターにより分割された複数の帯状シートを前後又は上下に交互に振り分けて前記巻取装置で巻取ることにより巻取ロールを形成し、前記巻取ロールが巻上がると前記案内ローラ群による帯状シートの搬送を停止すると共に前記巻芯駆動機構による巻取トルクの出力を停止して、前記タッチローラと巻取ロールとの間隔を開けると共に、シート仮保持機構により帯状シートをタッチローラ上に保持し、前記巻取ロールに繋がっている帯状シートを切断機構により巻取ロールとタッチローラの接点付近かつ該接点から下流側で切断して巻取ロールを巻芯チャックから取外した後、前記巻芯チャックに、新しい巻芯を装着して該新しい巻芯とタッチローラとを前記帯状シートの先端部を挟んで接触させ、新しい巻芯の外周面に長手方向に貼付した両面粘着テープに前記帯状シートの先端部を接着し、かつ前記シート仮保持機構による前記帯状シートの保持を解いた後に、新しい巻芯上への帯状シートの巻取りを再開するシート分割巻取装置において、前記巻芯チャックに装着した新しい巻芯が帯状シート先端部を挟んでタッチローラに接触した後、案内ローラ群による広幅帯状シートの搬送を停止した状態で、新しい巻芯が帯状シート上を滑って回転することができ、かつ巻芯に貼付した両面粘着テープがタッチローラと巻芯との接点に到達したとき帯状シート又は巻芯から剥がれない大きさの帯状シート接着用のトルクを一定時間継続して出力し、その後、前記案内ローラ群による広幅の帯状シートの搬送を開始すると同時に又はその直前若しくは直後に前記帯状シートを巻取るための巻取トルクの出力を開始するように前記巻芯駆動機構を制御する制御装置を備えることを特徴とする。
【0008】
巻芯駆動機構が帯状シート接着用のトルクを出力するとき、案内ローラ群は広幅の帯状シートを搬送しておらず、帯状シートはタッチローラへ供給されない。また巻芯チャックに装着した新しい巻芯は帯状シートを挟んでタッチローラに接触している。この状態で、巻芯駆動機構から帯状シート接着用のトルクが出力されると、それが巻芯チャックを通じて新しい巻芯に与えられ、その巻芯が帯状シートをタッチローラ上に保持しつつ、その帯状シート上を滑って回転し、その巻芯の外周面上の粘着剤付与部分がタッチローラとの接点に到達して、粘着剤が帯状シートの先端部分に接着する。帯状シートの先端部が巻芯に接着すると、その帯状シートが新しい巻芯の回転を妨げ、この新しい巻芯の回転を妨げるトルクが、帯状シート接着用のトルクより大きくなって、新しい巻芯の回転は停止する。そして巻取装置に装着した複数の新しい巻芯の相互間に両面粘着テープの貼付位置の相違があっても、一定時間継続して帯状シート接着用のトルクを出力することにより、全ての巻芯に貼付した両面粘着テープが巻芯とタッチローラとの接点に到達し、全ての巻芯に帯状シートの先端部が自動的に接着する。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態に係るシート分割巻取装置の概略側面図であり、このシート分割巻取装置は、案内ローラ1,2,3,4により広幅の帯状シートS0を図示しない原反ロールより巻き戻しながらスリッター5へ搬送して刃物Kを通過させ、スリッター5により所要幅に分割された複数の帯状シートSを、案内ローラ6,7を経て、前後に並ぶ巻取装置W,Wへ交互に振り分けて帯状シートS毎の巻芯Cのまわりに巻取ることにより巻取ロールRを形成する。案内ローラ1,2,3,4は図示しないラインモータにより所要速度で回転駆動されるようになっている。
【0010】
前後に並ぶ巻取装置Wは、夫々巻芯C毎に一対になる巻取アーム8と、巻取アーム8の一対毎に設けた、一対になり巻芯Cの両端を着脱可能に保持する巻芯チャック9と、巻芯Cを矢印Aで示す方向に回転させるために巻芯チャック9を通じて巻芯Cに巻取トルクを与える巻芯駆動機構10と、帯状シートSの巻取中に巻取ロールRの外周面に接触するタッチローラ11と、タッチローラ11と巻芯Cとの間隔を調節する間隔調節機構12を含んでいる。
【0011】
タッチローラ11は分割した帯状シートS毎に個別に配設し、揺動腕に装着して巻取ロールRへの押圧力を調節できるようにしてあり、間隔調節機構12は、巻取アーム8を支持する巻取基台13を、タッチローラ11に接近離反可能に案内支持するレール14と、巻取基台13に螺合したネジ棒15と、ネジ棒15を正逆両方向に選択的に回転駆動することができるネジ棒駆動機構16とからなり、帯状シートSの巻取中は巻取ロールRの半径増大に応じて巻芯Cを巻取アーム8と共にタッチローラ11から自動的に後退させることができる。
【0012】
巻芯駆動機構10は、一対の巻取アーム8の片方又は両方に装着した巻取モータ17と、巻取モータ17の出力軸の回転を巻芯チャック9に伝える図示しない伝動装置とからなり、巻取モータ17として例えば永久磁石を用いた同期電動機を用いる。なお、巻芯駆動機構10は、出力軸のトルクを制御できるものであれば他の電動機を用いてもよく、また各巻芯に共通のモータを備え、そのモータと巻芯チャック間の伝動装置中に例えばパウダークラッチのような公知のトルク調節手段を夫々備えたものであってもよい。
【0013】
このシート分割巻取装置において帯状シートSを所定量巻取って巻取ロールRが巻上がると案内ローラ1,2,3,4による広幅の帯状シートS0の搬送を停止すると共に、巻取モータ11による巻取トルクの出力を停止して、間隔調節機構12によりタッチローラ11と巻取ロールRとの間隔を開けると共に、シート仮保持機構18により帯状シートSをタッチローラ11上に保持し、巻取ロールRにつながっている帯状シートSを切断機構19により巻取ロールRとタッチローラの接点付近かつ該接点から下流側で切断し、巻取ロールRを巻芯チャック9から取外して搬出用コンベヤ20により搬出する。その後、巻芯供給機構21により巻芯チャック9に新しい巻芯Cを装着し、再び間隔調節機構12により、その新しい巻芯Cをタッチローラ11に帯状シートSの先端部を挟んで接触させ、新しい巻芯Cに貼付した両面粘着テープに帯状シートSの先端部を接着し、かつシート仮保持機構18による帯状シートSの保持を解いた後、新しい巻芯C上への帯状シートSの巻取りを再開する。
【0014】
シート仮保持機構18は、図2に示すように巻取開始時に巻芯Cとタッチローラ11により形成される谷Vの上空より該谷Vに接近離反可能に配設すると共に広幅の帯状シートの全幅にわたって伸長した保持バー22と、この保持バー22に装着したシート押え板23とを備え、保持バー22を谷Vに接近させることによって、保持バー22から谷Vの底V0へ向けて突き出たシート押え板23の前縁部により帯状シートSをタッチローラ11と巻芯Cとの接点Pより僅かに上流寄りのタッチローラ11の外周面に押し付けて保持することができるものである。
【0015】
図1に示すように案内ローラ6を出た帯状シートSは左側のタッチローラ11の上側外周面に巻掛けられ、案内ローラ7を出た帯状シートSは右側のタッチローラ11の下側外周面に巻掛けられる。そのため、右側のシート仮保持機構18は、左側のシート仮保持機構18に対して上下逆向きに配置されている。なお、右側のシート仮保持機構18では、保持バー22が、巻取開始時の巻芯Cとタッチローラ11とにより形成される上下二つの谷のうち下側の谷に向き合うように、下側の谷に対して下方に配置されているが、この場合も、保持バー22は谷の上空に配置されていると解する。
【0016】
図1において左側の切断機構19は、シート仮保持機構18の、退避位置とシート仮保持位置とに昇降可能な保持バー22に沿って帯状シート幅方向に走行可能なナイフ24を備え、このナイフ24を走行させることにより、左側の各帯状シートSを切断する。このとき、帯状シートSは、図2に示すように巻芯Cとタッチローラ11との接点Pの僅かに下流側で切断する。それによって、帯状シートが巻芯Cに接着したとき、その接着点から先端までの長さが短くなり、帯状シートの先端部が折れ曲がって皺になるのを防ぐことができる。また図1において右側の切断機構19は、広幅の帯状シートの全幅にわたり平行に伸び、退避位置と切断位置とに昇降可能に設けた切断用支持バー25と、この切断用支持バー25に沿って帯状シート幅方向に走行可能なナイフ24を備え、このナイフ24を走行させることにより右側の各帯状シートSを切断する。
【0017】
この発明のシート分割巻取装置では、図2に示すようにタッチローラ11上に保持された帯状シートSの先端部を、新しい巻芯Cに両面粘着テープTにより接着する。両面粘着テープTは、新しい巻芯Cを巻芯チャック9に装着する前に、その新しい巻芯Cの外周面にその巻芯Cの長手方向に貼付しておくとよい。新しい巻芯Cは巻芯チャック9に両面粘着テープTの貼付部分を任意方向に向けて装着する。
【0018】
各帯状シートの先端部を夫々新しい巻芯Cに自動的に接着させて巻取りを再開するために、図3に示す制御装置26により巻取モータ17を、巻芯チャック9に装着した新しい巻芯Cが帯状シートSの先端部を挟んでタッチローラ11に接触した後、当該巻取モータ17が帯状シート接着用のトルクτ1を一定時間継続して出力し、その後、図1に示す案内ローラ1,2,3,4による広幅の帯状シートS0の搬送を開始する直前に当該巻取モータ17が巻取トルクτの出力を開始するように制御する。
【0019】
制御装置26には、供給される電力を巻取モータ17の出力軸のトルクに変えるためのインバータ27が備えてあり、このインバータ27は、巻取モータ17の出力軸のトルクが回転数に関係なくトルク指令値になるように制御するトルク制御モードを有する。また制御装置26には、巻取トルクτをインバータ27に指令する公知の巻取トルク制御部28と、各巻取モータ17に帯状シート接着用のトルクτ1を指令する接着用トルク設定部29と、巻取トルク制御部28からの出力信号と、接着用トルク設定部29からの出力信号とを切り替えて巻取モータ17のインバータ27に入力する切替え回路30と、インバータ27の起動と停止を行うインバータ作動回路31とが備えてある。
【0020】
巻取トルク制御部28は、検出器32からの巻取ロール半径検値と、巻取張力設定部33からの巻取張力設定値に基づき時々刻々所要巻取張力を演算すると共に、その所要巻取張力の演算値と巻取半径の検出値とを乗算して時々刻々の所要巻取トルクτを演算して出力する。
【0021】
接着用トルク設定部29には、帯状シートSを挟んでタッチローラ11に接触した巻芯Cが、タッチローラ上に保持された帯状シートとの摩擦等による回転抵抗に抗して回転することができ、かつ、巻芯Cに貼付した両面粘着テープTが帯状シートSに接着したとき巻芯の回転力で接着剤が帯状シートS又は巻芯Cから剥がれることがないように、適当する小さなトルクを設定しておく。
【0022】
切替え回路30は、巻取開始の信号を受けて巻取停止の信号を受けるまで、巻取トルク制御部28からの出力信号τをインバータ27に入力し、新しい巻芯Cが帯状シートSを挟んでタッチローラ11に接触したことを検出する信号を受けてから、図示しないタイマー回路に設定した遅延時間が経過するまで、接着用トルク設定部29からの出力信号τ1をインバータ27に入力する。接着用トルク設定部29からの出力信号をインバータ27に入力する時間は、通常、新しい巻芯Cが1回転するために必要な時間より少し長く設定しておく。なお、図1に示す案内ローラ1,2,3,4による広幅の帯状シートS0の搬送を開始する直前に巻取モータ17が巻取トルクτを出力できるようにするために、巻取開始の信号が出てから所定時間経過後に、案内ローラ1,2,3,4を回転駆動する図示しないラインモータが起動するようにしてある。
【0023】
インバータ作動回路31は、巻取開始の信号を受けてから巻取停止の信号を受けるまでインバータ27を作動させる。また新しい巻芯Cが帯状シートSを挟んでタッチローラ11に接触したことを検出する信号を受けてから、図示しないタイマー回路に設定した遅延時間が経過するまでインバータ27を作動させる。
【0024】
図3に示す状態で、広幅の帯状シートを搬送することなく各巻取モータ17の出力軸から各巻芯Cへ帯状シート接着用のトルクτ1を一斉に出力すると、タッチローラ11は回転せず巻芯Cのみが矢印Aで示す回転方向に回転し、その巻芯Cの外周面に貼付された両面粘着テープTが、図4に示すように巻芯Cとタッチローラ11との接点P上に移動して帯状シートSの先端部分に接着し、その結果、回転抵抗が増大して巻芯Cの回転が停止する。
【0025】
本発明では、巻取開始直後から大きい巻取張力を必要とする場合等において帯状シートを確実に巻芯に巻付けることができるようにするために、図3に示す制御装置26に替え、図5に示す制御装置34を採用するとよい。この制御装置34は、巻取トルク制御部28と、接着用トルク設定部29と、インバータ27に、所要の巻取トルクτより小さい帯状シート巻付用のトルクτ2を指令する巻付用トルク設定部35と、巻取トルク制御部28からの出力信号τと、接着用トルク設定部29からの出力信号τ1と、巻付用トルク設定部33からの出力信号τ2とを切り替えて巻取モータ17のインバータ27に入力する切替え回路36と、切替え回路36と連動してインバータ27の起動と停止を行うインバータ作動回路37とを備え、切替え回路36は、図1に示す案内ローラ1,2,3,4による広幅の帯状シートS0の搬送を開始してから、新しい巻芯Cが数回転するために必要な一定時間が経過するまで、帯状シート巻取中に必要な巻取トルクτより小さい帯状シート巻付用のトルクτ2を出力した後、所要の巻取トルクτを出力する。したがって、制御装置34は、新しい巻芯Cがタッチローラ11に帯状シート先端部を挟んで接触した後、巻芯駆動機構10が一定時間継続して帯状シート接着用のトルクτ1を出力し、案内ローラによる広幅の帯状シートの搬送を開始してから一定時間が経過するまで、所要の巻取トルクより小さい帯状シート巻付用のトルクτ2を出力した後、巻取トルクτの出力を開始するように、その巻芯駆動機構10を制御することができる。
【0026】
本発明では、粘着テープの粘着層と同じゴム系等の粘着剤を直接巻芯の外周面に塗布している場合も、両面粘着テープを巻芯の外周面に貼付していると見做す。また必要に応じて、巻芯駆動機構の制御装置は、広幅の帯状シートを搬送する案内ローラ群を始動すると同時に或は僅かに遅れて巻取トルクを出力するように、また広幅の帯状シートを搬送する案内ローラ群が停止してから所定時間経過した後巻取トルクの出力を停止するよう巻芯駆動機構を制御することもあり得る。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、各巻芯の両面粘着テープ貼付部分の向きに関係なく各巻芯に夫々帯状シートの先端部を、接着点からシート先端までの長さが長くなり過ぎて不良品になることがないよう自動的に短時間で確実に接着することができる。そのため、短時間で巻取りを再開でき、シート分割巻取装置の稼働率の向上を図ることができる。そして印刷機等において巻取ロールから巻戻した帯状シートの終端部と新たな巻取ロールの帯状シート先端部とを自動接続するときに生じる、従来の乾燥しにくい接着剤に起因する帯状シートの接続不良や、搬送ローラへの接着剤付着の問題を解決できる。
【0028】
また、巻芯チャックに装着する新しい巻芯の外周面には長手方向に予め両面粘着テープが付与してあることにより、巻取装置に装着した巻芯に両面粘着テープを貼付する場合に比べ巻取停止時間の短縮が可能になる。
【0029】
巻芯駆動機構の制御装置を、新しい巻芯がタッチローラに帯状シート先端部を挟んで接触した後、案内ローラ群による広幅帯状シートの搬送を停止した状態で、新しい巻芯が帯状シート上を滑って回転することができ、かつ巻芯に貼付した両面粘着テープがタッチローラと巻芯との接点に到達したとき帯状シート又は巻芯から剥がれない大きさの帯状シート接着用のトルクを一定時間継続して出力し、その後、前記案内ローラ群による広幅の帯状シートの搬送を開始すると同時又はその直前若しくは直後から一定時間が経過するまで、帯状シートを巻取るための巻取トルクより小さい、帯状シート巻付用のトルクを出力した後、前記巻取トルクを出力するように、前記巻芯駆動機構を制御するものにすることにより、帯状シートの先端部を確実に巻付けることができる。
【0030】
シート保持機構を、巻取開始時に巻芯とタッチローラにより形成される谷の上空より該谷に接近離反可能に配設すると共に前記広幅の帯状シート全幅にわたって伸長した保持バー、及び前記保持バーに装着したシート押え板を備え、かつ前記保持バーを前記谷に接近させることによって、前記保持バーから前記谷の底へ向けて突き出た前記シート押え板の前縁部により帯状シートをタッチローラと巻芯との接点より上流寄りのタッチローラ外周面に押し付けて保持するものとすることにより、帯状シートを薄いものから厚いものまで確実にタッチローラ上に保持することができ、かつ占有空間が小さく比較的簡素なシート仮保持機構を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るシート分割巻取装置の側面図である。
【図2】シート仮保持機構の説明図である。
【図3】巻芯駆動機構の制御装置のブロック図である。
【図4】新しい巻芯に帯状シート先端が接着した状態を示す説明図である。
【図5】図3に示す巻芯駆動機構の制御装置の変更態様に係るブロック図である。
【符号の説明】
S0 広幅の帯状シート
S 帯状シート
C 巻芯
T 両面粘着テープ
9 巻芯チャック
10 巻芯駆動機構
11 タッチローラ
17 巻取モータ
18 シート仮保持機構
19 切断機構
26 制御装置
28 巻取トルク制御部
29 接着用トルク設定部
30 切替え部
Claims (4)
- 広幅の帯状シートをスリッターへ搬送して通過させる案内ローラ群と、前記スリッターにより所要幅に分割された複数の帯状シートを帯状シート毎の巻芯のまわりに巻取る、前後又は上下に並ぶ巻取装置とを備え、前記巻取装置を、巻芯毎に一対になる巻取アームと、前記巻取アームの一対毎に設けた、前記巻芯の両端を着脱可能に保持する巻芯チャックと、この巻芯チャックを通じて巻芯に、その巻芯を回転させて帯状シートを巻取るための巻取トルクを与える巻芯駆動機構と、帯状シートの巻取中に巻取ロール外周面に接触するタッチローラと、前記タッチローラと前記巻芯とを接触離反させる機構を含むものとし、前記案内ローラ群により広幅の帯状シートをスリッターへ搬送して通過させ、前記スリッターにより分割された複数の帯状シートを前後又は上下に交互に振り分けて前記巻取装置で巻取ることにより巻取ロールを形成し、前記巻取ロールが巻上がると前記案内ローラ群による帯状シートの搬送を停止すると共に前記巻芯駆動機構による巻取トルクの出力を停止して、前記タッチローラと巻取ロールとの間隔を開けると共に、シート仮保持機構により帯状シートをタッチローラ上に保持し、前記巻取ロールに繋がっている帯状シートを切断機構により巻取ロールとタッチローラの接点付近かつ該接点から下流側で切断して巻取ロールを巻芯チャックから取外した後、前記巻芯チャックに、新しい巻芯を装着して該新しい巻芯とタッチローラとを前記帯状シートの先端部を挟んで接触させ、新しい巻芯の外周面に長手方向に貼付した両面粘着テープに前記帯状シートの先端部を接着し、かつ前記シート仮保持機構による前記帯状シートの保持を解いた後に、新しい巻芯上への帯状シートの巻取りを再開するシート分割巻取装置において、前記巻芯チャックに装着した新しい巻芯が帯状シート先端部を挟んでタッチローラに接触した後、案内ローラ群による広幅帯状シートの搬送を停止した状態で、新しい巻芯が帯状シート上を滑って回転することができ、かつ巻芯に貼付した両面粘着テープがタッチローラと巻芯との接点に到達したとき帯状シート又は巻芯から剥がれない大きさの帯状シート接着用のトルクを一定時間継続して出力し、その後、前記案内ローラ群による広幅の帯状シートの搬送を開始すると同時に又はその直前若しくは直後に前記帯状シートを巻取るための巻取トルクの出力を開始するように前記巻芯駆動機構を制御する制御装置を備えることを特徴とするシート分割巻取装置。
- 前記巻芯チャックに装着する新しい巻芯の外周面には長手方向に予め両面粘着テープが付与してあることを特徴とする請求項1に記載のシート分割巻取装置。
- 前記制御装置に替えて、前記新しい巻芯がタッチローラに帯状シート先端部を挟んで接触した後、案内ローラ群による広幅帯状シートの搬送を停止した状態で、新しい巻芯が帯状シート上を滑って回転することができ、かつ巻芯に貼付した両面粘着テープがタッチローラと巻芯との接点に到達したとき帯状シート又は巻芯から剥がれない大きさの帯状シート接着用のトルクを一定時間継続して出力し、その後、前記案内ローラ群による広幅の帯状シートの搬送を開始すると同時又はその直前若しくは直後から一定時間が経過するまで、前記帯状シートを巻取るための巻取トルクより小さい、帯状シート巻付用のトルクを出力した後、前記巻取トルクを出力するように、前記巻芯駆動機構を制御する制御装置を備えた請求項1又は請求項2に記載のシート分割巻取装置。
- 前記シート保持機構を、巻取開始時に巻芯とタッチローラにより形成される谷の上空より該谷に接近離反可能に配設すると共に前記広幅の帯状シート全幅にわたって伸長した保持バー、及び前記保持バーに装着したシート押え板を備え、かつ前記保持バーを前記谷に接近させることによって、前記保持バーから前記谷の底へ向けて突き出た前記シート押え板の前縁部により帯状シートをタッチローラと巻芯との接点より上流寄りのタッチローラ外周面に押し付けて保持するものとした請求項1若しくは請求項2又は請求項3に記載のシート分割巻取装置。
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