JP4306599B2 - パターン形成基板、電気光学装置及び電気光学装置の製造方法 - Google Patents

パターン形成基板、電気光学装置及び電気光学装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、パターン形成基板、電気光学装置及び電気光学装置の製造方法に関する。
従来、発光素子を備えるディスプレイには、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)を備える電気光学装置としての有機エレクロトルミネッセンスディスプレイ(有機ELディスプレイ)が知られている。
有機EL素子は、一般的に、その有機EL層の構成材料によって製造方法が大別される。すなわち、低分子有機材料を有機EL層の構成材料とする場合には、同低分子有機材料を蒸着して有機EL層を形成する、いわゆる気相プロセスが利用されている。一方、高分子有機材料を有機EL層の構成材料とする場合には、同高分子有機材料を有機溶媒等に溶解した溶液を塗布して乾燥する、いわゆる液相プロセスが利用されている。
なかでも、その液相プロセスにおけるインクジェット法は、前記溶液を微小な液滴として吐出するため、他の液相プロセス(例えば、スピンコート等)に比べて、有機EL層の形成位置や膜厚等をより高い精度で制御することができる。しかも、インクジェット法は、有機EL層を形成する領域(素子形成領域)にのみ前記液滴を吐出するため、原材料である高分子有機材料の使用量を低減することができる。
ところが、インクジェット法では、前記素子形成領域に対する液滴の接触角が大きくなると(濡れ性が低くなると)、吐出した液滴が、パターン形成領域の一部に偏倚するようになる。その結果、有機EL層は、各液滴間の境界等によって、その形状の均一性(例えば、有機EL層内の膜厚均一性や有機EL層間の膜厚均一性等)を損なう問題を招く。
そこで、こうしたインクジェット法では、従来より、吐出する液滴の濡れ性を向上する提案がなされている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、液滴を吐出する前に、パターン形成領域(透明電極上)に親液性のプラズマ処理(酸素ガスプラズマ処理)を施すようにしている。これによって、液滴の濡れ性を向上することができ、パターン形成領域内のパターン形状の均一性を向上することができる。
特開2002−334782 号広報
ところで、一般的に、有機EL層は、少なくとも有色の光を発光する発光層と、同発光層と陽極(例えば、ITO膜)との間に形成される正孔輸送層を有する積層パターンで形成されている。そのため、上層パターン(発光層)を形成する液滴の濡れ性を確保するためには、下層パターン(例えば正孔輸送層)に対し、上記する酸素プラズマ処理等の表面処理を施さなければならない。
しかしながら、下層パターンに酸素プラズマ処理等を施すと、同下層パターンが酸化され、その電気的特性を損なう問題となる。また、こうしたプラズマ処理工程を追加する分だけ、有機ELディスプレイの生産性を損なう問題となる。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、液滴を乾燥して形成した積層パターンの均一性を向上するとともに、その生産性を向上したパターン形成基板、電気光学装置及び電気光学装置の製造方法を提供することである。
本発明のパターン形成基板は、パターン形成材料を含む液滴を乾燥して形成したパターンを積層することによって形成した積層パターンを備えるパターン形成基板において、下層パターンは、上層パターンを形成する前記液滴に対して親液性を有する親液性微粒子を含有した。
本発明のパターン形成基板によれば、下層パターンが親液性微粒子を含有する分だけ、下層パターンに対して、上層パターンを形成する液滴の濡れ性を向上することができる。従って、各種表面処理工程等を追加することなく、下層パターンの上に、均一な形状の上層パターンを積層することができる。ひいては、パターン形成基板の生産性を向上することができる。
このパターン形成基板において、前記親液性微粒子は、シリカ(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化ニオブ(NbO、Nb)、酸化バナジウム(VO、V、V)および酸化鉄(Fe)のうちの少なくともいずれか1つを含有した。あるいは、シリカ(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化ニオブ(NbO、Nb)、酸化バナジウム(VO、V、V)および酸化鉄(Fe)のうちの少なくとも1種以上の組み合わせからなる粒子を含有するいずれか1つを含有した。
このパターン形成基板によれば、シリカ(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化ニオブ(NbO、Nb)、酸化バナジウム(VO、V、V)および酸化鉄(Fe)のうちの少なくともいずれか1つ、または少なくとも1種以上の組み合わせからなる粒子を下層パターンが含有する分だけ、均一な形状の上層パターンを積層することができ、パターン形成基板の生産性を向上することができる。
このパターン形成基板において、前記親液性微粒子は、平均粒径が0.5μm以下であること。
このパターン形成基板によれば、親液性微粒子の平均粒径が0.5μm以下に形成される分だけ、均一な形状の上層パターンを積層することができ、パターン形成基板の生産性を向上することができる。
このパターン形成基板において、前記パターン形成材料は、発光素子形成材料であって、前記積層パターンは、発光素子である。
このパターン形成基板によれば、均一な形状の発光素子を形成することができ、同発光素子を備えたパターン形成基板の生産性を向上することができる。
本発明の電気光学装置は、薄膜層形成材料を含む液滴を乾燥して形成した薄膜層を電極上に積層することによって形成した発光素子を備える電気光学装置において、下層薄膜層が、上層薄膜層を形成する前記液滴に対して親液性を有する親液性微粒子を含有した。
本発明の電気光学装置によれば、下層薄膜層が親液性微粒子を含有する分だけ、下層薄膜層に対して、上層薄膜層を形成する液滴の濡れ性を向上することができる。従って、各種表面処理工程を追加することなく、下層薄膜層の上に、均一な形状の上層薄膜層を積層することができる。ひいては、電気光学装置の生産性を向上することができる。
この電気光学装置において、前記親液性微粒子は、シリカ(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化ニオブ(NbO、Nb)、酸化バナジウム(VO、V、V)および酸化鉄(Fe)のうちの少なくともいずれか1つを含有した。あるいは、シリカ(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化ニオブ(NbO、Nb)、酸化バナジウム(VO、V、V)および酸化鉄(Fe)のうちの少なくとも1種以上の組み合わせからなる粒子を含有するいずれか1つを含有した。
この電気光学装置によれば、シリカ(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化ニオブ(NbO、Nb)、酸化バナジウム(VO、V、V)および酸化鉄(Fe)のうちの少なくともいずれか1つ、または少なくとも1種以上の組み合わせからなる粒子を下層薄膜層が含有する分だけ、均一な形状の上層薄膜層を積層することができ、電気光学装置の生産性を向上することができる。
この電気光学装置において、前記親液性微粒子は、平均粒径が0.5μm以下である。
この電気光学装置によれば、親液性微粒子の平均粒径が0.5μm以下に形成される分だけ、均一な形状の上層薄膜層を積層することができ、電気光学装置の生産性を向上することができる。
この電気光学装置において、前記発光素子は、透明電極と背面電極との間に、前記薄膜層を積層したエレクトロルミネッセンス素子である。
この電気光学装置によれば、エレクトロルミネッセンス素子を備えた電気光学装置の生産性を向上することができる。
この電気光学装置において、前記発光素子は、有機材料からなる前記積層膜を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子である。
この電気光学装置によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた電気光学装置の生産性を向上することができる。
本発明の電気光学装置の製造方法は、薄膜層形成材料を含む液滴を乾燥して薄膜層を形成し、前記薄膜層を電極上に積層することによって発光素子を形成するようにした電気光学装置の製造方法において、下層薄膜層を形成する液滴に、上層薄膜層を形成する液滴に対して親液性を有する親液性微粒子を混和し、前記親液性微粒子を混和した液滴を乾燥して前記下層薄膜層を形成した後に、前記下層薄膜層上で、前記上層薄膜層を形成する液滴を乾燥して前記下層薄膜層上に前記上層薄膜層を積層するようにした。
本発明の電気光学装置の製造方法によれば、下層薄膜層を形成する液滴に親液性微粒子を混和する分だけ、下層薄膜層に対して、上層薄膜層を形成する液滴の濡れ性を向上することができる。従って、各種表面処理工程を追加することなく、下層薄膜層の上に、均一な形状の上層薄膜層を積層することができる。ひいては、電気光学装置の生産性を向上することができる。
この電気光学装置の製造方法において、前記親液性微粒子は、シリカ(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、
酸化ニオブ(NbO、Nb)、酸化バナジウム(VO、V、V)および酸化鉄(Fe)のうちの少なくともいずれか1つを含有した。あるいは、シリカ(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化ニオブ(NbO、Nb)、酸化バナジウム(VO、V、V)および酸化鉄(Fe)のうちの少なくとも1種以上の組み合わせからなる粒子を含有するいずれか1つを含有した。
この電気光学装置の製造方法によれば、シリカ(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化ニオブ(NbO、Nb)、酸化バナジウム(VO、V、V)および酸化鉄(Fe)のうちの少なくともいずれか1つ、または少なくとも1種以上の組み合わせからなる粒子を下層薄膜層が含有する分だけ、均一な形状の上層薄膜層を積層することができ、電気光学装置の生産性を向上することができる。
この電気光学装置の製造方法において、前記親液性微粒子は、平均粒径が0.5μm以下である。
この電気光学装置の製造方法によれば、親液性微粒子の平均粒径が0.5μm以下に形成される分だけ、均一な形状の上層薄膜層を積層することができ、電気光学装置の生産性を向上することができる。
この電気光学装置の製造方法は、前記下層薄膜層を形成する液滴に光を照射して前記親液性微粒子の親液性を誘起するようにした。
この電気光学装置の製造方法によれば、下層薄膜層を形成する液滴に光を照射して親液性微粒子の親液性を誘起するため、同親液性微粒子の材料の選択幅を広げることができる。
この電気光学装置の製造方法は、前記下層薄膜層を形成する液滴に照射する光の波長が400nm以下である。
この電気光学装置の製造方法によれば、400nm以下の光を照射することによって親液性微粒子の親液性を誘起する分だけ、均一な形状の上層薄膜層を積層することができ、電気光学装置の生産性を向上することができる。
この電気光学装置の製造方法において、前記発光素子は、透明電極と背面電極との間に、前記薄膜層を積層するようにしたエレクトロルミネッセンス素子である。
この電気光学装置の製造方法によれば、エレクトロルミネッセンス素子を備えた電気光学装置の生産性を向上することができる。
この電気光学装置の製造方法において、前記発光素子は、有機材料からなる前記薄膜層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子である。
この電気光学装置の製造方法によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた電気光学装置の生産性を向上することができる。
この電気光学装置の製造方法において、前記液滴は、液滴吐出装置から吐出するようにした。
この電気光学装置の製造方法によれば、液滴吐出装置によって微細な液滴を形成する分だけ、より均一な形状の発光素子を形成することができ、電気光学装置の生産性を向上することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図11に従って説明する。図1は、電気光学装置としての有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(有機ELディスプレイ)を示す概略平面図である。
図1に示すように、有機ELディスプレイ10には、パターン形成基板としての透明基板11が備えられている。透明基板11は、四角形状に形成される無アルカリガラス基板であって、その表面(素子形成面11a)には、四角形状の素子形成領域12が形成されている。その素子形成領域12には、上下方向(列方向)に延びる複数のデータ線Lyが所定の間隔をおいて形成されている。各データ線Lyは、それぞれ透明基板11の下側に配設されるデータ線駆動回路Dr1に電気的に接続されている。データ線駆動回路Dr1は、図示しない外部装置から供給される表示データに基づいてデータ信号を生成し、そのデータ信号を対応するデータ線Lyに所定のタイミングで出力するようになっている。
また、素子形成領域12には、列方向に延びる複数の電源線Lvが所定の間隔をおいて各データ線Lyに併設されている。各電源線Lvは、それぞれ素子形成領域12の下側に形成される共通電源線Lvcに電気的に接続され、図示しない電源電圧生成回路の生成する駆動電源を各電源線Lvに供給するようになっている。
さらにまた、素子形成領域12には、データ線Ly及び電源線Lvと直交する方向(行方向)に延びる複数の走査線Lxが所定の間隔をおいて形成されている。各走査線Lxは、それぞれ透明基板11の左側に形成される走査線駆動回路Dr2に電気的に接続されている。走査線駆動回路Dr2は、図示しない制御回路から供給される走査制御信号に基づいて、複数の走査線Lxの中から所定の走査線Lxを所定のタイミングで選択駆動し、その走査線Lxに走査信号を出力するようになっている。
これらデータ線Lyと走査線Lxの交差する位置には、対応するデータ線Ly、電源線Lv及び走査線Lxに接続されることによってマトリックス状に配列される複数の画素13が形成されている。その画素13内には、それぞれ制御素子形成領域14と発光素子形成領域15が区画形成されている。そして、素子形成領域12の上側を四角形状の封止基板16(図1における2点鎖線)で覆うことによって、画素13が保護されるようになっている。
尚、本実施形態における各画素13は、それぞれ対応する色の光を発光する画素であって、赤色の光を発光する赤色画素又は緑色の光を発光する緑色画素又は青色を発光する青色画素である。そして、これら各画素13によって、透明基板11の裏面(表示面11b)側にフルカラーの画像を表示するようになっている。
次に、上記する画素13について以下に説明する。図2は、制御素子形成領域14及び発光素子形成領域15のレイアウトを示す概略平面図である。図3及び図4は、それぞれ図2の一点鎖線A−A及びB−Bに沿った制御素子形成領域14を示す概略断面図であって、図5は、図2の一点鎖線C−Cに沿った発光素子形成領域15を示す概略断面図である。
まず、制御素子形成領域14の構成について以下に説明する。図2に示すように、各画素13の下側には、それぞれ制御素子形成領域14が形成され、その制御素子形成領域14には、それぞれ第1トランジスタ(スイッチング用トランジスタ)T1、第2トランジスタ(駆動用トランジスタ)T2及び保持キャパシタCsが形成されている。
図3に示すように、スイッチング用トランジスタT1は、その最下層に第1チャンネル膜B1を備えている。第1チャンネル膜B1は、素子形成面11a上に形成される島状のp型ポリシリコン膜であって、その中央位置には第1チャンネル領域C1が形成されてい
る。その第1チャンネル領域C1を挟む左右両側には、活性化したn型領域(第1ソース領域S1及び第1ドレイン領域D1)が形成されている。つまり、スイッチング用トランジスタT1は、いわゆるポリシリコン型TFTである。
第1チャンネル領域C1の上側には、素子形成面11a側から順に、ゲート絶縁膜Gox及び第1ゲート電極G1が形成されている。ゲート絶縁膜Goxは、シリコン酸化膜等の光透過性を有する絶縁膜であって、第1チャンネル領域C1の上側及び素子形成面11aの略全面に堆積されている。第1ゲート電極G1は、タンタルやアルミニウム等の低抵抗金属膜であって、第1チャンネル領域C1と相対向する位置に形成され、図2に示すように、走査線Lxと電気的に接続されている。その第1ゲート電極G1は、図3に示すように、ゲート絶縁膜Goxの上側に堆積される第1層間絶縁膜IL1によって電気的に絶縁されている。
そして、走査線駆動回路Dr2が走査線Lxを介して第1ゲート電極G1に走査信号を入力すると、スイッチング用トランジスタT1は、その走査信号に基づいたオン状態となる。
第1ソース領域S1には、前記第1層間絶縁膜IL1及びゲート絶縁膜Goxを貫通するデータ線Lyが電気的に接続されている。また、第1ドレイン領域D1には、第1層間絶縁膜IL1及びゲート絶縁膜Goxを貫通する第1ドレイン電極Dp1が電気的に接続されている。これらデータ線Ly及び第1ドレイン電極Dp1は、図3に示すように、第1層間絶縁膜IL1の上側に堆積される第2層間絶縁膜IL2によって電気的に絶縁されている。
そして、走査線駆動回路Dr2が、走査線Lxを線順次走査に基づき1本ずつ順次選択すると、画素13のスイッチング用トランジスタT1が順次、選択期間中だけオン状態になる。スイッチング用トランジスタT1がオン状態となると、データ線駆動回路Dr1から出力されるデータ信号が、データ線Ly及びスイッチング用トランジスタT1(チャンネル膜B1)を介して第1ドレイン電極Dp1に出力される。
図4に示すように、駆動用トランジスタT2は、第2チャンネル領域C2、第2ソース領域S2及び第2ドレイン領域D2を有したチャンネル膜B2を備えるポリシリコン型TFTである。その第2チャンネル膜B2の上側には、ゲート絶縁膜Goxを介して第2ゲート電極G2が形成されている。第2ゲート電極G2は、タンタルやアルミニウム等の低抵抗金属膜であって、図2に示すように、スイッチング用トランジスタT1の第1ドレイン電極Dp1及び保持キャパシタCsの下部電極Cp1と電気的に接続されている。これら第2ゲート電極G2及び下部電極Cp1は、図4に示すように、ゲート絶縁膜Goxの上側に堆積される前記第1層間絶縁膜IL1によって電気的に絶縁されている。
第2ソース領域S2は、この第1層間絶縁膜IL1を貫通する保持キャパシタCsの上部電極Cp2に電気的に接続されている。その上部電極Cp2は、図2に示すように、対応する電源線Lvに電気的に接続されている。つまり、駆動用トランジスタT2の第2ゲート電極G2と第2ソース領域S2間との間には、図2及び図4に示すように、第1層間絶縁膜IL1を容量膜とする保持キャパシタCsが接続されている。第2ドレイン領域D2は、第1層間絶縁膜IL1を貫通する第2ドレイン電極Dp2に電気的に接続されている。これら第2ドレイン電極Dp2及び上部電極Cp2は、第1層間絶縁膜IL1の上側に堆積される第2層間絶縁膜IL2によって電気的に絶縁されている。
そして、データ線駆動回路Dr1から出力されるデータ信号がスイッチング用トランジスタT1を介して第1ドレイン領域D1に出力されると、保持キャパシタCsが、出力さ
れたデータ信号に相対する電荷を蓄積する。続いて、スイッチング用トランジスタT1がオフ状態になると、保持キャパシタCsに蓄積される電荷に相対した駆動電流が、駆動用トランジスタT2(チャンネル膜B2)を介して第2ドレイン領域D2に出力される。
次に、発光素子形成領域15の構成について以下に説明する。
図2に示すように、各画素13の上側には、それぞれ四角形状の発光素子形成領域15が形成されている。図5に示すように、その発光素子形成領域15であって前記第2層間絶縁膜IL2の上側には、透明電極としての陽極20が形成されている。
陽極20は、ITO等の光透過性を有する透明導電膜であって、その一端が、図4に示すように、第2層間絶縁膜IL2を貫通して第2ドレイン領域D2に電気的に接続されている。その陽極20の上面20aは、後述する親液化処理(図6におけるステップ12)によって下層液滴25D(図9参照)を親液するようになっている。
その陽極20の上側には、各陽極20を互いに絶縁するシリコン酸化膜等の第3層間絶縁膜IL3が堆積されている。この第3層間絶縁膜IL3には、陽極20の略中央位置を上側に開口する四角形状の貫通孔21が形成され、その第3層間絶縁膜IL3の上側には、隔壁層22が形成されている。
隔壁層22は、所定の波長からなる露光光Lpr(図7参照)を露光すると、露光された部分のみがアルカリ性溶液等の現像液に可溶となる、いわゆるポジ型の感光性材料で形成され、後述する下層形成液25L(図9参照)及び上層形成液27L(図11参照)を撥液する感光性ポリイミド等の樹脂で形成されている。その隔壁層22には、貫通孔21と相対向する位置を上側に向かってテーパ状に開口する収容孔23が形成されている。収容孔23は、後述する下層液滴25D(図9参照)及び上層液滴27D(図11参照)を対応する発光素子形成領域15内に収容可能な大きさで形成されている。そして、この収容孔23の内周面によって、発光素子形成領域15(陽極20及び貫通孔21)を囲う隔壁24が形成されている。
発光素子形成領域15内であって陽極20の上側には、下層パターンとしての下層薄膜層(正孔輸送層)25が形成されている。正孔輸送層25は、パターン形成材料及び薄膜層形成材料を構成する正孔輸送層形成材料25s(図9参照)からなるパターンである。
尚、本実施形態における正孔輸送層形成材料25sは、例えばベンジジン誘導体、スチリルアミン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、及びヒドラゾン誘導体等の低分子化合物、又はこれらの構造を一部に含む高分子化合物や、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール、α−ナフチルフェニルジアミン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物(PEDOT/PSS)(Baytron P、バイエル社商標)等の高分子化合物である。
その正孔輸送層25内には、親液性微粒子26(図9及び図10参照)が含有されている。親液性微粒子26は、後述する上層液滴27Dに対して親液性を有する酸化チタン(TiO)等であって、その平均粒径が0.5μm以下で形成されている。
その正孔輸送層25の上側には、上層パターンとしての上層薄膜層(発光層)27が積層されている。発光層27は、パターン形成材料及び薄膜層形成材料を構成する発光層形成材料27s(図11参照)からなるパターンである。
尚、本実施形態における発光層27は、それぞれ対応する色の発光層形成材料27s(赤色の光を発光する赤色発光層形成材料、緑色の光を発光する緑色発光層形成材料及び青色を発光する青色発光層形成材料)で形成されている。赤色用発光層形成材料は、例えばポリビニレンスチレン誘導体のベンゼン環にアルキル又はアルコキシ置換基を有する高分
子化合物や、ポリビニレンスチレン誘導体のビニレン基にシアノ基を有する高分子化合物等である。また、緑色用発光層形成材料は、例えばアルキル、又はアルコキシ又はアリール誘導体置換基をベンゼン環に導入したポリビニレンスチレン誘導体等である。青色用発光層形成材料は、例えばポリフルオレン誘導体(ジアルキルフルオレンとアントラセンの共重合体やジアルキルフルオレンとチオフェンの共重合体等)である。
そして、これら正孔輸送層25と発光層27によって積層パターンとしての有機エレクトロルミネッセンス層(有機EL層)30が形成されている。
有機EL層30上側であって隔壁層22(隔壁24)の上側には、アルミニウム等の光反射性を有する金属膜からなる背面電極としての陰極31が形成されている。陰極31は、素子形成面11a側全面を覆うように形成され、各画素13が共有することによって各発光素子形成領域15に共通する電位を供給するようになっている。
すなわち、これら陽極20、有機EL層30及び陰極31によって、発光素子としての有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)が構成される。
そして、データ信号に応じた駆動電流が第2ドレイン領域D2を介して陽極20に供給されると、有機EL層30は、その駆動電流に応じた輝度で発光する。この際、有機EL層30から陰極31側(図4における上側)に向かって発光された光は、同陰極31によって反射される。そのため、有機EL層30から発光された光は、その殆どが、陽極20、第2層間絶縁膜IL2、第1層間絶縁膜IL1、ゲート絶縁膜Gox、素子形成面11a及び透明基板11を透過して透明基板11の裏面(表示面11b)側から外方に向かって出射する。すなわち、データ信号に基づく画像が有機ELディスプレイ10の表示面11bに表示される。
陰極31の上側には、エポキシ樹脂等からなる接着層32が形成され、その接着層32を介して素子形成領域12を覆う封止基板16が貼着されている。封止基板16は、無アルカリガラス基板であって、画素13及び各種配線Lx,Ly,Lvの酸化等を防止するようになっている。
(有機ELディスプレイ10の製造方法)
次に、有機ELディスプレイ10の製造方法について以下に説明する。図6は、有機ELディスプレイ10の製造方法を説明するフローチャートであって、図7〜図11は、同有機ELディスプレイ10の製造方法を説明する説明図である。
図6に示すように、はじめに透明基板11の素子形成面11aに各種配線Lx,Ly,Lv,Lvc及び各トランジスタT1,T2を形成し、隔壁層22をパターニングする有機EL層前工程を行う(ステップS11)。図7は、有機EL層前工程を説明する説明図である。
すなわち、有機EL層前工程では、まず素子形成面11aの全面にエキシマレーザ等によって結晶化したポリシリコン膜を形成し、そのポリシリコン膜をパターニングして各チャンネル膜B1,B2を形成する。次に、各チャンネル膜B1,B2及び素子形成面11aの上側全面に、シリコン酸化膜等からなるゲート絶縁膜Goxを形成し、そのゲート絶縁膜Goxの上側全面にタンタル等の低抵抗金属膜を堆積する。そして、その低抵抗金属膜をパターニングして、各ゲート電極G1,G2、保持キャパシタCsの下部電極Cp1及び走査線Lxを形成する。
各ゲート電極G1,G2を形成すると、同ゲート電極G1,G2をマスクにしたイオンドーピング法によって、それぞれ各チャンネル膜B1,B2にn型不純物領域を形成する。これによって、各チャンネル領域C1,C2、各ソース領域S1,S2及び各ドレイン領域D1,D2を形成する。各チャンネル膜B1,B2にそれぞれ各ソース領域S1,S
2及び各ドレイン領域D1,D2を形成すると、各ゲート電極G1,G2、下部電極Cp1、走査線Lx及びゲート絶縁膜Goxの上側全面にシリコン酸化膜等からなる第1層間絶縁膜IL1を堆積する。
第1層間絶縁膜IL1を堆積すると、その第1層間絶縁膜IL1であって各ソース領域S1,S2及び各ドレイン領域D1,D2と相対する位置に一対のコンタクトホールをパターニングする。次に、同コンタクトホール内及び第1層間絶縁膜IL1の上側全面にアルミニウム等の金属膜を堆積し、その金属膜をパターニングすることによって各ソース領域S1,S2に対応するデータ線Lyと保持キャパシタCsの上部電極Cp2をそれぞれ形成する。同時に、各ドレイン領域D1,D2に対応する各ドレイン電極Dp1,Dp2を形成する。そして、データ線Ly、上部電極Cp2、各ドレイン領域D1,D2及び第1層間絶縁膜IL1の上側全面にシリコン酸化膜等からなる第2層間絶縁膜IL2を堆積する。これによって、スイッチング用トランジスタT1及び駆動用トランジスタT2を形成する。
第2層間絶縁膜IL2を堆積すると、その第2層間絶縁膜IL2であって第2ドレイン領域D2と相対向する位置にビアホールを形成する。次に、そのビアホール内及び第2層間絶縁膜IL2の上側全面に、ITO等の光透過性を有する透明導電膜を堆積し、その透明導電膜をパターニングすることによって第2ドレイン領域D2と接続する陽極20を形成する。陽極20を形成すると、その陽極20及び第2層間絶縁膜IL2の上側全面にシリコン酸化膜等からなる第3層間絶縁膜IL3を堆積する。
第3層間絶縁膜IL3を堆積すると、図7に示すように、第3層間絶縁膜IL3の上側全面に、感光性ポリイミド樹脂等を塗布して隔壁層22を形成する。そして、マスクMkを介して、陽極20と相対向する位置の隔壁層22に所定の波長からなる露光光Lprを露光して現像すると、同隔壁層22に隔壁24を内周面にする収容孔23がパターニングされる。
収容孔23をパターニングすると、隔壁層22をマスクにして第3層間絶縁膜IL3をパターニングし、陽極20の上側に、収容孔23と連通する貫通孔21を形成する。
これによって、素子形成面11aに各種配線Lx,Ly,Lv,Lvc及び各トランジスタT1,T2を形成し、収容孔23をパターニングする有機EL層前工程を終了する。
図6に示すように、有機EL層前工程を終了すると(ステップS11)、後述する下層液滴25D及び上層液滴27Dを形成するために、収容孔23内及び隔壁層22の表面を処理する表面処理工程を行う(ステップS12)。図8は、表面処理工程を説明する説明図である。
すなわち、表面処理工程では、まず、素子形成面11a全面を酸素系のプラズマPsに晒して、収容孔23内の陽極20(上面20a)及び第3層間絶縁膜IL3(貫通孔21)を親水性にする親水化処理を行う。続いて、前記する親水化処理を行うと、素子形成面11a全面をフッ素系のプラズマPsに晒して、隔壁層22(隔壁24)を再び撥液性にする撥液化処理を行う。
図6に示すように、表面処理工程を終了すると(ステップS12)、収容孔23内に正孔輸送層形成材料25s及び親液性微粒子26を含有する下層液滴25Dを形成し、正孔輸送層25を形成する下層形成工程を行う(ステップS13)。図9は、その下層形成工程を説明する説明図である。
まず、下層液滴25Dを形成するための液滴吐出装置の構成について以下に説明する。
図9に示すように、本実施形成における液滴吐出装置を構成する液体吐出ヘッド35に
は、ノズルプレート36が備えられている。そのノズルプレート36の下面(ノズル形成面36a)には、液体を吐出する多数のノズル36nが上方に向かって形成されている。各ノズル36nの上側には、図示しない液体収容タンクに連通して液体をノズル36n内に供給可能にする液体供給室37が形成されている。各液体供給室37の上側には、上下方向に往復振動して液体供給室37内の容積を拡大縮小する振動板38が配設されている。その振動板38の上側であって各液体供給室37と相対向する位置には、それぞれ上下方向に伸縮して振動板38を振動させる圧電素子39が配設されている。
そして、液滴吐出装置に搬送される透明基板11は、図9に示すように、素子形成面11aをノズル形成面36aと平行にして、かつ各収容孔23の中心位置をそれぞれノズル36nの直下に配置して位置決めされる。
ここで、液体供給室37内に、正孔輸送層形成材料25sを溶解又は分散可能な下層液に溶解又は分散し、その溶液に親液性微粒子26を混和して生成した下層形成液25Lを供給する。
そして、液体吐出ヘッド35に下層液滴25Dを形成するための駆動信号を入力すると、同駆動信号に基づいて圧電素子39が伸縮して液体供給室37の容積が拡大縮小する。このとき、液体供給室37の容積が縮小すると、縮小した容積に相対する量の下層形成液25Lが、各ノズル36nから微小下層液滴25bとして吐出される。吐出された微小下層液滴25bは、それぞれ収容孔23内の陽極20上面に着弾する。続いて、液体供給室37の容積が拡大すると、拡大した容積分の下層形成液25Lが、図示しない液体収容タンクから液体供給室37内に供給される。つまり、液体吐出ヘッド35は、こうした液体供給室37の拡大縮小によって、所定の容量の下層形成液25Lを収容孔23に向かって吐出する。尚、この際、液体吐出ヘッド35は、下層液滴25Dに含まれる正孔輸送層形成材料25sが所望する膜厚を形成する分だけ微小下層液滴25bを吐出する。
そして、収容孔23内に吐出された微小下層液滴25bは、上記する親液化処理を行う分だけ、陽極20上面及び貫通孔21全体に均一に濡れ広がる。均一に濡れ広がる微小下層液滴25bは、やがて、図9の2点鎖線に示すように、その表面張力と隔壁24の撥液性によって、半球面状の表面を呈する下層液滴25Dを形成する。
下層液滴25Dを形成すると、続いて、透明基板11(下層液滴25)を所定の減圧下に配置して同下層液滴25Dの下層液を蒸発させ、親液性微粒子26を均一に含有する状態で正孔輸送層形成材料25sを硬化する。硬化する正孔輸送層形成材料25sは、陽極20上面全体に均一に濡れ広がる分だけ、均一な形状を有する正孔輸送層25を形成する。これによって、貫通孔21(収容孔23)内であって陽極20上面全体に、親液性微粒子26を含有した正孔輸送層25を形成する。
図6に示すように、正孔輸送層25を形成すると(ステップS13)、前記親液性微粒子26の親液性を誘起する親液化工程を行う(ステップ14)。すなわち、図10に示すように、波長が400nm以下の紫外光Luvを正孔輸送層25に照射する。紫外光Luvの照射された親液性微粒子26は、親液性微粒子26表面に対する水酸基の生成や、同水酸基に起因する物理吸着水の形成等によって親液性を誘起する。
図6に示すように、親液性微粒子26の親液性を誘起すると(ステップS14)、各収容孔23内に、対応する色の発光層形成材料を含有する上層液滴27Dを形成し、発光層27を形成する上層形成工程を行う(ステップS15)。図11は、上層形成工程を説明する説明図である。
上層形成工程では、下層形成工程と同じく、各色の発光層形成材料27sを上層液に溶解又は分散した上層形成液27Lからなる微小上層液滴27bを、各ノズル36nから対応する正孔輸送層25上に吐出する。この際、液体吐出ヘッド35は、発光層形成材料2
7sが収容孔23内で所望する膜厚を形成する分だけ微小上層液滴27bを吐出する。
尚、本実施形態における前記上層液は、発光層形成材料27sを溶解又は分散可能な液体であって、上記する親液性微粒子26との親和力を誘起する液体である。
正孔輸送層25上に吐出された微小上層液滴27bは、上記する下層形成液25Lに含有される親液性微粒子26との親和力によって、その親液性微粒子26が含有される分だけ、正孔輸送層25上面全体に均一に濡れ広がる。そして、均一に濡れ広がる微小上層液滴27bは、やがて、図11の2点鎖線に示すように、その表面張力と隔壁24の撥液性によって、半球面状の表面を呈する上層液滴27Dを形成する。
上層液滴27Dを形成すると、上記する下層形成工程と同じく、透明基板11(上層液滴27D)を所定の減圧下に配置して上層液滴27Dの上層液を蒸発させ、発光層形成材料27sを硬化する。硬化する発光層形成材料27sは、正孔輸送層25上面全体に均一に濡れ広がる分だけ、その形状(例えば、発光素子形成領域15内の膜厚均一性や発光素子形成領域15間の膜厚均一性等)を均一にした発光層27を形成する。すなわち、均一な形状を有する有機EL層30を形成する。
図6に示すように、正孔輸送層25(有機EL層30)を形成すると(ステップS15)、発光層27(有機EL層30)及び隔壁層22上に陰極31を形成し、画素13を封止する有機EL層後工程を行う(ステップ16)。すなわち、有機EL層30及び隔壁層22の上側全面にアルミニウム等の金属膜からなる陰極31を堆積し、陽極20、有機EL層30及び陰極31からなる有機EL素子を形成する。有機EL素子を形成すると、陰極31(画素13)の上側全面にエポキシ樹脂等を塗布して接着層32を形成し、その接着層32を介して封止基板16を透明基板11に貼着する。
これによって、有機EL層30の形状を均一にした有機ELディスプレイ10を製造することができる。
次に、上記のように構成した本実施形態の効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、下層液に親液性微粒子26を混和して下層形成液25Lを生成し、同下層形成液25Lからなる下層液滴25Dを乾燥することによって正孔輸送層25を形成するようにした。従って、親液性微粒子26を含有する分だけ、上層液滴27Dを正孔輸送層25上面全体に濡れ広がすことができる。その結果、プラズマ等の表面処理による正孔輸送層25の破損を回避して、発光層27の形状を均一にすることができる。ひいては、有機EL層30の形状を均一にすることができ、有機ELディスプレイ10の生産性を向上することができる。
(2)上記実施形態によれば、親液性微粒子26の平均粒径を0.5μm以下で構成するようにした。従って、親液性微粒子26の平均粒径を小さくする分だけ、正孔輸送層25の形状を平坦化することができ、ひいては有機EL層30の形状をより均一にすることができる。
(3)上記実施形態によれば、紫外光Luvを正孔輸送層25に照射して親液性微粒子26の親液性を誘起するようにした。従って、正孔輸送層25の上面のみを親液化することができ、プラズマ等の全面処理を施す場合に比べ、隔壁層22等の表面状態(撥液性)を維持することができる。その結果、各収容孔23内において、吐出した微小上層液滴27bの漏れ等を回避することができ、同微小上層液滴27bの量に相対する発光層27を確実に形成することができる。ひいては、有機EL層30間の形状の均一性をさらに向上することができる。
(4)上記実施形態によれば、下層液滴25Dを、液滴吐出装置から吐出する微小下層液滴25bによって形成するようにした。従って、所望する量の親液性微粒子26を下層
液滴25D(正孔輸送層25)内に確実に含有させることができ、他の液相プロセス(例えば、スピンコート法等)に比べ、より均一な形状の有機EL層30を形成することができる。
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、親液性微粒子26を酸化チタン(TiO)で形成する構成にしたが、これに限らず、シリカ(SiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化ニオブ(NbO、Nb)、酸化バナジウム(VO、V、V)及び酸化鉄(Fe)等であってもよい。
あるいは、親液性微粒子26をシリカ(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化ニオブ(NbO、Nb)、酸化バナジウム(VO、V、V)及び酸化鉄(Fe)のうちの少なくとも1種以上の組み合わせからなる粒子を含有するものであってもよい。
・上記実施形態では、紫外光を照射して親液性微粒子26の親液性を誘起する構成にしたが、これに限らず、例えば親液性を有するシリカ(SiO)等によって親液性微粒子26を構成し、紫外光を照射することなく、上層液滴27Dに対する親液性を正孔輸送層25に付与する構成にしてもよい。これによれば、正孔輸送層25の親液化処理工程(ステップ14)を削減することができ、有機ELディスプレイ10の生産性をより向上することができる。
・上記実施形態では、有機ELディスプレイ10の正孔輸送層25が親液性微粒子26を含有する構成にしたが、これに限らず、有機ELディスプレイ10を製造する過程において、発光層27を形成するときに、正孔輸送層25が親液性を有する親液性微粒子26を含有する構成であればよい。すなわち、親液性微粒子26は、上層液滴27Dを形成するときに、その濡れ性を高める性質を発現することができればよく、正孔輸送層25を形成したとき、あるいは発光層27を形成した後に、その親液性を有しないものであってもよい。
・上記実施形態では、積層パターンを正孔輸送層25と発光層27の2層に具体化したが、これに限らず、例えばこれら2層を繰り返して積層するマルチフォトン構造であってもよく、複数の薄膜層を積層するものであればよい。
・上記実施形態では、有機ELディスプレイ10をボトムエミッション型に具体化したが、これに限らず、トップエミッション型に具体化してもよい。あるいは、発光層27を下層薄膜層として構成し、同発光層27に親液性微粒子26を含有させるようにしてもよい。
・上記実施形態では、正孔輸送層形成材料25s及び発光層形成材料27sを有機高分子材料に具体化したが、これに限らず、公知の低分子材料によって構成してもよい。
・上記実施形態では、有機EL層30を正孔輸送層25及び発光層27によって構成したが、同発光層27の上層にフッ化リチウムとカルシウムの積層膜等からなる電子注入層を設ける構成にしてもよい。また、この際、電子注入層を液滴によって形成し、発光層27に界面活性剤を含ませる構成にしてもよい。
・上記実施形態では、制御素子形成領域14にスイッチング用トランジスタT1及び駆動用トランジスタT2を備える構成にしたが、これに限定されるものでなく、所望の素子設計によって、例えば1つのトランジスタや多数のトランジスタ、あるいは多数のキャパシタからなる構成にしてもよい。
・上記実施形態では、有機EL層30をインクジェット法によって形成する構成にした。これに限らず、有機EL層30の形成方法は、例えば、スピンコート法等によって塗布する液体によって下層液滴25D又は上層液滴27Dを形成するようにしてもよく、液体を乾燥して硬化させることによって有機EL層30を形成する方法であればよい。
・上記実施形態では、圧電素子39によって微小下層液滴25bを吐出するようにしたが
、これに限らず、例えば液体供給室37に抵抗加熱素子を設け、その抵抗加熱素子の加熱によって形成される気泡の破裂によって微小下層液滴25bを吐出するようにしてもよい。
・上記実施形態では、積層パターンを有機EL層30として具体化した、これに限らす、例えば、親液性微粒子を含有した下地層に液滴を吐出することによって形成した各色のカラーフィルタであってもよく、さらには走査線Lxやデータ線Ly等の各種配線パターンであってもよい。
・上記実施形態では、電気光学装置を有機ELディスプレイ10として具体化したが、これに限らず、例えば液晶パネルに装着されるバックライト等であってもよく、あるいは平面状の電子放出素子を備え、同素子から放出された電子による蛍光物質の発光を利用した電界効果型ディスプレイ(FEDやSED等)であってもよい。
本発明を具体化した有機ELディスプレイを示す概略平面図。 同じく、画素を示す概略平面図。 同じく、制御素子形成領域を示す概略断面図。 同じく、制御素子形成領域を示す概略断面図。 同じく、発光素子形成領域を示す概略断面図。 同じく、電気光学装置の製造工程を説明するフローチャート。 同じく、電気光学装置の製造工程を説明する説明図。 同じく、電気光学装置の製造工程を説明する説明図。 同じく、電気光学装置の製造工程を説明する説明図。 同じく、電気光学装置の製造工程を説明する説明図。 同じく、電気光学装置の製造工程を説明する説明図。
符号の説明
10…電気光学装置としての有機ELディスプレイ、11…パターン形成基板としての透明基板、15…発光素子形成領域、20…透明電極としての陽極、22…隔壁層、24…隔壁、25…下層パターン及び下層薄膜層としての正孔輸送層、25D…下層液滴、25s…薄膜層形成材料を構成する正孔輸送層形成材料、26…親液性微粒子、27…上層パターン及び上層薄膜層としての発光層、27s…薄膜層形成材料としての発光層形成材料、27D…上層液滴、30…積層パターンとしての有機EL層、31…背面電極としての陰極、35…液滴吐出装置を構成する液体吐出ヘッド。

Claims (12)

  1. パターン形成材料を含む液滴を乾燥して形成したパターンを積層することによって形成した積層パターンを備えるパターン形成基板において、
    下層パターンは、上層パターンを形成する前記液滴に対して親液性を有する親液性微粒子を含有し、
    前記親液性微粒子は、シリカであることを特徴とするパターン形成基板。
  2. 請求項1に記載するパターン形成基板において、
    前記親液性微粒子は、平均粒径が0.5μm以下であることを特徴とするパターン形成基板。
  3. 請求項1または2に記載するパターン形成基板において、
    前記パターン形成材料は、発光素子形成材料であって、前記積層パターンは、発光素子であることを特徴とするパターン形成基板。
  4. 薄膜層形成材料を含む液滴を乾燥して形成した薄膜層を電極上に積層することによって形成した発光素子を備える電気光学装置において、
    下層薄膜層は、上層薄膜層を形成する前記液滴に対して親液性を有する親液性微粒子を含有し、
    前記親液性微粒子は、シリカであることを特徴とする電気光学装置。
  5. 請求項4に記載する電気光学装置において、
    前記親液性微粒子は、平均粒径が0.5μm以下であることを特徴とする電気光学装置。
  6. 請求項4または5に記載する電気光学装置において、
    前記発光素子は、透明電極と背面電極との間に、前記薄膜層を積層したエレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする電気光学装置。
  7. 請求項に記載する電気光学装置において、
    前記発光素子は、有機材料からなる前記薄膜層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする電気光学装置。
  8. 薄膜層形成材料を含む液滴を乾燥して薄膜層を形成し、前記薄膜層を電極上に積層することによって発光素子を形成するようにした電気光学装置の製造方法において、
    下層薄膜層を形成する液滴に、上層薄膜層を形成する液滴に対して親液性を有する親液性微粒子を混和し、前記親液性微粒子を混和した液滴を乾燥して前記下層薄膜層を形成した後に、前記下層薄膜層上で、前記上層薄膜層を形成する液滴を乾燥して前記下層薄膜層上に前記上層薄膜層を積層するようにし、
    前記親液性微粒子は、シリカであることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  9. 請求項8に記載する電気光学装置の製造方法において、
    前記親液性微粒子は、平均粒径が0.5μm以下であることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  10. 請求項8または9に記載する電気光学装置の製造方法において、
    前記発光素子は、透明電極と背面電極との間に、前記薄膜層を積層するようにしたエレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  11. 請求項10に記載する電気光学装置の製造方法において、
    前記発光素子は、有機材料からなる前記薄膜層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  12. 請求項11のいずれか1つに記載する電気光学装置の製造方法において、
    前記液滴は、液滴吐出装置から吐出するようにしたことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
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