JP4306099B2 - 蓄熱装置を有する内燃機関及び熱媒体の供給制御装置 - Google Patents

蓄熱装置を有する内燃機関及び熱媒体の供給制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷却水や潤滑油等の熱媒体を流通させる経路を具備する被熱供給体へ熱媒体を供給する技術に関し、特に冷間時等に高温の熱媒体を被熱供給体へ供給する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車等に搭載される内燃機関では、冷間時における、始動性の向上、燃料消費量の低減、排気エミッションの向上等が要求されている。
【0003】
内燃機関が冷間始動される場合は、吸気ポートや燃焼室等の壁面温度が低いため、それに応じて吸気温度も低くなり易い。内燃機関の吸気温度が低いときは、燃料が気化し難く燃焼室等の壁面に付着し易くなるため、可燃な空燃比の混合気を形成するには、壁面付着燃料量を見越して燃料噴射量を増量する必要があった。
【0004】
更に、吸気温度が低いときは、圧縮行程における混合気の温度も低くなり、燃料の着火性が低下し易いため、比較的多量の燃料が未燃のまま内燃機関から排出されることになり、それにより排気エミッションが悪化してしまう場合がある。
【0005】
上記したような問題点に対し、従来では、特開平6−185359号公報に記載されたようなエンジンの蓄熱装置が提案されている。この公報に記載されたエンジンの蓄熱装置は、シリンダブロックを経由する第1冷却水通路とシリンダヘッドを経由する第2冷却水通路を備えた水冷式の内燃機関において、第2冷却水通路に蓄熱器を設け、内燃機関の冷間時に蓄熱器によって加熱された冷却水を第2冷却水通路に循環させることにより、シリンダヘッドを優先的に暖機し、以て吸気系統や燃料供給系統の暖機を図ろうとするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したような従来のエンジンの蓄熱装置では、蓄熱器内の高温の冷却水がシリンダヘッドに到達した後も冷却水の循環が継続されるため、蓄熱器からシリンダヘッドへ到達した冷却水がシリンダヘッドから排出されるとともに、元々シリンダヘッド内に滞留していた低温の冷却水が再びシリンダヘッドに流入することとなり、シリンダヘッドの昇温が妨げられることが想定される。
【0007】
上記した従来のエンジンの蓄熱装置のように、蓄熱器内の高温の冷却水がシリンダヘッドに到達した後も冷却水の循環が継続されると、循環経路において冷却水の熱が不要に放熱されてしまう虞がある。
【0008】
上記した従来のエンジンの蓄熱装置において、電動ウォーターポンプによって冷却水の循環が行われる場合は、蓄熱器内の高温の冷却水がシリンダヘッドに到達した後も電動ウォーターポンプが作動されることになるため、電動ウォーターポンプの消費電力が不要に増加するという問題もある。
【0009】
本発明は、上記したような種々の事情に鑑みてなされたものであり、内燃機関のような被熱供給体に冷却水や潤滑油等の熱媒体を供給する技術において、熱媒体の熱を効率的且つ速やかに被熱供給体へ伝達可能とすることにより、冷間時に被熱供給体を効率的に暖機させることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した課題を解決するために以下のような手段を採用した。
すなわち、本発明に係る蓄熱装置を有する内燃機関は、
内燃機関のシリンダヘッド及びシリンダブロックに形成され、熱媒体を流通させる熱媒体流通路と、
熱媒体が持つ熱を蓄熱する蓄熱装置と、
前記内燃機関の始動時又は始動前に、前記蓄熱装置内の熱媒体を前記内燃機関の少なくともシリンダヘッドの熱媒体流通路へ供給する熱媒体供給手段と、
前記熱媒体供給手段による熱媒体の供給開始後に所定の条件が成立すると、前記蓄熱装置から前記熱媒体流通路への熱媒体の供給を停止する熱媒体供給停止手段と、
を備えることを特徴としている。
【0011】
上記したように構成された蓄熱装置を有する内燃機関では、熱媒体供給停止手段は、内燃機関の始動時又は始動前に、蓄熱装置内に貯蔵されていた高温の熱媒体をシリンダヘッドの熱媒体流通路へ供給する。
【0012】
このように蓄熱装置から内燃機関への熱媒体の供給が開始されると、熱媒体供給停止手段は、所定の条件が成立したか否かを判別する。前記した所定の条件は、例えば、蓄熱装置から熱媒体流通路へ供給された熱媒体の量が所定量以上であることであり、好ましくは、蓄熱装置に貯蔵されていた高温の熱媒体が少なくともシリンダヘッドの熱媒体流通路に行き渡ること(すなわち、シリンダヘッドの熱媒体流通路に滞留していた低温の熱媒体が該熱媒体流通路から流出する代わりに、蓄熱装置に貯蔵されていた高温の熱媒体が熱媒体流通路に行き渡ること)である。
【0013】
蓄熱装置から熱媒体流通路へ供給された熱媒体の量が所定量以上であることを判定する方法としては、蓄熱装置から熱媒体流通路への熱媒体の供給が開始された時点から所定時間が経過したときに蓄熱装置から熱媒体流通路へ所定量以上の熱媒体が供給されたと判定する方法、内燃機関のシリンダヘッドの温度が所定温度以上となったときに蓄熱装置から熱媒体流通路へ所定量以上の熱媒体が供給されたと判定する方法、熱媒体流通路の所定の部位における温度が所定温度以上となったときに蓄熱装置から熱媒体流通路へ所定量以上の熱媒体が供給されたと判定する方法等を例示することができる。
【0014】
熱媒体供給停止手段は、上記したような所定の条件が成立するまでは熱媒体供給手段による熱媒体の供給を許容し、所定の条件が成立すると熱媒体供給手段による熱媒体の供給を停止する。尚、所定の条件が成立した後は、熱媒体供給停止手段は、内燃機関の内部に限り熱媒体の循環を許容するようにしてもよい。
【0015】
この場合、内燃機関の熱媒体流通路には、蓄熱装置から供給された高温の熱媒体が主に滞留又は循環することとなり、熱媒体流通路に元々滞留していた低温の熱媒体の熱媒体流通路への再流入が抑制される。
【0016】
この結果、内燃機関の少なくともシリンダヘッドが熱媒体の熱を受けて速やかに昇温し、それに応じて吸気ポートの壁面や燃焼室の壁面も速やかに昇温し、以て内燃機関に吸入される空気が吸気ポートや燃焼室の壁面から熱を受けて昇温することになる。
【0017】
また、本発明に係る蓄熱装置を有する内燃機関は、熱媒体供給手段により蓄熱装置から熱媒体流通路へ熱媒体が供給されている間は、内燃機関の燃料噴射を禁止する燃料噴射禁止手段を更に備えるようにしてもよい。
【0018】
この場合、熱媒体供給停止手段によって蓄熱装置から熱媒体流通路への熱媒体の供給が停止された後、具体的には蓄熱装置に貯蔵されていた高温の熱媒体が内燃機関の熱媒体流通路へ行き渡った後に燃料噴射が開始されることになる。
【0019】
この結果、吸気の温度が高められた後に燃料噴射が開始されるため、燃料が気化し易くなり、吸気ポートや燃焼室などの壁面に付着する燃料量が減少する。
また、本発明に係る蓄熱装置を有する内燃機関は、熱媒体供給停止手段により蓄熱装置から熱媒体流通路への熱媒体の供給が停止された後に、内燃機関のクランキングを開始するクランキング手段を更に備えるようにしてもよい。
【0020】
これは、機関出力軸の回転トルクを利用して熱媒体を圧送するメカニカルポンプを有する内燃機関を想定したものであり、熱媒体供給手段によって蓄熱装置から熱媒体流通路へ熱媒体が供給されているときに内燃機関のクランキングが開始されて上記のメカニカルポンプが作動してしまうと、蓄熱装置から熱媒体流通路へ供給された高温の熱媒体が熱媒体流通路から不要に流出したり、熱媒体流通路から流出した低温の熱媒体が再び熱媒体流通路へ流入する場合があるからである。
【0021】
また、本発明に係る蓄熱装置を有する内燃機関は、前述したようなクランキング手段に加え、クランキング手段によって内燃機関のクランキングが開始された時点から所定の期間は、内燃機関の燃料噴射を禁止する燃料噴射禁止手段を更に備えるようにしてもよい。
【0022】
この場合、所定期間のクランキングによって吸気の圧縮が行われ、吸気が圧縮された際に発生する熱によって気筒内の壁面が暖められるため、燃料噴射が開始された後に吸気の熱が不要に気筒内の壁面へ放熱されることがなくなる。
【0023】
本発明に係る蓄熱装置を有する内燃機関において、熱媒体供給手段は、熱媒体流通路と蓄熱装置とを連通する熱媒体通路と、内燃機関と独立に作動して熱媒体通路内の熱媒体を圧送するポンプ機構とを具備するようにしてもよい。
【0024】
この場合、内燃機関の始動前であっても前記ポンプ機構が作動することにより、蓄熱装置内の熱媒体を熱媒体流通路へ供給することが可能となる。そして、熱媒体供給停止手段は、所定の条件が成立した時点で前記ポンプ機構の作動を停止させることにより、蓄熱装置から内燃機関への熱媒体の供給を停止することが可能となる。
【0025】
尚、上記したポンプ機構としては、電力を駆動源とする電動ポンプを例示することができる。
また、本発明に係る熱媒体としては、例えば、機関冷却水や機関潤滑油等を例示することができる。
【0026】
次に、本発明に係る熱媒体の供給制御装置は、
熱媒体を流通させる熱媒体流通路が形成された被熱供給体と、
前記被熱供給体の熱媒体流通路へ熱媒体を供給する熱媒体供給手段と、
前記熱媒体供給手段による熱媒体の供給開始後に所定の条件が成立すると、前記被熱供給体に対する熱媒体の供給を停止する熱媒体供給停止手段と、
を備えることを特徴としている。
【0027】
ここでいう被熱供給体としては、内燃機関、内燃機関の燃料噴射弁、電動モータ、変速機、バッテリ等のように冷間時に暖気が必要となるものを例示することができる。
【0028】
このように構成された熱媒体の供給制御装置では、熱媒体供給手段は、被熱供給体の冷間時等に、高温の熱媒体を被熱供給体の熱媒体流通路へ供給する。
熱媒体供給手段により蓄熱装置から被熱供給体への熱媒体の供給が開始されると、熱媒体供給停止手段は、所定の条件が成立したか否かを判別する。前記した所定の条件は、例えば、熱媒体流通路へ供給された熱媒体の量が所定量以上(例えば、熱媒体流通路の容量の50%以上、70%以上、80%以上、90%以上、あるいは100%)であることである。
【0029】
熱媒体供給停止手段は、上記したような所定の条件が成立するまでは熱媒体供給手段による熱媒体の供給を許容し、所定の条件が成立すると熱媒体供給手段による熱媒体の供給を停止する。尚、所定の条件が成立した後は、熱媒体供給停止手段は、被熱供給体の内部に限り熱媒体の循環を許容するようにしてもよい。
【0030】
この場合、被熱供給体の熱媒体流通路には、熱媒体供給手段によって供給された高温の熱媒体が主に滞留もしくは循環することになり、たとえ熱媒体供給手段と熱媒体流通路とが循環経路によって連通していても、熱媒体流通路に元々滞留していた低温の熱媒体の熱媒体流通路への再流入が抑制される。
【0031】
この結果、低温の熱媒体によって被熱供給体の熱が奪われることがなく、被熱供給体が高温の熱媒体の熱を受けて速やかに昇温することになる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る蓄熱装置を有する内燃機関の具体的な実施態様について図面に基づいて説明する。
【0033】
図1は、車両に搭載された車両駆動用の水冷式内燃機関の冷却水循環系の概略構成を示す図である。
内燃機関1は、冷却水を熱媒体として冷却又は加熱される水冷式の内燃機関であり、シリンダヘッド1aとシリンダブロック1bとを備えている。シリンダヘッド1aとシリンダブロック1bとには、冷却水を流通させるためのヘッド側冷却水通路2aとブロック側冷却水路2bとがそれぞれ形成され、それらヘッド側冷却水路2aとブロック側冷却水路2bとが相互に連通している。
【0034】
前記ヘッド側冷却水路2aには、冷却水通路4が接続され、その冷却水通路4は、ラジエター5の冷却水流入口に接続されている。続いて、ラジエター5の冷却水流出口は、冷却水路6を介してサーモスタットバルブ7に接続されている。
【0035】
前記サーモスタットバルブ7には、前記冷却水路6に加えて、冷却水路8とバイパス通路9とが接続されている。前記冷却水路8は、図示しないクランクシャフトの回転トルクによって駆動される機械式ウォーターポンプ10の吸込口に接続され、その機械式ウォーターポンプ10の吐出口は、前記ブロック側冷却水路2bに接続されている。一方、前記バイパス通路9は、ヘッド側冷却水路2aに接続されている。
【0036】
前記したサーモスタットバルブ7は、冷却水の温度に応じて、冷却水路6とバイパス通路9との何れか一方を遮断する流路切換バルブである。具体的には、サーモスタットバルブ7は、該サーモスタットバルブ7を流れる冷却水の温度が所定の開弁温度:T1以下であるときは、冷却水路6を遮断すると同時に冷却水路9を開放して、冷却水路8と冷却水路9とを導通させる。一方、前記サーモスタットバルブ7は、該サーモスタットバルブ7を流れる冷却水の温度が前記開弁温度:T1より高いときは、冷却水路6を開放すると同時に冷却水路9を遮断して、冷却水路8と冷却水路6とを導通させる。
【0037】
次に、前記冷却水路4の途中には、ヒータホース11が接続され、そのヒータホース11は、前記したサーモスタットバルブ7と機械式ウォーターポンプ10との間の冷却水路8に接続されている。
【0038】
前記ヒータホース11の途中には、冷却水と車室内暖房用空気との間で熱交換を行うヒータコア12が配置されている。このヒータコア12と冷却水路4との間に位置するヒータホース11の途中には、内燃機関1で発生する熱以外を熱源として冷却水を加熱する冷却水加熱機構20が設けられている。前記冷却水加熱機構20としては、燃焼式ヒータや電気ヒータ等を例示することができる。
【0039】
前記ヒータコア12と前記冷却水路8との間に位置するヒータホース11の途中には、第1バイパス通路13aが接続されている。この第1バイパス通路13aは、電動ウォーターポンプ14の冷却水吸込口に接続されている。
【0040】
前記電動ウォーターポンプ14は、電動モータによって駆動されるウォーターポンプであり、前記した冷却水吸込口から吸い込んだ冷却水を冷却水吐出口から所定の圧力で吐出するよう構成されている。
【0041】
前記電動ウォーターポンプ14の冷却水吐出口は、第2バイパス通路13bを介して蓄熱容器15の冷却水入口に接続されている。蓄熱容器15は、冷却水の持つ熱を蓄熱しつつ冷却水を貯蔵する容器であり、前記冷却水入口から新規の冷却水が流入すると、その代わりに該蓄熱容器15内に貯蔵されていた高温の冷却水を冷却水出口から排出するよう構成されている。この蓄熱容器15は、本発明に係る蓄熱装置の一実施態様である。
【0042】
尚、前記蓄熱容器15の冷却水入口と冷却水出口との各々には、冷却水の逆流を防止するワンウェイバルブ15a、15bが取り付けられている。
前記蓄熱容器15の冷却水出口には、第3バイパス通路13cが接続されており、この第3バイパス通路13cは、冷却水加熱機構20と冷却水路4との間に位置するヒータホース11に接続されている。
【0043】
尚、冷却水加熱機構20と冷却水路4との間に位置するヒータホース11において、第3バイパス通路13cとの接続部位より冷却水路4側の部位を第1ヒータホース11aと称するとともに、冷却水加熱機構20側の部位を第2ヒータホース11bと称するものとする。冷却水加熱機構20とヒータコア12との間に位置するヒータホース11を第3ヒータホース11cと称するものとする。更に、ヒータコア12と冷却水路8との間に位置するヒータホース11において、第1バイパス通路13aとの接続部位よりヒータコア12側の部位を第4ヒータホース11dと称するとともに、冷却水路8側の部位を第5ヒータホース11eと称するものとする。
【0044】
前記した第4ヒータホース11dと第5ヒータホース11eと第1バイパス通路13aとの接続部には、流路切換弁16が設けられている。この流路切換弁16は、前記した3つの通路の全ての導通と、前記3つの通路の何れか1つの遮断とを選択に切り換えるバルブである。流路切換弁16は、例えば、ステップモータ等からなるアクチュエータによって駆動されるようになっている。
【0045】
また、前記冷却水路4における内燃機関1の近傍の部位には、該冷却水路4を流れる冷却水の温度に対応した電気信号を出力する第1水温センサ17が取り付けられている。
【0046】
前記第5ヒータホース11eにおける冷却水路8との接続部位の近傍には、該第5ヒータホース11e内を流れる冷却水の温度に対応した電気信号を出力する第2水温センサ18が取り付けられている。
【0047】
このように構成された内燃機関1の冷却水循環系には、該冷却水循環系を制御するための電子制御ユニット(Electronic Control Unit:ECU)19が併設されている。このECU19は、冷却水循環系を専用に制御する電子制御ユニットであってもよく、あるいは冷却水循環系の制御と内燃機関1の制御とを兼任する電子制御ユニットであってもよい。
【0048】
前記ECU19には、前述した第1及び第2水温センサ17、18が電気的に接続されるとともに、電動ウォーターポンプ14、流路切換弁16、及び冷却水加熱機構20が電気的に接続され、ECU19が内燃機関1の運転状態や第1及び第2水温センサ17、18の出力信号値等をパラメータとして、電動ウォーターポンプ14、流路切換弁16、及び冷却水加熱機構20を制御することが可能となっている。
【0049】
以下、この実施の形態における蓄熱装置を有する内燃機関の作用について説明する。
先ず、内燃機関1が運転状態にあるときに冷却水の温度がサーモスタットバルブ7の開弁温度:T1以下であると、ECU19は、第4ヒータホース11dを遮断すべく流路切換弁16を制御するとともに、電動ウォーターポンプ14を停止状態に維持する。
【0050】
この場合、内燃機関1のクランクシャフトの回転トルクによって機械式ウォーターポンプ10が作動するとともに、サーモスタットバルブ7が冷却水路6を遮断すると同時にバイパス通路9を開放することになるため、機械式ウォーターポンプ10→ブロック側冷却水路2b→ヘッド側冷却水路2a→冷却水路9→サーモスタットバルブ7→冷却水路8→機械式ウォーターポンプ10の順で冷却水が流れる循環回路が成立する。
【0051】
その際、電動ウォーターポンプ14が停止状態となり、且つ、流路切換弁16が第4ヒータホース11dを遮断すると、機械式ウォーターポンプ10からブロック側冷却水路2b→ヘッド側冷却水路2a→冷却水路4→第1ヒータホース11a→第3バイパス通路13c→蓄熱容器15→第2バイパス通路13b→電動ウォーターポンプ14→第1バイパス通路13a→流路切換弁16→第5ヒータホース11e→冷却水路8を介して機械式ウォーターポンプ10に至る回路の成立も考えられるが、本実施の形態に係る蓄熱容器15の冷却水出口及び冷却水入口には、ワンウェイバルブ15a、15bが設けられているため、冷却水が上記したような回路を循環することはない。
【0052】
従って、内燃機関1が運転状態にあるときに冷却水の温度がサーモスタットバルブ7の開弁温度:T1以下であれば、図2に示すように、機械式ウォーターポンプ10→ブロック側冷却水路2b→ヘッド側冷却水路2a→冷却水路9→サーモスタットバルブ7→冷却水路8→機械式ウォーターポンプ10の順で冷却水が流れる循環回路のみが成立することになる。
【0053】
このような循環回路によれば、内燃機関1から流出した比較的低温の冷却水がラジエター5を迂回して流れることになるため、冷却水がラジエター5によって不要に冷却されることがない。この結果、内燃機関1が冷却水によって不要に冷却されることがなく、内燃機関1の熱損失が抑制される。
【0054】
また、内燃機関1が運転状態にあるときに冷却水の温度がサーモスタットバルブ7の開弁温度:T1より高くなると、サーモスタットバルブ7が冷却水路6を開放すると同時に冷却水路9を遮断するため、図3に示すように、機械式ウォーターポンプ10→ブロック側冷却水路2b→ヘッド側冷却水路2a→冷却水路4→ラジエター5→冷却水路6→サーモスタットバルブ7→冷却水路8→機械式ウォーターポンプ10の順で冷却水が流れる循環回路が成立する。
【0055】
この場合、内燃機関1から流出した比較的高温の冷却水がラジエター5を流通することになるため、冷却水の熱がラジエター5によって放熱される。この結果、内燃機関1には、ラジエター5で放熱した後の比較的低温の冷却水が流入することになり、その冷却水によって内燃機関1が冷却され、内燃機関1の過熱が抑制される。
【0056】
また、内燃機関1が運転状態にあるときに図示しない車室内暖房装置のスイッチがオンにされると、ECU19は、第1バイパス通路13aを遮断し、且つ第4ヒータホース11dと第5ヒータホース11eとを連通させるべく流路切換弁16を制御するとともに、電動ウォーターポンプ14を停止状態とする。
【0057】
この場合、図4に示すように、機械式ウォーターポンプ10→ブロック側冷却水路2b→ヘッド側冷却水路2a→冷却水路4→第1ヒータホース11a→第2ヒータホース11b→冷却水加熱機構20→第3ヒータホース11c→ヒータコア12→第4ヒータホース11d→流路切換弁16→第5ヒータホース11e→冷却水路8→機械式ウォーターポンプ10の順で冷却水が流れる循環回路が成立する。すなわち、内燃機関1とヒータコア12とを経由する循環回路が成立する。
【0058】
このような循環回路では、内燃機関1から流出した高温の冷却水がヒータコア12を流通することになるため、ヒータコア12において冷却水と車室内暖房用空気との間で熱交換が行われ、すなわちヒータコア12において冷却水の熱が車室内暖房用空気に伝達され、その結果、車室内暖房用空気が加熱されることになる。
【0059】
更に、上記した循環回路では、内燃機関1から流出した冷却水が電動ウォーターポンプ14や蓄熱容器15を経由することなくヒータコア12へ流入するため、内燃機関1からヒータコア12へ至る流通経路において冷却水の流動抵抗が過剰に高くなることがなく、その結果、ヒータコア12において単位時間当たりに高温の冷却水から暖房用空気へ伝達可能な熱量が十分に確保されることになる。
【0060】
また、本実施の形態に係る内燃機関1が車両停止時等に内燃機関の運転を一時的に停止する車両に搭載されている場合において、車室内用暖房装置のスイッチがオン状態で内燃機関1の運転が停止されると、ECU19は、先ず、第1およびまたは第2水温センサ17、18の出力信号値(冷却水温度)が所定温度:T2より高いか否かを判別する。
【0061】
その際、冷却水温度が所定温度:T2より高ければ、ECU19は、第4ヒータホース11d、第5ヒータホース11e、及び第1バイパス通路13aの全ての通路を導通させるべく流路切換弁16を制御するとともに、電動ウォーターポンプ14を作動させる。
【0062】
この場合、機械式ウォーターポンプ10が作動せずに電動ウォーターポンプ14のみが作動するため、図5に示すように、電動ウォーターポンプ14→第2バイパス通路13b→蓄熱容器15→第3バイパス通路13c→第1ヒータホース11a→冷却水路4→ヘッド側冷却水路2a→ブロック側冷却水路2b→機械式ウォーターポンプ10→冷却水路8→第5ヒータホース11e→流路切換弁16→第1バイパス通路13a→電動ウォーターポンプ14の順に冷却水が流れる循環回路が成立すると同時に、電動ウォーターポンプ14→第2バイパス通路13b→蓄熱容器15→第3バイパス通路13c→第2ヒータホース11b→冷却水加熱機構20→第3ヒータホース11c→ヒータコア12→第4ヒータホース11d→流路切換弁16→第1バイパス通路13a→電動ウォーターポンプ14の順に冷却水が流れる循環回路が成立することになる。
【0063】
上記したような2つの循環回路が成立すると、内燃機関1から流出した高温の冷却水と、蓄熱容器15から流出した高温の冷却水とが混合しつつヒータコア12へ流入することになる。
【0064】
この結果、内燃機関1の運転が停止されて機械式ウォーターポンプ10が停止状態となっても、高温の冷却水がヒータコア12を流通することになり、車室内用暖房装置の性能が低下することがない。
【0065】
一方、車室内用暖房装置のスイッチがオン状態で内燃機関1の運転が停止されたときに、冷却水温度が所定温度:T2以下であれば、ECU19は、第5ヒータホース11eを遮断し、且つ第4ヒータホース11dと第1バイパス通路13aとを導通させるべく流路切換弁16を制御し、電動ウォーターポンプ14を作動させ、更に冷却水加熱機構20を作動させる。
【0066】
この場合、図6に示すように、電動ウォーターポンプ14→第2バイパス通路13b→蓄熱容器15→第3バイパス通路13c→第2ヒータホース11b→冷却水加熱機構20→第3ヒータホース11c→ヒータコア12→第4ヒータホース11d→流路切換弁16→第1バイパス通路13a→電動ウォーターポンプ14の順で冷却水が流れる循環回路が成立する。
【0067】
上記した循環回路では、蓄熱容器15から流出した冷却水が冷却水加熱機構20によって加熱された後にヒータコア12へ流入し、冷却水の熱が暖房用空気へ伝達されることになる。
【0068】
従って、たとえ蓄熱容器15に貯蔵されている冷却水の温度が低い場合であっても、ヒータコア12が暖房用空気を加熱する上で必要となる熱量を短時間で確保することが可能になる。
【0069】
また、蓄熱容器15内に高温の冷却水を貯蔵する場合は、ECU19は、内燃機関1の運転停止直後等に、第1およびまたは第2水温センサ17、18の出力信号値(冷却水温度)が所定温度:T2より高いか否かを判別する。
【0070】
その際、冷却水温度が所定温度:T2より高ければ、ECU19は、第4ヒータホース11dを遮断し、且つ第1バイパス通路13aと第5ヒータホース11eとを導通させるべく流路切換弁16を制御するとともに、電動ウォーターポンプ14を作動させる。
【0071】
この場合、機械式ウォーターポンプ10が作動せずに電動ウォーターポンプ14のみが作動するため、図7に示すように、電動ウォーターポンプ14→第2バイパス通路13b→蓄熱容器15→第3バイパス通路13c→第1ヒータホース11a→冷却水路4→ヘッド側冷却水路2a→ブロック側冷却水路2b→機械式ウォーターポンプ10→冷却水路8→第5ヒータホース11e→流量切換弁16→第1バイパス通路13a→電動ウォーターポンプ14の順で冷却水が流れる循環回路が成立する。
【0072】
このような循環回路では、冷却水がヘッド側冷却水路2a及びブロック側冷却水路2bを経由する際に、シリンダヘッド1a及びシリンダブロック1bの熱がヘッド側冷却水路2a及びブロック側冷却水路2bの壁面を介して冷却水に伝達されるため、内燃機関1から高温の冷却水が流出することになる。
【0073】
内燃機関1から流出した高温の冷却水は、機械式ウォーターポンプ10→冷却水路8→第5ヒータホース11e→流量切換弁16→第1バイパス通路13a→電動ウォーターポンプ14→第2バイパス通路13bを介して蓄熱容器15に流入し、蓄熱容器15に貯蔵されることになる。
【0074】
一方、冷却水温度が所定温度:T2以下であると、ECU19は、第5ヒータホース11eを遮断し、且つ第4ヒータホース11dと第1バイパス通路13aとを導通させるべく流路切換弁16を制御し、電動ウォーターポンプ14を作動させ、更に冷却水加熱機構20を作動させる。
【0075】
この場合、前述した図6の説明で述べたように、電動ウォーターポンプ14→第2バイパス通路13b→蓄熱容器15→第3バイパス通路13c→第2ヒータホース11b→冷却水加熱機構20→第3ヒータホース11c→ヒータコア12→第4ヒータホース11d→流路切換弁16→第1バイパス通路13a→電動ウォーターポンプ14の順で冷却水が流れる循環回路が成立する。
【0076】
このような循環回路では、冷却水加熱機構20により加熱された高温の冷却水が蓄熱容器15に流入することになり、その結果、高温の冷却水が蓄熱容器15に貯蔵されることになる。
【0077】
尚、前述した図1に示される構成では、蓄熱容器15内に高温の冷却水を貯蔵するにあたり、冷却水加熱機構20から流出した冷却水がヒータコア12を経由した後に蓄熱容器15に流入することになるため、より効率的に高温の冷却水を蓄熱容器15に貯蔵する上では、第4ヒータホース11dの途中に冷却水加熱機構20が設けられるようにしてもよい。
次に、本発明の要旨となる内燃機関1の予熱制御について述べる。ここでは、予め蓄熱容器15に高温の冷却水が貯蔵されているものとする。
【0078】
ECU19は、内燃機関1が始動される際、具体的には、車室内に設けられた図示しないスタータースイッチがオフからオンに切り換えられた際に、スターターモータに対する駆動電力の印加、及び、内燃機関1の各気筒毎に設けられた燃料噴射弁に対する駆動電力の印加を禁止しつつ、第4ヒータホース11dを遮断し、且つ第5ヒータホース11eと第1バイパス通路13aとを導通させるべく流路切換弁16を制御し、更に電動ウォーターポンプ14を作動させる。
【0079】
この場合、機械式ウォーターポンプ10が作動せずに電動ウォーターポンプ14のみが作動するため、前述した図7の説明で述べたように、電動ウォーターポンプ14→第2バイパス通路13b→蓄熱容器15→第3バイパス通路13c→第1ヒータホース11a→冷却水路4→ヘッド側冷却水路2a→ブロック側冷却水路2b→機械式ウォーターポンプ10→冷却水路8→第5ヒータホース11e→流量切換弁16→第1バイパス通路13a→電動ウォーターポンプ14の順で冷却水が流れる循環回路が成立する。
【0080】
尚、上記した循環回路において冷却水路4からヘッド側冷却水路2aに流入した冷却水の一部は、冷却水路9→サーモスタットバルブ7→冷却水路8を介して第5ヒータホース11eへ流れることになる。
【0081】
このような循環回路が成立すると、電動ウォーターポンプ14から吐出された冷却水が第2バイパス通路13bを介して蓄熱容器15に流入し、それと入れ代わりに蓄熱容器15内に貯蔵されていた高温の冷却水(以下、温水と称する)が該蓄熱容器15から排出される。
【0082】
蓄熱容器15から排出された温水は、第3バイパス通路13c、第1ヒータホース11a、及び冷却水路4を介して、内燃機関1内のヘッド側冷却水路2aへ流入し、ヘッド側冷却水路2aに流入した一部の温水がブロック側冷却水路2bへ流入するとともに、残りの温水が冷却水路9へ流入する。
【0083】
ヘッド側冷却水路2aからブロック側冷却水路2bへ流入した温水は、ブロック側冷却水路2bを流通した後に機械式ウォーターポンプ10を介して冷却水路8へ流入する。一方、ヘッド側冷却水路2aから冷却水路9へ流入した温水は、冷却水路9を流通した後にサーモスタットバルブ7を介して冷却水路8へ流入する。
【0084】
このように蓄熱容器15に貯蔵されていた温水がヘッド側冷却水路2a、ブロック側冷却水路2b、冷却水路9、及び冷却水路8(以下、これらを総称して機関内冷却水路と称する)へ流入すると、それと入れ代わりに前記機関内冷却水路に滞留していた低温の冷却水が前記機関内冷却水路から第5ヒータホース11eへ押し出されることになる。
【0085】
この結果、内燃機関1では、蓄熱容器15から供給された温水の熱が機関内冷却水路の壁面へ伝達され、それにより内燃機関1が予熱される。
ところで、蓄熱容器15から排出された温水が前記した機関内冷却水路に行き渡った後も冷却水の循環が継続されると、蓄熱容器15から機関内冷却水路に流入した温水が機関内冷却水路から流出してしまう上、前記機関内冷却水路から流出した低温の冷却水が再び前記機関内冷却水路に流入してしまうため、温水から内燃機関1へ伝達された熱が再び冷却水に奪われ、内燃機関1の予熱が妨げられることになる。
【0086】
これに対し、本実施の形態では、蓄熱容器15に貯蔵されていた温水が前記機関内冷却水路に充満するとともに、前記機関内冷却水路に滞留していた低温の冷却水が該機関内冷却水路から流出した時点で、ECU19が電動ウォーターポンプ14の作動を停止させるようにした。
【0087】
蓄熱容器15に貯蔵されていた温水が前記機関内冷却水路に充満したことを判定する方法としては、(1)電動ウォーターポンプ14の作動が開始された時点から蓄熱容器15内の温水が機関内冷却水路の全体に行き渡るまでの時間(以下、冷却水到達時間と称する)を予め実験的に求めておき、電動ウォーターポンプ14の作動が開始された時点からの経過時間が前記冷却水到達時間以上となった時に前記機関内冷却水路に温水が充満したと判定する方法、(2)前記機関内冷却水路の下流に位置する第2水温センサ18の出力信号値が所定温度以上となった時に機関内冷却水路に温水が充満したと判定する方法、(3)シリンダヘッド1a又はシリンダブロック1bにシリンダヘッド1a又はシリンダブロック1bの温度に対応した温度センサを取り付け、その温度センサの出力信号値が所定温度以上となった時に前記機関内冷却水路に温水が充満したと判定する方法、等を例示することができる。
【0088】
上記したような方法により蓄熱容器15に貯蔵されていた温水が機関内冷却水路に充満したと判定されると、ECU19は、第4ヒータホース11dの遮断状態を継続すべく流路切換弁16を制御するとともに、電動ウォーターポンプ14の作動を停止させた後に、スターターモータ及び燃料噴射弁に対して駆動電力を印加して内燃機関1を始動させる。
【0089】
この場合、スターターモータの作動により内燃機関1がクランキングされ、それに対応して機械式ウォーターポンプ10が作動するため、前述の図2の説明で述べたように、機械式ウォーターポンプ10→ブロック側冷却水路2b→ヘッド側冷却水路2a→冷却水路9→サーモスタットバルブ7→冷却水路8→機械式ウォーターポンプ10の順で冷却水が流れる循環回路、すなわち機関内冷却水路のみを冷却水が循環する循環回路が成立する。
【0090】
その際、前記した機関内冷却水路には蓄熱容器15から供給された温水が充満しているため、温水のみが前記機関内冷却水路を循環することになり、低温の冷却水が前記機関内冷却水路に流入することがない。
【0091】
この結果、蓄熱容器15に貯蔵されていた温水から内燃機関1へ伝達された熱が低温の冷却水に奪われることがなく、内燃機関1の予熱が妨げられることがない。
【0092】
尚、ECU19は、内燃機関1を始動させる際に、先ずスターターモータのみを所定期間作動させて内燃機関1のクランキングを数サイクル行い、次いで燃料噴射弁を作動させるようにしてもよい。
【0093】
この場合、内燃機関1は、燃料噴射が行われない状態で数サイクルのクランキングが行われた後に、燃料噴射が行われて始動されることになる。燃料噴射が行われない状態で内燃機関1が数サイクルのクランキングを行うと、該内燃機関1の各気筒が吸気のみによる圧縮行程を数回迎えることになるため、吸気が圧縮された際に発生する熱によってシリンダブロック1bの壁面が加熱され、燃料噴射が開始された後に吸気の熱が不要にシリンダブロック1bへ放熱されることがなくなる。
【0094】
ここで、本実施の形態に係る予熱制御について図8のフローチャートに沿って具体的に説明する。
図8に示すフローチャートは、内燃機関1の予熱を行う際にECU19が実行する予熱制御ルーチンを示すフローチャートである。予熱制御ルーチンは、スタータースイッチがオフからオンへ切り換えられたことをトリガにしてECU19が実行するルーチンであり、予めECU19のROMに記憶されている。
【0095】
予熱制御ルーチンでは、ECU19は、先ずS801において、スタータースイッチがオフからオンへ切り換えられたか否かを判別する。
前記S801においてスタータースイッチがオフからオンへ切り換えられていないと判定した場合は、ECU19は、本ルーチンの実行を終了する。一方、前記S801においてスタータースイッチがオフからオンに切り換えられたと判定した場合は、ECU19は、S802へ進む。
【0096】
S802では、ECU19は、スターターモータ及び燃料噴射弁に対する駆動電力の印加を禁止して、スターターモータ及び燃料噴射弁の作動を禁止する。
S803では、ECU19は、第4ヒータホース11dを遮断し、且つ第5ヒータホース11eと第1バイパス通路13aを導通させるべく流路切換弁16を制御するとともに、電動ウォーターポンプ14に駆動電力を印加することにより、蓄熱容器15と機関内冷却水路とを経由する循環回路を成立させ、蓄熱容器15に貯蔵されていた温水を機関内冷却水路へ供給させる。
【0097】
S804では、ECU19は、第2水温センサ18の出力信号値:THWを入力する。
S805では、ECU19は、前記S804で入力された第2水温センサ18の出力信号値:THWが所定温度以上であるか否かを判別する。
【0098】
前記S805において前記第2水温センサ18の出力信号値:THWが所定温度未満であると判定した場合は、ECU19は、蓄熱容器15に貯蔵されていた温水が機関内冷却水路の全体に行き渡っていないとみなし、前記S804以降の処理を再度実行する。
【0099】
一方、前記S805において前記第2水温センサ18の出力信号値:THWが所定温度以上であると判定した場合は、ECU19は、蓄熱容器15に貯蔵されていた温水が機関内冷却水路の全体に行き渡ったとみなし、S806へ進む。
【0100】
S806では、ECU19は、電動ウォーターポンプ14に対する駆動電力の印加を停止し、冷却水の循環を停止させる。
S807では、ECU19は、スターターモータに駆動電力を印加して、内燃機関1をクランキングさせる。
【0101】
S808では、ECU19は、予めECU19のRAM等に設定されているカウンタ:C記憶領域の値をインクリメントする。このカウンタ:Cは、スターターモータの作動開始時点からの経過時間を計時するカウンタである。
【0102】
S809では、ECU19は、前記S808において更新されたカウンタ:Cのカウンタ値が所定値以上であるか否かを判別する。
前記S809においてカウンタ:Cのカウンタ値が所定値未満であると判定した場合は、ECU19は、前記S808以降の処理を再度実行する。
【0103】
一方、前記S809においてカウンタ:Cのカウンタ値が所定値以上であると判定した場合は、ECU19は、S810へ進み、燃料噴射弁に対する駆動電力の印加を許可して内燃機関1を始動させる。
【0104】
続いて、ECU19は、S811においてカウンタ:C記憶領域の値を“0”にリセットした後に、本ルーチンの実行を終了する。
このようにECU19が予熱制御ルーチンを実行することにより、本発明に係る熱媒体供給手段、熱媒体供給停止手段、クランキング手段、燃料噴射禁止手段が実現されることになる。
【0105】
従って、本実施の形態に係る予熱制御によれば、蓄熱容器15に貯蔵されていた温水が機関内冷却水路の全体に行き渡った時点で冷却水の循環が停止されるため、蓄熱容器15から機関内冷却水路へ供給された温水が機関内冷却水路から流出することがなくなるとともに、機関内冷却水路から一旦流出した低温の冷却水が再び機関内冷却水路に流入することがなくなる。これにより、温水から内燃機関1へ伝達された熱が再び冷却水に奪われることがない。
【0106】
更に、本実施の形態に係る予熱制御によれば、燃料噴射が禁止された状態で内燃機関1がクランキングされるため、内燃機関1の各気筒では吸気のみの圧縮が行われ、吸気が圧縮される際に発生する熱によってシリンダブロック1bが加熱されることになる。
【0107】
この結果、機関内冷却水路を循環する温水の熱と吸気の圧縮により発生する熱との相乗効果により、内燃機関1の吸気ポート壁面やシリンダ壁面が速やかに予熱され、吸気温度及び圧縮端温度が上昇するため、燃料の気化が促進されるとともに混合気の温度が上昇し、壁面付着燃料量の減少、燃焼の安定化、始動性の向上、暖機運転時間の短縮等を実現することが可能となる。
【0108】
尚、本実施の形態では、被熱供給体として内燃機関を例に挙げて説明したが、これに限られるものではなく、電動モータ、バッテリ、変速機等であってもよい。
【0109】
【発明の効果】
本発明にかかる蓄熱装置を有する内燃機関では、内燃機関の始動時又は始動前において、蓄熱装置に貯蔵されていた高温の熱媒体が内燃機関の熱媒体流通路へ供給され、蓄熱装置から内燃機関の熱媒体流通路へ所定量以上の熱媒体が供給された時点で熱媒体の供給が停止されるため、内燃機関の熱媒体流通路には主に高温の熱媒体が滞留もしくは循環することになり、熱媒体流通路に元々滞留していた低温の熱媒体が再び熱媒体流通路に流入することを抑制することができる。
【0110】
この場合、内燃機関が高温の熱媒体によって加熱されるとともに、内燃機関の熱が低温の熱媒体によって奪われることがなくなるため、蓄熱装置によって蓄熱されていた熱が効率的に内燃機関へ伝達され、内燃機関が速やかに昇温する。
【0111】
この結果、内燃機関の始動時又は始動前に該内燃機関の吸気ポート壁面や燃焼室壁面が速やかに昇温し、それに応じて吸気温度や混合気の圧縮端温度が上昇するため、壁面付着燃料量が減少するとともに混合気の着火性が向上する。
【0112】
従って、本発明に係る蓄熱装置を有する内燃機関によれば、内燃機関の始動時における壁面付着燃料量が減少するとともに混合気の着火性が向上するため、燃料噴射量の低減、始動性の向上、及び排気エミッションの向上を実現することが可能となる。
【0113】
また、本発明に係る熱媒体の供給制御装置によれば、被熱供給体の冷間時等に、被熱供給体の熱媒体流通路へ供給される熱媒体の量が適切に制御されるため、熱媒体流通路と熱媒体流通路とが循環経路によって連通している場合であっても、熱媒体流通路に元々滞留していた低温の熱媒体が再び熱媒体流通路に流入することを抑制することができ、その結果、被熱供給体を効率的に昇温させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る蓄熱装置を有する内燃機関の実施態様を示す図
【図2】 内燃機関の暖機を行う場合の冷却水の循環回路を示す図
【図3】 内燃機関の暖機終了後における冷却水の循環回路を示す図
【図4】 内燃機関が運転状態にあるときに暖房装置を作動させる場合の冷却水の循環回路を示す図
【図5】 内燃機関が運転停止状態にあるときに暖房装置を作動させる場合の冷却水の循環回路を示す図
【図6】 冷間時に暖房装置を作動させる場合の冷却水の循環回路を示す図
【図7】 蓄熱容器に高温の冷却水を貯蔵する場合の冷却水の循環回路を湿す図
【図8】 予熱制御ルーチンを示すフローチャート図
【符号の説明】
1・・・・内燃機関
2a・・・ヘッド側冷却水路
2b・・・ブロック側冷却水路
4・・・・冷却水路
8・・・・冷却水路
10・・・ウォーターポンプ
11・・・ヒータホース
11a・・第1ヒータホース
11b・・第2ヒータホース
11c・・第3ヒータホース
11d・・第4ヒータホース
11e・・第5ヒータホース
12・・・ヒータコア
13・・・バイパス通路
13a・・第1バイパス通路
13b・・第2バイパス通路
13c・・第3バイパス通路
14・・・電動ウォーターポンプ
15・・・蓄熱容器
20・・・冷却水加熱機構

Claims (7)

  1. 内燃機関のシリンダヘッド及びシリンダブロックに形成され、熱媒体を流通させる熱媒体流通路と、
    熱媒体が持つ熱を蓄熱する蓄熱装置と、
    前記内燃機関の始動時又は始動前に、前記蓄熱装置内の熱媒体を前記内燃機関の少なくともシリンダヘッドの熱媒体流通路へ供給する熱媒体供給手段と、
    前記熱媒体供給手段による熱媒体の供給開始後に所定の条件が成立すると、前記蓄熱装置から前記熱媒体流通路への熱媒体の供給を停止する熱媒体供給停止手段と、
    前記熱媒体供給手段により前記蓄熱装置から前記熱媒体流通路へ熱媒体が供給されている間は、前記内燃機関の燃料噴射を禁止する燃料噴射禁止手段と、
    を備えることを特徴とする蓄熱装置を有する内燃機関。
  2. 前記熱媒体供給手段は、前記熱媒体流通路と前記蓄熱装置とを連通する熱媒体通路と、前記内燃機関と独立に作動して前記熱媒体通路内の熱媒体を圧送するポンプ機構とを具備し、
    前記内燃機関の始動前に前記ポンプ機構を作動させることにより、前記蓄熱装置内の熱媒体を前記熱媒体流通路へ供給することを特徴とする請求項1に記載の蓄熱装置を有する内燃機関。
  3. 前記熱媒体供給停止手段により前記蓄熱装置から前記熱媒体流通路への熱媒体の供給が停止された後に、前記内燃機関のクランキングを開始するクランキング手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の蓄熱装置を有する内燃機関。
  4. 前記クランキング手段により前記内燃機関のクランキングが開始された時点から所定の期間は、前記内燃機関の燃料噴射を禁止する燃料噴射禁止手段を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の蓄熱装置を有する内燃機関。
  5. 前記熱媒体供給停止手段は、前記内燃機関のシリンダヘッドの温度が所定温度以上に達したことを条件に、前記熱媒体供給手段による熱媒体の供給を停止することを特徴とする請求項1に記載の蓄熱装置を有する内燃機関。
  6. 前記熱媒体供給停止手段は、前記熱媒体供給手段による熱媒体の供給が開始された時点から所定時間が経過したことを条件に、前記熱媒体供給手段による熱媒体の供給を停止することを特徴とする請求項1に記載の蓄熱装置を有する内燃機関。
  7. 前記熱媒体供給停止手段は、前記熱媒体流通路に所定量以上の熱媒体が供給されたことを条件に前記蓄熱装置から前記熱媒体流通通路に対する熱媒体の供給を停止することを特徴とする請求項1に記載の蓄熱装置を有する内燃機関。
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