JP3843808B2 - 蓄熱装置を備えた内燃機関 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷却水や潤滑油等のような熱媒体の循環により冷却又は加熱される内燃機関に関し、特に前記熱媒体が持つ熱を蓄える蓄熱装置を具備した内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車などに搭載される内燃機関が冷間状態で始動される場合には、吸気ポートや燃焼室等の壁面温度が低くなるため、燃料が霧化し難くなるとともに燃焼室の周縁部において消炎が発生し易くなり、始動性の低下や排気エミッションの悪化などが誘発される。
【0003】
このような問題に対し、水冷式内燃機関において高温の冷却水を保温貯蔵する蓄熱装置を備え、内燃機関の始動時や暖機時などに蓄熱装置に貯蔵されている高温の冷却水を内燃機関へ供給することにより内燃機関の昇温を図り、以て始動性の向上や暖機の早期化を図る技術が提案されている。
【0004】
蓄熱装置を備えた内燃機関では、より高温の冷却水を蓄熱装置に貯蔵させることが重要である。高温の冷却水を蓄熱装置に貯蔵させる技術としては、例えば、特開平10−71839号公報に記載されているような内燃機関の冷却水回路が知られている。
【0005】
この公報に記載された内燃機関の冷却水回路は、水冷式の内燃機関において、内燃機関を循環する冷却水の一部を保温貯蔵する蓄熱タンクと、内燃機関から流出した冷却水を蓄熱タンクへ供給するための電動ウォーターポンプと、内燃機関から吐出された冷却水をラジエターに導くとともにラジエターから流出した冷却水を内燃機関に還流させるラジエター水路と、内燃機関から流出する冷却水の温度が所定温度以上であるときに前記ラジエター水路を開放する感温部を具備したサーモスタットと、サーモスタットの感温部を流れる冷却水量を絞る手段とを備えている。
【0006】
このように構成された内燃機関の冷却水回路は、内燃機関の負荷が低い時に前記サーモスタットの感温部を流れる冷却水量を絞るとともに電動ウォーターポンプを作動させることにより、サーモスタットの開弁時期を遅らせることにより内燃機関を循環する冷却水の温度を高め、以て蓄熱タンクに蓄えられる熱量を増加させようというものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、サーモスタットは予め設定された一定の開弁温度で開弁するよう構成されるものの、製造過程における初期公差などにより開弁温度が個々のサーモスタット毎に異なる場合がある。
【0008】
また、上記したような従来の技術では、サーモスタットの感温部を流れる冷却水の流量を絞ることにより、冷却水から感温部へ加えられる熱量を減少させ、サーモスタットの見かけ上の開弁温度を高くしているが、冷却水から感温部へ実際に加えられる熱量はその時々の条件に応じて変化することが想定される。
【0009】
このようにサーモスタットの開弁温度のばらつき、及び冷却水から感温部へ加えられる熱量のばらつきが生じると、サーモスタットが所望開弁時期より早く開弁し、蓄熱タンクに所望量の熱を蓄えることができなくなる場合がある。
【0010】
これに対し、サーモスタットバルブの開弁温度を通常よりも高く設定しておく方法が考えられるが、蓄熱タンクに熱を蓄える必要がない場合にもサーモスタットバルブの開弁時期が遅くなるため、冷却水温度が過剰に上昇し、内燃機関の過熱を招く虞がある。
【0011】
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、蓄熱装置を備えた内燃機関において、内燃機関の過熱を防止しつつ所望量の熱を蓄熱装置に蓄えることができる技術を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明に係る蓄熱装置を備えた内燃機関は、内燃機関に形成され、熱媒体が循環する熱媒体循環経路と、前記熱媒体循環経路を流れる熱媒体の一部を保温貯蔵する蓄熱装置と、前記熱媒体を冷却する冷却手段と、前記熱媒体循環経路から前記冷却手段を経由して前記熱媒体循環経路へ熱媒体を還流させる冷却用熱媒体通路と、前記冷却用熱媒体通路を開閉する通路開閉弁と、前記蓄熱装置に貯蔵された熱媒体の温度が所定の蓄熱適応温度以上である時は該蓄熱装置に熱媒体を貯蔵する必要がないと判定し、前記蓄熱装置に貯蔵された熱媒体の温度が前記蓄熱適応温度未満である時は該蓄熱装置に熱媒体を貯蔵する必要があると判定する判定手段と、前記判定手段により前記蓄熱装置に熱媒体を貯蔵する必要がないと判定された時は、前記熱媒体の温度が前記蓄熱適応温度より低い機関運転適合温度以上となった時点で前記通路開閉弁を開弁させ、前記判定手段により前記蓄熱装置に熱媒体を貯蔵する必要があるとは判定された時は、前記熱媒体の温度が前記蓄熱適応温度となるまで前記通路開閉弁の開弁を禁止する通路開閉制御手段と、を備えている。
【0013】
この発明は、内燃機関を循環する熱媒体循環経路と、熱媒体循環経路から冷却手段を経由して熱媒体循環経路へ熱媒体を還流させる冷却用熱媒体通路とを備えた内燃機関において、冷却用熱媒体通路を開閉する通路開閉弁と、この通路開閉弁を制御する通路開閉制御手段とを備え、高温の熱媒体を蓄熱装置に貯蔵する必要があるときは、熱媒体の温度が所望の蓄熱適応温度以上となるまで通路開閉弁の開弁を禁止し、高温の熱媒体を蓄熱装置に貯蔵する必要がないときは、熱媒体の温度が前記蓄熱適応温度より低い機関運転適合温度以上で通路開閉弁を開弁させるものである。
【0014】
かかる蓄熱装置を備えた内燃機関では、通路開閉制御手段は、蓄熱装置に熱媒体を貯蔵する必要がないときは、熱媒体の温度が機関運転適合温度以上となった時点で通路開閉弁を開弁させる。
【0015】
この場合、内燃機関の熱媒体循環経路を流れる熱媒体が冷却用熱媒体通路を介して冷却手段を流通することになるため、熱媒体が冷却手段によって冷却され、熱媒体の温度が機関運転適合温度に保たれる。
【0016】
また、通路開閉制御手段は、蓄熱装置に熱媒体を貯蔵する必要があるときは、熱媒体の温度が機関運転適合温度より高い蓄熱適応温度となるまで通路開閉弁の開弁を禁止するため、熱媒体が冷却手段を流通せずに速やかに蓄熱適応温度以上まで昇温し、蓄熱適応温度以上の熱媒体が蓄熱装置に貯蔵されることになる。
【0017】
そして、蓄熱装置に蓄熱適応温度以上の熱媒体が貯蔵されると、蓄熱装置に熱媒体を貯蔵する必要がなくなるため、通路開閉制御手段が通路開閉弁を開弁させて熱媒体を冷却手段に流通させる。その結果、熱媒体が冷却手段によって速やかに冷却されることとなり、内燃機関が長期にわたって高温の熱媒体に曝されることがない。
【0018】
本発明に係る蓄熱装置を備えた内燃機関において、通路開閉弁としては、冷却用熱媒体通路を開閉する弁体と、蓄熱適応温度より高い作動温度以上となったときに体積変化して弁体を開弁させる感温作動部と、感温作動部を加熱する加熱部とを具備した電子制御式サーモスタットを例示することができる。
【0019】
この場合、通路開閉制御手段は、蓄熱装置に熱媒体を貯蔵する必要がないときは、熱媒体の温度が機関運転適合温度以上となった時点で加熱部を作動させて感温作動部を作動温度以上まで昇温させ、蓄熱装置に熱媒体を貯蔵する必要があるときは、熱媒体の温度が蓄熱適応温度以上となるまで加熱部の作動を禁止するようにすればよい。
【0020】
尚、本発明に係る蓄熱装置を備えた内燃機関において、熱媒体としては、冷却水や潤滑油などを例示することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る蓄熱装置を備えた内燃機関の具体的な実施態様について図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明を適用する車両用内燃機関の冷却水循環系を示す図である。
図1において、内燃機関1は、ガソリン又は軽油を燃料とする水冷式の内燃機関であり、シリンダヘッド1aとシリンダブロック1bとを備えている。
【0023】
前記内燃機関1には、駆動電力が印加されたときに該内燃機関1の図示しないクランクシャフトを回転させるスタータモータ100が取り付けられている。
【0024】
前記したシリンダヘッド1aとシリンダブロック1bには、熱媒体としての冷却水を循環させるためのヘッド側冷却水路2aとブロック側冷却水路2bとがそれぞれ形成され、それらヘッド側冷却水路2aとブロック側冷却水路2bとが相互に連通している。前記ヘッド側冷却水路2aは、本発明に係る熱媒体流通路に相当するものである。
【0025】
前記ヘッド側冷却水路2aには、第1冷却水路4が接続され、その第1冷却水路4は、ラジエター5の冷却水流入口に接続されている。ラジエター5の冷却水流出口は、第2冷却水路6を介して三方切換弁7に接続されている。
【0026】
前記ラジエター5は、冷却水と外気との間で熱交換を行う熱交換器であり、本発明に係る冷却手段に相当する。
【0027】
このラジエター5には、該ラジエター5に外気を圧送する送風機としてのラジエターファン50が併設されている。ラジエターファン50は、ファンモータ50aによって駆動されるようになっている。
【0028】
前記三方切換弁7には、前記した第2冷却水路6に加えて、第3冷却水路8と第4冷却水路9とが接続されている。前記第3冷却水路8は、図示しないクランクシャフトの回転トルクによって駆動される機械式ウォーターポンプ10の吸込口に接続され、その機械式ウォーターポンプ10の吐出口は前記ブロック側冷却水路2bに接続されている。一方、前記第4冷却水路9は、前記ヘッド側冷却水路2aに連通している。
【0029】
前記三方切換弁7は、第2冷却水路6と第4冷却水路9との何れか一方を閉塞するよう構成されている。具体的には、三方切換弁7は、図2に示されるように、第2冷却水路6と第3冷却水路8と第4冷却水路9との接続部に配置されたフレーム70と、フレーム70に固定された筒状のケース71と、ケース71の外径と略同径の内径を有する筒体で形成され該ケース71に摺動自在に嵌合された摺動部材72と、前記摺動部材72の一端に形成され該摺動部材72の摺動に応じて第2冷却水路6を開閉する第1の弁体72aと、前記摺動部材72の他端に形成され該摺動部材72の摺動に応じて第4冷却水路9を開閉する第2の弁体72bと、一端が摺動部材72に固定され他端が前記ケース71内に延出しつつテーパー状に形成されたロッド73と、前記ケース71に内装され前記ロッドを進退自在に支持する弾性部材74と、前記ケース71内における前記弾性部材74の周囲に充填され所定の作動温度:T1以上で熱膨張する感温作動部75と、前記ケース71に内装され駆動電流が印加されたときに前記感温作動部75を加熱する加熱器76と、前記フレーム70と前記摺動部材72との間に介設され前記第1の弁体72aが第2冷却水路6を閉弁し且つ前記第2の弁体72bが第4冷却水路9を開弁するよう前記摺動部材72を付勢するスプリング77と、を備えた電子制御式サーモスタットバルブで構成されている。以下、三方切換弁7を電子制御式サーモスタットバルブ7と称する。
【0030】
上記した感温作動部75としては、作動温度:T1未満であるときには固体となって収縮し、作動温度:T1以上であるときには液体となって膨脹するサーモワックスを例示することができる。また、上記した加熱器76としては、PTCヒータを例示することができる。
【0031】
このように構成された電子制御式サーモスタットバルブ7では、該電子制御式サーモスタットバルブ7を流れる冷却水の温度が作動温度:T1未満であり且つ加熱器76に駆動電流が印加されていないときは、サーモワックス75の温度が作動温度:T1未満となる。
【0032】
この場合、サーモワックス75が熱膨張しないため、摺動部材72は、スプリング77の付勢力のみを受けることになる。その結果、摺動部材72は、図2(a)に示されるように、第1の弁体72aが第2冷却水路6を閉弁し且つ第2の弁体72bが第4冷却水路9を開弁する位置に保持される。
【0033】
一方、電子制御式サーモスタットバルブ7を流れる冷却水の温度が作動温度:T1以上となった場合、若しくは、加熱器76に駆動電流が印加された場合には、サーモワックス75の温度が作動温度:T1以上まで上昇する。
【0034】
この場合、サーモワックス75が熱膨張して弾性部材74を押圧するため、弾性部材74が変形しつつロッド73を進出させる。その結果、摺動部材72は、図2(b)に示されるように、スプリング77の付勢力に抗して摺動し、第1の弁体72aが第2冷却水路6を開弁し且つ第2の弁体72bが第4冷却水路9を閉弁する位置に変位する。
【0035】
尚、前記した作動温度:T1は、通常のサーモスタットバルブ(開弁温度が固定式のサーモスタットバルブ)の開弁温度(例えば、80℃〜90℃)に対して十分に高い温度に設定されているものとする。
【0036】
ここで図1に戻り、前記した第3冷却水路8における機械式ウォーターポンプ10の直上流の部位には、該第3冷却水路8内を流れる冷却水の温度に対応した電気信号を出力する水温センサ19が取り付けられている。
【0037】
次に、ヘッド側冷却水路2aには、ヒータホース11の基端が接続され、そのヒータホース11の終端は、前記した電子制御式サーモスタットバルブ7と機械式ウォーターポンプ10とを接続する第3冷却水路8の途中に接続されている。
【0038】
前記ヒータホース11の途中には、冷却水と車室内暖房用空気との間で熱交換を行うヒータコア12が配置されている。このヒータコア12には、該ヒータコア12において冷却水との間で熱交換が行われた暖房用空気を車室内へ圧送するヒータブロア120が併設されている。このヒータブロア120は、車室内に設けられたヒータスイッチ21がオン状態にあるときに作動するようになっている。
【0039】
前記ヒータホース11における該ヒータホース11の基端とヒータコア12との間に位置する部位には、蓄熱タンク13が配置されている。この蓄熱タンク13は、冷却水を蓄熱状態で貯蔵する容器であり、ヒータホース11から該蓄熱容器13内へ冷却水を流入させるための冷却水入口13cと、該蓄熱タンク13内からヒータホース11へ冷却水を流出させるための冷却水出口13dとを備えている。
【0040】
前記冷却水入口13cと前記冷却水出口13dとには、それぞれ冷却水の逆流を防止する一方向弁(ワンウェイバルブ)13a、13bが設けられている。
【0041】
このように構成された蓄熱タンク13は、冷却水入口13cから新規の冷却水が流入すると、その代わりに該蓄熱タンク13内に貯蔵されていた高温の冷却水(以下、蓄熱温水と称する)を冷却水出口13dから排出する。
【0042】
尚、蓄熱タンク13は、該蓄熱タンク13の冷却水入口13cがヒータホース11の終端側に位置し、且つ、冷却水出口13dがヒータホース11の基端側に位置するようにヒータホース11と接続されるものとする。
【0043】
また、蓄熱タンク13には、該蓄熱タンク13内に貯蔵されている冷却水の温度に対応した電気信号を出力するタンク内水温センサ25が取り付けられている。
【0044】
次に、前記ヒータホース11における蓄熱タンク13とヒータコア12との間に位置する部位には、電動ウォーターポンプ14が配置されている。この電動ウォーターポンプ14は、電気モータによって駆動されるポンプであり、該電動ウォーターポンプ14の吸込口から吸い込んだ冷却水を吐出口から所定の圧力で吐出するよう構成されている。
【0045】
尚、電動ウォーターポンプ14は、該電動ウォーターポンプ14の吸込口がヒータホース11の終端側に位置し、且つ、吐出口がヒータホース11の基端側に位置するようヒータホース11と接続されるものとする。
【0046】
また、ヒータホース11における該ヒータホース11の基端と蓄熱タンク13との間に位置する部位には、第1バイパス通路15の基端が接続されている。この第1バイパス通路15の終端は、ヒータホース11における電動ウォーターポンプ14とヒータコア12との間に位置する部位に接続されている。
【0047】
更に、ヒータホース11における該ヒータホース11の基端と前記第1バイパス通路15の基端との間に位置する部位には、第2バイパス通路16の基端が接続されている。この第2バイパス通路16の終端は、ヒータホース11における電動ウォーターポンプ14と前記第1バイパス通路15の終端との間に位置する部位に接続されている。
【0048】
以下では、ヒータホース11において、該ヒータホース11の基端と第2バイパス通路16の基端との間に位置する部位を第1ヒータホース11aと称し、第2バイパス通路16の基端と第1バイパス通路15の基端との間に位置する部位を第2ヒータホース11bと称し、第1バイパス通路15の基端と蓄熱タンク13との間に位置する部位を第3ヒータホース11cと称し、蓄熱タンク13と電動ウォーターポンプ14との間に位置する部位を第4ヒータホース11dと称し、電動ウォーターポンプ14と第2バイパス通路16の終端との間に位置する部位を第5ヒータホース11eと称し、第2バイパス通路16の終端と第1バイパス通路15の終端との間に位置する部位を第6ヒータホース11fと称し、第1バイパス通路15の終端とヒータコア12との間に位置する部位を第7ヒータホース11gと称し、更にヒータコア12と該ヒータホース11の終端との間に位置する部位を第8ヒータホース11hと称するものとする。
【0049】
前記した第6ヒータホース11fと第7ヒータホース11gと第1バイパス通路15との接続部には、第1の流路切換弁17が設けられている。この第1の流路切換弁17は、前記した3つの通路の導通と、前記3つの通路の何れか1つの遮断とを選択に切り換えるバルブである。第1の流路切換弁17は、例えば、図示しないステップモータ等からなるアクチュエータによって駆動されるようになっている。
【0050】
前記した第1ヒータホース11aと第2ヒータホース11bと第2バイパス通路16との接続部には、第2の流路切換弁18が設けられている。この第2の流路切換弁18は、前記した3つの通路の導通と、前記3つの通路の何れか1つの遮断とを選択に切り換えるバルブである。第1の流路切換弁17は、例えば、図示しないステップモータ等からなるアクチュエータによって駆動されるようになっている。
【0051】
このように構成された内燃機関1の冷却系には、該冷却系を制御するための電子制御ユニット(Electronic Control Unit:ECU)20が併設されている。このECU20は、冷却水循環系を専用に制御する電子制御ユニットであってもよく、あるいは冷却水循環系の制御と内燃機関1の制御とを兼任する電子制御ユニットであってもよい。
【0052】
前記ECU20には、前述した水温センサ19及びタンク内水温センサ25に加え、車室内に取り付けられたヒータスイッチ21、イグニッションスイッチ22、及びスタータスイッチ23が電気的に接続されるとともに、電動ウォーターポンプ14、第1の流路切換弁17、第2の流路切換弁18、ファンモータ50a、電子制御式サーモスタットバルブ7の加熱器76、スタータモータ100、及びヒータブロア120が電気的に接続されている。
【0053】
ECU20は、内燃機関1の運転状態や各種センサの出力信号値等をパラメータとして、電動ウォーターポンプ14、第1の流路切換弁17、第2の流路切換弁18、ファンモータ50a、加熱器76、スタータモータ100、及びヒータブロア120を制御する。
【0054】
以下、この実施の形態における蓄熱装置を備えた内燃機関の作用について説明する。
先ず、内燃機関1の始動に先駆けて該内燃機関1を予熱する場合について説明する。ここでは、蓄熱タンク13内に予め高温の冷却水が貯蔵されているものとする。
【0055】
ECU20は、内燃機関1のクランキングが開始される前、例えば、イグニッションスイッチ22がオフからオンへ切り換えられたときに、第1バイパス通路15を遮断し且つ第6ヒータホース11fと第7ヒータホース11gを導通させるべく第1の流路切換弁17を制御し、第2バイパス通路16を遮断し且つ第1ヒータホース11aと第2ヒータホース11bを導通させるべく第2の流路切換弁18を制御し、更に電動ウォーターポンプ14を作動させるべく該電動ウォーターポンプ14へ駆動電力を供給する。
【0056】
この場合、機械式ウォーターポンプ10が作動せずに電動ウォーターポンプ14のみが作動するため、図3に示すように、電動ウォーターポンプ14→第4ヒータホース11d→蓄熱タンク13→第3ヒータホース11c→第2ヒータホース11b→第2の流路切換弁18→第1ヒータホース11a→ヘッド側冷却水路2a→ブロック側冷却水路2b→機械式ウォーターポンプ10→第3冷却水路8→第8ヒータホース11h→ヒータコア12→第7ヒータホース11g→第1の流路切換弁17→第6ヒータホース11f→第5ヒータホース11e→電動ウォーターポンプ14の順に冷却水が流れる循環回路が成立する。
【0057】
上記したような循環回路が成立すると、電動ウォーターポンプ14から吐出された冷却水が第4ヒータホース11dを介して蓄熱タンク13に流入し、それと入れ代わりに蓄熱タンク13内に貯蔵されていた蓄熱温水が該蓄熱タンク13から排出される。蓄熱タンク13から排出された蓄熱温水は、第3ヒータホース11c、第2ヒータホース11b、第2の流路切換弁18、及び第1ヒータホース11aを経由してヘッド側冷却水路2aに流入し、次いでブロック側冷却水路2bに流入することになる。
【0058】
蓄熱タンク13からの蓄熱温水が内燃機関1のヘッド側冷却水路2a及びブロック側冷却水路2bに流入すると、それと入れ代わりにヘッド側冷却水路2a及びブロック側冷却水路2bに元々滞留していた低温の冷却水がヘッド側冷却水路2a及びブロック側冷却水路2bから第1冷却水路4へ流出する。
【0059】
この結果、内燃機関1では、蓄熱温水の熱がヘッド側冷却水路2a及びブロック側冷却水路2bの壁面に伝達される。特に上記した循環回路では蓄熱温水がヘッド側冷却水路2aに流入した後にブロック側冷却水路2bに流入するため、シリンダヘッド1aが優先的に予熱されることになる。これによりシリンダヘッド1aの図示しない吸気ポートの壁面温度及び吸気温度が上昇するため、内燃機関1の始動時及び始動後において、燃料の気化が促進されるとともに混合気の温度が上昇し、以て壁面付着燃料量の減少、燃焼の安定化、始動性の向上、及び排気エミッションの向上を図ることが可能となる。
【0060】
更に、上記した循環回路では、蓄熱タンク13と内燃機関1のヘッド側冷却水路2aとがヒータコア12等を介さずに直接的に連通するため、蓄熱タンク13からヘッド側冷却水路2aに至る経路における蓄熱温水の不要な放熱が抑制されることになる。この結果、蓄熱タンク13に蓄えられていた熱が効率的に内燃機関1へ伝達されることになる。
【0061】
従って、上記した循環回路によれば、少ない熱量であっても内燃機関1を十分に予熱することが可能となり、以て始動性の向上、燃焼の安定化、及び暖機運転時間の短縮等を図ることが可能となる。
【0062】
次に、スタータスイッチ23がオフからオンへ切り換えられると、ECU20は、電動ウォーターポンプ14に対する駆動電力の供給を停止した後に、スタータモータ100や図示しない燃料噴射弁等に駆動電力を印加して内燃機関1のクランキングを開始し、以て内燃機関1を始動させる。
【0063】
内燃機関1のクランキングが開始されると、クランクシャフトの回転トルクによって機械式ウォーターポンプ10が駆動される。これに対応してECU20は、第7ヒータホース11gを遮断すべく第1の流路切換弁17を制御し、およびまたは第1ヒータホース11aを遮断すべく第2の流路切換弁18を制御するとともに、電動ウォーターポンプ14を停止状態とする。
【0064】
その際、水温センサ19の出力信号値(冷却水温度:THW)が内燃機関1の運転に適した温度(例えば80℃〜90℃)より低ければ、ECU20は、電子制御式サーモスタットバルブ7の加熱器76に対する駆動電流の印加を禁止し、電子制御式サーモスタットバルブ7が第2冷却水路6を遮断すると同時に第4冷却水路9を開放するようにする。尚、以下では上記した内燃機関1の運転に適した冷却水温度を機関運転適合水温:T2と称するものとする。
【0065】
この場合、図4に示すように、機械式ウォーターポンプ10→ブロック側冷却水路2b→ヘッド側冷却水路2a→第4冷却水路9→電子制御式サーモスタットバルブ7→第3冷却水路8→機械式ウォーターポンプ10の順で冷却水が流れる循環回路が成立する。
【0066】
このような循環回路が成立した場合には、内燃機関1から流出した比較的低温の冷却水がラジエター5を迂回して流れることになるため、冷却水がラジエター5によって必要以上に冷却されることがない。
【0067】
この結果、内燃機関1が冷却水によって不要に冷却されることがなく、内燃機関1の暖機が妨げられることがない。
【0068】
その後、水温センサ19の出力信号値(冷却水温度)が機関運転適合水温:T2以上になると、ECU20は、電子制御式サーモスタットバルブ7の加熱器76に駆動電流を印加して、電子制御式サーモスタットバルブ7が第4冷却水路9を遮断すると同時に第2冷却水路6を開放するようにする。
【0069】
この場合、図5に示すように、機械式ウォーターポンプ10→ブロック側冷却水路2b→ヘッド側冷却水路2a→第1冷却水路4→ラジエター5→第2冷却水路6→電子制御式サーモスタットバルブ7→第3冷却水路8→機械式ウォーターポンプ10の順で冷却水が流れる循環回路が成立する。
【0070】
このような循環回路が成立した場合には、内燃機関1から流出した比較的高温の冷却水がラジエター5を流通することになるため、冷却水の熱がラジエター5によって放熱される。この結果、冷却水の温度が機関運転適合水温:T2に保たれるようになる。
【0071】
次に、内燃機関1が運転状態にあるときに、ヒータスイッチ21がオフからオンへ切り換えられると、ECU20は、電動ウォーターポンプ14を停止状態に維持し、第1バイパス通路15を遮断し且つ第6ヒータホース11fと第7ヒータホース11gを導通させるべく第1の流路切換弁17を制御し、第2ヒータホース11bを遮断し且つ第1ヒータホース11aと第2バイパス通路16を導通させるべく第2の流路切換弁18を制御し、更にヒータブロア120を作動させるべく該ヒータブロア120に駆動電力を供給する。
【0072】
この場合、電動ウォーターポンプ14を作動せずに機械式ウォーターポンプ10のみが作動するため、図6に示すように、機械式ウォーターポンプ10→ブロック側冷却水路2b→ヘッド側冷却水路2a→第1冷却水路4→ラジエター5→第2冷却水路6→電子制御式サーモスタットバルブ7→第3冷却水路8→機械式ウォーターポンプ10の順で冷却水が流れる第1の循環回路が成立すると同時に、機械式ウォーターポンプ10→ブロック側冷却水路2b→ヘッド側冷却水路2a→第1ヒータホース11a→第2の流路切換弁18→第2バイパス通路16→第6ヒータホース11f→第1の流路切換弁17→第7ヒータホース11g→ヒータコア12→第8ヒータホース11h→第3冷却水路8→機械式ウォーターポンプ10の順で冷却水が流れる第2の循環回路が成立する。
【0073】
上記したように第2の循環回路が成立すると、内燃機関1から流出した高温の冷却水は、第1ヒータホース11a、第2の流路切換弁18、第2バイパス通路16、第6ヒータホース11f、第1の流路切換弁17、及び第7ヒータホース11gを経由してヒータコア12に流入することになるため、ヒータコア12において冷却水と暖房用空気との間で熱交換が行われる。つまり、ヒータコア12において冷却水の熱が暖房用空気へ伝達され、暖房用空気が暖められる。ヒータコア12において暖められた暖房用空気は、ヒータブロア120によって車室内へ圧送される。
【0074】
その際、内燃機関1から流出した高温の冷却水が蓄熱タンク13等を介さずに直接的にヒータコア12へ到達することができるため、内燃機関1からヒータコア12に至る経路における冷却水の不要な放熱が抑制されることになる。この結果、内燃機関1から冷却水へ伝達された熱が効率的に暖房用空気へ伝達されることになる。
【0075】
次に、蓄熱タンク13に高温の冷却水を貯蔵する方法について述べる。
蓄熱タンク13に高温の冷却水を貯蔵する場合には、ECU20は、電動ウォーターポンプ14を停止状態に維持し、第6ヒータホース11fを遮断し且つ第1バイパス通路15と第7ヒータホース11gを導通させるべく第1の流路切換弁17を制御し、更に第2ヒータホース11bを遮断し且つ第1ヒータホース11aと第2バイパス通路16を導通させるべく第2の流路切換弁18を制御する。
【0076】
この場合、電動ウォーターポンプ14が作動せずに機械式ウォーターポンプ10のみが作動するため、図7に示すように、機械式ウォーターポンプ10→ブロック側冷却水路2b→ヘッド側冷却水路2a→第1冷却水路4→ラジエター5→第2冷却水路6→電子制御式サーモスタットバルブ7→第3冷却水路8→機械式ウォーターポンプ10の順で冷却水が流れる第1の循環回路が成立すると同時に、機械式ウォーターポンプ10→ブロック側冷却水路2b→ヘッド側冷却水路2a→第1ヒータホース11a→第2の流路切換弁18→第2バイパス通路16→第5ヒータホース11e→電動ウォーターポンプ14→第4ヒータホース11d→蓄熱タンク13→第3ヒータホース11c→第1バイパス通路15→第1の流路切換弁17→第7ヒータホース11g→ヒータコア12→第8ヒータホース11h→第3冷却水路8→機械式ウォーターポンプ10の順で冷却水が流れる第3の循環回路が成立する。
【0077】
上記したような第3の循環回路が成立すると、冷却水がヘッド側冷却水路2a及びブロック側冷却水路2bを通過する際に、シリンダヘッド1a及びシリンダブロック1bの熱がヘッド側冷却水路2a及びブロック側冷却水路2bの壁面を介して冷却水に伝達されるため、ヘッド側冷却水路2aから流出する冷却水は多量の熱を持つ高温の冷却水となる。
【0078】
ヘッド側冷却水路2aから流出した高温の冷却水は、第1ヒータホース11a、第2の流路切換弁18、第2バイパス通路16、第5ヒータホース11e、電動ウォーターポンプ14、及び第4ヒータホース11dを介して蓄熱タンク13に流入することになる。
【0079】
ヘッド側冷却水路2aから流出した高温の冷却水が蓄熱タンク13に流入すると、それと入れ代わりに蓄熱タンク13内に元々貯蔵されていた冷却水が該蓄熱タンク13から排出される。内燃機関1からの高温の冷却水が蓄熱タンク13に流入し続けると、蓄熱タンク13内に元々貯蔵されていた冷却水の全てが該蓄熱タンク13から排出され、その結果、高温の冷却水のみが蓄熱タンク13に貯蔵されるようになる。
【0080】
尚、上記したような貯蔵処理を終了するタイミングとしては、蓄熱タンク13内の冷却水が全て入れ替わった時期が好ましく、そのような時期を判定する方法としては、蓄熱タンク13内の冷却水が全て入れ替わるまでに要する時間(以下、冷却水入替時間と称する)を予め実験的に求めておき、貯蔵処理が開始された時点からの経過時間が上記の冷却水入替時間に達した時点で、蓄熱タンク13内の冷却水が全て入れ替わったと判定する方法を例示することができる。
【0081】
その際、冷却水入替時間は、ヘッド側冷却水路2aから流出した冷却水が蓄熱タンク13に到達するまでに要する時間と、機械式ウォーターポンプ10の単位時間当たりの吐出量とを考慮して決定されることが好ましい。但し、機械式ウォーターポンプ10の単位時間当たりの吐出量は、機関回転数に応じて変化するため、機関回転数と冷却水入替時間との関係を予めマップ化しておくようにしてもよい。
【0082】
一方、冷却水入替時間は、内燃機関1を循環する冷却水の温度、蓄熱タンク13内の冷却水の温度、外気温度などをパラメータとして決定されるようにしてもよい。例えば、内燃機関1を循環する冷却水の温度が高く、蓄熱タンク13内の冷却水の温度が高く、更に外気温度が高くなるほど冷却水入替時間を短くするようにしてもよく、あるいは内燃機関1を循環する冷却水の温度と蓄熱タンク13内の冷却水の温度との差が小さくなるほど(且つ蓄熱タンク13内の冷却水の温度が高くなるほど)冷却水入替時間を短くするようにしてもよい。
【0083】
ところで、内燃機関1が長期間運転停止された後の始動時においても内燃機関1を効果的に予熱するためには、蓄熱タンク13に貯蔵されるべき冷却水の温度が高いほど好ましいと言える。
【0084】
しかしながら、電子制御式サーモスタットバルブ7が第4冷却水路9を遮断すると同時に第2冷却水路6を開放している状態、つまり前述した図7の説明で述べた第1の循環回路が成立している状況下で蓄熱処理が行われると、冷却水がラジエター5において冷却されることになるため、機関運転適合水温:T2温度より高い温度の冷却水を蓄熱タンク13に貯蔵することは困難となる。
【0085】
そこで、本実施の形態に係る蓄熱装置を備えた内燃機関では、ECU20は、蓄熱タンク13に冷却水の熱を蓄える必要がない場合には、水温センサ19の出力信号値(冷却水温度)が機関運転適合水温:T2以上となった時点で電子制御式サーモスタットバルブ7の加熱器76に駆動電流を印加して第2冷却水路6と第3冷却水路8を導通させ、蓄熱タンク13に冷却水の熱を蓄える必要がある場合には、水温センサ19の出力信号値(冷却水温度)が蓄熱に適した温度(以下、蓄熱適応温度:T3(>T2)と称する)以上となるまで電子制御式サーモスタットバルブ7の加熱器76に対する駆動電流の印加を禁止するようにした。
【0086】
その際、電子制御式サーモスタットバルブ7の感温作動部75の作動温度が蓄熱適応温度:T3以下であると、冷却水温度が蓄熱適応温度:T3に達する前に不用意に冷却水がラジエター5を流通してしまうことになるため、前記感温作動部75の作動温度は蓄熱適応温度:T3より十分に高い温度に設定されるものとする。
【0087】
但し、電子制御式サーモスタットバルブ7の加熱器76に対する駆動電流の印加禁止により内燃機関1を循環する冷却水の温度が過剰に上昇すると内燃機関1の過熱を招く虞があるため、電子制御式サーモスタットバルブ7の感温作動部75の作動温度を冷却水温度の上限値に設定しておくことが好ましい。
【0088】
以下では、蓄熱タンク13に高温の冷却水を貯蔵する方法について図8に沿って説明する。
【0089】
図8は、蓄熱制御ルーチンを示すフローチャート図である。蓄熱制御ルーチンは、ECU20のROMなどに予め記憶されているルーチンであり、ECU20によって所定時間毎(例えば、クランクシャフトが所定角度回転する度)に繰り返し実行されるルーチンである。
【0090】
蓄熱制御ルーチンにおいて、ECU20は、先ずS801において、ECU20のRAMやバックアップRAM等に予め設定されている予熱完了フラグ記憶領域へアクセスし、その予熱完了フラグ記憶領域に“1”が記憶されているか否かを判別する。
【0091】
予熱完了フラグ記憶領域は、蓄熱タンク13に貯蔵されていた高温の冷却水により内燃機関1の予熱が完了した際に“1”が記憶され、内燃機関1の運転停止時(イグニッションスイッチ22がオンからオフへ切り換えられた時)又は始動開始時(イグニッションスイッチ22がオフからオンへ切り換えられた時)に“0”がリセットされる領域である。
【0092】
前記S801において前記予熱完了フラグ記憶領域に“0”が記憶されていると判定された場合には、ECU20は、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0093】
一方、前記S801において前記予熱完了フラグ記憶領域に“1”が記憶されていると判定された場合には、ECU20は、S802へ進む。
【0094】
S802では、ECU20は、タンク内水温センサ25の出力信号値(タンク内水温):Tthを入力する。
【0095】
S803では、ECU20は、前記S802で入力されたタンク内水温:Tthが蓄熱適応温度:T3以上であるか否かを判別する。
【0096】
前記S803においてタンク内水温:Tthが蓄熱適応温度:T3以上であると判定された場合は、ECU20は、蓄熱タンク13内に高温の冷却水を貯蔵する必要がないとみなし、S804〜S807において電子制御式サーモスタットバルブ7を通常通りに制御する。
【0097】
すなわち、ECU20は、先ずS804において、水温センサ19の出力信号値(冷却水温度):Twを入力する。
【0098】
S805では、ECU20は、前記S804で入力された冷却水温度:Twが機関運転適合水温:T2以上であるか否かを判別する。
【0099】
前記S805において冷却水温度:Twが機関運転適合水温:T2以上であると判定された場合は、ECU20は、S806へ進む。
【0100】
S806では、ECU20は、第2冷却水路6と第3冷却水路8を導通(第4冷却水路9を遮断)すべく電子制御式サーモスタットバルブ7の加熱器76に駆動電流を印加して、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0101】
この場合、冷却水がラジエター5を流通することになるため、冷却水の温度が不要に上昇せずに機関運転適合水温:T2に保たれることになる。
【0102】
一方、前記S805において冷却水温度:Twが機関運転適合水温:T2未満であると判定された場合は、ECU20は、S807へ進む。
【0103】
S807では、ECU20は、第3冷却水路8と第4冷却水路9を導通(第2冷却水路6を遮断)すべく電子制御式サーモスタットバルブ7の加熱器76に対する駆動電流の印加を停止して、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0104】
この場合、冷却水がラジエター5を流通しないため、冷却水が不要に冷却されずに速やかに機関運転適合水温:T2まで昇温することになる。
【0105】
また、前述したS803においてタンク内水温:Tthが蓄熱適応温度:T3以下であると判定された場合は、ECU20は、S808〜S813において冷却水を昇温させるべく電子制御式サーモスタットバルブ7を制御する。
【0106】
すなわち、ECU20は、先ずS808において、水温センサ19の出力信号値(冷却水温度):Twを入力する。
【0107】
S809では、ECU20は、前記S808で入力された冷却水温度:Twが蓄熱適応温度:T3以上であるか否かを判別する。
【0108】
前記S809において冷却水温度:Twが蓄熱適応温度:T3以上であると判定された場合には、ECU20は、S810へ進み、蓄熱処理を実行する。
【0109】
具体的には、ECU20は、電動ウォーターポンプ14を停止状態に維持し、第6ヒータホース11fを遮断し且つ第1バイパス通路15と第7ヒータホース11gを導通させるべく第1の流路切換弁17を制御し、更に第2ヒータホース11bを遮断し且つ第1ヒータホース11aと第2バイパス通路16を導通させるべく第2の流路切換弁18を制御することにより、前述した図7の説明で述べたような循環回路を成立させ、ヘッド側冷却水路2aから流出した高温の冷却水を蓄熱タンク13へ貯蔵させる。
【0110】
この場合、蓄熱タンク13には、蓄熱適応温度:T3以上の冷却水が貯蔵されることになる。
【0111】
S811では、ECU20は、蓄熱処理が完了したか否か、言い換えれば、蓄熱タンク13内の冷却水が蓄熱適応温度:T3以上の冷却水に入れ替わったか否かを判別する。すなわち、ECU20は、蓄熱処理の実行開始時点からの経過時間が冷却水入替時間以上に達したか否かを判別する。
【0112】
前記S811において蓄熱処理が完了していないと判定された場合には、ECU20は、前記S810以降の処理を繰り返し実行する。
【0113】
前記S811において蓄熱処理が完了したと判定された場合には、ECU20は、S812へ進み、電子制御式サーモスタットバルブ7の加熱器76に対して駆動電流を印加し、第2冷却水路6と第3冷却水路8とを速やかに導通させる。
【0114】
一方、前記S809において冷却水温度:Twが蓄熱適応温度:T3未満であると判定された場合には、ECU20は、S813へ進み、電子制御式サーモスタットバルブ7の加熱器76に対する駆動電流の印加を禁止する。この場合、電子制御式サーモスタットバルブ7により、第2冷却水路6が遮断されると同時に第4冷却水路9が開放されて第3冷却水路8と第4冷却水路9が導通するため、冷却水がラジエター5を流通しないことになる。
【0115】
このS813の処理は、S808において水温センサ19の出力信号値(冷却水温度):Twが蓄熱適応温度:T3以上であると判定されるまで継続される。つまり、冷却水の温度が蓄熱適応温度:T3以上となるまでは、冷却水がラジエター5を流通しないことになる。その結果、冷却水の温度が速やかに蓄熱適応温度:T3まで上昇することになる。
【0116】
そして、冷却水の温度が蓄熱適応温度:T3以上まで昇温すると、ECU20は、S810へ進んで蓄熱処理を実行し、次いでS811において蓄熱処理が終了したと判定されると、S812において電子制御式サーモスタットバルブ7の加熱器76へ駆動電流を印加して冷却水のラジエター5への流通を許容する。
【0117】
このようにECU20が蓄熱制御ルーチンを実行することにより、蓄熱タンク13に高温の冷却水を貯蔵する必要がない場合には、冷却水温度が機関運転適合水温:T2以上となった時点で冷却水のラジエター5への流通が許容され、蓄熱タンク13に高温の冷却水を貯蔵する必要がある場合には、冷却水温度が蓄熱適応温度:T3以上となるまで冷却水のラジエター5への流通が禁止されることになる。
【0118】
この結果、蓄熱タンク13に高温の冷却水を貯蔵する必要がある場合には、冷却水温度が速やかに蓄熱適応温度:T3以上まで昇温することになり、蓄熱適応温度:T3以上の冷却水を蓄熱タンク13内に貯蔵することが可能となる。
【0119】
更に、電子制御式サーモスタットバルブ7の感温作動部75の作動温度が蓄熱適応温度:T3より高い温度に設定されているため、冷却水温度が蓄熱適応温度:T3未満であるときに不用意に冷却水がラジエター5を流通してしまうことがなく、蓄熱適応温度:T3以上の冷却水を確実に蓄熱タンク13に貯蔵することが可能である。
【0120】
また、蓄熱タンク13に対する蓄熱処理が完了した後は、直ちに冷却水がラジエター5を流通するようになるため、冷却水温度が速やかに機関運転適合水温:T2まで低下し、内燃機関1が高温の冷却水に長期間曝されることがない。特に、電子制御式サーモスタットバルブ7の感温作動部75の作動温度が冷却水温度の上限値に設定されている場合には、冷却水温度が過剰に上昇することが無く、内燃機関1の過熱を防止することも可能である。
【0121】
従って、本実施の形態に係る蓄熱装置を備えた内燃機関によれば、内燃機関の過熱を防止しつつ高温の冷却水を蓄熱タンク13に貯蔵することが可能となる。
【0122】
尚、本実施の形態では、本発明に係る通路開閉弁として電子制御式サーモスタットバルブ7を例に挙げたが、電磁式の三方切換弁であってもよい。
【0123】
【発明の効果】
本発明に係る蓄熱装置を備えた内燃機関によれば、蓄熱装置に熱媒体を貯蔵する必要がある場合にのみ熱媒体の冷却手段への流通が禁止されるため、内燃機関を長期にわたって高温の熱媒体に曝すことなく、高温の熱媒体を蓄熱装置に貯蔵することが可能となる。この結果、内燃機関の過熱を防止しつつ所望の熱量を蓄熱装置に蓄えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 車両用内燃機関の冷却水循環系の概略構成を示す図
【図2】 (a)三方切換弁(電子制御式サーモスタットバルブ)の構成を示す図
(b)三方切換弁(電子制御式サーモスタットバルブ)の動作を説明する図
【図3】 内燃機関を予熱する場合の冷却水の流れを示す図
【図4】 機関始動後における冷却水の流れを示す図
【図5】 機関暖機後における冷却水の流れを示す図
【図6】 ヒータスイッチがオンのときの冷却水の流れを示す図
【図7】 蓄熱タンクに冷却水を貯蔵する場合の冷却水の流れを示す図
【図8】 蓄熱制御ルーチンを示すフローチャート図
【符号の説明】
1・・・・内燃機関
1a・・・シリンダヘッド
1b・・・シリンダブロック
2a・・・ヘッド側冷却水路
2b・・・ブロック側冷却水路
5・・・・ラジエター
7・・・・電子制御式サーモスタットバルブ
10・・・機械式ウォーターポンプ
13・・・蓄熱タンク
14・・・電動ウォーターポンプ
17・・・第1の流路切換弁
18・・・第2の流路切換弁
19・・・水温センサ19(機関側水温センサ)
20・・・ECU20
25・・・タンク内水温センサ
75・・・感温作動部
76・・・加熱器

Claims (1)

  1. 内燃機関に形成され、熱媒体が循環する熱媒体循環経路と、
    前記熱媒体循環経路を流れる熱媒体の一部を保温貯蔵する蓄熱装置と、
    前記熱媒体を冷却する冷却手段と、
    前記熱媒体循環経路から前記冷却手段を経由して前記熱媒体循環経路へ熱媒体を還流させる冷却用熱媒体通路と、
    前記冷却用熱媒体通路を開閉する通路開閉弁と、
    前記蓄熱装置に貯蔵された熱媒体の温度が所定の蓄熱適応温度以上である時は該蓄熱装置に熱媒体を貯蔵する必要がないと判定し、前記蓄熱装置に貯蔵された熱媒体の温度が前記蓄熱適応温度未満である時は該蓄熱装置に熱媒体を貯蔵する必要があると判定する判定手段と、
    前記判定手段の判定結果に基づいて、前記通路開閉弁を制御する通路開閉制御手段と、を備え、
    前記通路開閉弁は、前記冷却用熱媒体通路を開閉する弁体と、前記蓄熱適応温度より高い作動温度以上となったときに体積変化して弁体を開弁させる感温作動部と、前記感温作動部を加熱する加熱部とを具備した電子制御式サーモスタットであり、
    前記通路開閉制御手段は、前記判定手段により前記蓄熱装置に熱媒体を貯蔵する必要がないと判定された時は、前記熱媒体の温度が前記蓄熱適応温度より低い機関運転適合温度以上となった時点で前記加熱部を作動させることにより前記感温作動部を前記作動温度以上まで昇温させ、前記判定手段により前記蓄熱装置に熱媒体を貯蔵する必要があると判定された時は、前記熱媒体の温度が前記蓄熱適応温度以上となるまで前記加熱部の作動を禁止することを特徴とする蓄熱装置を備えた内燃機関。
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