JPH06173679A - 潜熱蓄熱装置 - Google Patents

潜熱蓄熱装置

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JPH06173679A
JPH06173679A JP4325799A JP32579992A JPH06173679A JP H06173679 A JPH06173679 A JP H06173679A JP 4325799 A JP4325799 A JP 4325799A JP 32579992 A JP32579992 A JP 32579992A JP H06173679 A JPH06173679 A JP H06173679A
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Japan
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latent heat
internal combustion
combustion engine
cooling water
heat storage
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JP4325799A
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English (en)
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Koichi Nakada
浩一 中田
Kazuhisa Mogi
和久 茂木
Akihiro Maeda
明宏 前田
Hitoshi Okabe
均 岡部
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Nok Corp
Denso Corp
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Nok Corp
Toyota Motor Corp
NipponDenso Co Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は内燃機関の冷却水経路中に設けられ
昇温時に蓄えた潜熱を再始動時に放出して内燃機関の早
期暖機を図る潜熱蓄熱装置に関し、潜熱蓄熱材のバイパ
ス通路を設けて要求される循環水量を常に確保すること
を目的とする。 【構成】 内燃機関10の冷却水経路11中にポンプ1
2,ラジエタ13と直列に潜熱蓄熱材16を設ける。潜
熱蓄熱材16は冷却水が昇温している間に潜熱を蓄え、
内燃機関10の再始動時にその潜熱を放出する。潜熱蓄
熱材16をバイパスするバイパス通路17を設ける。バ
イパス制御バルブ18は要求循環流量検出回路19に基
づいてバイパス通路17の導通を制御する。要求循環流
量検出回路19は水温センサ20の検出値が所定の温度
を越えたらバイパス制御バルブ18を開弁させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は潜熱蓄熱装置に係り、特
に内燃機関の冷却水経路中に設けられ昇温時に蓄えた潜
熱を再始動時に放出して内燃機関の早期暖機を図る潜熱
蓄熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】水冷式内燃機関においては、内燃機関本
体に設けられたウォータジャケットに循環用ポンプから
供給された冷却水が内燃機関で発生した熱を奪うことで
オーバーヒートが防止される。この際、ウォータジャケ
ットに送り込まれることにより加熱された冷却水は、冷
却水経路中に設けられたラジエタで空冷された後、再び
循環用ポンプに循環される。
【0003】ところで、一般に内燃機関に供給される燃
料は、内燃機関が適温に暖機された状態で良好な気化性
を示し、内燃機関の温度が低い状態では燃料の十分な気
化性を確保する事が困難である。このため冷間時におい
ては内燃機関の始動性が著しく悪化し、また暖機過程に
おいては、燃料の不十分な気化性に起因して運転状態が
不安定になりがちである。
【0004】このため、内燃機関の冷間始動時には燃料
の気化性の悪化を補うために燃料の増量補正が広く行わ
れている。しかし、燃料の増量補正は、内燃機関の燃費
や排気エミッションの悪化を引き起こす場合があり最小
限に抑制することが好ましく、従来より内燃機関の暖機
に要する時間の短縮化が要求されている。
【0005】ところで、水冷式内燃機関においては上記
したように内燃機関で発生した熱は冷却水に奪われる。
従って、内燃機関の暖機時間を短縮するためには、内燃
機関の始動時において低温であった冷却水をできるだけ
早期に所定の温度に昇温する必要が生じる。
【0006】このような要求を満たすため、従来より冷
却水経路中に潜熱蓄熱材を配し、昇温時の冷却水から蓄
えた潜熱を内燃機関の再始動時に放出して冷却水の早期
昇温を図ろうとする潜熱蓄熱装置が考案されている(特
願平3−300052号)。
【0007】上記の潜熱蓄熱装置は、融点を越える温度
状態から融点以下の温度状態に冷却しても液相から固相
に相変化を起こさず、潜熱を蓄えたまま液相状態を保つ
特性、いわゆる過冷却性を有する素材を潜熱蓄熱材とし
て使用している。つまり、上記従来の装置における潜熱
蓄熱材は、内燃機関が定常運転している際に高温のため
液相状態とされ、その後運転が停止され冷却水が低温と
なると過冷却状態になる。
【0008】そして、内燃機関を再始動する際に過冷却
状態にある潜熱蓄熱材に何らかの衝撃、例えば電気的な
衝撃を与えると、潜熱蓄熱材の過冷却状態が解除され、
潜熱の放出を伴って液相から固相へと相変化を起こし、
冷却水経路内の冷却水が昇温される。
【0009】従って、上記装置を備える内燃機関では、
始動時において冷却水温が潜熱蓄熱材から放出される潜
熱の熱量に相当する温度だけ昇温し、上記装置を備えな
い内燃機関に比べて始動性が改善されると共に、内燃機
関の暖機に要する時間が短縮される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の装
置は冷却水の経路内に潜熱蓄熱材を配する構成である。
つまり、冷却水が流通する配管の内部に潜熱蓄熱材を配
設し、冷却水が潜熱蓄熱材の周囲を流れる際に熱交換を
行う構成である。このように冷却水通路としての配管内
部に潜熱蓄熱材を配設すれば、当然にこの潜熱蓄熱材は
冷却水が冷却水通路を流通する際の抵抗となり、大きな
圧力損失が生ずることになる。
【0011】このため、上記従来の潜熱蓄熱装置を備え
た内燃機関においては、循環用ポンプの能力が同一であ
れば、潜熱蓄熱装置を備えない内燃機関に比べて冷却水
経路中を循環させ得る流量が減少し、特に内燃機関が高
負荷状態で運転している際には循環水量不足によるオー
バヒートを引き起こす場合があるという問題を有してい
た。
【0012】本発明は上述の点に鑑みてなされたもので
あり、内燃機関を適温に保持するのに高い冷却能力が要
求される場合には、潜熱蓄熱材をバイパスして冷却水を
流通させることにより循環水量を確保し、要求される冷
却能力を常に確保し得る潜熱蓄熱装置を提供することを
目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】図1は、上記の課題を解
決する潜熱蓄熱装置の原理図を示す。
【0014】図1中、符号1は内燃機関を示す。また、
符号2は内燃機関1の冷却水経路を示す。冷却水経路2
中に、冷却水を流出するポンプ3及び冷却水を放熱させ
るラジエタ4と直列に潜熱蓄熱材5を設ける。潜熱蓄熱
材5は内燃機関1が定常運転中で冷却水が昇温している
間に冷却水の熱を潜熱として蓄え、内燃機関1の再始動
時において蓄えた潜熱を放出する。
【0015】冷却水経路2に、潜熱蓄熱材5をバイパス
するバイパス通路6を設ける。バイパス通路6には、バ
イパス通路6の導通を制御するバイパス制御バルブ7を
設ける。また、要求循環流量検出手段8は、内燃機関1
のオーバヒート防止に必要な冷却水の流量を検出し、要
求される流量が所定の流量以上となった場合にバイパス
制御バルブ7を開弁させる。
【0016】
【作用】本発明に係る潜熱蓄熱装置において、前記潜熱
蓄熱材5は前記内燃機関1が暖機された状態にあるとき
に冷却水から供給された熱を潜熱として蓄熱する。そし
て、前記内燃機関1が再始動する際にその熱を放出し、
前記内燃機関1の始動後、冷却水の昇温に伴って再び潜
熱を蓄え始める。
【0017】ここで、前記内燃機関1が暖機過程である
場合は前記冷却水経路2内を循環する冷却水が少量でも
前記内燃機関1がオーバーヒートすることはなく、前記
潜熱蓄熱材5による圧力損失は問題にはならない。ま
た、前記内燃機関1が十分暖機された状態では、前記潜
熱蓄熱材5はすでに潜熱を十分に蓄えた状態となる。
【0018】ところで、本発明に係る潜熱蓄熱装置にお
いては、前記内燃機関のオーバヒート防止に必要な冷却
水の流量が所定量以上となると前記バイパス制御バルブ
7が開弁し、その後冷却水は前記潜熱蓄熱材5をバイパ
スして流れる。このため、潜熱蓄熱材が抵抗となること
がなく十分な循環流量が確保される。従って、内燃機関
のオーバヒート防止に高い冷却能力が要求される際に
は、潜熱蓄熱材5に十分な潜熱を蓄熱させた状態で、十
分な循環流量が確保される。
【0019】
【実施例】図2は本発明に係る潜熱蓄熱装置の一実施例
の構成を表す全体図を示す。
【0020】同図において符号10は、本実施例の潜熱
蓄熱装置を備える内燃機関を示す。内燃機関10のシリ
ンダブロック(図示せず)には、冷却水を流通させるた
めのウォータジャケットが設けられている。ウォータジ
ャケットには冷却水通路11が連通され、これにより内
燃機関1の循環式冷却水経路が構成されている。
【0021】冷却水経路11中、内燃機関10の直上流
にはポンプ12が設けられている。冷却水はこのポンプ
12により水圧を与えられ、内燃機関10のウォータジ
ャケット内に導かれる。このようにしてウォータジャケ
ット内に導かれた冷却水はウォータジャケット内を流通
する際に内燃機関10が発生する熱を奪い昇温された状
態で再び冷却水経路11に戻り、次いでラジエタ13に
向けて進行する。
【0022】冷却水経路11のラジエタ13上流部には
ラジエタ13をバイパスし、ラジエタ13下流において
後述のサーモスタット15を介して冷却水経路11と連
通するラジエタバイパス通路14が設けられている。ま
た、サーモスタット15とポンプ12との間には本実施
例の潜熱蓄熱装置の構成要素である潜熱蓄熱材16、及
びこの潜熱蓄熱材16をバイパスするバイパス通路17
が設けられている。
【0023】このバイパス通路17は、外部からの信号
によりパイパス通路17の導通を制御し得るバイパス制
御バルブ18を備え、要求循環流量検出回路19から供
給される信号に従って導通または遮断状態となる。要求
循環流量検出回路19は、内燃機関のオーバヒートを防
止し得る冷却水の循環流量を検出して、その循環流量が
所定量を越えた場合にバイパス制御バルブ18を開弁さ
せる回路である。
【0024】尚、本実施例においては冷却水経路11内
を循環している水量が所定量に達しているか否かは後述
のように冷却水の温度に基づいて判定している。このた
め要求循環流量検出回路19には、ラジエタ13で冷却
される前段階における冷却水温度を検出する水温センサ
20の検出信号が供給されている。
【0025】また、本実施例においては潜熱蓄熱材16
を、酢酸ナトリウム・3水和物(CH3 COONa・3
(H2 O))で構成している。この酢酸ナトリウム・3
水和物は、融点(58℃)を越える温度状態から融点以
下の温度状態に冷却しても液相から固相に相変化を起こ
さず、潜熱を蓄えたまま液相状態を保つ特性、いわゆる
過冷却性を有する素材である。
【0026】従って、内燃機関10が十分暖機され潜熱
蓄熱材16の周囲を流れる冷却水の温度が酢酸ナトリウ
ム・3水和物の融点である58℃を越えると、潜熱蓄熱
材16はそれに伴って液相状態となり、その後内燃機関
10の運転が停止され冷却水が低温となっても固相状態
にはならない。
【0027】つまり、内燃機関10が停止している間、
潜熱蓄熱材16は融解熱に相当する潜熱を蓄えた過冷却
状態を維持することになる。尚、酢酸ナトリウム・3水
和物は、マイナス30℃程度まで過冷却状態を維持でき
る素材であり、車載用内燃機関の潜熱蓄熱材として十分
に使用することができる。
【0028】ところで、酢酸ナトリウム・3水和物にお
けるこのような過冷却状態を解除する方法としては、例
えば電気的な衝撃を与える方法、局部的に過冷却状態を
維持できない程度に冷却する方法、潜熱蓄熱材内部で何
らかの機械的衝撃を与える方法等が知られている。
【0029】本実施例においてはこれらの方法の中で最
も信頼性が高く、かつ簡易な構成で実現できることか
ら、電気的な衝撃を与える方法を採用し、潜熱蓄熱材1
6中に一対の電極21,22を設け、過冷却状態を解除
する際に電極21,22間に所定の電圧を印加する構成
とした。このため図2に示すように潜熱蓄熱材16中に
挿入された電極21,22には、スイッチ回路23を介
して直流電源24が接続されている。
【0030】尚、図2中、符号25は車内ヒータ用のヒ
ータコアを示す。このヒータコア25は循環水通路11
から分岐して設けられたヒータ通路26内を流れる冷却
水により加熱され、車内にその熱を放出することで車内
ヒータを実現する。
【0031】次に、本実施例の潜熱蓄熱装置の動作につ
いて、冷却水の昇温過程に沿って説明する。
【0032】上記図2に示す内燃機関10が十分長い時
間停止していたとすると、内燃機関10の温度及び冷却
水の温度は、内燃機関10が置かれている環境温度とほ
ぼ等温となっていると考えられる。ところで、内燃機関
に供給される燃料は、内燃機関が適温に暖機された状態
で良好な気化性を示し、内燃機関の温度が低い場合は十
分な気化性が得られないことが知られている。
【0033】このため何らの手立ても講じないとすれ
ば、冷間始動時においては内燃機関内部で燃料の十分な
気化が行われず始動性が悪化すると共に、始動後におい
ても内燃機関が十分に暖機されるまでの間は運転状態が
不安定になる。そこで、近年では電子制御式燃料噴射装
置の普及に伴って、内燃機関の暖機課程においては燃料
の気化性を補う意味で燃料の増量補正が広く行われてい
る。
【0034】しかし、このような燃料の増量補正は、燃
費や排気エミッションの悪化を引き起こすため最小限に
止める必要があり、内燃機関の暖機に要する時間をでき
るだけ短縮することが要求されている。
【0035】従って、内燃機関の冷却系の構成は、内燃
機関が十分暖機された状態ではオーバヒート防止のため
高い冷却能力を発揮し、内燃機関が暖機過程にある場合
は、発生した熱をなるべく外部に放出せず、自己の暖機
に用い得る構成であることが好ましい。
【0036】上記した本実施例における内燃機関10の
冷却系においては、サーモスタット15を用いることで
このような背反する特性を両立させている。以下、図3
を参照してサーモスタット15の構成について簡単に説
明する。
【0037】図3は、サーモスタット15に流通する冷
却水の温度変化に伴って、サーモスタット15が動作す
る様子を表す正面断面図を示す。図3(A)は、冷却水
温度83℃未満、即ち冷間時の様子を、図3(B)は冷
却水温度83℃〜96℃の暖機完了直前の様子を、また
図3(C)は冷却水温度96℃以上、即ち温間時の様子
を示している。
【0038】各図において符号30は、サーモスタット
15のアウタハウジングを示す。このアウタハウジング
30は3方向に開口部30a,30b,30cを有し、
それぞれの開口部30a,30b,30cは内燃機関1
0へ通じるラジエタバイパス通路14,ポンプ12又は
ラジエタ13へ通じる冷却水経路11に連通している。
【0039】アウタハウジング30の内部には、ガスケ
ット31を介してインナハウジング32が固定されてい
る。このインナハウジング32は、アウタハウジング3
0の開口部30a,30bと開口部30cとの間に設け
られている。また、インナハウジング32の開口部30
a,30b側には流通路32aが、また開口部30c側
には流通路32bが設けられている。
【0040】インナハウジング32内部には、端部がイ
ンナハウジング32に固定された固定軸33、固定軸3
3及びインナハウジング32の開口部32cに沿って軸
方向に変位可能に設けられたシリンダ34、シリンダ3
4に固定された弁体35、弁体35とインナハウジング
32との間に挟持され弁体35を流通路32b方向に押
圧するスプリング36が設けられている。
【0041】ここで、固定軸33の端部とシリンダ34
の内壁とで囲まれる空間(図3中斜線部分)には温度変
化に伴って熱膨張により体積を大きく変化させる液体が
封入されている。このため、インナハウジング32を取
り巻く環境温度が83℃未満の場合はスプリング36の
作用により弁体35はインナハウジング32の内壁に密
着した状態に保持されるが(図3(A))、環境温度が
83℃を越えるとシリンダ34内部の液体の膨張に伴っ
て弁体35がスプリング36の押圧力に抗って変位し、
弁体35とインナハウジング32の内壁との間に隙間が
生ずる(図3(B),(C))。
【0042】一方、シリンダ34の、インナハウジング
32から突出した部分にはもう一つの弁体37及びスプ
リング38が配設されている。この弁体37はシリンダ
32の外壁にそって摺動可能な状態で、スプリング38
の一端に固定されている。またスプリング38の他端は
弁体37をアウタハウジング30の開口部30a側に備
えた状態でシリンダ34に固定されている。
【0043】従って、インナハウジング32を取り巻く
環境温度が上昇して、シリンダ34内の液体の膨張に伴
ってシリンダ34が変位すると、開口部30aと弁体3
7との間隔は徐々に狭まり、環境温度が96℃に到達す
ると遂には両者が密着した状態となる(図3(C))。
【0044】つまり、図3(A)に示すようにサーモス
タット15内に流入してくる冷却水の温度が83℃未満
の場合(冷間時)は、弁体35がインナハウジング32
に密着して流通路32aと32bとの間が実質的に遮断
され、ラジエタ13に通じる開口部30cが閉弁状態と
なると共に、弁体37が開口部30aと離間した位置に
あるため内燃機関10へ通じる開口部30aは開弁状態
となる。従ってこの場合は、内燃機関10から図2にお
ける冷却水経路11に流出した全ての冷却水は、ラジエ
タバイパス通路14を経由して循環されることになる。
【0045】つまり、冷却水温が83℃未満の場合は、
冷却水がラジエタ13で空冷されることはなく、内燃機
関10で発生した熱が有効に内燃機関10自身の暖機に
用いられる。更に、サーモスタット15の作用によりラ
ジエタ13内に存在する冷却水は循環水経路11中を循
環しないことから、内燃機関10と共に昇温すべき冷却
水量が少量となり、内燃機関10の昇温速度は画期的に
早められる。
【0046】次に、サーモスタット15に流れる冷却水
の温度が83℃に達すると、上記したように図3(B)
に示す弁体35はインナハウジング32の内壁と離間
し、流通路32aと32bとの間は導通状態となる。従
って、ラジエタ13へ通じる開口部30cが開弁状態と
なり、サーモスタット15に設けられた全ての開口部3
2a,32b,32cが互いに導通した状態となる。
【0047】このため、循環系を循環する冷却水はラジ
エタ13にもラジエタバイパス通路14にも流通し、内
燃機関10で発生した熱の1部はラジエタ13から大気
中に放出されることになる。尚、この場合において、冷
間時には循環されていなかった冷却水がラジエタ13か
ら流出すると冷却水温は急変するが、これにより冷却水
温度が再び83℃未満となると開口部30cが閉弁する
ため冷却水全体の温度が急変することはない。
【0048】そして、冷却水温度が96℃に達したら
(温間時)、オーバヒート防止のため最大限の冷却能力
を発揮する必要が生じ、図3(C)に示すようにラジエ
タバイパス通路14に通じる開口部30aが遮断され、
全冷却水がラジエタ13を経由するようになる。
【0049】このように、本実施例のサーモスタット1
5は、内燃機関10の冷却水の循環経路を適切に切り換
えて、内燃機関10の早期暖機と高い冷却能力の確保と
を両立させている。
【0050】ところで、本実施例においては上記図2に
示すように冷却水経路11中に酢酸ナトリウム・3水和
物からなる潜熱蓄熱材16を備えている。この潜熱蓄熱
材16は、上記したように内燃機関が定常運転している
間に潜熱を蓄え、運転が停止された際には再始動される
までの間過冷却状態を保っている。
【0051】従って、内燃機関10の停止時において潜
熱蓄熱材16中に挿入されている電極21,22と電源
24との導通を制御するスイッチ回路23をオンとして
電気的な衝撃を加えると、酢酸ナトリウム・3水和物の
過冷却状態が解除され、液相から固相への相変化に伴う
潜熱が冷却水中に放出される。
【0052】そこで、本実施例においては、例えばスイ
ッチ回路23を内燃機関のイグニッションスイッチと連
動させ、内燃機関の冷間始動時に潜熱蓄熱材16の過冷
却状態を解除する構成としている。これにより、内燃機
関の冷間始動時における冷却水温度は、潜熱蓄熱材16
の蓄熱能力に応じて昇温され、始動性が改善されると共
に一層暖機に要する時間が短縮される。
【0053】ところが、潜熱蓄熱材16は効率確保のた
め冷却水と直接熱交換を行う構成とせざるを得ず、上記
したように冷却水経路11中に配設される。このため冷
却水経路11内における潜熱蓄熱材16の格納スペース
の突出や、配管径の不均一等に起因して、冷却水が潜熱
蓄熱材16の周囲を流通する際に大きな圧力損失が生ず
る。
【0054】上記したように内燃機関10がまだ十分に
暖機されていない間はラジエタ13に供給される冷却水
量が少ない方が好ましいため、このような圧力損失が問
題となることはない。しかし、内燃機関10が十分に暖
機された後においては、オーバヒート防止のため、内燃
機関10で発生する全ての熱量を大気中に放出し得る冷
却能力が要求される。従って、暖機完了後においては冷
却水流通の際の圧力損失はできるだけ小さい方が好まし
く、潜熱蓄熱材16による圧力損失は大きな問題とな
る。
【0055】一方、潜熱蓄熱材16と冷却水との間で熱
交換が行われるのは、潜熱の放出が行われる内燃機関1
0の始動時と、潜熱の蓄熱が行われる期間、即ち融点5
8℃の潜熱蓄熱材16が完全に溶融して液相になるまで
の期間である。従って、内燃機関10が十分に暖機さ
れ、冷却系に高い冷却能力が要求される時点においては
必ずしも潜熱蓄熱材16周辺を冷却水が流通している必
要は認められない。
【0056】そこで、本実施例においては、外部から遠
隔操作で開閉を制御し得るバイパス制御バルブ18を備
えたバイパス通路を設け、所定の状況下では冷却水が潜
熱蓄熱材16をバイパスして流れる構成としている。
【0057】ここで、冷却水が潜熱蓄熱材16をバイパ
スする必要がある状況とは、上記したように循環水量が
多量に要求される場合、即ち冷却水温が十分に高温とな
った場合である。このため、本実施例においては冷却水
経路11中に設けられた水温センサ20で検出された冷
却水温が、潜熱蓄熱材16の融点より高い所定の温度に
達した場合には要求循環流量検出回路19から、パイパ
ス制御バルブ18に対して開弁信号が供給される構成と
している。
【0058】つまり、本実施例によれば、内燃機関10
が暖機過程であって、少量の循環流量で足りる間に潜熱
蓄熱材16の蓄熱が完了し、暖機終了後高い冷却能力が
要求される際には、冷却水が潜熱蓄熱材16をバイパス
して流れ、十分な循環流量を確保することが可能とな
る。
【0059】また、このようなパイパス通路を具備しな
い従来の潜熱蓄熱装置においては、内燃機関の高負荷状
態が継続して、冷却水温度が長い期間にわたって、例え
ば100℃程度の高温に維持されると、過冷却状態を解
除するために必要であるとされる潜熱蓄熱材中のクラス
タと呼ばれる核までもが溶融してしまう場合があった。
このため、従来の潜熱蓄熱装置では、潜熱蓄熱材の過冷
却状態の解除が意思通りに行えなくなるという不具合が
生じることがあった。
【0060】これに対して、本実施例の潜熱蓄熱装置で
は、クラスタが溶融するほど高い温度の冷却水中に潜熱
蓄熱装置16がさらされることがなく、常に安定して潜
熱蓄熱材16の過冷却性を解除することができる。
【0061】尚、上記実施例においては、水温センサ2
0の検出値に基づいて、冷却系を循環させるべき冷却水
量が所定の流量を越えたか否かを検出する構成としてい
るがこれに限るものではない。例えば図3(C)に示す
ように、サーモスタット15の開口部30aに流量計を
設け、開口部30aを流れる冷却水が所定量より少なく
なったら、すなわちラジエタ13を流れる流量が所定量
以上になったらバイパス制御バルブ18を開弁する構成
としてもよい。
【0062】また、上記実施例においては潜熱蓄熱材1
6として過冷却性を備える素材に限定しているが、これ
に限るものではなく、保温式の蓄熱材を使用する潜熱蓄
熱装置においても、上記実施例の場合と同様に潜熱蓄熱
材による圧力損失を回避することにより内燃機関の高負
荷時における高い冷却能力の確保が可能となる。
【0063】
【発明の効果】上述の如く本発明によれば、内燃機関の
オーバヒート防止のために多量の冷却水を循環させる必
要がある場合には、冷却水が潜熱蓄熱材をバイパスして
流れる。このため、実質的に潜熱蓄熱材による圧力損失
が、内燃機関の冷却能力を低下させることがない。
【0064】従って、本発明によれば、従来の潜熱蓄熱
装置と同様に内燃機関の冷間始動性を向上させ、かつ暖
機に要する時間を短縮させることができると共に、内燃
機関の定常運転時において従来の装置と比べて高い冷却
能力を維持し得るという特長を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る潜熱蓄熱装置の原理図である。
【図2】本発明に係る僣越蓄熱装置の一実施例の構成を
表す全体図である。
【図3】本実施例に使用するサーモスタットの構成及び
動作を説明するための図である。
【符号の説明】
1,10 内燃機関 2,11 冷却水経路 3,12 ポンプ 4,13 ラジエタ 5,16 潜熱蓄熱材 6,17 バイパス通路 7,18 バイパス制御バルブ 8 要求循環流量検出手段 15 サーモスタット 19 要求循環流量検出回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 茂木 和久 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 前田 明宏 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内 (72)発明者 岡部 均 神奈川県藤沢市辻堂新町4丁目3番1号 エヌオーケー株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の冷却水の経路中に、冷却水を
    流出するポンプ及び冷却水を放熱させるラジエタと直列
    に潜熱蓄熱材を配設し、前記内燃機関が昇温している間
    に冷却水の熱を前記潜熱蓄熱材の潜熱として蓄え、前記
    内燃機関の再始動時に蓄えた潜熱を放出して前記内燃機
    関の早期暖機を図る潜熱蓄熱装置において、 前記潜熱蓄熱材をバイパスするバイパス通路と、 該バイパス通路の導通を制御するバイパス制御バルブ
    と、 前記内燃機関のオーバヒート防止に必要な冷却水の循環
    流量を検出し、要求される流量が所定の流量以上となっ
    た場合に前記バイパス制御バルブを開弁させる要求循環
    流量検出手段とを備えることを特徴とする潜熱蓄熱装
    置。
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