JP4300448B2 - 自動車用ディスプレイ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車用ディスプレイ装置、より詳しくはナビゲーションシステムなどの機器の表示や操作などに用いられる自動車用ディスプレイ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車には、ナビゲーションシステム、エアコンディショナーなどの機器の操作のためにディスプレイ装置が設置される場合がある。ディスプレイ装置を用いると単一の表示面により複数の機器を切り換えて表示、操作することができるため便利である。
【0003】
しかし、ディスプレイ装置の表示面は発光しているため、光が運転中の運転者の視界に入り、眩しく煩わしい。また、表示または操作する機器の種類によっては表示面全面を表出させておく必要がない場合もある。
【0004】
そこで、機器に応じて表示面の開度が変わる可動フードを備えるディスプレイ装置が開発されている。このディスプレイ装置は可動フードとこれを収納する収納部とを備える。表示面の全面を表出させない場合や表示面の一部のみを表出させる場合、可動フードは収納部から引き出され表示面の全面または一部を覆う位置、すなわち閉位置に配置される。一方、表示面全面を表出させる場合、可動フードは収納部に収納され開位置に配置される。このディスプレイ装置によると、運転者の眩しさや煩わしさを軽減することができる。
【0005】
しかしながら、このディスプレイ装置によると可動フードが閉位置の場合、可動フードと収納部との間に段差が生じるため見栄えが悪い。
【0006】
そこで、閉位置において可動フードの表面が収納部の表面方向に上昇し、ほぼ面一となる構造のディスプレイ装置が開発された。このディスプレイ装置の可動フード閉位置の断面図を図6に示す。ディスプレイ装置100は、自動車のセンタークラスタ103に設置されており、ディスプレイ装置本体101と可動フード102とを備える。なお、センタークラスタ103の一部が、可動フード102を収納する収納部105となっている。可動フード102を閉位置から開位置に切り換える場合は、図7に示すように、まず可動フード102が軸Zを中心に揺動し、可動フード102の奥端106が収納部105の裏面107よりも低い位置まで下降する。次に軸Yを中心に揺動し収納部105内に収納されて、図8に示すように、可動フード102が開位置に配置される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記ディスプレイ装置は以下の問題点を有する。すなわち、可動フード102を収納部105に収納するためには、まず図7に示すように可動フード102の奥端106を収納部105の裏面107よりも低い位置まで下降させる必要がある。このとき収納部105の裏面107と可動フード102の奥端106表面との間に大きな隙間109が発生する。
【0008】
そして可動フード102の表面にコインや通行券などの物を乗せておくと、可動フード102の揺動時に、可動フード102と一緒に物が隙間109に引き込まれるおそれがある。
【0009】
本発明の自動車用ディスプレイ装置は、この収納部と可動フードとの間の隙間に物が脱落するのを抑制することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の自動車用ディスプレイ装置は、ディスプレイ本体と、該ディスプレイ本体が配置された収納部と、前記ディスプレイ本体に一端が枢設された揺動アームと、該揺動アームの他端に枢設された可動フードとを備え、該可動フードが、前記ディスプレイ本体における前記揺動アームの一端が枢設された部分を中心に、該ディスプレイ本体の表示面を覆う閉位置および該表示面を表出させる開位置の間で該収納部の上部裏面に沿って揺動することで前記表示面の開度が変わるように構成された自動車用ディスプレイ装置であって、該収納部に設けられ、該可動フードが該閉位置から該開位置へ揺動する際に該可動フードの奥端の表面を該収納部の上部裏面より低い位置まで下降させる変位手段と、前記揺動アーム上に該可動フードの奥端に近接して設けられ該可動フードの揺動とともに揺動する堰部と、を備え、該変位手段によって該可動フードの奥端の表面が該収納部の上部裏面より低い位置まで下降した際に該収納部と該可動フードとの間に生じた隙間に該堰部が表出するように構成されたことを特徴とする。
【0011】
つまり、本発明の自動車用ディスプレイ装置(以下、「ディスプレイ装置」という。)は、可動フードの奥端に近接した堰部を別途設けるものである。可動フードを閉位置から開位置に切り換える際、可動フードの奥端が下降しても、堰部は変位手段と無関係であるため下降しない。このため堰部は、収納部裏面と可動部表面との間に生じた隙間から、この隙間を塞ぐように表出することになる。
【0012】
これにより本発明のディスプレイ装置によると、可動フードを閉位置から開位置に切り換える際の隙間への物の脱落を抑制することができる。
【0013】
なお、本明細書において、「手前」とはディスプレイ装置の表示面がある方向、つまり車室内方向をいう。また「奥」とはその反対方向をいう。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のディスプレイ装置は好ましくは、可動フードが閉位置から開位置へ揺動する際に可動フードの奥端の表面を収納部の上部表面より低い位置まで下降させる第一軸と、可動フードおよび堰部を揺動させる第二軸と、第一軸と第二軸とを連結するリンク機構と、をもつ構成とすることができる。
【0015】
この構成では、可動フードに第一軸と第二軸が設置されており、この二つの軸をリンク機構が連結している。
【0016】
可動フードの奥端を下降させる場合は、第一軸に力を加えることにより、第二軸を中心に可動フードを揺動させる。言い換えると、第二軸を中心として可動フードを自転させることにより、可動フードの手前端を上昇させ、反対側の奥端を下降させる。
【0017】
また可動フードおよび堰部を揺動させる場合は、第一軸または第二軸に力を加える。そしてディスプレイ本体の側面の一点を中心に、可動フードを公転させるように揺動させる。
【0018】
可動フードの変位、揺動を規制する手段としては、例えばガイドレールを用いることができる。具体的には、第一軸に可動フード側方に突出する突起を設け、この突起が挿入されるガイドレールをセンタークラスタ内壁側面に設置する。そしてこのガイドレールの経路を、突起が上下方向に変位し、また揺動するような経路とすることで、第一軸の動き、すなわち可動フードの動きを規制する。つまり本構成ではガイドレールが変位手段である。
【0019】
本構成によると、比較的単純な構造で可動フードの変位、可動フードおよび堰部の揺動を行うことができる。
【0020】
可動フードの変位手段は、上述したガイドレールの他、溝やフィンなどとすることができる。また設置場所は上述したセンタークラスタの内壁の他、ディスプレイ本体の側面などとすることができる。
【0021】
可動フードは、例えば上記第一軸または第二軸に駆動力を伝達することにより駆動してもよい。また可動フードの奥端にラックを設け、ピニオンを介して駆動力を伝達することにより駆動してもよい。
【0022】
また本構成における第一軸、第二軸は、各々の軸の機能を発揮できるものであれば可動フードの両側面を貫通しなくてもよい。例えば上記第一軸として、可動フードの両側面にディスプレイ本体方向に延出する凸部を設ける構成としてもよい。この凸部は、ちょうどディスプレイ本体を挟むように設置されている。一方ディスプレイ本体の両側面には、この凸部が係合する変位手段としてのガイドレールが設置されている。そして凸部がガイドレールに沿って動くことにより可動フードの動きを規制する。
【0023】
本発明のディスプレイ装置における収納部の場所は、可動フードを収納することができれば特に限定するものではない。例えば、センターコンソール、センタークラスタなどの一部を収納部としてもよい。
【0024】
また、本発明のディスプレイ装置は、好ましくは収納部の上部裏面には可動フードの揺動方向に延びる櫛歯をもち、堰部の表面には櫛歯と噛み合う補助櫛歯をもつ構成としてもよい。
【0025】
つまり、この構成は収納部の上部裏面と堰部表面との隙間を櫛歯と補助櫛歯により塞ぐものである。櫛歯と補助櫛歯との噛み合い部により隙間をジグザグ状に区画することで、隙間への物の脱落を抑制することができる。
【0026】
堰部自体も、収納部の上部裏面と可動フード表面との隙間を塞ぐために設けられたものであるが、この構成によると堰部と収納部との隙間さえも櫛歯および補助櫛歯で塞ぐことになるため、さらに物が脱落しにくくなる。
【0027】
櫛歯の形状、本数、高さ、幅などは特に限定しない。また櫛歯は収納部の上部裏面全面に立設しても、一部のみ立設してもよい。
【0028】
また補助櫛歯の形状、本数、高さ、幅なども特に限定しない。また櫛歯は堰部の表面の全面に立設しても、一部のみ立設してもよい。ただし可動フードが収納部に引き込まれた後は、櫛歯と補助櫛歯の噛み合い部も収納部の奥に移動するため、櫛歯先端と可動フード表面との隙間から物が脱落するおそれがある。しかし、脱落した物は噛み合い部に引っかかるため、可動フードを収納部から引き出すだけで容易に取り出すことができる。また補助櫛歯は外部に表出しない堰部に設けられるため意匠性が高い。
【0029】
さらにまた、補助櫛歯を可動フードの表面に立設してもよい。可動フードが引き込まれる際、櫛歯と補助櫛歯の噛み合い部が隙間入り口に常に配置されていれば、物の脱落を確実に抑制することができる。そこで、補助櫛歯を可動フード表面にまで立設すると、可動フードが収納部に引き込まれた後も噛み合い部が隙間を塞ぐことになり好ましい。
【0030】
以上、本発明のディスプレイ装置の実施の形態について説明したが、上記形態に特に限定されるものではなく、当業者が通常行いうる種々の変形的、改良的形態で実施することもできる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例により本発明のディスプレイ装置を具体的に説明する。
【0032】
図1に本発明の一実施例のディスプレイ装置の外観図を、図2に可動フード閉位置における断面図を、それぞれ示す。このディスプレイ装置1は、ディスプレイ本体2と可動フード3と収納部4とからなる。
【0033】
ディスプレイ本体2はセンタークラスタ5に設けられている。ディスプレイ本体2の手前側の面(以下「正面」と称す。)には表示面20が設けられている。
【0034】
可動フード3は駆動アーム6と揺動アーム7とを介してディスプレイ本体2の両側面に設置された金具(図略、以下単に「金具」と称す。)に揺動自在に設置されている。なお、説明上の便宜より可動フード3の側面は図示しない。
【0035】
駆動アーム6は上腕部60と前腕部61とからなる。上腕部60の一端は軸Aで前記金具に枢設されている。また、この軸Aによりモータ(図略)からの駆動力が駆動アーム6に伝達される。前腕部61の一端は、関節点Bで上腕部60の他端と連結されている。また前腕部61の他端は、軸Cで可動フード3の側面に枢設されている。この軸Cは可動フード3の側面から突出している。そして突出した部分が、前記金具に設けられた円弧状のガイドレール50(図中一点鎖線で示す。)に挿入されている。
【0036】
揺動アーム7は、レ字状であって、一端が軸Dにより前記金具に枢設されている。また、他端が軸Eにより可動フード3の側面に枢設されている。言い換えると可動フード3は軸Eを中心に揺動自在に設置されている。さらにまた、屈折部70上には堰部8が設けられている。
【0037】
堰部8は、二段の階段状であり上段の表面には補助櫛歯80が立設されている。この補助櫛歯80は可動フード3の開閉方向に沿って延び、また開閉方向に対して垂直方向に、一定間隔毎に多数連設されている。
【0038】
可動フード3を収納する収納部4は、センタークラスタ5の上部に形成されている。また収納部4の裏面40全体には、可動フード3の開閉時において上記補助櫛歯80と噛み合う櫛歯41が立設されている。
【0039】
なお本実施例では、軸Cが本発明の第一軸に、軸Eが本発明の第二軸に、可動フード3が本発明のリンク機構に、それぞれ該当する。
【0040】
図2に示す閉位置においては、可動フード3の奥端33がせり上がっており、収納部4とほぼ面一になっている。可動フード3が閉位置から開位置に変化する途中の断面図を図3に示す。モータからの駆動力は上腕部60と前腕部61とを介して軸Cに伝達される。上述したように軸Cはガイドレール50に挿入されている。ガイドレール50はほぼ円弧状であるが、閉位置に対応する部分のみ上方に突出している。このためモータが駆動され上腕部60が図3中白抜き矢印方向に揺動すると軸Cは、まずこの突出した部分に沿って下降する。
【0041】
一方、軸Cは可動フード3とも連結されている。また可動フード3は軸Eを中心に揺動可能である。このため、軸Cの動きに連動して可動フード3の奥端33は、図中白抜き矢印で示すように沈み込む。このとき、可動フード3の表面と収納部4の裏面40との間に隙間が発生する。
【0042】
図4に、この隙間をf方向から見た図を示す。図に示すように隙間内には、堰部8が設置されている。また収納部4の裏面40と堰部8表面との隙間内には、両方向から櫛歯41と補助櫛歯80が交互に立設されている。これらの部材により隙間は塞がれているため物が落ち込むおそれがない。
【0043】
軸Cは、ガイドレール50の突出した部分に沿って下降した後、円弧状に奥方向に移動する。このため可動フード3および堰部8も軸Cに牽引されて軸Dを中心に揺動する。収納部4の裏面40に立設された櫛歯41の先端は、軸Dを中心とした円周上に配置されている。このため、可動フード3および堰部8が揺動中、櫛歯41と補助櫛歯80との噛み合い量は一定に保たれる。
【0044】
可動フード3が開位置になった場合の概要図を図5に示す。開位置では、軸Cがガイドレール50の奥端に到達している。また可動フード3および堰部8も上述したように軸Dを中心に揺動し収納部4内に引き込まれている。
【0045】
本実施例のディスプレイ装置によると、可動フード3を閉位置から開位置に切り換えた後であっても収納部4の裏面40に立設された櫛歯41により物の脱落を抑制できる。また、櫛歯41の先端と可動フード3の表面との隙間から物が落ち込んでも、補助櫛歯80と櫛歯41との噛み合い部の手前端81に脱落物が引っかかる。噛み合い部は可動フード3を引き出すと手前方向に移動するため、可動フード3を開位置から閉位置に切り換えるだけで、落下物を簡単に取り出すことができる。
【0046】
なお、図5に示すように、可動フード3の全体が収納部4内に収納されていなくても、ディスプレイ本体2の表示面20の全面が表出していれば、可動フード3は本発明にいう開位置にあるものとする。
【0047】
【発明の効果】
本発明のディスプレイ装置によると、可動フードを閉位置から開位置に切り換える際の隙間への物の脱落を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のディスプレイ装置の可動フード閉位置の外観図である。
【図2】 本発明のディスプレイ装置の可動フード閉位置の断面図である。
【図3】 本発明のディスプレイ装置の可動フード揺動中の断面図である。
【図4】 図3における収納部と可動フードとの隙間をf方向から見た図である。
【図5】 本発明のディスプレイ装置の可動フード開位置の断面図である。
【図6】 従来のディスプレイ装置の可動フード閉位置の断面図である。
【図7】 従来のディスプレイ装置の可動フード揺動中の断面図である。
【図8】 従来のディスプレイ装置の可動フード開位置の断面図である。
【符号の説明】
1:ディスプレイ装置 2:ディスプレイ本体 3:可動フード 4:収納部
5:センタークラスタ 6:駆動アーム 7:揺動アーム 8:堰部
20:表示面 33:奥端 40:裏面 41:櫛歯 50:ガイドレール
60:上腕部 61:前腕部 70:屈折部 80:補助櫛歯 81:手前端
A:軸 B:関節点 C:軸 D:軸 E:軸
Claims (3)
- ディスプレイ本体と、該ディスプレイ本体が配置された収納部と、前記ディスプレイ本体に一端が枢設された揺動アームと、該揺動アームの他端に枢設された可動フードとを備え、該可動フードが、前記ディスプレイ本体における前記揺動アームの一端が枢設された部分を中心に、該ディスプレイ本体の表示面を覆う閉位置および該表示面を表出させる開位置の間で該収納部の上部裏面に沿って揺動することで前記表示面の開度が変わるように構成された自動車用ディスプレイ装置であって、
該収納部に設けられ、該可動フードが該閉位置から該開位置へ揺動する際に該可動フードの奥端の表面を該収納部の上部裏面より低い位置まで下降させる変位手段と、前記揺動アーム上に該可動フードの奥端に近接して設けられ該可動フードの揺動とともに揺動する堰部と、を備え、
該変位手段によって該可動フードの奥端の表面が該収納部の上部裏面より低い位置まで下降した際に該収納部と該可動フードとの間に生じた隙間に該堰部が表出するように構成されたことを特徴とする自動車用ディスプレイ装置。 - 前記収納部の上部裏面には前記可動フードの揺動方向に延びる櫛歯をもち、前記堰部の表面には該櫛歯と噛み合う補助櫛歯をもつことを特徴とする請求項1に記載の自動車用ディスプレイ装置。
- 前記可動フードが前記閉位置から前記開位置へ揺動する際に前記可動フードの奥端の表面を前記収納部の上部表面より低い位置まで下降させる第一軸と、前記可動フードおよび前記堰部を揺動させる第二軸と、該第一軸と該第二軸とを連結するリンク機構と、をもつことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動車用ディスプレイ装置。
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