JP4298988B2 - 炭素材料の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素材料、その製造方法及び用途に関する。さらに詳しく言えば、放電容量が大きく、サイクル特性、大電流負荷特性に優れた非水電解質二次電池の電極材料用に適した炭素材料、その製造方法、及びその炭素材料を用いた電極並びに非水電解質二次電池に関し、特にリチウム二次電池の負極材、それを用いた負極、リチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯機器の小型軽量化及び高性能化に伴い、リチウム二次電池の高容量化が求められている。そのため、これまでリチウム二次電池の負極材に使用されてきた黒鉛の理論容量である372mAh/gを超える材料が検討されている。黒鉛に代わる材料としては、珪素やその化合物が検討されている。近年では、黒鉛粉末に炭素皮膜で珪素微粒子を付着したもの(特許文献1参照)、黒鉛粒子の周りにケイ素及び導電性炭素材からなる複合粒子を配置し、非晶質炭素によって被覆されたもの(特許文献2参照)、ケイ素相粒子をケイ素を含む固溶体または金属間化合物の相によって被覆され、その一部、若しくは全面が繊維状炭素を含む炭素質で固定されたもの(特許文献3参照)が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−8652号公報
【特許文献2】
特開2002−255529号公報
【特許文献3】
特開2000−173612号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1では、黒鉛粉末に炭素皮膜で珪素微粒子を付着したものは、充放電サイクルの進行により、珪素粉末が膨張・収縮を起こし、黒鉛粉末との接触が保たれず、導電性が低下するため、サイクル特性が低下するという課題があった。
【0005】
特許文献2では、珪素及び導電性炭素材(カーボンブラック等)を非晶質炭素で完全に覆ってしまうことで粒子同士が点接触しているため、(1)電気伝導性が悪く、大電流特性が劣る。(2)充電・放電時の粒子の膨張・収縮により、粒子同士の接触が維持できず、サイクル特性に問題がある。
【0006】
特許文献3では、核が珪素粒子であるため、充放電サイクルによって微粒子化が起こり、形状が維持できず、粒子同士の接点が維持できず、サイクル特性に問題がある。
【0007】
従って、本発明の課題は、充放電容量が大きく、充放電サイクル特性、大電流負荷特性に優れたリチウムイオン二次電池を作成することができる、リチウムイオン二次電池の負極材料に適した炭素材料、及びその炭素材料を製造する方法を提供をすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み鋭意検討した結果、本発明者らは、負極活物質となる炭素粒子表面に導電性に優れた炭素繊維とケイ素及び/または珪素化合物(以下、「Si/Si化合物」という)を具備させることにより上記課題が解決できることを見出した。
前記炭素繊維を粒子表面に具備した炭素材料は、例えばSi/Si化合物が付着されると共に炭素粒子に接着性を有する重合体を炭素粒子の少なくとも一部の表面に付着させ、その後に繊維状炭素、例えば気相法炭素繊維を添加、混合して、次いで加熱処理を行うことにより製造できる。
【0009】
また、核となる炭素粒子(以下「母材」ともいう)において、例えば重合体として皮膜用炭素材料原料である桐油、アマニ油等の乾性油またはその脂肪酸を含むフェノール樹脂を、黒鉛化前あるいは黒鉛化後の炭素粒子の表面に付着し、Si/Si化合物、繊維状炭素を混合させた後、熱処理(加熱硬化、焼成、黒鉛化など)することにより製造できる。
【0010】
本発明で使用できる重合体の中で、フェノール樹脂やフルフリルアルコール樹脂等の熱硬化性樹脂を炭化したガラス状炭素は、不透過性に優れていることが知られている。従って、電解液との反応性が高い表面部分を被覆するには適した材料であると言える。また、ピッチなどに比べて取り扱いも容易である。さらに、リチウム二次電池では、リチウムイオンが炭素粒子、珪素、珪素化合物に吸蔵・放出される反応が繰り返されるため、リチウムイオンの吸蔵・放出に伴う炭素粒子、珪素、珪素化合物の体積膨張・収縮が起こり、珪素、珪素化合物の脱落、崩壊等や繊維状炭素の脱落、剥離等が起こる。本発明で使用する重合体はこれを抑制するのに適した材料である。
【0011】
すなわち、本発明は以下の構成からなる。
1. 黒鉛構造を有する炭素粒子の表面の少なくとも一部にSi及び/またはSi化合物を含む炭素質材料が付着した炭素粒子及び繊維状炭素を含み、前記炭素質材料が重合体を含む組成物を熱処理して得られるものであることを特徴する炭素材料。
2. 黒鉛構造を有する炭素粒子の表面の少なくとも一部にSi及び/またはSi化合物と繊維状炭素とを含む炭素質材料が付着した炭素粒子を含み、前記炭素質材料が重合体を含む組成物を熱処理して得られるものであることを特徴する炭素材料。
3. Si及び/またはSi化合物が微粒子で、黒鉛構造を有する炭素粒子の表面に少なくとも一部が付着している前項1または2記載の炭素材料。
4. 繊維状炭素が、重合体を含む組成物を熱処理して得られる炭素質材料を介して炭素粒子に付着している前項1乃至3のいずれかにに記載の炭素材料。
5. 黒鉛構造を有する炭素粒子の表面に、少なくとも1つ以上のSi及び/またはSi化合物の微粒子と少なくとも1つ以上の繊維状炭素とが重合体を含む組成物を熱処理したものを介して付着されている炭素材料。
6. Si及び/またはSi化合物が、1〜20質量%の範囲で炭素材料に含有されている前項1乃至5のいずれかに記載の炭素材料。
7. 重合体が、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フラン樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂及びエポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む重合体である前項1乃至6のいずれかに記載の炭素材料。
8. 重合体を含む組成物が、乾性油またはその脂肪酸及びフェノール樹脂を含む組成物である前項1、2、4または5のいずれかに記載の炭素材料。
9. 黒鉛構造を有する炭素粒子および/または炭素質材料がホウ素を含んでいる前項1、2、3または5のいずれかに記載の炭素材料。
10. 繊維状炭素が、X線回折法による(002)面の平均面間隔d002が0.344nm以下の炭素からなる前項1、2、4または5のいずれかに記載の炭素材料。
11. 繊維状炭素が、内部に中空構造を有し、外径2〜1000nm、アスペクト比10〜15000の気相成長炭素繊維である前項1、2、4、5または10いずれかに記載の炭素材料。
12. 気相成長炭素繊維が、分岐状繊維である前項11に記載の炭素材料。
13. 黒鉛構造を有する炭素粒子に対して、気相成長炭素繊維を0.1〜20質量%含有する前項11または12に記載の炭素材料。
14. 黒鉛構造を有する炭素粒子の平均粒径が、5μm〜70μmである前項1、2、3、5または9のいずれかに記載の炭素材料。
15. 黒鉛構造を有する炭素粒子中の、平均粒径3μm以下及び/または平均粒径85μm以上の粒子の含有量が5質量%以下である前項14に記載の炭素材料。
16. 黒鉛構造を有する炭素粒子が、炭素質材料により被覆してなる炭素粒子であり、前記炭素質材料による被覆厚さが1〜30000nmである前項1、2、3、5、9または15のいずれかに記載の炭素材料。
17. Si化合物が、炭化珪素、二酸化珪素及び窒化珪素から選ばれる少なくとも1種である前項1、2、3または6のいずれかに記載の炭素材料。
18. 重合体を含む組成物を炭素質粒子の少なくとも一部の表面に付着させる工程、前記炭素質粒子に繊維状炭素とSiまたは/及びSi化合物を混合し重合体を含む組成物を介して炭素質粒子に繊維状炭素とSiまたは/Si化合物を付着させる工程、及び前記工程に続いて炭素質粒子を熱処理する工程を含むことを特徴とする炭素材料の製造方法。
19. 重合体を含む組成物、繊維状炭素とSiまたは/及びSi化合物とを混合し、前記重合体を含む組成物を介して炭素質粒子に繊維状炭素とSiまたは/Si化合物を付着させる工程、及び前記工程に続いて炭素質粒子を熱処理する工程を含むことを特徴とする炭素材料の製造方法。
20. 重合体が、炭素に接着性を有する重合体を含む前項18または19に記載の炭素材料の製造方法。
21. 重合体が、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フラン樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂及びエポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む重合体である前項18または19に記載の炭素材料の製造方法。
22. 重合体が、乾性油またはその脂肪酸及びフェノール樹脂を含む重合体である前項18または19に記載の炭素材料の製造方法。
23. 乾性油またはその脂肪酸及びフェノール樹脂を含む重合体、繊維状炭素とSi及び/またはSi化合物とを含む組成物を炭素質粒子に付着させ、次いで前記炭素質粒子に付着した前記組成物を硬化する工程を1回以上20回以下繰り返した後、熱処理する工程を含む前項19に記載の炭素材料の製造方法。
24. 熱処理する工程を、ホウ素化合物を添加して行なう前項23に記載の炭素材料の製造方法。
25. 熱処理する工程が、2000℃以上の温度で行なわれる前項18乃至23のいずれかに記載の炭素材料の製造方法。
26. 気相成長炭素繊維を炭素質粒子に対して0.1〜20質量%混合する前項18または19に記載の炭素材料の製造方法。
27. 前項18乃至26のいずれかひとつに記載の方法によって得られた炭素材料。
28. 前項1乃至17のいずれかひとつに記載の炭素材料とバインダーを含む電極ペースト。
29. 前項27に記載の炭素材料とバインダーを含む電極ペースト。
30. 前項28または29に記載の電極ペーストを含む電極。
31. 前項30に記載の電極を構成要素とする二次電池。
32. 非水電解液及び電解質を用いた二次電池であって、前記非水電解液がエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート及びプロピレンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種である前項31に記載の二次電池。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
[炭素粒子]
本発明で使用する母材である炭素粒子の形状としては、塊状、鱗片状、球状、繊維状等の粒子形状を有するものでよいが、好ましくは球状、塊状のものである。
炭素粒子としては、有機化合物(合成または天然有機化合物)を焼成したもの、メソカーボン小球体焼成品、樹脂焼成品、石油系コークス、石炭系コークス、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛構造を有するもの、または黒鉛構造を有する炭素粒子とすることができる一種類もしくは二種類以上が利用できる。
炭素粒子の粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定機による中心粒径D50が0.1〜100μm程度であることが好ましい、より好ましくは5〜70μmであり、3μm以下及び/または85μm以上の粒子を実質的に含まない粒度分布がよい。
【0013】
これは粒度が小さいと比表面積が大きくなり、充放電反応に伴う副反応の割合が大きくなり、充放電効率が著しく低減するからである。反対に粒度が大きいと粒子間にできる間隙が大きくなり、そのために充填密度が下がる。また、粒子と粒子の接触箇所が減少することにより電流の通り道が減少し、大電流負荷特性が著しく低減する。さらに、限られた体積中に負極電極を納めなくてはならないことから、電極の厚さが制限されるが、粒子が大きいとその制限を越えてしまう恐れがある。
【0014】
粒度分布を調整するためには、公知の粉砕方法、分級方法を利用することができる。粉砕装置としては、具体的にはハンマーミル、ジョークラッシャー、衝突式粉砕器等が挙げられる。また、分級方法としては、気流分級、篩による分級が可能である。気流分級装置としては、例えばターボクライファイヤー、ターボプレックス等が挙げられる。
【0015】
負極活物質となる炭素材料は、放電容量が大きく、充放電効率の高いものが必要であるが、これは2000℃以上の加熱を行うことによって、解決される。
さらに、放電容量、充放電効率を向上させるためには、加熱処理前に黒鉛化を促進させる働きのあるホウ素などを加えて、高結晶化を行うことも有効である。
【0016】
[Si/Si化合物]
Si/Si化合物の形状としては、塊状、鱗片状、球状、繊維状等の粒子形状を有するものでよく、好ましくは球状、塊状のものである。Si/Si化合物は、珪素原子を含む化合物及び/または混合物をSi/Si化合物とすることができるものであり、珪素、炭化珪素、二酸化珪素、窒化珪素の一種類もしくは二種類以上が利用できる。
【0017】
Si/Si化合物の粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定機による中心粒径D50が0.1〜10μm程度であることが好ましい、より好ましくは0.3〜3μmの粒度分布がよい。これは粒度が大きいと充放電反応によって微粒子化が生じ、サイクル特性が低下するからである。
【0018】
粒度分布を調整するためには、公知の粉砕方法、分級方法を利用することができる。粉砕装置としては、具体的にはハンマーミル、ジョークラッシャー、衝突式粉砕器等が挙げられる。また、分級方法としては、気流分級、篩による分級が可能である。気流分級装置としては例えばターボクライファイヤー、ターボプレックス等が挙げられる。
【0019】
炭素粒子に対するSi/Si化合物の割合は、1〜20質量%の範囲が好ましい、さらに2〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。これは、Si/Si化合物の割合が増加すると容量は増加するが、サイクル特性が著しく低下するからである。
【0020】
[重合体]
本発明で使用する重合体は、繊維状炭素、Si/Si化合物に接着性を有する重合体が好ましい。接着性を有する重合体は、炭素粒子と繊維状炭素、炭素粒子とSi/Si化合物を離れないように接触させた状態にするためにその両物体の間に介在することで共有結合、ファンデルワールス力、水素結合等の化学接着、類似物質の拡散による物理的接着を生じて両物体を一体化した状態にするものである。混合、撹拌、溶媒除去、熱処理等の処理において、繊維状炭素の剥離、脱落が実質的に起きない程度に圧縮、曲げ、剥離、衝撃、引っ張り、引き裂き等の力に対して抵抗力を示すものであれば接着性を有する重合体として適用できる。
【0021】
重合体としては、例えば、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フラン樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂及びエポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種がよい。好ましくは、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂である。
【0022】
本発明においては、特に乾性油またはその脂肪酸を混合したフェノール樹脂を用いると緻密な炭素材が得られる。これは、フェノール樹脂と乾性油中の不飽和結合の部分が化学反応を起こして、いわゆる乾性油変性フェノール樹脂となるが、これが熱処理(または焼成)過程において分解を和らげ、発泡を防ぐことによると推測される。また、乾性油は単に二重結合があると言うだけではなく、かなり長いアルキル基とエステル結合を有しており、これらも焼成過程におけるガスの抜け易さ等の面で関与していることが考えられる。
【0023】
また、乾性油またはその脂肪酸及びフェノール樹脂を用いる場合、繊維状炭素とSi及び/またはSi化合物とを含む組成物を炭素質粒子に付着させて炭素質粒子に付着した組成物を硬化する工程は1回以上20回以下繰り返した後に熱処理することが、炭素質の比表面積を低下させ、炭素表面で生じる充放電反応以外の副反応を減少させ、サイクル特性が向上する点から望ましい。
【0024】
フェノール樹脂としては、フェノール類とアルデヒド類との反応により得られる、ノボラック、レゾール等の未変性フェノール樹脂や一部変性されたフェノール樹脂が使用できる。また、必要に応じてニトリルゴム等のゴムをフェノール樹脂に混合して使用できる。原料フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、C20以下のアルキル基を有するアルキルフェノール等が挙げられる。
【0025】
本発明の乾性油またはその脂肪酸を混合したフェノール樹脂は、フェノール類と乾性油とを強酸触媒存在下に付加反応させ、その後に塩基性触媒を加えて系を塩基性としてホルマリン付加反応させたもの、またはフェノール類とホルマリンを反応させ、その後に乾性油を加えたものでよい。
【0026】
乾性油は、通常知られる桐油、アマニ油、脱水ヒマシ油、大豆油、カシューナッツ油等、薄膜にして空気中に放置すると比較的短時間に固化乾燥する性質を有する植物油であり、これらはその脂肪酸であってもよい。
フェノール樹脂に対する乾性油またはその脂肪酸の割合は、例えば、フェノールとホルマリンの縮合物100質量部に対し、乾性油またはその脂肪酸5〜50質量部が適する。50質量部より多くなると、接着性が下がり繊維状炭素やSi/Si化合物の密度が下がる。
【0027】
この重合体を用いて炭素粒子に付着する場合、重合体をアセトン、エタノール、トルエン等で希釈して粘度を調整すると付着しやすい。
付着時の雰囲気としては、大気圧下、加圧下、減圧下のいずれであっても良いが、炭素粒子と重合体の親和性が向上することかから、減圧下で付着させるのが好ましい。
【0028】
[混合方法]
本発明においては、重合体が付着した炭素粒子と、繊維状炭素、Si/Si化合物を混合し、撹拌処理させることができる。撹拌方法としては特に限定されないが、例えば、リボンミキサー、スクリュー型ニーダー、スパルタンリューザー、レディゲミキサー、プラネタリーミキサー、万能ミキサー等の装置を使用することができる。
【0029】
撹拌処理時の温度及び時間は、炭素粒子及び重合体の成分及び粘度等に応じて適宜選択されるが、通常0℃〜50℃程度、好ましくは10℃〜30℃程度の範囲とする。あるいは混合物の粘度が混合温度下で500Pa・s以下になるように混合時間及び組成物の溶媒希釈を行う。この場合溶媒としては重合体、繊維状炭素、Si/Si化合物との親和性が良好なものであれば使用できるが、アルコール類、ケトン類、芳香族炭化水素、エステル類等が挙げられる。好ましくはメタノール、エタノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル等がよい。
【0030】
[溶媒除去]
撹拌後、溶剤の一部もしくは全部を除去することが好ましい。除去方法は、熱風乾燥、真空乾燥等公知の方法が使用できる。
また、乾燥温度は使用した溶媒の沸点、蒸気圧等によるが、具体的には50℃以上、好ましくは100℃以上1000℃以下、さらに好ましくは150℃以上500℃以下である。
【0031】
加熱硬化には公知の加熱装置のほとんどが使用できる。しかし、製造プロセスとしては連続処理が可能なロータリーキルンやベルト式連続炉などが生産性の点で好ましい。
例えば、フェノール樹脂添加量は、好ましくは2質量%〜30質量%、さらに好ましくは4質量%〜25質量%、さらに好ましくは6質量%〜18質量%である。
【0032】
[熱処理条件]
リチウムイオン等のインターカレーションによる充放電容量を高めるには炭素粒子の結晶性を向上させることが必要である。炭素の結晶性は一般的に最高熱履歴(熱処理温度が最も高い時の温度を示す)と共に向上するため、電池性能的には熱処理温度は高い方が好ましい。2000℃以上での焼成がよいが、好ましくは2500℃以上、さらに好ましくは2800℃以上、特に好ましくは3000℃以上である。
【0033】
最高熱履歴での保持時間は長い方が好ましいが、被加熱物が微粒子であることから、粒子の中心部まで熱が伝われば基本的には十分に性能を発揮する。また、保持時間が短い方がコスト的にも好ましい。例えば、平均粒径20μm程度の炭素質粉体では中心部まで最高温度に到達してから30分以上、好ましくは10分以上、さらに好ましくは5分以上保持すればよい。
【0034】
また、天然黒鉛や、一度熱処理を実施した人造黒鉛等のすでに炭素の結晶が発達した母材に被覆を行う場合については、被覆後の被覆材自身にもある程度の熱処理が必要である。好ましくは2400℃以上、さらに好ましくは2700℃以上、特に好ましくは2900℃以上である。この場合には、中心部までに最高温度が到達していなくてもよく、実質的に皮膜の炭素材料表面への接着性、皮膜の強度等が実用に達していればよい。
【0035】
熱処理の為の昇温速度については、公知の装置における最速昇温速度及び最低昇温速度の範囲内では特に性能に大きく影響しない。しかし、粉体であるため、成形材等のようにひび割れの問題などがほとんどないため、コスト的な観点からも昇温速度は早いほうがよい。常温から最高到達温度までの到達時間は好ましくは12時間以下、さらに好ましくは6時間以下、特に好ましくは2時間以下である。
【0036】
焼成のための熱処理装置は、アチソン炉、直接通電加熱炉など公知の装置が利用できる。また、これらの装置はコスト的にも有利である。しかし、窒素ガスの存在が粉体の抵抗を低下させたり、酸素による酸化によって炭素材料の強度が低下することがあるため、好ましくは炉内雰囲気をアルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスに保持できるような構造の炉が好ましい。例えば容器自体を真空引き後ガス置換可能なバッチ炉や、管状炉で炉内雰囲気をコントロール可能なバッチ炉あるいは連続炉などである。
【0037】
炭素材料の結晶化度を向上させる方法として、必要に応じて公知のホウ素化合物、ベリリウム化合物、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、その他の黒鉛化触媒を使用することができる。
中でもホウ素は黒鉛網面結晶の中に炭素原子と置換して入ることが可能であり、その際、炭素炭素結合が一度切断され、再度結合するというような結晶構造の再構築が起こると考えられる。従って、黒鉛結晶がやや乱れた部分についても、結晶構造の再構成により、高い結晶性の粒子にすることが可能となると考えられる。炭素皮膜層にホウ素(ホウ素元素)が含まれるとは、ホウ素が一部固溶して、炭素表面、炭素六角網面の積層体層間に存在したり、炭素原子とホウ素原子が一部置換した状態をいう。
【0038】
ホウ素化合物としては、加熱によりホウ素を生成する物質であればよく、ホウ素、炭化ホウ素、ホウ素酸化物、有機ホウ素酸化物等の固体、液体、さらには気体でもよい、例えば、B単体、ホウ酸(H3BO3)、ホウ酸塩、酸化ホウ素(B23)、炭化ホウ素(B4C)、BN等使用できる。
【0039】
ホウ素化合物の添加量は、用いるホウ素化合物の化学的特性、物理的特性に依存するために限定されないが、例えば炭化ホウ素(B4C)を使用した場合には、熱処理する炭素粉体に対して0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%の範囲がよい。
【0040】
炭素材料の粒度については、熱処理前に炭素粒子の粒度を調整する場合は、熱処理後に特に調整する必要はないが、融着、凝集している場合には弱く解砕した後、気流分級などを実施することができる。分級は好ましくはメッシュによる篩を行うのが操作上簡便でよい。
【0041】
粒度は平均粒径で5〜70μmがよいが、好ましくは8〜30μm、さらに好ましくは10〜25μmである。この平均粒径はレーザー回折散乱法で求めることができる。平均粒径が5μmより小さいとアスペクト比が大きくなりやすく、比表面積が大きくなりやすい。また、例えば、電池の電極を作製する場合、一般に炭素材料をバインダーによりペーストとし、それを塗布する方法が採られていが、炭素材料の平均粒径が5μm未満の場合は5μmより小さい微粉がかなり含まれていることになり、ペーストの粘度が上がり塗布性も悪くなる。
【0042】
また、3μm以下の粒子及び85μm以上の粒子の含有量が5質量%以下の粉体が好ましい。この場合平均粒径は8〜30μmとなる。さらに、平均粒径85μm以上のような大きな粒子が混入していると電極表面に凹凸が多くなり、電池に使用されるセパレータを傷つける原因ともなる。
【0043】
[繊維状炭素]
本発明の炭素材料に使用する繊維状炭素は導電性に優れている必要があるので、結晶化度の高いものが望ましい。また、本発明の炭素材料を電極化し、リチウムイオン二次電池に組み込んだ場合、負極全体に素早く電流を流すことが必要であるので、繊維状炭素繊維の結晶成長方向は繊維軸に平行であり、繊維が枝分かれ(分岐状)をしていることが好ましい。また、分岐状繊維であれば炭素粒子間が繊維によって電気的に接合し易くなり、導電性が向上する。
【0044】
この繊維状炭素としては、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維などを用いることができるが、本発明の課題を達成するためには、繊維軸方向に結晶が成長し、繊維が枝分かれをしている気相成長炭素繊維が適している。
気相成長炭素繊維は、例えば、高温雰囲気下に、触媒となる鉄と共にガス化された有機化合物を吹き込むことにより製造することができる。
【0045】
気相成長炭素繊維は製造した状態のままのもの、例えば800〜1500℃で熱処理したもの、例えば2000〜3000℃で黒鉛化処理したもののいずれも使用可能であるが、製造した状態のままのものあるいは1500℃程度で熱処理したものがより好適である。
【0046】
また、本発明で使用する気相成長炭素繊維の好ましい形態として、分岐状繊維があるが、分岐部分はその部分を含めて繊維全体が互いに連通した中空構造を有している箇所があるものでもよい。そのため繊維の円筒部分を構成している炭素層が連続している。ここで、中空構造とは、炭素層が円筒状に巻いている構造であって、完全な円筒でないもの、部分的な切断箇所を有するもの、積層した2層の炭素層が1層に結合したものなどを含む。また、円筒の断面は完全な円に限らず楕円や多角化のものを含む。なお、炭素層の結晶性について炭素層の面間隔d002は限定されない。因みに、好ましいものはX線回折法によるd002が0.344nm以下、好ましくは0.339nm以下、より好ましくは0.338nm以下であって、結晶のC軸方向の厚さLcが40nm以下のものである。
【0047】
本発明の気相成長炭素繊維は、繊維外径500nm以下及びアスペクト比10以上の炭素繊維であって、好ましくは繊維外径50〜500nm、繊維長1〜100μm(アスペクト比2〜2000)、あるいは繊維外径2〜50nmであって繊維長0.5〜50μm(アスペクト比10〜25000)のものである。
気相炭素繊維製造後、2000℃以上の熱処理を行うことでさらに結晶化度を上げ、導電性を増すことができる。また、この場合においても、黒鉛化度を促進させる働きのあるホウ素化合物などを熱処理前に添加しておくことが有効である。
【0048】
また、製造において二回以上の熱処理工程を行うことはコスト的に不利であるので、好ましくは、粉砕、分級した炭素粒子の原料、及び未黒鉛化の気相成長炭素繊維とSi/Si化合物を重合体を介して接着させた後、2000℃以上の熱を加えることによっても、本発明の炭素材料を完成させることができる。
【0049】
[容量]
本発明の炭素材料の容量は、400〜1000mAh/g、好ましくは400〜800mAh/g、さらに好ましくは400〜600mAh/gが望ましい。容量は大きい方が望ましいが、負極材のSi含有量が増えると、二次電池として繰り返し使用した場合にSiの微粒子化が生じ、炭素粒子同士の接点が失われ、サイクル特性が著しく低下する。さらに負極材のSi含有量が増えることによって、充電/放電に伴う負極の膨張/収縮が生じて銅板から剥がれ易くなる。炭素粒子に対するSi/Si化合物の割合を1〜20質量%の範囲で容量を400〜600mAh/gとすることで、黒鉛の高サイクル特性、低膨張収縮性を生かした実用性の高い負極材を完成させることができる。
【0050】
[二次電池の作製]
本発明の炭素材料を用いたリチウム二次電池は、公知の方法により作製することができる。
リチウム電池の電極では炭素材料の比表面積は小さい方がよい。本発明の炭素材料の比表面積(BET法)は3m2/g以下である。比表面積が3m2/gを超えると炭素材料の表面活性が高くなり、電解液の分解等によって、クーロン効率が低下する。さらに、電池の容量を高めるためには炭素材料の充填密度を上げることが重要である。そのためにもできるだけ球状に近いものが好ましい。この粒子の形状をアスペクト比(長軸の長さ/短軸の長さ)で表すとアスペクト比は6以下、好ましくは5以下である。アスペクト比は顕微鏡写真等から求めることができるが、レーザー回折散乱法で算出した平均粒子径Aと電気的検検知法(コールタ・カウンタ法)により算出した平均粒子径Bから粒子を円板と仮定し、この円板の底面直径をA、体積を4/3×(B/2)3π=Cとした場合、円板の厚みT=C/(A/2)2πで算出できる。従ってアスペクト比はA/Tで得られる。
【0051】
リチウム電池の電極では、使用する炭素材料は充填性がよく、嵩密度が高いもの程単位体積当たりの放電容量は高くなる。本発明の炭素材料はタッピング嵩密度が0.8g/cm3以上、好ましくは0.9g/cm3以上である。ここで、タッピング嵩密度は、一定量の炭素材料(6.0g)を15mmφの測定用セルに入れ、タッピング装置にセットし、落下高さを46mm、タッピング速度を2秒/回とし、400回自由落下させた後、その体積を測定し、質量と体積の関係から算出した値である。
【0052】
電極は通常のように結合材(バインダー)を溶媒で希釈して負極材と混練し、集電体(基材)に塗布することで作製できる。
バインダーについては、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマーや、SBR(スチレンブタジエンラバー)等のゴム系等公知のものが使用できる。溶媒には、各々のバインダーに適した公知のもの、例えばフッ素系ポリマーならばトルエン、N−メチルピロリドン等、SBRならば水等公知のものが使用できる。
【0053】
バインダーの使用量は、負極炭素材を100質量部とした場合、1〜30質量部が適当であるが、特に3〜20質量部程度が好ましい。
負極材とバインダーとの混錬はリボンミキサー、スクリュー型ニーダー、スパルタンリューザー、レディゲミキサー、プラネタリーミキサー、万能ミキサー等公知の装置が使用できる。
【0054】
混錬後の集電体への塗布は公知の方法により実施できるが、例えばドクターブレードやバーコーターなどで塗布後、ロールプレス等で成形する方法等が上げられる。
【0055】
集電体としては、銅、アルミニウム、ステンレス、ニッケル及びそれらの合金など公知の材料が使用できる。
セパレーターは公知のものが使用できるが、特にポリエチレンやポリプロピレン性の不織布が好ましい。
【0056】
本発明におけるリチウム二次電池における電解液及び電解質としては、公知の有機電解液、無機固体電解質、高分子固体電解質が使用できる。電気伝導性の観点から有機電解液が好ましい。
【0057】
有機電解液としては、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル等のエーテル;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、ヘキサメチルホスホリルアミド等のアミド;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄化合物;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のジアルキルケトン;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、2−メトキシテトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート;γ−ブチロラクトン;N−メチルピロリドン;アセトニトリル、ニトロメタン等の有機溶媒の溶液が好ましい。さらに、好ましくはエチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ジオキソラン、ジエチルエーテル、ジエトキシエタン等のエーテル類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等が上げられ、特に好ましくはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系非水溶媒を用いることができる。これらの溶媒は、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0058】
これらの溶媒の溶質(電解質)には、リチウム塩が使用される。一般的に知られているリチウム塩にはLiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCl、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiN(CF3SO22等がある。
【0059】
高分子固体電解質としては、ポリエチレンオキサイド誘導体及び該誘導体を含む重合体、ポリプロピレンオキサイド誘導体及び該誘導体を含む重合体、リン酸エステル重合体、ポリカーボネート誘導体及び該誘導体を含む重合体等が挙げられる。
【0060】
本発明における負極材料を使用したリチウム二次電池において、正極活物質にリチウム含有遷移金属酸化物(LiXMO2;ただし、MはCo、Ni、Mn、Feから選ばれる1種以上の遷移金属、Xは0≦X≦1.2の範囲)を用いることにより安全性や高率充放電特性に優れるリチウム二次電池を得ることができる。正極活物質としては、特にLiXCoO2、LiXNiO2、LiXMn24、及びそれらのCo、Ni、Mnの一部を他の遷移金属などの元素で置換したものが好適である。
上記以外の電池構成上必要な部材の選択については特に制約はない。
【0061】
【実施例】
以下に本発明について代表的な例を示し、さらに具体的に説明する。なお、これらは説明のための単なる例示であって、本発明はこれらに何等制限されるものではない。
【0062】
付着用フェノール樹脂作成方法:
付着材には以下の方法により調製した桐油で一部変性したフェノール樹脂(ワニス)を用いた。
桐油100質量部とフェノール150質量部、ノニルフェノール150質量部を混合して50℃に保持する。これに0.5質量部の硫酸を加えて撹拌し、徐々に昇温して120℃で1時間保持し、桐油とフェノール類との付加反応を行った。その後温度を60℃以下に下げ。ヘキサメチレンテトラミンを6質量部と37質量%ホルマリン100質量部を加え、90℃で約2時間反応し、その後真空脱水した後、メタノール100質量部、アセトン100質量部を加えて希釈し、粘度20mPa・s(20℃)のワニスを得た。以下、本ワニスをワニスAという。
【0063】
電池評価方法:
(1)ペースト作成
原料炭素材料1質量部に呉羽化学製KFポリマーL1320(PVDFを12質量%含有したN−メチルピロリドン(NMP)溶液品)0.1質量部を加え、プラネタリーミキサーにて混練し主剤原液とした。
【0064】
(2)電極作製
主剤原液にNMPを加え、粘度を調整した後、高純度銅箔上でドクターブレードを用いて250μm厚に塗布した。これを120℃、1時間真空乾燥し、18mmφに打ち抜いた。さらに、打ち抜いた電極を超鋼製プレス板で挟み、プレス圧が電極に対して1×103〜3×103kg/cm2となるようにプレスした。その後、真空乾燥器で120℃、12時間乾燥後、評価用電極とした。
【0065】
(3)電池作成
下記の様にして3極セルを作製した。なお以下の操作は露点−80℃以下の乾燥アルゴン雰囲気下で実施した。
ポリプロピレン製のねじ込み式フタ付きのセル(内径約18mm)内において、上記(2)で作製の銅箔付き炭素電極(正極)と金属リチウム泊(負極)をセパレーター(ポリプロピレン製マイクロポ−ラスフィルム(セルガ−ド2400))で挟み込んで積層した。さらにリファレンス用の金属リチウムを同様に積層した。これに電解液を加えて試験用セルとした。
【0066】
(4)電解液
(1)EC系;EC(エチレンカーボネート)8質量部及びDEC(ジエチルカーボネート)12質量部の混合品に、電解質としてLiPF6を1モル/リットル溶解した。
【0067】
(5)充放電サイクル試験
電流密度0.2mA/cm2(0.1C相当)で定電流定電圧充放電試験を行った。充電(炭素へのリチウムの挿入)はレストポテンシャルから0.002Vまで0.2mA/cm2でCC(コンスタントカレント:定電流)充電を行った。次に0.002VでCV(コンスタントボルト:定電圧)充電に切り替え、電流値が25.4μAに低下した時点で停止させた。
放電(炭素からの放出)は0.2mA/cm2(0.1C相当)でCC放電を行い、電圧1.5Vでカットオフした。
【0068】
実施例1:
天然黒鉛を粉砕、分級して、平均粒径(D50)20μmに調整した炭素粒子(100g)に炭化珪素(10g)を添加し混合した。その後、ワニスAにエタノールを加えて撹拌し、十分に溶解させた溶液を変成フェノール樹脂固形分が10質量%となるように加え、プラネタリーミキサーにて30分間混練した。さらに、2800℃で黒鉛化した気相成長炭素繊維(d002=0.339nm、平均外径150nm、アスペクト比200)を3質量%加えて混練した。混錬物を真空乾燥機にて80℃で2時間乾燥し、エタノールを除去した。次にこの混練物を加熱炉にて、内部を真空置換してアルゴン雰囲気下とした後、アルゴンガスを流しつつ昇温した。2900℃で10分間保持してその後冷却した。室温まで冷却後、得られた熱処理品を目開き63μmの篩により篩い分けし、その通過物(篩下品)に本発明の粉体炭素材料を得た。得られた炭素材料の電子顕微鏡観察(SEM)を行ったところ、繊維状炭素(気相成長炭素繊維)が炭素質粉体表面に付着している状態が観察できた。これを単セル式の電池評価装置にかけ、電池評価電解液はEC系を使用した。充放電サイクル試験1サイクル目の容量、50サイクル目の容量を調べた。結果を表1に示す。
【0069】
実施例2:
炭化珪素の添加量を5gとした以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られた試料を実施例1の試料と同様に単セル式の電池評価装置にかけ、電池評価電解液はEC系を使用した。充放電サイクル試験1サイクル目の容量、50サイクル目の容量を調べた。結果を表1に示す。
【0070】
実施例3:
炭化珪素の添加量を3gとした以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られた試料を実施例1の試料と同様に単セル式の電池評価装置にかけ、電池評価電解破はEC系を使用した。充放電サイクル試験1サイクル目の容量、50サイクル目の容量を調べた。結果を表1に示す。
【0071】
比較例:
フェノール樹胎(10g)をイソプロピルアルコールに溶解させた溶液に、予め平均粒径(D50)2μmに調整した炭化ケイ素(2g)とカーボンブラック(1g)を混合したものを混合し、十分に撹拌した後、溶媒を除去し、アルゴンガス中で1000℃で180分熱処理した複合粒子を作成した。
次に平均粒径(D50)20μmに調整した天然黒鉛(95g)に、上記複合粒子(5g)を添加し混合し、イソプロピルアルコールを加えて湿式混合したものとフェノール樹脂(10g)をイソプロピルアルコールに溶解させた溶液と混合し、イソプロピルアルコールを蒸発させた天然黒鉛複合粒子を作成した。
この天然黒鉛複合粒子を1000℃で熱処理したものを比較例の試料とした。充放電サイクル試験1サイクル目の容量、50サイクル目の容量を調べた。結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
Figure 0004298988
【0073】
表1に示すように50サイクル目の容量は実施例1〜3の方が、比較例よりも高くなっている。また、実施例1〜3の容量を比較すると炭化ケイ素の添加量が多い試料ほど容量が大きくなっていることがわかる。容量保持率(50サイクルの容量/1サイクルの容量×100)は、実施例1〜3の方が、比較例よりも高くなっている。実施例1〜3では、充放電サイクルの際、炭素粒子同士の接点が保持され、粒子の膨張・収縮が小さいため、高い容量保持率と高容量が得られたものと考えられる。
【0074】
【発明の効果】
Siを含有する負極材は、黒鉛系の負極材と比較して、放電電位の低い点が問題であったが、炭素材料の粒子表面にSi/Si化合物と共に炭素繊維を具備させた本発明の炭素材料を用いることにより、粒子同士の導電経路が確保され、電極の抵抗を下げ、放電電位が上昇する効果が得られる。また、炭素繊維を具備させることにより、充電、放電を繰り返しても、粒子同士がの接触が十分に保たれ、二次電池のサイクル特性が向上する効果がある。

Claims (8)

  1. 重合体を含む組成物を炭素質粒子の少なくとも一部の表面に付着させる工程、前記炭素質粒子に繊維状炭素とSiまたは/及びSi化合物を混合し重合体を含む組成物を介して炭素質粒子に繊維状炭素とSiまたは/Si化合物を付着させる工程、及び前記工程に続いて炭素質粒子を2000℃以上の温度で熱処理する工程を含むことを特徴とする炭素材料の製造方法。
  2. 重合体を含む組成物と繊維状炭素とSiまたは/及びSi化合物との混合物を炭素質粒子と混合し、前記重合体を含む組成物を介して炭素質粒子に繊維状炭素とSiまたは/Si化合物を付着させる工程、及び前記工程に続いて炭素質粒子を2000℃以上の温度で熱処理する工程を含むことを特徴とする炭素材料の製造方法。
  3. 重合体が、炭素に接着性を有する重合体を含む請求項またはに記載の炭素材料の製造方法。
  4. 重合体が、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フラン樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂及びエポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む重合体である請求項またはに記載の炭素材料の製造方法。
  5. 重合体が、乾性油またはその脂肪酸及びフェノール樹脂を含む重合体である請求項またはに記載の炭素材料の製造方法。
  6. 乾性油またはその脂肪酸及びフェノール樹脂を含む重合体と繊維状炭素とSi及び/またはSi化合物とを含む組成物を炭素質粒子に付着させ、次いで前記炭素質粒子に付着した前記組成物を硬化する工程を1回以上20回以下繰り返した後、熱処理する工程を含む請求項に記載の炭素材料の製造方法。
  7. 熱処理する工程を、ホウ素化合物を添加して行なう請求項に記載の炭素材料の製造方法。
  8. 気相成長炭素繊維を炭素質粒子に対して0.1〜20質量%混合する請求項またはに記載の炭素材料の製造方法。
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