JP4286491B2 - 炭素材料及びその製造方法並びにその用途 - Google Patents

炭素材料及びその製造方法並びにその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大電流負荷特性、サイクル特性に優れた二次電池を構成することができる、二次電池の負極材として繊維状炭素を表面に具備している炭素質粒子の炭素材料に関する。本発明はまた、当該炭素材料の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまで、非水電解質二次電池負極材にはリチウム金属あるいはリチウム金属合金が使用されていたが、充放電反応を繰り返すとその結晶構造が崩壊し、その結果電池としての早期劣化を招いていた。また、充放電反応とともに負極材上に針状のリチウム金属結晶が成長し、それがセパレーターを破り短絡が起きるという問題点があった。
現在、この問題点は負極材として炭素材料を用いることで解決され、実用化に至っており、黒鉛層間にリチウムイオンを挿入、脱離させることで充放電反応を行うことで、安定したサイクル特性を得られるようになった。
【0003】
しかし、負極活物質だけでは導電性が足りないため、しばしば導電性付与剤が用いられてきた。具体的にはカーボンブラック、ファーネスブラック、気相成長炭素繊維が挙げられる。中でも、多方向に枝分かれしている気相成長炭素繊維は、負極活物質を気相成長炭素繊維で絡めることにより負極全体の電気伝導性が上がる効果がある。また、電流の通り道が負極活物質の接触点だけでなく、気相成長炭素繊維もその通り道になると考えられ、大電流を流した時にも放電容量の低下を抑える効果がある。
【0004】
気相成長炭素繊維を使用する際には何らかの方法で、負極活物質と気相成長炭素繊維を混合、あるいは混練しなくてはならないが、これまで乾式の単純な混合(特開平5−174820号公報)や、高剪断性攪拌機による混合(特開平10−162811号公報、特開平6−333559号公報)などが行われてきたが、その際に気相成長炭素繊維が毛玉状となり負極全体に分散できない問題が多くあった。
【0005】
また、直接負極材粒子表面から炭素気相成長繊維または炭素ナノチューブを成長させたもの(特開平2001−196064号公報)も提案されているが、工程が複雑で大量に製造するのに経済性が問題である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、負極活物質となる炭素材料に導電性付与材を別途加えることなく、大電流負荷特性、サイクル特性に優れた二次電池、特にリチウムイオン二次電池を作成することができる、リチウムイオン二次電池の負極材料に適した炭素材料、および当該炭素材料を製造する方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためには、負極活物質となる粉体炭素材料の粒子表面に導電性に優れた繊維状炭素(炭素繊維)を具備させることである。
【0008】
当該炭素繊維を粒子表面に具備した粉体炭素材料を製造するには、炭素質に接着性を有する重合体を炭素質粒子の少なくとも一部の表面に付着し、その後に繊維状炭素、例えば気相法炭素繊維を添加、混合して、次いで加熱処理を行う。
【0009】
本発明の重合体の中で、フェノール樹脂やフルフリルアルコール樹脂等の熱硬化性樹脂を炭化したガラス状炭素は、不透過性に優れている事が知られている。従って、電解液との反応性が高い表面部分を被覆するには適した材料であると言える。また、ピッチなどに比べて取り扱いも容易である。
【0010】
本発明は、母材となる炭素質粉体(以下母材もしくは母材炭素材料という)において、例えば重合体として皮膜用炭素材料原料である桐油、アマニ油等の乾性油またはその脂肪酸を含むフェノール樹脂を、黒鉛化前あるいは黒鉛化後の炭素質粒子の表面に付着し、繊維状炭素を混合させた後、熱処理(加熱硬化、焼成、黒鉛化など)する。
【0011】
すなわち本発明は、
1) 重合体を含む組成物を炭素質粒子の少なくとも一部の表面に付着させる工程、該炭素質粒子に繊維状炭素を混合する工程、次いで該炭素質粒子を熱処理する工程を含む炭素材料の製造方法、
2) 重合体が、炭素に接着性を有する重合体を含む重合体であることを特徴とする上記1に記載の炭素材料の製造方法、
3) 重合体が、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フラン樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む重合体であることを特徴とする上記1または2に記載の炭素材料の製造方法、
4) 熱処理する工程が、ホウ素化合物を添加して非酸化性雰囲気下で熱処理することを特徴とする上記1乃至3のいずれかひとつに記載の炭素材料の製造方法、
5) 熱処理する工程が、2000℃以上の温度で行う焼成工程である上記1乃至4のいずれかひとつに記載の炭素材料の製造方法、
6) 炭素質粒子が黒鉛粒子であって、繊維状炭素がX線回折法による(002)面の面間隔d002が0.3395nm以下の炭素からなるものであり、熱処理する工程が50℃以上2000℃未満の温度で行うことを特徴とする上記1乃至4のいずれかひとつに記載の炭素材料の製造方法、
7) 繊維状炭素が、内部に中空構造を有し、外径2〜1000nm、アスペクト比10〜15000である気相成長炭素繊維であることを特徴とする上記1乃至6のいずれかひとつに記載の炭素材料の製造方法、
8) 気相成長炭素繊維が、分岐状繊維であり、かつ分岐部分の中空構造が連通している上記7に記載の炭素材料の製造方法、
9) 気相成長炭素繊維を炭素質粉体に対して0.1〜20質量%混合することを特徴とする上記7または8に記載の炭素材料の製造方法、
10) 上記1乃至9のいずれかひとつに記載の炭素材料の製造方法によって得られた炭素材料、
11) 炭素質粉体の平均粒径が、5〜70μmである上記10に記載の炭素材料、
12) 炭素質粉体の平均粒径が、3μm以下及び/または85μm以上の粒子を実質的に含まない上記11に記載の炭素材料、
13) 上記10乃至12のいずれかひとつに記載の炭素材料と、バインダーを含む電極ペースト、
14) 上記13に記載の電極ペーストを導電性基材に施用して得られた電極、
15) 上記13に記載の電極ペーストを導電性基材に塗布して得られた電極、
16) 上記14または15に記載の電極を構成要素とする二次電池、及び
17) 非水電解液及び電解質を用いた二次電池において、該非水電解液がエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート及びプロピレンカーボネートからなる群から選ばれた少なくとも1種である上記16に記載の二次電池。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0013】
(炭素質粉体)
粉体とは、「多数の固体粒子の集合体であり、各構成固体粒子間に適度の相互作用力が働いている状態」である。炭素質粉体の形状としては、塊状、鱗片状、球状、繊維状等の粒子形状を有するものでよく、有機化合物、または天然有機化合物を焼成したもの、メソカーボン小球体焼成品、樹脂焼成品、石油系コークス、石炭系コークス、天然黒鉛、人造黒鉛等の一種類もしくは二種類以上が利用できる。
【0014】
炭素質粉体の粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定器による中心粒径D50が0.1〜100μm程度であることが好ましい、より好ましくは5〜70μmであり、3μm以下及び/または85μm以上の粒子を実質的に含まない粒度分布がよい。
【0015】
これは粒子が小さいと比表面積が大きくなり、充放電反応に伴う副反応の割合が大きくなり、充放電効率が著しく低減するからである。反対に粒子が大きいと粒子間にできる間隙が大きくなり、そのために充填密度が下がる。また、粒子と粒子の接触箇所が減少することにより電流の通り道が減少し、大電流負荷特性、サイクル特性が著しく低減する。さらに、限られた体積中に負極電極を納めなくてはならないことから、電極の厚さが制限される場合、粒子が大きいとその制限を越えてしまう恐れがある。
【0016】
粒度分布を調整するためには公知の粉砕方法、分級方法を利用することができる。粉砕装置としては、具体的にはハンマーミル、ジョークラッシャー、衝突式粉砕器等が挙げられる。また、分級方法には気流分級、篩による分級が可能である。気流分級装置としては例えばターボクライファイヤー、ターボプレックス等が挙げられる。
負極活物質となる粉体炭素材料は放電容量が大きく、充放電効率の高いものが必要であるが、これは2000℃以上の加熱を行うことによって、解決される。
さらに放電容量、充放電効率を向上させるために、加熱処理前に黒鉛化を促進させる働きのあるホウ素などを加えて、高結晶化を行うことも有効である。
【0017】
(重合体)
本発明の重合体は、繊維状炭素に接着性を有する重合体であることが好ましい。接着性を有する重合体は、炭素質粒子と繊維状炭素を離れないように接触させた状態に着けるためにその両物体の間に介在することで共有結合、ファンデルワールス力、水素結合等の化学接着、類似物質(炭素質)の拡散による物理的接着を生じて両物体を一体化した状態にするものである。混合、攪拌、溶媒除去、熱処理等の処理において、繊維状炭素の剥離、脱落が実質的に起きない程度に圧縮、曲げ、剥離、衝撃、引っ張り、引き裂き等の力に対して抵抗力を示すものであれば接着性を有する重合体として適用できる。
【0018】
例えば、重合体としては、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フラン樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種がよい。好ましくは、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂で、さらに好ましくはフェノール樹脂である。
【0019】
特に、本発明において、乾性油またはその脂肪酸を混合したフェノール樹脂を用いると緻密な炭素材が得られる。これは、フェノール樹脂と乾性油中の不飽和脂結合の部分が化学反応を起こして、いわゆる乾性油変性フェノール樹脂となるが、これが熱処理(または焼成)過程において分解を和らげ、発泡を防ぐことが推測される。また、乾性油は単に二重結合があると言うだけではなく、かなり長いアルキル基とエステル結合を有しており、これらも焼成過程におけるガスの抜け易さ等の面で関与していることが考えられる。
【0020】
フェノール樹脂はフェノール類とアルデヒド類との反応によりつくられ、ノボラック、レゾール等の未変性フェノール樹脂や一部変性されたフェノール樹脂が使用できる。また、必要に応じてニトリルゴム等のゴムをフェノール樹脂に混合して使用できる。例えば、フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、C20以下のアルキル基を有するアルキルフェノールが挙げられる。
【0021】
本発明の乾性油またはその脂肪酸を混合したフェノール樹脂には、先にフェノール類と乾性油とを強酸触媒存在下に付加反応させ、その後に塩基性触媒を加えて系を塩基性にして、ホルマリン付加反応させたもの、またはフェノール類とホルマリンを反応させ、その後に乾性油を加えたものでよい。
【0022】
乾性油は通常知られる桐油、アマニ油、脱水ヒマシ油、大豆油、カシューナッツ油等であり、これらはその脂肪酸であってもよく、薄膜にして空気中に放置すると比較的短時間に固化乾燥する性質を有する植物油である。
【0023】
フェノール樹脂に対する乾性油またはその脂肪酸の割合は、例えば(フェノールとホルマリンの縮合物)100質量部に対し、(乾性油またはその脂肪酸)5〜50質量部が適する。50質量部より多くなると、接着性が下がり繊維状炭素の密度が下がる。5質量部より少なくなると緻密な炭素材が得られない。
【0024】
この重合体を用いて炭素質粉体に付着する場合、重合体をアセトン、エタノール、トルエン等で希釈して粘度を調整すると付着しやすい。
【0025】
重合体は炭素質粒子の外表面の少なくとも一部、好ましくは全面に均一、不均一によらず実質的に付着していればよい。
【0026】
付着時の雰囲気としては、大気圧下(常圧下)、加圧下、減圧下のいずれであっても良いが、減圧下で付着させる場合には、炭素質粉体と重合体の親和性が向上するので好ましい。
【0027】
炭素質粉体に対する重合体の添加量は、例えばフェノール樹脂添加量は、好ましくは2質量%〜30質量%、さらに好ましくは4質量%〜25質量%、さらに好ましくは6質量%〜18質量%である。
【0028】
(混合方法)
本発明においては、重合体が付着した炭素質粒子と、繊維状炭素を混合し、攪拌処理させることができる。攪拌方法としては特に限定されないが、例えば、リボンミキサー、スクリュー型ニーダー、スパルタンリューザー、レディゲミキサー、プラネタリーミキサー、万能ミキサー等の装置を使用することができる。
【0029】
攪拌処理時の温度及び時間は、炭素質粉体及び重合体の成分及び粘度等に応じて適宜選択されるが、通常0℃〜50℃程度、好ましくは10℃〜30℃程度の範囲とする。
あるいは混合物の粘度が混合温度下で500Pa・s以下になるように混合時間及び組成物の溶媒希釈を行う。この場合、溶媒としては重合体、繊維状炭素との親和性が良好なものであれば使用できるが、アルコール類、ケトン類、芳香族炭化水素、エステル類等が挙げられる。好ましくはメタノール、エタノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル等がよい。
【0030】
炭素質粒子の少なくとも一部の表面に重合体が付着し、繊維状炭素が炭素質粒子に接着した状態が得られるのであれば、炭素質粉体、重合体を含む組成物、繊維状炭素を共に混合してもよい。繊維状炭素、例えば、気相成長炭素繊維の添加量は炭素質粉体に対して0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、さらに好ましくは2〜10質量%である。
【0031】
(溶媒除去)
攪拌後、溶剤の一部もしくは全部を除去することが好ましい。除去方法は、熱風乾燥、真空乾燥等公知の方法が使用できる。
【0032】
また、乾燥温度は使用した溶媒の沸点、蒸気圧等によるが、具体的には50℃以上、好ましくは100℃以上1000℃以下、さらに好ましくは150℃以上500℃以下である。
【0033】
加熱硬化には公知の加熱装置のほとんどが使用できる。しかし、製造プロセスとしては連続処理が可能なロータリーキルンやベルト式連続炉などが生産性の点で好ましい。
【0034】
(熱処理条件)
リチウムイオン等のインターカレーションによる充放電容量を高めるには炭素材料の結晶性を向上させることが望ましい。炭素の結晶性は一般的に最高熱履歴(熱処理温度が最も高い時の温度を示す)と共に向上するため、電池性能的には熱処理温度は高い方が好ましい。2000℃以上での熱処理がよいが、好ましくは2500℃以上、さらに好ましくは2800℃以上、特に好ましくは3000℃以上である。
【0035】
最高熱履歴での保持時間は長い方が好ましいが、被加熱物が微粒子であることから、粒子の中心部まで熱が伝われば基本的には十分に性能を発揮する。また、保持時間が短い方がコスト的にも好ましい。例えば、平均粒径20μm程度の炭素質粉体では中心部まで最高温度に到達してから30分以上、好ましくは10分以上、さらに好ましくは5分以上保持すればよい。
【0036】
また、天然黒鉛や、一度熱処理を実施した人造黒鉛等のすでに炭素の結晶が発達した炭素質粉体(母材)に重合体を含む組成物を付着する場合については、付着後の付着材自身にもある程度の熱処理が必要で、50〜2000℃好ましくは80〜1500℃、更に好ましくは100〜1200℃である。母材が十分に炭素の結晶が発達していない場合は、50〜2000℃で付着材の熱処理を行うこともできるが、母材の炭素の結晶を発達させる目的で2000℃以上、好ましくは2400℃以上、さらに好ましくは2700℃以上、特に好ましくは2900℃以上の熱処理を行うことも可能である。この場合には、中心部までに最高温度が到達していなくてもよく、実質的に皮膜の炭素材料表面への接着性、皮膜の強度等が実用に達していればよい。
【0037】
熱処理の為の昇温速度については、公知の装置における最速昇温速度及び最低昇温速度の範囲内では特に性能に大きく影響しない。しかし、粉体であるため、成形材等のようにひび割れの問題などがほとんどないため、コスト的な観点からも昇温速度は早いほうがよい。常温から最高到達温度までの到達時間は好ましくは12時間以下、さらに好ましくは6時間以下、特に好ましくは2時間以下である。
【0038】
熱処理装置は、アチソン炉、直接通電加熱炉など公知の装置が利用できる。また、これらの装置はコスト的にも有利である。しかし、窒素ガスの存在が粉体の抵抗を低下させたり、酸素による酸化によって炭素材料の強度が低下することがあるため、好ましくは炉内雰囲気をアルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスに保持できるような構造の炉が好ましい。例えば容器自体を真空引き後ガス置換可能なバッチ炉や、管状炉で炉内雰囲気をコントロール可能なバッチ炉あるいは連続炉などである。
【0039】
炭素材料の結晶化度を向上させる方法として、必要に応じて公知のホウ素、ベリリウム、アルミニウム、ケイ素、その他の黒鉛化触媒を使用することができる。
【0040】
中でもホウ素は黒鉛網面結晶の中に炭素原子と置換して入ることが可能であり、その際、炭素炭素結合が一度切断され、再度結合するというような結晶構造の再構築が起こると考えられる。従って、黒鉛結晶がやや乱れた部分についても、結晶構造の再構成により、高い結晶性の粒子にすることが可能となると考えられる。炭素皮膜層にホウ素(ホウ素元素)が含まれるとは、ホウ素が一部固溶して、炭素表面、炭素六角網面の積層体層間に存在したり、炭素原子とホウ素原子が一部置換した状態をいう。
【0041】
ホウ素化合物としては、加熱によりホウ素を生成する物質であればよく、ホウ素、炭化ホウ素、ホウ素酸化物、有機ホウ素酸化物等の固体、液体、さらには気体でもよい、例えば、B単体、ホウ酸(H3BO3)、ホウ酸塩、酸化ホウ素(B23)、炭化ホウ素(B4C)、BN等使用できる。
【0042】
ホウ素化合物の添加量は、用いるホウ素化合物の化学的特性、物理的特性に依存するために限定されないが、例えば炭化ホウ素(B4C)を使用した場合には、熱処理する炭素粉体に対して0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%の範囲がよい。
【0043】
炭素材料の粒度については、熱処理前に炭素質粉体の粒度を調整する場合は、熱処理後に特に調整する必要はないが、融着、凝集している場合には弱く解砕した後、気流分級などを実施することができる。分級は好ましくはメッシュによる篩を行うのが操作上簡便でよい。
【0044】
熱処理後の炭素質粉体としては、粒子は平均粒径で5〜70μmが好ましいが、好ましくは8〜30μm、さらに好ましくは10〜25μmである。この平均粒径はレーザー回折散乱法で求めることができる。平均粒径が5μmより小さいとアスペクト比が大きくなりやすく、比表面積が大きくなりやすい。また、例えば、電池の電極を作製する場合、一般に炭素材料をバインダーによりペーストとし、それを塗布する方法が採られている。炭素材料の平均粒径が5μm未満の場合だと、5μmより小さい微粉がかなり含まれていることになり、ペーストの粘度が上がり塗布性も悪くなる。
【0045】
さらに、平均粒径85μm以上のような大きな粒子が混入していると電極表面に凹凸が多くなり、電池に使用されるセパレータを傷つける原因ともなる。例えば、3μm以下の粒子及び85μm以上の粒子を実質的に含まない(5質量%以下)粉体は平均粒径は8〜30μmとなる。
【0046】
(繊維状炭素)
本発明に使用する繊維状炭素は導電性に優れていて、結晶化度の高いものが望ましい。また、当該粉体炭素材料を電極材料として用い、リチウムイオン二次電池に組み込んだ場合、負極全体に素早く電流を流すためには、繊維状炭素繊維の結晶成長方向は繊維軸に平行であり、繊維が枝分かれ(分岐状)をしていることが好ましい。
【0047】
炭素質粒子の表面に繊維状炭素が付着されれば、繊維の相互連結やもつれにより、微細な空間、通路を形成することによって電解液浸透を容易にしたり隣接した炭素質粒子間のネットワークを形成することにより電導度が向上する。
この繊維状炭素としてピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維などを用いることができるが、本発明を達成するためには、繊維軸方向に結晶が成長し、繊維が枝分かれをしている気相成長炭素繊維が適している。
気相成長炭素繊維は、例えば、高温雰囲気下に触媒となる遷移金属と共にガス化された有機化合物を吹き込むことで製造することができる。
【0048】
気相成長炭素繊維は、生成されたままでも、例えば800〜1500℃で熱処理したものでも、例えば2000〜3000℃で黒鉛化処理がされたものでもいずれも使用可能であるが、生成されたままのものあるいは1500℃程度で熱処理されたものがより好適である。
【0049】
また、本発明の気相成長炭素繊維の好ましい形態として、分岐状繊維があるが、分岐部分はその部分を含めて繊維全体が互いに連通した中空構造を有している。そのため繊維の円筒部分を構成している炭素層が連続している。中空構造とは炭素層が円筒状に巻いている構造であって、完全な円筒でないもの、部分的な切断箇所を有するもの、積層した2層の炭素層が1層に結合したもの、などを含む。また、円筒の断面は完全な円に限らず楕円や多角化のものを含む。なお、炭素層の結晶性について炭素層の面間隔d002は限定されない。因みに、好ましいものはX線回折法によるd002が0.3395nm以下、より好ましくは0.338nm以下であって、結晶のC軸方向の厚さLcが40nm以下のものである。本発明の気相成長炭素繊維は、繊維外径2〜1000nm及びアスペクト比10〜15000の炭素繊維であって、好ましくは繊維外径50〜500nm、繊維長1〜100μm(アスペクト比2〜2000)、あるいは繊維外径2〜50nmであって繊維長0.5〜50μm(アスペクト比10〜25000)のものである。
【0050】
気相炭素繊維製造後、2000℃以上の熱処理を行うことでさらに結晶化度を上げることができ、導電性を増すことができる。また、この場合に於いても、前述の結晶化度を促進させる働きのあるホウ素などを熱処理前に添加しておくことが有効である。
また、製造において二回以上の熱処理工程を行うことはコスト的に不利であるので、粉砕、分級した粉体炭素材料原料、及び未黒鉛化の気相成長炭素繊維とを重合体を介して接着させた後、2000℃以上の熱を加えることによっても、本発明の粉体炭素材料を完成させることができる。
【0051】
(二次電池の作製)
本発明の炭素材料を用いてリチウム二次電池を作製する場合には公知の方法が使用できる。
【0052】
リチウム電池の電極では炭素材料の比表面積は小さい方がよい。本発明の炭素材料の比表面積(BET法)は3m2/g以下である。比表面積が3m2/gを超えると炭素材料の表面活性が高くなり、電解液の分解等によって、クーロン効率が低下する。さらに、電池の容量を高めるためには炭素材料の充填密度を上げることが重要である。そのためにもできるだけ球状に近いものが好ましい。この粒子の形状をアスペクト比(長軸の長さ/短軸の長さ)で表すとアスペクト比は6以下、好ましくは5以下である。アスペクト比は顕微鏡写真等から求めることができるが、レーザー回折散乱法で算出した平均粒子径Aと電気的検検知法(コールタ・カウンタ法)により算出した平均粒子径Bから粒子を円板と仮定し、この円板の底面直径をA、体積を4/3×(B/2)3π=Cとした場合、円板の厚みT=C/(A/2)2πで算出できる。従ってアスペクト比はA/Tで得られる。
【0053】
リチウム電池の電極では炭素材料の充填性がよい、嵩密度が高い方が単位体積当たりの放電容量は高くなる。本発明の炭素材料はタッピング嵩密度が0.8g/cm3以上、好ましくは0.9g/cm3以上である。タッピング嵩密度の測定は、一定量の炭素材料(6.0g)を15mmφの測定用セルに入れ、タッピング装置にセットする。落下高さを46mm、タッピング速度を2秒/回とし、400回自由落下させた後、その体積を測定する。そして質量と体積の関係から嵩密度を算出する。
【0054】
本発明の電極ペースト及び電極の作製方法は特に制約はなく、公知の作製方法で構わない。電極の製造方法としては、本発明の炭素材料を含み、有機系のバインダー(結着材)とその溶媒、好ましくは電子導電性付与剤(導電性物質)の粉末とともに混練されてペースト状の合剤となり、この電極ペーストを導電性基材に施用して、例えば、噴霧、スピン−コーティング(spin-coating)、ブレード−コーティング(blade-coating)、静電吹き付け、スクリーン印刷、塗装等によって行うことができる。中でも、スピン−コーティング(spin-coating)、ブレード−コーティング(blade-coating)、スクリーン印刷、塗装による塗布が好適である。
【0055】
バインダーについては、本発明の炭素材料と相性がよいものであれば特に限定はされないが、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマーや、SBR(スチレンブタジエンラバー)等のゴム系等公知のものが使用できる。
【0056】
溶媒には、本発明の炭素材料と相性がよく、バインダーと相溶性のよいものであれば公知のもの、バインダーが、例えばフッ素系ポリマーならトルエン、N−メチルピロリドン等、SBRなら水等、公知のものが使用できる。
【0057】
バインダーの使用量は、負極炭素材を100質量部とした場合、1〜30質量部が適当であるが、特に3〜20質量部程度が好ましい。
【0058】
負極材とバインダーとの混錬はリボンミキサー、スクリュー型ニーダー、スパルタンリューザー、レディゲミキサー、プラネタリーミキサー、万能ミキサー等、公知の装置が使用できる。
【0059】
本発明の電極ペーストに用いられる構成成分を列挙したが、本発明の目的を損なわない限り、他の成分を添加することも可能である。例えば、各種無機微粒子を添加することにより、粘度制御/溶媒保持性/熱安定性が改善され、耐久性、安全性、信頼性が改善される。また、場合によっては、無機微粒子と電解質塩、重合体との相互作用により、逆にイオン伝導度、移動度を増加することもある。
【0060】
使用する無機微粒子としては非電子伝導性、電気化学的に安定なものが選ばれる。またイオン伝導性で有ればさらに好ましい。具体的にはα、β、γ−アルミナ、シリカ等のイオン伝導性または非電導性セラミックス微粒子が挙げられる。
【0061】
複合電解質の電解液保持性向上や固体系の場合の強度の観点から、無機微粒子は一次粒子が凝集した二次粒子構造をもつものが好ましい。このような構造を持つ無機微粒子の具体例としてはアエロジル(日本アエロジル(株)製)のようなシリカ超微粒子、アルミナ超微粒子が挙げられ、安定性、複合効率からアルミナ超微粒子がさらに好ましい。無機微粒子の比表面積はできるだけ大きいことが好ましく、BET法で5m2/g以上が好ましく、50m2/g以上がさらに好ましい。このような無機微粒子のサイズとしては、平均粒径としては0.01μm〜100μmが好ましく、0.01μm〜20μmがさらに好ましい。無機微粒子の添加量は多すぎると電極の抵抗増、粘度増大、強度低下等の問題を生じる。従って好ましい添加量としては、バインダーに対して30質量%程度以下が好ましく、0.1から20質量%程度の範囲が好ましい。
【0062】
集電体は、銅、アルミニウム、ステンレス、ニッケル及びそれらの合金など公知の材料が使用できる。
【0063】
セパレーターは公知のものが使用できるが、電極間に必要に応じて介在させるセパレータとしては、イオンを透過する多孔質セパレータであればよく、微孔性ポリエチレンフィルム、微孔性ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ガラス繊維混抄不織布、ガラスマットフィルタ等が好ましく使用できる。特にポリエチレンやポリプロピレン性の不織布が好ましい。
【0064】
本発明におけるリチウム二次電池における電解液及び電解質は公知の有機電解液、無機固体電解質、高分子固体電解質が使用できる。好ましくは、電気伝導性の観点から有機電解液がよい。
【0065】
有機電解液としては、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル等のエーテル;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、ヘキサメチルホスホリルアミド等のアミド;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄化合物;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のジアルキルケトン;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、2−メトキシテトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート;γ−ブチロラクトン;N−メチルピロリドン;アセトニトリル、ニトロメタン等の有機溶媒の溶液が好ましい。さらに、好ましくはエチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ-ブチロラクトン等のエステル類、ジオキソラン、ジエチルエーテル、ジエトキシエタン等のエーテル類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等が上げられ、特に好ましくはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系非水溶媒を用いることができる。これらの溶媒は、1種または2種以上の混合を行って使用することができる。
【0066】
これらの溶媒の溶質(電解質)には、リチウム塩が使用される。一般的に知られているリチウム塩にはLiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCl、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiN(CF3SO22等がある。
【0067】
高分子固体電解質としては、ポリエチレンオキサイド誘導体及び該誘導体を含む重合体、ポリプロピレンオキサイド誘導体及び該誘導体を含む重合体、リン酸エステル重合体、ポリカーボネート誘導体及び該誘導体を含む重合体等が挙げられる。
【0068】
本発明における負極材料を使用したリチウム二次電池において、正極活物質にリチウム含有遷移金属酸化物(化学式LiXMO2、ただし、MはCo、Ni、Mn、Feから選ばれる1種以上の遷移金属、Xは0≦X≦1.2の範囲)を用いることにより安全性や高率充放電特性に優れるリチウム二次電池を得ることができる。正極活物質は特にLiXCoO2、LiXNiO2、LiXMn24、及びそれらのCo、Ni、Mnの一部を他の遷移金属などの元素で置換したものが好適である。
【0069】
上記以外の電池構成上必要な部材の選択については何ら制約を受けるものではない。
【0070】
【実施例】
以下に本発明について代表的な例を示し、さらに具体的に説明する。なお、これらは説明のための単なる例示であって、本発明はこれらに何等制限されるものではない。
【0071】
(付着用フェノール樹脂作成方法)
付着材には桐油で一部変性したフェノール樹脂を用いた。桐油100質量部とフェノール150質量部、ノニルフェノール150質量部を混合して50℃に保持する。これに0.5質量部の硫酸を加えて攪拌し、徐々に昇温して120℃で1時間保持し、桐油とフェノール類との付加反応を行った。その後温度を60℃以下に下げ。ヘキサメチレンテトラミンを6質量部と37質量%ホルマリン100質量部を加え、90℃で約2時間反応し、その後真空脱水した後、メタノール100質量部、アセトン100質量部を加えて希釈し、粘度20mPa・s(20℃)のワニスを得た。以下、本ワニスをワニスAという。
【0072】
(電池評価方法)
(1)ペースト作成
原料炭素1質量部に呉羽化学製KFポリマーL1320(フッ化ビニリデン樹脂PVDFを12質量%含有したN−メチルピロリドン(NMP)溶液品)0.1質量部を加え、プラネタリーミキサーにて混練し主剤原液とした。
【0073】
(2)電極作製
主剤原液にNMPを加え、粘度を調整した後、高純度銅箔上でドクターブレードを用いて250μm厚に塗布した。これを120℃、1hr真空乾燥し、18mmφに打ち抜いた。さらに、打ち抜いた電極を超鋼製プレス板で挟み、プレス圧が電極に対して1×103〜3×103kg/cm2となるようにプレスした。その後、真空乾燥器で120℃12hr乾燥後し、評価用電極とした。
【0074】
(3)電池作成
下記の様にして3極セルを作製した。なお以下の操作は露点−80℃以下の乾燥アルゴン雰囲気下で実施した。
【0075】
ポリプロピレン製のねじ込み式フタ付きのセル(内径約18mm)内において、上記(2)で作製の銅箔付き炭素電極(正極)と金属リチウム泊(負極)をセパレーター(ポリプロピレン製マイクロポーラスフィルム(セルガード2400))で挟み込んで積層した。さらにリファレンス用の金属リチウムを同様に積層した。これに電解液を加えて試験用セルとした。
【0076】
(4)電解液
▲1▼EC系 ;EC(エチレンカーボネート)8質量部及びDEC(ジエチルカーボネート)12質量部の混合品で、電解質としてLiPF6を1モル/リットル溶解した。
【0077】
(5)充放電試験
電流密度0.2mA/cm2(0.1C相当)で定電流低電圧充放電試験を行った。
【0078】
充電(炭素へのリチウムの挿入)はレストポテンシャルから0.002Vまで0.2mA/cm2でCC(コンスタントカレント:定電流)充電を行った。次に0.002VでCV(コンスタントボルト:定電圧)充電に切り替え、電流値が25.4μAに低下した時点で停止させた。
【0079】
放電(炭素からの放出)は0.2mA/cm2(0.1C相当)でCC放電を行い、電圧1.5Vでカットオフした。
【0080】
(実施例1)
石油系コークスを粉砕、分級して、平均粒径(D50=20μm)に調整した炭素質粉体(19.8g)に炭化ホウ素(0.2g)を添加し混合した。その後、ワニスAの樹脂固形分換算で5.4質量部にエタノール12.6質量部を加えて攪拌し、十分に溶解させた溶液を変成フェノール樹脂固形分が1.3質量%となるように加え、プラネタリーミキサーにて30分間混練した。さらに、2800℃で黒鉛化した気相成長炭素繊維(平均径150nm、平均繊維長20μm)を10質量%加えて混練した。混錬物を真空乾燥機にて80℃で2時間乾燥し、エタノールを除去した。次にこの混練物を加熱炉にて、この内部を真空置換してアルゴン雰囲気下とした後、アルゴンガスを流しつつ昇温した。2900℃で10分間保持してその後冷却した。室温まで冷却後、得られた熱処理品を目開き63μmの篩により篩い分けし、その通過物(篩下品)に本発明の粉体炭素材料を得た。得られた炭素材料の電子顕微鏡観察(SEM)を行ったところ、図1に示すように繊維状炭素(気相成長炭素繊維)が炭素質粉体表面に付着している状態が観察できた。これを単セル式の電池評価装置にかけ、電池評価電解液はEC系を使用した。大電流負荷(0.1C及び1.0C)時の電池特性を調べた。結果を表1に示す。
【0081】
(実施例2)
石油系コークスを粉砕、分級して、平均粒径(D50=20μm)に調整した炭素質粉体(19.8g)に炭化ホウ素(0.2g)を添加し混合した。その後、ワニスAの樹脂固形分換算で5.4質量部にエタノール12.6質量部を加えて攪拌し、十分に溶解させた溶液を変成フェノール樹脂固形分が1.3質量%となるように加え、プラネタリーミキサーにて30分間混練した。さらに、1000℃で熱処理した気相成長炭素繊維(未黒鉛品)を10質量%加えて混練した。次にこの混練物を加熱炉にて、内部を真空置換してアルゴン雰囲気下とした後、アルゴンガスを流しつつ昇温した。2900℃で10分間保持してその後冷却した。室温まで冷却後、得られた熱処理品を目開き63μmの篩により篩い分けし、その通過物(篩下品)に本発明の粉体炭素材料を得た。これを単セル式の電池評価装置にかけ、電池評価電解液はEC系を使用した。大電流負荷(0.1C及び1.0C)時の電池特性を調べた。結果を表1に示す。
【0082】
(比較例1)
石炭系コークスを粉砕、分級して、平均粒径(D50=20μm)に調整した粉体(19.8g)に、炭化ホウ素(0.2g)を添加し混合した。この混合物を加熱炉にて2900℃の熱処理を行った。こうして得た熱処理品を目開き63μmの篩により篩い分けし、その篩下に粉体炭素材料を得た。これを単セル式の電池評価装置にかけ、電池評価電解液はEC系を使用した。大電流負荷(0.1C及び1.0C)時の電池特性を調べた。結果を表1に示す。
【0083】
(比較例2)
石炭系コークスを粉砕、分級して、平均粒径(D50=20μm)に調整した粉体(19.8g)に、炭化ホウ素(0.2g)を添加し混合した。この混合物を加熱炉にて2900℃の熱処理を行った。こうして得た熱処理品を目開き63μmの篩により篩い分けし、その篩下に炭素材料を粉末の状態で得た。当該炭素材料に、気相成長炭素繊維(炭化ホウ素を4質量%添加し2900℃の熱処理を行い、黒鉛化したもの)1質量%を乾式により混合を行った。これを単セル式の電池評価装置にかけ、電池評価電解液はEC系を使用した。大電流負荷(0.1C及び1.0C)時の電池特性を調べた。結果を表1に示す。
【0084】
【表1】
Figure 0004286491
【0085】
(実施例3)
天然黒鉛(平均粒径(D50=25μm))に、ワニスAの樹脂固形分換算で5.4質量部にエタノール12.6質量部を加えて攪拌し十分に溶解させた溶液を変成フェノール樹脂固形分が16質量%となるように加え、万能ミキサーにて30分間混練した。さらに、1200℃で焼成した気相成長炭素繊維を3質量%加えて混練した。混錬物を真空乾燥機にて80℃で2時間乾燥し、エタノールを除去した。次にこの混練物を300℃で熱処理を行った後に、加熱炉にてこの内部を真空置換してアルゴン雰囲気下とした後、アルゴンガスを流しつつ昇温した。2900℃で30分間保持してその後冷却した。室温まで冷却後、得られた熱処理品を目開き45μmの篩により篩い分けし、その通過物(篩下品)に本発明の粉体炭素材料を得た。
【0086】
これを単セル式の電池評価装置にかけ、電池評価電解液はEC(エチレンカーボネート)/DMC(ジメチルカーボネート)=19/31の混合品で、電解質としてLiPF6を1モル/リットル溶解したものを使用した。
【0087】
充放電条件(電流量):1〜4サイクルについては充放電は共に0.2C、5〜50サイクルについては充放電は共に1.0C(ただし充電はCCCV方式(CC(定電流)で1.5Vから2mVまで1Cで充電、その後、CV(定電圧)に切り替えて25μAになるまで充電)で行った。得られたサイクル特性の結果を表2に示す。
【0088】
(比較例3)天然黒鉛(平均粒径(D50=25μm))を単セル式の電池評価装置にかけ、電池評価電解液はEC(エチレンカーボネート)/DMC(ジメチルカーボネート)=19/31の混合品で、電解質としてLiPF6を1モル/リットル溶解したものを使用した。
【0089】
充放電条件(電流量):1〜4サイクルについては充放電は共に0.2C、5〜50サイクルについては充放電は共に1.0C(ただし充電はCCCV方式(CC(定電流)で1.5Vから2mVまで1Cで充電、その後、CV(定電圧)に切り替えて25μAになるまで充電)で行った。得られたサイクル特性の結果を表2に示す。
【0090】
(比較例4)
天然黒鉛(平均粒径(D50=25μm))に、ワニスAの樹脂固形分換算で5.4質量部にエタノール12.6質量部を加えて攪拌し十分に溶解させた溶液を変成フェノール樹脂固形分が16質量%となるように加え、万能ミキサーにて30分間混練した。混錬物を真空乾燥機にて80℃で2時間乾燥し、エタノールを除去した。次にこの混練物を300℃で熱処理を行った後に、加熱炉にてこの内部を真空置換してアルゴン雰囲気下とした後、アルゴンガスを流しつつ昇温した。2900℃で30分間保持してその後冷却した。室温まで冷却後、得られた熱処理品を目開き45μmの篩により篩い分けし、その通過物(篩下品)に本発明の粉体炭素材料を得た。
【0091】
これを単セル式の電池評価装置にかけ、電池評価電解液はEC(エチレンカーボネート)/DMC(ジメチルカーボネート)=19/31の混合品で、電解質としてLiPF6を1モル/リットル溶解したものを使用した。
【0092】
充放電条件(電流量):1〜4サイクルについては充放電は共に0.2C、5〜50サイクルについては充放電は共に1.0C(ただし充電はCCCV方式(CC(定電流)で1.5Vから2mVまで1Cで充電、その後、CV(定電圧)に切り替えて25μAになるまで充電)で行った。得られたサイクル特性の結果を表2に示す。
【0093】
【表2】
Figure 0004286491
【0094】
本発明の炭素材料を用いた電池(実施例3)は50サイクル時(かつ電流負荷(1.0C)のかかっている条件下で)の容量保持率が、比較例3、4に比べて高く、サイクル特性が向上していることが判った。
【0095】
【発明の効果】
本発明の炭素材料の製造方法は、炭素質粉体に接着性を有する重合体を介して繊維状炭素を付着することで容易に導電性に優れた導電性材料を得ることができる。
【0096】
また、繊維状炭素、例えば気相成長炭素繊維を表面に具備している本発明の炭素材料を電極材料(負極活物質)として作製した負極電極は、大電流負荷特性、サイクル特性に優れた二次電池、リチウムイオン二次電池を提供することができる。
【0097】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた炭素材料の電子顕微鏡写真(倍率5,000倍)

Claims (16)

  1. 重合体を含む組成物を炭素質粒子の少なくとも一部の表面に付着させる工程、該炭素質粒子に繊維状炭素を混合する工程、次いで該炭素質粒子を熱処理する工程を含む炭素材料の製造方法であって、熱処理する工程が、2000℃以上の温度で行う焼成工程である炭素材料の製造方法。
  2. 重合体を含む組成物を炭素質粒子の少なくとも一部の表面に付着させる工程、該炭素質粒子に繊維状炭素を混合する工程、次いで該炭素質粒子を熱処理する工程を含む炭素材料の製造方法であって、炭素質粒子が黒鉛粒子であり、繊維状炭素がX線回折法による(002)面の面間隔d002が0.3395nm以下の炭素からなるものであり、熱処理する工程が50℃以上2000℃未満の温度で行う炭素材料の製造方法。
  3. 重合体が、炭素に接着性を有する重合体を含む重合体である請求項1または2に記載の炭素材料の製造方法。
  4. 重合体が、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フラン樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む重合体である請求項1乃至3のいずれかひとつに記載の炭素材料の製造方法。
  5. 熱処理する工程が、ホウ素化合物を添加して非酸化性雰囲気下で熱処理することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかひとつに記載の炭素材料の製造方法。
  6. 繊維状炭素が、内部に中空構造を有し、外径2〜1000nm、アスペクト比10〜15000である気相成長炭素繊維である請求項1乃至5のいずれかひとつに記載の炭素材料の製造方法。
  7. 気相成長炭素繊維が、分岐状繊維であり、かつ分岐部分の中空構造が連通している請求項6に記載の炭素材料の製造方法。
  8. 気相成長炭素繊維を炭素質粉体に対して0.1〜20質量%混合する請求項6または7に記載の炭素材料の製造方法。
  9. 請求項1に記載の炭素材料の製造方法によって得られた炭素材料。
  10. 炭素質粉体の平均粒径が、5〜70μmである請求項9に記載の炭素材料。
  11. 炭素質粉体が、粒径3μm以下及び/または85μm以上の粒子を実質的に含まない請求項10に記載の炭素材料。
  12. 請求項9乃至11のいずれかひとつに記載の炭素材料と、バインダーを含む電極ペースト。
  13. 請求項12に記載の電極ペーストを導電性基材に施用して得られた電極。
  14. 請求項12に記載の電極ペーストを導電性基材に塗布して得られた電極。
  15. 請求項13または14に記載の電極を構成要素とする二次電池。
  16. 非水電解液及び電解質を用いた二次電池において、該非水電解液がエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート及びプロピレンカーボネートからなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項15に記載の二次電池。
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