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リチウムイオン電池用負極材の製造方法
JP5599527B1
Japan
Description
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従来のリチウムイオン電池には、負極材料として黒鉛が主に使われている。黒鉛は化学量論上LiC6の比率までしかLiを吸蔵することができないので、黒鉛を負極に用いたリチウムイオン電池の理論容量は372mAh/gである。
酸化剤残渣が除去された炭素粒子(B)をシランカップリング剤で修飾する工程、および
前記工程で修飾された炭素粒子(B)とリチウムイオンを吸蔵・放出可能な元素を含む粒子(A)とを化学結合で連結させる工程を含むリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
〔2〕 炭素粒子(B)を酸化剤で表面処理し、次いで酸化剤残渣を除去する工程、
酸化剤残渣が除去された炭素粒子(B)をシランカップリング剤で修飾する工程、
リチウムイオンを吸蔵・放出可能な元素を含む粒子(A)をシランカップリング剤で修飾する工程、および
前記工程で修飾された炭素粒子(B)と前記工程で修飾された粒子(A)とを化学結合で連結させる工程を含むリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
〔3〕 酸化剤残渣を除去する工程が、酸または塩基で洗浄することを含む、〔1〕または〔2〕に記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
〔4〕 酸または塩基が難水溶性酸化剤残渣を溶解できるものである、〔3〕に記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
〔6〕 無機酸が、塩酸、硫酸および硝酸からなる群から選ばれる少なくとも一つである、〔5〕に記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
〔7〕 化学結合で連結された粒子(A)と炭素粒子(B)とからなる複合粒子をカーボンコートする工程をさらに含む、〔1〕〜〔6〕のいずれかひとつに記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
〔9〕 有機物を炭素化する工程が、200℃以上2000℃以下の温度で熱処理することを含む、〔8〕に記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
〔10〕 有機物が糖類である、〔8〕または〔9〕に記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
〔11〕 有機物が、グルコース、フルクトース、ガラクトース、スクロース、マルトース、ラクトース、デンプン、セルロース、およびグリコーゲンからなる群から選ばれる少なくとも一つである、〔8〕または〔9〕に記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
〔12〕 付着させる有機物の量が粒子(A)と炭素粒子(B)との合計量100質量部に対して0.05〜50質量部である、〔8〕〜〔11〕のいずれかひとつに記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
〔14〕 粒子(A)の量が炭素粒子(B)100質量部に対して1〜100質量部である、〔1〕〜〔13〕のいずれかひとつに記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
〔15〕 リチウムイオンを吸蔵・放出可能な元素が、Si、Sn、Ge、AlおよびInからなる群から選ばれる少なくとも一つである、〔1〕〜〔14〕のいずれかひとつに記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
〔16〕 化学結合が、ウレタン結合、ウレア結合、シロキサン結合、およびエステル結合からなる群から選ばれる少なくとも一つである、〔1〕〜〔15〕のいずれかひとつに記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
〔18〕 炭素粒子(B)が、石油系コークス及び/又は石炭系コークスを800℃以上2000℃未満の温度で熱処理して成る炭素質粒子である、〔1〕〜〔16〕のいずれかひとつに記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
〔19〕 炭素粒子(B)が、石油系コークス及び/又は石炭系コークスを2000℃以上の温度で熱処理して成る黒鉛粒子と、
その表面に存在する、ラマン分光スペクトルで測定される1300〜1400cm-1の範囲にあるピークの強度(ID)と1580〜1620cm-1の範囲にあるピークの強度(IG)との比ID/IG(R値)が0.1以上である炭素質層とを含有して成るものである、〔1〕〜〔16〕のいずれかひとつに記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
〔20〕 炭素質層の量が黒鉛粒子100質量部に対して0.05〜10質量部である、〔19〕に記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
該複合粒子を覆うカーボン層
を有するリチウムイオン電池用負極材。
〔22〕 炭素粒子(B)が、酸化剤で表面処理され、次いで酸または塩基により洗浄されたものである、〔21〕に記載のリチウムイオン電池用負極材。
〔23〕 〔1〕〜〔20〕のいずれかひとつに記載の製造方法で得られるリチウムイオン電池用負極材。
〔24〕 集電体、ならびに
集電体を被覆する、バインダー、導電助剤および〔21〕、〔22〕または〔23〕に記載のリチウムイオン電池用負極材を含む層
を有する負極シート。
〔25〕 〔24〕に記載の負極シートを有するリチウムイオン電池。
〔26〕 〔21〕、〔22〕または〔23〕に記載の負極材を含むリチウムイオン電池。
〔27〕 〔1〕〜〔20〕のいずれかひとつに記載の製造方法で得られる負極材を含むリチウムイオン電池。
本発明の一実施形態に係る負極材の製造方法に用いられる粒子(A)は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な元素を含む物質からなるものである。当然ながら、粒子(A)は後記の炭素粒子(B)以外のものを意味する。粒子(A)に含まれる元素はリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に限定されない。好ましい元素としては、Si、Sn、Ge、AlまたはInが挙げられる。粒子(A)は該元素の単体または該元素のうちの少なくとも1つを含む化合物、混合体、共融体または固溶体からなるものであってもよい。また粒子(A)は複数の超粒子が凝集したものであってもよい。粒子(A)の形状としては、塊状、鱗片状、球状、繊維状などが挙げられる。これらのうち、球状または塊状が好ましい。粒子(A)は二次粒子化していてもよい。
MaはLi以外の元素である。具体的に、Maとして、Si、B、C、N、O、S、P、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、Ru、Rh、Pd、Pt、Be、Nb、Nd、Ce、W、Ta、Ag、Au、Cd、Ga、In、Sb、Baなどが挙げられる。なお、MaがSiの場合は、Si単体を意味する。式中、mは好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.3以上である。
本発明の一実施形態に係る負極材の製造方法に用いられる炭素粒子(B)は、炭素材料からなる粒子である。炭素材料として、人造黒鉛、熱分解黒鉛、膨張黒鉛、天然黒鉛、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛などの黒鉛材料;または易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、ガラス状炭素、非晶質炭素、低温焼成炭などの結晶未発達の炭素質材料が用いられる。これらのうち、炭素粒子(B)は、黒鉛材料からなるもの、黒鉛粒子と炭素質層とを含有してなるもの、炭素繊維が結着された炭素被覆黒鉛粒子からなるもの、または結晶未発達の炭素質材料からなるものが、好ましい。
炭素粒子(B)は、細かい粒子が多いと電極密度を上げ難くなり、逆に大きな粒子が多いと塗工したとき負極層に塗り斑が発生して電池特性を低下させる恐れがある。このことから、炭素粒子(B)は、粒子径1〜50μmの範囲にある粒子が数基準で90%以上存在する粒度分布であることが好ましく、粒子径5〜50μmの範囲にある粒子が数基準で90%以上存在する粒度分布であることがより好ましい。また、炭素粒子(B)は、体積基準累積粒度分布における10%粒子径(D10)が、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上である。なお、炭素粒子(B)の粒度分布はレーザー回折式粒度分布測定機によって測定されるものである。粒度分布の測定においては二次粒子の粒径も含まれている。なお、後述する、黒鉛材料からなる炭素粒子(B)、黒鉛粒子と炭素質層とを含有してなる炭素粒子(B)、炭素繊維が結着された炭素被覆黒鉛粒子からなる炭素粒子(B)、および結晶未発達の炭素質材料からなる炭素粒子(B)の粒子径も上記のとおりの粒子径であることが好ましい。
一実施形態の炭素粒子(B)は、黒鉛粒子、好ましくは人造黒鉛粒子である。該黒鉛粒子は、d002が好ましくは0.337nm以下、より好ましくは0.336nm以下である。また、該黒鉛粒子は、LCが好ましくは50nm以上、より好ましくは50nm〜100nmである。なお、d002は粉末X線回折における002回折線から求めた面間隔、LCは粉末X線回折における002回折線から求めた結晶子のc軸方向の大きさである。
別の一実施形態の炭素粒子(B)は、黒鉛粒子と、その表面に存在する炭素質層とを含有して成るもの(以下、炭素被覆黒鉛粒子と表記することがある。)である。
黒鉛粒子は、石油系コークス及び/又は石炭系コークスを、好ましくは2000℃以上、より好ましくは2500℃以上の温度で熱処理して成るものである。さらに黒鉛粒子は前述した黒鉛材料からなる炭素粒子(B)の特性を有するものであることが好ましい。
別の一実施形態の炭素粒子(B)は、前述の黒鉛粒子または炭素被覆黒鉛粒子の表面に炭素繊維が結着されて成るものである。炭素繊維としては気相法炭素繊維が好ましい。
使用される炭素繊維は、平均繊維径が、好ましくは10〜500nm、より好ましくは50〜300nm、さらに好ましくは70〜200nm、特に好ましくは100〜180nmである。平均繊維径が小さすぎるとハンドリング性が低下する傾向がある。
炭素繊維のアスペクト比は特段の制約は無いが、好ましくは5〜1000、より好ましくは5〜500、さらに好ましくは5〜300、特に好ましくは5〜200である。アスペクト比が5以上であれば繊維状導電材としての機能を発揮し、アスペクト比が1000以下であればハンドリング性が良好である。
別の一実施形態の炭素粒子(B)は、結晶未発達の炭素質材料からなるものである。
ここで結晶未発達の炭素質材料とは、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、ガラス状炭素、非晶質炭素又は低温焼成炭などを指す。これら結晶未発達の炭素質材料は公知の方法に従って調製することができる。
結晶未発達の炭素質材料は、BET比表面積が、好ましくは1〜10m2/g、より好ましくは1〜7m2/gである。
粒子(A)と炭素粒子(B)との連結部には化学結合が介在する。該化学結合としては、ウレタン結合、ウレア結合、シロキサン結合、およびエステル結合からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
ウレタン結合は、(−NH−(C=O)−O−)で表される結合である。ウレタン結合は、たとえば、イソシアナト基(isocyanate group)と水酸基とが縮合して形成される。
ウレア結合は尿素結合とも呼ばれ、(−NH−(C=O)−NH−)で表される結合である。ウレア結合は、たとえば、イソシアナト基とアミノ基とが縮合して形成される。
シロキサン結合は、(−Si−O−Si−)で表される結合である。シロキサン結合は、たとえば、シラノール基の脱水縮合によって形成される。
エステル結合は、(−(C=O)−O−)で表される結合である。エステル結合は、たとえば、カルボキシル基と水酸基との反応によって形成される。
粒子(A)と炭素粒子(B)とのそれぞれに導入する官能基の組合せは、イソシアナト基と水酸基との組合せ、イソシアナト基とアミノ基との組合せ、カルボキシル基と水酸基との組合せ、シラノール基とシラノール基との組合せなどが挙げられる。組合せに係る官能基の一方を粒子(A)に導入し、他方を炭素粒子(B)に導入することができ、またその逆に導入してもよい。
官能基の導入のために粒子(A)をシランカップリング剤で修飾することが好ましい。シランカップリング剤は上述したようなものの中から選択することができる。シランカップリング剤による修飾で粒子(A)の表面に化学結合の基点となり得る官能基を導入することができる。粒子(A)の修飾に用いられるシランカップリング剤は、炭素粒子(B)に導入された官能基と反応して上記のような化学結合を形成し得る官能基を導入できるものであることが好ましい。導入する官能基は炭素粒子(B)に導入された官能基と化学結合するものであれば特に限定されない。例えば、水酸基、アミノ基、カルボニル基、シラノール基などが挙げられる。これらのうち、反応性に富むアミノ基であることが好ましい。官能基の導入量は特に限定されないが、シランカップリング剤の使用量として、粒子(A)100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは5〜50質量部、更に好ましくは10〜40質量部である。
解砕によって得られる複合粒子は、体積基準累積粒度分布における50%粒子径(D50)が、好ましくは2〜40μm、より好ましくは2〜30μm、さらに好ましくは3〜20μmである。得られた複合粒子はリチウムイオン電池用負極材として用いることができる。
本発明に係る負極材は、炭素粒子(B)に粒子(A)が万遍なく連結しているので、粒子(A)単独の凝集体がほとんど含まれていない。その状態はSEM−EDXによる観察で確認することができる。すなわち、本発明の負極材は、SEM−EDXによる観察で、全粒子(A)のうち、炭素粒子(B)の存在しない場所に存在する粒子(A)の割合が、非常に少ない。
本発明においては、化学結合で連結して成る粒子(A)と炭素粒子(B)とからなる複合粒子をカーボン層で覆うことができる。
カーボン層は、公知の方法に従って製造することができる。例えば、複合粒子に有機物を付着させ、次いで該有機物を炭素化する工程を含む方法が挙げられる。
有機物を付着させる方法としては、複合粒子にピッチや樹脂などの有機物を吹きかけながら撹拌することを含む方法;奈良機械社製ハイブリダイザーなどの装置を用いて複合粒子とピッチや樹脂などの有機物とを混合してメカノケミカル処理を行うことを含む方法;複合粒子を糖類などの有機物が溶解した溶液に浸漬し、次いで乾燥させることを含む方法;複合粒子を加熱溶融させた糖類などの有機物に浸漬し、その後常温に戻すことを含む方法;芳香族炭化水素などの有機物をCVD(Chemical Vapor Deposition)法で複合粒子に堆積させることを含む方法などが挙げられる。これらのうち、複合粒子を糖類などの有機物が溶解した溶液に浸漬し、次いで乾燥させることを含む方法が好ましい。
本発明の一実施形態に係る負極シートは、集電体と、該集電体を被覆する電極層とを有するものである。
集電体としては、例えば、ニッケル箔、銅箔、ニッケルメッシュまたは銅メッシュなどが挙げられる。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池は、非水系電解液および非水系ポリマー電解質からなる群から選ばれる少なくとも一つ、正極シート、および前記負極シートを有するものである。
本発明に用いられる正極シートには、リチウムイオン電池に従来から使われていたもの、具体的には正極活物質を含んでなるシートを用いることができる。正極活物質としては、LiNiO2、LiCoO2、LiMn2O4、LiNi0.34Mn0.33Co0.33O2、LiFePO4などが挙げられる。
(粒子径)
粉体を極小型スパーテル2杯分、及び非イオン性界面活性剤(トリトン−X;Roche Applied Science 製)2滴を水50mlに添加し、3分間超音波分散させた。この分散液をセイシン企業社製レーザー回折式粒度分布測定器(LMS−2000e)に投入し、体積基準累積粒度分布を測定した。
日本分光株式会社製レーザーラマン分光測定装置(NRS−3100)を用いて、励起波長532nm、入射スリット幅200μm、露光時間15秒、積算回数2回、回折格子600本/mmの条件で測定を行った。測定されたスペクトルから1360cm-1付近のピークの強度ID(非晶質成分由来)と1580cm-1付近のピークの強度IG(黒鉛成分由来)の比(ID/IG)を算出した。それをR値として黒鉛化度合いの指標とした。
粉末X線回折における002回折線から、面間隔d002および結晶子のc軸方向の大きさLCを求めた。
日本電子製QUICK AUTO COATERを用い、PRESETを20に設定してサンプル表面を白金でスパッタリングした。次に日本電子製FE−SEM(JSM-7600F)により、カラムモードをSEI(加速電圧5.0kV)に設定し、粉体表面をSEM観察した。
SEM−EDXの測定は、カラムモードをSEI(加速電圧15.0kV)に設定し、分布が判然とする解像度において元素マッピングを行った。
バインダーとしてポリアクリル酸(PAA、分子量約1800)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)を用意した。PAAの白色粉末を精製水に溶解し、PAA溶液を得た。また、CMCの白色粉末を精製水と混合し、スターラーで一昼夜攪拌して、精製水を吸って膨潤したCMC水溶液を得た。
カーボンブラック(SUPER C45;TIMCAL製)および気相成長法炭素繊維(VGCF−H,昭和電工社製)を質量比3:2で混合したものを導電助剤とした。
負極材90質量部、導電助剤5質量部、CMC水溶液2.5質量部、およびPAA溶液2.5質量部を混合し、これに粘度調整のための水を適量加え、自転・公転ミキサー(シンキー社製)にて混練し負極用ペーストを得た。
負極用ペーストを負極層の厚さが150μmとなるよう銅箔上に塗布し、真空乾燥させた。得られたシートから直径16mmのシート片を打ち抜いた。シート片を50℃で12時間真空乾燥させて、負極シートを得た。
露点−80℃以下の乾燥アルゴンガス雰囲気に保ったグローブボックス内で下記の操作を実施した。
2320型コインセル(直径23mm、厚み20mm)を用意した。厚み1mmのリチウム箔から直径17.5mmの箔片を打ち抜き、これを正極シートとした。正極シートをコインセルキャップに入れた。次に電解液をコインセルに注入した。その後、セパレータおよび負極シートをこの順で載せ、コインセルケースをコインセルキャップとかしめて密封し、評価用リチウムイオン電池を得た。なお、電解液は、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネートが体積比で3:5:2の割合で混合された溶媒にフルオロエチレンカーボネート(FEC)を1質量%混合し、さらにこれに電解質LiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させて得られた液である。
評価用リチウムイオン電池に、レストポテンシャルから25mVまでを0.373mA/cm2で定電流充電した。次いで0.373mA/cm2で定電流放電を行い、1.5Vでカットオフした。この充放電操作を1サイクルとして20サイクル行った。
(粒子(A)の調製)
Si粒子(一次粒子径100nm)を用意した。ナスフラスコに、トルエン100mL、シランカップリング剤である3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、LS−3150)0.2gを入れ、超音波をかけて攪拌した。これにSi粒子2gを入れて超音波を10分間照射した。その後、ナスフラスコを還流用コンデンサーにセットし、135℃にて1時間還流して、Si表面にアミノ基を導入した。この表面処理Si粒子を粒子(A-1)とした。
石油系コークスを、平均粒子径5μmとなるように粉砕した。これをアチソン炉にて3000℃で熱処理して、BET比表面積が3.2m2/gで、d002が0.3363nmで、LCが61nmで、10%粒子径(D10)が2.5μmで、50%粒子径(D50)が5.1μmで、90%粒子径(D90)が12.3μmで、且つID/IG(R値)が0.06である黒鉛粒子を得た。
次いで6規定の塩酸でろ紙上残渣を洗浄し、最後にろ紙上残渣を水洗した。この酸洗浄によって酸化マンガンなどの難水溶性酸化剤残渣を除去した。
炭素粒子(B-1)18gに粒子(A-1)2gを加え、さらに固形物とトルエンの合計重量が200gになるようトルエンを加えた。それに超音波を30分間照射した。次いで、ナスフラスコを還流用コンデンサーにセットし、80℃にて3時間還流して、炭素粒子表面のイソシアナト基と粒子表面のアミノ基をウレア結合させて複合粒子を生成させた。次いで、該複合粒子が浸かったトルエンをろ紙(ミリポア社製、穴径1マイクロメートル)にてろ過した。ろ紙上残渣を乾燥させ、得られた固形分を乳鉢で解砕して、負極材を得た。この負極材を用いて評価用リチウムイオン電池を作製し、充放電特性を測定した。その結果を表1および図3に示す。SEM−EDXによる観察で、炭素粒子の存在する場所には必ずSi粒子が存在し、炭素粒子の存在しない場所にはSi粒子が存在しなかった。このことから、本負極材は、炭素粒子にSi粒子が万遍なく連結していることがわかる。
硫酸酸性過マンガン酸カリウム溶液の濃度を2.5質量%に変更した以外は実施例1と同じ手法にて負極材を得た。SEM−EDXによる観察で、炭素粒子の存在する場所には必ずSi粒子が存在し、炭素粒子の存在しない場所にはSi粒子が存在しなかった。
この負極材を用いて評価用リチウムイオン電池を作製し、充放電特性を測定した。その結果を表1に示す。
硫酸酸性過マンガン酸カリウム溶液の濃度を1.1質量%に変更した以外は実施例1と同じ手法にて負極材を得た。SEM−EDXによる観察で、炭素粒子の存在する場所には必ずSi粒子が存在し、炭素粒子の存在しない場所にはSi粒子が存在しなかった。
この負極材を用いて評価用リチウムイオン電池を作製し、充放電特性を測定した。その結果を表1に示す。
6規定の塩酸による洗浄を行わなかった以外は実施例1と同じ手法にて負極材を得た。この負極材のSEMによる観察で、Si粒子が凝集し、炭素粒子上の一部にのみ付着している部分が多かった。また、SEM−EDXによる観察で、炭素粒子の存在しない場所にSi粒子が存在したり、炭素粒子の存在する場所にSi粒子が存在しなかったりしていた。このことから、本負極材は、Si粒子が凝集して炭素粒子とは独立に存在しているものが含まれていることがわかる。
この負極材を用いて評価用リチウムイオン電池を作製し、充放電特性を測定した。その結果を表1および図3に示す。
実施例1〜3の方法で得られた負極材は針状結晶がSEMで観察されなかったSEM−EDXによる元素マッピングでMn量は検出限界以下であった。酸洗浄によって難水溶性Mn化合物が除去されたものと推定する。
実施例1の方法で得られた負極材を用いたリチウムイオン電池では、初期放電量が高くかつ初期効率が高く、サイクル維持率が顕著に優れている。比較例1の方法で得られた負極材を用いたリチウムイオン電池は20サイクル後には充放電量がほぼ0となり、電池用負極材としての機能を失っている。
また、実施例1〜3の結果から、酸化剤の量が多い場合には初期放電量および初期効率が高くなる傾向があり、逆に酸化剤の量が少ない場合には容量維持率が良好になる傾向があることがわかる。
スクロース(C12H22O11)を精製水に溶かして、スクロース水溶液を調製した。
実施例1の方法で得られた負極材12gに、イソプロピルアルコールを適量入れて混合した。これに負極材に対するスクロースの割合が10質量%となる量のスクロース水溶液を入れて更に混合した。Si粒子は炭素粒子に化学結合しているのでSi粒子だけが浮き上がるというようなことは起きなかった。
得られた混合液をステンレスのバットに拡げて常温乾燥させ、続けて70℃にて真空乾燥させることで水分を除去した。その後、焼成炉に入れ、窒素ガス流通下700℃にて1時間焼成した。焼成炉から取り出し、粉砕および篩分して、カーボンコートされた負極材を得た。この負極材を用いて評価用リチウムイオン電池を作製し、充放電特性を測定した。その結果を表2および図4に示す。
負極材に対するスクロースの量を20質量%に変えた以外は実施例4と同じ手法にてカーボンコートされた負極材を得た。この負極材を用いて評価用リチウムイオン電池を作製し、充放電特性を測定した。その結果を表2および図4に示す。
負極材に対するスクロースの量を30質量%に変えた以外は実施例4と同じ手法にてカーボンコートされた負極材を得た。この負極材を用いて評価用リチウムイオン電池を作製し、充放電特性を測定した。その結果を表2および図4に示す。
元来、Si粒子はファン・デル・ワールス力により凝集しやすい。Si粒子は電気伝導率が低い。Si粒子の凝集体は電気的に絶縁された状態になっており、リチウムイオン電池において充放電に関与せず、その結果、容量の低下、サイクル特性の劣化、レート特性の劣化を引き起こす。
本発明においては、Si粒子が基材である炭素粒子の表面に均一に分散されている。そしてカーボンコートが、凝集の解されたSi粒子間の導電性やSi粒子と炭素粒子との間の導電性を向上させ、またSi粒子の膨張収縮を緩和する役目を果たしていると思われる。
Claims (23)
Hide Dependent
translated from
- 炭素粒子(B)を酸化剤で表面処理し、次いで酸化剤残渣を除去する工程、
酸化剤残渣が除去された炭素粒子(B)をシランカップリング剤で修飾する工程、および
前記工程で修飾された炭素粒子(B)とリチウムイオンを吸蔵・放出可能な元素を含む粒子(A)とを化学結合で連結させる工程を含むリチウムイオン電池用負極材の製造方法。 - 炭素粒子(B)を酸化剤で表面処理し、次いで酸化剤残渣を除去する工程、
酸化剤残渣が除去された炭素粒子(B)をシランカップリング剤で修飾する工程、
リチウムイオンを吸蔵・放出可能な元素を含む粒子(A)をシランカップリング剤で修飾する工程、および
前記工程で修飾された炭素粒子(B)と前記工程で修飾された粒子(A)とを化学結合で連結させる工程を含むリチウムイオン電池用負極材の製造方法。 - 酸化剤残渣を除去する工程が、酸または塩基で洗浄することを含む、請求項1または2に記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
- 酸化剤残渣を除去する工程が、無機酸で洗浄することを含む、請求項1または2に記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
- 化学結合で連結された粒子(A)と炭素粒子(B)とからなる複合粒子をカーボンコートする工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれかひとつに記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
- カーボンコートする工程が、化学結合で連結された粒子(A)と炭素粒子(B)とからなる複合粒子に有機物を付着させ、次いで該有機物を炭素化する工程を含む、請求項5に記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
- 有機物を炭素化する工程が、200℃以上2000℃以下の温度で熱処理することを含む、請求項6に記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
- 有機物が糖類である、請求項6または7に記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
- 有機物が、グルコース、フルクトース、ガラクトース、スクロース、マルトース、ラクトース、デンプン、セルロース、およびグリコーゲンからなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項6または7に記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
- 付着させる有機物の量が粒子(A)と炭素粒子(B)との合計量100質量部に対して0.05〜50質量部である、請求項6〜9のいずれかひとつに記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
- 酸化剤が金属系酸化剤である、請求項1〜10のいずれかひとつに記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
- 粒子(A)の量が炭素粒子(B)100質量部に対して1〜100質量部である、請求項1〜11のいずれかひとつに記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な元素が、Si、Sn、Ge、AlおよびInからなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項1〜12のいずれかひとつに記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
- 化学結合が、ウレタン結合、ウレア結合、シロキサン結合、およびエステル結合からなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項1〜13のいずれかひとつに記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
- 炭素粒子(B)が、石油系コークス及び/又は石炭系コークスを2000℃以上の温度で熱処理して成る黒鉛粒子である請求項1〜14のいずれかひとつに記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
- 炭素粒子(B)が、石油系コークス及び/又は石炭系コークスを800℃以上2000℃未満の温度で熱処理して成る炭素質粒子である、請求項1〜14のいずれかひとつに記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
- 炭素粒子(B)が、石油系コークス及び/又は石炭系コークスを2000℃以上の温度で熱処理して成る黒鉛粒子と、その表面に存在する、ラマン分光スペクトルで測定される1300〜1400cm-1の範囲にあるピークの強度(ID)と1580〜1620cm-1の範囲にあるピークの強度(IG)との比ID/IG(R値)が0.1以上である炭素質層とを含有して成るものである、請求項1〜14のいずれかひとつに記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
- 炭素質層の量が黒鉛粒子100質量部に対して0.05〜10質量部である、請求項17に記載のリチウムイオン電池用負極材の製造方法。
- 請求項1〜18のいずれかひとつに記載の製造方法で得られるリチウムイオン電池用負極材。
- 集電体、ならびに
集電体を被覆する、バインダー、導電助剤および請求項19に記載のリチウムイオン電池用負極材を含む層
を有する負極シート。 - 請求項20に記載の負極シートを有するリチウムイオン電池。
- 請求項19に記載の負極材を含むリチウムイオン電池。
- 請求項1〜18のいずれかひとつに記載の製造方法で得られる負極材を含むリチウムイオン電池。