JP4298094B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般には、電子写真方式を用いた画像形成装置、この画像形成装置本体に装着可能なカートリッジ、即ち、プロセスカートリッジ、カートリッジ化された現像装置などに関し、特に、カートリッジに搭載された記憶手段を用いて現像剤の残量を検知する画像形成装置に関する。
【0002】
ここで電子写真画像形成装置としては、例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えば、LEDプリンタ、レーザービームプリンタ等)、電子写真ファクシミリ装置、及び電子写真ワードプロセッサー等が含まれる。
【0003】
又、電子写真画像形成装置本体に着脱可能なカートリッジとは、電子写真感光体、電子写真感光体を帯電させる帯電手段、電子写真感光体に現像剤を供給する現像手段、電子写真感光体をクリーニングするクリーニング手段のうち少なくとも一つを有するものをいう。特に、プロセスカートリッジとは、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段の少なくとも一つと、電子写真感光体とを一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを電子写真画像形成装置本体に対して着脱可能とするものであるか、又は、少なくとも現像手段と電子写真感光体とを一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを電子写真画像形成装置本体に対して着脱可能とするものをいう。
【0004】
【従来の技術】
従来、電子写真複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真方式の画像形成装置は、画像情報に対応した光を電子写真感光体に照射して潜像を形成し、この潜像に現像手段を用いて現像剤を供給して顕像化し、更に感光体から記録媒体へ画像を転写することで記録媒体上に画像を形成している。現像手段には現像剤収納容器が連結しており、画像を形成することで現像剤は消費されていく。
【0005】
このような画像形成装置において、電子写真感光体、現像剤などの消耗品の交換、メンテナンスの簡便性を図る目的で、電子写真感光体と、電子写真感光体に作用するプロセス手段としての現像手段、帯電手段、クリーニング手段、更には現像剤収納容器や廃現像剤容器などをプロセスカートリッジとして一体化し、画像形成装置本体に対して着脱可能とするプロセスカートリッジ方式がある。このプロセスカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをサービスマンによらずにユーザー自身で行うことができるので、格段に操作性を向上させることができる。そこでこのプロセスカートリッジ方式は、電子写真画像形成装置において広く用いられている。
【0006】
又、例えば、複数色の現像手段を有するカラー画像形成装置において、各現像手段の消耗具合が違う場合などに、各色の現像手段と現像剤収納容器とをカートリッジ化した各色の現像カートリッジを画像形成装置に対して着脱可能とし、個別に交換できるようにしたものもある。
【0007】
このようなカートリッジ方式の画像形成装置では、使用者は、例えば現像剤が無くなった時点でカートリッジを交換することで、再び画像を形成することができる。そのため、このような画像形成装置には、現像剤が消費された場合にそれを検知し、使用者に報知する手段、即ち、現像剤量検出装置を備えることがある。
【0008】
現像剤量検出装置は、カートリッジ内に画像形成に供することができる現像剤がどれくらい残っているかを随時知ることを可能とするために、現像剤残量レベルを検知できる現像剤残量検出手段をカートリッジ又は画像形成装置本体に備える。
【0009】
特に、現像剤が無くなったことを使用者に報知するだけではなく、現像剤の量を逐次に検知して報知することによって、使用者の利便性を更に向上したものがある。このような画像形成装置では、現像剤が未使用時の何%だけ残っているかを算出して使用者に逐次報知したり、又、所定品位の画像形成が行えない程現像剤が減ったことを示す「現像剤無し」表示を行い、画像不良が起こる前に現像剤が残り少なくなったことを使用者に警告したりするものがある。
【0010】
この現像剤残量検出手段の一方式として、プレートアンテナ方式がある。このプレートアンテナ方式は、例えば、現像手段が備える現像剤担持体に交流バイアスを印加して電子写真感光体に形成した潜像を現像する現像方式を採用したカートリッジにおいて、電極となる板金を現像剤担持体に対向する箇所、若しくはその他の複数の箇所に設けて、この板金と現像剤担持体との間、及びこれら板金と板金との間の静電容量が、絶縁性トナーなどとされる現像剤の量に応じて変化することを利用したものである。
【0011】
即ち、この板金と現像剤担持体との間、若しくは板金と板金との間の空間が現像剤で埋まっていれば、その間の静電容量は大きくなり、現像剤が減るにつれて両者の間の空間を空気が占める率が増え、静電容量は小さくなっていく。従って、この板金と現像剤担持体との間の静電容量や板金間の静電容量と現像剤量の関係を予め求めておけば、静電容量を測定することによって現像剤量レベルを検知することができる。
【0012】
静電容量の測定は、現像剤担持体に交流バイアスを印加した際に、この現像剤担持体に対向して設けられた板金に流れる電流を測定することによって行われる。或は、複数の板金が設けられる場合には、電極である板金に交流バイアスを印加した際にもう一方の板金に流れる電流を測定することによって同様に板金間の静電容量を測定することができる。このプレートアンテナ方式の現像剤量検出装置では、多くは現像剤担持体に現像バイアスが印加されている画像形成時に現像剤量を検知する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように、現像剤残量レベルを検知できる現像剤残量検出手段が備えられていても、現像剤残量検出手段によって検出した現像残量の値と、実際に現像装置内に残っている現像剤量が一致しない、即ち、正確に現像剤の残量を検出できないことがあり、特に現像剤無しである白抜け画像が警告を発する前に発生してしまうことがある。
【0014】
例えば、上述のプレートアンテナ方式の現像剤量検出装置の場合、現像剤担持体と電極である板金との間の静電容量、又は電極である板金間の静電容量は、それぞれの位置関係によって左右される。即ち、現像装置内に現像剤が無い場合でも、両者の間が近ければ静電容量の絶対値は大きくなり、両者の間が遠ければ小さくなる。これにより、現像剤残量検出手段としての板金の公差などにより、各カートリッジ間で、現像剤量検出値にバラツキが生じることがある。又、現像装置内に収容される現像剤の製造ロット、使用環境やカートリッジの部品、又画像形成装置本体の電子部品などの公差などからも現像剤量検出値にバラツキが生じる。
【0015】
従って、予め設定された静電容量の検出値と現像剤量との関係を用いて現像剤残量レベルの検知を行った場合、検知結果が実際に現像装置内に残っている現像剤量とかけ離れてしまう問題が発生する場合がある。
【0016】
つまり、現像装置内に現像剤がフルに充填されている時(現像剤フル時)、即ち、プロセスカートリッジの使用開始時において、現像剤残量検出手段による静電容量検出値が設定値(想定値)より大きくなっているプロセスカートリッジの場合、現像剤量検出装置は、プロセスカートリッジの使用を通して常に実際の現像剤残量よりも多く見積もった値を検出するので、「現像剤無し」を使用者に警告する前に現像剤が所定値より少なくなり、所謂、白抜け画像が発生してしまう。
【0017】
逆に、現像剤フル時の静電容量の検出値が設定値より小さいプロセスカートリッジの場合、現像剤量検出装置は、プロセスカートリッジの使用を通して常に実際の現像剤残量より少なく見積もった値を検出するので、現像装置内に多くの現像剤が残っているにも拘わらず、「現像剤無し」の警告を発してしまうことがある。そして、使用者がこの警告に従ってプロセスカートリッジを交換してしまうと、多量の現像剤を無駄にしてしまい、ひいては資源の無駄使いにつながる。本発明は斯かる問題に鑑みて成されたものである。
【0018】
従って、本発明の主たる目的は、正確に現像装置内の現像剤の残量を検出することのできるカートリッジが着脱可能な画像形成装置を提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、正確に現像装置内の現像剤の残量を検出し、現像剤無し時に起こる白抜け画像を警告前に発生させることがなく、更に、白抜け時の現像剤残量を極力少なく抑えることができ、現像剤の無駄を無くすことが可能なカートリッジが着脱可能な画像形成装置を提供することである。
【0020】
本発明の更に他の目的は、適切なカートリッジ交換時期を示すことのできるカートリッジが着脱可能な画像形成装置を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係るカートリッジが着脱可能な画像形成装置にて達成される。
【0022】
発明によると、現像剤収納部と、前記現像剤収納部内の現像剤量に応じた少なくとも2つの電極間の静電容量を測定することによって得られる信号を逐次出力可能な現像剤残量検出手段と、前記現像剤収納部内に現像剤が充填されていない状態で前記現像剤残量検出手段によって検出した信号に対応する第1情報を予め記憶した記憶手段と、を有するカートリッジが着脱可能な画像形成装置において、
前記カートリッジが前記画像形成装置の装置本体に装着された際に、前記記憶手段と前記装置本体との通信をおこなう通信手段と、
前記現像剤残量検出手段によって検出される静電容量の値が最大になった際の信号に対応する第2情報を、前記通信手段によって前記記憶手段に随時更新して記憶させる本体制御部と、
前記本体制御部に設けられた演算部であって、前記現像剤残量検出手段によって検出した前記信号と、前記通信手段によって前記記憶手段から読み出された前記第1情報と、前記第2情報とを用いて前記現像剤収納部内の現像剤残量を演算する演算と、
を有することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0024】
本発明の一実施態様によると、更に、前記本体制御部は前記現像剤収納容器内の現像剤量に対応させて所定の刻み幅で設定された係数が記憶され、前記演算部は、前記現像剤残量検出手段によって逐次出力される前記信号と、前記第1情報及び前記第2情報と、前記本体制御部に記憶された前記係数を用いた関数に基づいて前記現像剤収納容器内の現像剤残量を演算する
【0033】
本発明の他の実施態様によると、更に、表示手段を有し、演算した前記現像剤残量を表示するための信号をこの表示手段に送信して表示するか、或いは、更に、表示手段を有する機器を通信可能であり、演算した前記現像剤残量を表示するための信号をこの表示手段を有する機器に送信する
【0034】
又、上記本発明にて、他の実施態様によると、前記カートリッジは更に、電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、電子写真感光体に現像剤を供給する現像手段と、電子写真感光体をクリーニングするクリーニング手段のうち少なくとも一つを有する
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るカートリッジが着脱可能な画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0036】
実施例1
先ず、図1及び図2を参照して、本発明に従って構成されるプロセスカートリッジを装着可能な電子写真画像形成装置の一実施例について説明する。本実施例にて、電子写真画像形成装置は、電子写真式のレーザービームプリンタAとされ、ホストコンピュータからの画像情報を受け取り、電子写真画像形成プロセスによって記録媒体、例えば、記録紙、OHPシート、布などに画像を形成するものである。
【0037】
レーザービームプリンタAは、ドラム形状の電子写真感光体、即ち、感光体ドラム1を有する。感光体ドラム1は、帯電手段である帯電ローラ2によって帯電され、次いで、レーザースキャナー3から画像情報に応じたレーザ光Lを照射することによって、感光体ドラム1に画像情報に応じた潜像が形成される。この潜像は、現像手段5を構成する現像装置Cによって現像し、可視像、即ち、トナー像とする。
【0038】
つまり、現像装置Cは、現像剤収納部として、現像剤担持体である現像ローラ5aを備えた現像室5Aと、現像室5Aに隣接して形成された現像剤収納容器4を有しており、現像剤収納容器4内の現像剤Tが現像室5Aの現像ローラ5aへと供給される。現像剤収納容器4内には、図1中の矢印方向に回転する攪拌手段15が設けられており、この攪拌手段15が回転することで、現像剤Tがほぐされつつ現像ローラ5aへ供給される。本実施例では、現像剤Tとしては、絶縁性磁性1成分トナーを用いた。又、現像ローラ5aは、固定磁石5bを内蔵しており、現像ローラ5aを回転することによって現像剤は搬送され、現像剤層厚規制部材である現像ブレード5cにて摩擦帯電電荷が付与されると共に所定厚の現像剤層とされ、感光体ドラム1の現像領域へと供給される。この現像領域へと供給された現像剤は、感光体ドラム1上の潜像へと転移され、トナー像を形成する。現像ローラ5aは、現像バイアス印加手段34(図2)に接続されており、通常、交流電圧に直流電圧が重畳された現像バイアス電圧が印加される。
【0039】
一方、トナー像の形成と同期して給紙カセット200にセットした記録媒体Pをピックアップローラ8、搬送手段9Aを介して転写位置へと搬送する。転写位置には、転写手段としての転写ローラ6が配置されており、電圧を印加することによって、感光体ドラム1上のトナー像を記録媒体Pに転写する。
【0040】
トナー像の転写を受けた記録媒体Pは、搬送手段9Bで定着手段10へと搬送する。定着手段10は、ヒータ10aを内蔵した定着ローラ10b及び駆動ローラ10cを備え、通過する記録媒体Pに熱及び圧力を印加して転写されたトナー像を記録媒体P上に定着する。
【0041】
記録媒体Pは、搬送手段9cにより排出トレイ14へと排出される。この排出トレイ14は、レーザービームプリンタAの装置本体100の上面に設けられている。
【0042】
転写ローラ6によってトナー像を記録媒体Pに転写した後の感光体ドラム1は、クリーニング手段7によって感光体ドラム1上に残留した現像剤を除去した後、次の画像形成プロセスに供される。クリーニング手段7は、感光体ドラム1に当接して設けられた弾性クリーニングブレード7aによって感光体ドラム1上の残留現像剤を掻き落として廃現像剤容器7bへと集める。
【0043】
一方、本実施例において、プロセスカートリッジBは、図2に示すように、現像剤を収納する現像剤収納容器4及び攪拌手段15を有する現像剤枠体11と、現像ローラ5a及び現像ブレード5cなどの現像手段5を保持する現像枠体12とを溶着して一体として現像ユニット(現像装置)Cを形成し、更にこの現像ユニットCに、感光体ドラム1、クリーニングブレード7a及び廃現像剤容器7bなどのクリーニング手段7及び帯電ローラ2を取り付けたクリーニング枠体13を一体に結合することによってカートリッジ化されている。
【0044】
このプロセスカートリッジBは、ユーザーによって画像形成装置本体100に設けたカートリッジ装着手段101(図1)に対して取り外し可能に装着される。
【0045】
本発明によれば、レーザービームプリンタAは、現像装置C内の現像剤Tの消費に従ってその残量を逐次検知するこのできる現像剤残量検出手段を備えた現像剤量検出装置を有している。
【0046】
本実施例によれば、現像剤残量検出手段30としてプレートアンテナを有している。図2に示すように、本実施例では、プレートアンテナとして、現像ローラ5aに対向する位置に、現像装置Cの長手方向の全域にわたって設けられた出力板金32と、出力板金32と略同等の長手長さを有し、出力板金32と対向するように設けられた入力板金31を備えている。
【0047】
プレートアンテナとしての電極対を構成する入力板金31及び出力板金32は、基本的に電流を流すことのできる材料であれば特に限定することなく使用することができるが、本実施例では、板金31、32の材料として、サビに強いSUSを使用している。
【0048】
本実施例では、現像ローラ5aと入力板金31とは、プロセスカートリッジBが画像形成装置本体100に装着された状態で、画像形成装置本体100に設けられた電圧印加手段としての現像バイアス印加手段34に電気的に接続される。
【0049】
そして、通常の現像バイアスである2KHz程度の交流バイアスと−400V程度の直流バイアスが現像ローラ5a及び入力板金31に印加されると、現像ローラ5aと現像ローラ5aに対向した出力板金32との間、及び入力板金31と出力板金32との間で交流電流が流れ、電流測定装置33によって両者の合成電流値が計測される。こうして、電流測定装置33によって測定された電流値から、現像ローラ5aと出力板金32との間、及び入力板金31と出力板金32との間の静電容量に基づく合成の静電容量が計測される。
【0050】
このように、プレートアンテナである入力板金31と出力板金32とを現像装置C内に配設し、現像装置C内の現像剤Tの減少に伴って、入力板金31と出力板金32との間、現像ローラ5aと出力板金32との間の静電容量を観測することで、随時現像剤収納容器4内の現像剤量を知ることができる。
【0051】
ここで、以下の説明において、現像ローラ5aと出力板金31との間の静電容量、及び入力板金31と出力板金32との間の静電容量に応じて最終的に出力板金32を介して出力される信号を、単に「現像剤残量検出手段からの信号」、「現像剤残量検出手段の検出値」などと呼ぶ。
【0052】
本発明によれば、図1〜図3に示すように、プロセスカートリッジBに記憶手段20が配設される。本実施例によると、プロセスカートリッジBは、廃現像剤容器7bの上側面部に、記憶手段20としての読み書き可能なメモリと、このメモリ20への情報の読み書きを制御するためのカートリッジ側伝達部21を有している。プロセスカートリッジBが画像形成装置本体100に装着されると、カートリッジ側伝達部21と画像形成装置本体100に設けられた本体制御部22が互いに対向して配置されている。又、本体制御部22は装置本体100側の伝達手段としての機能も含んでいる。
【0053】
本実施例ではメモリ20は廃現像剤容器7bの上側面部に設置されているが、これは、本実施例のレーザービームプリンタAではプロセスカートリッジBが廃現像剤容器7b側を先頭にした方向にて画像形成装置本体100内に挿入されるので、メモリ20に隣接して設けられるカートリッジ側伝達部21と、画像形成装置本体100側の本体制御部22とによって構成させる通信手段の位置合わせがし易いように考慮したからである。
【0054】
本発明に使用される記憶手段20としては、不揮発性メモリ、揮発性メモリとバックアップ電池を組み合わせたものなど、通常の半導体による電子的なメモリを特に制限なく使用することができる。特に、メモリ20が、メモリ20と読みだし/書き込みICの間のデータ通信を電磁波によって行う非接触メモリである場合、カートリッジ側伝達部21と本体制御部22との間が非接触であってもよいため、プロセスカートリッジBの装着状態による接触不良の可能性がなくなり、信頼性の高い制御を行うことができる。本実施例では記憶手段20として非接触型のメモリを用いた。
【0055】
これら二つの本体制御部22及びカートリッジ側伝達部21によってメモリ20内の情報の読み出し及び書き込みを行うための制御手段が構成される。メモリ20の容量については、後述するカートリッジ使用量及びカートリッジ特性値などの複数個の情報を記憶するのに十分な容量をもつものとする。又、メモリ20には、カートリッジが使用された量が随時書き込み記憶されている。
【0056】
次に、本実施例におけるメモリ20の制御構成を説明する。
【0057】
図3に示すように、プロセスカートリッジB側には、メモリ20と伝達部21が配置されており、画像形成装置本体100に設けられた本体制御部22は、制御部23、演算部24、現像剤残量検知補正テーブル25、現像剤残量検出部26、演算式27及び現像剤残量Y%補正テーブル(図示せず)などを有している。
【0058】
メモリ20内には様々な情報が格納されているが、本実施例では現像剤収納容器4内に現像剤が充填されていない状態の時の値(以後「PAE(プレート・アンテナ・エンプティ)」と呼ぶ。)情報(第1情報)、検出電圧値の最小値(以後「PAF(プレート・アンテナ・フル)」と呼ぶ。)情報(第2情報)、白抜けW値情報、現像剤残量Y%値情報及び検出電圧値情報が格納されているものとする。
【0059】
又、これらメモリ情報は、本体制御部22内の演算部24と常に送受信可能な状態になっており、これら情報を元に演算され制御部23によってデータの照合が行われている。残量検知検出部26によって検出された検出電圧値は随時メモリ20に格納される。
【0060】
図4にプロセスカートリッジ内の現像剤量を検知するための回路構成を示す。現像剤量は、現像バイアス印加手段としての現像バイアス回路34から所定のACバイアスを出力すると、その印加バイアスは、リファレンスコンデンサC1と、現像ローラ5aと、電極31とにそれぞれ印加される。これによって、リファレンス用コンデンサC1の両端には電圧V1が発生し、電極31、32の電極間には静電容量C4(C2+C3)に応じた電流が発生する。この電流を演算により電圧V2に変換する。
【0061】
電流測定装置33の検出回路は入力されるリファレンス用コンデンサC1の両端に発生する電圧V1と電極対間電圧V2の電圧差から電圧V3を生成し、AD変換部35に出力する。AD変換部35はアナログ電圧V3をデジタル変換した結果を制御部23に出力する。制御部23は、このデジタル値に変換された電圧値からプロセスカートリッジ内の現像剤量を認識する。
【0062】
以上のように本実施例では、現像剤残量検出手段30によって検出された静電容量値は、画像形成装置本体100にて電圧に変換して図5のような電圧値で出力されている。現像剤が現像剤収納容器4内にない状態の時には検出電圧値は最大値(静電容量は最小値)PAEを示す。PAEはプロセスカートリッジ製造時に治具等などでメモリ20に書き込まれるものとする。また、現像剤量が最大である時には検出電圧値は最小値(静電容量は最大値)PAFを示す。PAFは、現像剤充填が終了している状態でメモリ20に書き込まれ、レーザビームプリンタが稼働中に検出電圧値が最小(静電容量は最大値)を示すと、随時更新されていく。なお、本実施例における理想的なPAE及びPAFの値は表1に示したようにそれぞれ3.0V、1.0Vである。
【0063】
又、静電容量と電圧の関係は、画像形成装置の回路により様々であり、静電容量と電圧の関係が同じ減少関数であっても、増加関数であってもよい。
【0064】
【表1】
Figure 0004298094
従来の現像剤残量と静電容量値の補正方法について説明する。
【0065】
図5は、横軸が現像装置内の残現像剤量を示し、縦軸に、上記プレートアンテナ31、32間と、プレートアンテナ32と現像ローラ5a間で各々計測される静電容量値C2、C3が合計された検出電圧値である。図5内には、実線で示す理想曲線(−●−)と、破線(−○−)で示すPAE値から求めた現像剤残量と、検出電圧値との関係が記入されている。いずれの場合も曲線の形状は現像装置内に収容された現像剤量が同じであれば変わらず、上記で説明したようにプレートアンテナ31、32の位置関係等のズレによって現像剤のない状態での検出電圧値(静電容量値)が異なっているために理想曲線とPA実測値から求められた現像剤残量と検出電圧値との関係を示した曲線が相対的にズレを生じている。
【0066】
ここで、現像剤が少なくなり画像全域を可視化できず画像不良が発生してしまう状態(以後「白抜け」と呼ぶ。)となる前に警告を発するには、図5及び図6に示すように、本実施例では、理想曲線にてPAEより0.8V小さい(残現像剤量20g想定)検出電圧値にて警告を発すればよい。
【0067】
しかしながら、理想曲線だけで現像剤残量を判断すると、最後に現像剤無し(白抜け)警告を行なうところでは、現像剤無し警告前に白抜けを起こしてしまうことがあり得る。つまり、白抜け画像は現像剤残量20gで発生すると想定し、理想曲線から白抜けの発生する検出電圧値を求めると2.2Vとなる。しかし、実測値のように仮にPAF値が0.8Vとすると、白抜けは2.0Vで発生する可能性があるので、現像剤無し警告前に白抜け画像を出力してしまう可能性が非常に高い。
【0068】
更には、通常ほとんど確率は低いが、現像剤状態が非常に悪く画質として良好とは言えない状態(但し、ライン画像程度なら使えるレベル)で現像剤残量検出手段の検知領域内に現像剤が行き渡らない場合には、PAFの検出電圧値は通常、即ち、現像剤状態が良好な場合より大きく検知される(静電容量値としては小さく検知される)。また、このPAFの値にある一定値を加える形で現像剤残量と検出電圧値を関係付けると、現像剤無しを警告する前に白抜け画像を発生させてしまうことになる。このようなイレギュラーの場合も考慮して白抜け画像を発生させないためには、PAFのみの補正ではなくPAEの値からも補正し白抜け画像の出力を回避する必要がある。
【0069】
これらプロセスカートリッジ固有の逐次残検のばらつきは、残検アンテナの組み付け公差のばらつき、及び、カートリッジの部品、本体の電子部品などの公差から生じるものである。そこで、本実施例では、
(1)プロセスカートリッジBに記憶手段(メモリ)20を備え、プロセスカートリッジ製造時の現像剤が充填されていない状態において治具等で測定された値、即ち、PAEをプロセスカートリッジに付属したメモリに書き込む。
(2)検出電圧値の最小値(静電容量値の最大値)、即ち、PAFを残量検知手段から得、プロセスカートリッジに付属したメモリに書き込む。そして、比較手段によって、常時検出される検出電圧値を前に書き込んだ値と比べて小さい場合にはメモリ内のPAFを書き換え、そうでない場合は書き換えを行わない、という処理を繰り返す。
(3)PAE、PAF及び現像剤残量の関係を用いた重み付けの関数を予め本体制御部若しくはメモリ内に格納する。
(4)そして、重み付けの関数と検出電圧値の関係に、重み付け関数の補正値を代入していき、補正値を決定する。
(5)補正テーブルによって、現像剤残量を算出する。
(6)その結果を、随時表示手段に表示させる。
という制御を行う。
【0070】
上記制御により、カーリッジの個体差で上記検出電圧値(静電容量値)が異なっても、現像剤状態が異常で現像剤残量検出手段の検出領域内に現像剤が入り込みにくくなっている状態でも、確実に白抜け画像出力前に警告を発し現像剤残量も逐次に検出できる。
【0071】
更に説明すれば、上記制御方法において、
[PAE−PAF]・・・▲1▼
を使用範囲として設定した。また、現像剤がプロセスカートリッジ内にあるにも関わらず現像剤量が少ないため白抜けという画像不良を起こす状態がある。このときの値を白抜け電圧とし、白抜け電圧とPAFの関係で使用範囲を設定しても構わない。白抜け電圧は、
白抜け電圧:PAW=[(PAE)−(実験的データ蓄積に基づいた経験値W)]
と呼び、その値を▲1▼式のPAEの代わりに用いても良い。
【0072】
本実施例において、使用範囲は、
[PAW−PAF]=[PAE−W−PAF]・・・▲2▼
とし、PAW=3.0−0.8=2.2V、PAF=1.0Vであるので、使用範囲=2.2−1.0=1.2Vである。
【0073】
重み付けの関数は、
F(PAF、PAE、W)=|PAF+[PAW−PAF]×Z|・・・・▲3▼
とし、Zは補正値である。これは、使用範囲内を適当な間隔で区切るような値であり、予め逐次検知補正テーブルとして本体制御部に格納されている。
【0074】
そして、現像剤残量は▲4▼式が成立するZから求める。
|PAF+[PAW−PAF]×Z|≦|V3|・・・▲4▼
表2の逐次検知補正テーブルから、▲4▼式においてZ=0.1が成立しなければ、現像剤残量は100%と表示し、Z=0.1が成立すれば、次にZ=0.18を▲4▼式に代入し、成立しなければ現像剤残量は30%となる。つまり、上位のZで▲4▼式が成立した場合は、順次Z値を増やして▲4▼式を算出し、式が成立しないZによって現像剤残量を認識する。
【0075】
【表2】
Figure 0004298094
図6及び図7のフローチャートを用いて、本実施例のステップ101〜125(S101〜125)の各工程を備えた現像剤残量逐次検出、即ち、逐次残検の動作について説明する。
S101:電源スイッチをONとし、画像形成装置本体が動作が開始する(START)。
S102:制御部23がメモリ20内のPAE情報を確認する。
S103:演算部24がPAWを計算する。
S104:残量検知検出部26が検出電圧V3を測定する。
S105:制御部23がメモリ20内のPAF情報を確認する。
S106:制御部23がメモリ20内に格納されているPAFとV3を比較し、V3がPAFを越えるかどうか確認する。“No”と判断した場合S107に進みメモリ20内のPAFの値を更新しS108へ進み、“Yes”と判断した場合にはS108に進む。
S108:演算部24が残量検知補正テーブル25のZ=0.18をF(PAF、PAE、W)に代入し計算値を得、制御部23が、現像剤残量測定値V3がF(PAF、PAE、W)を越えるかどうか確認する。“Yes”の場合S111に進む。“No”の場合にはS109に進み、制御部23が、現像剤残量が100%であることをエンジン内部に信号を発信し、ディスプレーに表示する。そして、S110に進み、メモリ20内の現像剤残量情報、即ち、Y%値情報を更新する。その後、S104に戻る。
S111:演算部24が残量検知補正テーブルのZ=0.25をF(PAF、PAE、W)に代入し計算値を得、制御部23が、現像剤残量測定値V3がF(PAF、PAE、W)を越えるかどうか確認する。“Yes”の場合S114に進む。“No”の場合にはS112に進み、制御部23が、現像剤残量が30%であることをエンジン内部に信号を発信し、ディスプレーに表示する。そして、S113に進み、メモリ20内のY%値情報を更新する。その後、S104に戻る。
S114:演算部24が残量検知補正テーブルのZ=0.35をF(PAF、PAE、W)に代入し計算値を得、制御部23が、V3がF(PAF、PAE、W)を越えるかどうか確認する。“No”の場合にはS115に進み、制御部23が、現像剤残量が25%であることをエンジン内部に信号を発信し、ディスプレーに表示。そして、S116に進み、メモリ20内のY%値情報を更新する。その後、S104に進む。
【0076】
“Yes”の場合は、表2の残量検知補正テーブルに従って、Z=0.50を代入して進んでいく。このチャートを、Z=0.95になるまで繰り返す。
S117:演算部24が残量検知補正テーブルのZ=0.95をF(PAF、PAE、W)に代入し計算値を得、制御部23が、現像剤残量測定値V3がF(PAF、PAE、W)を越えるかどうか確認する。“No”の場合にはS118に進み、制御部23が、現像剤残量が2%であることをエンジン内部に信号を発信し、ディスプレーに表示する。そして、S119に進み、メモリ20内のY%値情報を更新する。その後、S104に進む。“Yes”の場合は、S120に進む。
S120:演算部24が残量検知補正テーブルのZ=0.99をF(PAF、PAE、W)に代入し計算値を得、制御部23が、V3がF(PAF、PAE、W)を越えるかどうか確認する。“No”の場合にはS121に進み、制御部23が、現像剤残量が1%であることをエンジン内部に信号を発信し、ディスプレーに表示する。そして、S122に進み、メモリ20内のY%値情報を更新する。その後、S104に進む。“Yes”の場合はS123に進む。
S123:制御部23が現像剤残量が0%であることをエンジン内部に信号を発信し、ディスプレーに表示する。
S124:メモリ20内のY%値情報を更新する。
S125:終了。
【0077】
以上説明した上記フローチャートに従いステップ101からステップ125の工程からなる制御動作を行うことによって、図8に示すように、カートリッジ個体差を吸収した逐次残検が可能になった。
【0078】
当然ながら、カートリッジ構成、特に現像剤残量検出手段の構成と配置によって、現像剤残量と検出電圧値との関係は大きく異なるため、上記一定値は本実施例の値に限定されるものではなく、実施形態に則した形で個々に設定することができる。
【0079】
又、残量検知補正テーブル25は、本体制御部22内に格納されているがプロセスカートリッジBのメモリ20内に格納させても良い。その結果、カートリッジ個々の特性に応じたテーブルを使用でき、より正確な逐次残検を可能にする。今回、テーブルを使用して現像剤残量を演算したが、Zは演算式によって管理され、カートリッジ個々で変化しても良い。
【0080】
更に、本実施例では5g(5%)程度の刻み幅で説明したが、当然ながらある一定値を細かくすれば細かくするほどより細かい現像剤残量表示を行うことが出来る。また分解能も、一定間隔だけでなく100%、30%、20%、15%、10%、8%、5%・・・・と残り少ないところでの分解能を上げても良い。現像剤残量の表記方法も(g)や(%)に限定するものではなく、他の表示方法として、更に進んだ形で残り何枚出力できるとか様々な他の表示方法でも構わない。
【0081】
又、ディスプレー表示に関しても、ガスゲージ、棒グラフ及び値表示、満タンに対しての比率つまり残り何%と表示しても良いし、又、警告メッセージや音声による報知、或いは、記録媒体に記録し出力することも当然可能であり、現像剤残量がユーザに分かる方式であればどのような表示方式であっても構わない。ディスプレー表示としては、画像形成装置本体100に設けた表示手段40にて表示することに限定されるものではなく、画像形成装置本体100と通信可能に接続されたホストコンピュータなどの機器の画面などのディスプレー手段にて行うこともできる。
【0082】
更に、本実施例は、現像剤残量レベル検出手段としてプレートアンテナ方式を用いたが、本発明は、この方式の現像剤残量レベル検出手段に限定するものではなく、現像剤残量レベルを検知できれば、その方式は問わない。
【0083】
実施例2
次に、本発明に係る実施例2について説明する。本実施例2において、画像形成装置及びプロセスカートリッジの構成は実施例1と同様なのでここでの説明は省略し、本発明の特徴のみ説明する。
【0084】
実施例1では、現像剤残量逐次検出、即ち、逐次残検の補正値であるPAEとしてプロセスカートリッジ製造時に治具による測定値をメモリ20内に格納し使用したが、本実施例ではPAEの値としてプロセスカートリッジ製造時の現像剤が現像剤収納容器4内に充填されていない状態に治具で測定された値を範囲ごとのグループに分けて、それぞれのグループが区別可能なPAE情報値をメモリ20内に格納する。このPAE情報値は、画像形成装置本体100にプロセスカートリッジBが装着された際本体制御部22がメモリ20から読み出し、認識される。そして、本体制御部22がPAE情報値に応じた値をそのプロセスカートリッジのPAEと認識することを特徴としている。
【0085】
本発明に使用されるメモリ20としては、実施例1にて説明したように、通常の半導体による電子的なメモリが特に制限なく使用することができる。特に、メモリ20と読み出し/書き込みICの間のデータ通信を電磁波によって行う非接触メモリである場合、伝達部21と本体制御部22の間が非接触であってもよいためカートリッジBの装着状態による接触不良の可能性がなくなり、信頼性の高い制御を行うことができる。
【0086】
これら二つの制御部22及び伝達部21によってメモリ20内の情報の読み出し及び書き込みを行うための制御手段が構成される。メモリ20の容量については、後述するカートリッジ使用量及びカートリッジ特性値などの複数個の情報を記憶するのに十分な容量をもつものとする。また、メモリ20には、カートリッジが使用された量が随時書き込み記憶されている。
【0087】
図9において、本実施例におけるメモリ制御構成を説明する。カートリッジB側には、メモリ20と伝達部21が配置されている。また、画像形成装置本体100側には、本体制御部22が配置されており、本体制御部22は、制御部23、演算部24、現像剤残量検知補正テーブル25、現像剤残量検知検出部26、演算式27及びPAE値補正テーブル28などを有する。
【0088】
メモリ20内に様々な情報が格納されているが、本実施例では少なくともPAE情報、PAF情報、W値情報、Y%値情報、検出電圧V3情報、PAE情報値α、PAE情報値β、PAE情報値γが格納されているものとする。
【0089】
又、これらメモリ情報は、本体制御部22内の演算部24と常に送受信可能な状態になっており、これら情報を元に演算され制御部23によってデータの照合が行われている。
【0090】
次に、現像剤残量逐次検出について説明する。
【0091】
本実施例では、現像剤残量検出手段によって検出された静電容量値を画像形成装置本体100が電圧に変換して電圧値で制御している。この電圧値は、プレートアンテナ31と32間、及びプレートアンテナ32と現像ローラ5a間で各々計測される静電容量値が合計された検出電圧値である。現像剤量が最大である時には検出電圧値は最小値(静電容量は最大値)PAFを示す。PAFは、現像剤充填が終了している状態でメモリ20に書き込まれ、レーザビームプリンタが稼働中に検出電圧値が最小(静電容量は最大値)を示すと随時更新されていくものである。なお、本実施例におけるPAFの値はおよそ1.0Vである。
【0092】
又、静電容量と電圧の関係は、画像形成装置の回路により様々であり、静電容量と電圧の関係が同じ減少関数であっても増加関数であってもよい。
【0093】
更に、逐次残検推移は現像装置内に収容された現像剤量が同じであれば変わらず、プレートアンテナの位置関係等のズレによって現像剤のない状態での検出電圧値(静電容量値)が異なっているためにカートリッジ個体差によって現像剤残量と検出電圧値との関係を示した曲線が相対的にズレを生じている。
【0094】
例えば、白抜け状態になったことをユーザに警告を発するための保証としてある基準カートリッジを設け、そのテーブルに応じて現像剤残量を判断し、白抜け警告を行うと、カートリッジによっては警告前に白抜け画像を出力してしまう場合が発生する。これらプロセスカートリッジの個体差による逐次残検のばらつきは、残検アンテナの組み付け公差のばらつき、カートリッジ部品、本体の電子部品などの公差から生じるものである。
【0095】
そこで、本実施例では、
(1)プロセスカートリッジ製造時の現像剤が充填されていない状態において治具でプロセスカートリッジBのPAE情報値を測定する。
(2)プロセスカートリッジBにメモリ20を備え、プロセスカートリッジ固有のPAE情報値をメモリ20に記憶し、プロセスカートリッジBを画像形成装置本体100に装着した際に本体制御部22がPAE情報値を認識する。
(3)PAE情報値をPAE値補正テーブル28によってPAE値に変換する。
(4)検出電圧値の最小値(静電容量値の最大値)、即ち、PAF値を残量検出手段30から得、プロセスカートリッジBに付属したメモリ20に書き込む。そして、比較手段によって、常時検出される検出電圧値を前に書き込んだ値と比べて小さい場合にはメモリ内のPAF値を書き換え、そうでない場合は書き換えを行わない、という処理を繰り返す。
(5)PAEとPAFと現像剤残量との関係を用いた重み付けの関数を予め、本体制御部22若しくはメモリ20内に格納する。
(6)そして、重み付けの関数と検出電圧値の関係に、重み付け関数の補正値を代入していき、補正値を決定する。
(7)補正テーブルによって、現像剤残量を算出する。
その結果を、随時表示手段に表示させる。
という制御を行う。
【0096】
この制御方法により、カーリッジの個体差で上記検出電圧値(静電容量値)が異なっても、現像剤状態が異常で現像剤残量検出手段の検出領域内に現像剤が入り込みにくくなっている状態でも、確実に白抜け画像出力前に警告を発し現像剤残量も逐次に検出できる方法を提供すると共に、工場作業工程における効率化を達成することができる。
【0097】
尚、逐次検知検出部26によって検出された検出電圧値V3はメモリ20内に格納される。また、PAE情報値は、測定値の公差により空値のばらつき範囲に応じていくつでも設定して良い。例えば、公差が大きいものはPAE情報値を多数設定し、公差の少ないものは少数設定する。本実施例においてはPAE情報値を3つ持ち、それぞれα、β、γ(α<β<γ)とする。これらのPAE情報値は、プロセスカートリッジ製造時に現像剤が充填されていない状態で治具により測定した値によって三段階に分けることにした。
【0098】
尚、PAE情報値(ω)と電圧幅は、以下の関係とした。
α=2.7〜2.9V
β=2.9〜3.1V
γ=3.1〜3.3V
この制御方法において、
[PAE−PAF]・・・▲1▼
を使用範囲として設定した。また、現像剤がプロセスカートリッジ内にあるにも関わらず現像剤量が少ないため白抜けという画像不良を起こす状態がある。このときの値を白抜け電圧とし、白抜け電圧とPAFの関係で使用範囲を設定しても構わない。白抜け電圧は、
白抜け電圧:PAW=[(PAE)−(実験的データ蓄積に基づいた経験値W)]
と呼び、その値を▲1▼式のPAEの代わりに用いても良い。
【0099】
本実施例において、使用範囲は、
[PAW−PAF]=[PAE−W−PAF]・・・▲2▼
とし、PAE情報値(ω)がβである場合、表3に示すようにPAE=3.0Vになる。また、W=0.8Vとすると、
PAW=3.0−0.8=2.2V、PAF=1.0であるので、
使用範囲=2.2−1.0=1.2Vである。
【0100】
【表3】
Figure 0004298094
重み付けの関数は、
F(PAF、PAE、W)=|PAF+[PAW−PAF]×Z|・・・・▲3▼
とし、Zは補正値である。これは、使用範囲内を適当な間隔で区切るような値であり、予め逐次検知補正テーブルとして本体制御部に格納されている。
そして、現像剤残量は▲4▼式が成立するZから求める。
|PAF+[PAW−PAF]×Z|≦|V3|・・・▲4▼
表4の逐次検知補正テーブルから、▲4▼式においてZ=0.1が成立しなければ、現像剤残量は100%と表示し、Z=0.1が成立すれば、次にZ=0.18を▲4▼式に代入し、成立しなければ現像剤残量は30%となる。つまり、上位のZで▲4▼式が成立した場合は、順次Z値を増やして▲4▼式を算出し、式が成立しないZによって現像剤残量を認識する。
【0101】
【表4】
Figure 0004298094
図10及び図11に、ステップ201〜230(S201〜230)を有する逐次残検動作のフローチャート図を示した。なお、PAE情報値は、プロセスカートリッジ製造時にメモリ20内に格納されているものとする。
S201:本体電源スィッチONとすれば、画像形成装置本体が動作を開始する(START)。
S202:制御部23がPAE情報値ωがαであるかどうか確認する。
・Case 1:S202で“Yes”である場合。
S203:制御部23がPAE値補正テーブル28を利用してPAE値に変換する。
S204:制御部23がPAE=2.8Vであることを確認し、メモリ20内のPAE値情報に記憶させる。次いで、S211に進む。
・Case 2:S202で“No”と判断された場合。
S205:制御部23が、PAE情報値ωがβであるかどうか確認。“No”の場合は、後述のCase 3を参照されたい。“Yes”と判断された場合は、S206に進む。
S206:制御部23がPAE値補正テーブル28を利用してPAE値に変換する。
S207:制御部23がPAE=3.0Vであることを確認し、メモリ20内のPAE値情報40に記憶させる。次いで、S211に進む。
・Case 3:S205で“No”と判断された場合。
S208:制御部23がPAE情報値ωがγであるかどうか確認する。“No”の場合はS202へ戻り、“Yes”と判断された場合は、S209に進む。
S209:制御部23がPAE値補正テーブル28を利用してPAE値に変換する。
S210:制御部23がPAE=3.2であることを確認し、メモリ20内のPAE値情報に記憶させる。次いで、S211に進む。
S211:演算部24がPAWを計算する。
S212:残量検知検出部26が検出電圧V3を測定する。
S213:制御部23がメモリ20内のPAF情報を確認する。
S214:制御部23がメモリ20内に格納されているPAF値とV3を比較し、V3がPAF値を越えるかどうか確認する。“No”と判断した場合、S215に進みメモリ20内のPAF値を更新しS216へ進み、“Yes”と判断した場合、S216に進む。
S216:演算部24が残量検知補正テーブルのZ=0.18をF(PAF、PAE、W)に代入し計算値を得、制御部23が、V3がF(PAF、PAE、W)を越えるかどうか確認する。“Yes”の場合はS219に進む。“No”の場合にはS217に進み、制御部23が、現像剤残量が100%であることをエンジン内部に信号を発信し、ディスプレーに表示する。そして、S218に進み、メモリ20内のY%値情報を更新する。その後、S212に戻る。
S219:演算部24が残量検知補正テーブルのZ=0.25をF(PAF、PAE、W)に代入し計算値を得、制御部23が、V3がF(PAF、PAE、W)を越えるかどうか確認する。“No”の場合はS220に進み、制御部23が、現像剤残量が30%であることをエンジン内部に信号を発信し、ディスプレーに表示する。そして、S221に進み、メモリ20内のY%値情報を更新する。その後、S212に戻る。
【0102】
“Yes”の場合は、表4の残量検知補正テーブルに従って、Z=0.35を代入して進んでいく。このチャートを、Z=0.95になるまで繰り返す。
S222:演算部24が残量検知補正テーブルのZ=0.95をF(PAF、PAE、W)に代入し計算値を得、制御部23は、V3がF(PAF、PAE、W)を越えるかどうか確認する。“No”の場合はS223に進み、制御部23が、現像剤残量が2%であることをエンジン内部に信号を発信し、ディスプレーに表示する。そして、S224に進み、メモリ20内のY%値情報を更新する。その後S212に進む。“Yes”の場合は、S225に進む。
S225:演算部24が残量検知補正テーブルのZ=0.99をF(PAF、PAE、W)に代入し計算値を得、制御部23は、V3がF(PAF、PAE、W)を越えるかどうか確認する。“No”の場合はS226に進み、制御部23が、現像剤残量が1%であることをエンジン内部に信号を発信し、ディスプレーに表示する。そして、S227進み、メモリ20内のY%値情報を更新する。その後、S212に進む。“Yes”の場合にはS228に進む。
S228:制御部23が現像剤残量が0%であることをエンジン内部に信号を発信し、ディスプレーに表示する。
S229:メモリ20内のY%値情報を更新する。
S230:終了。
【0103】
以上、上記のステップ201〜230の工程を含むフローチャートに従い動作を行うことによって、図12に示すように、カートリッジ個体差を吸収した逐次残検が可能になった。
【0104】
当然ながら、カートリッジ構成、特に現像剤残量検出手段の構成と配置によって、現像剤残量と検出電圧値との関係は大きく異なるため、上記一定値は本実施例の値に限定されるものではなく、実施形態に則した形で個々に設定するものである。
【0105】
又、残量検知補正テーブル25は、本体制御部22内に格納されているがプロセスカートリッジBのメモリ20内に格納させても良い。その結果、カートリッジ個々の特性に応じたテーブルを使用できより正確な逐次残検を可能にする。今回、テーブルを使用して現像剤残量を演算したが、Zは演算式によって管理され、カートリッジ個々で変化しても良い。
【0106】
更に、本実施例では5g(5%)程度の刻み幅で説明したが、当然ながらある一定値を細かくすれば細かくするほどより細かい現像剤残量表示を行うことが出来る。また分解能も、一定間隔だけでなく100%、30%、20%、15%、10%、8%、5%・・・・と残り少ないところでの分解能を上げても良い。現像剤残量の表記方法も(g)や(%)に限定するものではなく、他の表示方法として、更に進んだ形で残り何枚出力できるとか様々な他の表示方法でも構わない。
【0107】
又、ディスプレー表示に関しても、ガスゲージ、棒グラフ及び値表示、満タンに対しての比率つまり残り何%と表示しても良いし、又、警告メッセージや音声による報知、或いは、記録媒体に記録し出力することも当然可能であり、現像剤残量がユーザに分かる方式であればどのような表示方式であっても構わない。ディスプレー表示としては、画像形成装置本体100に設けた表示手段40にて表示することに限定されるものではなく、画像形成装置本体100と通信可能に接続されたホストコンピュータなどの機器の画面などのディスプレー手段にて行うこともできる。
【0108】
更に、本実施例は、現像剤残量レベル検出手段としてプレートアンテナ方式を用いたが、本発明は、この方式の現像剤残量レベル検出手段に限定するものではなく、現像剤残量レベルを検知できれば、その方式は問わない。
【0109】
実施例3
図13に、本発明の他の実施例に係るプロセスカートリッジBを示す。本実施例のプロセスカートリッジBは、実施例1で説明した画像形成装置に着脱可能とされ、又、実施例1で説明したプロセスカートリッジBと同様の構成とされる。従って、同じ構成及び作用をなす部材には同じ参照番号を付し、詳しい説明は省略する。
【0110】
つまり、本実施例にて、プロセスカートリッジBは、現像剤を収納する現像剤容器4及び現像室5A(現像剤収納部)並びに現像剤送り部材15を有する現像剤枠体11と、現像ローラ5a及び現像ブレード5cなどの現像手段を保持する現像枠体12とを溶着して一体として現像ユニットを形成し、更にこの現像ユニットに、感光体ドラム1、クリーニングブレード7aなどのクリーニング手段及び帯電ローラ2を取り付けたクリーニング枠体13を一体に結合することによってカートリッジ化されている。
【0111】
このプロセスカートリッジBは、ユーザーによって画像形成装置本体100に設けたカートリッジ装着手段に対して取り外し可能に装着される。
【0112】
本実施例のプロセスカートリッジBも又、現像剤容器4内の現像剤の消費に従ってその残量を逐次検知することのできる現像剤量検出装置を備えている。本実施例の現像剤量検出装置は、実施例1にて説明したと同様の構成とされ、現像剤残量検出手段30としてプレートアンテナ(静電容量検知電極)を有しており、現像ローラ5aに対向する位置に、現像装置Cの長手方向の全域にわたって設けられた出力板金32と、出力板金32と略同等の長手長さを有し、出力板金32と対向するように設けられた入力板金31を備えている。
【0113】
図4にて説明したように、本実施例においても、現像ローラ5aと入力板金31とは、プロセスカートリッジBが画像形成装置本体100に装着された状態で、画像形成装置本体100に設けられた電圧印加手段としての現像バイアス印加手段34に電気的に接続される。
【0114】
そして、通常の現像バイアスである2KHz程度の交流バイアスと−400V程度の直流バイアスが現像ローラ5a及び入力板金31に印加されると、現像ローラ5aと現像ローラ5aに対向した出力板金32との間、及び入力板金31と出力板金32との間で交流電流が流れ、電流測定装置33によって両者の合成電流値が計測される。こうして、電流測定装置33によって測定された電流値から、現像ローラ5aと出力板金32との間、及び入力板金31と出力板金32との間の静電容量に基づく合成の静電容量が計測される。
【0115】
このように、プレートアンテナである入力板金(アンテナ板)31と出力板金(アンテナ板)32とを現像装置C内に配設し、現像装置C内の現像剤Tの減少に伴って、アンテナ板31とアンテナ板2との間、現像ローラ5aとアンテナ板32との間の静電容量を観測することで、随時、現像剤収納部を構成する現像剤収納容器4及び現像室5A内の現像剤量を知ることができる。
【0116】
しかしながら、現像ローラ5aとアンテナ板32間の容量値C2、及びアンテナ板31とアンテナ板32間の容量値C3は、現像剤の入り込み量に影響を受ける。カートリッジBは、図13に示すように、使用開始前においては、現像室5Aは、現像剤収納容器4内の現像剤とシールSにより隔離されており、使用を開始するに先立って、このシールSが除去される。
【0117】
上述のようなカートリッジの使用開始に際して、シール開封直後においては、現像ローラ5aとアンテナ板32間、及び、アンテナ板31とアンテナ板32間に現像剤が十分に入り込んでいない。そのため、現像剤は現像剤収納容器4内に満杯であるにも拘わらず、現像剤検出手段30の静電容量値としては小さい値(出力電圧値V3は大きい値)を示してしまう。つまり、誤検知をしてしまう結果となる。
【0118】
つまり、図14に検出回路33が出力する電圧V3の推移を示す。新品のプロセスカートリッジBは、現像剤収納容器4に現像剤が充填された状態で、現像室5Aは空の状態である。プロセスカートリッジBを使い始めると、現像剤収納容器4内の現像剤が攪拌棒15に押し出され、次第に現像室5Aに現像剤が充填され始める。現像室5Aの現像剤量が増え始めると、次第に検出回路33が出力する電圧V3は減少を開始し、現像室5Aに現像剤が満タンになる変化点1まで減少する。
【0119】
変化点2は、現像剤収納容器4の現像剤が空になり、攪拌棒15による現像室5Aへ現像剤供給ができなくなるポイントである。変化点2以降は現像室5A内の現像剤量が減少するので、検出回路33が出力する電圧V3は上昇する。
【0120】
このような電圧推移をするため、従来の現像剤残量検知は、閾値<V3電圧の場合には100%、V3が閾値1〜閾値2の場合は15%というように、プロセスカートリッジBの現像剤残量を検出していた。
【0121】
しかしながら、このような従来の現像剤残量検知では、現像装置内の電極間の静電容量の絶対値から現像剤残量を、即ち、現像剤満タン状態からの比率を判断している。そのために、新品のプロセスカートリッジは使用開始から現像室5A内に現像剤が充填されるまでの間、静電容量が上昇する構成なので、現像剤残量が正確に判断するためには、現像室5A内に現像剤が満タンになる前の静電容量よりも小さい値からしか現像剤現像剤残量を検出できない。従って、現像剤残量検出範囲が狭いという問題があった。
【0122】
又、従来の現像剤残量検知では、現像剤収納容器内に設置した電極対の取り付け位置のバラツキ、現像剤の状態や、検出回路系のバラツキなどで、検出によって分解能の細かい精度のよい現像剤残量検出ができない、という問題をも有していた。
【0123】
本実施例によれば、
(1)現像室5A内に現像剤が満タンになったときの電極対間の静電容量と、現像室5Aが空のときの静電容量の2つの値を不揮発性メモリに格納し、状況に応じてその値を補正しながら、検出する静電容量を比較してプロセスカートリッジの現像剤残量、即ち、満タン状態との比率を算出する。
(2)現像室5A内から現像剤が減り始め、電極対間の静電容量の減り方の傾きと、減り始めるまでのプロセスカートリッジの使用状態をメモリに格納し、補正しながらプロセスカートリッジの現像剤残量、即ち、満タン状態との比率を算出する。
【0124】
斯かる現像剤残量検出方法により現像剤残量を検出することで、精度の良い現像剤残量を検出することが可能になり、信頼性の高い画像形成装置のシステムを提供することができる。
【0125】
本実施例においても、実施例1と同様に、図4に示すプロセスカートリッジ内の現像剤量を検知するための回路構成が使用される。
【0126】
つまり、現像剤量は、現像バイアス印加手段としての現像バイアス回路34から所定のACバイアスを出力すると、その印加バイアスはリファレンスコンデンサC1と現像ローラ5aと、電極31にそれぞれ印加される。これによって、リファレンス用コンデンサC1の両端には電圧V1が発生し、電極31、32の電極間には静電容量C4(C2+C3)に応じた電流が発生する。この電流を演算式により電圧V2に変換する。
【0127】
電流測定装置33の検出回路は入力されるリファレンス用コンデンサC1の両端に発生する電圧V1と電極対間電圧V2の電圧差から電圧V3を生成し、AD変換部35に出力する。AD変換部35はアナログ電圧V3をデジタル変換した結果を制御部23に出力する。制御部23は、このデジタル値に変換された電圧値からプロセスカートリッジ内の現像剤量を認識する。
【0128】
以上のように本実施例では、検出回路33が出力する電圧V3は、現像剤量に応じて図15に示す電圧の推移を示す。新品のプロセスカートリッジBは現像剤収納容器4に現像剤が充填された状態で、現像室5Aは空の状態である。プロセスカートリッジBを使い始めると、現像剤収納容器4内の現像剤が攪拌棒15に押し出され、次第に現像室5Aに現像剤が充填され始める。現像室5Aの現像剤量が増え始めると、次第に検出回路33が出力する電圧V3は初期値であるV03から減少を開始し、現像室5Aに現像剤が満タンになる変化点1まで減少し続ける。これが図15におけるエリア1の期間の現象である。
【0129】
初期値V03がPAEにならないのは、現像剤残量の検出を開始するまでに攪拌棒15が回転し、現像室5Aに現像剤が運ばれるためである。
【0130】
変化点2は、現像剤収納容器4の現像剤が空になり、攪拌棒15による現像室5Aへ現像剤供給ができなくなるポイントである。変化点1から変化点2までのエリア2では常に現像室5Aは満タンの状態なので、電圧V3は最小値(PAF)となる。又、変化点2を過ぎたエリア3では現像室5A内の現像剤量は減少するので、現像室5Aが空の電圧PAFまでV3は上昇する。
【0131】
検出電圧V3の最小値をPAF、現像剤が空の状態での電圧V3をPAEとする。
【0132】
本実施例における現像剤残量は下記式が成り立つαから求める。
PAF+(PAE−PAF)×α<V3・・・・・・・(1)
つまり、図16に示すステップ301〜321(S301〜321)を有する制御シーケンスにて理解されるように、画像形成装置本体がONとされ、画像形成装置が動作を開始(START)する(ステップ301)。次いで、記憶手段20に格納されているPAF及びPAEを参照し、現像剤残量検知算出手段である残量検知検出部26にてV3を測定する(ステップ302、303、304)。測定された残量検知検出部26からの測定値V3との間にて、上記式(1)を計算する(ステップ305)。例えば、α=0.1が成り立たなければ、現像剤残量は100%と検出し(ステップ306、307)、α=0.1が成り立てば、次にα=0.2を式(1)に代入し(ステップ308)、成り立たなければ現像剤残量は25%となる(ステップ309、310)。α=0.2が成り立てば、順次、αの値を増やして式(1)を算出し、式が成り立たないαによって現像剤残量を認識する(ステップ311〜321)。
【0133】
この現像剤残量のユーザへの報知は、ホストコンピュータや操作パネルなどのプリンタコントローラを介して行なわれる。このホストコンピュータ上の現像剤残量は、満タンに対しての比率、即ち、残り何%と表示しても良いし、残り何枚印字可能と表示しても良い。
【0134】
又、その分解能も、100%、90%、80%、・・・・・・・、30%、20%、10%、0%と一定間隔でも良いし、100%、20%、15%、10%、8%、6%・・・・・と残り少ないところでの分解能をあげても良い。
【0135】
現像剤残量を精度良く検出するためには、PAEとPAFを精度良く検出すれば良い。PAEとPAFは工場で不揮発性メモリ20に初期データを格納し、出荷される。PAEは工場出荷時に確定した後バラツキが生じることがない。そのため、プロセスカートリッジBを使用時にはPAFの補正を行なうことで現像剤残量を精度良く検出することができる。
【0136】
この制御シーケンスを図17に示す。画像形成装置本体がONとされ、画像形成装置が動作を開始(START)する(ステップ331)。次に、現像バイアス出力されているときに、PAFの補正を行なう(ステップ332)。即ち、現像バイアス回路34から所定のACバイアスを出力しているときに、検出回路から検出電圧V3を検出し、この検出電圧V3とメモリ20に格納されているPAFを比較する(ステップ333〜335)。検出電圧V3とPAFの関係がV3<PAFを満たしたときに不揮発性メモリ20に格納したPAF値をV3の値に上書きし(ステップ336)、以降はその値をPAFとして基準値を算出する。V3<PAFを満たしていないときは、その値をPAFの基準値とする(ステップ335、337)。
【0137】
上述のように、PAFを補正することで、精度の良い現像剤残量を検出することが可能になる。
【0138】
実施例4
本実施例においても、実施例1で説明した画像形成装置、及び、実施例3で説明したプロセスカートリッジBが使用され、現像剤量検出のために図4に示す検出回路構成が使用される。
【0139】
図18に、本実施例にて検出回路33が出力する電圧V3の推移を示す。エリア1では現像剤送り部材、即ち、攪拌棒15が現像剤収納容器4の現像剤を現像室5Aへと運搬し、現像室5Aが充填されるまで検出電圧V3は減少する。エリア2は、現像剤収納容器4内の現像剤が空になるまで、電圧V3が変動しない領域であり、エリア3は現像室5A内の現像剤が減少することで検出電圧V3が上昇する領域である。エリア3の電圧上昇推移は、電極31、32の電極対の取り付け位置のばらつき、現像剤状態、検出回路系のばらつきが原因で、図18のBからCの領域を推移する。閾値電圧Va〜Vgはエリア3の電圧V3の軌跡がAのラインで推移したときに最適な閾値電圧を示している。
【0140】
本実施例では、エリア3での電圧V3の電圧推移が軌跡に応じて、閾値電圧Va〜Vgを可変にすることで、精度の良い現像剤量検出を実現することができる。
【0141】
本実施例では、電圧V3の推移を検出するために、印字枚数やドット数の累積数を使用する。印字累積枚数や累積ドット数は、プロセスカートリッジBに取り付けられた不揮発性メモリ20に格納し、印字を行なう毎にその数字をカウントアップして上書きする。
【0142】
画像形成装置本体100の設けた制御部22は、変化点2を検出したときから所定枚数、例えば20枚印字したときの検出電圧V3の差分、つまり、電圧上昇軌跡の傾きを求める。閾値電圧Va〜Vgは、変化点2を検出するまでの総印字枚数と、求めた傾きから設定する。このとき、印字枚数でもドット数でも良い。この閾値電圧を求めるまでの制御部22の制御シーケンスチャートを図19に示す。
【0143】
図19を参照して、ステップ401〜417(S401〜417)を有する制御動作について説明する。
S401:電源スイッチをONとし、それによって、画像形成装置が動作を開始する(START)。
S402:現像バイアスが出力されているかを判断する。
S403、404、405:現像バイアス出力中の場合には、残量検知検出手段26にて電圧V3を検出し、この電圧V3をメモリ20に格納したエリア1のデータ(前回の電圧V3)と比較する。
S406:電圧V3が前回より上昇していない場合には、電圧V3をエリア1に上書きし、S407に進む。
S407:1枚の印字動作が終了したかを判断し、1枚印字が終了すると、S408に進み、メモリ20のエリア2のプリント枚数データをインクリメントする。次いで、S402に戻る。
S409、410:S405で測定電圧V3が前回の電圧より上昇している場合は、S409で、メモリ20に記憶したエリア3のデータを上書きし、S410で、エリア3のプリント枚数カウンタを0とする。次いで、S411に進む。
S411:1枚の印字動作が終了したかを判断し、1枚印字が終了すると、S412、413に進み、メモリ20のエリア2のプリント枚数データ及びエリア4のプリント枚数データをそれぞれインクリメントする。
S414:エリア3のプリント枚数が20枚を超えたかを判断し、20枚を超えていない場合には、S411に戻る。エリア4のプリント枚数が20枚を超えた場合には、S415に進む。
S415、416:S415にて残量検知検出手段26により電圧V3を検出し、S416で、この電圧V3と、エリア2の値から閾値電圧Va〜Vgを算出する。
S417:終了
上述の制御シーケンスにて現像剤残量検知に使用される閾値電圧を求めることができ、精度の良い現像剤残量を検出することが可能になる。
【0144】
実施例5
図20には、本発明の他の態様であるカートリッジ化された現像装置Cの一実施例を示す。
【0145】
本実施例の現像装置Cは、現像ローラ5aのような現像剤担持体と、この現像剤担持体に現像剤を供給するために、内部に現像剤を収容した現像室5Aと、を有し、プラスチック製の現像枠体11、12により一体的にカートリッジ化される。つまり、本実施例の現像装置Cは、実施例3で説明したプロセスカートリッジBの現像装置構成部をユニット化したものであり、即ち、プロセスカートリッジBから感光体ドラム1、帯電手段2、クリーニング手段7を除いて一体化したカートリッジと考えることができる。勿論、実施例1で説明したプロセスカートリッジBの現像装置構成部をも同様にユニット化し、カートリッジ化された現像装置Cとすることができる。
【0146】
従って、実施例1〜実施例4にて説明した全ての現像装置構成部及び現像剤量検出装置の構成が同様に本実施例の現像装置Cにおいても適用される。従って、これら構成及び作用についての説明は、実施例1〜実施例4において行った上記説明を援用する。
【0147】
以上、本実施例の構成によっても、実施例1〜4と同様の作用効果を達成し得る。
【0148】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、現像剤残量検出手段によって検出した信号値と、第1情報(PAE値)と、第2情報(PAF値)とを用いて現像剤収納部内の現像剤残量を演算するので、
(1)カートリッジの個体差を吸収した正確に現像剤収納部内の現像剤の残量を検出することができる。
(2)正確に現像剤収納部内の現像剤の残量を検出し、現像剤無し時に起こる白抜け画像を警告前に発生させることがなく、更に、白抜け時の現像剤残量を極力少なく抑えることができ、現像剤の無駄を無くすことが可能である。
(3)適切なカートリッジ交換時期を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプロセスカートリッジと画像形成装置の一実施例の断面図である。
【図2】図1のプロセスカートリッジの拡大断面図である。
【図3】本発明に係るプロセスカートリッジのメモリと画像形成装置本体の本体制御部との一実施例の概略関係図である。
【図4】本発明に係るプロセスカートリッジ内の現像剤量を検知するための回路構成の一実施例を示す図である。
【図5】本発明に従って構成される現像剤量検出装置の検出電圧値と現像剤残量との関係を示すグラフ図である。
【図6】本発明に従う、カートリッジの記憶手段を用いた現像剤量検知動作の一実施例を説明するためのフロー図である。
【図7】本発明に従う、カートリッジの記憶手段を用いた現像剤量検知動作の一実施例を説明するためのフロー図である。
【図8】本発明に従って構成される現像剤量検出装置の検出電圧値と現像剤残量との関係を示すグラフ図である。
【図9】本発明に係るプロセスカートリッジのメモリと画像形成装置本体の本体制御部との他の実施例の概略関係図である。
【図10】本発明に従う、カートリッジの記憶手段を用いた現像剤量検知動作の他の実施例を説明するためのフロー図である。
【図11】本発明に従う、カートリッジの記憶手段を用いた現像剤量検知動作の他の実施例を説明するためのフロー図である。
【図12】本発明に従って構成される現像剤量検出装置の検出電圧値と現像剤残量との関係を示すグラフ図である。
【図13】本発明の係るプロセスカートリッジの他の実施例の断面図である。
【図14】従来の現像剤量検出装置の検出電圧値と現像剤残量との関係を示すグラフ図である。
【図15】本発明に従って構成される現像剤量検出装置の検出電圧値と現像剤残量との関係を示すグラフ図である。
【図16】本発明に従う、カートリッジの記憶手段を用いた現像剤量検知動作の他の実施例を説明するためのフロー図である。
【図17】本発明に従う、カートリッジの記憶手段を用いた現像剤量検知動作の他の実施例を説明するためのフロー図である。
【図18】本発明に従って構成される現像剤量検出装置の検出電圧値と現像剤残量との関係を示すグラフ図である。
【図19】本発明に従った閾値電圧を求めるまでの制御シーケンスの一実施例を説明するためのフロー図である。
【図20】本発明に係るカートリッジ化された現像装置の一実施例の断面図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム
2 帯電手段
3 レーザースキャナー
4 現像剤収納容器
5 現像手段
7 クリーニング手段
10 定着手段
20 記憶手段(メモリ)
21 伝達部
22 本体制御部
40 画像形成装置本体の表示手段
100 画像形成装置本体
101 装着手段
A レーザービームプリンター
B プロセスカートリッジ
C 現像装置(現像ユニット)、現像カートリッジ

Claims (5)

  1. 現像剤収納部と、前記現像剤収納部内の現像剤量に応じた少なくとも2つの電極間の静電容量を測定することによって得られる信号を逐次出力可能な現像剤残量検出手段と、前記現像剤収納部内に現像剤が充填されていない状態で前記現像剤残量検出手段によって検出した信号に対応する第1情報を予め記憶した記憶手段と、を有するカートリッジが着脱可能な画像形成装置において、
    前記カートリッジが前記画像形成装置の装置本体に装着された際に、前記記憶手段と前記装置本体との通信をおこなう通信手段と、
    前記現像剤残量検出手段によって検出される静電容量の値が最大になった際の信号に対応する第2情報を、前記通信手段によって前記記憶手段に随時更新して記憶させる本体制御部と、
    前記本体制御部に設けられた演算部であって、前記現像剤残量検出手段によって検出した前記信号と、前記通信手段によって前記記憶手段から読み出された前記第1情報と、前記第2情報とを用いて前記現像剤収納部内の現像剤残量を演算する演算と、
    を有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 更に、前記本体制御部は前記現像剤収納容器内の現像剤量に対応させて所定の刻み幅で設定された係数が記憶され、前記演算部は、前記現像剤残量検出手段によって逐次出力される前記信号と、前記第1情報及び前記第2情報と、前記本体制御部に記憶された前記係数を用いた関数に基づいて前記現像剤収納容器内の現像剤残量を演算することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 更に、表示手段を有し、演算した前記現像剤残量を表示するための信号をこの表示手段に送信して表示することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 更に、表示手段を有する機器を通信可能であり、演算した前記現像剤残量を表示するための信号をこの表示手段を有する機器に送信することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載の画像形成装置。
  5. 前記カートリッジは更に、電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、電子写真感光体に現像剤を供給する現像手段と、電子写真感光体をクリーニングするクリーニング手段のうち少なくとも一つを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載の画像形成装置。
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