JP4294137B2 - 複合フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温殺菌用深絞り包装体の複合用フィルムに係り、特に高温高圧殺菌を行った後においても、酸素遮断性の低下が極めて少ない深絞り成形用複合フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
支持層、ガスバリアー層及びシール層を含む深絞り成形用複合フィルムにおける[支持層/ガスバリアー層/シール層]の樹脂の組合せとしては、従来、[ポリプロピレン/ポリ塩化ビニリデン/ポリプロピレン]、[ナイロン/エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物/ポリプロピレン]及び[ナイロン/メタキシレンアジパミド/ポリプロピレン]等が使用されている。しかし、ポリ塩化ビニリデンを使用したものは、廃棄処理時に有害物質が発生するという問題がある。ナイロンを支持層として使用したものは、レトルト殺菌処理、例えばレトルト釜において約120℃、2気圧で、約30分間の殺菌、によりカール変形し易いという問題がある。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂を使用したものは、レトルト殺菌処理時に吸水して、酸素遮断性が著しく低下するという問題がある。さらに、メタキシレンアジパミド樹脂については、ガスバリアー性に劣るために厚みを大きくする必要があり、そのために成形性、および耐衝撃性に劣るという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の諸問題を解決し、酸素遮断性に優れ、且つレトルト殺菌等の高温高圧における殺菌処理を行った後も、酸素遮断性の低下が極めて少ない深絞り成形用複合フィルムを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は支持層、ガスバリアー層及びシール層を含む深絞り容器の底材成形用複合フィルムにおいて、支持層がポリプロピレンホモポリマー樹脂又はポリプロピレンランダムコポリマー樹脂を含み、ガスバリアー層がエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂からなる層、及び、メタキシレンアジパミド樹脂単体からなる層又はメタキシレンアジパミド樹脂と6−ナイロンとのブレンド樹脂からなる層を含むことを特徴とする深絞り容器の底材成形用複合フィルムに関する。前記ブレンド樹脂が、1〜50重量%の6−ナイロンと99〜50重量%のメタキシレンアジパミド樹脂とをブレンドした樹脂であることが好ましい。前記支持層が、該支持層の1〜50重量%の充填剤を含有することが好ましく、さらに該充填剤がタルクであることが好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明において、支持層はポリプロピレンホモポリマー樹脂又はポリプロピレンランダムコポリマー樹脂を含む。ポリプロピレンホモポリマー樹脂としては、耐熱性の点から融点165度以上のものを用いることが好ましい。
【0006】
また、ポリプロピレンランダムコポリマーとしては、プロピレンとエチレン、または、他のα−オレフィン、例えば1−ブテン、1−ペンテン等とのコポリマーが挙げられる。本発明において、耐熱性の点から、ポリプロピレンホモポリマー樹脂が好ましく使用される。また、支持層の厚みは任意であるが、例えば200〜1,000μm、好ましくは250〜600μmである。
【0007】
上記支持層に充填剤を配合することにより、成形品の剛性、耐熱性が向上されるので好ましい。充填剤としては、無機充填剤が好ましく、例えばタルク、シリカ、クレー等が挙げられ、なかでもタルクが好ましい。配合量は、所望する剛性に応じて適宜調整することができるが、好ましくは樹脂と充填剤とを合せた全支持層重量の1〜50重量%とする。前記上限値を超えて配合すると、耐衝撃性が低下する傾向があるので好ましくない。
【0008】
ガスバリアー層は、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂(以下「EVOH」と称する場合がある)からなる層、及び、メタキシレンアジパミド樹脂単体(以下「MXD6NY」と称する場合がある)又はメタキシレンアジパミド樹脂と6−ナイロンとのブレンド樹脂からなる層を含む。驚くことに、EVOH層とMXD6NY層とを含むことより、レトルト殺菌処理による酸素遮断性の低下が極めて少なく、且つ成形性が良好なフィルムとなることが見出された。この理由について、本発明を限定する趣旨で無く考察すると、レトルト殺菌処理の間、EVOHが吸湿して酸素遮断性が著しく低下するのを、MXD6NYが補償し、一方、MXD6NY単独では、満足ではない成形性、耐衝撃性を、EVOHが補償し、かくして相乗的な効果が得られるものと考えられる。
【0009】
EVOHにおける加水分解度は、部分的(水酸基88モル%)、中程度(同96%)、完全(同98%)のいずれであってもよいが、好ましくは95%以上である。
【0010】
MXD6NYは、メタキシレンジアミンとアジピン酸との重縮合体であり、例えば「MXナイロン」(三菱ガス化学社製)の商品名で市販されているものを用いることができる。
【0011】
本発明においては、上記メタキシレンアジパミド樹脂に6−ナイロン(以下「6NY」と称する場合がある)をブレンドした樹脂(以下「MXD6NY+6NY」と称する場合がある)層が好ましく使用される。6−ナイロンをブレンドすることにより、成形性、耐衝撃性がより向上される。ブレンド比としては、メタキシレンアジパミド樹脂99〜50重量%、及び6−ナイロン1〜50重量%である。6−ナイロンの量が上記上限値を超えると、ブレンド樹脂層の酸素遮断性が低下するので好ましくない。
【0012】
該ガスバリアー層の厚みには特に制限はないが、好ましくは、5〜100μm、より好ましくは10〜60μmである。また、EVOH層とMXD6NY層、又はEVOH層とMXD6NY+6NY層との厚みの比は、好ましくは、1:1〜1:1.5である。
【0013】
EVOH層と、MXD6NY層又はMXD6NY+6NY樹脂層の積層順は任意である。また両層を、隣接して積層してもよいが、両層間に接着性樹脂層を介在させて積層することにより、両層間の接着がより強固になるため好ましい。接着樹脂としては、例えば6−ナイロン、6−ナイロンと6,6−ナイロンとの共重合体である6−6,6−ナイロン、酸変性ポリオレフィン樹脂、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、もしくはこれらの共重合体、またはこれらとα−オレフィンとの共重合体、またはエチレン−酢酸ビニル共重合体等に、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フタル酸等の酸を反応させて得られる酸変性ポリオレフィン樹脂等、が好ましく用いられる。
【0014】
本発明において、シール層としては、レトルト殺菌により白化したりカール変形しない耐熱性を有する樹脂を使用する必要がある。そのような樹脂としては、ポリプロピレンホモポリマー樹脂、ポリプロピレン−ポリエチレンランダムコポリマー、又はポリプロピレン樹脂をベースにしたイージーピール材、すなわち易剥離性を有するフィルム、が好適である。シール層の厚みには特に制限はないが、好ましくは、1〜50μm、より好ましくは5〜10μmである。
【0015】
本発明の複合フィルムは、共押出し、ドライラミネート等の公知の方法で調製することができる。共押出しは、多層共押出しダイを用いて行うことができ、その際、層と層とを確実に接着するために、層間に接着性樹脂層を介在させることが好ましい。該接着性樹脂層としては、上記の変性ポリオレフィン樹脂等が好ましく用いられる。また、ドライラミネートにおいては、例えば慣用のウレタン樹脂系の接着剤を用いる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。
1.実施例のフィルムの調製
表1に示す構成の、総厚み約600μmの複合フィルムを作成した。
なお、同表中の略称は以下の樹脂を表す。
PP: ポリプロピレン樹脂、EVOH:エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂、MXD6NY:メタキシレンアジパミド樹脂、6‐6,6‐NY :6−6,6−ナイロン、6NY:6−ナイロン、EP:イージーピール性フィルム(PP 300μm/6‐6,6‐NY 10μm/EVOH 10μm/PEとポリブテンとの1:1ブレンド、厚み 7μm、三菱樹脂製)、AD:酸変性ポリオレフィン樹脂、UR:ウレタン系接着剤(溶剤:酢酸エチル)。
MXD6NYと6NYとのブレンド比は80重量%:20重量%とした。ガスバリアー層とシール層とを共押出しして複合フィルムとし、支持層とドライラミネートした。
2.比較例フィルムの調製
実施例と同様に表1に示す構成で、ドライラミネートにより調製した。
3.フィルムの評価
各複合フィルムを容量300cm3の容器の底材へと成形し、目視により成形性を評価した。各フィルムについて50個ずつ成形し、型に忠実でないものが1個も無いものを○、1個以上あるものを△とした。次いで、容器内にジルコニア式酸素分析計(東レエンジニアリング社製、型式LC−750F)を置き、該容器内を窒素ガスで置換した後、窒素雰囲気下、蓋材[延伸PP/アルミニウム/PE]で密封した。該密封された容器をレトルト殺菌し(120℃、2気圧、30分間)、その後4℃、90%RHの条件で30日間保管して、容器内の累積酸素濃度を測定した。結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
Figure 0004294137
表1の酸素濃度から分かるように、本発明の複合フィルムは、レトルト処理後においても優れた酸素遮断性を示した。また、本発明の複合フィルムは、いずれも良好な成形性であった。
【0018】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の複合フィルムは、EVOH層とMXD6NY層とを含むので、
イ)レトルト殺菌による酸素遮断性の低下がなく、
ロ)成形性も良好である。

Claims (4)

  1. 支持層、ガスバリアー層及びシール層を含む深絞り容器の底材成形用複合フィルムにおいて、支持層がポリプロピレンホモポリマー樹脂又はポリプロピレンランダムコポリマー樹脂を含み、ガスバリアー層がエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂からなる層、及び、メタキシレンアジパミド樹脂単体からなる層又はメタキシレンアジパミド樹脂と6−ナイロンとのブレンド樹脂からなる層を含むことを特徴とする深絞り容器の底材成形用複合フィルム。
  2. 前記ブレンド樹脂が、1〜50重量%の6−ナイロンと99〜50重量%のメタキシレンアジパミド樹脂とをブレンドした樹脂であることを特徴とする請求項1記載の深絞り容器の底材成形用複合フィルム。
  3. 前記支持層が、該支持層の1〜50重量%の充填剤を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の深絞り容器の底材成形用複合フィルム。
  4. 前記充填剤がタルクであることを特徴とする請求項3記載の深絞り容器の底材成形用複合フィルム。
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