JP4293687B2 - シートベルト装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、自動車等の乗り物の座席に装備されるウエビング(ベルト)を着脱可能にロックするバックル装置を備えたシートベルト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車等の乗り物の座席には、乗員の安全を図るために、シートベルトが取り付けられている。このシートベルト用のバックル装置は、通常、ベルト端に設けられたタングプレート(舌片)と、タングプレートを係脱するバックル本体と、を備えて構成されている。
【0003】
また、バックルプリテンショナを備えたバックル装置としては、例えば、特表平4−505265号公報に記載されたものがある。この公報に記載されているバックル装置は、ベース(ケース)と、当該ベースに揺動可能に支持されてタングプレートをロックするラッチ板(かんぬき片)と、当該ラッチ板をロック位置に拘束するロック部材(拘束片)と、前記タングプレートのロックを解除するリリースボタンと、前記ベースに移動可能に設けられると共に、前記リリースボタンの押込み方向と同じ向きの加速度(G)により、前記ロック部材を直接保持する慣性体(平衡質量)と、を備えて構成されている。すなわち、このバックル装置は、バックルプリテンショナの作動が終了した際に発生する加速度を利用して、ラッチ板がタングプレートから解離する、すなわち、ラッチ板がタングプレートのロックを解除することを防止している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特表平4−505265号公報に記載されたバックル装置は、バックルプリテンショナの作動が終了した際に発生する加速度を利用して、ラッチ板がタングプレートから解離することを防止しているため、慣性体が、ロック部材を直接保持する位置まで移動するストローク(距離)以上に、リリースボタンのストロークを長くする必要がある。
【0005】
具体的には、ラッチ板をタングプレートから解離させるには、リリースボタンを押して、リリースボタンで第2ラッチ部材を押圧する動作を行っている。したがって、慣性体によって前記解離を防止するためには、リリースボタンがロック部材を押す前に、ロック部材を慣性体で保持する(押さえる)必要がある。ここで、リリースボタンも慣性体も、バックルプリテンショナの作動が終了した際に発生する加速度によって同時に動くため、慣性体が第2の部材を保持するまで、リリースボタンがロック部材を押圧しないように、リリースボタンの押込みストロークを長くする必要がある。このため、バックル装置が大型化していた。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点を解決することを課題とするものであり、所定の加速度が加えられた際に、この加速度を利用してラッチ板がタングプレートから解離することを防止することが可能であり、かつ小型化が達成されたバックル装置を備えたシートベルト装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明は、タングプレートと、当該タングプレートが挿脱されると共に、挿入されたタングプレートを係脱可能にロックするバックル本体と、を備えたバックル装置を有するシートベルト装置であって、前記バックル本体は、ベースと、前記ベースに支持されて、タングプレートをロックするロック位置と、このロックを開放する非ロック位置との間を移動するラッチ板と、前記ラッチ板の前記移動を制御するロック部材と、前記ベースに回動及び移動可能に支持されて、前記ロック部材の移動を制御し、前記ラッチ板の非ロック位置への移動を阻止可能な阻止部材と、を備えたシートベルト装置を提供するものである。
【0008】
この構成を備えたシートベルト装置のバックル装置は、阻止部材が、ベースに回動及び移動可能に支持されている。このため、前記回動によって前記阻止部材のロック部材側端面をロック部材に近づけることができ、両者の間隔を短くすることができる。すなわち、この回動によって、阻止部材がロック部材の移動を阻止するために相対的に移動するストロークを短くすることができる。したがって、リリースボタンの押込みストロークも短くすることができるため、バックル本体を大型化する必要がなく、小型化を達成することができる。
【0009】
前記阻止部材は、前記ベースの側壁に設けた穴や切欠きに、遊動可能に設けることもできる。
【0010】
また、前記ロック部材は、前記ベースに移動可能に支持されて前記ラッチ板の移動を制御する補助ロック部材と、当該補助ロック部材を移動可能に支持するホルダ部材と、を備えて構成することもできる。
【0011】
そしてまた、前記阻止部材は、前記ホルダ部材の移動を制御する構成とすることもできる。
【0012】
また、前記阻止部材は、所定の加速度が加えられた際に、この加速度を利用して前記回動を行うことができるよう構成することもできる。また、この所定の加速度は、バックルプリテンショナの作動によって生じる加速度とすることもできる。
【0013】
そしてまた、前記阻止部材は、所定の加速度が加えられた際に、この加速度を利用して前記移動を行うことができるよう構成することもできる。また、この所定の加速度は、バックルプリテンショナの作動が終了した際に発生する加速度とすることもできる。
【0014】
さらにまた、前記阻止部材は、バックルプリテンショナの作動が終了した際に発生する加速度が加えられた際には、前記回動がなされた状態のままで、前記移動のみを行うよう構成することもできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態に係るシートベルト装置について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係るバックル装置を備えたシートベルト装置の概略図、図2は、本実施の形態に係るバックル装置の組立分解図、図3〜図6は、本実施の形態に係るバックル装置の動作を示す断面図である。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態に係るシートベルト装置は、シート2に着座する乗員3は、ウエビング(シートベルト)4を装着できるようになっている。このウエビング4は、一端がアンカープレート5で車両側壁下部に取付られ、中間部は、タングプレート6を経て車両側壁の上方に取付られたスルーリング7に、移動可能に巻きかけられて折り返され、他端側が巻取り装置8に巻き取られている。タングプレート6は、車両中央部の床に設けられたバックルプリテンショナ9の先端に設けられたバックル本体10のタングプレート出入口53から挿入されてバックル本体10に係合するようになっている。
【0018】
本実施の形態に係るバックル装置1は、タングプレート6と、バックル本体10と、バックルプリテンショナ9と、を備えて構成されている。
【0019】
タングプレート6は、一方の先端にラッチ穴60が、他方の先端にウエビング4を挿通させるためのベルト連結穴(図示せず)が形成されている。
【0020】
バックル本体10は、フレームとして機能するバックルベース11と、タングプレート6の挿脱に応じて移動するスライダ12と、スライダ12の移動を行うコイルスプリング13と、タングプレート6をロックするラッチ板14と、ラッチ板14を揺動させるコイルスプリング15と、ラッチ板14の揺動を制御する補助ロック部材としてのロックピン16と、コイルスプリング15を支持すると共に、ロックピン16を移動可能に支持するホルダ部材17と、タングプレート6のロックを解除するリリースボタン18と、リリースボタン18をタングプレート6の抜脱方向に付勢するコイルスプリング19と、このコイルスプリング19が当接するスプリングホルダー20と、ホルダ部材17の移動を制御し、ラッチ板14の非ロック位置への移動を阻止可能な阻止部材21と、阻止部材21を付勢するコイルスプリング22と、を備えて構成されている。
【0021】
なお、本実施の形態では、ロック部材が、ホルダ部材17とロックピン16とからなる場合について説明する。
【0022】
バックルベース11は、底板11Aと、これの両側に立設された一対の対向した側壁11B及び11Cとを備えた略コ字状を有している。底板11Aのタングプレート抜脱方向(図3〜図6でいう左方向、以下、この方向を「左」とする)端部には、タングプレート6を挿脱する際に、タングプレート6を案内するガイド片26が形成されている。また、底板11Aには、スライダ12をタングプレート6の挿脱方向にスライド可能にするための開口部25が設けられている。この開口部25のタングプレート挿入方向(図3〜図6でいう右方向、以下、この方向を「右」とする)端部の略中央部には、コイルスプリング13の右端部を係止する係止凸部45が形成されている。また、底板11Aには、コイルスプリング22の一端を係止する係止部30(図3〜図6参照)が形成されている。
【0023】
側壁11B及び11Cの略中央部には、特に図2に詳細に示すように、ロックピン16の両端を、左右方向に移動可能に支持する水平方向に長い窓穴33B及び33Cが開口されている。この窓33B及び33Cの下部には、後に詳述するリリースボタン18の凸部29B及び29Cを移動可能に支持する窓穴34B及び34Cが形成されている。この窓穴34B及び34Cは、左右方向略中央部付近から右側が上方に向けて屈曲し、さらに右側が再び略水平となった略クランク形状を備えている。
【0024】
また、窓穴34B及び34Cの右側には、後に詳述するラッチ板14の右端部両側に形成された支持部46B及び46Cが揺動可能に挿入・支持される挿入穴36B及び36Cが形成されている。
【0025】
側壁11B及び11Cのさらに右側には、後に詳述する阻止部材21の第2の腕24の両端が、各々移動可能かつ係合可能な切欠き27B及び27Cが形成されている。切欠き27B及び27Cの右側には、阻止部材21の第1の腕23の両端が各々揺動及び移動可能に挿入・支持される切欠き28B及び28Cが形成されている。
【0026】
スライダ12は、断面略コ字状を備えており、略平板状の上板37と、上板37の下面に設けられた断面L字状の下部38との間に形成された凹部39に、コイルスプリング13の左端を保持する構成となっている。スライダ12の左端の両側には、後に詳述するラッチ板14の脚44B及び44Cを押圧する押圧部35B及び35Cが形成されている。なお、コイルスプリング13の右端は、底面11Aに形成された係止凸部45に固定される。
【0027】
このスライダ12は、下部38がバックルベース11の開口部25に嵌められてスライド自在に支持される。そして、タングプレート6をバックル本体10に挿入した際に、タングプレート6の先端に押され、コイルスプリング13の付勢力に逆らって、右方向にスライドされ、後に詳述するラッチ板14の両端部下端に設けられた脚44B及び44Cを押圧してラッチ板14を反時計回り(タングプレート6をロックする方向)に回動させる。一方、タングプレート6が抜脱された際には、コイルスプリング13の付勢力によって、スライダ12は左方向に戻される。
【0028】
ラッチ板14は、その略中央部に、後に詳述するホルダ部材17の一部が挿入される開口部40が形成されている。このラッチ板14の左側には、タングプレート6がバックル本体10に挿入された際に、タングプレート6のラッチ穴60に挿入されてタングプレート6をロックするラッチ部41が、下方に向けて延出形成されている。ラッチ部41と開口部40との間には、後に詳述するロックピン16に当接可能な支持面42が形成されている。
【0029】
また、ラッチ板14の右端の両側には、側壁11B及び11Cの支持穴36B及び36Cに揺動(回動)自在に支持される支持部46B及び46Cが突設されている。すなわち、ラッチ板14は、支持部46B及び46Cを支点として揺動し、タングプレート6をロックするロック位置あるいはロックを解除する非ロック位置への移動を行う。また、ラッチ板14の右端の両側には、下方に向けて延出された脚44B及び44Cが設けられており、この脚44B及び44Cには、前述したように、スライダ12の押圧部35B及び35Cが、各々押圧可能である。
【0030】
ラッチ板14の右側略中央部には、上方に向けて立設した当接部43が形成されており、この当接部43の略中央部には、後に詳述するホルダ部材17のシャフト47の先端が進退可能に挿入される開口部49が形成されている。
【0031】
ホルダ部材17は、本体51と、本体51の両側に形成された側壁52B及び52Cと、本体51の右端部略中央部に形成されたシャフト47と、を備えて構成されている。
【0032】
本体51は、左端に配置された湾曲面54と、湾曲面54の上部に連続して形成された上面55と、上面55に連続した傾斜面56と、傾斜面56の略中央部から下方に向けて延出した凸部58と、から構成されている。
【0033】
凸部58は、ラッチ板14の開口部40に挿入され、その幅方向端面には、該幅方向外側に突出した爪部58B及び58Cが、それぞれ形成されている。そして、この両爪部58B及び58Cが、ラッチ板14の開口部40付近の底面に摺動可能に係合するようになっている。すなわち、ホルダ部材17は、この両爪部58B及び58Cによって、ラッチ板14を抱え込むように配置されている。
【0034】
なお、この本体51は、上面55に対向する面(下面)が解放されており、後に詳述する側壁52B及び52Cに形成された支持穴57B及び57Cに挿入されるロックピン16が、この面から露出するよう構成されている。
【0035】
側壁52B及び52Cは、その略中央部に、上面55に対して傾斜した長穴状の支持穴57B及び57Cが開口されている。支持穴57B及び57Cには、ロックピン16が移動可能に挿入される。この支持穴57B及び57Cを貫通したロックピン16の両端部は、窓穴33B及び33Cに、左右方向に移動可能に挿入される。また、側壁52B及び52Cの左側下端には、後に詳述するリリースボタンを押圧してタングプレート6の解離を行う際に、リリースボタン18の傾斜部63B及び63Cが当接可能な当接部59B及び59Cが形成されている。
【0036】
ここで、支持穴57B及び57Cは、タングプレート6が挿入されていない段階(図3参照)では、ホルダ部材17がコイルスプリング15によって左側に付勢されているため、ロックピン16は、支持穴57B及び57Cと、窓穴33B及び33Cの右端に位置し、支持穴57B及び57Cは、窓穴33B及び33Cに対し、傾斜した状態、すなわち所定の角度を持って配置されることになる。
【0037】
シャフト47は、右先端が、左先端より径が細くなるよう構成されている。シャフト47には、コイルスプリング15が挿入され、このシャフト47の存在によって、コイルスプリング15は、伸縮する際に、曲がったり、折れたりすることが防止される。シャフト47の径が小さい部分は、ラッチ板14の当接部43に形成された開口部49を進退自在に貫通することができるようになっている。また、シャフト47の径の大きい部分は、開口部49の径より大きい径を有している。
【0038】
このように、ホルダ部材17は、シャフト47が、ラッチ板14の開口部49を進退可能に貫通し、爪部58B及び58Cが、ラッチ板14を抱え込むように摺動可能にラッチ板14に係合しているため、ラッチ板14の移動に応じて、ラッチ板14上を摺動することができる。
【0039】
スプリングホルダー20は、バックルベース11の左側に設けられる。スプリングホルダー20の左先端面の略中央部には、コイルスプリング19の右端を固定する固定部48が形成されている。このスプリングホルダー20の下面と、バックルベース11の底面11Aとの間には、タングプレート6を挿入可能な空間が形成され、ここがタング出入口53となる。
【0040】
スプリングホルダ20の上部には開口部32が形成されており、タングプレート6がロック状態となった際(図4〜図6参照)には、この開口部32の左側を画定する部分の下方に、ホルダ部材17の湾曲面54と上面55部がもぐり込めるように構成されている。また、バックル本体10にタングプレート6が挿入されていない際(図3参照)には、この開口部32にホルダ部材17の先端側が挿入され、ホルダ部材17の湾曲面54が、開口部32の左側を画定する面32Aに当接する。なお、この開口部32の左側を画定する部分が、ホルダ部材17の動作を制御するロック制御部31となる。
【0041】
リリースボタン18は、使用者が押圧可能な操作部61と、操作部61の両側に右方向に向けて水平に延出されたアーム62B及び62Cと、タングプレート6をバックル本体10から解離させるためにリリースボタン18を右側に押圧した際に、ホルダ部材17の当接部59B及び59Cに当接してホルダ部材17を非ロック位置へ移動させる駆動部としての傾斜部63B及び63Cを備えている。
【0042】
このリリースボタン18は、アーム62B及び62Cの右先端の内側に各々形成された凸部29B及び29Cが、側壁11B及び11Cに形成された窓穴34B及び34Cに移動可能に支持されて、側壁11B及び11Cにスライド可能に設けられている。すなわち、このリリースボタン18は、タングプレート6をバックル本体10から解離させるために右側に押圧された際に、凸部29B及び29Cが、窓穴34B及び34Cにガイドされて、非ロック位置方向へと、その進行が誘導されるようになっている。
【0043】
操作部61の内側面であって、その略中央部には、コイルスプリング19の左端を保持する保持部64が形成されている。この保持部64に保持されたコイルスプリング19の右端は、スプリングホルダー20の固定部28に固定されている。したがって、リリースボタン18は、コイルスプリング19によって、常に左方向に付勢されている。
【0044】
阻止部材21は、図2〜図6に示すように断面略L字状を備えている。阻止部材21は、断面略L字状に形成された本体50と、本体50の図2〜図6でいう下端に形成された第1の腕23と、本体50の第1の腕23とは反対側の端部に形成された第2の腕24と、を備えて構成されている。
【0045】
第1の腕23は、バックルベース11の幅方向に延びており、この第1の腕23の両端が、側壁11B及び11Cに形成された切欠き28B及び28Cに各々揺動及び移動可能に支持される。
【0046】
第2の腕24は、バックルベース11の幅方向に延びており、この第2の腕24の両端が、側壁11B及び11Cに形成された切欠き27B及び27Cに、各々移動可能に係合される。すなわち、第2の腕24の下端には、切欠き27B及び27Cの右側縁部65B及び65Cに当接し、係合するフック部66が形成されている。
【0047】
このように、阻止部材21は、バックルベース11に対して遊動可能に支持される。
【0048】
また、阻止部材21の下端部略中央には、コイルスプリング22の一端を固定する固定部67が形成されている。このコイルスプリング22の他端は、底板11Aに形成された係止部30に固定される。
【0049】
この阻止部材21は、通常の状態(図3及び図4に示す状態)の際は、コイルスプリング22の付勢力によって、第1の腕23の両端部と切欠き28B及び28Cの左側縁部68B及び68Cとが接触している状態となっており、第2の腕24は、切欠部27B及び27Cには係合されていない。
【0050】
また、この阻止部材21は、バックルプリテンショナ9の作動時にかかる左方向への加速度によって、第1の腕23を支点として反時計回りに回動し、切欠き27B及び27Cに第2の腕24が入り込むようになっている。この状態では、図5に示すように、フック部66と縁部65B及び65Cとの間には隙間が形成されている。
【0051】
ここで、この阻止部材21は、後に詳述するが、ホルダ部材17のシャフト47の右端面を当接させることで、ホルダ部材17が非ロック位置に移動することを阻止するものであるが、阻止部材21は、前記回動によってシャフト47までの距離を短縮することができ、すなわち、第2の腕24をシャフト47の右端面に近づけることができる。したがって、阻止部材21がホルダ部材17の移動を阻止するために相対的に移動するストロークを短くすることができるため、リリースボタン18の押込みストロークも短くすることができ、バックル本体10の小型化を達成することができる。
【0052】
さらに、バックルプリテンショナ9の作動終了時にかかる右方向への加速度によって、阻止部材21は、この状態のまま右方向に移動(スライド)し、フック部66が縁部65B及び65Cに当接して係合し、これ以上右側に移動することはない。
【0053】
次に、本実施の形態に係るバックル装置の具体的動作について説明する。
【0054】
タングプレート6がバックル本体10に挿入されておらず、ラッチ板14が非ロック位置にある際は、図3に示すように、スライダ12は、コイルスプリング13の付勢力により左側に置かれている。また、阻止部材21は、コイルスプリング22の付勢力によって、第1の腕23の両端部と、切欠き28B及び28Cの左側縁部68B及び68Cとが接触している状態となっており、第2の腕24は、切欠部27B及び27Cには挿入されていない。
【0055】
また、ホルダ部材17は、コイルスプリング15により左斜め上方に付勢されており、ホルダ部材17の支持穴57B及び57Cと、側壁11B及び11Cの窓33B及び33Cは、互いにある角度をもって配置されている。
【0056】
そしてまた、ロックピン16は、支持穴57B及び57Cの右端、並びに窓穴33B及び33Cの右端に位置している。この時、ラッチ板14は、コイルスプリング15の付勢力により、ラッチ部41が上方に位置する状態を維持可能となっている。
【0057】
次に、タングプレート6をバックル本体10にロックするには、タングプレート6をタング出入口53からバックル本体10内に挿入させる。この時、タングプレート6の先端がスライダ12を右側に移動させ、コイルスプリング13を押し縮める。スライダ12の押圧部35B及び35Cがラッチ板14の脚44B及び44Cに当接すると、ラッチ板14は、支持部46B及び46Cを支点としてロック位置方向(図に示す反時計方向)に回動し始める。
【0058】
この動作と同時に、ホルダ部材17は、ラッチ板14の回動に伴って、湾曲面54をロック制御部31に接触させながら、かつコイルスプリング15を押し縮めながら回動(移動)し始める。すなわち、ホルダ部材17は、ロック制御部31によって、左方向への動きが阻止された状態で前記回動を始める。このホルダ部材17の回動によって、ロックピン16は、支持穴57B及び57Cの上部面に押されて、側壁11B及び11Cの窓穴33B及び33C内を左方向に移動し始める。すなわち、ロックピン16は、支持穴57B及び57Cと、窓穴33B及び33Cとのカム作用によってロック方向への移動を行う。
【0059】
さらにタングプレート6を挿入すると、図4に示すように、ラッチ板14及びホルダ部材17がさらに回動(移動)し、ホルダ部材17の湾曲面54がロック制御部31を乗り越えて、ロック制御部31の下方にもぐり込む。これによって、ホルダ部材17は、左方向へ移動可能となる。この瞬間は、ロックピン16は、ホルダ部材17の支持穴57B及び57Cの左端に移動を完了しており、ラッチ板14のラッチ部41は、タングプレート6のラッチ穴60との係合を完了している。
【0060】
ホルダ部材17の左方向への動きは、コイルスプリング15の付勢力によってバックルベース11の窓穴33B及び33Cの左端まで移動したロックピン16に当接する位置まで移動してロック完了となる。
【0061】
この状態において、バックルプリテンショナ9が作動すると、バックル本体10に左方向への加速度がかかる。この時、阻止部材21は、この加速度によって第1の腕23を支点として反時計回りに回動し、図5に示すように、切欠き27B及び27Cに第2の腕24が入り込む。この時、フック部66と縁部65B及び65Cとの間には隙間が形成されており、両者は接触していない。また、ホルダ部材17のシャフト47の右端面と、阻止部材21との間にも隙間が形成されている。
【0062】
次に、バックルプリテンショナ9の作動終了時には、バックル本体10に右方向への加速度がかかる。この時、阻止部材21は、この加速度によって、現状態のまま右方向に移動し、図6に示すように、フック部66が縁部65B及び65Cに当接して係合する。
【0063】
この動作と同時に、この右方向の加速度によって、リリースボタン18と、ホルダ部材17も右側に移動する。ここで、阻止部材21は、図6に示すようにフック部66が縁部65B及び65Cに当接して係合した状態となっているため、ホルダ部材17は、シャフト47の右端面が阻止部材21に当接するまで移動した後、係止される。このため、ロックピン16及びリリースボタン18の右方向への移動、すなわち非ロック位置への移動が阻止され、ラッチ板14がタングプレート6のロックを解除することを阻止できる。
【0064】
ここで、阻止部材21は、第1の腕23を支点として回動することで、第2の腕24の両端を切欠き27B及び27Cに挿入させ係合させるため、阻止部材21と、ホルダ部材17との間隔を短くすることができる。したがって、阻止部材21がホルダ部材17の移動を阻止するために相対的に移動するストロークを短くすることができる。このため、リリースボタン18の押込みストロークも短くすることができ、バックル本体10の小型化を達成することができる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るシートベルト装置は、ベースに回動及び移動可能に支持されてロック部材の移動を制御し、ラッチ板の非ロック位置への移動を阻止する阻止部材を備えている。この構造により、阻止部材は、前記回動によって前記ロック部材が非ロック位置に移動することを阻止するために相対的に移動するストロークを短くすることができる。この結果、リリースボタンの押込みストロークも短くすることができるため、バックル本体を大型化する必要がなく、小型化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るバックル装置を備えたシートベルト装置の概略図である。
【図2】本発明の本実施の形態に係るバックル装置の組立分解図である。
【図3】本発明の本実施の形態に係るバックル装置の動作を示す断面図であって、タングプレートをロックしていない状態を示す図である。
【図4】本発明の本実施の形態に係るバックル装置の動作を示す断面図であって、タングプレートをロックした状態を示す図である。
【図5】本発明の本実施の形態に係るバックル装置の動作を示す断面図であって、タングプレートをロックしている際に、バックルプリテンショナが作動した状態を示す図である。
【図6】本発明の本実施の形態に係るバックル装置の動作を示す断面図であって、タングプレートをロックしている際に、バックルプリテンショナの作動が終了した状態を示す図である。
【符号の説明】
1 バックル装置
9 バックルプリテンショナ
10 バックル本体
11 ベース
14 ラッチ板
16 ロックピン
17 ホルダ部材
18 リリースボタン
21 阻止部材
22 コイルスプリング
23 第1の腕
24 第2の腕
27、28 切欠き

Claims (3)

  1. タングプレートと、プリテンショナの先端に設けられ且つ当該タングプレートが挿脱されると共に、挿入されたタングプレートを係脱可能にロックするバックル本体と、を備えたバックル装置を有するシートベルト装置であって、
    前記バックル本体は、
    ベースと、
    前記ベースに支持されて、タングプレートをロックするロック位置と、このロックを開放する非ロック位置との間を移動するラッチ板と、
    前記ラッチ板の前記移動を制御するロック部材と、
    前記ベースに回動及び移動可能に支持されて、前記ロック部材の移動を制御し、前記ラッチ板の非ロック位置への移動を阻止可能な阻止部材と、
    を備え、
    前記阻止部材は、前記プリテンショナ作動時にかかる加速度によって回動し、当該阻止部材が前記ロック部材の相対的な移動ストロークを短くすることにより、当該ロック部材の移動を阻止することを特徴とするシートベルト装置。
  2. 前記プリテンショナ作動終了後にかかる加速度により、前記阻止部材は、プリテンショナ作動時の状態のまま移動し、前記ロック部材と当接することを特徴とする請求項1記載のシートベルト装置。
  3. 一端が前記阻止部材の一端に固定され、他端が前記ベースに固定されるスプリングをさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載のシートベルト装置。
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