JP4297566B2 - シートベルト装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、自動車等の乗り物の座席に装備されるウエビング(ベルト)を着脱可能にロックするバックル装置を備えたシートベルト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車等の乗り物の座席には、乗員の安全を図るために、シートベルトが取り付けられている。このシートベルト用のバックル装置は、通常、ベルト端に設けられたタングプレート(舌片)と、タングプレートを係脱するバックル本体と、を備えて構成されている。このようなシートベルト用のバックル装置としては、例えば、特公平6−69403号公報や、特公平7−16445号公報に開示されたものなどがある。
【0003】
特公平6−69403号公報に開示されているバックル装置は、ベースと、このベースに設けられ、挿入されたタングプレートに押されて移動するスライダと、このスライダをタングプレートの抜き取り方向に付勢するコイルスプリングと、前記スライダの押圧によりタングプレートのロック位置に移動するラッチ板と、このラッチ板のロック状態を保持するブロック部材なるロック部材と、このロック部材をタングプレートの抜き取り方向に付勢するコイルスプリングと、前記ロック状態を解除すると共に、前記ロック部材を非ロック位置へ移動させる傾斜面を備えた解離ボタンと、を備えて構成されている。
【0004】
また、特公平7−16445号公報に開示されているバックル装置は、ベースと、このベースに設けられ、挿入されたタングプレートに押されて移動するスライダと、このスライダとアーム部材とによって結合され、ロック位置と非ロック位置との間を移動するロック部材と、前記アーム部材を付勢するコイルスプリングと、前記スライダの押圧による前記アーム部材とロック部材の移動により前記ロック位置に移動するラッチ板と、前記ロック状態を解除すると共に、前記ロック部材を非ロック位置へ移動させる傾斜面を備えた解離ボタンと、を備えて構成されている。
【0005】
これらの公報に開示されているバックル装置は、解離ボタンの操作によって、前記ラッチ板のロック位置と非ロック位置との切り換え動作を行う際に、前記解離ボタンに形成された傾斜面により前記ロック部材を非ロック位置へ移動させることで、ロック部材の非ロック方向(解離方向)への分力を発生させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公平6−69403号公報及び特公平7−16445公報に開示されているバックル装置は、例えば、バックル装置内部への異物などの侵入により、解離ボタンに形成された傾斜面と、ロック部材との間に生じる摩擦係数が増加したり、前記傾斜面とロック部材とが固着が発生する場合がある。この場合、解離ボタンの傾斜面のみによる非ロック方向(解離方向)への分力が不十分となる虞があり、解離ボタンを押圧してもタングプレートが解離し難い、あるいは解離できなくなるという事象が発生する虞がある。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点を解決することを課題とするものであり、ラッチ板によるタングプレートのロックを解除させてタングプレートをバックル本体から解離させる解離動作中において、ロック部材の非ロック位置への移動の信頼性を向上させたバックル装置を備えたシートベルト装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明は、タングプレートと、当該タングプレートが挿脱されると共に、挿入されたタングプレートを係脱可能にロックするバックル本体と、を備えたバックル装置を有するシートベルト装置であって、前記バックル本体は、ベースと、前記ベースに支持されて、タングプレートをロックするロック位置と、このロックを開放する非ロック位置との間を移動するラッチ板と、前記ラッチ板の前記移動を制御する少なくとも一つのロック部材と、前記ベースに移動可能に設けられ、前記ロック部材を非ロック位置へ移動させる駆動部を備えると共に、前記ロックを解除させる解離ボタンと、を備え、前記解離ボタンの前記ロック解除動作時に、前記ロック部材を非ロック位置へ移動させるよう前記解離ボタンを誘導するガイド部を、前記ベースに形成したシートベルト装置を提供するものである。
【0009】
この構成を備えたシートベルト装置のバックル装置は、解離ボタンを押圧し、ラッチ板によるタングプレートのロックを解除させてタングプレートをバックル本体から解離させる解離動作中において、ベース部に形成されたガイド部によって、前記解離ボタンが前記ロック部材を非ロック位置へ移動させるよう誘導される。このため、例えば、バックル本体内部に異物などが侵入しても、解離ボタンの解離動作中における、解離ボタンの駆動部のみによる非ロック方向(解離方向)への分力を十分に得ることができる。したがって、前記ロック部材の非ロック位置への移動の信頼性を向上させることができる。
【0010】
前記ガイド部は、解離ボタンがロック部材を非ロック位置方向にねじる(こじる)ことができるよう屈曲または湾曲した窓穴から構成することができる。さらに具体的には、前記窓穴は、ベースの両側壁に各々形成され、解離ボタンの押圧方向側が前記該両側壁の上方(ベースの底面から離れる方向)に向けて屈曲または湾曲した構成とすることもできる。
【0011】
また、前記ガイド部は、解離ボタンがロック部材を非ロック位置方向にねじる(こじる)ことができるよう屈曲または湾曲したガイド突起から構成することもできる。
【0012】
また、本発明に係るバックル装置は、前記ロック部材の動作を制御するロック制御部材をさらに備え、前記ガイド部は、前記解離ボタンが、前記ロック部材を前記ロック制御部材から開放させる位置近傍まで押圧される位置付近から屈曲する構成とすることができる。
【0013】
このような形状のガイド部を備えることで、解離ボタンは解離動作中に、当該ガイド部の誘導によって、解離ボタンの駆動部とロック部材との当接が一定でなくなるため、両者のバランスを崩すことができる。また、解離ボタンがロック部材を非ロック位置方向にねじる(こじる)動きにより、前記駆動部とロック部材との固着を開放する効果を得ることもできる。したがって、タングプレートの解離のための信頼性をさらに向上することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態に係るバックル装置について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係るシートベルト装置の概略図、図2は、本実施の形態にバックル装置の組立分解図、図3〜図6は、本実施の形態に係るバックル装置の動作を示す断面図、図7は、本実施の形態に係るバックル装置の構成要素であるバックルベースの断面図である。
【0016】
本実施の形態に係るシートベルト装置1は、特に図1に示すように、乗員を支持するウエビング2が、例えば、センターピラー3の下方に設けられたリトラクタ4に巻き取られて収納されている。リトラクタ4から上方へ引き出されたウエビング2は、車体上方に設けられたスルーアンカ金具8で折り返されて下方へ案内されて、タングプレート5のウエビング連結穴6に挿通され、アンカープレート9を介して車体の支持体等に固定されている。また、タングプレート5は、車体に取り付けられた支持体7の先端に設けられたバックル本体10に嵌め込まれる。
【0017】
本実施の形態に係るバックル装置100は、図1〜図7に示すようにウエビング連結穴6にウエビング2を挿通させるタングプレート5と、タングプレート5を係脱するバックル本体10と、を備えて構成されている。
【0018】
タングプレート5は、一方の先端にラッチ穴60が、他方の先端にウエビング2を挿通させるためのベルト連結穴6が形成されている。
【0019】
バックル本体10は、フレームとして機能するバックルベース11と、タングプレート5の挿脱に応じて移動するスライダ12と、スライダ12の移動を行うコイルスプリング13と、タングプレート5をロックするラッチ板14と、ラッチ板14を揺動させるコイルスプリング15と、ラッチ板14の揺動を制御するロックピン16と、コイルスプリング15を支持すると共に、ロックピン16を移動可能に支持するホルダ部材17と、タングプレート5のロックを解除する解離ボタン18と、解離ボタン18をタングプレート5の抜脱方向に付勢するコイルスプリング19と、このコイルスプリング19が当接するスプリングホルダー20と、タングプレート5の係脱状態を検出するスイッチ21と、これらを収容するロアカバー22L及びアッパーカバー22Uと、を備えて構成されている。
【0020】
本実施の形態では、ロック部材が、ホルダ部材17とロックピン16とからなる場合について説明する。
【0021】
なお、バックル本体10には、支持体7の先端が、ピン23によって固定される。
【0022】
バックルベース11は、底板11Aと、これの両側に立設された一対の対向した側壁11B及び11Cとを備えた略コ字状を有している。底板11Aのタング抜脱方向(図2〜図6の左方向、以下、この方向を「左」とする)端部には、タングプレート5を挿脱する際に、タングプレート5を案内するガイド片26が形成されている。また、底板11Aには、スライダ12をタングプレート5の挿脱方向にスライド可能にするための開口部25が設けられている。この開口部25のタング挿入方向(図2〜図6の右方向、以下、この方向を「右」とする)端部の略中央部には、コイルスプリング13の右端部を係止する係止凸部45が形成されている。
【0023】
側壁11B及び11Cの略中央部には、特に図2及び図7に詳細に示すように、ロックピン16の両端を、左右方向に移動可能に支持する水平方向に長い窓穴33B及び33Cが開口されている。この窓33B及び33Cの下部には、後に詳述する解離ボタン18の凸部29B及び29Cを移動可能に支持する窓穴34B及び34Cが形成されている。この窓穴34B及び34Cは、左右方向略中央部付近から右側が上方に向けて屈曲し、さらに右側が再び略水平となった略クランク形状を備えている。すなわち、解離ボタン18が、ホルダ部材17を、後に詳述するロック制御部31から開放させる位置近傍まで押圧される位置から屈曲する構成となっている。
【0024】
また、窓穴34B及び34Cの右側には、後に詳述するラッチ板14の右端部両側に形成された支持部46B及び46Cが揺動可能に挿入・支持される挿入穴36B及び36Cが形成されている。
【0025】
スライダ12は、断面略コ字状を備えており、略平板状の上板37と、上板37の下面に設けられた断面L字状の下部38との間に形成された凹部39に、コイルスプリング13の左端を保持する構成となっている。スライダ12の左端の両側には、後に詳述するラッチ板14の脚44B及び44Cを押圧する押圧部35B及び35Cが形成されている。なお、コイルスプリング13の右端は、底面11Aの係止凸部45に固定される。
【0026】
このスライダ12は、下部38がバックルベース11の開口部25に嵌められてスライド自在に支持される。そして、タングプレート5をバックル本体10に挿入した際に、タングプレート5の先端に押され、コイルスプリング13の付勢力に逆らって、右方向にスライドされ、後に詳述するラッチ板14の両端部下端に設けられた脚44B及び44Cを押圧してラッチ板14を反時計回り(タングプレート5をロックする方向)に回転させる。一方、タングプレート5が抜脱された際には、コイルスプリング13の付勢力によって、スライダ12は左方向に戻される。
【0027】
ラッチ板14は、その略中央部に、後に詳述するホルダ部材17の一部が挿入される開口部40が形成されている。このラッチ板14の左側には、タングプレート5がバックル本体10に挿入された際に、タングプレート5のラッチ穴60に挿入されてタングプレート5をロックするラッチ部41が、下方に向けて延出形成されている。ラッチ部41と開口部40との間には、後に詳述するロックピン16に当接可能な支持面42が形成されている。
【0028】
また、ラッチ板14の右端の両側には、側壁11B及び11Cの支持穴36B及び36Cに揺動(回転)自在に支持される支持部46B及び46Cが突設されている。すなわち、ラッチ板14は、支持部46B及び46Cを支点として揺動し、タングプレート5をロックするロック位置あるいはロックを解除する非ロック位置への移動を行う。また、ラッチ板14の右端の両側には、下方に向けて延出された脚44B及び44Cが設けられており、この脚44B及び44Cには、前述したように、スライダ12の押圧部35B及び35Cが、各々押圧可能である。
【0029】
ラッチ板14の右側略中央部には、上方に向けて立設した当接部43が形成されており、この当接部43の略中央部には、後に詳述するシャフト47の先端が進退可能に挿入される開口部49が形成されている。
【0030】
ホルダ部材17は、本体51と、本体51の両側に形成された側壁52B及び52Cと、本体51の右端部略中央部に形成されたシャフト47と、を備えて構成されている。
【0031】
本体51は、左端に配置された湾曲面54と、湾曲面54の上部に連続して形成された上面55と、上面55に連続した傾斜面56と、傾斜面56の略中央部から下方に向けて延出した凸部58と、から構成されている。
【0032】
凸部58は、ラッチ板14の開口部40に挿入され、その幅方向端面には、該幅方向外側に突出した爪部58B及び58Cが、それぞれ形成されている。そして、この両爪部58B及び58Cが、ラッチ板14の開口部40付近の底面に摺動可能に係合するようになっている。すなわち、ホルダ部材17は、この両爪部58B及び58Cによって、ラッチ板14を抱え込むように配置されている。
【0033】
なお、この本体51は、上面55に対向する面(下面)が解放されており、後に詳述する側壁52B及び52Cに形成された支持穴57B及び57Cに挿入されるロックピン16が、この面から露出するよう構成されている。
【0034】
側壁52B及び52Cは、その略中央部に、上面55に対して傾斜した長穴状の支持穴57B及び57Cが開口されている。支持穴57B及び57Cには、ロックピン16が移動可能に挿入される。この支持穴57B及び57Cを貫通したロックピン16の両端部は、窓穴33B及び33Cに、左右方向に移動可能に挿入される。また、側壁52B及び52Cの左側下端には、後に詳述する解離ボタンを押圧してタングプレート5の解離を行う際に、解離ボタン18の傾斜部63B及び63Cが当接可能な当接部59B及び59Cが形成されている。
【0035】
ここで、支持穴57B及び57Cは、タングプレート5が挿入されていない段階(図3及び図6参照)では、ホルダ部材17がコイルスプリング15によって左側に付勢されているため、ロックピン16は、支持穴57B及び57Cと、窓穴33B及び33Cの右端に位置し、支持穴57B及び57Cは、窓穴33B及び33Cに対し、傾斜した状態、すなわち所定の角度を持って配置されることになる。
【0036】
シャフト47は、右先端が、左先端より径が細くなるよう構成されている。シャフト47には、コイルスプリング15が挿入され、このシャフト47の存在によって、コイルスプリング15は、伸縮する際に、曲がったり、折れたりすることが防止される。シャフト47の径が小さい部分は、ラッチ板14の当接部43に形成された開口部49を進退自在に貫通することができるようになっている。また、シャフト47の径の大きい部分は、開口部49の径より大きい径を有している。
【0037】
このように、ホルダ部材17は、シャフト47が、ラッチ板14の開口部49を進退可能に貫通し、爪部58B及び58Cが、ラッチ板14を抱え込むように摺動可能にラッチ板14に係合しているため、ラッチ板14の移動に応じて、ラッチ板14上を摺動することができる。
【0038】
スプリングホルダー20は、バックルベース11の左側に設けられる。スプリングホルダー20の左先端面の略中央部には、コイルスプリング19の右端を固定する固定部28が形成されている。このスプリングホルダー20の下面と、バックルベース11の底面11Aとの間には、タングプレート5を挿入可能な空間が形成され、ここがタング出入口53となる。
【0039】
スプリングホルダ20の上部には開口部32が形成されており、タングプレート5がロック状態となった際(図4及び図5参照)には、この開口部32の左側を画定する部分の下方に、ホルダ部材17の湾曲面54と上面55部がもぐり込めるように構成されている。また、バックル本体10にタングプレート5が挿入されていない際(図3及び図6参照)には、この開口部32にホルダ部材17の先端側が挿入され、ホルダ部材17の湾曲面54が、開口部32の左側を画定する面32Aに当接する。なお、この開口部32の左側を画定する部分が、ホルダ部材17の動作を制御するロック制御部31となる。
【0040】
解離ボタン18は、使用者が押圧可能な操作部61と、操作部61の両側に右方向に向けて水平に延出されたアーム62B及び62Cと、タングプレート5をバックル本体10から解離させるために解離ボタン18を右側に押圧した際に、ホルダ部材17の当接部59B及び59Cに当接してホルダ部材17を非ロック位置へ移動させる駆動部としての傾斜部63B及び63Cを備えている。
【0041】
この解離ボタン18は、アーム62B及び62Cの右先端の内側に各々形成された凸部29B及び29Cが、側壁11B及び11Cに形成された窓穴34B及び34Cに移動可能に支持されて、側壁11B及び11Cにスライド可能に設けられている。すなわち、この解離ボタン18は、タングプレート5をバックル本体10から解離させるために右側に押圧された際に、凸部29B及び29Cが、窓穴34B及び34Cにガイドされて、非ロック位置方向へと、その進行が誘導されるようになっている。
【0042】
操作部61の内側面であって、その略中央部には、コイルスプリング19の左端を保持する保持部64が形成されている。この保持部64に保持されたコイルスプリング19の右端は、スプリングホルダー20の固定部28に固定されている。したがって、解離ボタン18は、コイルスプリング19によって、常に左方向に付勢されている。
【0043】
次に、本実施の形態に係るバックル装置の具体的動作について説明する。
【0044】
タングプレート5がバックル本体10に挿入されておらず、ラッチ板14が非ロック位置にある際は、図3及び図6に示すように、スライダ12は、コイルスプリング13の付勢力により左側に置かれている。
【0045】
また、ホルダ部材17は、コイルスプリング15により左斜め上方に付勢されており、ホルダ部材17の支持穴57B及び57Cと、側壁11B及び11Cの窓33B及び33Cは、互いにある角度をもって配置されている。
【0046】
そしてまた、ロックピン16は、支持穴57B及び57Cの右端、並びに窓穴33B及び33Cの右端に位置している。この時、ラッチ板14は、コイルスプリング15の付勢力により、ラッチ部41が上方に位置する状態を維持可能となっている。
【0047】
次に、タングプレート5をバックル本体10にロックするには、タングプレート5をタング出入口53からバックル本体10内に挿入させる。この時、タングプレート5の先端がスライダ12を右側に移動させ、コイルスプリング13を押し縮める。スライダ12の押圧部35B及び35Cがラッチ板14の脚44B及び44Cに当接すると、ラッチ板14は、支持部46B及び46Cを支点としてロック位置方向(図に示す反時計方向)に回転し始める。
【0048】
この動作と同時に、ホルダ部材17は、ラッチ板14の回転に伴って、湾曲面54をロック制御部31に接触させながら、かつコイルスプリング15を押し縮めながら回動(移動)し始める。すなわち、ホルダ部材17は、ロック制御部31によって、左方向への動きが阻止された状態で前記回動を始める。このホルダ部材17の回動によって、ロックピン16は、支持穴57B及び57Cの上部面に押されて、側壁11B及び11Cの窓穴33B及び33C内を左方向に移動し始める。すなわち、ロックピン16は、支持穴57B及び57Cと、窓穴33B及び33Cとのカム作用によってロック方向への移動を行う。
【0049】
さらにタングプレート5を挿入すると、図4に示すように、ラッチ板14及びホルダ部材17がさらに回動(移動)し、ホルダ部材17の湾曲面54がロック制御部31を乗り越えて、ロック制御部31の下方にもぐり込む。これによって、ホルダ部材17は、左方向へ移動可能となる。この瞬間は、ロックピン16は、ホルダ部材17の支持穴57B及び57Cの左端に移動を完了しており、ラッチ板14のラッチ部41は、タングプレート5のラッチ穴60との係合を完了している。
【0050】
ホルダ部材17の左方向への動きは、コイルスプリング15の付勢力によってバックルベース11の窓穴33B及び33Cの左端まで移動したロックピン16に当接する位置まで移動してロック完了となる。
【0051】
なお、ラッチ板14の非ロック方向(解離方向)の強度分布は、ラッチ板14の支持面42と、ロックピン16と、窓穴33B及び33Cで受ける構造となっている。したがって、前記強度が分散するため、強度に対する信頼性を向上することができる。
【0052】
次に、バックル本体10からタングプレート5を抜き取る際には、図5に示すように、解離ボタン18を右方向に押し込むと、解離ボタン18の傾斜部63B及び63Cがホルダ部材17の当接部59B及び59Cに当接する。解離ボタン18をさらに押すと、ホルダ部材17が右方向(略水平方向)に移動し始める。このホルダ部材17を介してロックピン16が押されて右方向(非ロック位置方向)に移動し始め、ロックピン16は、ラッチ板14の支持面42との接触が解除される。
【0053】
この時点では、ホルダ部材17の上面55の左先端がロック制御部31の下面に位置しているため、ラッチ板14は、ホルダ部材17に押さえられて、ロック位置に止まっており、まだ非ロック位置に移動しない。さらに解離ボタン18を押すと、ホルダ部材17の上面55の左先端がロック制御部31を乗り越えて、ロック制御部31の下面から外れる。これによって、ホルダ部材17は、略垂直方向の動きが行えるようになる。
【0054】
この動作中、解離ボタン18は、凸部29B及び29Cが、窓穴34B及び34Cにガイドされて移動する。ここで、窓穴34B及び34Cは、前述したような略クランク形状となっているため、解離ボタン18は、非ロック位置方向(図5では、反時計方向)にねじられる(こじられる)動きをすることになる。
【0055】
ここで、例えば仮に、バックル本体10内に、埃や、糖分を含んだジュース類などの異物が侵入し、解離ボタン18の傾斜部29B及び29Cと、ホルダ部材17の当接部59B及び59Cとの摺動性が悪化しても、前記ねじられる(こじられる)動きにより、非ロック方向(略垂直方向)の動きを確実に行うことができる。
【0056】
この解離ボタン18の作用により、図6に示すように、ホルダ部材17は、コイルスプリング15及び13の付勢力によって、一気に非ロック位置方向に移動する。
【0057】
これと同時に、ロックピン16は、ホルダ部材17の支持穴57B及び57Cの下面に押されて、側壁11B及び11Cの窓穴33B及び33C内を一気に非ロック方向(右側)に移動する。ここで、ロックピン16は、支持穴57B及び57Cと、窓穴33B及び33Cとのカム作用によって移動するが、この時、ロックピン16は、支持穴57B及び57Cと、窓33B及び33Cのみに支持されており、ラッチ板14とは接触していないため、不完全な位置で停止することなく、前記非ロック位置に移動する。
【0058】
また同時に、ラッチ板14は、コイルスプリング15の付勢力によって、支持部46B及び46Cを支点として、非ロック位置方向(時計方向)に回転して、非ロック位置に移動し、タングプレート5のロックを解除する。
【0059】
なお、本実施の形態では、窓穴34B及び34Cの形状を略クランク形状とした場合について説明したが、これに限らず、例えば、図8に示すように、左右方向略中央部分から右側が上方に向けて屈曲した略L字状や、図9に示すように、右側が上方に向けて湾曲した形状など、解除ボタン18を非ロック方向にねじる(こじる)動作を生じさせることができれば、特に窓穴34B及び34Cの形状は、特に限定されるものではない。
【0060】
また、前記と同じ動作を生じさせることができれば、窓穴34B及び34Cの代わりに、凸部29B及び29Cをガイドするガイド突起などを設けてもよい。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るシートベルト装置のバックル装置は、解離ボタンによるタングプレートのロック解除動作時に、ラッチ板のロック位置と非ロック位置との間の移動を制御するロック部材を、非ロック位置へ移動させるよう前記解離ボタンを誘導するガイド部を、前記ベースに形成したため、例えば、バックル本体内部に異物などが侵入しても、解離ボタンの解離動作中における、解離ボタンの解離方向(非ロック方向)への分力を十分に得ることができる。したがって、前記ロック部材の非ロック位置への移動の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るシートベルト装置の概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るバックル装置の組立分解図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るバックル装置の動作の一部を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るバックル装置の動作の一部を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るバックル装置の動作の一部を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るバックル装置の動作の一部を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るバックル装置の構成要素であるバックルベースの断面図である。
【図8】本発明の他の本実施の形態に係るバックル装置の構成要素であるバックルベースの断面図である。
【図9】本発明の他の本実施の形態に係るバックル装置の構成要素であるバックルベースの断面図である。
【符号の説明】
1 シートベルト装置
5 タングプレート
6 ウエビング連結穴
10 バックル本体
11 バックルベース
12 スライダ
13、15、19 コイルスプリング
14 ラッチ板
16 ロックピン
17 ホルダ部材
18 解離ボタン
29B、29C 凸部
31 ロック制御部
33B、33C 窓穴
34B、34C 窓穴
42 支持面
52B、52C 側壁
54 湾曲面
55 上面
57B、57C 支持穴
59B、59C 当接部
63B、63C 傾斜部
Claims (3)
- タングプレートと、当該タングプレートが挿脱されると共に、挿入されたタングプレートを係脱可能にロックするバックル本体と、を備えたバックル装置を有するシートベルト装置であって、
前記バックル本体は、
ベースと、
前記ベースに支持されて、タングプレートをロックするロック位置と、このロックを開放する非ロック位置との間を移動するラッチ板と、
前記ラッチ板の前記移動を制御する少なくとも一つのロック部材と、
前記ベースに移動可能に設けられ、前記ロック部材を非ロック位置へ移動させる駆動部を備えると共に、前記ロックを解除させる解離ボタンと、
を備え、
前記解離ボタンの前記ロック解除動作時に、前記ロック部材を非ロック位置へ移動させるよう前記解離ボタンを誘導するガイド部を、前記ベースに形成し、
前記ガイド部は、前記解離ボタンが前記ロック部材を非ロック位置方向にねじることができるよう屈曲または湾曲した窓穴から構成されてなるシートベルト装置。 - タングプレートと、当該タングプレートが挿脱されると共に、挿入されたタングプレートを係脱可能にロックするバックル本体と、を備えたバックル装置を有するシートベルト装置であって、
前記バックル本体は、
ベースと、
前記ベースに支持されて、タングプレートをロックするロック位置と、このロックを開放する非ロック位置との間を移動するラッチ板と、
前記ラッチ板の前記移動を制御する少なくとも一つのロック部材と、
前記ベースに移動可能に設けられ、前記ロック部材を非ロック位置へ移動させる駆動部を備えると共に、前記ロックを解除させる解離ボタンと、
を備え、
前記解離ボタンの前記ロック解除動作時に、前記ロック部材を非ロック位置へ移動させるよう前記解離ボタンを誘導するガイド部を、前記ベースに形成し、
前記ガイド部は、前記解離ボタンが前記ロック部材を非ロック位置方向にねじることができるよう屈曲または湾曲したガイド突起から構成されてなるシートベルト装置。 - タングプレートと、当該タングプレートが挿脱されると共に、挿入されたタングプレートを係脱可能にロックするバックル本体と、を備えたバックル装置を有するシートベルト装置であって、
前記バックル本体は、
ベースと、
前記ベースに支持されて、タングプレートをロックするロック位置と、このロックを開放する非ロック位置との間を移動するラッチ板と、
前記ラッチ板の前記移動を制御する少なくとも一つのロック部材と、
前記ベースに移動可能に設けられ、前記ロック部材を非ロック位置へ移動させる駆動部を備えると共に、前記ロックを解除させる解離ボタンと、
前記ロック部材の動作を制御するロック制御部材と、
を備え、
前記解離ボタンの前記ロック解除動作時に、前記ロック部材を非ロック位置へ移動させるよう前記解離ボタンを誘導するガイド部を、前記ベースに形成し、
前記ガイド部は、前記解離ボタンが前記ロック部材を前記ロック制御部材から開放させる位置近傍まで押圧される位置の付近から屈曲する構成を有してなるシートベルト装置。
Priority Applications (3)
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DE19959154A DE19959154C2 (de) | 1998-12-25 | 1999-12-08 | Verschluß |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP22364799A JP4297566B2 (ja) | 1999-08-06 | 1999-08-06 | シートベルト装置 |
Publications (2)
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Family Applications (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
RU2683612C1 (ru) * | 2018-01-30 | 2019-03-29 | Российская Федерация, от имени которой выступает Министерство промышленности и торговли Российской Федерации (Минпромторг России) | Способ формирования градиентного покрытия методом лазерной наплавки |
-
1999
- 1999-08-06 JP JP22364799A patent/JP4297566B2/ja not_active Expired - Fee Related
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RU2683612C1 (ru) * | 2018-01-30 | 2019-03-29 | Российская Федерация, от имени которой выступает Министерство промышленности и торговли Российской Федерации (Минпромторг России) | Способ формирования градиентного покрытия методом лазерной наплавки |
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