JP4293530B2 - オフセット印刷用紙 - Google Patents

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Description

本発明は、オフセット印刷用紙に関し、更に詳しくは、紙の再湿接着性を抑えて、高速印刷性、表面紙力強度、サイズ度を向上させることができる紙用サイジング剤組成物を用いてなるオフセット印刷用紙に関する。
従来より、ポリビニルアルコール(以下PVAと略記することがある)は、紙の表面強度、平滑度、光沢等の表面特性を改善するために紙の表面にコーティングして、紙用サイジング剤として広く利用されている。
かかるサイジング剤によってコーティングされた紙は、オフセット印刷する時にサイジング剤の再湿接着性(ネッパリ)により、印刷機のロールやブランケットシリンダーに張り付いて紙切れ等のトラブルを起こす原因となり、紙が湿潤状態にさらされてもネッパリが抑制された紙用サイジング剤が望まれるところである。
そこで、本出願人は先にPVA及びポリエーテルポリオールを含有してなる紙用サイジング剤組成物(例えば、特許文献1参照。)を開示した。
また、主成分が二酸化チタンとPVAの表面処理剤を塗布、乾燥して、かつネッパリ強度が10gf/cm以下であるオフセット印刷用新聞紙(例えば、特許文献2参照。)が知られている。
特開平11−21786号公報 特開平11−293591号公報
しかしながら、最近は新聞用紙のみならず上質紙、中質紙、グラビア用紙等の印刷用紙についても高速印刷が要求され、例えばオフセット印刷では300m/分以上の高速印刷が実施されるようになってきており、かかる観点から特許文献1及び2の開示技術を検討すると、印刷速度が10〜200m/分程度のオフセット印刷ではネッパリは抑制されるものの、印刷速度が300m/分以上の高速、例えば500m/分で1時間以上オフセット印刷するとネッパリ現象がみられてロールへのサイジング剤組成物の付着が増えて、ロール汚れが発生して印刷ムラが発生することがあり、また、高速印刷時に要求される表面紙力強度の点でもまだまだ改良の余地があることが判明した。また一方では、印刷物の高画質化も求められており、よりサイズ度の向上された印刷用紙が望まれるところである。
そこで、本発明者等はかかる事情を鑑みて鋭意研究を重ねた結果、カルボキシル基含有ポリビニルアルコール(A)及びポリアミドエポキシ樹脂(B)を含有してなる紙用サイジング剤組成物が上記の課題を解決できることを見いだし本発明を完成するに至った。
本発明のオフセット印刷用紙、紙の再湿接着性(ネッパリ)抑えられ、高速印刷性、表面紙力強度、サイズ度に優れるものである。
以下、本発明について詳述する。
本発明において用いられるカルボキシル基含有PVA(A)は、任意の方法で製造することができ(1)カルボキシル基含有不飽和単量体とビニルエステル系化合物を共重合させた後、該共重合体をケン化する方法、(2)カルボキシル基を有するアルコールやアルデヒドあるいはチオール等を連鎖移動剤として共存させてビニルエステル系化合物を重合した後にケン化する方法等が挙げられるが、(1)の方法が製造面から実用的であり以下(1)の方法について具体的に説明する。
カルボキシル基含有不飽和単量体としては、エチレン性不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸)、又はエチレン性不飽和カルボン酸モノエステル(マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル)、又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル(マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル)〔但し、これらのジエステルは共重合体のケン化時に加水分解によりカルボキシル基に変化することが必要である〕、又はエチレン性不飽和カルボン酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸)、あるいは(メタ)アクリル酸等の単量体、及びこれらの塩が挙げられ、これらの中でもエチレン性不飽和カルボン酸モノエステル又はその塩が好ましい。
ビニルエステル系化合物としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等が挙げられ、これらの中でも酢酸ビニルが実用性が高い。
また、共重合の際に上記の如きカルボキシル基含有不飽和単量体、ビニルエステル系化合物以外に、ビニルエステル系化合物と共重合しうる単量体、例えば、アルキルビニルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレンビニルエーテル等を50モル%以下共存せしめて重合を行なっても良い。
共重合するに当たっては特に制限はなく、公知の重合方法が任意に用いられるが、普通メタノール等のアルコールを溶媒とする溶液重合が実施される。
かかる方法において単量体の仕込み方法としては、まずビニルエステル系化合物の全量と前記カルボキシル基含有不飽和単量体の一部を仕込み重合を開始し、かかる不飽和単量体を重合期間中に連続的に又は分割的に添加する方法、一括仕込みする方法等任意の手段を用いて良い。
共重合反応は、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの公知のラジカル重合触媒を用いて行なわれる。又反応温度は50℃〜沸点程度の範囲から選択される。
上記の如くして得られた共重合体は、次にケン化されてカルボキシル基含有PVAとなる。
ケン化に当たっては、共重合体をアルコールに溶解しアルカリ触媒の存在下に行なわれる。アルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。
アルコール中の共重合体の濃度は20〜70重量%の範囲から選ばれる。ケン化触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒を用いることが好ましい。かかる触媒の使用量はビニルエステル系化合物に対して1〜100ミリモル当量にすることが好ましい。
かかる場合、ケン化温度は特に制限はないが、通常は10〜70℃、更には30〜50℃の範囲から選ぶのが好ましい。反応は通常2〜5時間にわたって行なわれ、酢酸ビニル成分のケン化度としては10〜100モル%が好ましく、更には50〜100モル%、殊には70〜100モル%である。
かくして、カルボキシル基含有PVA(A)が得られるわけであるが、かかるカルボキシル基の含有量は0.1〜10モル%が好ましく、更には0.5〜5モル%である。かかるカルボキシル基の含有量が0.1モル%未満では表面紙力強度が低下することがあり、逆に10モル%を越えると水への溶解性が不良となって塗工液の調製時に支障をきたすことがあり好ましくない。
また、カルボキシル基含有PVA(A)のJIS K6726に準拠して測定される平均重合度は100〜10000が好ましく、更には300〜3000で、かかる平均重合度が100未満では表面紙力強度が低下することがあり、逆に10000を越えると水溶液(塗工液)粘度が上昇して塗工性が悪くなることがあり好ましくない。
次にポリアミドエポキシ樹脂(B)について説明する。
かかるポリアミドエポキシ樹脂(B)は、エピハロヒドリンと第二級アミン基を有するポリアミドとの反応生成物である。
該エピハロヒドリンとしては、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン等が例示でき、特にエピクロルヒドリンが好ましい。
また、第二級アミン基を有するポリアミドとしては、ポリアルキルポリアミン化合物とアルキルジカルボン酸との縮合で得られるものが好ましく、ポリアルキルポリアミン化合物とジカルボン酸が当量に反応したポリアミド、ポリアルキルポリアミンを当量より多く反応させてポリアミン基を残存させたポリアミドポリアミン等が挙げられる。ポリアルキルポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘプタエチレンオクタミン、トリエチレンビス(トリメチレン)ヘキサミン等が挙げられる。またジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。
かかる樹脂(B)として具体的には、日本ピー・エム・シー社製「WS−552」、「WS−535」、「WS−570」等が挙げられる。

本発明の紙用サイジング剤組成物は、上記の如きカルボキシル基含有PVA(A)100重量部に対して、ポリアミドエポキシ樹脂(B)を0.1〜10重量部含有するもので、更には0.1〜8重量部含有させることが好ましく、かかる含有量が0.1重量部未満では、湿し水をした時のネッパリを抑制できないことがあり、逆に10重量部を越えると表面紙力強度が低下することがあり好ましくない。
本発明では更に、アセト酢酸エステル基含有PVA(以下AA化PVAと称する)、ジアセトンアクリルアミド基含有PVA、側鎖にアルデヒド基を含有するPVAのいずれかのPVA(C)〔以下単にPVA(C)と称する〕を併用することで、湿し水をした時のネッパリを抑制する効果がさらに向上する。
上記のAA化PVAは、後述するようにPVAにジケテンを反応させたり、PVAとアセト酢酸エステルを反応させてエステル交換したり、PVAにアセト酢酸エステル基を導入させたもので、かかるPVAとしては、一般的にはポリ酢酸ビニルの低級アルコール溶液をアルカリや酸などによってケン化したケン化物又はその誘導体が用いられる。
原料となるPVAは粉末状のPVAや、原料PVAの製造時のケン化工程後の溶剤(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)を含有したスラリー状のPVAが用いられる。
上記の如く得られたPVAにアセト酢酸エステル基を導入するにあたっては、PVAとジケテンを反応させる方法、PVAとアセト酢酸エステルを反応させエステル交換する方法や、酢酸ビニルとアセト酢酸ビニルを共重合させる方法等を挙げることができるが、製造工程が簡略で、品質の良いAA化PVAが得られる点から、PVA(粉末)とジケテンを反応させる方法で製造するのが好ましい。
以下、かかる方法について説明するが、これに限定されるものではない。
PVA粉末とジケテンを反応させる方法としては、PVAとガス状あるいは液状のジケテンを直接反応させても良いし、有機酸をPVA粉末に予め吸着吸蔵せしめた後、不活性ガス雰囲気下で液状又はガス状のジケテンを噴霧、反応するか、またはPVA粉末に有機酸と液状ジケテンの混合物を噴霧して反応するなどの方法が用いられる。
上記の反応の触媒としては、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、第一アミン、第二アミン、第三アミンなどの塩基性化合物が有効であり、該触媒量は公知の反応方法に比べて少量で良く、PVA粉末に対し0.1〜1.0重量%であるが、PVA粉末は、通常酢酸ナトリウムを上記の量を含んでいる場合が多いので触媒を添加しなくてもよいことが多い。
上記の反応を実施する際の反応装置としては、加温可能で撹拌機の付いた装置であれば十分である。例えば、ニーダー、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダーその他各種ブレンダー、撹拌乾燥装置である。
かくして得られたAA化PVAのアセト酢酸エステル基の含有量は0.5〜5モル%(更に1〜5モル%、特に2〜4モル%)とすることが好ましく、かかる含有量が0.5モル%未満では併用効果が得られず、逆に5モル%を越えると水溶液(塗工液)粘度が上昇して塗工性が悪くなることがあり好ましくない。
かかるPVAの酢酸ビニル成分のケン化度としては、70モル%以上が好ましく、更には80モル%以上、特には85モル%以上である。ケン化度が70モル%未満では塗工液の調整の際に水溶液とならないことがあり好ましくない。
また、JIS K6726に準拠して測定される平均重合度としては、100〜4000が好ましく、更には300〜2000である。平均重合度が100未満では表面紙力強度が不足することがあり、4000を超えると水溶液(塗工液)粘度が上昇して塗工性が悪くなることがあり好ましくない。
ジアセトンアクリルアミド基含有PVAは、例えば特開平10−330572号公報に示されるように、ジアセトンアクリルアミドとビニルエステル系化合物を共重合したものを、従来公知の手法によってケン化することによって得られる。
かかるPVAの酢酸ビニル成分のケン化度としては、70モル%以上が好ましく、更には80モル%以上、特には85モル%以上である。ケン化度が70モル%未満では塗工液の調整の際に水溶液とならないことがあり好ましくない。
かかるPVAの変性量としては0.01〜30モル%が好ましく、更には1〜20モル%、特には3〜15モル%である。かかる変性量が0.01モル%未満では併用効果が得られず、30モル%を越えると水溶液(塗工液)粘度が上昇して塗工性が悪くなることがあり好ましくない。
また、JIS K6726に準拠して測定される平均重合度としては、100〜4000が好ましく、更には300〜2000である。平均重合度が100未満では表面紙力強度が低下することがあり、4000を超えると水溶液(塗工液)粘度が上昇して塗工性が悪くなることがあり好ましくない。
側鎖にアルデヒド基を含有するPVAは、イ)アリリデンジアセテート等の不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をケン化する方法、ロ)(メタ)アクロレインジメチルアセタール、2−ビニル−1,3−ジオキソラン等の不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をアルカリ触媒でケン化した共重合体ケン化物を、さらに酸性条件下で加水分解する方法等により製造される。
かかるPVAの酢酸ビニル成分のケン化度としては、70モル%以上が好ましく、更には80モル%以上、特には85モル%以上である。ケン化度が70モル%未満では塗工液の調整の際に水溶液とならないことがあり好ましくない。
かかるPVAの変性量としては0.01〜30モル%が好ましく、更には0.1〜15モル%、特には0.3〜10モル%である。かかる変性量が0.01モル%未満では併用効果がなく、30モル%を越えると水溶液(塗工液)粘度が上昇して塗工性が悪くなることがあり好ましくない。
また、JIS K6726に準拠して測定される平均重合度としては、100〜4000が好ましく、更には300〜2000である。平均重合度が100未満では表面紙力強度が不足することがあり、4000を超えると水溶液(塗工液)粘度が上昇して塗工性が悪くなることがあり好ましくない。
上記PVA(C)、カルボキシル基含有PVA(A)100重量部に対して5〜100重量部配合され、更には5〜30重量部とすることが好ましく、かかる量が5重量部未満では併用効果がなく、逆に100重量部を越えると、過剰のPVA(C)が原因となってネッパリが発生することがあり好ましくない。
かくして、得られた本発明の紙用サイジング剤組成物は、一般には水に溶解して塗工液として用いられるが、溶剤系でも使用可能である。溶剤の種類は、カルボキシル基含有PVA(A)の種類及びポリアミドエポキシ樹脂(B)の含有割合等に応じて適宜選択すれば良く、具体的にはメタノール、エタノール等のアルコールが用いられる。
塗工液の調製に当たっては特に制限はなく、要するに水と上記のカルボキシル基含有PVA(A)及びポリアミドエポキシ樹脂(B)、更にはPVA(C)を混合すれば良い。塗工液の固形分濃度は目的に応じて適宜調節すれば良いが、作業性等を考慮して通常は0.1〜60重量%、更には1〜30重量%程度の範囲から選ばれる。
本発明の紙用サイジング剤組成物は、上記の如く(A)、(B)成分〔必要に応じて(C)成分〕を含有するものであるが、更にグリオキザール、尿素樹脂等の耐水化剤、消泡剤、離型剤、界面活性剤、防腐剤、防虫剤、防錆剤、増粘剤等の公知の添加剤を添加することもでき、又本発明の特徴を損なわない範囲で、クレー、炭酸カルシウム、カオリン、珪藻土、酸化チタン、酸化鉄、サチン白等の顔料や従来公知の未変性のポリビニルアルコール、澱粉、カルボキシメチルセルロース、アクリル系ラテックス、SBRラテックス等の樹脂も混合することができる。
本発明の紙用サイジング剤組成物を塗被する紙としては特に制限はないが、例えば、マニラボール、白ボール、ライナー等の板紙、上質紙、中質紙、グラビア用紙等の印刷用紙、上・中・下級紙、新聞用紙などが用いられ、この中でも印刷用紙に好適に用いられる。
かかる紙に該紙用サイジング剤組成物を塗工するにあたっては、サイズプレスコーター法、ゲートロールコーター法、エヤードクター法、ブレードコーター法、シムサイザーコーター法等公知の任意の方法が採用される。
該紙用サイジング剤組成物の塗工量は、固形分として0.1〜5g/m2、更には0.5〜3g/m2程度になるようにするのが適当である。塗工量が0.1g/m2未満では表面紙力強度が低下することがあり、5g/m2を越えると湿し水をした時のネッパリを抑制することができないことがあり好ましくない。
勿論前記方法に限らず、パルプ分散液中に本発明の紙用サイジング剤組成物を溶解して抄紙するいわゆる内部サイズ法、あるいは粉末状、繊維状に加工してから紙中に混入させる等、任意の方法によって本発明の紙用サイジング剤組成物を紙に適用することができる。
また、本発明の紙用サイジング剤組成物は、紙の再湿接着性を抑えて、高速印刷性、表面紙力強度、サイズ度を向上させることができることからオフセット印刷用紙に適用され、具体的には、オフセット枚葉印刷、オフセット輪転印刷等で使用される紙に用いられる。オフセット印刷で用いられる紙の厚みは10〜500μmのものが使用され、紙のサイズもはがきサイズからB3相当のものに使用される。印刷速度としては500〜5000m/分の高速印刷機にも適用される。特に本発明のサイジング剤組成物は、従来高速印刷には適していなかった上質紙、中質紙、グラビア用紙等の印刷用紙に用いても高速印刷が可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、実施例中、「部」、「%」とあるのは、特に断りのない限り重量基準を示す。
まず、カルボキシル基含有PVA(A−1,2)及びPVA(C−1〜4)を以下のごとく製造した。なお、各PVAの変性量はNMRにより測定した。
[カルボキシル基含有PVA(A)の製造]
(A−1)
重合缶に酢酸ビニル500部、マレイン酸3.4部、メタノール85部を仕込んで、系内を撹拌下、窒素気流中で昇温して60℃で30分間還流後、アゾビスイソブチロニトリルを酢酸ビニルに対して0.08モル%加え、6時間重合を行って反応終了後メタノール蒸気を吹き込んで未反応のモノマーを除去し、共重合体のメタノール溶液を得た。
次いで、得られたメタノール溶液を40%にメタノールで希釈し、30℃にして水酸化ナトリウムで中和した。更に共重合体中の酢酸ビニルに対して水酸化ナトリウムを20ミリモル%加えてケン化して、得られたケン化物を濾過し、70℃で乾燥してカルボキシル基含有PVA(A−1)を得た。かかるPVAの酢酸ビニル成分のケン化度は99.1モル%、平均重合度は1400、カルボキシル基含有量は1モル%であった。
(A−2)
実施例1において、マレイン酸の添加量を1.7部に変更した以外は同様に製造してカルボキシル基含有PVA(A−2)を得た。かかるPVAの酢酸ビニル成分のケン化度は99.1モル%、平均重合度は1400、カルボキシル基含有量は0.5モル%であった。
[ポリアミドエポキシ樹脂(B)]
(B−1):エピクロルヒドリン系ポリアミドエポキシ樹脂〔日本ピー・エム・シー社 製「WS−552」、固形分25%水溶液〕
(B−2):エピクロルヒドリン系ポリアミドポリアミンエポキシ樹脂〔日本ピー・エ ム・シー社製「WS−535」、固形分25%水溶液〕
[PVA(C)の製造]
(C−1)
酢酸ビニルを常法により重合して得られたポリ酢酸ビニル(平均重合度1000)の40%メタノール溶液100部をニーダーに仕込んで、液温を40℃に調整した。液温が40℃になった時点で、触媒として2%の水酸化ナトリウム水溶液10部を仕込んでケン化を1.5時間行った。その後酢酸で中和してケン化反応を停止させた後、メタノールで繰り返し洗浄を行い、次いで乾燥を行って、酢酸ビニル成分のケン化度99.0モル%のPVAを得た。
上記で得られたPVAの粉末200部をニーダーに仕込み、これに酢酸60部を入れて膨潤させ攪拌しながら、65℃に昇温後、ジケテン40部を4時間かけて滴下し、更に30分反応させて、AA化PVAを得た。かかるPVAの酢酸ビニル成分のケン化度は94.0モル%、アセト酢酸エステル基の含有量は5.0モル%、平均重合度は1000であった。
(C−2)
酢酸ビニルを常法により重合したポリ酢酸ビニル(平均重合度900)のメタノール溶液に酢酸メチルを添加して、ポリ酢酸ビニル/メタノール/酢酸メチル=48/39/13(重量比)になるように調整してポリ酢酸ビニル溶液を得た後、該溶液100部をニーダーに仕込んで、液温を40℃に調整した。液温が40℃になった時点で、触媒として2%の水酸化ナトリウム水溶液3部を仕込んでケン化を1.5時間行った。その後酢酸で中和してケン化反応を停止させた後、メタノールで繰り返し洗浄を行い、次いで乾燥を行って、酢酸ビニル成分のケン化度92.0モル%のPVAを得た。
上記で得られたPVAの粉末200部をニーダーに仕込み、これに酢酸20部を入れて膨潤させ、回転数20rpmで攪拌しながら、65℃に昇温後、ジケテン22部を4時間かけて滴下し、更に30分反応させて、AA化PVAを得た。かかるPVAの酢酸ビニル成分のケン化度は88.5モル%、アセト酢酸エステル基の含有量は3.5モル%、平均重合度は900であった。
(C−3)
メタノール中で酢酸ビニル/ジアセトンアクリルアミドをモル比95/5で共重合を行った後、脱モノマーを行い、30%メタノール溶液とした。
当該メタノール溶液100部をニーダーに仕込んで、液温を40℃に調整した後、触媒として2%の水酸化ナトリウム水溶液10部を仕込んでケン化を1.5時間行った。その後酢酸で中和してケン化反応を停止させた後、メタノールで繰り返し洗浄を行い、次いで乾燥を行ってジアセトンアクリルアミド基含有PVAを得た。かかるPVAの酢酸ビニル成分のケン化度は98.4モル%、平均重合度は1780、ジアセトンアクリルアミド基含有量は5.0モル%であった。
(C−4)
酢酸ビニル1000部、アリリデンジアセテート45部及びメタノール550部を仕込み、加熱還流させ、別途、重合触媒としてアゾビスイソブチロニトリル3.8部をメタノール50部に溶解したものを仕込み、重合を開始したと同時に、50%アリリデンジアセテートのメタノール溶液の仕込みを開始した。重合率が80%に達した時点で、重合禁止剤としてm−ジニトロベンゼン0.03部をメタノール100部に溶解したものを反応缶に仕込み、内温を30℃以下にして重合を停止し共重合体のペーストを得た。減圧蒸留により未反応のモノマーを除去した後、メタノールで希釈して共重合体のペースト2165部(樹脂分40%)を得た。
反応缶に、上記で得られた共重合体ペーストを樹脂分30%となるようにメタノールで希釈して400部仕込み、ジャケットを加熱してペースト温度を35℃とした。ケン化触媒として、水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液67部仕込み、ケン化を開始した。ケン化触媒添加終了後ケン化物が析出し始めて、ペーストが増粘してスラリー状態となった後、酢酸の10%メタノール溶液を所定量添加してスラリーを中和して、メタノールを除去して、アルデヒド基含有PVAを製造した。かかるPVAの酢酸ビニル成分のケン化度は97.1モル%、アルデヒド基含有量は4.9モル%、平均重合度は1000であった。
実施例1
上記のカルボキシル基含有PVA(A−1)100部、ポリアミドエポキシ樹脂(B−1)5部及びAA化PVA(C−1)30部を水365部に溶解して、サイジング剤組成物とし、さらに該組成物を坪量60g/m2の上質紙に、固形分として0.8g/m2になるようにサイズプレスコート(50m/分)を行った後、円筒回転式ドライヤーにて105℃で2分間乾燥し、更にスーパーカレンダーにて仕上げを行ってサイジング紙を得た。
得られたサイジング紙について、高速印刷性、再湿接着性、表面紙力強度、サイズ度の評価を以下の要領で行った。
(高速印刷性)
得られたサイジング紙にゲートロールコーター(アウターロール:直径200mmのゴムロール、インナーロール;直径200mmの金属ロール、アプリケーターロール:直径369mmのゴムロール、バックアップロール:直径349mmのゴムロール:各ロールの周速500m/分)を装備したオフセット印刷機で1色の両面印刷をして、その時の印刷性について以下のように評価した。
◎ −−− 10時間以上でサイジング剤組成物のロールへの付着あるいは印刷ムラ が認められなかった。
○ −−− 5〜10時間未満でサイジング剤組成物のロールへの付着あるいは印刷ム ラが認められた。
△ −−− 2〜5時間未満でサイジング剤組成物のロールへの付着あるいは印刷ムラ が認められた。
× −−− 2時間未満でサイジング剤組成物のロールへの付着あるいは印刷ムラが認 められた。
(再湿接着性)
J.TAPPI No.19「板紙の層間はく離強さ試験方法」に準じて、以下の通り行った。
得られたサイジング紙を100mm×100mmに切断して、フェルト面同士を重ねて5分間水に浸漬した後、濾紙に挟んで100kg/cm2の圧力でカレンダーロールを通して圧着する。次いで、20℃,65%RHで24時間調湿後、幅3cmの試験片として引張試験機(トーヨーボールドウィン社製「テンシロンUTM−2−20」、引張速度;200mm/min)により接着力(g/30mm)を測定した。
(表面紙力強度)
IGT印刷試験機(熊谷理機社製)により、インキにFINE INK TV−20(大日本インキ化学工業社製)を用いて、IGTピック強度(cm/秒)の測定を行った。
(サイズ度)
JIS P 8122により、ステキヒトサイズ度(秒)の測定を行った。
実施例2〜5、7〜
実施例1に準じて表1に示される如きカルボキシル基含有PVA(A)、ポリアミドエポキシ樹脂(B)、PVA(C)を用いて、同様に評価を行った。
比較例1、3
実施例1においてポリアミドエポキシ樹脂(B)あるいはPVA(C)の添加を省略した以外は同様に実施し、同様に評価を行った。
比較例2
上記の(A−1)の製造時にマレイン酸を添加しなかった以外は、同様に実施して未変性PVA(ケン化度99.1モル%、平均重合度1400)を製造して、実施例1において、カルボキシル基含有PVA(A)に替えて、かかる未変性PVAを同量用いて実施し、同様に評価した。
実施例及び比較例の評価結果を表2に示す。
〔表1〕
Figure 0004293530
*未変性PVA
〔表2〕
Figure 0004293530


本発明の紙用サイジング剤組成物は、特にオフセット印刷用紙のサイジング剤組成物として用いられるのが好ましく、従来高速印刷性が劣っていた上質紙、中質紙、グラビア用紙等の印刷用紙に用いることにより高速印刷が可能である。

Claims (1)

  1. カルボキシル基含有ポリビニルアルコール(A)100重量部に対して、ポリアミドエポキシ樹脂(B)を0.1〜10重量部、アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール、ジアセトンアクリルアミド基含有ポリビニルアルコール、側鎖にアルデヒド基を含有するポリビニルアルコールのいずれかのポリビニルアルコール(C)を5〜100重量部配合してなることを特徴とする紙用サイジング剤組成物を用いてなるオフセット印刷用紙。
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