JP4291817B2 - チェーン駆動機構のチェーン弛み防止方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、上記のような調整作業は、装置を停止させるためその間の生産性が低下し、又、調整作業そのものも面倒である。一方、上記のようなテンション調整機構を設けると、調整作業は不要になるものの、チェーンに付与される張力が駆動負荷の増加を招き、又、テンション調整機構が複雑であり、その配置スペースも必要になり、さらに、装置の高コスト化等を招く。
この構成によれば、経時変化によりチェーンに伸びが生じても、チェーンの伸び調整が不要になり、チェーンの脱落等も防止できるため、専用の調整機構等を設ける場合に比べて、構造を簡略化でき、低コスト化できる。また、付随的にチェーンの両外側に隣接して配置されたチェーンガイドが、チェーンのずれ(伸長方向に垂直な方向の振れあるいは弛み等)を規制して、スプロケットから外れるのを防止する。したがって、特に、スプロケットが3個以上配列される構成においては、張力側(テンション側)及び緩み側(スラック側)の両方において、チェーンが各々のスプロケットに確実に噛み合うため、一端にあるスプロケットから中間領域にあるスプロケットを経て他端にあるスプロケットへと、各々のスプロケットによりチェーンが順次に送られ(引っ張られ)て、各々のスプロケット間におけるチェーンの弛みがそれぞれ吸収され、駆動力が確実に伝達される。
このコンベア装置は、図1及び図2に示すように、一方向に長尺なフレーム10、フレーム10上において回動自在に配列された搬送体としての複数のローラ20、ローラ20を支持するべく水平方向に軸線を向けて配列された複数のシャフト30、それぞれのシャフト30の略中間位置に一体的に回転するように固着された複数のスプロケット40、複数のスプロケット40に巻き掛けられた無端状のチェーン50、上下方向Zにおいてチェーン50の外側に隣接して配置されたチェーンガイド60(61,62)、一つのスプロケット40に隣接して配置された被動スプロケット70、フレーム10の下方に配置された駆動源としてのモータ80、モータ80の駆動スプロケット81と被動スプロケット70に巻き掛けられたチェーン90等を備えている。
また、スプロケット40としては、チェーン50との関係で、所定の歯数Z、所定のピッチ円直径Dp、所定の外径D、所定の材質等の条件を備えるものが、規格品の中から適宜選定される。
無端状のチェーン50は、図2及び図3に示すように、両端のスプロケット40に対してそれぞれ略半周に亘って噛み合うように、又、その他の中間領域のスプロケット40に対してそれぞれ上方領域及び下方領域と噛み合うように、複数のスプロケット40に巻き掛けられている。また、チェーン50としては、スプロケット40、シャフト30のピッチ(配列間隔)L等との関係で、所定のピッチP、所定のリンク数、所定の伸び率(例えば、3パーセント以内)、耐磨耗性に優れた所定の材質等の条件を満たすものが、所定の規格品の中から適宜選定される。ここで、チェーン50は、比較的硬質の材料、例えば、機械構造用合金鋼(SCM440等)等により形成されている。
すなわち、チェーンガイド60は、図2及び図3に示すように、チェーン50の上方に隣接して配置された上側チェーンガイド61と、チェーン50の下方に隣接して配置された下側チェーンガイド62とにより形成されている。
下側チェーンガイド62は、フレーム10に対して着脱自在に取り付けられており、チェーン50が経時変化等により伸びて下方に向けて弛むようになった場合に、図4に示すように、その下方への弛みを規制して、チェーン50がスプロケット40から外れるのを防止する。
尚、頻度は少ないものの、チェーンガイド60(61,62)が許容限界を超えて摩耗した場合は、フレーム10から取り外して、新たなものと容易に交換することができる。
複数のスプロケット40を配列するには、ピッチLは、少なくともスプロケット40の外径Dよりも大きくする必要があり、又、チェーン50のピッチをP、条件成立変数をN(0.5の倍数)とするとき、次の関係式(1)、
(1) P×N=2L、
を満足するように設定される。
そこで、ピッチLを仮に120mmとして、関係式(1)に代入すると、
15.875×N=2×120、すなわち、N=240/15.875=15.118、となる。ここで、Nは0.5の倍数でなければならないため、実際の条件成立変数Nの値は、N=15、となる。
したがって、N=15を関係式(1)に代入して、実際のピッチLを求めると、15.875×15=2L、すなわち、L=15.875×15/2=238.125/2=119.0625、となる。
よって、好ましい実際のピッチLは、119.0625mmとなる。
また、不具合を生じないチェーン50の弛み量dとしては、例えば20mm以下が好ましい。
そこで、上記の仕様において、弛み量dを20mm、スプロケット40のピッチ円直径Dp=66.34mm、チェーン50の最大伸び率を3パーセントとして、図5Bを参照しつつ、スプロケット40のピッチLを、次の関係式(2)により求めると、
(2) [1.03(L/2)]2=d2+(L/2)2、
すなわち、L=162.09mm、となる。
よって、d=20mmまでの弛み量を許容するピッチLとしては、162.09mm以下の値となる。
[1.03(119.0625/2)]2=d2+(119.0625/2)2、
すなわち、d=10.31mm、となる。
よって、ピッチLが119.0625mmの場合、チェーン50の弛み量dは10.31mmとなり、許容限界である20mm以下になるので、調整が不要である。
すなわち、スプロケット40のピッチLを119.0625mmとし、チェーンガイド60(61,62)を採用することで、調整作業を行わないでも、チェーン50の弛みを抑制しつつ、スプロケット40からチェーン50が外れるのを確実に防止することができる。
特に、チェーンガイド60が簡単な構造故に、専用のテンション調整機構等を設ける場合に比べて、装置の構造を簡略化でき、低コスト化できる。
複数のシャフト30´は、前述の実施形態と同様に、所定のピッチLとなるように配列されており、その外側端部には、スプロケット40がそれぞれ一体的に回転するように固着されている。そして、複数のスプロケット40は、搬送方向に一直線上に並ぶように直列に配置されてそれぞれのシャフト30´と一体となって回動するようになっている。
下側チェーンガイド62´は、フレーム10´の一部に対して着脱自在に取り付けられており、チェーン50が経時変化等により伸びて下方に向けて弛むようになった場合に、図4に示すように、その下方への弛みを規制して、チェーン50がスプロケット40から外れるのを防止する。
尚、頻度は少ないものの、チェーンガイド60´(61´,62´)が許容限界を超えて摩耗した場合は、フレーム10から取り外して、新たなものと容易に交換することができる。
すなわち、図8に示す装置では、図1に示す装置に対して、スプロケット40及びチェーン50並びにチェーンガイド60(61,62)の配置場所を中間位置から右側端部に変更し、モータ80をシャフト30に直結したものである。
この装置においても、前述同様に、チェーン40の上下方向外側に隣接して配置されたチェーンガイド60(61,62)により、チェーン50と複数のスプロケット40とは確実に噛み合った状態に維持されるため、チェーン50の弛みを調整する必要がなく、複数のシャフト30の一つ(複数のスプロケット40の一つ)にモータ80から駆動力が付与されても、その駆動力は他のスプロケット40に確実に伝達されて、複数のローラ20は個々に回転して被搬送物を搬送することができる。
この装置においても、前述同様に、チェーン40の上下方向外側に隣接して配置されたチェーンガイド60(61,62)により、チェーン50と複数のスプロケット40とは確実に噛み合った状態に維持されるため、チェーン50の弛みを調整する必要がなく、複数のシャフト30の一つ(複数のスプロケット40の一つ)にモータ80から駆動力が付与されても、その駆動力は他のスプロケット40に確実に伝達されて、複数のローラ20´´は個々に回転して被搬送物を搬送することができる。
この装置では、図11Aに示すように、フレーム10´の両側に配置されたシャフト30´に対して2個のスプロケット40が同軸に一体的に固着されており、隣接する内側のスプロケット40同士にはチェーン50´が巻き掛けられ、内側のスプロケット40に対して一つだけずらした状態で、隣接する外側のスプロケット40同士にはチェーン50´´が巻き掛けられている。
チェーン50´,50´´は、隣接する二つのスプロケット40に対して巻き掛けられており、スプロケット40のピッチLに応じて、前述のチェーン50よりも短い所定の長さに設定されている。
すなわち、チェーンガイド60´´は、図11Bに示すように、チェーン50´,50´´の上方に隣接して配置された上側チェーンガイド61´´と、チェーン50´,50´´の下方に隣接して配置された下側チェーンガイド62´´とにより形成されている。
尚、ここでは、フレーム10´に対して、一方側領域に配置されたシャフト30´,ローラ20´、スプロケット40、チェーン50´,50´´、チェーンガイド60´´のみを示したが、他方側領域に配置されたシャフト30´,ローラ20´、スプロケット40、チェーン50´,50´´には、一つの連結シャフト31´を介して駆動力が伝達されるようになっている。
上記実施形態においては、複数のスプロケット40として、全て同一のもの(同一の歯数Z、同一のピッチ円直径Dp、同一の外径D)を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、一端から他端に向けて、あるいは、両端から中央に向けて、ピッチ円直径Dp、外径D等が順次に大きくなる複数のスプロケットを配列し、この複数のスプロケットに無端状のチェーンを巻き掛けた構成において、チェーンガイドを採用してもよい。
Claims (1)
- 直列に配置された複数のスプロケットと、前記複数のスプロケットの少なくとも一つに付与された駆動力を他のスプロケットに伝達して駆動するべく,前記複数のスプロケットに巻き掛けられた無端状のチェーンと、前記チェーンをその外周の両外側から挟むように前記チェーンに隣接して配置されたチェーンガイドと、を備えたチェーン駆動機構のチェーン弛み防止方法であって、
前記複数のスプロケットを配置する際に、条件成立変数を0.5の倍数とするとき、
前記チェーンのピッチを所定値に決定すると共に前記複数のスプロケットのピッチの仮の値を決定し、
次の関係式(1)(チェーンのピッチ)×(条件成立変数)=2×(複数のスプロケットのピッチ)、を満足する仮の条件成立変数を求め、
前記仮の条件成立変数に近似の値でかつ0.5の倍数となる実際の条件成立変数を決定し、
前記実際の条件成立変数及び前記チェーンのピッチの値を前記関係式(1)に代入して実際の複数のスプロケットのピッチの値を決定し、
前記チェーンの最大伸び率を基に、前記実際の複数のスプロケットのピッチの値を、次の関係式(2)[(1+(チェーンの最大伸び率(%)/100))×((実際の複数のスプロケットのピッチ)/2)]2=(チェーンの弛み量) 2+((実際の複数のスプロケットのピッチ)/2)2 、に代入して前記チェーンの弛み量の値を求め、
前記チェーンの弛み量の値が所定の許容限界値以下のとき、前記実際の複数のスプロケットのピッチの値に基づいて、前記複数のスプロケットを配置する、
ことを特徴とするチェーン駆動機構のチェーン弛み防止方法。
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