JP4287017B2 - 屋根構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋根面がほぼ水平となった水平屋根部と、平面視で、水平屋根部の内側部分に設けられ、屋根面が傾斜した傾斜屋根部とを備えた屋根構造に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、工場で製造した箱状の建物ユニットを、建築現場で複数組合わせて建築されるユニット式建物が利用されている。
このようなユニット式建物によれば、建物ユニットに対して内装材や外壁材の組付作業まで工場で行い、後は、建物ユニットの接合作業を行うだけで、建物の組立がほぼ完了するようにしているので、建築現場での作業が大幅に削減され、建築工事を短期間で完了できるというメリットが得られる。
また、ユニット式建物は、箱状の建物ユニットを単に組合わせることから、外壁面に凹凸のない平坦な外観となり、当該建物の外観のバリエーションが少ない。
【0003】
ユニット式建物としては、屋根面が傾斜した切妻屋根や寄棟屋根、あるいは、屋根面がほぼ水平となった陸屋根を有するものがある。
このうち、陸屋根は、四角枠状のフレームに、軽量気泡コンクリート(以下、「ALC板」と略す。)を取付けた屋根ユニットにより形成されている。そして、陸屋根の周縁には、屋根面から突出した突起部、すなわち、パラペットが設けられている(特開平9−268657号公報等参照)。
そして、陸屋根を歩行可能とする場合、当該陸屋根と建物内部とを連絡する出入口を形成するために塔屋が設けられる。
この塔屋は、建物全体に比べると小さいので、位置や形状が異なるものを設けたとしても、屋根の外観から受ける印象がほとんど同一となり、建物の外観に変化を生じさせるものではない。
【0004】
そこで、屋根面の周縁部分が歩行屋根面となった水平屋根部と、切妻や寄棟等の屋根面が傾斜した傾斜屋根部とを組合わせた屋根を形成することが考えられる。
このような屋根に出入口を形成するにあたり、例えば、傾斜屋根部の屋根面を途中で中断して、その部分に外壁を立設し、この外壁に出入口を設ければ、出入口を形成できる。
この屋根では、水平屋根部の上に貼り付けられる防水シートの端縁を処理するために、水平屋根部と傾斜屋根部との境界部分近傍に立上り壁を設け、この立上り壁の中間部分で当該防水シートの端縁を処理することにより、屋根の防水性能を確保している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
後述した屋根では、水平屋根部と傾斜屋根部とを組合わせるにあたり、水平屋根部および傾斜屋根部の境界部分近傍に立上り壁を設けるため、当該屋根に一体感がなくなる。そのうえ、当該屋根は、建物の外観のバリエーションを増やすために、考え出されたものにも関わらず、本出願人が特願平11−58493号に提案しているように、屋根の軒天の直下に位置する外壁を建物の室内側へ所定寸法後退させた建物の外観に似ているため、建物の外観のバリエーションの増加が充分に行えないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、建物の外観のバリエーションの増加が図れるようになる屋根構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、図面をも参照して説明すると、屋根面がほぼ水平となった水平屋根部30と、平面視で、前記水平屋根部30の内側部分に設けられ、屋根面43,44が傾斜した傾斜屋根部40とを備えた屋根構造であって、前記傾斜屋根部40の屋根面44の傾斜方向に平行で、かつ、前記水平屋根部30の周縁部を通過する平行線Hが前記傾斜屋根部40の端面に設けられる鼻隠し8の設置領域B内の最下端よりも上方を通過するように前記傾斜屋根部40を設けたことを特徴とする。
このような本発明では、傾斜屋根部40の軒先42B 近傍に立上り部9が設けられていても、水平屋根部30の周縁部が目隠しとなるので、立上り部9が外部の視線から遮断され、当該立上り部9が水平屋根部30の周縁部で隠蔽されるようになる。
これにより、傾斜屋根部40の軒先42A,42Bがあたかも水平屋根部30の上面に接しているような印象を与え、水平屋根部30と傾斜屋根部40との一体感が強調され、従来の屋根の軒天の直下に位置する外壁を建物の室内側へ所定寸法後退させた建物とは、見るものに異なる外観であることを充分認識させることができ、建物1の外観のバリエーションの増加が図れるようになる。
【0008】
以上において、前記水平屋根部30の周縁には、当該水平屋根部30の上面よりも上方へ突出する立上り壁4が設けられていることが望ましい。
このようにすれば、傾斜屋根部40の端部を水平屋根部30の周縁に近づけて配置しても、立上り壁4が目隠しとなるので、傾斜屋根部40の軒先42B の裏側部分が外部の視線から遮断され、当該軒先42B の裏側部分が立上り壁4で隠蔽されるようになり、建物1の外観が損なわれない。
【0009】
また、前記傾斜屋根部40の屋根面44の傾斜角度Rは、当該屋根10が設けられた建物1に適用される斜線制限の斜線Dの傾斜角度Sよりも小さく設定されていることが望ましい。
このようにすれば、傾斜屋根部40の高さが高くとも、傾斜屋根部40が建物1に適用される斜線制限の斜線Dの傾斜角度Sを越えることがなく、傾斜屋根部40の軒先42B を水平屋根部30の周縁部分から遠ざけることなく、斜線制限の内側へ屋根10を納めることが可能となり、屋上の有効利用が図れるようになる。
【0010】
さらに、前記傾斜屋根部40には、太陽光エネルギーを電力に変換する複数の太陽電池パネル47が設けられていることが望ましい。
このようにすれば、傾斜屋根部40が設置される水平屋根部30を、太陽電池パネル47が設置できない歩行可能な歩行屋根部30A としても、傾斜屋根部40に太陽電池パネル47を設置することが可能となるので、傾斜屋根部40が太陽電池付屋根部となり、当該傾斜屋根部40を利用して受光量が確保され、屋上に歩行屋根部30A および太陽電池付屋根部の両方が形成されるようになり、当該屋上を有効利用できるようになる。
【0011】
また、前記傾斜屋根部40は、前記水平屋根部30の上面に立設される束6と、この束6の上端部分に支持される屋根パネル7とを含んで構成されていることが望ましい。
このようにすれば、屋根ユニット31を形成するALC板35A,35Bとの取り合いを変更することにより束6の設置位置を自由に設定でき、水平屋根部30を形成する屋根ユニット31の配列により傾斜屋根部40の設置位置が制限されることがなく、水平屋根部30に対して傾斜屋根部40を任意の位置に配置でき、傾斜屋根部40の設置位置の自由度が増す。
【0012】
さらに、前記傾斜屋根部40は、所定の勾配で傾斜した屋根面43,44が一対、棟41を挟んで対向して配置され、一方の屋根面43の軒先42A が他方の屋根面44の軒先42B よりも高い位置に配置されていることが望ましい。
このように、一方の屋根面43の軒先42A 近傍に外壁48を設ければ、当該外壁48の高さが充分に確保されるので、外壁48に歩行屋根部への出入口が形成可能となり、出入りするのに充分な高さを有する出入口が容易に形成されるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2には、本発明の一実施形態に係る建物1が示されている。この建物1は、基礎の上に設置された複数の建物ユニット2と、これらの建物ユニット2の上に形成された屋根10とを備えたものである。
建物1は、箱状に形成された建物ユニット2を複数組み合わせることにより、建築されるユニット式建物である。
【0014】
屋根10は、屋根面がほぼ水平となった水平屋根部30と、水平屋根部30の内側部分に設けられた傾斜屋根部40とを備えたものである。
水平屋根部30は、平板状の屋根ユニット31を最上階の各建物ユニット2の上面に載置することにより形成されるものである。この水平屋根部30の周縁には、立上り壁であるパラペット4が設けられている。このパラペット4は、水平屋根部30の上面よりも上方へ突出するように配置されている。
屋根ユニット31A,31Bで形成される水平屋根部30A は、歩行可能な歩行屋根部となっている。
屋根ユニット31C,31Dで形成される水平屋根部30B の上面には、歩行屋根部となった水平屋根部30A と建物1の室内との通路となる階段用の階段室としてのペントハウス3が設けられている。
水平屋根部30B のペントハウス3が設けられない屋外部分には、水勾配Cが設けられるとともに、パラペット4に沿って排水溝31F が形成されている。
【0015】
水平屋根部30A には、ペントハウス3側からユニット式建物1の長辺側に配置された一方の端縁へ向かって下り勾配となった水勾配Aが設けられている。水平屋根部30A のパラペット4側には、排水溝31E が形成されている。
これにより、上空から降ってきた雨水は、水平屋根部30A の表面を伝わって排水溝31E に向かって流れていき、排水溝31E から当該排水溝31E と連通する竪樋5を通って建物1の外側へ排水されるようになっている。
【0016】
傾斜屋根部40は、ペントハウス3の屋根となっている。この傾斜屋根部40は、建物ユニット2の長辺方向に沿って水平に延びる棟41の両側に、当該棟41から軒先42A,42Bに向かって下り勾配を有する一対の屋根面43,44が形成された切妻式の屋根部である。傾斜屋根部40には、屋根下地面を形成する複数の屋根パネル7と、屋根葺材である複数の太陽電池パネル47と、棟41に沿って取付けられる棟カバー部材45と、当該の軒先42A,42B側に取付けられる面戸部材46とが備えられている。これにより、傾斜屋根部40は、太陽電池付屋根部となっている。
屋根パネル7は、軸組材を枠状に組んだ枠体7A(図3参照)と、この枠体7Aの上に張り付けられた野地板7B(図3参照)とを有するものである。この屋根パネル7は、屋根ユニット31の上面に立設される複数の束6で支持されている。
太陽電池パネル47は、矩形状に形成され、太陽光エネルギーを電力に変換する複数のソーラーセルを有するものである。この太陽電池パネル47は、複数の屋根パネル7によって形成される屋根下地面に配列されている。
【0017】
棟41の長さは、ユニット式建物1の短辺側に配置された一方の端縁から他方の端縁までのほぼ全長に達している。軒先42B は、建物1の対向する長辺側の外壁面の内側近傍に配置され、当該外壁面から屋外側へ突出しないようになっている。これらにより、屋根10の外周縁は、建物1の外壁線よりも内側に設けられている。
屋根面43の軒先42A は、屋根面44の軒先42B よりも高い位置に配置されている。つまり、屋根面43は、棟41から軒先42B までの距離が屋根面44よりも小さくなっている。これにより、軒先42A の近傍に配置され、かつ、水平屋根部30A に臨む外壁48は、その高さが充分確保されるようになっている。この外壁48には、出入口となる掃き出し窓49が設けられている。
屋根面44の軒先42B 近傍には、ペントハウス3と屋外部分とを仕切る立上り部9が設けられている。
【0018】
傾斜屋根部40の軒先42B 側の端面には、図3に示されるように、当該端面を隠す鼻隠し8が設けられている。
ここで、傾斜屋根部40は、パラペット4の頂部4Aから傾斜屋根部40の傾斜方向に沿って延長線Eに対して平行に延びる平行線Hが鼻隠し8の設置領域Bよりも上方を通過するように、水平屋根部30に設けられている。
パラペット4は、傾斜屋根部40の軒先42B 近傍に設けられた立上り部9の目隠しとなり、当該立上り部9が外部の視線から遮断されるようになっている。
パラペット4の頂部4Aは、建物1に適用される北側斜線制限の斜線Dぎりぎりに配置されている。屋根面44の傾斜角度Rは、北側斜線制限の斜線Dの傾斜角度Sよりも小さくなっている。これらにより、傾斜屋根部40は、北側斜線制限内に納められるようになっている。
【0019】
ペントハウス3の床を形成する屋根ユニット31C は、図4に示されるように、長辺梁33C および短辺梁34C を組んだ枠状のフレーム32C を有するものである。
対向する短辺梁34C の間には、一対の短辺梁34C を相互に連結する中間梁35C が架け渡されている。この中間梁35C は、屋根ユニット31B 側の長辺梁33C 寄りに配置されている。この中間梁35C の上面には、屋根パネル7を支持する束6が固定されるようになっている。
屋根ユニット31D 側の長辺梁33C と中間梁35C との間には、床を形成する床面材37C を支持するために、複数の根太36C が架け渡されている。
屋根ユニット31B 側の長辺梁33C と中間梁35C との間には、歩行屋根部30A を形成するALC板38C を支持するために、複数の根太36C が架け渡されている。
ALC板38C を支持する各根太36C には、断面L字形のブラケット39C が設けられている。このブラケット39C は、その頂部が根太36C の上面から突出するように配置されている。ブラケット39C は、水勾配Aに応じて根太36C の上面に対して斜めに傾けた状態で当該根太36C の側面に取付けられている。ブラケット39C の上面には、ALC板38C が取付けられている。なお、ALC板38C は、その上面に防水シート(図示省略)が敷かれるようになっている。
【0020】
また、屋根ユニット31D は、図5に示されるように、屋根ユニット31C と同様に、枠状のフレーム32D を有するものである。
対向する短辺梁34D の間には、一対の短辺梁34D を相互に連結する中間梁35D が架け渡されている。
屋根ユニット31C 側の長辺梁33D と中間梁35D との間には、床を形成する床面材37D を支持するために、複数の根太36D が架け渡されている。
パラペット4側の長辺梁33D と中間梁35D との間には、平板状のコンクリート板38D を支持するために、複数の根太36D が架け渡されている。
コンクリート板38D を支持する根太36D の上面には、長尺状の支持部材39D が設けられている。この支持部材39D の両端部分は、一対の短辺梁34D に載置されている。支持部材39D の上面は、前述した水勾配Cに応じて水平面に対して斜めに切り欠かれた斜面となっている。この支持部材39D 上面には、コンクリート板38D が取付けられている。このコンクリート板38D は、フレーム32D の上方に配置されている。
なお、コンクリート板38D の最下流側には、当該コンクリート板38D に連続して前述の排水溝31F (図3参照)が設けられている。この排水溝31F は、フレーム32D の上方に配置されている。
また、屋根ユニット31C,31Dのフレーム32C,32Dの上面には、束6が立設されているが、当該屋根ユニット31C,31Dの中間梁35C,35Dおよび根太36C,36Dの上面に固定されていてもよい。
そして、束6の設置位置は、屋根ユニット31A,31Bを形成するALC板35A,35Bとの取り合いを変更することにより自由に設定されるようになっている。
【0021】
歩行屋根部30A を形成する屋根ユニット31B は、図6に示されるように、フレーム32B 上に支持部材36B,37Bおよび屋根受け部材38B,39Bを介してALC板35B を接合することにより形成されている。
フレーム32B は、長辺梁33B および短辺梁34B を枠状に組んだものである。このフレーム32B の短辺梁34B には、屋根受け部材38B を支持する複数の支持部材36B が所定の間隔をあけて固定されている。
フレーム32B の長辺梁33B には、屋根受け部材39B を支持する複数の支持部材37B が所定の間隔をあけて固定されている。
各支持部材36B は、その頂部がフレーム32B の上面から突出している。支持部材36B の突出部分の突出量は、前述した水勾配Aの下流に向かうに従い小さくなっている。支持部材36B の突出部分に屋根受け部材38B が固定される。
支持部材37B は、その頂部が支持部材36B と同様にフレーム32B の上面から突出している。支持部材37B の突出量は、水勾配Aに応じて設定されている。そして、対向する長辺梁33B に固定された二つの支持部材37B には、屋根受け部材39B が架け渡されている。屋根受け部材38B,39Bの上面には、ALC板35B が取り付けられている。なお、ALC板35B は、その上面に防水シート(図示省略)が敷かれるようになっている。
【0022】
屋根ユニット31A は、図7に示されるように、屋根ユニット31B と同様に、枠状のフレーム32A を有するものとなっている。
対向する短辺梁34A には、一対の短辺梁34A を相互に連結する中間梁51A が架け渡されている。この中間梁51A には、屋根受け部材39A を支持する複数の支持部材37A が所定の間隔をあけて固定されている。対向する長辺梁33A および中間梁51A に固定された二つの支持部材37A には、屋根受け部材39A が架け渡されている。屋根受け部材38A,39Aの上面には、ALC板35A が取付けられている。
ALC板35A は、短辺梁34A の中間部分である中間梁51A まで配置されている。
ALC板35A が配置されない一対の短辺梁34A 、長辺梁33A および中間梁51A で囲まれた開口部52内には、前述した排水溝31E が設けられている。この排水溝31E は、開口部52を塞ぐ底面材53により形成されている。なお、長辺梁33A には、前述した竪樋5と連通する連通孔54が形成されている。また、ALC板35A は、その上面に防水シート(図示省略)が敷かれるようになっている。
【0023】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、水平屋根部30のパラペット4が目隠しとなるので、傾斜屋根部40の軒先42B 近傍の立上り部9が外部の視線から遮断され、当該立上り部がパラペット4で隠蔽されるようになる。
これにより、傾斜屋根部40の軒先42A,42Bが水平屋根部30の上面に接しているような印象を与え、水平屋根部30および傾斜屋根部40に組合わせた屋根10に一体感が得られるようになり、従来の屋根の軒天の直下に位置する外壁を建物の室内側へ所定寸法後退させた建物と外観が異なり、建物1の外観のバリエーションを増加できる。
【0024】
また、水平屋根部30の周縁にパラペット4を設けたので、傾斜屋根部40の軒先42B を水平屋根部30の周縁に近づけて配置しても、立上り壁4が目隠しとなり、傾斜屋根部40の軒先42B の裏側部分が外部の視線から遮断され、当該軒先42B の裏側部分が立上り壁4で隠蔽されるようになり、建物1の外観が損なわれない。
【0025】
さらに、屋根面44の傾斜角度Rを北側斜線制限の斜線Dの傾斜角度Sよりも小さくしたので、傾斜屋根部40の高さが高くとも、傾斜屋根部40が建物1に適用される北側斜線制限の斜線Dの傾斜角度Sを越えることがなく、傾斜屋根部40の軒先42B を水平屋根部30の周縁部分から遠ざけることなく、斜線制限の内側へ屋根10を納めることが可能となり、屋上を有効利用できる。
【0026】
また、傾斜屋根部40が設置される水平屋根部30を、太陽電池パネル47が設置できない歩行可能な歩行屋根部30A としても、傾斜屋根部40に太陽電池パネル47を設置したので、傾斜屋根部40が太陽電池付屋根部となり、当該傾斜屋根部40を利用して受光量が確保され、屋上に歩行屋根部30A および太陽電池付屋根部の両方が形成されるようになり、当該屋上を有効利用できる。
【0027】
さらに、傾斜屋根部40を束6と屋根パネル7とで形成したので、屋根ユニット31A,31Bを形成するALC板35A,35Bとの取り合いを変更することにより束6の設置位置を自由に設定でき、水平屋根部30を形成する屋根ユニット31の配列により傾斜屋根部40の設置位置が制限されることがなく、水平屋根部30に対して傾斜屋根部40を任意の位置に配置でき、傾斜屋根部40の設置位置の自由度が増す。
【0028】
また、傾斜屋根部40の軒先42A 近傍に外壁48を設けたので、当該外壁48の高さが充分に確保され、外壁48に歩行屋根部30A への出入口となる掃き出し窓49が形成可能となり、出入りするのに充分な高さを有する掃き出し窓49を容易に形成できる。
【0029】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形などを含むものである。
すなわち、傾斜屋根部としては、棟41を挟んで対向して配置された屋根面を有する切妻式の屋根部に限らず、棟と、この棟から斜め下方に延びる下り棟とを有する寄棟式の屋根であってもよく、要するに傾斜した屋根面を有する屋根面を有する屋根部であればよい。
また、建物としては、ユニット式建物に限らず、工場で製造した床および壁等の面状部材であるパネルを建築現場で組合わせるパネル式建物でもよい。
【0030】
【発明の効果】
本発明の屋根構造によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、請求項1に記載の屋根構造によれば、傾斜屋根部の軒先近傍に立上り部が設けられていても、水平屋根部の周縁部が目隠しとなるので、立上り部が外部の視線から遮断され、当該立上り部が水平屋根部の周縁部で隠蔽されるようになる。
これにより、傾斜屋根部の軒先があたかも水平屋根部の上面に接しているような印象を与え、水平屋根部と傾斜屋根部との一体感が強調され、従来の屋根の軒天の直下に位置する外壁を建物の室内側へ所定寸法後退させた建物とは、見るものに異なる外観であることを充分認識させることができ、建物の外観のバリエーションを増加できる。
【0031】
また、請求項2に記載の屋根構造によれば、傾斜屋根部の端部を水平屋根部の周縁に近づけて配置しても、立上り壁が目隠しとなるので、傾斜屋根部の軒先の裏側部分が外部の視線から遮断され、当該軒先の裏側部分が立上り壁で隠蔽されるようになり、建物の外観が損なわれない。
【0032】
さらに、請求項3に記載の屋根構造によれば、傾斜屋根部の高さが高くとも、傾斜屋根部が建物に適用される斜線制限の斜線の傾斜角度を越えることがなく、傾斜屋根部の軒先を水平屋根部の周縁部分から遠ざけることなく、斜線制限の内側へ屋根を納めることが可能となり、屋上を有効利用できる。
【0033】
また、請求項4に記載の屋根構造によれば、傾斜屋根部が設置される水平屋根部を、太陽電池パネルが設置できない歩行可能な歩行屋根部としても、傾斜屋根部に太陽電池パネルを設置することが可能となるので、傾斜屋根部が太陽電池付屋根部となり、当該傾斜屋根部を利用して受光量が確保され、屋上に歩行屋根部および太陽電池付屋根部の両方が形成されるようになり、当該屋上を有効利用できる。
【0034】
さらに、請求項5に記載の屋根構造によれば、屋根ユニットを形成するALC板との取り合いを変更することにより束の設置位置を自由に設定でき、水平屋根部を形成する屋根ユニットの配列により傾斜屋根部の設置位置が制限されることがなく、水平屋根部に対して傾斜屋根部を任意の位置に配置でき、傾斜屋根部の設置位置の自由度が増す。
【0035】
また、請求項6に記載の屋根構造によれば、一方の屋根面の軒先近傍に外壁を設ければ、当該外壁の高さが充分に確保されるので、外壁に歩行屋根部への出入口が形成可能となり、出入りするのに充分な高さを有する出入口を容易に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る建物を示す斜視図である。
【図2】同実施形態に係る屋根を示す断面図である。
【図3】同実施形態に係る屋根の要部を示す断面図である。
【図4】同実施形態に係る屋根ユニットを示す斜視図である。
【図5】同実施形態に係る他の屋根ユニットを示す斜視図である。
【図6】同実施形態に係る歩行屋根部を形成する屋根ユニットを示す斜視図である。
【図7】同実施形態に係る歩行屋根部を形成する他の屋根ユニットを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 建物としてのユニット式建物
4 立上り壁であるパラペット
6 束
7 屋根パネル
10 屋根
30 水平屋根部
40 傾斜屋根部
41 棟
42A,42B 軒先
43,44 屋根面
47 太陽電池パネル
Claims (6)
- 屋根面がほぼ水平となった水平屋根部と、平面視で、前記水平屋根部の内側部分に設けられ、屋根面が傾斜した傾斜屋根部とを備えた屋根構造であって、
前記傾斜屋根部の屋根面の傾斜方向に平行で、かつ、前記水平屋根部の周縁部を通過する平行線が前記傾斜屋根部の端面に設けられる鼻隠しの設置領域内の最下端よりも上方を通過するように前記傾斜屋根部を設けたことを特徴とする屋根構造。 - 請求項1に記載の屋根構造において、前記水平屋根部の周縁には、当該水平屋根部の上面よりも上方へ突出する立上り壁が設けられていることを特徴とする屋根構造。
- 請求項1または請求項2に記載の屋根構造において、前記傾斜屋根部の屋根面の傾斜角度は、当該屋根が設けられた建物に適用される斜線制限の斜線の傾斜角度よりも小さく設定されていることを特徴とする屋根構造。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の屋根構造において、前記傾斜屋根部には、太陽光エネルギーを電力に変換する複数の太陽電池パネルが設けられていることを特徴とする屋根構造。
- 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の屋根構造において、前記傾斜屋根部は、前記水平屋根部の上面に立設される束と、この束の上端部分に支持される屋根パネルとを含んで構成されていることを特徴する屋根構造。
- 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の屋根構造において、前記傾斜屋根部は、所定の勾配で傾斜した屋根面が一対、棟を挟んで対向して配置され、一方の屋根面の軒先が他方の屋根面の軒先よりも高い位置に配置されていることを特徴とする屋根構造。
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