JP4286016B2 - ローラレベラにおけるスケール除去方法及びその装置 - Google Patents

ローラレベラにおけるスケール除去方法及びその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ローラレベラ矯正過程で被矯正材表面から剥離したスケールを流体パージによりロール胴長方向への流体流れを発生させて除去するローラレベラにおけるスケール除去方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
黒皮の被矯正材をローラレベラで矯正するとき、矯正過程で剥離したスケールが、矯正方向(被矯正材の進行方向)下流側のロールで被矯正材に押し込まれ、被矯正材の表面に疵が発生すると言う問題があった。このような疵の発生を防止するために、各種のローラレベラのスケール除去技術が提案されている。例えば、特許文献1には、吹き込みノズルを介して空気を加圧して吹き込んで浮遊するスケールを搬送し、もう一方の側面に設けた吸引フードにより吸引を行うものである。また、特許文献2に記載のものは、矯正ロール間においてロール胴長方向に沿って配列されかつ先端をロール胴長方向他方側に向けた状態で被矯正材表面に向かって傾斜する複数の第一流体ノズルとロール胴長方向一方側の端部に配置されたロール胴長方向他方側を向く第二流体ノズルによるものである。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−57351号公報(第4頁、第3図)
【特許文献2】
特開平11−77159号公報(第9頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1では、矯正ロール等で形成された空間部の中での浮遊スケールを除去しようとするもので、空間部全域での幅広い気流を発生することになリ、ローラレベラの設備劣化の防止には有効(前記公報第4頁、右欄3行目)であっても、スケールを確実に除去する目的に合致していない。
前記特許文献2では、ロール胴長方向一方側から、ロール胴長方向他方側に向かって除去されるスケールは、ロール胴長方向一杯に移動するものであって、適正な流体流れ分布が存在する必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、スケールの滞留が生じないようにして、前記問題点を改善・解決したローラレベラにおけるスケール除去方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を解決するため、本発明は次の手段を講じた。即ち、本発明方法の特徴とするところは、ローラレベラ矯正過程で被矯正材表面から剥離したスケールを、矯正方向前後の矯正ロール間においてロール胴長方向一方側から他方側への流体流れを発生させて除去するローラレベラにおけるスケール除去方法において、前記前後の矯正ロール間においてロール胴長方向に沿いながら、ロール胴長方向に対して指向し、かつ、該前後の矯正ロール間の中央部からロール噛み込み側にシフトして配置されたノズルから前記被矯正材の通板方向に対して垂直に流体を噴出させることにより、前記ロール胴長方向への流体流れを生成する点にある。
【0007】
また、本発明装置の特徴とするところは、ローラレベラ矯正過程で被矯正材表面から剥離したスケールを、矯正方向前後の矯正ロール間においてロール胴長方向一方側から他方側への流体流れを発生させて除去するローラレベラにおけるスケール除去装置において、前記ロール胴長方向への流体流れを発生させると共に、前記被矯正材の通板方向に対して垂直に流体を噴出させるノズルが、前記前後の矯正ロール間においてロール胴長方向に沿いながら、ロール胴長方向に対して指向し、かつ、該前後の矯正ロール間の中央部からロール噛み込み側にシフトして配置されている点にある。
その場合、ローラレベラ矯正過程で被矯正材表面から剥離したスケールを、矯正方向前後の矯正ロール間においてロール胴長方向一方側から他方側への流体流れを発生させて除去するローラレベラにおけるスケール除去装置において、ロール胴長方向への流体流れを発生させるノズルが、前後の矯正ロール間においてロール胴長方向に沿いながら、ロール胴長方向に対して指向し、かつ、前後の矯正ロール間の中央部からロール噛み込み側にシフトしているシフト長が、前後の矯正ロール間の距離(P)の1/8〜3/8であることも好ましい。なお、これらの場合ロール胴長方向一方側の端部にロール胴長方向他方側を向く第二ノズルが配置されているのも好ましい。
【0008】
さらに、ローラレベラ矯正過程で被矯正材表面から剥離したスケールを、矯正方向前後の矯正ロール間においてロール胴長方向への流体流れを発生させて除去するローラレベラにおけるスケール除去装置において、前記ロール胴長方向への流体流れを発生させると共に、前記被矯正材の通板方向に対して垂直に流体を噴出させるノズルが、前記前後の矯正ロール間においてロール胴長方向に沿いながら、矯正ロール胴長の中途部からロール胴長方向一方側のノズルは該中途部から該一方側に指向し、矯正ロール胴長の中途部からロール胴長方向他方側のノズルは該中途部から該他方側に指向し、かつ、該前後の矯正ロール間の中央部からロール噛み込み側にシフトして配置されているのも本発明装置の特徴とするところである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)に示すものは、本発明のスケール除去装置の矯正機の模式図である。ローラレベラ1は、上下の矯正ロール2,3を千鳥状に配置し、上下の矯正ロール2,3間に板材である被矯正材4を通板して、該被矯正材4のレベル出しを行うものである。スケール除去装置は、このローラレベラ1に設けられている。スケール除去装置は、このローラレベラ1による矯正過程で、被矯正材4の表面から剥離したスケールを、流体パージによりロール胴長方向への流体流れを発生させて除去するものである。
【0010】
すなわち、スケール除去装置は、被矯正材4の上面側に設けられており、そして、被矯正材4の矯正方向前後に配置された矯正ロール2であって前の矯正ロール2aの側(ロール排出側)と、後の矯正ロール2bの側(ロール噛み込み側)との間、すなわち前後の矯正ロール間でロール噛み込み側にシフトして配置された、複数個のノズル5を有する。それらのノズル5は、図1(b)に示すように、前後の矯正ロール間の中央部からロール噛み込み側であって、前の矯正ロール2aの側(ロール排出側)からの距離(Q)にシフトして配置されている。なお、前後の矯正ロール間の中央部からロール噛み込み側にシフトしているシフト長は、前後の矯正ロール間の中央部からロール噛み込み側までの距離である。そして、ノズル5は、被矯正材4の上面に向かってノズル吹き出し速度v1にてロール胴長方向に沿いながら、ロール胴長方向に対し指向角θ(ノズル角度)(図2(a))で指向して流体を噴出させる。その噴出口の位置は、ロール胴長方向に所定のノズルピッチpとなるよう、また、被矯正材4の表面から高さhの位置になるよう配置される。
【0011】
実機冷間レベラでの矯正実験により、図1(b)並びに図2(a)に示すような第1実施形態において、前後の矯正ロール間の距離(P)と、ロール排出側からの距離(Q)とのシフトの関係を検証した。すなわち、ロール排出側からの距離(Q)と前後の矯正ロール間の距離(P)との比(Q/P)と、矯正後の被矯正材4表面のスケール押し込み疵発生率%との矯正実験結果を図3に示す。
「矯正実験条件」
被矯正材:400N級鋼板 、490N級鋼板、板厚6〜28mm
矯正機 :上の矯正ロール五本、下の矯正ロール六本
矯正ロール:径235mm、胴長さ4600mm
ノズル径 : 8mm(エアノズル)
ノズル角度θ:60°
ノズルピッチp:330mm
ノズル高さh :90mm
ノズル吹き出し速度:60m/s(v1)
図3に示すように、ロール排出側からの距離(Q)と前後の矯正ロール間の距離(P)との比(Q/P)が0.5以上であって、その比(Q/P)が5/8〜7/8でのスケール押し込み疵発生率%が、良好な結果である。すなわち、図3のように、上記比(Q/P)が5/8以上でのロール噛み込み側へのシフトが良い結果となる。なお、上記比(Q/P)が5/8〜7/8は、前後の矯正ロール間の中央部からロール噛み込み側にシフトしているシフト長が前後の矯正ロール間の距離(P)の1/8〜3/8に相当する。
【0012】
次に、図2(b)は、ローラレベラにおけるスケール除去装置の第2実施形態を示しており、前記第1実施形態とは、ロール胴長方向一方側の端部にロール胴長方向他方側を向く第二ノズル6が配置されている点が異なっている。第二ノズル6の径が24mm、ノズル吹き出し速度60m/s(v2)が、前記第一実施形態に追加する諸元である。ロール噛み込み側にシフトして、そして、前記第二ノズル6を設けている第2実施形態においても、矯正後の被矯正材4表面のスケール押し込み疵発生率%は良好である。
【0013】
図2(c)は、ローラレベラにおけるスケール除去装置の第3実施形態を示しており、前記第1〜2実施形態とは、矯正ロール胴長の中途部からロール胴長方向一方側のノズル5は、中途部から一方側に指向し、矯正ロール胴長の中途部からロール胴長方向他方側のノズル5は、中途部から他方側に指向してる点が異なっている。この矯正ロール胴長の中途部は、例えば、矯正ロール胴長の丁度真中を指すが、特に真ん中に限定するものではない。また、ロール胴長方向一方側、あるいは他方側へのノズル角度θ(図2(c))は、正反対の方向にどちらも60°である。このノズル角度θは、60°に限定するものではなく、被矯正材4のスケール性状等により、可変となるよう構成することができるのは、前記第1〜2実施形態と同様である。ロール噛み込み側にシフトして、矯正ロール胴長の中途部からロール胴長方向へ指向している第3実施形態においても、矯正後の被矯正材4表面のスケール押し込み疵発生率%は良好である。
【0014】
尚、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、第二ノズル6を設置する場合、矯正方向に複数個設けてもよい。また、ノズル5,6及び噴出流体は、エアに限定されるものではなく、ホットレベラの場合は、冷却水であってもよい。さらに、ノズル5,6の配置は、被矯正材4の上面側に限らず、下面側に配置することもできる。
さらに、ノズルからの流量、ノズルピッチp、ノズル高さh、ノズル吹き出し速度v1,v2、あるいは、ノズル角度θは、被矯正材4のスケール性状により、可変となるよう構成することができる。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、効果的にスケールを除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスケール除去装置示す模式図で、(a)は矯正機の斜視図、(b)は矯正方向に沿った断面図(ロール噛み込み側にシフト)である。
【図2】(a)はロール胴長方向に指向した図、(b)は第二ノズルが配置された図、(c)は一方側、並びに他方側に指向した図である。
【図3】シフト結果の図である。
【符号の説明】
1 ローラレベラ
2 上の矯正ロール
3 下の矯正ロール
4 被矯正材
5 (第一)ノズル
6 第二ノズル

Claims (5)

  1. ローラレベラ矯正過程で被矯正材表面から剥離したスケールを、矯正方向前後の矯正ロール間においてロール胴長方向一方側から他方側への流体流れを発生させて除去するローラレベラにおけるスケール除去方法において、
    前記前後の矯正ロール間においてロール胴長方向に沿いながら、ロール胴長方向に対して指向し、かつ、該前後の矯正ロール間の中央部からロール噛み込み側にシフトして配置されたノズルから前記被矯正材の通板方向に対して垂直に流体を噴出させることにより、前記ロール胴長方向への流体流れを生成することを特徴とするローラレベラにおけるスケール除去方法。
  2. ローラレベラ矯正過程で被矯正材表面から剥離したスケールを、矯正方向前後の矯正ロール間においてロール胴長方向一方側から他方側への流体流れを発生させて除去するローラレベラにおけるスケール除去装置において、
    前記ロール胴長方向への流体流れを発生させると共に、前記被矯正材の通板方向に対して垂直に流体を噴出させるノズルが、前記前後の矯正ロール間においてロール胴長方向に沿いながら、ロール胴長方向に対して指向し、かつ、該前後の矯正ロール間の中央部からロール噛み込み側にシフトして配置されていることを特徴とするローラレベラにおけるスケール除去装置。
  3. 前記ノズル、前記前後の矯正ロール間においてロール胴長方向に沿いながら、ロール胴長方向に対して指向し、かつ、前記前後の矯正ロール間の中央部からロール噛み込み側にシフトしているシフト長が、該前後の矯正ロール間の距離(P)の1/8〜3/8であることを特徴とする請求項2に記載のローラレベラにおけるスケール除去装置。
  4. 前記ノズルが、前後の矯正ロール間の中央部からロール噛み込み側にシフトして配置されている状態で、ロール胴長方向一方側の端部にロール胴長方向他方側を向く第二ノズルが配置されていることを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載のローラレベラにおけるスケール除去装置。
  5. ローラレベラ矯正過程で被矯正材表面から剥離したスケールを、矯正方向前後の矯正ロール間においてロール胴長方向への流体流れを発生させて除去するローラレベラにおけるスケール除去装置において、
    前記ロール胴長方向への流体流れを発生させると共に、前記被矯正材の通板方向に対して垂直に流体を噴出させるノズルが、前記前後の矯正ロール間においてロール胴長方向に沿いながら、矯正ロール胴長の中途部からロール胴長方向一方側のノズルは該中途部から該一方側に指向し、矯正ロール胴長の中途部からロール胴長方向他方側のノズルは該中途部から該他方側に指向し、かつ、該前後の矯正ロール間の中央部からロール噛み込み側にシフトして配置されていることを特徴とするローラレベラにおけるスケール除去装置。
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