JP4284371B2 - 積層ガラス−セラミック回路基板 - Google Patents

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Description

本発明は、積層ガラス−セラミック回路基板に関するものである。
積層セラミック回路基板の内部配線導体として、従来、モリブデン、タングステンなどの高融点金属材料が用いられていた。近年、内部配線導体の低抵抗化に伴い、内部配線導体として、Au、Ag、Cu又はそれらの合金などが用いられるようになっている。
この上述の低抵抗金属材料を内部配線導体に用いる場合、これらの金属材料の融点に応じて絶縁層の材料を選択する必要があった。例えば、絶縁層の材料として、低融点結晶化ガラス成分の粉末とアルミナセラミックなどの無機物フィラーとからなる材料が例示され、焼成工程においては、低融点結晶化ガラス成分を無機物フィラーの粒界に、所定結晶相を析出させて充填させていた。
具体的な製造方法としては、低融点結晶化ガラス成分のフリット及びアルミナセラミックなどの無機物フィラーを有するグリーンシートを形成し、このグリーンシートにビアホール導体となるスルーホールを形成し、さらに、グリーンシートにビアホール導体及び内部配線導体となる低抵抗金属材料からなる各導体を形成し、さらに、所定回路構成に応じて、複数のグリーンシートを積層一体化した未焼成積層シートを作成し、最後に、焼成処理を行う。
焼成処理は、24〜36時間程度の脱バインダ処理と、酸化雰囲気(大気雰囲気)で、ピーク温度850〜1050℃の焼結処理とから成る。
特開平6−97656号公報 特開平6−172017号公報 特開平2−212141号公報 特開平4−10591号公報
しかしながら、積層ガラス−セラミック回路基板では、未焼成積層シートに対して、焼成処理した後の積層基板は13〜20%も収縮してしまう。
従って、製造工程中に用いる積層機、焼成炉などには、形状・容量などの物理的な制約があるため、焼成処理後の形状が充分大きな積層ガラス−セラミック回路基板を得ることが困難であった。
また、焼成時の基板収縮率が10%をはるかに越えて非常に大きいため、内部配線導体を充分に留意して形成しなくては、配線切れなどが発生することもあった。
本発明は、上述の問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は焼成時における基板の収縮率が小さい積層ガラス−セラミック回路基板を提供するものである。
本発明の積層ガラス−セラミック回路基板は、無機物フィラー間にガラス成分が充填された絶縁層を複数積層した積層基板を備える積層ガラス−セラミック回路基板であって、前記複数の絶縁層のうち、隣接する2つの絶縁層の各々の前記無機物フィラー間に、ガラス転移点の差が80℃以上異なる前記ガラス成分がそれぞれ充填され、該ガラス成分が充填された前記隣接する2つの絶縁層は一体的に焼成されてなることを特徴とするものである。
また、上記発明において、ガラス成分は、結晶化ガラスであることが好ましい。
また、上記発明において、隣接する2つの絶縁層における無機物フィラーが同一材料であることが好ましい。
本発明によれば、焼成処理時に絶縁層に発生する収縮応力を、焼成温度によって分散させることができ、特に積層体基板の平面方向に作用する収縮応力を互いに緩和させることができるため、積層体基板の収縮率を小さくすることができる。
よって、焼成前と焼成後とにおいて、積層体基板の平面的な大きさの差が小さくなるため、平面的に広がるように形成した内部配線導体に対してストレスがかかりにくく、断線などが発生しにくい信頼性の高い積層ガラス−セラミック回路基板となる。
以下、本発明の積層ガラス−セラミック回路基板を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の積層ガラス−セラミック基板の断面図である。
図1において、10は積層ガラス−セラミック回路基板であり、積層セラミック回路基板10は、内部に所定回路が形成された積層体基板1から成り、必要に応じて積層体基板1の主面に表面配線導体4、5、厚膜抵抗体膜、保護膜を形成し、さらに、表面配線導体4、5上に接合した各種電子部品6などから構成されている。
積層体基板1は絶縁層1a〜1e、内部配線導体2、ビアホール導体3とから成り、所定回路が内装されている。
絶縁層1a〜1eは、例えば850〜1050℃の比較的低い温度で焼成可能にするガラス−セラミック材料が用いられる。
絶縁層1a〜1eに含まれる無機物フィラーは、コランダム(αアルミナ)、クリストバライト、石英、ムライト、コージライトなどのセラミック材料が例示できる。
また、ガラス成分は、複数の金属酸化物を含む低融点結晶化ガラスからなり、例えば850〜1050℃の比較的低い温度で焼成処理することによって、コージェライト、ムライト、アノーサイト、セルジアン、スピネル、ガーナイト、ウイレマイト、ドロマイト、ペタライトやその置換誘導体の結晶相を少なくとも1種類を析出するものである。
内部配線導体2、ビアホール導体3は、Ag系(Ag単体、Ag−PdなどのAg合金)、Cu系(Cu単体、Cu合金)など導体からなり、内部導体2の厚みは8〜15μm程度であり、ビアホール導体の直径は任意な値とすることができるが、例えばその直径は80〜250μmである。
表面配線導体4、5は、Ag系(Ag単体、Ag−PdなどのAg合金)、Cu系(Cu単体、Cu合金)など導体から成り、例えば、焼成処理される前の積層体基板に既に形成されたり、また、焼成された積層体基板の主面に、上述の導体成分を含む導電性ペーストを印刷、焼きつけによって形成される。
このような積層体基板1の表面配線導体4、5には、厚膜抵抗体膜や保護膜が形成され、チップ状コンデンサ、チップ状抵抗器、トランジスタ、ICなどの各種電子部品6などが半田、ワイヤボンディングなどによって搭載されている。
ここで、本発明の特徴的なことは、積層体基板1を構成する絶縁層1a〜1eのうち、いくつかの絶縁層、例えば1a、1eに含まれるガラス成分のガラス転移点は、他の絶縁層1b〜1dに含まれるガラス成分のガラス転移点に比較して、その温度差を80℃以上としている。
上述の積層ガラス−セラミック回路基板の製造方法は、まず、絶縁層1a、1e、1b〜1dとなる少なくとも2種類のガラス−セラミックグリーンシートを準備し、内部配線導体2、ビアホール導体3、表面配線導体4、5となる導体膜や導体を形成するための低抵抗金属材料(Au、Ag、Cu、それらの合金)、ガラスフリット、有機ビヒクルなどから成る導電性ペーストを夫々準備する。
上述のガラス−セラミックグリーンシートは、低融点結晶化ガラスフリット、無機物フィラー、バインダ、溶剤を均質混練して、ドクターブレード法などでテープ成型し、所定の大きさに裁断されて形成される。
低融点結晶化ガラスフリットとは、上述したように、850〜1050℃前後の比較的低い温度で焼成処理することによって、コージェライト、ムライト、アノーサイト、セルジアン、スピネル、ガーナイト、ウイレマイト、ドロマイト、ペタライトやその置換誘導体の結晶相を少なくとも1種類を析出するガラス組成物からなり、平均粒径は、1.0〜6.0μm、好ましくは1.5〜3.5μmである。
特に、アノーサイト、セルジアンを析出するガラスフリットを用いれば、より強度の高い積層体基板を得ることができ、コージェライト、ムライトを析出するガラスフリットを用いれば、熱膨張率が低い積層体基板を得ることができ、積層体基板上にICベアチップなどのシリコンチップを搭載するための積層体基板として有効である。尚、強度が高く、熱膨張率が低い積層体基板を得るため、アノーサイトやコージェライトを同時に析出させるガラス組成物として、例えば、B、SiO、Al、ZnO、アルカリ土類金属酸化物が有効である。
無機物フィラーは、積層体基板の骨剤となるものであり、コランダム(αアルミナ)、クリストバライト、石英、ムライト、コージライトなどのセラミックが例示でき、その粒径は1.0〜6.0μm、好ましくは1.5〜4.0μmである。
バインダは、固形成分(ガラスフリット、無機物フィラー)との濡れ性があり、熱分解性の良好なものでなくてはならない。同時にスリップの粘性を決めるものである為、アクリル酸もしくはメタクリル酸系重合体のようなカルボキシル基、アルコール性水酸基を備えたエチレン性不飽和化合物が好ましい。添加量としては固形成分分に対して25wt%以下が好ましい。
溶剤として、有機系溶剤、水系溶剤を用いることができる。尚、水系溶剤の場合、バインダは、水溶性である必要があり、バインダには、親水性の官能基、例えばカルボキシル基が付加されている。その付加量を酸価で表せば2〜300であり、好ましくは5〜100である。
上述のバインダ及び溶剤は、ドクターブレード法による熱乾燥工程及び積層体基板の焼成工程の脱バインダ過程で完全に熱分解しなくてはならないが、特に、600℃以下、好ましくは500℃以下で分解する材料を選択する。
上述の無機物フィラーとガラス成分との構成比率は、無機物フィラーが10wt%〜50wt%、好ましくは20wt%〜35wtであり、ガラス成分が90wt%〜50wt%、好ましくは80wt%〜65wtである。
無機物フィラーが10wt%未満(ガラス成分が90wt%を越える)では、絶縁層中にガラス質が増加しすぎて、積層体基板の強度が損なわれ、無機物フィラーが50wt%を越える(ガラス成分が50wt%未満)と、積層体基板1の緻密性が損なわれる。
ここで、本発明では、絶縁層1a及び1eとなるグリーンシートと、絶縁層1b〜1dとなるグリーンシートとの間で、これらグリーンシートに含まれるガラスフリットのガラス転移点が80℃以上異なるガラス組成物を選択する必要がある。
即ち、結晶化ガラス成分におけるガラス転移点の制御を行う必要がある。例えば、上述のガラス組成物において、ガラス転移点を低く設定する方法として、BやZnOやアルカリ土類金属の酸化物の組成比を増やすことによって達成される。また、Pb、Bi、Cdなどの酸化物を添加したり、アルカリ金属の酸化物を添加してもガラス転移点を低くすることができる。但し、アルカリ金属の酸化物の添加は、絶縁層における絶縁特性を劣化させてしまうことがあるため留意する必要がある。
例えば、絶縁層1a、1eとなるグリーンシートは、B、SiO、Al、ZnO、アルカリ土類金属酸化物を主成分とする結晶化ガラスと無機物フィラーとしてアルミナセラミック粉末を用い、さらに、バインダとしてアクリル系樹脂を、溶剤としてトルエンなどを用いた。尚、固形成分の構成比率は、結晶化ガラスを70wt%、無機物フィラーを30wt%とした。
これにより、ガラス転移点が740℃のガラス成分を含むグリーンシートを得た。
例えば、絶縁層1b〜1dとなるグリーンシートは、PbO、B、SiO、Al、ZnO、アルカリ土類金属酸化物を主成分とする結晶化ガラスと無機物フィラーとしてアルミナセラミック粉末を用い、さらに、バインダとしてアクリル系樹脂を、溶剤としてトルエンなどを用いた。尚、固形成分の構成比率は、結晶化ガラスを50wt%、無機物フィラーを50wt%とした。
これにより、ガラス転移点が600℃のガラス成分を含むグリーンシートを得た。
〔導電性ペースト〕
内部配線導体2及び表面配線導体4、ビアホール導体3を形成するための導電性ペーストは、Ag系(Ag単体、Ag−PdなどのAg合金)、Cu系(Cu単体、Cu合金)、Au系など低抵抗金属材料粉末、例えば銀系粉末と、低融点ガラス成分と、バインダと溶剤とを均質混練したものが用いられる。また、表面配線導体4、5にこのペーストを用いても構わない。
〔積層工程〕
絶縁層1a〜1eとなるグリーンシートに、ビアホール導体3が形成される位置を考慮してNCパンチ等でスルーホールを形成し、続いて、上述のAg系導電性ペーストの印刷・充填により、スルーホールに導体を充填し、所定形状の内部配線導体2となる導体膜を形成する。
このようなグリーンシートを、積層順序を考慮して、絶縁層1a〜1eとなるグリーンシートを積層し、熱圧着して未焼成状態の積層体基板を得る。
尚、ガラス転移点の異なるグリーンシートは、図に示すように、厚み方向に対象となるように積層することが望ましい。
〔焼成工程〕
上述の未焼成状態の積層体基板を焼成処理する。焼成処理は、脱バインダ過程と焼結過程からなる。
脱バインダ過程では、絶縁層1a〜1eとなるグリーンシート層、内部配線導体2となる導体膜、ビアホール導体3となる導体に含まれる有機成分を焼失するためのものであり、例えば600℃以下の温度領域で行われる。
また、焼結過程では、絶縁層1a〜1eとなるグリーンシート層に含まれる結晶化ガラス成分が所定結晶相の析出反応を行うと同時に、無機物フィラーの粒界に均一に分散される。これにより、強固な積層体基板1が達成される。
また、内部配線導体2となる導体膜、ビアホール導体3となる導体においては、例えばAg系粉末を粒成長させて、低抵抗化させるとともに、絶縁層1a〜1eと一体化させるものである。これは、ピーク温度850〜1050℃に達する温度領域で行われる。
焼成雰囲気は、大気(酸化性)雰囲気又は中性雰囲気で行われ、例えば、内部配線導体2などにCu系導体を用いる場合には、還元性雰囲気又は中性雰囲気で行われる。
〔表面処理工程〕
次に、焼成処理された積層体基板の両主面に表面処理を行う。
例えば、積層体基板1の上面側主面に、絶縁層1a、1eに形成したビアホール導体3と接続するように、例えば銅系導電性ペーストの印刷・乾燥、焼きつけにより、表面配線導体4、5を形成する。ここで、銅系の表面配線導体4、5と銀系導体のビアホール導体3とが接合されることとなる。このため、銀と銅との共晶温度を考慮して、銅系の導電性ペーストは低温(例えば780℃以下)焼成可能なものを選択し、しかも、銅の酸化を防止するために還元性雰囲気や中性雰囲気中で行うことが重要である。
その後、必要に応じて、厚膜抵抗膜や保護膜などの焼きつけを行い、各種電子部品6を搭載する。
尚、上述の実施例について、積層体基板1の表面配線導体4、5を、例えば、積層体基板の焼成工程で同時焼成される導電性ペーストにて形成する場合は、積層工程中で表面配線導体となる導体膜を形成して、積層体基板の焼成と一体的におこなっても構わない。
また、必要に応じて、未焼成積層シートに分割溝を形成しておき、焼成直後、または表面処理工程を行ったのちに分割処理を行っても構わない。
以上の製造方法、特に焼成工程において、未焼成状態の積層体基板には焼成処理に伴う収縮が発生する。しかし、本発明においては、絶縁層1a、1eとなるグリーンシートの層には、ガラス転移点が740℃のガラス成分が含まれ、絶縁層1b〜1dとなるグリーンシートの層には、ガラス転移点が600℃のガラス成分が含まれている。
焼成処理工程で、ピーク温度850〜1050℃に昇温される間の500〜600℃では、積層体基板に含まれている有機成分が焼失される。
また、約600℃前後では、絶縁層1b〜1dとなるグリーンシートの層でガラス成分が軟化流動し、この層で収縮応力が発生する。この収縮応力は、絶縁層1b〜1dとなる層で等方的に発生するものの、積層体基板には740℃という高いガラス転移点のガラス成分を有する絶縁層1a、1eが積層されており、この温度において絶縁層1a、1eが安定的に維持されているため、絶縁層1b〜1dの平面方向に作用する収縮応力が緩和され、専ら絶縁層1b〜1dでは厚み方向の収縮となる。即ち、低いガラス転移点のガラス成分を有する絶縁層1b〜1dに発生する収縮応力は、絶縁層1b〜1d内の積層方向に大きく作用し、平面方向への作用が小さくなる。したがって、低いガラス転移点のガラス成分を有する絶縁層1b〜1dに発生する収縮は、高いガラス転移点のガラス成分を有する絶縁層1a、1eによって防止されることになる。
さらに、温度が上昇して、例えば740℃前後では、絶縁層1b〜1dの収縮反応が既に終了して、絶縁層1b〜1dが安定状態となる。このような状態で、絶縁層1a、1eとなるグリーンシートの層でガラス成分が軟化流動し、収縮応力が発生するものの、積層体基板には収縮反応が終了し、且つ安定状態となった絶縁層1b〜deが安定的に積層されているので、絶縁層1a、1eの平面方向に作用する収縮応力が緩和され、専ら絶縁層1a、1eでは厚み方向の収縮となる。即ち、高いガラス転移点のガラス成分を有する絶縁層1a、1eに発生する収縮応力は、絶縁層1a、1e内の積層方向に大きく作用し、平面方向への作用が小さくなる。したがって、高いガラス転移点のガラス成分を有する絶縁層1a、1eに発生する収縮は、低いガラス転移点のガラス成分を有し、既に安定状態となった絶縁層1b〜deによって防止されることになる。
さらに、温度が上昇して、例えば850℃〜1050℃では、絶縁層1a、1eにおいても、収縮反応が終了し、無機物フィラーの粒界に、結晶化ガラスが所定結晶相を析出して充填されることになり、強固な積層体基板となる。
上述のように、焼成処理において、各絶縁層1a〜1eで収縮応力が発生する時には、他の絶縁層1a〜1eによって安定した状態に維持されるため、積層体基板1の平面方向に作用する収縮応力が互いに緩和されて、積層体基板1の平面方向の収縮率を大きく低減することができる。
従って、収縮率が小さい、即ち、焼成前と焼成後とにおいて、積層体基板1の平面的な大きさの差が小さくなるため、例えばグリーシート上に平面的に広がるように形成した内部配線導体2となる導体膜に対してストレスがかかりにくく、断線などが発生しにくい信頼性の高い積層ガラス−セラミック回路基板となる。
また、製造工程で用いる積層機、焼成炉などの形状・容量などの制約が緩和され、完成品の基板に近い形状の基板を用いることができる。
尚、低いガラス転移点を有する側のガラス成分のガラス転移点と、高いガラス転移点を有する側のガラス成分のガラス転移点との間には、80℃以上の温度差を設けることが重要であり、80℃以上の温度差があれば、最も低い転移点のガラス成分が軟化流動し始める焼成温度においては、最も高い転移点のガラス成分が原形(安定状態)となっており、逆に最も高い転移点のガラス成分が軟化流動し始める焼成温度においては、既に最も低い転移点のガラス成分が安定状態となっていることになり、収縮率を有効に抑えることが可能となる。
[実験例]
本発明者は、ガラス成分のガラス転移点が740℃、688℃、660℃、632℃、600℃となるようにガラス組成を制御して、各ガラス成分を用いた5種類のグリーンシート(厚みを何れも200μm)を作成した。
そして、5層のグリーンシートを積層した積層体基板を形成するにあたり、最外側の2層のグリーンシートをガラス転移点が740℃のガラス成分を含むグリーンシートで、その間の3層のグリーンシートを688℃、660℃、632℃、600℃のガラス成分を含むグリーンシートで積層形成した。
その後、この積層体基板を、大気雰囲気、ピーク温度900℃で一体的に焼成処理した。
この時の積層体基板の平面方向での収縮率を測定した。
尚、比較例として、5層のグリーンシートからなる積層体基板を、全てガラス転移点が740℃、600℃のガラス成分を含むグリーンシートで形成したものも同様に焼成処理して、収縮率を測定した。
その結果を表1に示す。
Figure 0004284371
以上のように、同一の種類のグリーンシートを用いた積層体基板(試料番号5、6)では、収縮率が15%を越えてしまう。
また、試料番号1のように、2種類のガラス転移点の差が52℃のガラス成分を有するグリーンシートを用いた積層体基板では、試料番号5、6に比較して、改善は見られるものの、充分な作用には到らない。
そして、試料番号2〜4のように、2種類のガラス転移点の差が80℃以上のガラス成分を有するグリーンシートを用いた積層体基板では、積層体基板の平面方向の収縮率は10%前後となり、充分な作用を奏することができる。
尚、このガラス転移点の差の上限は、低いガラス転移点温度と焼成のピーク温度とで決まることになるが、実際には、高いガラス転移点で軟化流動して、結晶化反応させるためには、高いガラス転移点の設定は、ピーク温度よりも充分に低い温度に設定することが望ましい。
また、上述の実施例では、2種類の転移点のガラス成分、即ち、2種類のグリーンシートで積層体基板を構成している。しかも、高い転移点側のグリーンシートを最外層の2層に用いているが、2種類以上の転移点のガラス成分、即ち、2種類以上のグリーンシートで積層体基板を構成してもよい。この場合、最も低いガラス転移点と最も高いガラス転移点の温度差を80℃以上、即ち、最も低いガラス転移点に達した時点では、最も高いガラス転移点のグリーンシートが安定的に原形を維持できるようにすればよい。
また、最外層の2層を高い転移点側のグリーンシートで構成しているが、焼成時に、焼成時の収縮応力を互いに緩和しあえば、どの位置に配置しても構わない。
また、上述の実施例では、積層体基板を構成する絶縁層1a〜1eがグリーンシートで形成されているが、グリーンシートに代えて、ドクターブレード法に用いるガラス−セラミックスリップ材を印刷又は塗布を行い、内部配線導体となる導体膜印刷を順次繰り返して積層体基板を形成しても構わない。
また、このガラス−セラミックスリップ材に、必要に応じて、光硬化モノマーを添加して、塗布したガラス−セラミックスリップ塗布膜に対して、露光・現像処理して、ビアホール導体となるスルーホールを形成するようにしても構わない。
本発明の積層ガラス−セラミック基板の断面図である。
符号の説明
10・・・・・・積層ガラス−セラミック回路基板
1・・・・・・・積層体基板
1a〜1e・・・絶縁層
2・・・・・・・内部配線導体
3・・・・・・・ビアホール導体
4、5・・・・・表面配線導体
6・・・・・・・電子部品

Claims (6)

  1. 無機物フィラー間にガラス成分が充填された絶縁層を複数積層した積層基板を備える積層ガラス−セラミック回路基板であって、
    前記複数の絶縁層のうち、隣接する2つの絶縁層の各々の前記無機物フィラー間に、ガラス転移点の差が80℃以上異なる前記ガラス成分がそれぞれ充填され、該ガラス成分が充填された前記隣接する2つの絶縁層は一体的に焼成されてなることを特徴とする積層ガラス−セラミック回路基板。
  2. 前記積層体基板に含まれるガラス成分の構成比率をa、無機物フィラーの構成比率をbとした場合、下記関係式A〜Cを満たすことを特徴とする請求項1に記載の積層ガラス−セラミック回路基板。
    50wt%≦a≦90wt%・・・・・・A
    10wt%≦b≦50wt%・・・・・・B
    a+b=100wt%・・・・・・・・・・・C
  3. 前記隣接する2つの絶縁層間には、内部配線導体が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の積層ガラス−セラミック回路基板。
  4. 前記ガラス成分は、結晶化ガラスであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の積層ガラス−セラミック回路基板。
  5. 前記隣接する2つの絶縁層における無機物フィラーが同一材料であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の積層ガラス−セラミック回路基板。
  6. 前記積層基板の上面および下面には、表面配線導体が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の積層ガラス−セラミック回路基板。
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