JP4280632B2 - 固定装置 - Google Patents

Description

【０００１】
技術分野：
本発明は、独立請求項に発明の上位概念として特定した形式の、燃料噴射弁を内燃機関のシリンダヘッドに固定するため並びに燃料噴射弁を燃料分配管に結合するための固定装置に関する。
【０００２】
背景技術：
ドイツ連邦共和国特許第２９ ２６ ４９０号明細書に基づいてすでに公知になっている、吸気管に固定するための燃料噴射弁用の固定装置では、燃料分配導管もしくは差込みニップルにおける燃料噴射弁の軸方向位置決め固定は、Ｕ形の安全クランプとして形成された固定エレメントによって行われ、前記安全クランプは、半径方向弾性を有する２つの脚片を備えている。該安全クランプはその場合、組付け状態では差込みニップルの対応切欠き部を通って係合し、かつ、燃料噴射弁の接続管片にリング溝として形成された凹所に係止可能である。前記の切欠き部と安全クランプとの間の軸方向遊び並びに前記のリング溝と安全クランプとの間の軸方向遊びはその場合、パッキンに不当な応力をかけること無しに燃料噴射弁の正確な位置固定を達成するために、小さく維持されねばならない。
【０００３】
前挙ドイツ連邦共和国特許第２９ ２６ ４９０号明細書に基づいて公知になっている固定装置の欠点は、限られた範囲内でしか抑え力を伝達できない点にある。特に、位置誤差を補償するために、或る所定の軸方向長にわたって比較的均等な抑え力を生ぜしめることは不可能である。前記の従来技術は吸気管噴射装置のために設けられており、従って高圧燃料分配導管の場合の位置誤差をどのようにして補償できるかという解決手段を提供するものではない。
【０００４】
発明の開示：
独立請求項の特徴部に記載した構成手段を備えた燃料噴射弁用の本発明の固定装置は、従来技術に対比して、ばねエレメントを軸方向で更に緊締することによって、燃料噴射弁と燃料分配導管との間の位置誤差、特に軸方向の位置誤差を補償することができるという利点を有している。燃料分配導管がシリンダヘッドに固定され、かつ該シリンダヘッドに押圧される場合、燃料噴射弁はばねエレメントの抑え力によってシリンダヘッド内に抑えられる。ばねエレメントはその場合、その静止位置から軸方向の圧力によって緊張され、かつこの圧力を燃料噴射弁に対して抑え力として作用する。
【０００５】
更に有利なことには燃料噴射弁は、すでに組立時に当該固定装置によって燃料分配導管と結合され、かつ各解体時には、固定装置と燃料噴射弁と燃料分配導管とから成るユニットをそっくり取り外すことが可能になることである。ばねエレメントはその場合、引張り負荷を受け、かつ固定装置は燃料噴射弁をシリンダヘッドから引き出すことができる。それというのは係止継手が、保持溝におけるばね舌片も同様に、圧縮力及び引張り力に変換するからである。
【０００６】
本発明の固定装置では、シリンダヘッドの端面に固定するために、ねじ又は緊締爪の必要がないので有利である。
【０００７】
従属請求項に列挙した構成手段によって、独立請求項に記載した固定装置の有利な実施形態の構成及び改良が可能になる。
【０００８】
係止継手がばねエレメントの１区分における切欠き部によって形成されており、該切欠き部内に燃料噴射弁又は燃料分配導管の係止部が挿嵌されるのが特に有利である。この実施形態は、ばねエレメントの半径方向弾性率によって係止することができ、かつその他いかなる構成部品も必要としない。
【０００９】
ばねエレメントは、有利な実施形態では半径方向外向きに折返し部を有することができる。ばねエレメントの円弧区分を構成することによって、ばね定数を圧縮力並びに引張り力に影響することが可能になる。
【００１０】
固定装置はプラスチック射出成形品から成ることができる。
【００１１】
また前記構成手段とは択一的な実施形態では固定装置は、金属ばね板から成っており、かつ曲げ成形加工を伴う押抜き部品として製作されている。ばね舌片はその場合、保持溝寄り側の少なくとも部分域において、前記保持溝内への挿嵌時に遊びの無い軸方向の弾性的な緊締を生ぜしめるように、軸方向に折曲げておくことができる。
【００１２】
前記の両択一的な実施形態によって、低廉な製造法が可能になる。
【００１３】
更にまた保持溝が燃料噴射弁に、かつ係止継手が燃料分配導管に成形されているのが有利である。保持溝における固定は、所要の構造丈を一層小さくし、従って燃料噴射弁に簡便に装着することができる。
【００１４】
発明を実施するための最良の形態：
次に図面に基づいて本発明の実施例を詳説する。
【００１５】
図１は、燃料分配導管に固定するための燃料噴射弁用の本発明の固定装置１の１実施例の斜視図である。該固定装置１には２つのばね舌片２が成形されており、両ばね舌片は両者間に、最大直径ｄ_２を有する開口面を開放している。この開口面は仮想軸線３に対して直交しており、該仮想軸線は燃料噴射弁（図１では図示せず）の対称軸線に合致している。
【００１６】
両ばね舌片２は、前記開口面の最大直径ｄ_２よりも小さな先端間隔ｄ_１を有している。固定装置１は、１つの保持溝内に挿嵌可能な両ばね舌片２を介して、燃料噴射弁に固定することができる。その場合、固定装置１を側方に押しずらすことが可能である。その場合、仮想軸線３の縦方向では摩擦接続が生じる。ばね舌片２には、本例では２つのばねエレメント４が接続しており、両ばねエレメントは仮想軸線３の方向で圧縮ばね負荷可能並びに引張りばね負荷可能である。
【００１７】
図１では固定装置１は、ばねエレメント４にいかなる力も作用していない無負荷状態で図示されている。両ばねエレメント４の支承区分５内に切欠き部６が配置されており、該切欠き部内に例えば燃料分配導管は適当な係止部でもって係止することができる。これによって仮想軸線３の縦方向で燃料分配導管との摩擦接続が得られる。ばねエレメント４は仮想軸線３を基準として半径方向で折返し域７を有しており、該折返し域の折返しは本例では、折返しと云うよりは、むしろシャープエッジな稜角を有するように形成されている。両ばね舌片２は一方のエッジ域８で軽く折曲げられている。
【００１８】
ばねエレメント４は、仮想軸線３の縦方向で見て、両ばね舌片２に対して両切欠き部６の間隔を増大させようとする応力に関するばね定数、並びに前記間隔を減少させようとする応力に関する第２のばね定数を有している。従って或る所定の弾性範囲において応力は、切欠き部６とばね舌片２との間で仮想軸線３の方向で、ニュートラル域を中間に介在させた上で圧縮応力にも引張り応力にも変成することができる。
【００１９】
図２は、燃料分配導管１０に固定された燃料噴射弁９を組付け位置で示した、図１の実施例の概略的に断面図である。燃料噴射弁９の一方の終端区分１１が、燃料分配導管１０の収容孔１２内に装嵌されている。支持リング１４によって支持されるＯリング１３が、前記終端区分１１を収容孔１２に対して封止する。流入孔１５を介して燃料は収容孔１２に流入する。固定装置１はその切欠き部６でもって、燃料分配導管１０の係止部１６内にクリップ締結されている。固定装置１はその場合、図１で断面線ＩＩと仮想軸線３とによって規定された断面平面で図示されている。ばね舌片２の、軽度に折曲げられたエッジ域８が、燃料噴射弁９に成形された保持溝１７内に挿嵌されている。両羽ねエレメント４の各折返し域７は半径方向外側に位置している。該折返し域７前後のばねエレメント４の部分はもはや平行には位置していない。それというのは燃料分配導管１０が、燃料の流動方向の方向で押圧力を燃料噴射弁９に及ぼし、該押圧力が固定装置１によって係止部１６から保持溝１７に伝達されるからである。この保持力が、図２では図示を省いたシリンダヘッドに燃料噴射弁を、燃焼室の圧力に抗して確実に保持するために必要な抑え力に他ならない。エッジ域８の折曲げによって、保持溝１７内におけるばね舌片２の遊びが防止される。それというのは緊締作用が生じるからである。
【００２０】
分解の場合、燃料噴射弁９は燃料分配導管１０と一緒に解体することができる。燃料分配導管１０が、流入孔１５内における燃料の流動方向とは逆方向に引張られると、各ばねエレメント４は、その静止点を超えて引き外され、かつ燃料噴射弁９に対してもはや押圧力を及ぼすことはない。むしろ引張り力が保持溝１７を介して燃料噴射弁９に伝達され、かつ燃料噴射弁９がシリンダヘッドから引き外される。従って燃料噴射弁は燃料分配導管１０と一緒に解体される訳である。
【００２１】
しかしながら固定装置１を先ず取り外すことによって、燃料分配導管１０を単独に分解するようにするのも有利である。これは、ばねエレメント４の支承区分５を、係止部１６から取り外せるように半径方向外向きに緊張させることによって行われる。それと同時に固定装置１が全体的に、この図面では観察者の方に前方に向かって、保持溝１７から引き出され、その場合ばね舌片２は、図１に示した先端間隔ｄ_１が保持溝１７の直径を超えて引張られるほど拡開される。
【００２２】
金属ばね板から固定装置１を押抜き、それに続いて屈曲成形することによって、該固定装置１を簡単に製作することが可能になり、かつ適当な材料を選択することによって、大きな抑え力を伝達することも可能になる。これによって、固定爪やねじ締結手段のような、通常必要とされる構成部品の使用を避けることが可能になる。
【００２３】
図３ａ、図３ｂ及び図３ｃの概略的な細部断面図には、図１及び図２に示した本発明の固定装置１の更に別の実施形態が図示されており、該実施形態は、図１及び図２に示した折返し域７とは異なった折返し域を有している。固定装置１はこの場合、対称線を基準としてそれぞれ片側についてだけ図示されている。しかも図３ａに示した折返し域１８ａは円弧部として形成されている。これに基づいてばねエレメント４の領域における切欠き作用は回避される。円弧部１８ａにわたる曲げモーメントは比較的均等である。図３ｂでは鋭角的な折返し域１８ｂが例示されている。最後に図３ｃでは、ばねエレメント４の領域における多重折返し域１８ｃが示されている。
【００２４】
最後に例示した両実施形態は、比較的低いばね定数を可能にする。
尚、本発明においては、３つ以上のばねエレメント４が半径方向で均等に配置されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の固定装置の１実施例の斜視図である。
【図２】 燃料噴射弁及び燃料分配導管での組付け位置で示した図１の実施例の概略的な断面図である。
【図３ａ】 本発明の固定装置の別の実施形態の概略的な細部断面図である。
【図３ｂ】 本発明の固定装置の別の実施形態の概略的な細部断面図である。
【図３ｃ】 本発明の固定装置の別の実施形態の概略的な細部断面図である。
【符号の説明】
１ 固定装置、２ ばね舌片、３ 仮想軸線、４ ばねエレメント、５ 支承区分、６ 切欠き部、７ 折返し域、８ エッジ域、９ 燃料噴射弁、１０ 燃料分配導管、１１ 終端区分、１２ 収容孔、１３ Ｏリング、１４ 支持リング、１５ 流入孔、１６ 係止部、１７ 保持溝、１８ａ 円弧部としての折返し域、１８ｂ 鋭角的な折返し域、１８ｃ 多重折返し域、ｄ_１ 両ばね舌片の先端間隔、ｄ_２ 開口面の最大直径．

Claims (7)

1. 燃料噴射弁（９）を内燃機関のシリンダヘッドに、かつ前記燃料噴射弁（９）を燃料分配導管（１０）に相互に固定するための固定装置（１）であって、該固定装置（１）が、前記燃料噴射弁（９）又は前記燃料分配導管（１０）の保持溝（１７）内に挿嵌可能な２つのばね舌片（２）を有しており、しかも前記ばね舌片（２）の先端間隔（ｄ_１）が、前記ばね舌片によって包囲される開口面の最大直径（ｄ_２）よりも小であり、かつ前記ばね舌片（２）が前記燃料噴射弁（９）の軸線（３）を基準として半径方向弾性を有しており、前記ばね舌片（２）には、軸方向で引張りばね負荷可能並びに圧縮ばね負荷可能に少なくとも２つのばねエレメント（４）が成形されており、該ばねエレメントが、対向している燃料噴射弁（９）又は燃料分配導管（１０）に、係止継手を介して軸方向で摩擦接続式に着脱可能に結合されており、ばねエレメント（４）が半径方向外向きに、１つ又は複数の折返し部（７）を有している形式のものにおいて、
   前記折返し部（７）が鋭角に形成されていることを特徴とする、固定装置。
2. 係止継手がばねエレメント（４）の１区分（５）における切欠き部（６）によって形成されており、該切欠き部内に燃料噴射弁（９）又は燃料分配導管（１０）の係止部（１６）が挿嵌可能である、請求項１記載の固定装置。
3. 固定装置（１）がプラスチック射出成形品から成っている、請求項１又は２記載の固定装置。
4. 固定装置（１）が金属ばね板から成っており、かつ曲げ成形加工を伴う打ち抜き部品として製作されている、請求項１から３までのいずれか１項記載の固定装置。
5. ばね舌片（２）が、保持溝（１７）寄り側の少なくとも部分域において、前記保持溝（１７）内への挿嵌時に遊びの無い軸方向の弾性的な緊締を生ぜしめるように、軸方向に折曲げられている、請求項４記載の固定装置。
6. ３つ以上のばねエレメントが半径方向で均等に配置されている、請求項１から５までのいずれか１項記載の固定装置。
7. 保持溝（１７）が燃料噴射弁（９）に、かつ係止継手が燃料分配導管（１０）に成形されている、請求項１から６までのいずれか１項記載の固定装置。

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