半導体装置の大規模高集積化に伴い、配線の設計ルールも世代と共に縮小化されている。従来、配線層は、配線材料を堆積した後、リソグラフィー及びドライエッチングを用いてパターニングすることにより形成されてきたが、世代が進むにつれて技術的な限界が生じ始めている。このため、従来の配線層の形成プロセスに代わる新たな形成プロセスとして、層間絶縁膜に溝パターンやホールパターンを形成した後、この溝やホールに配線材料を埋め込む、いわゆるダマシンプロセスと呼ばれる手法が利用されつつある。ダマシンプロセスは、反応性エッチングが困難な銅などの低抵抗材料を用いて配線層を形成することも容易であり、微細パターンを有する低抵抗の配線層を形成するうえで極めて有効である。
ダマシンプロセスには、ビア部と配線トレンチ部とを別々に埋め込むシングルダマシン法と、ビア部と配線トレンチ部とを同時に埋め込むデュアルダマシン法とがある。これらのうち、デュアルダマシン法は、ビア部及び配線トレンチ部の埋め込みを1回のプロセスにより行うため、シングルダマシン法と比較して製造方法を簡略にできるという利点がある。
また、デュアルダマシン法には、先に配線トレンチ用の露光プロセスを行う先トレンチ方式と、先にビア部用の露光プロセスを行う先ビア方式とがある。先トレンチ方式は、配線トレンチ部のパターンに対してビア部の位置合わせを行うため、下層配線とビア部とは間接的な位置合わせになる。このため、重ね合わせマージンが小さく、65nmノード以降では高い歩留まりを得ることが困難になると想定される。このため、更なる微細化が図られる今後の配線層形成プロセスには、先ビア方式を用いたデュアルダマシンプロセスが好適である。
先ビア方式を用いたデュアルダマシンプロセスは、例えば特許文献1乃至3に記載されている。以下、特許文献1に記載された製造方法を例に、先ビア方式を用いたデュアルダマシンプロセスについて図10及び図11を用いて説明する。
まず、配線層102が埋め込まれた層間絶縁膜100上に、例えばCVD法により、低誘電率膜104と、CMP犠牲膜106とを順次堆積する(図10(a))。
次いで、フォトリソグラフィーにより、CMP犠牲膜106上に、ビア部形成領域を露出するフォトレジスト膜108を形成する(図10(b))。
次いで、フォトレジスト膜108をマスクとしてCMP犠牲膜106及び低誘電率膜104をエッチングし、配線層102に達するビアホール110を形成する(図10(c))。
次いで、フォトレジスト膜108を除去した後、フォトレジスト等の樹脂材料を塗布して加熱硬化させることにより、ビアホール110をこの樹脂材料よりなる埋め込み材112により埋め込む(図10(d))。
次いで、埋め込み材112をエッチバックし、埋め込み材112をビアホール110の底部にのみ残存させる(図11(a))。
次いで、フォトリソグラフィーにより、CMP犠牲膜106上に、配線トレンチ部形成領域を露出するフォトレジスト膜114を形成する(図11(b))。
次いで、フォトレジスト膜114をマスクとしてCMP犠牲膜106及び低誘電率膜104をエッチングし、CMP犠牲膜106及び低誘電率膜104に配線トレンチ116を形成する(図11(c))。
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜114とともに埋め込み材112を除去する。こうして、CMP犠牲膜106及び低誘電率膜104に、ビアホール110及び配線トレンチ116を有する開口部118を形成する。
次いで、バリアメタル及び銅膜を堆積後、CMP犠牲膜106が露出するまで銅膜及びバリアメタル層をCMP法により除去し、開口部118に埋め込まれ、配線層102に電気的に接続された配線層(図示せず)を形成する。
特許文献1に記載の上記方法では、フォトレジスト膜114及び埋め込み材112をアッシングにより除去している。しかしながら、低誘電率膜104を、ポーラスシリカ膜、有機系低誘電率膜等により構成した場合、フォトレジスト膜114及び埋め込み材112のアッシングの際に低誘電率膜104にダメージが入ったりエッチングされたりする不具合が生じる。また、ポーラスシリカ膜では、酸素アッシングにより酸化されて誘電率が増加したり、フォトレジストとのミキシングを生じたりする不具合が生じることもある。
特許文献2及び特許文献3は、低誘電率膜上に3層構造或いは4層構造のハードマスクを形成することにより、このような不具合を防止するものである。
次に、3層構造のハードマスクを用いる特許文献2に記載の方法について、図12及び図13を用いて説明する。
まず、配線層120が埋め込まれた層間絶縁膜(図示せず)上に、例えばCVD法等により、例えばSiC膜よりなるバリア層122と、低誘電率膜124と、例えばシリコン酸化膜よりなる中間ストッパ層126と、低誘電率膜128と、例えばSiC膜よりなる第1のハードマスク130と、例えばシリコン酸化膜よりなる第2のハードマスク132と、例えばシリコン窒化膜よりなる第3のハードマスク134とを順次形成する。
ここで、第2のハードマスク132は、第1のハードマスク130及び低誘電率膜124,128に対してエッチング選択性を有する材料から選択し、第3のハードマスク134は、第1のハードマスク130、第2のハードマスク132、低誘電率膜124,128、中間ストッパ層126、バリア層122に対してエッチング選択性を有する材料から選択する。
次いで、第3のハードマスク134上に反射防止膜136を形成した後、フォトリソグラフィーにより、ビア部形成領域を露出するフォトレジスト膜138を形成する(図12(a))。
次いで、フォトレジスト膜138をマスクとして、反射防止膜136、第3のハードマスク134及び第2のハードマスク132をエッチングし、ビアホール140を第2のハードマスク132まで開口する。
次いで、フォトレジスト膜138及び反射防止膜136を除去する(図12(b))。
次いで、第3のハードマスク134上に反射防止膜142を形成した後、フォトリソグラフィーにより、配線トレンチ部形成領域を露出するフォトレジスト膜144を形成する(図12(c))。
次いで、フォトレジスト膜144をマスクとして、反射防止膜142、第3のハードマスク134をエッチングし、配線トレンチ146を第3のハードマスク134まで開口する。
次いで、フォトレジスト膜144及び反射防止膜142を除去する(図12(d))。
次いで、第2のハードマスク132をマスクとして及び中間ストッパ層126をストッパとして、第1のハードマスク130及び低誘電率膜128をエッチングし、ビアホール140を低誘電率膜128まで開口する(図13(a))。
次いで、第3のハードマスク134及び第1のハードマスク130をマスクとして第2のハードマスク132及び中間ストッパ層126をエッチングし、ビアホール140を中間ストッパ層126まで開口するとともに、配線トレンチ146を第2のハードマスク132まで開口する(図13(b))。
次いで、第3のハードマスク134をマスクとして第1のハードマスク130をエッチングし、配線トレンチ146を第1のハードマスク130まで開口する。
次いで、第3のハードマスク134及び中間ストッパ層126をマスクとして、低誘電率膜124,128をエッチングし、配線トレンチ146を低誘電率膜128まで開口するとともに、ビアホール140を低誘電率膜124まで開口する(図13(c))。
次いで、中間ストッパ層126をマスクとしてバリア層122をエッチングし、ビアホール140をバリア層122まで開口する。こうして、ビアホール140及び配線トレンチ146を有する開口部148を形成する(図13(d))。
次いで、バリアメタル及び銅膜を堆積後、第3のバリア層134が露出するまで銅膜及びバリアメタル層をCMP法により除去し、開口部148に埋め込まれ、配線層120に電気的に接続された配線層(図示せず)を形成する。
次に、4層構造のハードマスクを用いる特許文献3に記載の方法について、図14及び図15を用いて説明する。
まず、配線層150が埋め込まれた層間絶縁膜(図示せず)上に、例えばCVD法等により、例えばシリコン窒化膜又はSiC膜よりなるバリア層152と、低誘電率膜154と、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜又はSiC膜よりなる中間ストッパ層156と、低誘電率膜158と、例えばシリコン窒化膜よりなる第1のハードマスク160と、例えばシリコン酸化膜又はSiC膜よりなる第2のハードマスク162と、例えばシリコン窒化膜よりなる第3のハードマスク164と、例えばシリコン酸化膜又はSiC膜よりなる第4のハードマスク166とを、順次堆積する。
ここで、第1のハードマスク160及び第3のハードマスク164は、低誘電率膜154,158に対してエッチング選択性を有する材料から選択する。第1のハードマスク160及び第3のハードマスク164は、エッチング特性がほぼ等しい材料により構成することが望ましい。また、第2のハードマスク162及び第4のハードマスク166は、第1のハードマスク160、第3のハードマスク164、低誘電率膜154,158に対してエッチング選択性を有する材料から選択する。第2のハードマスク162及び第4のハードマスク166は、エッチング特性がほぼ等しい材料により構成することが望ましい。
次いで、フォトリソグラフィーにより、第4のハードマスク166上に、ビア部形成領域を露出するフォトレジスト膜168を形成する(図14(a))。
次いで、フォトレジスト膜168をマスクとして、第4のハードマスク166、第3のハードマスク164及び第2のハードマスク162をエッチングし、ビアホール170を第2のハードマスク162まで開口する。
次いで、フォトレジスト膜168を除去する(図14(b))。
次いで、フォトリソグラフィーにより、第4のハードマスク166上に、配線トレンチ部形成領域を露出するフォトレジスト膜172を形成する(図14(c))。
次いで、フォトレジスト膜172をマスクとして第4のハードマスク166をエッチングし、配線トレンチ174を第4のハードマスク166まで開口する。
次いで、フォトレジスト膜174を除去する(図14(d))。
次いで、第4のハードマスク166及び第2のハードマスク162をマスクとして、第3のハードマスク164及び第1のハードマスク160をエッチングし、配線トレンチ174を第3のハードマスク164まで開口するとともに、ビアホール170を第1のハードマスク160まで開口する(図15(a))。
次いで、第2のハードマスク162をマスクとして及び中間ストッパ層156をストッパとして低誘電率膜158をエッチングし、ビアホール170を低誘電率膜158まで開口する(図15(b))。
次いで、第3のハードマスク164及び第1のハードマスク160をマスクとして、第2のハードマスク162及び中間ストッパ層156をエッチングし、ビアホール170を中間ストッパ層156まで開口するとともに、配線トレンチ174を第2のハードマスク162まで開口する。このエッチングにより、第4のハードマスク166は除去される(図15(c))。
次いで、第3のハードマスク164をマスクとして第1のハードマスク160をエッチングし、配線トレンチ174を第1のハードマスク160まで開口する(図15(d))。
次いで、第3のハードマスク164及び中間ストッパ層156をマスクとして、低誘電率膜154,158をエッチングし、配線トレンチ174を低誘電率膜158まで開口するとともに、ビアホール170を低誘電率膜154まで開口する(図15(e))。
次いで、中間ストッパ層156をマスクとしてバリア層152をエッチングし、ビアホール170をバリア層154まで開口する。このエッチングにより、第3のハードマスク164は除去される。こうして、ビアホール170及び配線トレンチ174を有する開口部176を形成する(図15(f))。
次いで、バリアメタル及び銅膜を堆積後、第2のハードマスク162が露出するまで銅膜及びバリアメタル層をCMP法により除去し、開口部176に埋め込まれ、配線層150に電気的に接続された配線層(図示せず)を形成する。
このように、特許文献2及び特許文献3に記載の半導体装置の製造方法では、低誘電率膜のエッチング過程ではフォトレジスト膜を用いる必要が無く、また、配線トレンチ形成過程でビアホール底部を保護するための埋め込み材を形成する必要もない。したがって、フォトレジスト膜や埋め込み材を除去するためのアッシング工程が不要であり、低誘電率膜に与えるエッチングダメージの影響を防止することができる。
特開2000−195955号公報
特開2002−043419号公報
特開2003−197738号公報
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による半導体装置及びその製造方法について図1乃至図4を用いて説明する。
図1乃至図3は本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図、図4は本実施形態による半導体装置の製造方法におけるハードマスクの膜厚決定方法を説明する図である。
はじめに、本実施形態による半導体装置の製造方法について図1乃至図3を用いて説明する。本実施形態による半導体装置の製造方法は、4層のハードマスクを用いたものである。
まず、配線層10が形成された基板(図示せず)上に、例えばプラズマCVD法により、例えば膜厚30nmのシリコン窒化膜を堆積する。これにより、シリコン窒化膜よりなるバリア層12を形成する。
なお、本明細書における基板には、シリコン基板等の半導体基板そのもののみならず、トランジスタ等の素子が形成された半導体基板や、更に上層に1層或いは2層以上の配線層が形成された半導体基板をも含まれる。
次いで、例えばシロキサンポリマ溶液をスピンコートして400℃程度のベークを行うことにより、バリア層12上に、例えば膜厚350nmのポーラスシリカ膜を形成する。これにより、ポーラスシリカ膜よりなる層間絶縁膜14を形成する。
次いで、例えばプラズマCVD法により、例えば膜厚30nmのSiC膜と、例えば膜厚150nmのシリコン酸化膜と、例えば膜厚70nmのシリコン窒化膜と、例えば膜厚30nmのシリコン酸化膜を成長する。これにより、SiC膜よりなる第1のハードマスク16と、シリコン酸化膜よりなる第2のハードマスク18と、シリコン窒化膜よりなる第3のハードマスク20と、シリコン酸化膜よりなる第4のハードマスク22とを形成する。
ここで、第1のハードマスク16及び第3のハードマスク20は、層間絶縁膜14に対してエッチング選択性を有する材料から選択する。第1のハードマスク16及び第3のハードマスク20は、エッチング特性がほぼ等しい材料により構成することが望ましい。かかる観点から、第3のハードマスク20としてSiC膜を用いてもよい。また、第2のハードマスク18及び第4のハードマスク22は、第1のハードマスク16、第3のハードマスク20、層間絶縁膜14に対してエッチング選択性を有する材料から選択する。第2のハードマスク18及び第4のハードマスク22は、エッチング特性がほぼ等しい材料により構成することが望ましい。なお、第1乃至第4のハードマスク16〜22の膜厚の決定方法については後述する。
なお、「ハードマスク」とは、ArFレジストなどのエッチングガスに対する耐性の低いマスクに対比して用いられる用語であり、これらマスクよりもエッチング耐性の高い性質を有するマスクを意味する。ハードマスクを用いる場合、通常、ArFレジスト等に形成したパターンをハードマスクに転写した後、パターニングしたハードマスクをマスクとして下層構造体の加工が行われる。本願明細書では、ハードマスクを単にマスクと表現することもある。
次いで、第4のハードマスク22上に、例えばスピンコート法により、例えば膜厚300nmの樹脂膜24と、例えば膜厚80nmのSOG膜26と、例えば膜厚250nmのArFレジスト膜28とを順次堆積し、3層レジスト構造を形成する。
次いで、フォトリソグラフィーにより、ArFレジスト膜28をパターニングし、ビア部形成領域を露出する開口部30を形成する。
次いで、ArFレジスト膜28をマスクとしてSOG膜26をエッチングし、SOG膜26をマスクとして樹脂膜24をエッチングし、ArFレジスト膜28のパターンを樹脂膜24に転写する(図1(a))。SOG膜26のエッチングにはCF系のプラズマエッチングを、樹脂膜24のエッチングにはNH3系或いはH2/N2系のプラズマエッチングを用いることができる。
次いで、樹脂膜24をマスクとして、第4のハードマスク22、第3のハードマスク20及び第2のハードマスク18を順次エッチングし、ビアホール32を第2のハードマスク18まで開口する。シリコン酸化膜よりなる第4のハードマスク22及び第2のハードマスク18のエッチングにはC4F6/O2/Ar系のプラズマエッチングを、シリコン窒化膜よりなる第3のハードマスク20のエッチングにはCH2F2/O2/Ar系のプラズマエッチングを適用することができる。
次いで、アッシングにより、樹脂膜24を除去する(図1(b))。
次いで、ウェット洗浄後、例えばスピンコート法により、例えば膜厚1μmの樹脂膜34を形成する。樹脂膜34の塗布条件や膜厚は、ビアホール32内に樹脂膜34が埋め込まれ且つビアホール32上の領域が平坦になるように適宜制御する(図1(c))。
次いで、樹脂膜34を紫外光でキュアした後、例えば酸素プラズマを用いたドライエッチングにより樹脂膜34をエッチバックし、ウェーハ最表面の樹脂膜34を除去する(図1(d))。こうして、ビアホール32内に、樹脂膜34よりなる埋め込み材を充填する。このとき、プラズマの発光等を観測して終点検出を行い、ビア部の窪みができるだけ小さく(50nm以下)なるようにエッチング時間を調整することが望ましい。
次いで、例えばスピンコート法により、有機系反射防止膜(BARC)36と、ArFレジスト膜38とを形成する。なお、有機系反射防止膜36は、ビア部の段差平坦化にも貢献する。
次いで、フォトリソグラフィーにより、ArFレジスト膜38をパターニングし、配線トレンチ部形成領域を露出する開口部40を形成する(図2(a))。
次いで、ArFレジスト膜38をマスクとして、有機系反射防止膜36、第4のハードマスク22、第3のハードマスク20をエッチングし、配線トレンチ42を第3のハードマスク20まで開口する(図2(b))。有機系反射防止膜36及びシリコン酸化膜よりなる第4のハードマスク22のエッチングには、CF4系のプラズマエッチングを適用することができる。有機系反射防止膜36及び第4のハードマスク22のエッチングは、これら膜がほぼ同一のエッチングレートになるような条件で行うことが望ましい。また、シリコン窒化膜よりなる第3のハードマスク20のエッチングには、CF4系のプラズマエッチング或いはCH2F2/O2/Ar系のプラズマエッチングを適用することができる。第3のハードマスク20のエッチングは、有機系反射防止膜36及び樹脂膜34と同一のエッチングレートになるような条件で行うことが望ましい。
次いで、アッシングにより、ArFレジスト膜38、有機系反射防止膜36及び樹脂膜34を除去する(図2(c))。
次いで、第2のハードマスク18をマスクとして第1のハードマスク16をエッチングし、ビアホール32を第1のハードマスク16まで開口する。SiC膜よりなる第1のハードマスク16のエッチングには、CH2F2/O2/N2系のプラズマエッチングを適用することができる(図2(d))。
なお、第4のハードマスク22は、第1のハードマスク16のエッチングの際に第3のハードマスク20を保護する役割を有する。第3のハードマスク20が十分な膜厚を有する場合には、後述する第4の実施形態に示すように、ハードマスクを3層構造とすることができる。
次いで、第3のハードマスク20をマスクとして第2のハードマスク18をエッチングし、配線トレンチ42を第2のハードマスク18まで開口する。同時に、第1のハードマスク16をマスクとして層間絶縁膜14をエッチングし、ビアホール32を層間絶縁膜14の途中まで開口する(図3(a))。この際、シリコン酸化膜よりなる第2のハードマスク18及びポーラスシリカ膜よりなる層間絶縁膜14のエッチングには、C4F6/O2/N2/Ar系のプラズマエッチング或いはCF4/CHF3系のプラズマエッチングを適用することができる。なお、第3のハードマスク20上に第4のハードマスク22が残存している場合には、このエッチング工程において第4のハードマスク22も除去される。
次いで、第2のハードマスク18をマスクとして第1のハードマスク16及び層間絶縁膜14をエッチングし、配線トレンチ42を第1のハードマスク16まで開口するとともに、ビアホール32を更に深くする(図3(b))。この際、SiC膜よりなる第1のハードマスク16及びポーラスシリカ膜よりなる層間絶縁膜14のエッチングには、CH2F2/O2/N2/Ar系のプラズマエッチングを適用することができる。なお、第2のハードマスク18上に第3のハードマスク20が残存している場合には、このエッチング工程において第3のハードマスク20も除去される。
本発明の一つの特徴として、図3(a)に示す工程における第2のハードマスク18のパターニングと同時に、層間絶縁膜14の途中までビアホール32を形成する点が挙げられる。本実施形態では、層間絶縁膜14を、シリコン酸化膜よりなる第2のハードマスク18とエッチング特性が近似するポーラスシリカ膜により構成しているため、第2のハードマスク18のエッチング工程をビアホールの開口のためにも利用することができる。また、層間絶縁膜14は、図3(b)に示す工程で第1のハードマスク16をエッチングする際にもエッチングされるため、これらエッチング工程により、ビアホール32を形成するための十分なエッチングが施されることになる。したがって、配線トレンチ形成過程で同時に行うビアホールのエッチングが不十分な場合であっても、ビアホール32を確実に開口することができる。
次いで、第2のハードマスク18をマスクとして層間絶縁膜14をエッチングし、配線トレンチ42を層間絶縁膜14の途中まで開口するとともに、ビアホール32をバリア層12上まで開口する。ポーラスシリカ膜よりなる層間絶縁膜14のエッチングには、CF4系のプラズマエッチングを適用することができる。
次いで、第2のハードマスク18をマスクとしてバリア層12をエッチングし、ビアホール32をバリア層14まで開口し、ビアホール32内に配線層10を露出する(図3(c))。SiC膜よりなるバリア層12のエッチングには、CH2F2系のプラズマエッチングを適用することができる。
なお、上記図3(b)及び図3(c)に示す工程では、第2のハードマスク18が30〜80nm程度残存するように、エッチング条件を適宜制御することが望ましい。
次いで、ウェット洗浄後、バリアメタル及びCuシードをスパッタ法により堆積し、Cuメッキを行う。これにより、ビアホール32及び配線トレンチ42をバリアメタル44及びCu膜46により埋め込む(図3(d))。
次いで、Cu膜46及びバリアメタル44を、第1のハードマスク16が露出するまでCMP法により研磨し、Cu膜46及びバリアメタル44をビアホール32内及び配線トレンチ42内に選択的に残存させる。こうして、ビアホール32内及び配線トレンチ42内に、バリアメタル44及びCu膜46よりなり、配線層10に接続された配線層48を形成する(図3(e))。
ここで、第2のハードマスク18は、Cu膜46及びバリアメタル44の研磨の際、CMPの犠牲膜として用いることができる。これにより、配線層48がビアホール32及び配線トレンチ42以外の領域に残存することを防止するとともに、CMPによる研磨を第1のハードマスク16上において容易に停止することができる。
次いで、ウェット洗浄を行った後、バリア層50等の上層の層間膜を形成する(図3(f))。
こうして、デュアルダマシン法により、ポーラスシリカ膜よりなる層間絶縁膜14に埋め込まれた配線層48を形成する。
次に、上述のデュアルダマシンプロセスを適用する場合における第1乃至第4のハードマスク16〜22の膜厚決定方法について説明する。
第1のハードマスク16は、図3(a)に示す工程において、第2のハードマスク18に配線トレンチ42を開口する際にエッチングを停止するためのストッパ層として及び層間絶縁膜14にビアホール32を形成する際のマスクとして用いられる。また、図3(e)に示す工程において、CMPを停止するためのストッパ層として用いられる。したがって、第1のハードマスク16の膜厚はかかる観点から決定される。第1のハードマスク16をSiC膜により構成する場合、CMPのマージンに基づき、例えば30〜50nm程度の膜厚に設定することが望ましい。
第2のハードマスク18は、図3(c)に示す工程において、層間絶縁膜14に配線トレンチ42を形成する際及びバリア層12にビアホール32を開口する際に、マスクとして用いられる。また、図3(e)に示す工程において、配線層48形成の際にCMPの犠牲膜としても用いられる。したがって、第2のハードマスク18の膜厚は、層間絶縁膜14及びバリア層12に対するエッチング選択比、配線トレンチ42の深さ、バリア層12の膜厚、犠牲膜として残存させる膜厚により決定される。
バリア層12を膜厚30nmのSiC膜により構成し、第2のハードマスク18をシリコン酸化膜により構成する場合、SiCのシリコン酸化膜に対する選択比(SiC/SiO)は約2.0であることから、図3(e)の工程においてバリア層12にビアホール32を形成する過程で第2のハードマスク18は約15nmエッチングされることとなる。したがって、犠牲膜として残存させる第2のハードマスク18の膜厚を30〜80nmとすると、ビアホール32内のバリア層12を除去する直前における第2のハードマスク18の膜厚は、45〜95nmにする必要がある。
犠牲膜として残存させる第2のハードマスク18の膜厚は、第2のハードマスク18のエッチングの際に第1のハードマスク16が露出してエッチングされることの無いように、適宜設定する。すなわち、例えば図4(a)に示すように、第2のハードマスク18のエッチングの際には、第2のハードマスク18の肩部が過剰にエッチングされて薄膜化(肩落ち)するが、この肩落ちによって下層の第1のハードマスク16をもエッチングされることの無いように、第2のハードマスク18の膜厚を設定する必要がある。かかる観点から、残存させる第2のハードマスク18の膜厚は、30〜80nmにすることが望ましい。
層間絶縁膜14がポーラスシリカ膜よりなり、配線トレンチ42の深さが150nmであるとすると、ポーラスシリカのシリコン酸化膜に対する選択比(Porous/SiO)は約2.0であることから、図3(e)の工程において層間絶縁膜14に配線トレンチ42を形成する過程で、第2のハードマスク18は約75nmエッチングされることとなる。
したがって、層間絶縁膜14に配線トレンチ42を形成する直前における第2のハードマスク18の膜厚は、120〜170nmにする必要がある。この膜厚が、第2のハードマスク18を形成する際に設定する膜厚となる。
すなわち、第2のハードマスク18の膜厚t2は、バリア層12に対する選択比(バリア層/第2のハードマスク)をA、バリア層の膜厚をB、層間絶縁膜14に対する選択比(層間絶縁膜/第2のハードマスク)をC、配線トレンチの深さをD、犠牲膜として残存させる膜厚をEとすると、
t2=B/A+D/C+E
と表すことができる。
第3のハードマスク20は、図3(a)に示す工程において第2のハードマスク18まで配線トレンチ42を開口する際及び図3(b)に示す工程において第1のハードマスク16まで配線トレンチ42を開口する際に、マスクとして用いられる。したがって、第3のハードマスク20の膜厚は、第1のハードマスク16及び第2のハードマスク18に対するエッチング選択比、第1のハードマスク16及び第2のハードマスク18の膜厚、第1のハードマスク16まで配線トレンチ42を開口した後における第3のハードマスク20の残し膜厚により決定される。
第1のハードマスク16が膜厚30nmのSiC膜により構成され、第3のハードマスク20がシリコン窒化膜により構成されているとすると、SiCのシリコン窒化膜に対する選択比は約1.5であることから、図3(b)に示す工程において第1のハードマスク16を除去する過程で、第3のハードマスク20は約20nmエッチングされることとなる。第3のハードマスク20は、図3(b)に示す工程においてすべて除去されてもよいし、20nm程度残存してもよいので、図3(b)に示す工程において第1のハードマスク16を除去する直前における第3のハードマスク20の膜厚は、20〜40nmにする必要がある。
第2のハードマスク18が、先に決定したように120nm〜170nmのシリコン酸化膜により構成されているとすると、シリコン酸化膜のシリコン窒化膜に対する選択比は約4.0であることから、図3(a)において第2のハードマスク18まで配線トレンチ42を開口する過程で、第3のハードマスク20は約30〜42.5nmエッチングされることとなる。
したがって、第2のハードマスク18まで配線トレンチ42を開口する直前における第3のハードマスク20の膜厚は、50〜82.5nmにする必要がある。この膜厚が、第3のハードマスク20を形成する際に設定する膜厚となる。
すなわち、第3のハードマスク20の膜厚t3は、第1のハードマスク16に対する選択比(第1のハードマスク/第3のハードマスク)をF、第1のハードマスク16の膜厚をt1、第2のハードマスク18に対する選択比(第2のハードマスク/第3のハードマスク)をG、第2のハードマスク18の膜厚をt2、残し膜厚をHとすると、
t3=t1/F+t2/G+H
と表すことができる。
なお、第3のハードマスク20の上限膜厚は、図2(b)に示す工程において第4のハードマスク22及び第3のハードマスク20をエッチングする際のArFレジスト膜38及び有機系反射防止膜36の膜厚及び選択比によって規定される。
図4(b)に示す構造において、ArFレジスト膜38の膜厚が250nmであり、有機系反射防止膜36の膜厚が80nmでArFレジスト膜38に対する選択比が0.9であり、第4のハードマスク22の膜厚が30nmで有機系反射防止膜36及びArFレジスト膜38に対する選択比が1.4であると仮定すると、有機系反射防止膜36及び第4のハードマスク22のエッチング過程で、ArFレジスト膜38は、それぞれ89nm及び21nmづつエッチングされる。図4(c)に示すようにArFレジスト膜38の肩落ちを考慮してArFレジスト膜38の残し膜厚を50nmに設定したと仮定すると、第3のハードマスク20のエッチング過程で許容されるArFレジスト膜38のエッチング量は90nmとなる。したがって、第3のハードマスク20の有機系反射防止膜36及びArFレジスト膜38に対する選択比が約1.0であることから、第3のハードマスク20の上限膜厚は90nmに設定する必要がある。
第4のハードマスク22は、図2(d)に示す工程においてビアホール32を第1のハードマスク16まで開口する際に、マスクとして用いられる。したがって、第4のハードマスク22の膜厚は、第1のハードマスク16に対するエッチング選択比、第1のハードマスク16の膜厚、第1のハードマスク16までビアホール32を開口した後における第4のハードマスク22の残し膜厚により決定される。
第1のハードマスク16が膜厚30nmのSiC膜により構成され、第4のハードマスク22がシリコン酸化膜により構成されているとすると、SiCのシリコン酸化膜に対する選択比は約2.0であることから、図2(d)に示す工程において第1のハードマスク16を除去する過程で、第4のハードマスク22は約15nmエッチングされることとなる。また、第1のハードマスク16を除去した後における第4のハードマスク22の残し膜厚は5〜20nm程度にする必要がある。
したがって、第1のハードマスク16までビアホール32を開口する直前における第4のハードマスク22の膜厚は、20〜35nmにする必要がある。この膜厚が、第4のハードマスク22を形成する際に設定する膜厚となる。
すなわち、第4のハードマスク22の膜厚t4は、第1のハードマスク16に対する選択比(第1のハードマスク/第4のハードマスク)をI、第1のハードマスク16の膜厚をt1、残し膜厚をJとすると、
t4=G/F+t2/H+I
と表すことができる。
このようにして第1乃至第4のハードマスクの膜厚を設定することにより、加工マージンを十分に確保しつつ上記デュアルダマシンプロセスにより埋め込み配線層を形成することができる。
但し、ハードマスク及び層間絶縁膜を構成する材料間の選択比は、ハードマスク材料やその成膜条件、エッチング条件等、種々の要因により変化するものである。したがって、ハードマスク各層の膜厚は、上記手法に基づき、適宜設定する必要がある。
このように、本実施形態によれば、第1乃至第4のハードマスクの膜厚を上記手法により決定し、上述の製造プロセスに基づきビアホール及び配線トレンチを形成するので、ポーラスシリカ膜などの無機系低誘電率材料を用いた層間絶縁膜にデュアルダマシンプロセスを適用する場合にも、加工マージンを十分に確保することができる。
また、ハードマスクのビア加工部に樹脂埋め込みを行い、その後に配線トレンチ部の露光を行うので、本実施形態のようにハードマスクを厚膜化した場合にも露光表面が平坦になり、またビア部からの露光光の反射光が樹脂による吸収で小さくなるため、露光マージンを十分に確保することができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による半導体装置の製造方法について図5を用いて説明する。なお、図1乃至図4に示す第1実施形態による半導体装置及びその製造方法と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡略にする。
図5は本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
本実施形態では、層間絶縁膜が中間ストッパ層を有する構造に本発明を適用した一例を示す。
まず、配線層10が形成された基板(図示せず)上に、例えばプラズマCVD法により、例えば膜厚30nmのシリコン窒化膜を堆積する。これにより、シリコン窒化膜よりなるバリア層12を形成する。
次いで、例えばシロキサンポリマ溶液をスピンコートして400℃程度のベークを行うことにより、バリア層12上に、例えば膜厚150nmのポーラスシリカ膜を形成する。これにより、ポーラスシリカ膜よりなる層間絶縁膜14aを形成する。
次いで、層間絶縁膜14a上に、例えばプラズマCVD法により、例えば膜厚30nmのSiC膜よりなる中間ストッパ層14bを形成する。
次いで、例えばシロキサンポリマ溶液をスピンコートして400℃程度のベークを行うことにより、中間ストッパ層14b上に、例えば膜厚150nmのポーラスシリカ膜を形成する。これにより、ポーラスシリカ膜よりなる層間絶縁膜14cを形成する。
こうして、ポーラスシリカ膜/中間ストッパ層/ポーラスシリカ膜の3層構造よりなる層間絶縁膜14を形成する。
次いで、図1(a)乃至図2(c)に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、第1乃至第4のハードマスク16〜22等を形成後、ビアホール32を第2のハードマスク18まで開口し、配線トレンチ42を第3のハードマスク20まで開口する(図5(a))。第1乃至第4のハードマスクの材料及び膜厚の決定方法は、第1実施形態の場合と同様である。
次いで、第2のハードマスク18をマスクとして第1のハードマスク16をエッチングし、ビアホール32を第1のハードマスク16まで開口する(図5(b))。SiC膜よりなる第1のハードマスク16のエッチングには、CH2F2/O2/N2系のプラズマエッチングを適用することができる。
次いで、第3のハードマスク20をマスクとして第2のハードマスク18をエッチングし、配線トレンチ42を第2のハードマスク18まで開口する。同時に、第1のハードマスク16をマスクとして層間絶縁膜14c及び中間ストッパ層14bをエッチングし、ビアホール32を中間ストッパ層14bまで開口する(図5(c))。シリコン酸化膜よりなる第2のハードマスク18及びポーラスシリカ膜よりなる層間絶縁膜14cのエッチングには、C4F6/O2/N2/Ar系のプラズマエッチング或いはCF4/CHF3系のプラズマエッチングを適用することができる。
次いで、第2のハードマスク18をマスクとして第1のハードマスク16をエッチングし、配線トレンチ42を第1のハードマスク16まで開口する。この際、ビアホール32底に露出している層間絶縁膜14aも僅かにエッチングされ、ビアホール32が層間絶縁膜14aの途中まで開口される(図5(d))。SiC膜よりなる第1のハードマスク16及びポーラスシリカ膜よりなる層間絶縁膜14aのエッチングには、CH2F2/O2/N2/Ar系のプラズマエッチングを適用することができる。
次いで、第2のハードマスク18をマスクとして層間絶縁膜14cをエッチングし、配線トレンチ42を層間絶縁膜14cまで開口するとともに、ビアホール32をバリア層12上まで開口する。ポーラスシリカ膜よりなる層間絶縁膜14cのエッチングには、CF4系のプラズマエッチングを適用することができる。
次いで、第2のハードマスク18をマスクとしてバリア層12及び中間ストッパ層14bをエッチングし、ビアホール32をバリア層14まで開口してビアホール32内に配線層10を露出するとともに、配線トレンチ42を中間ストッパ層14bまで開口する(図5(e))。SiC膜よりなるバリア層12及び中間ストッパ層14bのエッチングには、CH2F2系のプラズマエッチングを適用することができる。
なお、上記図5(d)及び図5(f)に示す工程では、第2のハードマスク18が、30〜80nm程度残存するように、エッチング条件を適宜制御することが望ましい。
この後、図3(d)乃至図3(f)に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、ビアホール32及び配線トレンチ42内に埋め込まれた配線層48等を形成する。
このように、本実施形態によれば、第1乃至第4のハードマスクの膜厚を上記手法により決定し、上述の製造プロセスに基づきビアホール及び配線トレンチを形成するので、ポーラスシリカ膜などの無機系低誘電率材料よりなり中間ストッパ層を有する層間絶縁膜にデュアルダマシンプロセスを適用する場合にも、加工マージンを十分に確保することができる。
また、ハードマスクのビア加工部に樹脂埋め込みを行い、その後に配線トレンチ部の露光を行うので、本実施形態のようにハードマスクを厚膜化した場合にも露光表面が平坦になり、またビア部からの露光光の反射光が樹脂による吸収で小さくなるため、露光マージンを十分に確保することができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による半導体装置の製造方法について図6を用いて説明する。なお、図1乃至図5に示す第1及び第2実施形態による半導体装置及びその製造方法と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡略にする。
図6は本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
本実施形態では、層間絶縁膜が異なる2つの低誘電率材料により構成されたハイブリッド構造に本発明を適用する一例を示す。ハイブリッド構造の層間絶縁膜を構成する場合、本実施形態に示すように、下層側(ビア部側)には強度の高い膜(例えばSiOC膜)を適用することが望ましく、上層側(配線トレンチ部側)には誘電率の低い膜(例えばポーラスシリカ膜)を適用することが望ましい。下層側に強度の高い膜を設けるのは実装時の強度を確保するためであり、上層側に誘電率の低い膜を設けるのは配線間の寄生容量が主に配線トレンチ側の層間絶縁膜の誘電率に影響を受けるからである。
まず、配線層10が形成された基板(図示せず)上に、例えばプラズマCVD法により、例えば膜厚30nmのシリコン窒化膜を堆積する。これにより、シリコン窒化膜よりなるバリア層12を形成する。
次いで、バリア層12上に、例えばプラズマCVD法により、例えば膜厚150nmのSiOC膜を形成する。これにより、SiOC膜よりなる層間絶縁膜14dを形成する。
次いで、例えばシロキサンポリマ溶液をスピンコートして400℃程度のベークを行うことにより、層間絶縁膜14d上に、例えば膜厚150nmのポーラスシリカ膜を形成する。これにより、ポーラスシリカ膜よりなる層間絶縁膜14eを形成する。
こうして、ポーラスシリカ膜/SiOC膜の2層構造よりなる層間絶縁膜14を形成する。
次いで、図1(a)乃至図2(c)に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、第1乃至第4のハードマスク16〜22等を形成後、ビアホール32を第2のハードマスク18まで開口し、配線トレンチ42を第3のハードマスク20まで開口する(図6(a))。第1乃至第4のハードマスクの材料及び膜厚の決定方法は、第1実施形態の場合と同様である。
次いで、第2のハードマスク18をマスクとして第1のハードマスク16をエッチングし、ビアホール32を第1のハードマスク16まで開口する。SiC膜よりなる第1のハードマスク16のエッチングには、CH2F2/O2/N2系のプラズマエッチングを適用することができる(図6(b))。
次いで、第3のハードマスク20をマスクとして第2のハードマスク18をエッチングし、配線トレンチ42を第2のハードマスク18まで開口する。同時に、第1のハードマスク16をマスクとして層間絶縁膜14eをエッチングし、ビアホール32を層間絶縁膜14eまで開口する(図6(c))。シリコン酸化膜よりなる第2のハードマスク18及びポーラスシリカ膜よりなる層間絶縁膜14eのエッチングには、C4F6/O2/N2/Ar系のプラズマエッチング或いはCF4/CHF3系のプラズマエッチングを適用することができる。
次いで、第2のハードマスク18をマスクとして第1のハードマスク16をエッチングし、配線トレンチ42を第1のハードマスク16まで開口する。この際、ビアホール32底に露出している層間絶縁膜14dも僅かにエッチングされ、ビアホール32が層間絶縁膜14dの途中まで開口される(図6(d))。SiC膜よりなる第1のハードマスク16のエッチングには、CH2F2/O2/N2/Ar系のプラズマエッチングを適用することができる。
次いで、第2のハードマスク18をマスクとして層間絶縁膜14eをエッチングし、配線トレンチ42を層間絶縁膜14eまで開口するとともに、ビアホール32をバリア層12上まで開口する。この際、ポーラスシリカ膜よりなる層間絶縁膜14e及びSiOC膜よりなる層間絶縁膜14dのエッチングには、CF4系のプラズマエッチングを適用することができる。CF4系(CF4+CHF3)のガスは、SiOC及びポーラスシリカの双方のエッチングに用いることができる。
次いで、第2のハードマスク18をマスクとしてバリア層12をエッチングし、ビアホール32内に配線層10を露出する(図6(e))。SiC膜よりなるバリア層12のエッチングには、CH2F2系のプラズマエッチングを適用することができる。
なお、上記図5(d)及び図5(f)に示す工程では、第2のハードマスク18が、30〜80nm程度残存するように、エッチング条件を適宜制御することが望ましい。
この後、図3(d)乃至図3(f)に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、ビアホール32及び配線トレンチ42内に埋め込まれた配線層48等を形成する。
このように、本実施形態によれば、第1乃至第4のハードマスクの膜厚を上記手法により決定し、上述の製造プロセスに基づきビアホール及び配線トレンチを形成するので、ポーラスシリカ膜などの無機系低誘電率材料を含むハイブリッド構造の層間絶縁膜にデュアルダマシンプロセスを適用する場合にも、加工マージンを十分に確保することができる。
また、ハードマスクのビア加工部に樹脂埋め込みを行い、その後に配線トレンチ部の露光を行うので、本実施形態のようにハードマスクを厚膜化した場合にも露光表面が平坦になり、またビア部からの露光光の反射光が樹脂による吸収で小さくなるため、露光マージンを十分に確保することができる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による半導体装置の製造方法について図7乃至図9を用いて説明する。なお、図1乃至図6に示す第1乃至第3実施形態による半導体装置及びその製造方法と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡略にする。
図7乃至図9は本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
はじめに、本実施形態による半導体装置の製造方法について図7乃至図9を用いて説明する。本実施形態による半導体装置の製造方法は、3層のハードマスクを用いたものである。第4のハードマスクを設ける代わりに第3のハードマスクの膜厚を厚くすることで、第3のハードマスクに第4のハードマスクの役割をも担わせている。
まず、配線層10が形成された基板(図示せず)上に、例えばプラズマCVD法により、例えば膜厚30nmのシリコン窒化膜を堆積する。これにより、シリコン窒化膜よりなるバリア層12を形成する。
次いで、例えばシロキサンポリマ溶液をスピンコートして400℃程度のベークを行うことにより、バリア層12上に、例えば膜厚350nmのポーラスシリカ膜を形成する。これにより、ポーラスシリカ膜よりなる層間絶縁膜14を形成する。
次いで、例えばプラズマCVD法により、例えば膜厚30nmのSiC膜と、例えば膜厚150nmのシリコン酸化膜と、例えば膜厚70nmのシリコン窒化膜とを成長する。これにより、SiC膜よりなる第1のハードマスク16と、シリコン酸化膜よりなる第2のハードマスク18と、シリコン窒化膜よりなる第3のハードマスク20とを形成する。
ここで、第1のハードマスク16及び第3のハードマスク20は、層間絶縁膜14に対してエッチング選択性を有する材料から選択する。第1のハードマスク16及び第3のハードマスク20は、エッチング特性がほぼ等しい材料により構成することが望ましい。また、第2のハードマスク18は、第1のハードマスク16、第3のハードマスク20に対してエッチング選択性を有する材料から選択する。なお、第1乃至第3のハードマスク16〜20の膜厚の決定方法については後述する。
次いで、第3のハードマスク20上に、例えばスピンコート法により、例えば膜厚300nmの樹脂膜24と、例えば膜厚80nmのSOG膜26と、例えば膜厚250nmのArFレジスト膜28とを順次堆積し、3層レジスト構造を形成する。
次いで、フォトリソグラフィーによりArFレジスト膜28をパターニングし、ビア部形成領域を露出する開口部30を形成する。
次いで、ArFレジスト膜28をマスクとしてSOG膜26をエッチングし、SOG膜26をマスクとして樹脂膜24をエッチングし、ArFレジスト膜28のパターンを樹脂膜24に転写する(図7(a))。SOG膜26のエッチングにはCF系のプラズマエッチングを、樹脂膜24のエッチングにはNH3系或いはH2/N2系のプラズマエッチングを用いることができる。
次いで、樹脂膜24をマスクとして第3のハードマスク20及び第2のハードマスク18を順次エッチングし、ビアホール32を第2のハードマスク18まで開口する。シリコン窒化膜よりなる第3のハードマスク20のエッチングにはCH2F2/O2/Ar系のプラズマエッチングを、シリコン酸化膜よりなる第2のハードマスク18のエッチングにはC4F6/O2/Ar系のプラズマエッチングを適用することができる。
次いで、アッシングにより、樹脂膜24を除去する(図7(b))。
次いで、ウェット洗浄後、例えばスピンコート法により、例えば膜厚1μmの樹脂膜34を形成する。樹脂膜34の塗布条件や膜厚は、ビアホール32内に樹脂膜34が埋め込まれ且つビアホール32上の領域が平坦になるように適宜制御する(図7(c))。
次いで、樹脂膜34を紫外光でキュアした後、例えば酸素プラズマを用いたドライエッチングにより樹脂膜34をエッチバックし、ウェーハ最表面の樹脂膜34を除去する(図7(d))。このとき、プラズマの発光等を観測して終点検出を行い、ビア部の窪みができるだけ小さく(50nm以下)なるようにエッチング時間を調整することが望ましい。
次いで、例えばスピンコート法により、有機系反射防止膜(BARC)36と、ArFレジスト膜38とを形成する。なお、有機系反射防止膜36は、ビア部の段差平坦化にも貢献する。
次いで、フォトリソグラフィーによりArFレジスト膜38をパターニングし、配線トレンチ部形成領域を露出する開口部40を形成する(図8(a))。
次いで、ArFレジスト膜38をマスクとして、有機系反射防止膜36、第3のハードマスク20をエッチングし、配線トレンチ42を第3のハードマスク20まで開口する(図8(b))。有機系反射防止膜36のエッチングには、CF4系のプラズマエッチングを適用することができる。また、シリコン窒化膜よりなる第3のハードマスク20のエッチングには、CF4系のプラズマエッチング或いはCH2F2/O2/Ar系のプラズマエッチングを適用することができる。第3のハードマスク20のエッチングは、有機系反射防止膜36及び樹脂膜34と同一のエッチングレートになるような条件で行うことが望ましい。
次いで、アッシングにより、ArFレジスト膜38、有機系反射防止膜36及び樹脂膜34を除去する(図8(c))。
次いで、第2のハードマスク18をマスクとして第1のハードマスク16をエッチングし、ビアホール32を第1のハードマスク16まで開口する。SiC膜よりなる第1のハードマスク16のエッチングには、CH2F2/O2/N2系のプラズマエッチングを適用することができる(図8(d))。なお、第3のハードマスク20は、第1のハードマスク16のエッチング後も残存するように、十分な膜厚に設定されている。
次いで、第3のハードマスク20をマスクとして第2のハードマスク18をエッチングし、配線トレンチ42を第2のハードマスク18まで開口する。同時に、第1のハードマスク16をマスクとして層間絶縁膜14をエッチングし、ビアホール32を層間絶縁膜14の途中まで開口する(図9(a))。シリコン酸化膜よりなる第2のハードマスク18及びポーラスシリカ膜よりなる層間絶縁膜14のエッチングには、C4F6/O2/N2/Ar系のプラズマエッチング或いはCF4/CHF3系のプラズマエッチングを適用することができる。
次いで、第2のハードマスク18をマスクとして第1のハードマスク16及び層間絶縁膜14をエッチングし、配線トレンチ42を第1のハードマスク16まで開口するとともに、ビアホール32を更に深くする(図9(b))。SiC膜よりなる第1のハードマスク16及びポーラスシリカ膜よりなる層間絶縁膜14のエッチングには、CH2F2/O2/N2/Ar系のプラズマエッチングを適用することができる。
なお、第2のハードマスク18上に第3のハードマスク20が残存している場合には、このエッチング工程において第3のハードマスク20も除去される。
次いで、第2のハードマスク18をマスクとして層間絶縁膜14をエッチングし、配線トレンチ42を層間絶縁膜14の途中まで開口するとともに、ビアホール32をバリア層12上まで開口する。ポーラスシリカ膜よりなる層間絶縁膜14のエッチングには、CF4系のプラズマエッチングを適用することができる。
次いで、第2のハードマスク18をマスクとしてバリア層12をエッチングし、ビアホール32をバリア層14まで開口し、ビアホール32内に配線層10を露出する(図9(c))。SiC膜よりなるバリア層12のエッチングには、CH2F2系のプラズマエッチングを適用することができる。
なお、上記図9(b)及び図9(c)に示す工程では、第2のハードマスク18が、30〜80nm程度残存するように、エッチング条件を適宜制御することが望ましい。
この後、図3(d)乃至図3(f)に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、ビアホール32及び配線トレンチ42内に埋め込まれた配線層48等を形成する。
次に、上述のデュアルダマシンプロセスを適用する場合における第1乃至第3のハードマスク16〜20の膜厚の決定方法について説明する。
第1のハードマスク16は、主として、図9(a)に示す工程において、第2のハードマスク18まで配線トレンチを開口する際のエッチングを停止するためのストッパ層として及び層間絶縁膜にビアホール32を形成する際のマスクとして用いるものである。したがって、第1のハードマスク16の膜厚はかかる観点から決定される。第1のハードマスク16をSiC膜により構成する場合、例えば30nm程度の膜厚に設定することができる。
第1のハードマスク16は、図9(a)に示す工程において、第2のハードマスク18に配線トレンチ42を開口する際にエッチングを停止するためのストッパ層として及び層間絶縁膜14にビアホール32を形成する際のマスクとして用いられる。また、配線トレンチ42及びビアホール32内に配線層を形成する際に、CMPを停止するためのストッパ層として用いられる。したがって、第1のハードマスク16の膜厚はかかる観点から決定される。第1のハードマスク16をSiC膜により構成する場合、CMPのマージンに基づき、例えば30〜50nm程度の膜厚に設定することが望ましい。
第2のハードマスク18は、図9(b)及び図9(c)に示す工程において層間絶縁膜14に配線トレンチ42を形成する際及びビアホール32内のバリア層12を除去する際に、マスクとして用いられる。また、配線層48をビアホール32及び配線トレンチ42内に埋め込む際に、CMPの犠牲膜としても用いられる。したがって、第2のハードマスク18の膜厚は、層間絶縁膜14及びバリア層12に対するエッチング選択比、配線トレンチ42の深さ、バリア層12の膜厚、犠牲膜として残存させる膜厚により決定される。
バリア層12が膜厚30nmのSiC膜により構成され、第2のハードマスク18がシリコン酸化膜により構成されているとすると、SiCのシリコン酸化膜に対する選択比(SiC/SiO)は約2.0であることから、図9(c)の工程においてビアホール32内のバリア層12を除去する過程で、第2のハードマスク18は約15nmエッチングされることとなる。したがって、犠牲膜として残存させる第2のハードマスク18の膜厚を30〜80nmとすると、ビアホール32内のバリア層12を除去する直前における第2のハードマスク18の膜厚は、45〜95nmにする必要がある。
層間絶縁膜14がポーラスシリカ膜よりなり、配線トレンチ42の深さが150nmであるとすると、ポーラスシリカのシリコン酸化膜に対する選択比(Porous/SiO)は約2.0であることから、図9(c)の工程において層間絶縁膜14に配線トレンチ42を形成する過程で、第2のハードマスク18は約75nmエッチングされることとなる。
したがって、層間絶縁膜14に配線トレンチ42を形成する直前における第2のハードマスク18の膜厚は、120〜170nmにする必要がある。この膜厚が、第2のハードマスク18を形成する際に設定する膜厚となる。
すなわち、第2のハードマスク18の膜厚t2は、バリア層12に対する選択比(バリア層/第2のハードマスク)をA、バリア層の膜厚をB、層間絶縁膜14に対する選択比(層間絶縁膜/第2のハードマスク)をC、配線トレンチの深さをD、犠牲膜として残存させる膜厚をEとすると、
t2=B/A+D/C+E
と表すことができる。
第3のハードマスク20は、図8(d)に示す工程において第1のハードマスク16にビアホール32を開口する際及び図9(a)及び図9(b)に示す工程において第2のハードマスク18及び第1のハードマスク16に配線トレンチ42を開口する際に、マスクとして用いられる。したがって、第3のハードマスク20の膜厚は、第1のハードマスク16及び第2のハードマスク18に対するエッチング選択比、第1のハードマスク16及び第2のハードマスク18の膜厚、第1のハードマスク16まで配線トレンチ42を開口した後における第3のハードマスク20の残し膜厚により決定される。
第1のハードマスク16が膜厚30nmのSiC膜により構成され、第3のハードマスク20がシリコン窒化膜により構成されているとすると、SiCのシリコン窒化膜に対する選択比は約1.5であることから、図9(b)に示す工程において第1のハードマスク16を除去する過程で、第3のハードマスク20は約20nmエッチングされることとなる。第3のハードマスク20は、図9(b)に示す工程においてすべて除去されてもよいし、20nm程度残存してもよいので、図9(b)に示す工程において第1のハードマスク16を除去する直前における第3のハードマスク20の膜厚は、20〜40nmにする必要がある。
第2のハードマスク18が、先に決定したように120nm〜170nmのシリコン酸化膜により構成されているとすると、シリコン酸化膜のシリコン窒化膜に対する選択比は約4.0であることから、図9(a)において第2のハードマスク18に配線トレンチ42を開口する過程で、第3のハードマスク20は約30〜42.5nmエッチングされることとなる。したがって、第2のハードマスク18に配線トレンチ42を開口する直前における第3のハードマスク20の膜厚は、50〜82.5nmにする必要がある。
第1のハードマスク16が膜厚30nmのSiC膜により構成され、第3のハードマスク20がシリコン窒化膜により構成されているとすると、SiCのシリコン窒化膜に対する選択比は約1.0であることから、図8(d)に示す工程において第1のハードマスク16にビアホール32を形成する過程で、第3のハードマスク20は約30nmエッチングされることとなる。
したがって、第1のハードマスク16にビアホール32を開口する直前における第3のハードマスク20の膜厚は、80〜112.5nmにする必要がある。この膜厚が、第3のハードマスク20を形成する際に設定する膜厚となる。
すなわち、第3のハードマスク20の膜厚t3は、図9(b)の工程における第1のハードマスク16に対する選択比(第1のハードマスク/第3のハードマスク)をF、図8(d)の工程における第1のハードマスク16に対する選択比(第1のハードマスク/第3のハードマスク)をG、第1のハードマスク16の膜厚をt1、第2のハードマスク18に対する選択比(第2のハードマスク/第3のハードマスク)をH、第2のハードマスク18の膜厚をt2、残し膜厚をIとすると、
t3=t1/F+t1/G+t2/H+I
と表すことができる。
なお、第3のハードマスク20の上限膜厚は、図8(b)に示す工程において第3のハードマスク20をエッチングする際のArFレジスト膜38及び有機系反射防止膜36の膜厚及び選択比によって規定される。
ArFレジスト膜38の膜厚が250nmであり、有機系反射防止膜36の膜厚が80nmでArFレジスト膜38に対する選択比が0.9であり、第3のハードマスク20の有機系反射防止膜36及びArFレジスト膜38に対する選択比が1.0であると仮定すると、有機系反射防止膜36のエッチング過程で、ArFレジスト膜38は89nmエッチングされる。ArFレジスト膜38の肩落ちを考慮してArFレジスト膜38の残し膜厚を50nmに設定したと仮定すると、第3のハードマスク20のエッチング過程で許容されるArFレジスト膜38のエッチング量は111nmとなる。したがって、第3のハードマスク20の有機系反射防止膜36及びArFレジスト膜38に対する選択比が約1.0であることから、第3のハードマスク20の上限膜厚は111nmに設定する必要がある。
但し、ハードマスク及び層間絶縁膜を構成する材料間の選択比は、ハードマスク材料やその成膜条件、エッチング条件等、種々の要因により変化するものである。したがって、ハードマスク各層の膜厚は、上記手法に基づき、適宜設定する必要がある。
このように、本実施形態によれば、第1乃至第3のハードマスクの膜厚を上記手法により決定し、上述の製造プロセスに基づきビアホール32及び配線トレンチ42を形成するので、ポーラスシリカ膜などの無機系低誘電率材料を用いた層間絶縁膜にデュアルダマシンプロセスを適用する場合にも、加工マージンを十分に確保することができる。
また、ハードマスクのビア加工部に樹脂埋め込みを行い、その後に配線トレンチ部の露光を行うので、露光表面が平坦になり、またビア部からの露光光の反射光が樹脂による吸収で小さくなるため、露光マージンを十分に確保することができる。
[変形実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記第1乃至第4実施形態では、第1のハードマスクとしてSiC膜を、第2のハードマスクとしてシリコン酸化膜を、第3のハードマスクとしてシリコン窒化膜又はSiC膜を、第4のハードマスクとしてシリコン酸化膜を適用したが、ハードマスクとして適用可能な材料はこれに限定されるものではない。これらハードマスク間のエッチング特性の関係が上述した関係にある材料であれば、他の材料系を適用することもできる。
また、上記第4実施形態では、ポーラスシリカ膜よりなる層間絶縁膜に三層構造のハードマスクを用いてビアホール及び配線トレンチを形成する方法を示したが、第2実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、中間ストッパ層を有する層間絶縁膜に適用することもできる。また、第3実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、ハイブリッド構造の層間絶縁膜に適用することもできる。
また、上記第1乃至第4実施形態では、層間絶縁膜を構成する無機系絶縁材料としてポーラスシリカ膜を例に挙げて説明したが、ポーラスSiOC膜、ポーラスSiOCN膜等の他の無機系絶縁材料を用いる場合にも、本発明を適用することができる。また、ダウ・ケミカル社製の有機系ポリマーSiLK(登録商標)、ハネウェル社製の有機系ポリマーFLARE(登録商標)等の有機系絶縁材料により層間絶縁膜を構成する場合にも、本発明の方法を適用することができる。
以上詳述した通り、本発明の特徴をまとめると以下の通りとなる。
(付記1) 基板上に、無機系の低誘電率膜を含む絶縁膜を形成する第1の工程と、
前記絶縁膜上に、隣接する膜のエッチング特性が互いに異なる第1乃至第3のマスクを順次形成する第2の工程と、
ビア形成領域の前記第3のマスク及び前記第2のマスクを除去する第3の工程と、
配線トレンチ形成領域の前記第3のマスクを除去する第4の工程と、
前記第2のマスクをマスクとして前記第1のマスクをエッチングし、前記ビア形成領域の前記第1のマスクを除去する第5の工程と、
前記第3のマスクをマスクとして前記第2のマスクをエッチングし、前記配線トレンチ形成領域の前記第2のマスクを除去するとともに、前記第1のマスクをマスクとして前記ビア形成領域の前記絶縁膜をエッチングし、ビアホールを前記絶縁膜の途中まで開口する第6の工程と、
前記第2のマスクをマスクとして前記第1のマスクをエッチングし、前記配線トレンチ形成領域の前記第1のマスクを除去する第7の工程と、
前記第2のマスクをマスクとして前記絶縁膜をエッチングし、前記配線トレンチ形成領域の前記絶縁膜に配線トレンチを形成するとともに、前記ビアホールを前記基板まで開口する第8の工程と、
前記ビアホール内及び前記配線トレンチ内に導電層を形成する第9の工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記2) 付記1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第3の工程と前記第4の工程との間に、前記第3のマスク及び前記第2のマスクを除去することにより形成された前記ビア形成領域の凹部に埋め込み材を充填して表面を平坦化する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記3) 付記1又は2記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2のマスクの膜厚は、前記絶縁膜の膜厚、前記絶縁膜に対するエッチング選択比及び前記配線トレンチの深さに基づいて設定する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記4) 付記1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記配線トレンチ及び前記ビアホールの形成後に前記第2のマスクが残存するように、前記第2のマスクの膜厚を設定する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記5) 付記4記載の半導体装置の製造方法において、
前記第9の工程では、前記第2のマスクを犠牲膜とし、前記第1のマスクが露出するまで前記導電層を研磨する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記6) 付記1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の工程では、前記第3のマスク上に、前記第3のマスクとエッチング特性が異なる第4のマスクを更に形成し、
前記第5の工程では、前記第1のマスクの除去の際に前記第4のマスクにより前記第3のマスクを保護する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記7) 付記6記載の半導体装置の製造方法において、
前記第4のマスクは、シリコン酸化膜である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記8) 付記1乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のマスクは、SiC膜であり、
前記第2のマスクは、シリコン酸化膜であり、
前記第3のマスクは、シリコン窒化膜又はSiC膜である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記9) 付記1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の工程は、前記基板上に、ポーラスシリカ又はポーラスSiOCよりなる前記低誘電率膜を形成する工程を有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記10) 付記1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の工程は、前記基板上に第1の低誘電率膜を形成する工程と、前記第1の低誘電率膜上に中間ストッパ層を形成する工程と、前記中間ストッパ層上に第2の低誘電率膜を形成する工程とを有し、
前記第8の工程では、前記第1の低誘電率膜に前記ビアホールを形成し、前記第2の低誘電率膜に前記配線トレンチを形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記11) 付記1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の工程は、前記基板上に第1の低誘電率材料よりなる第1の低誘電率膜を形成する工程と、前記第1の低誘電率膜上に前記第1の低誘電率材料と異なる第2の低誘電率材料よりなる第2の低誘電率膜を形成する工程とを有し、
前記第8の工程では、前記第1の低誘電率膜に前記ビアホールを形成し、前記第2の低誘電率膜に前記配線トレンチを形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記12) 付記10又は11記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の低誘電率膜は、ポーラスシリカ膜又はポーラスSiOC膜である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記13) 付記10乃至12のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の低誘電率膜の強度は、前記第2の低誘電率膜の強度よりも高い
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記14) 付記13記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の低誘電率膜は、SiOC膜である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記15) 付記1乃至14のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記絶縁膜を形成する工程は、前記基板と前記低誘電率膜との間にバリア層を有する前記絶縁膜を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。