以下、図面を参照しつつ、本発明に係る遊技機を第1種パチンコ機として具現化した実施の形態について説明する。図1及び図2において、1は遊技機本体で、開閉自在に枢着された前枠2を有する。前枠2には、その窓孔3に対応して遊技盤4が裏側から着脱自在に装着され、この遊技盤4の前面側にガラス扉5と前面板6とが開閉自在に配置されている。前面板6には、発射用の遊技球を貯留する上皿7が装着されている。また、前枠2の下部には、余剰球を貯留する下皿8と発射手段9とが各々設けられている。この発射手段9は、回動操作可能な発射ハンドル10と、この発射ハンドル10の回動角度に応じた打撃力で打撃槌26(図3参照)により遊技球を発射させる発射モータ27(図10参照)などにより構成されている。
遊技盤4には、図2に示すように、ガイドレール11がほぼ環状に装着されると共に、そのガイドレール11の内側の遊技領域12には、液晶表示手段13、始動用の可変式入賞手段(図柄始動手段)14、開閉式入賞手段(大入賞手段)15、普通入賞手段16〜19、通過ゲート20等の遊技部品が配置されている。
液晶表示手段13は、遊技者に対して通常の遊技画像等の遊技情報を表示する他、変動図柄を表示する図柄表示手段21を兼用している。図柄表示手段21は1個以上、例えば複数個(図2では左右方向に3個)の図柄表示部21aを備え、可変式入賞手段(図柄始動手段)14に遊技球が入賞することを条件に、各図柄表示部21aの表示図柄が乱数制御により所定時間だけ変動して停止するように構成されている。
また、液晶表示手段13には、その上部に普通入賞手段16と第2図柄表示手段22とが設けられている。第2図柄表示手段22は、1個の図柄表示部を有し、通過ゲート20が遊技球の通過を検知することを条件に、その図柄表示部の表示図柄が乱数制御により所定時間だけ変動して停止するように構成されている。
可変式入賞手段(図柄始動手段)14は、開閉自在な左右一対の開閉爪23を備えた電動式チューリップ等であって、第2図柄表示手段22の変動後の停止図柄が所定の当たり図柄を表示したときに、開閉爪23が所定時間開放するように構成されている。
開閉式入賞手段15は、遊技者に有利な開状態と不利な閉状態との間で開閉自在な開閉板24を備え、図柄表示手段21の変動後の停止図柄が例えば「3・3・3」、「5・5・5」、「7・7・7」等の大当たり図柄のときに、開閉板24が前側に開放するように構成されている。開閉式入賞手段15内には特定領域25が設けられており、この特定領域25を入賞球が通過したときに、いわゆる大当たりによる特定状態を継続させるようになっている。この開閉式入賞手段15は、開放後に所定時間が経過したとき、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞したときに開閉板24が閉じると共に、遊技球が特定領域25を通過することを条件に、最大所定回数(例えば16回)まで開閉動作を繰り返すようになっている。開閉式入賞手段15の左右両側には、1個又は複数個(例えば2個)の普通入賞手段18,19が設けられている。
また、図3及び図4に示すように、前枠2の裏側には、遊技盤4を裏側から押さえて固定する裏機構板30が着脱自在に装着されている。この裏機構板30の略中央部分には開口部30aが形成され、その上側には賞球タンク33とこれに接続されたタンクレール34とが、側部にはタンクレール34に接続された払出し装置35が、下側には払出し装置35に接続された払出し球誘導路36がそれぞれ設けられている。賞球タンク33からタンクレール34を経由して払出し装置35から払い出された遊技球は、払出し球誘導路36を経由して上皿排出口7aから上皿7に排出される。
裏機構板30の開口部30aには、遊技盤4の裏側に装着された裏カバー37が嵌合されている。この裏カバー37には、基板ケース38,41a,41bが装着されている。これら基板ケース38,41a,41b内には、それぞれ主制御基板39、ランプ制御基板42、サウンド制御基板43が配設されており、更に基板ケース38の前側の裏カバー37内には、図柄制御基板40が配設されている。
基板ケース41a,41bの下方の裏機構板30上には、基板ケース44,45が互いに隣接して装着されており、基板ケース44内には電源基板46が、基板ケース45内には払出し制御基板47がそれぞれ配設されている。また、発射手段9の後側に装着された基板ケース48内には、発射制御基板49が設けられている。
電源基板46を格納する基板ケース44には、図5に示すように、3つの凹部44a,44b,44cが形成されている。凹部44b,44cには、電源基板46上に取り付けられた各種コネクタ91を露出させる開口部92が形成されている。また、凹部44aには、電源基板46上に取り付けられた電源スイッチ80、初期化スイッチ85、及びヒューズ86の頭部をそれぞれ露出させる開口部93,94,95が形成されている。
電源スイッチ80は、例えば手動操作が可能な押しボタン式スイッチよりなり、押圧操作を行う毎にオン/オフが切り替わる自己保持可能な構成となっている。例えば、電源スイッチ80は、押しボタン80aが開口部93から突出した状態(図7に実線で示す)がオフ状態であり、この状態から押しボタン80aを開口部93内に押し込むとオン状態(図7に破線で示す)となって押しボタン80aがその位置で保持され、更にこの状態から再度押しボタン80aを押し込むと上記オフ状態に戻るようになっている。
また、初期化スイッチ85は、手動操作が可能な押しボタン式スイッチであり、押圧されている間に限ってオン状態となる自己保持不可能な構成となっている。例えば、初期化スイッチ85は、押しボタン85aが開口部94の上面と略面一の状態(図9に破線で示す)がオフ状態であり、この状態から押しボタン85aを開口部94内に押し込むとオン状態(図9に実線で示す)となり、更にその状態から押しボタン85aの押圧を解除すると、初期化スイッチ85内の図示しないバネ部材の付勢力により押しボタン85aは上記オフ状態に戻されるようになっている。
また、図5及び図6に示すように、基板ケース44には、例えば凹部44aに、初期化スイッチ85のオン状態を保持可能なロック手段96が設けられている。ロック手段96は、例えば、枢軸101により基板ケース44上に枢着されているロック部材102と、該ロック部材102を係止する係止部材106とで構成されている。
ロック部材102は、図8及び図9に示すように、プラスチック等よりなる枢着部103及び押圧部104と、それら枢着部103と押圧部104とを接続し且つその中間部分に屈曲部105a(図8参照)を有する板バネ105とで構成されている。更に、押圧部104には、ロック部材102を初期化スイッチ85の位置まで回動させたときに押しボタン85aに対応する位置に、突起部104aが一体的に形成されている。ロック部材102は、図8に示すように、板バネ105が屈曲部105aにおいて押圧部104を凹部44aの上面から離間させる方向に屈曲されているため、突起部104aが凹部44aの上面と干渉することなく枢軸101回りにスムーズに回動できる。また、係止部材106は、図6に示すように、断面L字型で凹部44a上に一体的に取り付けられており、突起部104aによって初期化スイッチ85の押しボタン85aを押圧した状態で押圧部104を係止可能となっている(図9参照)。
ここで、ロック手段96では、ロック部材102の押圧部104を係止部材106に係止し、押圧部104の突起部104aで押しボタン85aを押圧保持している状態が「ロック状態」であり、この「ロック状態」にある間は初期化スイッチ85のオン状態が保持される。ロック手段96を「ロック状態」にする場合には、ロック部材102を図5の実線で示す位置から反時計回りに回動させ、初期化スイッチ85の位置で、押圧部104を板バネ105の付勢力に抗して押しボタン85aに押しつけつつ、押圧部104を係止部材106に係止すればよい(図5の破線の状態)。この「ロック状態」から、ロック部材102を時計回りに回動させて押圧部104を係止部材106から外し、押圧部104による押しボタン85aの押圧を解除した状態が「アンロック状態」であり、この「アンロック状態」にある間は初期化スイッチ85はオフ状態となる。
以上のように、制御基板39,40,42,43,46,47,49は各々別個の専用基板であり、電源基板46と発射制御基板49とを除く制御基板39,40,42,43,47には、CPU、ROM、RAM等を有する1チップ型集積回路よりなるマイクロコンピュータ(以下、マイコンと略称する)39a,40a,42a,43a,47aが各々設けられている(図11参照)。主制御基板39とその他の制御基板40,42,43,47とは、複数本の信号線とコネクタとを介して電気的に接続され、主制御基板39から各制御基板40,42,43,47に対して、所定の遊技動作を実行させる種々の制御コマンドを一方向通信にて送信可能となっている。
次に、当該パチンコ機上で実現される種々の機能について、図10の機能ブロック図を参照しつつ説明する。尚、これらの機能は、上述したマイコン等が、当該パチンコ機の制御装置に予め格納されている複数の制御プログラムに従って動作することによって実現される。
主制御基板39上には主制御手段50が構成される。この主制御手段50は、遊技盤4に設けられた種々の遊技部品や遊技球検出スイッチ等に対する信号の入出力制御、いわゆる遊技盤4の遊技制御を主として司ると共に、後述する図柄制御手段60、払出し制御手段70、ランプ制御手段71、サウンド制御手段72等の副制御手段に対して、必要に応じて制御コマンドを送信する。
主制御基板39に設けられたマイコン39aのROMには、遊技制御プログラム(図12参照)、バックアップ制御プログラム、遊技復帰制御プログラム等が格納されている。ここで、遊技制御プログラムは、主に遊技盤4の遊技動作を制御するものであり、バックアップ制御プログラムは、停電発生時や電源スイッチ80のオフ操作により電力供給が停止されるときに、大当たり状態であることを示す情報等、所定の遊技状態に関連する遊技情報をRAM39b(図11参照)内のバックアップ記憶エリア内に記憶させる制御を行うものであり、遊技復帰制御プログラムは、停電からの復帰時等に記憶保持していた遊技情報に基づいて遊技制御を再開させる制御を行うものである。
ここで、上述した所定の遊技状態に関連する遊技情報等を格納するRAM39b(図11参照)は、揮発性記憶媒体により構成されているが、バックアップ電源84に接続されているため、停電後においても格納されている遊技情報等が失われることはない。尚、RAM39bとして不揮発性記憶媒体を用いてもよい。
また、主制御手段50は、抽選手段51、判定手段52、特別遊技発生手段53、確率変動手段54、コマンド送信手段55等を備えている。抽選手段51は、抽選用カウンタを用いて所定の範囲内(例えば0〜255)で微少時間(例えば4msec)毎に1を加算し、可変式入賞手段14に遊技球が入賞したときの数値を抽出し、判定手段52に出力する。判定手段52は、可変式入賞手段14に遊技球が入賞したときに抽選手段51から出力される数値と、予め定められた特定数値とに基づいて、遊技者に有利な状態である「大当たり」と、遊技者に不利な状態である「はずれ」のいずれであるかを判定する。例えば、その抽選された数値が予め定められた特定数値「71」のときに「大当たり」であると判定し、それ以外の数値のときに「はずれ」であると判定する。
特別遊技発生手段53は、遊技者に利益状態を与える特別遊技を実行するものであり、例えば、判定手段52から「大当たり」の特別判定結果を受けた場合に、遊技制御プログラムに含まれる所定の特別遊技発生ルーチンにより開閉式入賞手段15の開閉板24を上述したように作動させる。確率変動手段54は、所定の条件下で「大当たり」となる確率を高くするものであり、例えば、判定手段52から「大当たり」の特別判定結果を受けた場合に、その「大当たり」について「確率変動型」と「非確率変動型」のいずれかを抽選により決定し、その結果、確率変動型となった場合には、次回或いは次々回の大当たりまで、或いは所定回数図柄が変動するまで、抽選手段51において大当たりを抽選する際に用いる特定数値の数を通常よりも多くし、「大当たり」となる確率を高くする。
コマンド送信手段55は、後述する図柄制御手段60、払出し制御手段70、ランプ制御手段71、サウンド制御手段72等に対して制御コマンドを送信する。例えば、判定手段52から判定結果を受け、図柄の変動に際しては図柄制御コマンド(当たりはずれデータ、変動時間データ等を含む2バイト構成)を図柄制御手段60に送信し、球技球の払出しに際しては払出し制御コマンド(払出し個数データを含む2バイト構成)を払出し制御手段70に送信する。ここで、当たりはずれデータは「確率変動型大当たり」、「非確率変動型大当たり」、「はずれ」のいずれかのデータからなり、変動時間データは図柄変動に要する時間(例えば40秒、60秒等)を規定するデータである。また、払出し個数データは、5個、10個等の遊技球の払出し個数を指定するデータである。また、コマンド送信手段55は、ランプ群74の点灯に際しては、ランプ制御コマンド(2バイト構成)をランプ制御手段71に送信し、スピーカSPによる効果音出力に際してはサウンド制御コマンド(2バイト構成)をサウンド制御手段72に送信する。
また、図柄制御基板40上には図柄制御手段60が構成される。この図柄制御手段60は、主制御手段50から送信される図柄制御コマンドに基づいて、液晶表示手段13に種々の動画や背景画を表示させる表示制御を実行したり、或いは停止図柄決定手段61により図柄表示部21aの図柄の変動を制御して指示された停止図柄で変動を停止させる等の制御を行う。ここで、停止図柄決定手段61は、例えば変動パターンテーブルに「確率変動型大当たり」、「非確率変動型大当たり」、「はずれリーチ」、「はずれノーマル」の各々について複数のパターンデータが記憶されており、図柄制御コマンドに含まれる「当たりはずれデータ」に基づいて、それぞれ該当する大当たりパターン又ははずれパターンのうちのいずれかを抽選により決定する。
払出し制御基板47上には払出し制御手段70が構成される。この払出し制御手段70は、主制御手段50から送信される払出しコマンドに基づいて、払出し装置35による遊技球の払出しを制御する。払出し制御基板47に設けられたマイコン47aのROM(図11参照)には、主に遊技球の払出しを制御する払出し制御プログラム、停電発生時や電源スイッチ80のオフ操作により電力供給が停止されるときに、遊技球の払出しを指示する情報等、所定の遊技状態に関連する払出し情報をRAM47bに記憶させるバックアップ制御プログラム、停電からの復帰時等に記憶保持していた払出し情報に基づいて払出し制御を再開させる払出し復帰制御プログラム等が格納されている。
ここで、上述した所定の遊技状態に関連する払出し情報等を格納するRAM47bは、揮発性記憶媒体により構成されているが、バックアップ電源84に接続されているため、停電後においても格納されている遊技情報等が失われることはない。尚、RAM39bとして不揮発性記憶媒体を用いてもよい。
また、ランプ制御基板42上にはランプ制御手段71が、サウンド制御基板43上にはサウンド制御手段72が、発射制御基板49上には発射制御手段73がそれぞれ構成されている。ランプ制御手段71は、主制御手段50から送信されるランプ制御コマンドに基づいて、遊技盤4等に設けられた多数のランプを含むランプ群74の点灯制御を行う。サウンド制御手段72は、主制御手段50から送信されるサウンド制御コマンドに基づいて、スピーカSPから出力する各種効果音等のためのサウンド制御を行う。また、発射制御手段73は、発射モータ27の駆動による遊技球の発射制御を行う。
電源基板46上には電源手段79が構成される。この電源手段79は、複数の制御基板39,40,42,43,47の各々に電力(直流電圧)を供給するもので、図11に示すように、電源スイッチ80、電源供給部81、リセット信号出力部83、バックアップ電源84等を備えている。
電源供給部81は、電源スイッチ80を介して変圧トランス90から供給されるAC24VからDC32Vを生成すると共に、サウンド出力やランプ点灯に用いるDC12V、制御手段50,60,70〜72等のマイコンに供給するDC5V等を生成し、これらの直流を制御基板39,40,42,43,47等に供給する。ここで、変圧トランス90は、例えば遊技ホールに設置された各島構造体毎に設けられており、低圧の交流電圧を複数(例えば5台)のパチンコ機に各々供給する。
電源監視部82は、供給されたAC24Vを直取り込んで供給電圧を常時監視し、停電や電源スイッチ80のオフ操作により主電源が断たれるときに、電圧異常を示す電圧異常信号VSを、主制御基板39のマイコン39aの最優先割込みポートと、払出し制御基板47のマイコン47aの最優先割込みポートとにそれぞれ出力する。その結果、マイコン39aにおいては、主電源が断たれるときに、所定の弾球遊技に関連する遊技情報をRAM39bのバックアップ記憶エリアに記憶保持させるバックアップ制御が実行される。これと同時に、マイコン47aにおいても同様に、主電源が断たれるときに、未払いの遊技球数等の所定の遊技球払出しに関連する払出し情報をRAM47bのバックアップ記憶エリアに記憶保持させるバックアップ制御が実行される。
リセット信号出力部83は、電源監視部82から電圧異常信号VSを受けた時から、バックアップ処理に要する所定微少時間(例えば120msec)だけ遅延して「L」レベルに切り換えたシステムリセット信号SRを出力する。この「L」レベルのシステムリセット信号SRが、各マイコン39a,40a,42a,43a,47aのリセット端子に同時に供給される。その結果、各マイコン39a,40a,42a,43a,47aのCPUは初期化に伴って制御動作を同時に停止する。
バックアップ電源84は、大容量を有する電解コンデンサ等からなり、このコンデンサに充電したDC5Vをマイコン39a,47aのRAM39b,47bにバックアップ用としてそれぞれ供給する。このように、RAM39b,47bにバックアップ用5Vが常に供給されているため、主電源が断たれて電源供給部81からの5V供給が停止された場合でも、RAM39b,47bのバックアップ記憶エリアに記憶されている遊技情報や払出し情報は確実に保持される。ここで、これらRAM39b,47bのバックアップ記憶エリアが遊技情報記憶手段に相当する。
電源基板45には、上述したように、手動操作可能な押しボタン式の電源スイッチ80と共に、手動操作可能な押しボタン式の初期化スイッチ85が設けられている。初期化スイッチ85が押圧操作されると、初期化スイッチ85から出力される「L」レベルの初期化信号ISが、マイコン39a,47aの入力ポートにそれぞれ供給される。
マイコン39a,47aでは、主電源の給電時に限って「L」レベルの初期化信号ISが有効になる。即ち、電源スイッチ80と初期化スイッチ85とが共にオン状態になった場合にのみ、記憶保持されていた遊技情報や払出し情報が全て消去される。
一般の遊技ホールでは、停電からの復帰時には、記憶保持されている遊技情報や払出し情報が消去されないように初期化スイッチ85はオフ状態となっている必要があるため、初期化スイッチ85は、開店時などの電源スイッチ80のオン時にのみこれと同時にオン操作することになる。しかしながら、例えば自家発電装置などの無停電装置が備えられている遊技ホールでは、停電が発生したとしても遊技機への電源の供給が断たれる心配がないため、記憶保持されている遊技情報や払出し情報は不要であり、電源スイッチ80のオン時、或いはその電源スイッチ80をオンにしたまま遊技機に通電するときには、常に初期化スイッチ85をオン状態にすることとなる。このような遊技ホールにおいては、ロック手段96を「ロック状態」にして初期化スイッチ85を常にオン状態に保持しておけば、従来機の場合と同じように、開店時には電源スイッチ80のオン操作又は通電操作のみを行えばよい。
また、初期化スイッチ85は自己保持不可能な構成となっており、ロック手段96は初期化スイッチ85とは別個に設けられているため、バックアップ機能を必要とする一般の遊技ホールにおいては、電源スイッチ80と同時に初期化スイッチを一度押圧操作すればよい。このように、初期化スイッチ85としてトグルスイッチ等の自己保持可能なスイッチを用いる場合に比べて、電源投入時の操作が簡単であるばかりでなく、電源スイッチと初期化スイッチとをオンした後に初期化スイッチをオフ状態に戻し忘れることがないため、停電後の給電再開時には確実にバックアップ機能による遊技情報の再現を行うことが可能となる。
続いて、以上のように構成されているパチンコ機の動作について更に詳しく説明する。営業開始に際して、パチンコ機に電源を投入する際には、パチンコ機の前枠2を前方に開いた状態で、初期化スイッチ85と電源スイッチ80とを同時にオンにして、バックアップ機能により記憶保持されている前日の閉店時点での遊技情報や払出し情報を消去する。このとき、例えば自家発電装置などの無停電装置が備えられているなどの理由でバックアップ機能を必要としない遊技ホールでは、予めロック手段96を「ロック状態」にして、初期化スイッチ85を常時オン状態にしておけば、電源スイッチ80をオンにする度にわざわざ初期化スイッチ85をオンにする必要がない。
上記操作により、変圧トランス90からの交流電圧(AC24V)が電源スイッチ80を介して電源供給部81に供給され、電源供給部81から出力される直流が制御基板39,40,42,43,47に供給されるのと同時に、リセット信号出力部83からマイコン39a,40a,42a,43a,47aのリセット端子に対して、「H」レベルのシステムリセット信号SRが各々供給される。その結果、主制御手段50による遊技制御が開始されると共に、各副制御手段60,70〜72においても制御動作が開始される。
ここで、遊技制御プログラムに基づいて主制御手段50により実行される遊技制御の手順の一例を、図12に示すフローチャートに従って説明する。この遊技制御が実行される時点で、初期化スイッチ85がオン状態のとき、即ち初期化スイッチ85からの初期化信号ISが「L」レベルのときには(S1:Yes)、まずCPUの各メモリやレジスタを初期化する初期設定処理が実行される(S2)。続いて、マイコン39aのRAM39bのバックアップ記憶エリア内に記憶保持されている遊技情報の全てが消去処理される(S3)。次に、図柄表示手段21に表示する初期図柄を設定したり、制御周期を所定値(例えば2msec)に設定する等の種々の初期値設定処理が実行される(S4)。
ここで、初期化スイッチ85と、主制御手段50によるS1〜S4の処理により実現される機能とにより、初期化手段の一例が構成されている。尚、S1〜S4の処理はあくまでも一例であって、初期化手段が必ずしもこれら全てのステップを処理するものである必要はない。初期化手段は少なくともRAM39b等のバックアップ記憶エリアに記憶されている遊技情報を消去可能なものであればよい。
前日の閉店時に、確率変動モードが設定された状態のまま主電源が断たれ、RAM39bのバックアップ記憶エリア内に確率変動モードの設定状態を指示する情報が記憶保持されていた場合でも、上述したS1〜S4の処理により、その確率変動モードを含む全ての遊技情報が確実に消去されて初期化されるため、給電再開後の弾球遊技を公正な遊技条件で開始させることが可能である。その後、制御周期(例えば約2msec)に達するまで、次の図柄を更新により決定する図柄データ変更処理(S5)と、遊技に関係しないダミー的な数値を更新する数値更新処理(S6)とが繰り返し実行される。
制御周期である2msecが経過して、図外の信号発生手段からマイコン39aのCPUに対して割込み用信号が内部割込みとして入力されると、例えば内部割込みによるリスタート命令(RST命令)が実行され、制御時間調整用のS5又はS6が強制的に中止されて、この遊技制御の途中ステップであるS8以降の処理(メイン処理)が実行される。但し、メイン処理が繰り返し実行されている遊技中に、初期化スイッチ85がロック手段96によりオン状態となっていても、或いは誤って押されてオン状態となっていても、S3とS4とが実行されないため、遊技中に遊技情報が消去されることは無い。
次に、遊技制御のメイン処理(S8〜S17)の一例を説明する。まず、可変式入賞手段14の開閉爪23を駆動するソレノイドや開閉式入賞手段15の開閉板24を駆動するソレノイドに駆動信号を出力する駆動信号出力処理(S8)、入賞検出センサを含む各種スイッチからのスイッチ信号を読み込むスイッチ信号入力処理(S9)、抽選用数値を1つインクリメントする抽選用数値更新処理(S10)が順次実行される。続いて、払出し制御手段70に払出し制御コマンドを出力する出力処理(S11)、サウンド制御手段72にサウンド制御コマンドを出力する出力処理(S12)、ランプ制御手段71にランプ制御コマンドを出力する出力処理(S13)が順次実行される。次に、第2図柄表示手段22の普通図柄表示部に普通図柄を変動表示させる普通図柄に関する処理(S14)、図柄表示手段21に特別図柄を変動表示させる図柄制御コマンドを出力する等の特別図柄に関する処理(S15)が順次実行される。
次に、可変式入賞手段(図柄始動手段)14の開閉爪23を駆動する場合には、そのための作動を指令するコマンドを出力する作動コマンド出力処理(S16)が実行され、開閉式入賞手段15の開閉板24を駆動する場合には、そのための作動を指令するコマンドを出力する作動コマンド出力処理(S17)が実行される。このとき、この遊技制御を開始してから制御周期である2msecが経過していないときには、上述したようにS5とS6とを繰り返し実行することで制御時間が調整される。これらS5とS6とを実行中に2msecが経過する毎に、CPUに対して割込み用信号による内部割込みが行われ、遊技制御はその都度リスタートされてS8以降の処理が繰り返し実行される。
遊技中に修理等で電源スイッチ80がオフされたとき、或いは遊技途中で停電が発生したときには、電源監視部82から受けた「L」レベルの電圧異常信号VSによりCPUに対する最優先割込みが発生し、主制御手段50と払出し制御手段70とにおいてバックアップ制御が実行される。
主制御手段50においては、このバックアップ制御が開始されると、図13に示すように、開閉器入賞手段15の開閉板24が開放状態のときにはこの開閉板24は直ちに閉鎖されると共に、開閉式入賞手段15内に残存している残存球数が検出されてその情報がバックアップ記憶エリアに記憶保持される(S20)。また、入賞による賞球の払出し中のときには、払出しモータの駆動が直ちに停止されると共に、検出スイッチを通過していない残存球数が検出されてその情報がバックアップ記憶エリアに記憶保持される(S21)。また、払出し制御手段70への払出し制御コマンド送信中のときには、その払出し制御コマンドの送信制御を完了させる(S22)。
また、払出し制御手段70においては、このバックアップ制御が開始されると、図14に示すように、入賞による賞球の払出し中のときには、払出しモータが直ちに停止されると共に、検出スイッチを通過していない残存球数が検出されてその情報がバックアップ記憶エリアに記憶保持される(S30)。また、球貸し指令による遊技球の払出しのときには、払出しモータが直ちに停止されると共に、検出スイッチを通過していない残存球数が検出されてその情報がバックアップ記憶エリアに記憶保持される(S31)。また、主制御手段50からの払出し制御コマンドを受信中のときには、その払出し制御コマンドの受信制御を完了させる(S32)。このとき、上述したように、リセット信号出力部83は、電源監視部82から「L」レベルの電圧異常信号VSを受けてから微少時間(例えば120msec)だけ遅れて、「L」レベルに切り換えたシステムリセット信号SRを出力する。その結果、マイコン39a,40a,42a,43a,47aは、そのシステムリセット信号SRを各々受信し、CPUの初期化に伴って各々の制御動作を同時に停止する。
ところで、図12の遊技制御において、初期化スイッチ85の操作なしにパチンコ機に電力が供給されたとき(例えば停電からの復帰時)には(S1:No)、CPUが初期化されたりRAM内の遊技情報が消去されることなく、主制御手段50及び払出し制御手段70においてバックアップ復帰処理が実行される(S7)。
主制御手段50によるバックアップ復帰処理においては、遊技情報制御プログラムにより、バックアップ記憶エリアに記憶保持されている遊技情報に基づいて、図柄表示手段21に停電復帰画面が表示され、停電直前の確率変動状態が表示され、普通図柄及び特別図柄による保留球数が表示される。また、払出し制御手段70によるバックアップ復帰処理においては、払出し復帰制御プログラムにより、バックアップ記憶エリアに記憶保持されている払出し情報に基づいて、未払いの遊技球が払い出される。その後、主制御手段50において、上述したS8以降のメイン処理が繰り返し実行される。
バックアップ機能を必要とする一般的な遊技ホールでは、通常時はロック手段96が「アンロック状態」にされているため、例えば停電からの復帰時には、初期化スイッチ85はオフ状態となっており、S7のバックアップ復帰処理を経由して停電前の遊技情報が再現された後、S8以降のメイン処理が実行される。また、開店時等に電源スイッチ80をオンする場合には、これと同時に初期化スイッチ85がオンされることにより、S2〜S4の初期化処理を経由してバックアップ記憶エリアに記憶保持されている遊技情報が消去された後、S8以降のメイン処理が実行される。一方、バックアップ機能を必要としない遊技ホールでは、ロック手段96を「ロック状態」にして初期化スイッチ85を常にオン状態に保持しておくことにより、電源スイッチ80のオン操作時、停電からの復帰時に関わらず、常にS2〜S4の初期化処理を経由してバックアップ記憶エリアに記憶保持されている遊技情報が消去された後、S8以降のメイン処理が実行される。
以上のように、本実施の形態に係るパチンコ機では、例えば自家発電装置などの無停電装置が備えられているなどの理由でバックアップ機能を必要としない遊技ホールでは、ロック手段96を「ロック状態」にして初期化スイッチ85を常にオン状態に保持しておくことで、従来機と同じように開店時には電源スイッチ80のオン操作のみを行えばよい。しかも、初期化スイッチ85は自己保持不可能な構成となっており、初期化スイッチ85をオン状態でロックするロック手段は初期化スイッチ85とは別個に設けられているため、バックアップ機能を必要とする一般の遊技ホールにおいては、開店時には電源スイッチ80と同時に初期化スイッチを一度操作すればよく、例えば初期化スイッチ85としてトグルスイッチ等の自己保持可能なスイッチを用いる場合に比べて電源投入時の操作が簡略化できるだけでなく、初期化スイッチ85をオフ状態に戻し忘れる心配がないため、停電からの復帰時にはバックアップ機能によって確実に停電前の状況を再現することが可能となる。
図15は、本発明の第2の実施形態を示したものであり、電源スイッチ80と初期化スイッチ85とを、片手で同時に操作不可能な程度に互いに離隔された位置に設けた例を示している。この実施形態では、電源スイッチ80と初期化スイッチ85とを、電源基板46′上の互いに向き合う角部近傍にそれぞれ取り付けている。またそれら電源スイッチ80と初期化スイッチ85の位置に対応させて、電源基板46′を格納する基板ケース44′上に凹部44a,44dを形成し、凹部44aには、電源スイッチ80及びヒューズ86の頭部をそれぞれ露出させる開口部93,95を、凹部44dには初期化スイッチ85の頭部を露出させる開口部94を形成し、更に凹部44dには上記実施の形態と同様のロック手段96を取り付けている。このように、電源スイッチ80と初期化スイッチ85とを、片手で同時に操作不可能な程度に互いに離隔された位置に設けることにより、電源スイッチ80のオン操作時に誤って初期化スイッチ85をオンにしてしまう誤操作を防止できる。
以上、2つの実施形態について図面を用いて詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、ロック手段96については、初期化スイッチ85のオン位置が開口部94の上面と略面一となる位置に設定されている場合には、押圧部104に突起部104aを設ける必要はなく、また板バネ105を屈曲させる必要もない。また、板バネ105も必須ではなく、例えばロック部材102をプラスチック等の単一材料で一体形成してもよい。
また、初期化スイッチ85は押しボタン式のスイッチに限られるものではない。初期化スイッチ85には、オン状態の自己保持が不可能な各種スイッチを用いることができ、ロック手段96は、その初期化スイッチ85とは別個に取り付けられ、初期化スイッチ85のオン状態を保持可能なものであればよい。もちろん、電源スイッチ80についても押しボタン式スイッチに限られるものではなく、トグルスイッチ等を用いてもよい。
また、ロック手段96は必ずしも基板46を収納する基板ケース44上に設ける必要はなく、基板46(46′)上に設けたり、或いは基板ケース44以外の例えば裏機構板30等に設けることも可能である。また、必ずしも電源スイッチ80と初期化スイッチ85とを同じ電源基板46(46′)上に設ける必要はなく、例えば初期化スイッチ85を他の基板上に設けることも可能である。また、電源スイッチ80を設けなくてもよい。
その他、本発明は、パチンコ機、アレンジボール機、雀球遊技機等の各種の弾球遊技機は勿論のこと、回胴式遊技機などにおいても同様に実施可能である。