JP3775720B2 - 弾球遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は弾球遊技機に関し、特に停電により主電源が断たれた後の復帰時に、副制御手段における遊技制御を、主電源が断たれたときの遊技状態と極力同様に行なえるようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、パチンコ機等の弾球遊技機においては、発射ハンドル操作による遊技球の発射制御、遊技盤に設けた図柄始動手段や開閉式入賞手段(大入賞手段)等の遊技役物の制御、入賞手段への入賞を検知する検知制御、図柄表示用ディスプレイに設けられた図柄表示手段の複数の図柄表示部における図柄を変動させる図柄表示制御、入賞手段への入賞に伴う遊技球の払出し制御、入賞時や大当たり状態におけるサウンド制御やランプ制御等、弾球遊技の為の種々の制御を司る制御装置が設けられている。
【0003】
この制御装置において、遊技盤側の遊技制御を主として司る主制御部は、各図柄表示部に図柄変動表示させる図柄表示制御の為の一連の制御信号(制御データ)を図柄制御部に直接出力し図柄表示を制御している。また、主制御部は、普通入賞手段や開閉式入賞手段への遊技球の入賞を検知して、払出しモータ駆動の為の払出し制御信号を払出し制御部に出力して賞球の払出しを制御している。
更に、主制御部は、図柄表示部における変動後の停止図柄が大当たり図柄のとき、開閉式入賞手段の開閉板駆動ソレノイドの為の開閉制御信号を特別遊技制御部に出力し、開閉板を所定条件が成立するまで開放制御している。
【0004】
例えば、主制御部は図柄制御部に対して、各動作毎の詳細な制御信号を逐一送信して図柄を変動制御するため、仮に1つの制御信号がノイズや静電気等により無効になっても、後続する制御信号に基づいて変動制御を続行できる。主制御部は、図柄表示制御だけでなく、これに連動する払出し制御、サウンド出力制御、ランプ点灯制御等の種々の制御を行なうため、制御負荷が非常に大きく、これら遊技動作の制御に制御遅れが生じ易い。
【0005】
そこで、払出し制御部や図柄制御部等の各副制御部を、主制御部とは独立のマイクロコンピュータを備えた別個の制御基板上に構成し、主制御部から各副制御部へ制御コマンドを一方向通信するコマンド送信方式が採用されつつある。これにより、例えば、主制御部は図柄変動に際して図柄制御部に、図柄変動開始コマンド(変動パターン指定番号等を含む)と、各図柄表示部の停止図柄を指定する図柄指定コマンドと、図柄変動停止コマンド等を順次送信するだけでよく、図柄変動制御を簡単化でき、主制御部の負荷を格段に軽減することができ、サウンド制御やランプ制御、更には払出し制御を図柄変動に同期させて実行できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、主制御部や副制御部を夫々独立させた制御基板上に構成し、主制御部から図柄制御部に送信する制御コマンド数を格段に減少させる場合、主制御部の制御負荷を軽減できるけれども、例えば、落雷等により停電になった場合、仮に遊技球がゲート(通過口)を通過したことによる普通図柄の変動中であったり、図柄始動手段(電動式チューリップ)への入賞による特別図柄の変動中であったり、更には大当たりゲームを実行中であっても、制御装置が作動しなくなり、図柄の変動状態を指示する情報だけでなく、大当たり状態であることを指示する情報及び入賞球数情報や払出すべき払出し球数情報などの遊技情報の全てが消去されてしまう。
【0007】
そのため、主電源の復帰後にゲームを再開する場合に、普通図柄や特別図柄の図柄変動、大当たりゲーム等を停電直前の状態に続けて実行することができず、遊技者とホール側とでトラブルが発生することもある。そこで、主制御部や各副制御部において、主電源が断たれたときに、主電源の復帰後における遊技制御の再開に必要な遊技状態に関する遊技情報を、バックアップ電源により記憶保持する場合には、停電が発生した場合でも、停電が発生したときの遊技情報を停電中においても記憶保持しているため、停電からの復帰時に停電により中断した大当たりゲーム等を停電直前の状態に続けて支障なく再開できるようになる。
【0008】
しかし、これら主制御部や副制御部の遊技情報を夫々記憶保持させる為のバックアップ電源が大型化するという問題がある。そこで、バックアップ電源を小型化し、主制御部における遊技情報だけをバックアップし、主電源の復帰後に、主制御部から図柄制御部に、図柄の変動制御を再開するために、変動パターン指定番号等を含む図柄変動開始コマンド、各図柄表示部の停止図柄を指定する図柄指定コマンド、図柄変動停止コマンド等を順次送信することになり、主電源復帰時の変動制御が複雑化するという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、主電源の復帰時に主電源が断たれたときの遊技状態を再開して遊技者の利益を確保できるようにすること、復帰制御を簡単化でき且つ出来る限り違和感なく停電により中断した遊技状態の途中から支障なく再開できるようにすること、必要最低限の遊技動作を続行できるようにすること、等である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の弾球遊技機は、特別図柄を表示可能な特別図柄表示手段と、遊技領域に配設される入賞手段と、この入賞手段に入賞した遊技球を検出する入賞球検出手段と、この入賞球検出手段の検出信号を受けて主に遊技盤側の制御を行う主制御手段と、主制御手段から受ける制御コマンドに基づいて特別図柄表示手段を制御する図柄制御手段とを備えた弾球遊技機であって、主電源が断たれたとき特別図柄が変動中であるか否か又は大当たり中であるか否かの遊技状態に関連する遊技情報を主電源が断たれた後も記憶保持可能な遊技状態記憶手段と、主電源の復帰時に、遊技状態記憶手段の遊技情報に基づいて、図柄制御手段の遊技制御の復帰に必要な一群の制御コマンドを主制御手段から図柄制御手段へ連続的に送信し、主電源が断たれたときの遊技状態と同じ又はほぼ同じ遊技状態に復帰させる遊技動作復帰手段とを備え、遊技動作復帰手段は、主電源が断たれたときに特別図柄が変動中であった場合には、主電源の復帰時に特別図柄の変動を省略して前記特別図柄の変動の後に停止すべき停止図柄を表示させるように図柄制御手段に指令するように構成されたものである。ここで、制御動作を指令する制御コマンドは、制御コマンド以外の種々の制御信号であってもよい。
【0011】
遊技領域に配設される入賞手段への遊技球の入賞が入賞球検出手段により検出されたとき、主制御手段は、その入賞球検出手段からの検出信号を受けて主に遊技盤側の制御を行う。また、図柄制御手段は主制御手段から受ける制御コマンドに基づいて特別図柄表示手段の制御を行う。ところで、主電源が断たれたときには、そのときの特別図柄が変動中であるか否か又は大当たり中であるか否かの遊技状態に関連する遊技情報が、遊技状態記憶手段に主電源が断たれた後も記憶保持されているため、主電源の復帰時には、遊技動作復帰手段は、遊技状態記憶手段の遊技情報に基づいて、図柄制御手段の遊技制御の復帰に必要な一群の制御コマンドを主制御手段から図柄制御手段へ連続的に送信する。
【0012】
それ故、図柄制御手段においては、その遊技制御の復帰に必要な最低限の一群の制御コマンドに基づいて、主電源が断たれたときの遊技状態と同じ又はほぼ同じ遊技状態に復帰させることができる。この場合、遊技制御の復帰に必要な一群の制御コマンドを図柄制御手段に送信するので、これら一群の制御コマンドにより、必要最低限の遊技動作であっても、出来る限り違和感なく停電により中断した遊技状態の途中から支障なく再開することができる。また、主電源の復帰時に主電源が断たれたときの遊技状態を再開して遊技者の利益を確保できる。
さらに、主電源が断たれたときに特別図柄が変動中であった場合には、遊技動作復帰手段から図柄制御手段に、主電源の復帰時に特別図柄の変動を省略して特別図柄の変動の後に停止すべき停止図柄を表示させるように指令され、主制御手段と図柄制御手段における復帰制御を簡単化できる。つまり、主制御手段から図柄制御手段に図柄変動に関する図柄変動パターン等の制御コマンド送信をしないで、主電源の復帰時に再開する作動態様として、実際の図柄変動制御を簡略化した異なる変動態様とするため、主制御手段と図柄制御手段における復帰制御を簡単化することができる。しかも、図柄変動後の停止図柄を確定できるため、遊技者の利益を確保することができる。
【0013】
ここで、前記遊技動作復帰手段が、主制御手段に設けられている場合(請求項2)には、各副制御手段に遊技動作復帰手段を設けなくてよく、副制御手段の小型化が図れる。
【0016】
また、前記遊技状態記憶手段を主制御手段に設け、主制御手段は図柄制御手段に対して制御コマンドを一方向通信にて送信する場合(請求項3)には、主制御手段から図柄制御手段への種々の制御コマンド送信に際して一方向通信を採用することで、主制御手段において図柄を抽選する抽選機能による遊技者に有利な状態と不利な状態の決定に関する不正を、確実に防止することができる。
【0017】
また、前記図柄制御手段が、主制御手段から前記一群の制御コマンドを受信したとき、主電源が復帰した旨の文字列からなる復帰報知情報を図柄表示手段に表示させる復帰表示制御手段を有する場合(請求項4)には、この復帰表示制御手段により、主電源の復帰時に文字列による復帰報知情報が表示されるため、何れの遊技者に対しても主電源の復帰を明確に報知することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基いて説明する。
本実施形態は、パチンコホールの島構造体に設置される所謂カード式弾球遊技機と呼ばれる第1種パチンコ機に本発明を適用した場合の一例であり、パチンコホールに設けられた島構造体には、その長さ方向に複数のカード式球貸し機1と複数のパチンコ機2とが交互に配設され、カード式球貸し機1はパチンコ機2に電気的に接続されている。
【0019】
図1〜図4に示すように、カード式弾球遊技機であるパチンコ機2は、矩形枠状の外枠3と、この外枠3に開閉自在に枢着された前枠4とを有し、カード式球貸し機1をサンドイッチ状に挟持する状態で、外枠3が島構造体(図示略)に着脱自在に装着されている。前枠4には、遊技盤5が裏側から着脱自在に装着され、遊技盤5の前側に対応させて、窓部6aを有するガラス扉6と球受け皿(上皿)8の前面板(図示略)とが夫々開閉自在に枢着されている。前枠4の下部には、球受け皿8から溢流し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射手段10の発射ハンドル11とが設けられている。
【0020】
発射手段10は、回動操作可能な発射ハンドル11と、この発射ハンドル11の回動角度に応じた打撃力で打撃槌12により遊技球を発射させる発射モータ13(図5参照)などを備えている。球受け皿8の右部には、カード式球貸し機1に対する球貸し操作用の操作パネル14が設けられ、この操作パネル14には、カード残額を3桁の数字で表示するカード残額表示部14aと、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチ14bと、遊技終了時にカードの返却を指令する返却スイッチ14cとが設けられている。
【0021】
図2に示すように、遊技盤5には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール15がほぼ環状に設けられ、このガイドレール15の内側の遊技領域5aには、カラーの液晶ディスプレイ16、図柄始動手段(図柄始動兼入賞手段)17、開閉式入賞手段(大入賞手段)18、複数の普通入賞手段19(この場合、上段の普通入賞手段19以外に、開閉式入賞手段18の左右両側部に、例えば6つの普通入賞手段19)、2つのゲート(通過口)20等が夫々所定の位置に配設されている。
【0022】
但し、図示しないが、これら入賞手段17〜19に入賞した遊技球を検出する入賞球検出手段が夫々設けられている。液晶ディスプレイ16は、背景画像や各種のキャラクタの動画などを表示する表示機能を有し、更に、2つの図柄からなる普通図柄を表示する普通図柄表示手段22として機能するとともに、特別図柄を変動表示する特別図柄表示手段23として機能する図柄表示手段21が設けられている。
【0023】
普通図柄表示手段22は、例えば図柄表示手段21の右下部に、左右方向に並ぶ2個(左、右)の図柄表示部22a〜22bを有し、ゲート20を通過した遊技球を検出したとき、各図柄表示部22a〜22bに普通図柄を所定時間だけ変動表示し、遊技球のゲート20通過時点において抽選された抽選用数値により決定される停止図柄パターンを表示して停止するようになっている。ここで、後述する普通図柄用の復帰報知情報は図柄表示部22a〜22bに表示され、特別図柄用の復帰報知情報は図柄表示部23a〜23cに表示される。即ち、これらの復帰報知情報は夫々独立に表示可能になっている。
【0024】
特別図柄表示手段23は、例えば左右方向に並ぶ3個(左、中、右)の図柄表示部23a〜23cを有し、図柄始動手段17に遊技球が入賞することを条件に、図柄表示部23a〜23cに特別図柄が所定時間だけ変動表示(スクロール表示)され、図柄始動手段17への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄パターンで停止する。図柄始動手段17は、開閉自在な左右1対の開閉爪17aを備えた電動式チューリップであり、普通図柄表示手段22の変動後に停止した普通図柄が当たり図柄となった当たり発生時に、開閉爪17aが所定時間だけ開放されて入賞し易くなる。
【0025】
開閉式入賞手段18は前方に開放可能な開閉板18aを備え、特別図柄表示手段23の変動後に停止した特別図柄が「777」等の当たり図柄のとき、所謂「大当たり」と称する特別遊技が開始され、開閉板18aが前方に開放される。この開閉式入賞手段18の内部に特定領域18bがあり、この特定領域18bを入賞球が通過したとき、特別遊技が継続される。開閉式入賞手段18の開閉板18aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば、10個)の遊技球が入賞して開閉板18aが閉じるときに、遊技球が特定領域18bを通過していないときに特別遊技が終了するが、特定領域18bを通過していれば最大所定回数(例えば、16回)まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な利益状態に制御される。
【0026】
図3、図4に示すように、前枠4の裏側には、遊技盤5を裏側から押さえる裏機構板30が着脱自在に装着され、この裏機構板30には開口部30aが形成され、その上側に賞球タンク33と、これから延びるタンクレール34とが設けられ、このタンクレール34に接続された払出し手段35が裏機構板30の側部に設けられ、裏機構板30の下側には払出し手段35に接続された通路ユニット36が設けられている。払出し手段35から払出された遊技球は通路ユニット36の賞球払出し通路を経由して球受け皿8に払出される。
【0027】
裏機構板30の開口部30aには、遊技盤5の裏側に装着された裏カバー37と、入賞手段17〜19に入賞した遊技球を排出する入賞球排出樋(図示略)とが夫々嵌合されている。この裏カバー37に装着されたケース38の内部に主制御基板39が配設され、その前側に図柄制御基板40が配設されている。主制御基板39の下側で、裏カバー37に装着されたケース41aの内部にランプ制御基板42が設けられ、このケース41aに隣接するケース41bの内部にサウンド制御基板43が設けられている。
【0028】
これらケース41a,41bの下側で裏機構板30に装着されたケース44の内部には、電源基板45と払出し制御基板46が夫々設けられている。この電源基板45には、図3に示すように、電源スイッチ80と初期化スイッチ85とが配置されている。但し、ケース44のこれら両スイッチ80,90に対応する部位が切欠かれ、これら両スイッチ80,85の各々を指で同時操作可能になっている。
【0029】
更に、発射手段10の後側に装着されたケース47の内部には、発射制御基板48が設けられている。即ち、これら制御基板39〜40,42〜43,45〜46,48は夫々独立の基板で構成されており、電源基板45と発射制御基板48を除く制御基板39,40,42,43,46には、CPUとROMやRAM等を有する1チップ集積回路からなるマイクロコンピュータ(以下、単にマイコンと言う)39a,40a,42a,43a,46aが夫々設けられている(図6参照)。
【0030】
主制御基板39とその他の制御基板40,42,43,46とは、複数本の信号線でコネクタを介して電気的に接続され、主制御基板39から各制御基板40,42,43,46に、所定の遊技動作を実行させる種々の制御コマンド(これが制御信号に相当する)を一方向通信にて送信可能になっている。制御コマンドの一方向通信を採用することで、普通図柄や特別図柄の図柄停止に関する不正を確実に防止できるとともに、主制御手段50の制御負荷を格段に軽減でき、送信制御を簡単化することができる。
【0031】
次に、パチンコ機2の制御装置に予め格納した複数の制御プログラムを介して達成される種々の機能について、図5の機能ブロック図により説明する。但し、これら種々の機能は前述したマイクロコンピュータ等で達成される。主制御基板39上に構成された主制御手段50は、遊技盤5に設けられた種々の遊技部品や遊技球検出スイッチ等に対する信号の入出力に関わる遊技制御を主として司るとともに、後述する図柄制御手段60、払出し制御手段70、ランプ制御手段71、サウンド制御手段72等に必要に応じて制御コマンドを送信出力する。
【0032】
ここで、払出し制御手段70、図柄制御手段60、サウンド制御手段72、ランプ制御手段71、の各々が副制御手段に相当する。主制御基板39に設けられたマイコン39aのROMには、主に遊技盤5の遊技動作を制御するメインの遊技制御プログラムが格納されている。また、マイコン39aのRAM39bに記憶した遊技情報は記憶保持可能に常にバックアップされている。
【0033】
ここで,遊技制御プログラムについて簡単に説明しておくと、図7に示すように、実際の遊技制御を実行するために所定時間(例えば、約2msec)毎に繰り返し実行されるメインの遊技プログラムと、この遊技プログラムが制御開始から所定時間以内に終了したとき、所定時間になるまで処理時間を調節する処理時間調節用プログラムと、停電発生時や閉店時に主電源が断たれたときの図柄変動状態やランプ点灯状態、更にはサウンド出力状態等の種々の遊技状態に関連する遊技情報を記憶保持させるバックアップ処理プログラムと、主電源復帰時に記憶保持していた遊技情報を元の状態に復帰させる遊技復帰プログラム等が格納されている。
【0034】
また、マイコン39aのRAM39bには遊技状態記憶メモリ(これが遊技状態記憶手段に相当する)が設けられ、この遊技状態記憶メモリに記憶した遊技情報は記憶保持可能に常にバックアップされている。図柄制御基板40上に構成された図柄制御手段60は、主制御手段50から送信されてくる図柄制御コマンドに基づいて、液晶ディスプレイ16に種々の動画や背景画を表示させる表示制御を実行したり、各図柄表示部22a〜22bの普通図柄を変動制御するとともに、各図柄表示部23a〜23cの特別図柄を変動制御し、指示された停止図柄を表示するように普通図柄と特別図柄の変動停止を制御する。
【0035】
払出し制御基板46上には払出し制御手段70が構成され、この払出し制御手段70は主制御手段50から払出し制御コマンドを受信し、払出し手段35による遊技球の払出し制御を司る。この払出し制御基板46に設けられたマイコン46aのROMには、主に遊技球の払出しを制御する払出し制御プログラムが格納されている。また、マイコン46aのRAM46bに記憶した払出し情報は記憶保持可能に常にバックアップされている。
【0036】
この払出し制御プログラムには、図8に示すように、主制御手段50から受信した払出し制御コマンドに基づいて払出し手段35を介して遊技球を払出すメインの払出しプログラムと、停電発生時や閉店時に主電源が断たれた場合に払出し情報を記憶保持させるバックアップ処理プログラムと、主電源復帰時に記憶保持していた払出し情報を元の状態に復帰させる払出し復帰プログラム等が設けられている。ランプ制御基板42上に構成されたランプ制御手段71は、主制御手段50からランプ制御コマンドを受信し、遊技盤5等に設けられた多数の表示ランプを含むランプ群LPの点灯制御を司る。
【0037】
サウンド制御基板43上に構成されたサウンド制御手段72は、主制御手段50からサウンド制御コマンドを受信し、スピーカSPに対する各種の音響効果音の為のサウンド出力制御を司る。発射制御基板48上に構成された発射制御手段73は、発射モータ13を駆動して遊技球の発射制御を司る。主制御手段50は、抽選手段51と、判定手段52と、利益状態発生手段53と、確率変動手段54と、図柄決定手段55と、コマンド送信手段56等を備えている。
【0038】
抽選手段51は、抽選用カウンタを用いて微小な更新周期(例えば、約2msec周期)で数値を所定の範囲(例えば、0〜299)で更新し、特別図柄に関して、図柄始動手段17に遊技球が入賞したときの数値を抽出することにより、当たり外れに関する抽選を行なうとともに、普通図柄に関してもゲート20に遊技球が入賞したときの数値の抽選を行う。ここで、図柄始動手段17やゲート20に入賞したときの抽選が遊技動作に関連する抽選に相当し、遊技者に有利な状態と不利な状態とを択一的に決定する。
【0039】
判定手段52は、図柄始動手段17やゲート20に遊技球が入賞したときに抽選手段51から供給される抽選された数値に基づいて、特別図柄に関して「大当り」又は「外れ(外れリーチを含む)」の何れであるかを判定し、普通図柄に関しても「当り」又は「外れ」の何れであるかを判定する。利益状態発生手段53は、判定手段52から大当たり等の特別判定結果を受ける、若しくは、特別図柄表示手段23の変動後の停止図柄が大当たり図柄等の特定表示となった場合に、遊技制御に含まれる所定の利益状態発生ルーチンにより開閉式入賞手段18の開閉板18aを前述したように作動させて、遊技者に利益状態を与える特別遊技を実行する。
【0040】
確率変動手段54は、判定手段52から「大当たり」の特別判定結果を受けた場合に、その「大当たり」が確率変動型大当たりのときに確率変動モードを設定し、次回或いは次々回の大当たり迄、或いは所定回数図柄が変動する迄、抽選手段51により大当たりとする特定数値の数を通常のときよりも多くし、大当たり確率を高くする。
【0041】
図柄決定手段55は、判定手段52からの判定結果に応じて、所定の抽選プログラムにより、複数の普通図柄に関する図柄変動パターンのうちから、抽選用数値が「当たり」のときには当たり普通図柄の何れかを、「外れ」のときには外れ普通図柄の何れかを抽選により決定するとともに、複数の特別図柄に関する図柄変動パターンのうちから、抽選用数値が「大当たり」のときには大当たり特別図柄の何れかを、「外れ」のときには外れ特別図柄の何れかを、「外れリーチ」のときには外れリーチ図柄の何れかを、夫々抽選により決定する。
【0042】
コマンド送信手段56は、図9に示すように、制御モードデータ及び制御動作データからなる2バイトの制御データと動作内容とを対応付けたコマンドデータテーブルを記憶しており、図柄決定手段55で決定された図柄変動パターンに基づいて、普通図柄の図柄変動パターン及び変動開始を指示する変動パターン指定コマンドと、左図柄指定コマンドと右図柄指定コマンドと、普通図柄停止コマンド等の一群の制御コマンドを図柄制御手段60に順次送信するとともに、特別図柄の図柄変動パターン及び変動開始を指示する変動パターン指定コマンドと、左図柄指定コマンドと中図柄指定コマンドと右図柄指定コマンドと、特別図柄停止コマンド等、一群の制御コマンドを図柄制御手段60に順次送信する。
【0043】
ここで、記号「H」は、16進数を意味する。図柄制御手段60は、普通図柄表示手段22を制御する普通図柄制御手段61と、特別図柄表示手段23を制御する特別図柄制御手段62と、電源の復帰時に復帰報知情報を表示させる復帰表示制御手段63と、その復帰報知情報の表示を停止して、遊技に関連する他の表示に切換える表示切換え制御手段64等を有し、コマンド送信手段56から送信される図柄制御コマンドを受信し、受信した図柄制御コマンドを解析するとともに、解析により得られた制御コマンドに基づいて、普通図柄表示手段22の各図柄表示部22a〜22bにおける普通図柄変動を制御するとともに、特別図柄表示手段23の各図柄表示部23a〜23cにおける特別図柄変動を制御する。
【0044】
次に、複数の制御基板39,40,42〜43,46の各々に直流電力を供給する電源基板45について、図6に基づいて説明する。
パチンコホールに設置された各島構造体毎に複数の変圧トランス79が設けられ、各変圧トランス79から低圧の交流電圧(例えば、AC24V)が複数(例えば、5台)のパチンコ機2に夫々供給されている。
【0045】
この電源基板45には、トグルスイッチ等からなり主電源をオンオフする手動操作可能な電源スイッチ80と、電源供給部81と、マイクロコンピュータを含む電源監視手段82及びリセット信号発生手段83と、バックアップ電源84等が設けられている。電源供給部81は、AC24VからDC32Vを生成するとともに、音声出力やランプ点灯に用いるDC12V、制御用に用いるDC5V等の複数種類の直流を生成し、これらの直流を制御基板39〜40,42〜43,46等に供給する。
【0046】
電源監視手段82は、供給されたAC24Vを直接読み込んで供給電圧を常時監視し、停電が発生したり、電源スイッチ80のオフ操作により主電源が断たれた時、電圧異常を示す「L」レベルの電圧異常信号VSを主制御基板39のマイコン39aの最優先割込みポートと、払出し制御手段70のマイコン46aの最優先割込みポートとに夫々出力し、最優先割込みによりバックアップ処理をさせる。
【0047】
その結果、マイコン39aにおいては、停電からの復帰時に遊技制御の再開に必要で記憶保持しておくべき最新の弾球遊技に関連する、例えば、図柄変動の有無、当たりの有無、賞球の払出し個数、図柄変動の有無、ランプ点灯状態、サウンド出力状態等の遊技情報を遊技状態メモリ39bに記憶保持させるバックアップ処理が実行される。これと同時に、マイコン46aにおいても同様に、最新の遊技球の払出しに関連する払出し情報を遊技状態記憶メモリ46bに記憶保持させるバックアップ処理が実行される。
【0048】
リセット信号発生手段83は、電源監視手段82から「L」レベルの電圧異常信号VSを受けた時から、バックアップ処理に要する所定微小時間(例えば、約120msec )だけ遅延させて「L」レベルに切換えたシステムリセット信号SRを出力する。このリセット信号SRがマイコン39a,40a,42a,43a,46aのリセット端子に夫々供給され、これらマイコン39a,40a,42a,43a,46aのCPUは初期化に伴って制御動作を同時に停止する。
【0049】
バックアップ電源84は、充電用コンデンサ等からなり、このコンデンサから出力されるDC5Vをマイコン39a,46aのRAM39b,46bにバックアップ用として夫々供給する。即ち、これらRAM39b,46bにバックアップ用5Vが常に供給されているため、主電源が断たれて電源供給部81からのDC5V供給が停止された場合でも、情報メモリに記憶している遊技情報がバックアップ用5Vにより確実に記憶保持される。但し、このバックアップ電源84によるバックアップ動作は長時間継続可能である。
【0050】
電源基板45には、更に、電源スイッチ80に接近させて手動操作可能なプッシュ型スイッチからなる初期化スイッチ85が設けられており、この初期化スイッチ85を押圧操作したとき、初期化スイッチ85から「L」レベルの初期化信号CLがマイコン39a,46aに出力される。即ち、営業を開始するに際して初期化スイッチ85を操作した場合、「L」レベルの初期化信号CLが有効となり、マイコン39aのRAM39bに記憶保持していた遊技情報と、マイコン46aのRAM46bに記憶保持していた払出し情報の全てを確実に消去することができる。
【0051】
ところで、普通図柄変動については、例えば図10に示すように、普通図柄変動や当たり動作が行われる。但し、区間番号<1>は主電源供給開始時、区間番号<2>は客待ちデモンストレーション中、区間番号<3>は普通図柄の変動期間、区間番号<4>は普通図柄の確定から図柄始動手段17の作動開始までの期間、区間番号<5>は図柄始動手段17の作動期間、区間番号<6>は図柄始動手段17の作動終了から次の普通図柄の変動開始までの期間である。
【0052】
また、特別図柄変動については、例えば図11に示すように、特別図柄変動や大当たり動作が行われなる。但し、区間番号<1>は主電源供給開始時、区間番号<2>は客待ちデモンストレーション中、区間番号<3>は特別図柄の変動期間、区間番号<4>は特別図柄の確定後の表示期間、区間番号<5>は特別図柄確定後から初回の開閉式入賞手段18開放までの期間、区間番号<6>は最終回以外の開閉式入賞手段18の開放期間、区間番号<7>は開閉式入賞手段18の閉鎖から次の特別図柄の変動開始までの期間、区間番号<8>は最終回の開閉式入賞手段18の開放から閉鎖までの期間、区間番号<9>は最終回の開閉式入賞手段18の開放から特別図柄の変動開始までの期間である。
【0053】
次に、遊技制御プログラムに基づいて主制御手段50により実行される遊技制御について、図12のフローチャートに基づいて説明する。但し、図中の符号Si(i=1,2,3・・・)は各ステップである。
営業開始に際して、パチンコ機2の前枠4を前方に開いた状態で、初期化スイッチ85を、例えば人指し指で押圧操作しながら電源スイッチ80を、例えば親指でオン側に切換えたとき、変圧トランス79からの交流電圧(AC24V)が電源スイッチ80を介して電源基板45に供給され、電源供給部81から直流が制御基板39〜40,42〜43,46に供給されるのと同時に、図16に示すように、リセット信号発生手段83から「H」レベルのシステムリセット信号SRがマイコン39a,40a,42a,43a,46aに夫々供給される。
【0054】
その結果、主制御手段50による遊技制御が開始されるとともに、各副制御手段60,70〜72においても制御動作を開始する。この遊技制御が開始されたときに、初期化スイッチ85がON状態のときには(S1:Yes )、先ずCPUの各メモリやレジスタを初期化する初期設定処理が実行される(S2)。次に、バックアップ電源84により記憶保持されているマイコン39aのRAM39bの遊技情報と、マイコン46aのRAM46bの払出し情報の全てが消去処理され(S3)、図柄表示手段21に表示する初期図柄を設定したり、この遊技制御のメイン処理を繰り返し実行する制御周期を2msecに設定する等の種々の初期値設定処理が実行される(S4)。
【0055】
その後、制御周期(約2msec)に達するまで、次の図柄を更新により決定する図柄データ変更処理(S5)と、遊技に関係しないダミー的な数値を更新する数値更新処理(S6)とが繰り返して実行される。つまり、2msecが経過するまでの余りの時間が、これらS5とS6とを繰り返すことで費やされ、遊技制御のメイン処理が2msec毎に確実に実行される。約2msecが経過して、図示外の2msec信号発生手段から2msec割込み用信号がマイコン39aのCPUに内部割込みとして入力されたとき、例えば内部割込みによるリスタート命令(RST命令)が実行され、制御時間調節用のS5又はS6が強制的に中止されて、この遊技制御の途中の処理ステップであるS9から遊技制御が実行される。
【0056】
但し、主電源が投入されてメイン処理が実行されているゲーム中に初期設定スイッチ85が誤操作されても、S3で述べた情報消去処理が実行されることはない。次に、遊技制御のメイン処理(S9〜S18)について説明すると、先ず図柄始動手段17の開閉爪17aを駆動するソレノイドや開閉式入賞手段18の開閉板18aを駆動するソレノイドに駆動信号を出力する駆動信号出力処理が実行される(S9)。次に、入賞検出センサを含む各種のスイッチからのスイッチ信号を読み込むスイッチ信号入力処理が実行される(S10)。次に、抽選用数値を1つインクリメントする抽選用数値更新処理が実行される(S11)。
【0057】
次に、払出し制御手段70に払出し制御コマンドを出力する出力処理が実行される(S12)。次に、サウンド制御手段72にサウンド制御コマンドを出力する出力処理が実行される(S13)。更に、ランプ制御手段71にランプ制御コマンドを出力する出力処理が実行される(S14)。次に、普通図柄表示手段22の普通図柄表示部22a〜22bに普通図柄を変動表示させる普通図柄に関する処理が実行される(S15)。次に、特別図柄表示手段23に特別図柄を変動表示させる為の図柄制御コマンドを出力する等の特別図柄に関する処理が実行される(S16)。
【0058】
次に、図柄始動手段17の開閉爪17aを駆動する場合には、その為の作動を指令するコマンドを出力する作動コマンド出力処理が実行され(S17)、開閉式入賞手段18の開閉板18aを駆動する場合には、その為の作動を指令するコマンドを出力する作動コマンド出力処理が実行される(S18)。このとき、この遊技制御を開始してから約2msecが経過していないときには、前述したようにS5とS6を繰り返して実行することで制御時間が調節される。これらS5とS6を実行中に2msecが経過する毎に、2msec割込み用信号でCPUに内部割込みされて、遊技制御はその都度リスタートされ、S9から繰り返して実行される。
【0059】
ところで、ゲーム途中で停電が発生したとき、或いは閉店に際して電源スイッチ80のオフ操作により主電源が断たれたとき、図6,図16に示すように、電源監視部82から出力される「L」レベルの電圧異常信号VSがマイコン39a,46aの最優先割込みポートに供給される。その結果、主制御手段50と払出し制御手段46においては、バックアップ処理プログラムによりバックアップ処理が夫々実行されるとともに、その後CPUは停止状態になる。
【0060】
この主制御手段50により最優先割込みにて実行されるバックアップ処理制御について、図13に基づいて説明すると、遊技状態の記憶、つまり普通図柄や特別図柄の変動中であるか否か、当たり中又は大当たり中か否か等の所定の遊技状態に関連する遊技情報が記憶される(S20)。次に、開閉式入賞手段18の開閉板18aが開放状態のときには直ちに閉鎖されるが、この開閉式入賞手段18内に残存している残存球数を検出して情報メモリに記憶保持され(S21)、入賞による賞球の払出し中のときには払出しモータの駆動は直ちに停止されるが、検出スイッチを通過していない残存球数を検出して情報メモリに記憶保持される(S22)。
【0061】
更に払出し制御手段70への払出し制御コマンド送信中のときには、その払出し制御コマンドの送信制御が完了される(S23)。勿論、このバックアップ処理においては、遊技中に設定された確率変動モードの設定状態を指示する確変情報も同様に、RAM39bの遊技状態メモリに記憶保持されている。
ところで、図12の遊技制御において、電源スイッチ80や初期化スイッチ85の操作なしに主電源がパチンコ機2に投入されたとき、つまり開店時における電源投入ではなく、停電からの復帰のときには(S1:No)、CPUが初期化されたりRAM39b,46bの各種記憶情報が消去されることなく、バックアップデータ復帰処理が実行される(S7)。
【0062】
このバックアップデータ復帰処理においては、遊技状態メモリ39bに記憶保持されている遊技情報に基づいて、例えば、停電直前の確率変動状態が表示ランプにより表示されたり、普通図柄及び特別図柄の保留球数が表示される。このとき、払出し制御手段70においても復帰処理が同時に実行され、未払いの遊技球が払出される。次に、図柄制御手段60などの副制御手段60,70〜72の各々に対して、復帰制御に必要な一群の制御コマンドを送信し、主電源が断たれたときの遊技状態と同一又は略同一の遊技状態に復帰させる送信処理が実行される(S8)。ここで、S8が遊技動作復帰手段に相当する。但し、ここでは、図柄制御手段60に対する一群の制御コマンド送信制御(図14参照)について説明する。
【0063】
先ず、RAM39bに記憶保持していた遊技情報に基づいて、停電発生により主電源が断たれたとき、特別図柄の大当たり中でなく(S30:No)、普通図柄の変動中のときには(S31:Yes )、普通図柄に関する復帰報知情報を表示させる普通図柄復帰表示コマンドと、左普通図柄指定コマンドと、右普通図柄指定コマンドと、普通図柄停止コマンドとからなる複数の制御コマンドが図柄制御手段60に対して順次送信され(S32)、この制御を終了する。つまり、これら一群の複数の制御コマンドが連続的に送信される。
【0064】
また、特別図柄の大当たり中でなく(S30:No)、特別図柄の変動中のときには(S31:No、S33:Yes )、特別図柄に関する復帰報知情報を表示させる特別図柄復帰表示コマンドと、左特別図柄指定コマンドと、中特別図柄指定コマンドと、右特別図柄指定コマンドと、特別図柄停止コマンドとからなる一群の複数の制御コマンドが順次送信され(S 34 )、この制御を終了する。しかし、特別図柄の大当たり中のときには(S30:Yes )、復帰報知情報の表示を阻止する復帰表示阻止コマンドが送信され(S35)、特別図柄復帰状態コマンドと、左特別図柄指定コマンドと、中特別図柄指定コマンドと、右特別図柄指定コマンドとからなる一群の複数の制御コマンドが順次送信され(S36)、この制御を終了する。
【0065】
次に、図柄制御手段60で行われる図柄変動制御について、図15に基づいて説明する。
普通図柄を変動する場合で、主制御手段50から普通図柄復帰表示コマンドを受信したときには(S40・S41:Yes )、図17(a)に示すように、普通図柄に関する復帰報知情報として文字列「フッキ」が普通図柄表示部22a〜22bに表示される(S42)。このとき、復帰報知情報が文字列「フッキ」で表示されるため、停電からの復帰を文字列により明確に報知することができる。
【0066】
そして、主制御手段50から普通図柄停止コマンドを受信したときには(S40:Yes 、S41:No、S43:Yes )、復帰報知情報の表示が自動的に停止され(S44)、当たり又は外れの普通図柄に切換えて表示される(S45)。この場合、図17(b)に示すように、普通図柄表示部22a〜22bにおいては、文字列による復帰報知情報の表示が停止されるとともに、受信した左及び右の普通図柄指定コマンドで指示される外れの普通図柄「星、三日月」、つまり確定図柄が表示される。
【0067】
この場合、主電源が断たれたときの図柄変動(作動態様)が予め定められた特定の作動態様であるため、主電源の復帰時には、主電源が断たれたときの図柄変動とは異なる作動態様で、つまり主制御手段50から図柄制御手段60に図柄変動に関する図柄変動パターン等の制御コマンド送信をしないで、主電源の復帰時に再開する作動態様として、実際の図柄変動制御を行なうことなく(普通図柄の変動を省略)、主電源が断たれたときの作動態様に対して簡略化しているため、主制御手段50と図柄制御手段60における復帰制御を簡単化することができるできる。しかも、図柄変動後の停止図柄を確定できるため、遊技者の利益を確保することができる。
【0068】
ところで、特別図柄を変動する場合で、主制御手段50から特別図柄復帰表示コマンドを受信したときには(S40:Yes 、S41・S43:No、S46:Yes )、図18(a)に示すように、特別図柄に関する復帰報知情報として文字列「停電から復帰しました 遊技を再開して下さい」が特別図柄表示部23a〜23cの一部に表示される(S47)。
【0069】
このように、普通図柄用の文字列からなる復帰報知情報「フッキ」と、特別図柄用の文字列からなる復帰報知情報「停電から復帰しました・・・」とが夫々独立に図柄表示手段21に表示される。そして、主制御手段50から特別図柄停止コマンドを受信したときには(S40:Yes 、S41・S43・S46:No、S48:Yes )、復帰報知情報の表示が自動的に停止され(S49)、大当たり又は外れの特別図柄が表示される(S50)。
【0070】
この場合、図18(b)に示すように、特別図柄表示部23a〜23cにおいては、文字列による復帰報知情報の表示が停止されるとともに、受信した左と中及び右の特別図柄指定コマンドで指示される外れの特別図柄「7、3、1」が表示される。この場合にも、前述した普通図柄の場合と同様に、主制御手段50から図柄制御手段60に図柄変動に関する図柄変動パターン等の制御コマンド送信をしないで、主電源の復帰時に再開する作動態様として、実際の図柄変動制御を簡略化(特別図柄の変動を省略)しているため、主制御手段50と図柄制御手段60における復帰制御を簡単化することができるできる。しかも、図柄変動後の停止図柄を確定できるため、遊技者の利益を確保することができる。
【0071】
ところで、図示していないが、停電が発生したときに、普通図柄と特別図柄とが同時に変動中であって、主制御手段50から、S32に示す複数の制御コマンドと、S34に示す複数の制御コマンドとからなる一群の制御コマンドが連続的に送信された場合に、図柄制御手段60において、普通図柄復帰表示コマンドと特別図柄復帰表示コマンドと受信したときには、図19(a)に示すように、これら普通図柄用と特別図柄用の復帰報知情報が同時に表示される。ここで、S41〜S42とS46〜S47等が復帰表示制御手段63に相当し、S43〜S45とS48〜S50等が表示切換え制御手段64に相当する。
【0072】
そして、普通図柄停止コマンドを受信したときには、図19(b)に示すように、普通図柄用の復帰報知情報の表示が停止され、更に、特別図柄停止コマンドを受信したときには、図19(c)に示すように、特別図柄用の復帰報知情報の表示が停止される。しかし、主電源が断たれたときに大当たり状態で遊技者に利益状態が発生していた場合で、主制御手段50から復帰表示阻止コマンドを受信したときには(S40:Yes 、S41・S43・S46・S48:No、S51:Yes )、その復帰報知情報の表示が阻止される(S52)。
【0073】
その結果、特別図柄表示手段23に復帰報知情報が表示されることはない。そして、受信した図柄指定コマンドに基づいて、大当たりの特別図柄、例えば「7、7、7」が特別図柄表示部23a〜23cに表示される(S53)。この場合には、払出し制御手段46により、停電発生時に未払いであった遊技球が払出されるため、復帰報知情報を改めて表示するまでもなく、遊技者は遊技球の払出しにより停電からの復帰を容易に分かり、弾球遊技を直ぐに再開することができる。また、復帰報知情報の表示を行なわないため、普通図柄制御手段61と特別図柄制御手段62の表示制御を簡単化することができる。
【0074】
ところで、これらの復帰表示コマンドや停止コマンド以外の通常の図柄制御コマンドを受信したときには(S40:Yes 、S41・S43・S46・S48・S51:No)、受信した通常の図柄制御コマンドに基づいて図柄変動制御が実行される(S54)。ここで、前述した遊技制御のS8において、主電源が断たれたとき、図10に示す普通図柄変動タイムチャートにおける区間番号<2>の「客待ちデモンストレーション中」のときには、図20に示すように、4つ(1〜4)からなる一群の制御コマンドが図柄制御手段60に連続的に送信される。
【0075】
また、主電源が断たれたとき、図11に示す特別図柄変動タイムチャートにおける区間番号<6>の「最終回以外の開閉式入賞手段18の開放期間」のときには、図21に示すように、7つ(1〜7)からなる一群の制御コマンドが図柄制御手段60に連続的に送信される。更に、区間番号<8>の「最終回の開閉式入賞手段18の開放から閉鎖までの期間」のときには、図22に示すように、6つ(1〜6)からなる一群の制御コマンドが図柄制御手段60に連続的に送信される。
【0076】
このように、主電源が断たれたときには、普通図柄や特別図柄の変動中か否か、大当たり中か否か等の所定の遊技状態に関連する遊技情報を、バックアップ電源84でバックアップされた主制御手段50の遊技状態メモリ39bに記憶保持しておき、主電源の復帰時に、遊技制御の復帰に必要な一群の制御コマンドを図柄制御手段60に送信するので、図柄制御手段60においては、これら一群の制御コマンドにより、停電により中断した図柄変動の途中から出来る限り違和感なく再開することができる。
【0077】
また、主制御手段50から図柄制御手段60に図柄変動に関する図柄変動パターン等の制御コマンド送信をしないで、主電源の復帰時に再開する作動態様として、実際の図柄変動制御を簡略化した異なる変動態様とするため、主制御手段50と図柄制御手段60における復帰制御を簡単化することができるできる。更に、主電源の復帰時に主電源が断たれたときの図柄変動及び図柄確定を行なえ、遊技者の利益を確保することができる。
【0078】
また、これらの復帰報知情報が独立して夫々専用の表示部に表示されるため、主電源の復帰時に、普通図柄と特別図柄の何れの図柄が変動制御しているのかが容易に分かる。また、主制御手段50に設けた遊技状態メモリ(RAM)39bに、主電源が断たれたときの遊技状態に関連する遊技情報を記憶保持できるため、停電からの復帰時にその遊技情報に基づいて、停電により中断した遊技制御の途中から支障なく再開することができる。
【0079】
普通図柄変動時の復帰報知情報は文字列「フッキ」で表示され、また特別図柄変動時の復帰報知情報も文字列「停電から復帰しました・・・」で表示されるため、何れの遊技者に対する停電からの復帰を文字列により明確に報知することができる。
【0080】
前記実施形態の変更形態について説明する。
1〕普通図柄変動時における復帰報知情報や特別図柄変動時における復帰報知情報は、漢字混じりの「カタカナ」や「ひらがな」だけでなく、停電からの復帰をイメージさせる画像を表示したり、ランプ点灯や音声で復帰したことを報知するようにしてもよい。但し、遊技者に利益状態が発生している場合には、復帰報知情報の表示を行わないが、ランプ点灯や音声で復帰したことを報知するようにしてもよい。
【0081】
2〕主電源が断たれたときに、ランプ制御手段71やサウンド制御手段72等の図柄制御手段60以外の副制御手段(70〜72)の遊技状態に関する遊技情報を主制御手段50の遊技状態メモリ39bに記憶するようにし、主電源の復帰時に、これらの副制御手段(70〜72)に対して、復帰制御に必要な一群の制御コマンドを連続的に送信するようにしてもよい。
【0082】
3〕バックアップ電源84に用いる電解コンデンサ89に代えて、記憶保持用電力を供給可能な二次電池等、種々の記憶用電力貯蔵素子を用いてもよい。
4〕本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更を付加し、更に、パチンコ機に限らず、アレンジボール機、雀球機等の種々の弾球遊技機に本発明を適用することが可能である。
【0083】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、特別図柄表示手段と、入賞手段と、入賞球検出手段と、主制御手段と、副制御手段とを備え、主電源が断たれたときの遊技状態に関連する遊技情報を記憶保持可能な遊技状態記憶手段と、主電源が断たれたとき特別図柄が変動中であるか否か又は大当たり中であるか否かの遊技状態と同じ又はほぼ同じ遊技状態に復帰させる遊技動作復帰手段とを備えたので、遊技制御の復帰に必要な一群の制御コマンドを図柄制御手段に送信でき、これら一群の制御コマンドにより、出来る限り違和感なく停電により中断した遊技状態の途中から、必要最低限の遊技動作を支障なく再開することができる。また、主電源の復帰時に主電源が断たれたときの遊技状態を続行して遊技者の利益を確保できる。
さらに、遊技動作復帰手段において、主電源が断たれたときに特別図柄が変動中であった場合には、主電源の復帰時に特別図柄の変動を省略して特別図柄の変動の後に停止すべき停止図柄を表示させるように図柄制御手段に指令するように構成したので、主電源の復帰時に再開する作動態様(図柄変動)を、主電源が断たれたときの作動態様に対して簡略化が可能となり、主制御手段と図柄制御手段における復帰制御を簡単化できる。しかも、主電源の復帰時に主電源が断たれたときの図柄変動後の停止図柄を確定できるため、遊技者の利益を確保できる。
【0084】
請求項2の発明によれば、前記遊技動作復帰手段は、主制御手段に設けられているので、各副制御手段に遊技動作復帰手段を設けなくてよく、副制御手段の小型化が図れる。その他請求項1と同様の効果が得られる。
【0087】
請求項3の発明によれば、前記遊技状態記憶手段を主制御手段に設け、主制御手段は図柄制御手段に対して制御コマンドを一方向通信にて送信するので、主制御手段から図柄制御手段への種々の制御コマンド送信に際して一方向通信を採用することで、主制御手段において図柄を抽選する抽選機能による遊技者に有利な状態と不利な状態の決定に関する不正を、確実に防止することができる。その他請求項1と同様の効果が得られる。
【0088】
請求項4の発明によれば、前記図柄制御手段が、主制御手段から前記一群の制御コマンドを受信したとき、主電源が復帰した旨の文字列からなる復帰報知情報を図柄表示手段に表示させる復帰表示制御手段を有するので、この復帰表示制御手段により、主電源の復帰時に文字列による復帰報知情報が表示されるため、何れの遊技者に対しても主電源の復帰を明確に報知することができる。その他請求項3と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るパチンコ機(弾球遊技機)の斜視図である。
【図2】パチンコ機の遊技盤の正面図である。
【図3】パチンコ機の背面図である。
【図4】パチンコ機の側面図である。
【図5】パチンコ機の制御系の機能ブロック図である。
【図6】電力供給回路図及び種々の制御信号回路図である。
【図7】遊技制御プログラムに含まれるプログラム内容の図表である。
【図8】払出し制御プログラムに含まれるプログラム内容の図表である。
【図9】コマンドデータテーブルに格納された図柄制御コマンドの図表である。
【図10】普通図柄の変動や当たり動作に関するタイムチャートである。
【図11】特別図柄の変動や当たり動作に関するタイムチャートである。
【図12】遊技制御のフローチャートである。
【図13】主制御手段のバックアップ処理制御のフローチャートである。
【図14】一群の表示制御コマンド送信制御のフローチャートである。
【図15】図柄変動制御のフローチャートである。
【図16】主電源が断たれるとき及びその復帰時における供給電圧と制御信号のタイムチャートである。
【図17】(a)は普通図柄に関する復帰報知情報の表示例の図であり、(b)は復帰報知情報表示を停止したときの普通図柄の表示例の図である。
【図18】(a)は特別図柄に関する復帰報知情報の表示例の図であり、(b)は復帰報知情報表示を停止したときの特別図柄の表示例の図である。
【図19】(a)は普通図柄と特別図柄に関する復帰報知情報の表示例の図であり、(b)は普通図柄用の復帰報知情報表示を停止した普通図柄の表示例の図であり、(c)は特別図柄用の復帰報知情報表示を停止したときの特別図柄の表示例の図である。
【図20】デモンストレーション中に関する一群の制御コマンドの図表である。
【図21】開閉式入賞手段の開放中に関する一群の制御コマンドの図表である。
【図22】最終回の開閉式入賞手段の閉鎖に関する一群の制御コマンドの図表である。
【符号の説明】
2 パチンコ機(弾球遊技機)
17 図柄始動手段
18 開閉式入賞手段
19 普通入賞手段
21 図柄表示手段
39b RAM
50 主制御手段
60 図柄制御手段
70 払出し制御手段
71 ランプ制御手段
72 サウンド制御手段
Claims (4)
- 特別図柄を表示可能な特別図柄表示手段(23)と、遊技領域(5a)に配設される入賞手段(17 〜19) と、この入賞手段(17 〜19) に入賞した遊技球を検出する入賞球検出手段と、この入賞球検出手段の検出信号を受けて主に遊技盤(5) 側の制御を行う主制御手段(50)と、主制御手段(50)から受ける制御コマンドに基づいて特別図柄表示手段(23)を制御する図柄制御手段(60)とを備えた弾球遊技機であって、
主電源が断たれたとき特別図柄が変動中であるか否か又は大当たり中であるか否かの遊技状態に関連する遊技情報を主電源が断たれた後も記憶保持可能な遊技状態記憶手段(39b) と、
主電源の復帰時に、遊技状態記憶手段(39b) の遊技情報に基づいて、図柄制御手段(60)の遊技制御の復帰に必要な一群の制御コマンドを主制御手段(50)から図柄制御手段(60)へ連続的に送信し、主電源が断たれたときの遊技状態と同じ又はほぼ同じ遊技状態に復帰させる遊技動作復帰手段(S8)とを備え、
前記遊技動作復帰手段(S8)は、主電源が断たれたときに特別図柄が変動中であった場合には、主電源の復帰時に特別図柄の変動を省略して前記特別図柄の変動の後に停止すべき停止図柄を表示させるように図柄制御手段(60)に指令するように構成された、
ことを特徴とする弾球遊技機。 - 前記遊技動作復帰手段(S8)は、主制御手段(50)に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。
- 前記遊技状態記憶手段(39b) を主制御手段(50)に設け、前記主制御手段(50)は図柄制御手段(60)に対して制御コマンドを一方向通信にて送信することを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。
- 前記図柄制御手段(60)は、主制御手段(50)から前記一群の制御コマンドを受信したとき、主電源が復帰した旨の文字列からなる復帰報知情報を図柄表示手段に表示させる復帰表示制御手段(63)を有することを特徴とする請求項3に記載の弾球遊技機。
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