JP4275939B2 - タンタル化合物及び/又はニオブ化合物の回収方法 - Google Patents

タンタル化合物及び/又はニオブ化合物の回収方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、タンタル化合物及び/又はニオブ化合物の回収方法に係る。より詳細には、例えば、タンタルフッ化物及び/又はニオブフッ化物を含む廃棄物又は該廃棄物の水溶液から、まずフッ素をフッ化カルシウムとして回収する。この時、タンタル化合物及び/又はニオブ化合物は不溶性の化合物となり、フッ化カルシウム中に取り込まれる。その後、回収したフッ化カルシウムを酸性溶液に分散させ、タンタル化合物及び/又はニオブ化合物を溶出させる。濾別後、中和・洗浄を行なうことにより、水酸化タンタル及び/又は水酸化ニオブを回収する。更に回収した水酸化タンタル及び/又は水酸化ニオブを再度フッ酸に溶解させた後、精製方法を取り入れることで不純物を除去出来、高純度タンタル化合物及び/又はニオブ化合物として再利用することが可能となる。
【0002】
タンタルは、その用途が広く、耐食性、耐熱性に優れているため化学工業用として蒸留塔、オートクレーブ、熱交換器、化学繊維用紡糸ノズルなど各種化学装置に用いられている。また一般にタンタル酸化皮膜は、弁作用(電極が正極であれば誘電体に動作するが、逆に電極が負極であると誘電体として動作しないという特性、すなわち整流特性)と呼ばれる特性を有しているため、電解コンデンサの電極材料として使用され、搬送機器、電子機器、電子制御機器などに用いられている。また携帯電話のノイズ除去用の表面弾性波(SAW)フィルターとしてタンタル酸リチウム単結晶ウェハが使用されており、移動体通信市場の拡大に伴い、その需要が大幅に拡大している。さらに炭化タンタルは超硬切削工具用材料として、酸化タンタルは光学レンズの添加剤として利用されており、タンタルの重要性は極めて大きく、その需要は増大している。
【0003】
ニオブは、鋼中の炭素を安定化し、粒間腐食を防ぐ効果があるので鉄鋼添加材として使用されており、これが最大の用途である。また高圧ナトリウムランプのランプ発光部に付随する導電管としてニオブ合金が実用化されており、さらに超伝導材料や超合金の添加元素などに利用されている。
タンタル(Ta)やニオブ(Nb)は、酸化物の状態で互いに随伴して採掘されるのが普通である。タンタルはニオブと同族にあって、極めて似た性質を持っている為、工業的には同属である両者を化学的な手法により、完全に分離してから、各々の金属の精製を行なっている。
【0004】
この化学的な手法で精製される金属タンタルや金属ニオブの中間的な原料は、K2TaF7及び/又はK2NbF7であり、フッ化タンタルカリウム又はフッ化ニオブカリウムと呼ばれている。金属タンタル及び/又は金属ニオブを製造するには、この中間原料をナトリウムやカリウムの如きアルカリ金属を用いて還元する方法が行われており、その還元反応は次の通りである。
2TaF7 + 5Na = Ta +2KF + 5NaF
2NbF7 + 5Na = Nb +2KF + 5NaF
【0005】
この還元反応は、空気を絶った雰囲気下、摂氏1000℃近い高温で行われ、所定の比表面積を持った粉末状の金属タンタルや金属ニオブとして得られる。電子産業界では各種の比表面積を持った金属タンタル粉末や金属ニオブ粉末が求められ、このため比表面積の大小を調整することが必要とされ、その方法として、フッ化タンタルカリウムやフッ化ニオブカリウムに対し、フッ化カリウム、塩化カリウム又は塩化ナトリウム等の無機塩を希釈剤として使用することが提案されている(特開昭48−43006号公報、特開昭62−278210号参照)。
【0006】
金属タンタル粉末や金属ニオブ粉末の製造法は、バッチ方式で行われ、反応が終了すると生成物は冷却される。冷却後には比重の重い金属タンタル粉末や金属ニオブ粉末が、反応器の底部に沈澱し、比重の軽い無機塩類は反応器の上部に堆積した状態で取り出される。この際フッ化カリウム、フッ化ナトリウム及び希釈剤として使用された無機塩が、冷却時に群集し、10〜1000mm程度の塊となる。この際群集中に金属タンタル粉末や金属ニオブ粉末の他に、原料として用いたフッ化タンタルカリウム及び/又はフッ化ニオブカリウムが0.01〜10wt%ほど取り込まれてしまう。またこれらを洗浄する際に、フッ化タンタルカリウムやフッ化ニオブカリウムが水に溶解し、廃水へと流出してしまう。
【0007】
更に、タンタルとニオブを分離する際、フッ酸溶液に五酸化タンタル及び/又は五酸化ニオブを溶解させた後、有機溶媒抽出法、イオン交換法、塩析・晶析法などが行なわれているが、溶解時、分離時、洗浄時等に、タンタルフッ化物及び/又はニオブフッ化物が、残存したり、廃水中に流出するなどしている。
【0008】
而して、このようなタンタル化合物及び/又はニオブ化合物は、希少品であるにも係わらず、近年需要が大幅に増大している。また数年前には、タンタル化合物及び/又はニオブ化合物の供給が需要に追いつかない状況下にもあった。このため、原料としてタンタルやニオブの製造工程で生じる廃棄物や不要になった製品を再利用することが近年試みられている。
【0009】
例えば、特開2000−7339号には、原料であるタンタル含有廃棄物を焙焼し、これによりタンタル含有廃棄物中の有機物を除去し、かつ金属タンタルおよび不純物を酸化物に変換し、その後フッ酸による溶解を行なう方法が開示されている。また、特開2000−7338号には、タンタル酸化物含有スラッジを原料とし、このスラッジに酸処理またはアルカリ処理を行なってタンタル品位を高めた後、フッ酸溶解工程に供する方法が開示されている。
【0010】
しかし、タンタル化合物及び/又はニオブ化合物含有スラッジ(廃棄物)の種類あるいは使用している副原料等により、タンタル化合物及び/又はニオブ化合物の処理・再利用方法は、大幅に異なっている。その為これらの方法がそのままタンタルフッ化物及び/又はニオブフッ化物を含む廃棄物又は該廃棄物の水溶液から、タンタル化合物及び/又はニオブ化合物のリサイクル方法として適用出来る訳ではない。
【0011】
このタンタルフッ化物及び/又はニオブフッ化物を含む廃棄物及び/又は該溶液の例として、フッ化タンタルカリウム及び/又はフッ化ニオブカリウムを用いた金属タンタル及び/又は金属ニオブ還元工程から発生する副生混合塩やその副生混合塩溶液(例えば洗浄溶液等)及び廃水、或いは、タンタルとニオブを分離する際、フッ酸溶液に五酸化タンタル及び/又は五酸化ニオブを溶解させた後、有機溶媒抽出法、イオン交換法、塩析・晶析法などが行なわれているが、溶解時、分離時、洗浄時等に生じるタンタルフッ化物及び/又はニオブフッ化物等が挙げられる。
【0012】
その中でフッ化タンタルカリウム及び/又はフッ化ニオブカリウムを用いた金属タンタル及び/又は金属ニオブ還元工程から発生する副生混合塩から、タンタル化合物及び/又はニオブ化合物を回収し、更に望ましくはこれ等をリサイクルする方法を以下で説明しているが、本発明はこれに何等制限されるものではない。
【0013】
そこで本発明者が実施可能と考えられる方法を実際に行なってみた。この方法は以下の方法である。
即ち、このフッ化タンタルカリウム及び/又はフッ化ニオブカリウムを用いた金属タンタル及び/又は金属ニオブ還元工程から発生する副生混合塩の回収及びリサイクル方法として、取り込まれている金属タンタル、フッ化タンタルカリウム及び/又は金属ニオブ、フッ化ニオブカリウム及び希釈剤として用いたフッ化カリウム、フッ化ナトリウム等の副生混合塩を酸性水溶液に一旦完全に溶解させた後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等で中和する方法である。
【00014】
その際、主にTa(OH)5及び/又はNb(OH)5が沈殿し、タンタル化合物及び/又はニオブ化合物として一部回収出来るものの、Na2TaF7,K2TaF7,NaxTa(SO4y,KxTa(SO4y及び/又はNa2NbF7,K2NbF7,NaxNb(SO4y,KxNb(SO4y等の溶解度分を回収することは難しいことが判明した。また副生混合塩を溶解させる際、タンタル化合物及び/又はニオブ化合物以外で、最も溶解度の低いNaFが溶け残らない程度まで溶解する必要があることも判明した。
【0015】
一方タンタル化合物及び/又はニオブ化合物の含有率は0.01〜10wt%程度である為、酸性溶液中で、Na2TaF7,K2TaF7,NaxTa(SO4y,KxTa(SO4y及び/又はNa2NbF7,K2NbF7,NaxNb(SO4y,KxNb(SO4y等の溶解は十分可能なレベルである。従ってこの方法ではタンタル化合物及び/又はニオブ化合物を高回収率とすることはやはり困難であることも本発明者の研究で明らかとなった。
【0016】
この方法とは別に、アンモニウム化合物及び/又はヒドラジン化合物で中和することにより、特異的にTa(OH)5及び/又はNb(OH)5を高回収率で得ることは可能であることが本発明者の研究で明らかとなった。そしてこの際タンタル化合物及び/又はニオブ化合物を回収後、濾過後のアンモニウム水溶液に硫酸カルシウム等を加えてフッ素をフッ化カルシウムとして固定化した後、更にその濾液を濃縮させることにより、化学肥料として使用可能な硫酸アンモニウム等が得られる。この方法は極めて優れた方法であるが、最後の濃縮時にかなり水を蒸発させなければならない若干の不利がある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、上記方法の難点を解消することであり、更に詳しくは、タンタルフッ化物及び/又はニオブフッ化物を含む廃棄物又は該廃棄物の水溶液から、フッ素をフッ化カルシウムとして回収(この時、タンタル化合物及び/又はニオブ化合物は不溶性の化合物となり、フッ化カルシウム中に取り込まれる)した後、酸性溶液を用いタンタル化合物及び/又はニオブ化合物を溶出させる。その後、中和、晶析操作を加え、得られた結晶にアンモニウム化合物及び/又はヒドラジン化合物とを反応させ、洗浄を行なうことにより、Ta(OH)5及び/又はNb(OH)5を高い回収率で得ることが出来る。
【0018】
またこの際溶出後直接アンモニウム化合物及び/又はヒドラジン化合物と反応、洗浄を行なうことにより、Ta(OH)5及び/又はNb(OH)5を高い回収率で得ることも出来る。更にその後、精製を行なうことにより高純度タンタル化合物及び/又はニオブ化合物として再利用する効果的な手法を提供しようとするものである。
【0019】
更に、アンモニア廃水とカルシウム化合物を反応させた後、硫酸アンモニウムとして回収する際、濾液濃縮量は40%未満で十分であり、水の蒸発が少なくてすみ、工業的にも優れた手法を提供しようとするものである。
【0020】
【課題を解決する為の手段】
本発明は、(イ)タンタル化合物及び/又はニオブ化合物を含むフッ化カルシウムを酸性溶液中に分散させ、タンタル化合物及び/又はニオブ化合物を含む溶液とタンタル化合物及び/又はニオブ化合物を含有しないフッ化カルシウムとを得、(ハ−1)ここに得た溶液を、アルカリ中和後、晶析を行ないタンタル化合物及び/又はニオブ化合物を結晶に濃縮させ、さらにアンモニウム化合物及び/又はヒドラジン化合物と反応させて水酸化タンタル及び/又は水酸化ニオブを回収するか、(ハ−2)又は上記(ハ−1)の溶液にアンモニウム化合物及び/又はヒドラジン化合物により中和後水酸化タンタル及び/又は水酸化ニオブを沈殿させて直接回収することを特徴とするタンタル化合物及び/又はニオブ化合物の回収方法である。
前記タンタル化合物及び/又はニオブ化合物を含むフッ化カルシウムは、タンタルフッ化物及び/又はニオブフッ化物を含む廃棄物又は該廃棄物の水溶液を、カルシウム化合物と反応させたものである。
タンタルフッ化物及び/又はニオブフッ化物を含む廃棄物又は該廃棄物の水溶液から、まずフッ素をフッ化カルシウムとして回収する。この時、タンタル化合物及び/又はニオブ化合物は不溶性の化合物となり、フッ化カルシウム中に取り込まれる。その後回収したフッ化カルシウムを酸性溶液に分散させ、タンタル化合物及び/又はニオブ化合物を溶出させる。この際これ等タンタル化合物及び/又はニオブ化合物を含まないフッ化カルシウムが副生する。濾別後、中和、晶析操作を行ない、得られた結晶にアンモニウム化合物及び/又はヒドラジン化合物を反応させ、洗浄を行なって、Ta(OH)5及び/又はNb(OH)5を高い回収率で得る。また溶出後直接アンモニウム化合物及び/又はヒドラジン化合物と反応させて、洗浄を行なうことにより、Ta(OH)5及び/又はNb(OH)5を高い回収率で得ることも出来る。更に回収したTa(OH)5及び/又はNb(OH)5を再度フッ酸に溶解させた後、精製を行なうことで不純物を除去出来、高純度タンタル化合物及び/又はニオブ化合物として回収出来、これ等を再利用することが出来る。
【0021】
またその際生じたアンモニア廃水から、40%未満の濾液濃縮量で硫酸アンモニウムとすることが出来、化学肥料として再利用出来る。更にフッ化カルシウムは、フッ酸原料として使用することも可能となり、リサイクルシステムのとれた優れた手法である。以下に本発明のフローシートを図1に示す。
本発明のタンタルフッ化物及び/又はニオブフッ化物を含む廃棄物及び/又は該溶液は、特に限定されるものでは無く、タンタルフッ化物及び/又はニオブフッ化物を含む廃棄物及び/又はその溶液であれば、全て対象となる。
【0022】
本発明では、タンタルフッ化物及び/又はニオブフッ化物を含む廃棄物及び/又はその溶液と、カルシウム化合物を反応させ、フッ素をフッ化カルシウムとして回収する。反応に使用するカルシウム化合物としては、特に限定されるものではなく、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム等を好ましいものとしてあげることが出来る。また反応条件についても特に限定されるものではないが、以下の条件が好ましい。
【0023】
タンタルフッ化物及び/又はニオブフッ化物を含む廃棄物とカルシウム化合物の反応において、タンタルフッ化物及び/又はニオブフッ化物を含む廃棄物を完全に溶解させた後、カルシウム化合物と反応させても良く、また、完全に溶解してなくとも、溶解度の差を利用し、不溶解物を分離した後、カルシウム化合物と反応させても良い。
【0024】
カルシウム化合物の添加方法は、固体のまま添加しても良いし、予めカルシウム化合物の水分散液を調製して、これを添加しても良い。カルシウム化合物は、タンタルフッ化物及び/又はニオブフッ化物を含む廃棄物溶液に同時に添加しても良いし、どちらか一方を先に添加して、しばらくしてから他方を添加しても良い。
【0025】
また、反応に用いるカルシウム化合物量として、フッ素をフッ化カルシウムにするのに必要な量のカルシウム化合物を用いればよく、タンタルフッ化物及び/又はニオブフッ化物を含む廃棄物100重量部に対してカルシウム化合物10〜100000重量部が好ましい。その中でも10〜1000重量部が特に好ましい。
更に、本発明においては、反応の前後、または最中に、高分子凝集剤を添加しても良い。高分子凝集剤としてポリアクリルアミド系凝集剤、ポリメタアクリル酸エステル系凝集剤、ポリアクリル酸ソーダ系凝集剤、ポリアミン系凝集剤、アミノ縮合系凝集剤等の使用が可能である。その使用量は、タンタルフッ化物及び/又はニオブフッ化物を含む廃棄物溶液に対して、5〜20ppm用いても良い。
【0026】
溶解、反応、及び洗浄時の水温は、室温で扱える15℃以上が良く、15〜100℃、好ましくは40〜90℃とする。またタンタルフッ化物及び/又はニオブフッ化物を含む廃棄物とカルシウム化合物との反応時間は、特に限定されるものではないが、0.01〜48時間程度が好ましい。しかし、0.01〜3時間が工業的にも特に好ましい。また、タンタルフッ化物及び/又はニオブフッ化物を含む廃棄物とカルシウム化合物との反応は、常圧下、真空下、加圧下、何れで行っても良い。
【0027】
回収されたフッ化カルシウム中には、0.01〜10重量%のタンタル化合物及び/又はニオブ化合物を含んでいる。しかし、これらタンタル化合物及び/又はニオブ化合物は酸性溶液でなければ溶解しない。本発明では酸性溶液として好ましくは、フッ酸、硫酸、塩酸等があげられる。この中でもフッ酸が特に好ましい。また、硫酸を用いても構わないが、フッ化カルシウムと反応して、フッ酸を生じる為、硫酸の場合は50wt%以下が特に好ましい。他の酸について濃度は特に限定されるものでは無い。またこれらの酸の混酸を使用しても構わない。
【0028】
酸性溶液の量は、フッ化カルシウムを分散させるに必要な量が好ましく、100重量部のフッ化カルシウムに対して10〜100000重量部が好ましい。しかし酸性溶液の量が多くなると、その後の工程で蒸発させる水量が増加する為、特に好ましくは100〜1000重量部の酸性溶液を用いると良い。
【0029】
分散時の温度は、室温で扱える15℃以上が良いが、タンタル化合物及び/又はニオブ化合物の溶解度を高める為、好ましくは15〜100℃、特に好ましくは40〜90℃とする。分散時の反応時間は、特に限定されるものではないが、0.01〜48時間程度が好ましい。しかし、0.01〜3時間が工業的にも特に好ましい。また反応は、常圧下、真空下、加圧下、何れで行なっても良い。
【0030】
濾過により、フッ化カルシウムと(酸性)濾液に濾別する。濾過後に洗浄を行なっても構わない。洗浄水は100重量部のフッ化カルシウムに対して10〜100000重量部が好ましい。しかし水の量が多くなると、その後の工程で蒸発させる水量が増加する為、特に好ましくは100〜1000重量部の水を用いて洗浄を行なうと良い。なお、洗浄は繰り返し行なっても構わない。また洗浄水の温度も特に限定されないが、特に好ましくは、15〜90℃である。
【0031】
濾液にアルカリを加え、沈殿を生じさせる。ここでアルカリとしては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、アンモニア、アンモニア水、あるいは炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウムなどのアンモニウム化合物、ヒドラジン、抱水ヒドラジン水溶液などのヒドラジン化合物を用いると良い。この中で生じる沈殿の溶解度の観点からは、アンモニウム化合物、ヒドラジン化合物、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが好ましい。
【0032】
用いるアルカリ量は、(酸性)濾液を中和させるに必要な量が好ましく、100重量部の(酸性)濾液に対して10〜100000重量部が好ましい。この時のpHはpH>7が好ましいが、強アルカリになることで、タンタル化合物及び/又はニオブ化合物の溶解度が上がる為、特に好ましいpHはpH8〜10である。
【0033】
中和時の温度は特に限定されるものでは無いが、好ましくは40〜90℃である。中和後に冷却し晶析操作を行なっても構わない。晶析操作としては、冷却法、濃縮法(例えば蒸発濃縮法)、断熱蒸発法その他の方法が用いられる。冷却法の場合、冷却時の温度も特に限定されるものでは無いが、好ましい温度は−10〜30℃である。
【0034】
中和およびその後の冷却時間も特に限定されるものでは無いが、0.01〜48時間程度が好ましい。しかし、0.01〜3時間が工業的にも特に好ましい。また反応は、常圧下、真空下、加圧下、何れで行なっても良い。
【0035】
中和の際、アンモニウム化合物、ヒドラジン化合物を用いた場合、Ta(OH)5及び/又はNb(OH)5を高回収率で得ることが出来る。これら回収されたTa(OH)5及び/又はNb(OH)5は、後の精製工程で精製した後、高純度タンタル化合物及び/又はニオブ化合物としてリサイクルされる。
【0036】
また、中和の際に、アルカリ金属塩(水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム)を用いた場合は、フッ化ナトリウム及び/又は硫酸ナトリウム、或いは硫酸カリウムが沈殿として生じる。一方、タンタル化合物及び/又はニオブ化合物は、この沈殿中に取り込まれた形で共沈してくる。この際、ナトリウム塩を使用した場合は、生じる沈殿中にタンタル化合物及び/又はニオブ化合物が優先的に取り込まれ、濾液中にはほとんどタンタル化合物及び/又はニオブ化合物が存在しない。一方、カリウム塩を使用した場合は、生じる沈殿と濾液中のタンタル化合物及び/又はニオブ化合物はほぼ同量である為、ナトリウム塩を使用することが特に好ましい。
【0037】
中和の際にアルカリ塩(アルカリ=ナトリウム、カリウム)を使用した場合は、沈殿中からタンタル化合物及び/又はニオブ化合物を取り出さなければならない。そこで、沈殿(フッ化ナトリウム及び/又は硫酸ナトリウム、或いは硫酸カリウム)にアンモニウム化合物、ヒドラジン化合物を反応させた後、洗浄を行なうことで、水溶性のフッ化アンモニウム、硫酸アンモニウム等は濾液として溶液側に移行する。一方洗浄後の沈殿として、不溶性のTa(OH)5及び/又はNb(OH)5が残存し、これらは、後の精製工程で精製した後、高純度タンタル化合物及び/又はニオブ化合物としてリサイクルされる。
【0038】
アンモニウム化合物、ヒドラジン化合物と反応させることで、タンタル化合物及び/又はニオブ化合物の回収率は90%以上とすることが可能である。
【0039】
用いるアンモニウム化合物、ヒドラジン化合物量は、100重量部の沈殿(フッ化ナトリウム及び/又は硫酸ナトリウム、或いは硫酸カリウム)に対して1〜100000重量部が好ましく、特に好ましくは10〜1000重量部である。また反応時の温度は、特に限定されるものでは無いが、好ましくは15〜90℃である。更に反応時間も特に限定されるものでは無いが、0.01〜48時間程度が好ましい。しかし、0.01〜3時間が工業的にも特に好ましい。また反応は、常圧下、真空下、加圧下、何れで行なっても良い。
【0040】
更に洗浄に用いる水の量は100重量部の沈殿(フッ化アンモニウム、硫酸アンモニウム等)に対して10〜100000重量部が好ましい。しかし水の量が多くなると、その後の工程で蒸発させる水量が増加する為、特に好ましくは10〜1000重量部の水を用いて洗浄を行なうと良い。なお、洗浄は繰り返し行なっても構わない。また洗浄水の温度も特に限定されるものでは無く、15〜90℃が好ましいが、沈殿(フッ化アンモニウム、硫酸アンモニウム等)の溶解度を高める為、特に好ましくは、40〜90℃である。
【0041】
ここで、上記反応により得られたフッ化アンモニウム水溶液、硫酸アンモニウム水溶液にカルシウム化合物と反応させることで、フッ化カルシウムが沈殿として得られる。ここで用いるカルシウム化合物として、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム等が挙げられる。またアンモニウム化合物を硫酸アンモニウムとして回収するため、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウムを用いる場合は、硫酸を添加した後にこれらカルシウム化合物と反応させると良い。
【0042】
更に濾液として得られた硫酸アンモニウム水溶液を、濃縮させることで、硫酸アンモニウム結晶を取り出すことが出来る。溶液を濃縮させる際は、40%未満の濃縮で十分であり、更に、冷却晶析を行なうことで、硫酸アンモニウムを定量的に回収することが出来る。このようにして得られたフッ化カルシウムは、フッ酸製造原料として、硫酸アンモニウムは化学肥料として再利用可能である。
【0043】
フッ化アンモニウム水溶液、硫酸アンモニウム水溶液とカルシウム化合物との反応条件も特に限定されるものでは無く、温度は15〜90℃が特に好ましく、常圧、真空下、加圧下何れの条件で行なっても構わない。またカルシウム化合物の量は、フッ化アンモニウム100重量部に対し、10〜100000重量部であるが、100〜1000重量部が特に好ましい。更に用いる硫酸の量も特に限定されるものではなく、フッ化アンモニウム100重量部に対し、10〜100000重量部であるが、100〜1000重量部が特に好ましい。
【0044】
また回収されたTa(OH)5及び/又はNb(OH)5をフッ酸に溶解後、精製操作を行なうことで、各種製品の効率的な製造に適した高純度タンタル化合物及び/又はニオブ化合物とすることが可能となる。なお、精製方法については、特に限定されるものではなく、一般的な方法を使用することが出来る。例えば以下の方法を例示出来る。
【0045】
タンタル化合物及び/又はニオブ化合物を有機溶媒により抽出分離する方法、F型陰イオン交換樹脂を用いタンタル化合物及び/又はニオブ化合物と他の不純物金属と分離しする方法、塩析剤濃度と水素イオン濃度差を利用して分離する方法、有機溶媒を固定化または架橋した吸収剤を用いタンタル化合物及び/又はニオブ化合物を吸収させ溶液から除去する方法、タンタル化合物及び/又はニオブ化合物の溶解液から晶析操作にて精製する方法等が挙げられるが、何れの方法を用いても構わない。
【0046】
【作用】
本発明は、回収の際生じたアンモニウム化合物を、硫酸アンモニウムとすることで、化学肥料として再利用出来る。更に、フッ化カルシウムは、フッ酸原料として使用することも可能となり、リサイクルシステムのとれた手法である。
タンタルフッ化物及び/又はニオブフッ化物を含む廃棄物又は該廃棄物の水溶液から、水酸化タンタル及び/又は水酸化ニオブを高い回収率で得ることが出来る。更に、回収した水酸化タンタル及び/又は水酸化ニオブを再度フッ酸に溶解させた後、精製を行なうことで不純物を除去出来、高純度タンタル化合物及び/又はニオブ化合物として再利用することを特徴とする。
【0047】
【実施例】
以下に本発明の代表的な例を示しながら更に具体的に説明する。尚、これらは説明の為の単なる例示であって、本発明はこれらに何等制限されるものではない。また実施例における評価は以下の(1)〜(3)の方法により実施した。
(1)金属不純物量・・・誘導結合プラズマ原子発光分析装置にて評価。
(2)純度・・・蛍光X線装置にて評価。
(3)結晶構造解析・・・X線回折装置(XRD)により評価。
【0048】
【実施例1】
フッ化タンタルカリウムをNa還元して金属タンタル粉末を製造する際に副生する、フッ化カリウムとフッ化ナトリウムを主成分とする副生混合塩(含タンタル化合物)10kgを水80kgに溶解させた後、硫酸カルシウム8.0kgを加え、2時間、50℃にて反応を行ない吸引濾過により、フッ化カルシウムを取り出した。フッ化カルシウム中のタンタル濃度は2.0wt%存在していたのに対し、濾液中のタンタル濃度は<10ppmであった。
【0049】
タンタルを2.0wt%含有した回収フッ化カルシウム5.0kgに、5wt%フッ酸10.0kgを加えて、50℃にて2時間分散させた後、吸引濾過により、フッ化カルシウムと濾液に分離した。フッ化カルシウム中のタンタル濃度は0.05wt%であり、タンタルのほとんどが濾液に移行していた。
【0050】
更に、この濾液に水酸化ナトリウム1.5kgを加え、中和させた後、50℃で30分加温を行なった。その後、−5℃で3時間、晶析を行なった後、吸引濾過により、沈殿と濾液に分離した。この時、濾液中のタンタル濃度は20ppmであり、タンタルは沈殿側に移行していることが確認された。沈殿をXRDにて分析したところ、フッ化ナトリウムが主成分であった。
【0051】
この沈殿に、80wt%抱水ヒドラジン溶液0.3kgを加えた後、吸引濾過を行ない、60℃温水0.6kgで洗浄を行なった。ロート上に残存した沈殿0.15kgを50wt%フッ酸0.3kgに60℃で溶解させ、その後−20℃にて晶析を行なった後、吸引濾過にて、結晶と濾液に分離した(タンタル回収率>95%)。
【0052】
結晶に30wt%アンモニア水を加え、沈殿を生成させた後、吸引濾過にて分離、洗浄後、水酸化タンタルを取り出した。さらに大気下、電気炉にて1000℃で6時間焙焼を行なった。その後、結晶を取り出し、XRDにて分析したところ、Ta25であった。さらにこのTa25中の金属不純物を測定した結果、Nb<10ppm,K<10ppm,Na<10ppm,Ti<1ppm,Fe<1ppm,Ni<1ppm,Al<1ppm,Sb<1ppmであった。
【0053】
更にヒドラジン濾液0.9kgに0.6kgの硫酸カルシウムを加え、濾過を行なった後、−5℃にて晶析を行なったところ、結晶が析出した。結晶を分離後、乾燥し、結晶構造解析を行なった処、(NH42SO4であり、化学肥料としての使用が可能であった。結晶析出量は95%であり、定量的に回収することが出来た。また、得られたフッ化カルシウムはリパルプ洗浄を行なった処、フッ酸原料として、十分使用可能なグレードであった。
【0054】
【実施例2】
フッ化タンタルカリウムを含む金属タンタル粉末製造時の廃水20kgに、水酸化カルシウム3kgを加え、5時間、室温にて反応を行ない吸引濾過により、フッ化カルシウムを取り出した。フッ化カルシウム中にタンタルが1.8wt%存在していたのに対し、濾液中のタンタル濃度は<10ppmであった。
タンタルを1.8wt%含有した回収フッ化カルシウム2.7kgに、10wt%フッ酸3.2kgを加えて50℃にて、2時間分散させた後、吸引濾過により、フッ化カルシウムと濾液に分離した。フッ化カルシウム中のタンタル濃度は0.01wt%であり、タンタルのほとんどが濾液に移行していた。
【0055】
更にこの濾液に、30wt%アンモニア水3.0kgを加えた後、吸引濾過を行ない、50℃温水4.1kgで洗浄を行なった。ロート上に残存した沈殿0.07kgを50wt%フッ酸0.15kgに60℃で溶解させ、さらに6N 硫酸0.2kg を加えた後、シクロヘキサノン0.8kg を入れ、Nb 及びTa を有機層へ抽出した。さらにこの有機層を1N 硫酸水溶液0.3kgで、再抽出を行ない、10 分間混合した後静置し、下層の水溶液層と上層のシクロヘキサノン層を分液し、Ta 抽出溶液を得た。このTa 抽出溶液にフッ化カリウム0.1kgを加え、−20℃で晶析を行なったところ、フッ化タンタルカリウム0.1kgが得られた(タンタル回収率>95%)。
【0056】
得られたフッ化タンタルカリウム中の金属不純物を測定した結果、Nb<1ppm,Ti<1ppm,Fe<1ppm,Ni<1ppm,Al<1ppm,Sb<1ppmであった。
【0057】
【実施例3】
フッ化ニオブカリウムを製造時、容器洗浄及びロート洗浄等で流出した廃水100kgに、水酸化カルシウム10kgを加え、3時間、60℃にて反応を行ない、吸引濾過により、フッ化カルシウムを取り出した。フッ化カルシウム中のニオブ濃度は3.7wt%存在していたのに対し、濾液中のニオブ濃度は<10ppmであった。
【0058】
ニオブを3.7wt%含有した回収フッ化カルシウム9.0kgに、10wt%硫酸9.0kgを加えて50℃にて5時間分散させた後、吸引濾過により、フッ化カルシウムと濾液に分離した。フッ化カルシウム中のニオブ濃度は<100ppmであり、ニオブのほとんどが濾液に移行していた。
【0059】
更に、この濾液に炭酸カリウム1.35kgを加え、中和させた後、30℃で60分加温を行なった。その後、0℃で3時間、晶析を行なった後、吸引濾過により、沈殿と濾液に分離した。この時、濾液中のニオブ濃度は80ppmであり、ニオブはほとんど沈殿側に移行していることが確認された。沈殿をXRDにて分析したところ、硫酸カリウムが主成分であった。
【0060】
この沈殿に、30wt%アンモニア水2.5kgを加えた後、吸引濾過を行ない、60℃温水4.0kgで洗浄を行なった。ロート上に残存した沈殿0.55kgを50wt%フッ酸1.0kgに60℃で溶解させ、その後−20℃にて晶析を行なった後、吸引濾過にて、結晶と濾液に分離した(ニオブ回収率>90%)。
【0061】
得られた結晶を250℃で3時間乾燥を行なった処、乾燥後の結晶はNbO2Fであった。得られたNbO2Fを大気下、電気炉にて1000℃で8時間焙焼を行なった。その後、結晶を取り出し、XRDにて分析したところ、Nb25であった。さらにこのNb25中の金属不純物を測定した結果、Ta<10ppm,K;20ppm,Na<10ppm,Ti<1ppm,Fe<1ppm,Ni<1ppm,Al<1ppm,Sb<1ppmであった。
【0062】
溶解性のタンタル化合物も一旦不溶性のタンタル化合物にした後、酸に溶解してタンタル化合物を回収する方法と、溶液にアルカリを加えて直接タンタルを回収する方法と比較を行なうため、以下比較例1及び比較例2の実験を行なった。
【0063】
【比較例1】
フッ化タンタルカリウムをNa還元して金属タンタル粉末を製造する際に副生する、フッ化カリウムとフッ化ナトリウムを主成分とする副生混合塩(含タンタル化合物)10kgを水80kgに溶解させた後、若干溶け残ったタンタル化合物を溶解させる為、98%硫酸を5.0kg加え完全に溶解させた。溶液中のタンタル濃度は500ppmであった。
【0064】
その後、10℃にて水酸化ナトリウム2.5kgを加えた後、−2℃まで冷却し、沈殿物を吸引濾過により回収した。回収物の重量は0.05kgであり、濾液中のタンタル濃度は150ppmであった。
得られた沈殿の分析を行なったところ、Ta(OH)5とNa2TaF7の混合物であった。しかし、タンタル回収率は70%と低い値であった。
【0065】
【比較例2】
フッ化タンタルカリウムをNa還元して金属タンタル粉末を製造する際に副生する、フッ化カリウムとフッ化ナトリウムを主成分とする副生混合塩1kgを水8kgに溶解させた後、若干溶け残ったタンタル化合物を溶解させる為、98%硫酸を0.5kg加え、完全に溶解させた。溶液中のタンタル濃度は500ppmであった。
【0066】
その後室温にて、80wt%抱水ヒドラジン水溶液1.3kgを加え、沈殿物を吸引濾過した後、60℃温水1.0kgで洗浄を行なった。回収物の重量は0.065kgであり、濾液中のタンタル濃度は<10ppmであった(タンタル回収率>95%)。
その後、得られた沈殿0.065kgを50wt%フッ酸0.1kgに80℃で溶解させ、その後−20℃にて晶析を行なった後、吸引濾過にて、結晶と濾液に分離した。
得られた結晶を250℃で3時間乾燥を行なった処、乾燥後の結晶はTaO2Fであった。得られたTaO2Fを大気下、電気炉にて1000℃で8時間焙焼を行なった。その後、結晶を取り出し、XRDにて分析したところ、Ta25であった。さらにこのTa25中の金属不純物を測定した結果、Nb<10ppm,K<10ppm,Na<10ppm,Ti<1ppm,Fe<1ppm,Ni<1ppm,Al<1ppm,Sb<1ppmであった。
また、80wt%抱水ヒドラジン水溶液との反応後の濾液10.5kgと硫酸カルシウム1kgを反応させ、濾過により、フッ化カルシウムとアンモニア廃水に分離した。その後、濾液10.3kgを3.2kgまで濃縮し、−5℃で冷却を行なうことで、定量的に硫酸アンモニウムとして回収することが出来た。
【0067】
従って、比較例1に比べ比較例2ではアンモニア化合物及び/又はヒドラジン化合物と反応させることにより、タンタル化合物及び/又はニオブ化合物を高回収率で得ることが可能である。しかし、硫酸アンモニウムを回収する際、高回収率とするためには、水の蒸発量が非常に多くなる。
【0068】
一方、溶解性のタンタル化合物及び/又はニオブ化合物も一旦不溶性のタンタル化合物及び/又はニオブ化合物にした後、酸に溶解してタンタル化合物及び/又はニオブ化合物を回収する方法では、タンタル化合物及び/又はニオブ化合物を高回収率とすることが出来るだけではなく、硫酸アンモニウムを回収する際、水の蒸発量が少なくすることが出来、且つ、高回収率とすることが出来るメリットがある。
本発明の実施例によれば、タンタルフッ化物及び/又はニオブフッ化物を含む廃棄物及び/又は該溶液から、水酸化タンタル及び/又は水酸化ニオブを高い回収率で得ることが出来る。更に回収した水酸化タンタル及び/又は水酸化ニオブを再度フッ酸に溶解させた後、精製操作を行なうことで不純物を除去出来、高純度タンタル化合物及び/又はニオブ化合物として再利用することが可能となる。
【0069】
【発明の効果】
収の際生じたアンモニウム化合物を、硫酸アンモニウムとすることで、化学肥料として再利用出来る。更に、フッ化カルシウムは、フッ酸原料として使用することも可能となり、リサイクルシステムのとれた手法である。従って、希少なタンタル化合物及び/又はニオブ化合物を無駄無く利用出来る為、以前のような原料供給不足等による価格高騰も今後は回避できるものと予想される。
【0070】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明法の代表的な実施の一例のフローシートである。

Claims (10)

  1. (イ)タンタル化合物及び/又はニオブ化合物を含むフッ化カルシウムを酸性溶液中に分散させ、タンタル化合物及び/又はニオブ化合物を含む溶液とタンタル化合物及び/又はニオブ化合物を含有しないフッ化カルシウムとを得、(ハ−1)ここに得た溶液を、アルカリ中和後、晶析を行ないタンタル化合物及び/又はニオブ化合物を結晶に濃縮させ、さらにアンモニウム化合物及び/又はヒドラジン化合物と反応させて水酸化タンタル及び/又は水酸化ニオブを回収するか、(ハ−2)又は上記(ハ−1)の溶液にアンモニウム化合物及び/又はヒドラジン化合物により中和後水酸化タンタル及び/又は水酸化ニオブを沈殿させて直接回収することを特徴とするタンタル化合物及び/又はニオブ化合物の回収方法。
  2. 前記タンタル化合物及び/又はニオブ化合物を含むフッ化カルシウムは、タンタルフッ化物及び/又はニオブフッ化物を含む廃棄物又は該廃棄物の水溶液を、カルシウム化合物と反応させたものである請求項1記載のタンタル化合物及び/又はニオブ化合物の回収方法。
  3. 前記廃棄物は、フッ化タンタルカリウム及び/又はフッ化ニオブカリウムを用いた金属タンタル及び/又は金属ニオブ還元工程から発生する副生混合塩を用いるものである請求項2記載の方法。
  4. 上記請求項1又は2で回収した水酸化タンタル及び/又は水酸化ニオブをフッ酸に溶解後、精製を行なって、タンタル化合物及び/又はニオブ化合物として回収する方法。
  5. アンモニウム及び/又はヒドラジン溶液を硫酸アンモニウムとして回収し、
    再利用する請求項1乃至4のいずれか一項記載の方法。
  6. 回収したフッ化カルシウムをフッ酸製造原料として再利用する請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法。
  7. 前記請求項2におけるカルシウム化合物が、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウムの何れかの1種である請求項1乃至6の何れか一項に記載の方法。
  8. 前記請求項1における酸性溶液が、フッ酸、硫酸、塩酸の何れか1種である請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法。
  9. 前記請求項1において、中和剤として、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムの何れか1種を使用する請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法。
  10. 前記請求項1において、アンモニウム化合物及び/又はヒドラジン化合物が、アンモニア、アンモニア水、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム及び/又はヒドラジン、抱水ヒドラジンの何れか一種である請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法。
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