JP4175034B2 - 硝酸アンモニウムセリウム(iv)の製造方法 - Google Patents
硝酸アンモニウムセリウム(iv)の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4175034B2 JP4175034B2 JP2002168682A JP2002168682A JP4175034B2 JP 4175034 B2 JP4175034 B2 JP 4175034B2 JP 2002168682 A JP2002168682 A JP 2002168682A JP 2002168682 A JP2002168682 A JP 2002168682A JP 4175034 B2 JP4175034 B2 JP 4175034B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cerium
- aqueous solution
- nitric acid
- concentration
- acidic aqueous
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C01—INORGANIC CHEMISTRY
- C01F—COMPOUNDS OF THE METALS BERYLLIUM, MAGNESIUM, ALUMINIUM, CALCIUM, STRONTIUM, BARIUM, RADIUM, THORIUM, OR OF THE RARE-EARTH METALS
- C01F17/00—Compounds of rare earth metals
- C01F17/10—Preparation or treatment, e.g. separation or purification
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C01—INORGANIC CHEMISTRY
- C01F—COMPOUNDS OF THE METALS BERYLLIUM, MAGNESIUM, ALUMINIUM, CALCIUM, STRONTIUM, BARIUM, RADIUM, THORIUM, OR OF THE RARE-EARTH METALS
- C01F17/00—Compounds of rare earth metals
- C01F17/30—Compounds containing rare earth metals and at least one element other than a rare earth metal, oxygen or hydrogen, e.g. La4S3Br6
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23F—NON-MECHANICAL REMOVAL OF METALLIC MATERIAL FROM SURFACE; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL; MULTI-STEP PROCESSES FOR SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL INVOLVING AT LEAST ONE PROCESS PROVIDED FOR IN CLASS C23 AND AT LEAST ONE PROCESS COVERED BY SUBCLASS C21D OR C22F OR CLASS C25
- C23F1/00—Etching metallic material by chemical means
- C23F1/10—Etching compositions
- C23F1/14—Aqueous compositions
- C23F1/16—Acidic compositions
- C23F1/30—Acidic compositions for etching other metallic material
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Geology (AREA)
- Inorganic Chemistry (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Analytical Chemistry (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Metallurgy (AREA)
- Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)
- Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
- ing And Chemical Polishing (AREA)
- Catalysts (AREA)
- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工業的に重要であり、かつ、高価なセリウムを、セリウムを含有する水溶液から、高純度の硝酸アンモニウムセリウム(IV)(組成式:(NH4)2Ce(NO3)6)(以下、「CAN」と略記することがある。)として製造する方法に関する。特に、半導体装置や液晶表示素子等の製造過程で使用されるエッチング液の廃液から、セリウムを回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水溶液中のセリウムイオンは、その水溶液中に還元物質が存在すると、酸化価数が4価から3価に変化する。セリウムの酸化数が4価から3価に還元される際、セリウムの酸化電位は、酸性領域においては他金属と比較しても非常に高い。これは多くの金属を酸化させ、溶解(イオン化)することができることを示している。この特性を生かして、4価セリウムを含有する水溶液は、金属のエッチング剤として、工業的に広く利用されている。特に、クロムの様な酸化電位の高い金属のエッチング剤としての効果が高く、工業的に重要なものである。
【0003】
この様に、セリウムの酸化能力を利用したエッチング液では、エッチング液に存在する酸が消費される。よって通常、この様なエッチング液には、硫酸、硝酸及び過塩素酸等の酸性成分が添加されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
セリウムは希土類に属し、元素としても地球上での存在比率が小さいくて、比較的高価である。よって、セリウムを含有する、使用済みのエッチング液(エッチング廃液)から、セリウムを回収・精製する方法が提案されている。
例えば、特開平11−236217号公報や特開平11−236632号公報等では、溶液中のセリウムを、エッチング液の原料であるCANとして回収する方法が提案されている。しかしこれらに記載の方法では、大量のセリウムを高純度で回収できる反面、複数の製造工程を有するので、時間がかかるという問題があった。またCANの製造工程中に存在するアルカリ金属等の不純物除去の為に、該製造工程の途中で生じる沈殿物(水酸化セリウム)を純水で洗浄する工程があるのでCANの製造工程全体で生ずる廃水量が多く、この排水処理費用等が嵩み、且つ周辺環境への負荷が大きいという問題もあった。
【0005】
一般に、硝酸水溶液中におけるCANの溶解度は、硝酸濃度が高くなるほど小さくなることが知られている。この知見に基づけば、セリウムと硝酸を含む酸性水溶液を蒸留などにより濃縮すれば、溶液中の硝酸濃度が高くなり、その結果、CANが晶析してくるので、それを回収・精製すれば、CANが容易に回収できることになる。しかしながら、この方法では、4価セリウムはCANとして回収できるが、酸性水溶液に大量に含まれる3価セリウムは回収できないので、回収率が十分でないという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み、セリウム、具体的には3価セリウム及び4価セリウムを含む酸性水溶液から、高純度なセリウムを、短時間に、高収率で回収する方法、具体的にはエッチング廃液等のセリウムを含有する酸性水溶液から、セリウムを硝酸アンモニウムセリウム(IV)結晶として回収・精製する方法に関して鋭意検討を行った。
その結果、セリウムを含む酸性水溶液中に特定の酸化電位を有する金属が存在すると、この酸性水溶液中の硝酸の濃度を高くすることにより、CAN結晶が非常に高い純度で析出し、かつ、セリウムの回収率が高くなることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
即ち本発明の要旨は、少なくとも3価セリウム、4価セリウム、アンモニウムイオン、及び硝酸を含む酸性水溶液から硝酸アンモニウムセリウム(IV)を製造する方法であって、該酸性水溶液がpH2以下における酸化電位が0.7〜1.6Vである金属を含有し、この酸性水溶液中の硝酸濃度を上昇させて、硝酸アンモニウムセリウム(IV)結晶を析出させることを特徴とする、硝酸アンモニウムセリウム(IV)の製造方法に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる、セリウムを含む酸性水溶液は、少なくとも3価セリウム、4価セリウム、硝酸、及びアンモニウムイオンを含有する。好ましくは、クロム、ニッケル、銅などのエッチングに使用された、使用済みのエッチング液、すなわち、エッチング廃液、特に好ましくは、クロムをエッチングしたエッチング廃液が用いられる。硝酸アンモニウムセリウム(IV)を含むエッチング液で金属をエッチングすると、4価セリウムの一部が 3価セリウムとなるので、通常、エッチング廃液には、3価セリウムと4価セリウムとが存在する。
【0009】
酸性水溶液に含まれるセリウムは、3価セリウム、4価セリウムの両方を含んでいる。本発明によれば、3価セリウムも硝酸アンモニウムセリウム(IV)として回収することができる。セリウム源としては、硝酸アンモニウムセリウム(III)、硝酸アンモニウムセリウム(IV)、水酸化セリウム(III)、水酸化セリウム(IV)などが挙げられる。
【0010】
本発明における酸性水溶液中のセリウムの濃度は任意である。一般的にはセリウムの濃度が高い程、硝酸濃度を上昇させた際に析出する硝酸アンモニウムセリウム(IV)結晶の量が多く、酸性水溶液のスラリー濃度が上昇し、結晶回収の操作性が低下するという傾向がある。一方、セリウム濃度が高い程、酸性水溶液からの硝酸アンモニウムセリウム(IV)回収率は上がる。
よって、酸性水溶液中の硝酸アンモニウムセリウム(IV)濃度は、通常、セリウムの重量%で0.1〜15重量%、中でも0.5〜10%重量%、特に1〜8重量%が好ましい。
例えば本発明の方法をバッチ式で行う場合、酸性水溶液中のセリウムの濃度が低すぎると多量の水を蒸発させて硝酸濃度を上昇させることになり、経済的に好ましくない。逆にセリウムの濃度が高すぎると、スラリー濃度が増加して例えば濃縮槽からのCAN結晶採取や、CAN結晶を多量に含むスラリーの移送が難しくなる場合がある。 よって、本発明における酸性水溶液中のセリウムの濃度は1〜10重量%、中でも1.5〜4重量%、特に1.8〜3.8重量%とすることが好ましい。
【0011】
尚、バッチ式で行う際には、硝酸の濃縮を行う容器内での酸性水溶液の液面が略一定となるように、行うことが好ましい。例えば酸性水溶液から水を蒸発させて硝酸濃度を上昇させる際、水分の蒸発に伴って酸性水溶液の仮に液面が低下し、容器壁面に結晶が析出する。この結晶は、クロム等の不純物を濃縮して結晶化する可能性があるので、この様な結晶の析出は回避することが好ましい。
一方、本発明の方法を連続式で行う場合には、析出した硝酸アンモニウムセリウム(IV)等を反応系外へパージするので、反応系内に於ける硝酸アンモニウムセリウム(IV)の結晶濃度、つまりスラリー濃度をほぼ一定にして硝酸の濃縮を行うことが出来る。
よって本発明を連続式で行う場合には、酸性水溶液中のセリウム濃度は、濃縮された高硝酸濃度の酸性水溶液の濃縮温度に於ける硝酸アンモニウムセリウム(IV)の溶解度の元で行えばよい。またパージした酸性水溶液には硝酸アンモニウムセリウム(IV)結晶が含まれているので、パージした液を濾過し、得られた濾液の一部を濃縮槽に戻す循環操作方式とし、スラリー濃度を調整してもよい。
【0012】
本発明における酸性水溶液中の硝酸濃度は任意である。硝酸の濃度は一般的に、濃度を上昇させる前の酸性水溶液において5〜50重量%、中でも5〜40重量%であることが、硝酸濃度を上昇させる際の負荷が小さくて済むので好ましい。
但し、酸性水溶液中の全セリウムをCAN結晶として析出させるためには、酸性水溶液中にはセリウムに対して6モル倍以上の硝酸が含まれる必要がある。よって、酸性水溶液中の硝酸濃度は、セリウムに対して6モル倍以上であることが好ましい。
【0013】
酸性水溶液は、更に硝酸以外の酸性成分を含有していてもよい。酸性水溶液中に含まれる酸性成分としては、通常、過塩素酸、硫酸などが挙げられる。また、酸性成分として過塩素酸等の爆発分解性のあるものを用いる場合には、例えば酸性水溶液中の硝酸濃度を上昇させるために酸性水溶液を加熱して濃縮操作を行った際、容器壁に付着した過塩素酸塩の結晶が乾燥状態になると爆発分解の危険性が生ずる。よって析出結晶の乾燥を防ぐ等の処置により、爆発分解を回避するればよい。
【0014】
酸性成分の濃度は任意だが、硝酸濃度を上昇させる前の酸性水溶液において、先述の硝酸との合計濃度として通常、5〜40重量%となるように調整すればよい。酸性水溶液中の硝酸濃度が高い程、CANの溶解度が低いので、CANを回収する為には酸性水溶液中の硝酸濃度が高い程、硝酸アンモニウムセリウム(IV)結晶の析出量に見合う硝酸濃度の上昇分が低くて済むので、酸性水溶液を濃縮する際のエネルギーが少なくて済み、効率的である。
本発明における酸性水溶液のpHは、通常pH2以下、好ましくはpH1以下である。pH2を超えるとセリウム4価とクロム6価とクロム3価が析出してしまう場合がある。
【0015】
酸性水溶液に含まれるアンモニウムイオンは、通常、酸性水溶液を調製する時のセリウム源として硝酸セリウムアンモニウムを用いることにより酸性水溶液に供給される。また、セリウム源として硝酸セリウムアンモニウム以外のものを用いた場合は、アンモニア源としてアンモニア水や硝酸アンモニウムなどを用いればよい。
【0016】
酸性水溶液中のアンモニウムイオンの濃度は任意である。アンモニウムイオン濃度は一般的に、酸性水溶液に対して0.1〜5重量%、中でも0.2〜1.6重量%であることが好ましい。
但し、酸性水溶液中の全セリウムをCANとして析出させるためには、酸性水溶液中には少なくともセリウムに対して2モル倍以上のアンモニウムイオンが含まれる必要がある。よって、酸性水溶液中のアンモニウムイオン濃度は、セリウムに対して2モル倍以上であることが好ましいが、
アンモニウムイオン濃度が高すぎると、硝酸濃度を上昇させる際に硝酸アンモニウムの結晶が析出する場合があるので、セリウムに対して2〜3倍モル、中でも2〜2.5倍モル程度が好ましい。
【0017】
酸性水溶液の硝酸濃度を上昇させると、CANが析出してくる。これは、CANを含む酸性水溶液の硝酸濃度が高いほど、CANの溶解度が小さくなるためである。硝酸濃度を上昇させる方法は任意である。具体的には例えば蒸留、減圧蒸留、ストリッピングなどの方法が挙げられ、中でも蒸留、減圧蒸留、特に減圧蒸留によって硝酸濃度を上昇させることが、濃縮槽でのCANの晶析温度を下げることができるのでCAN結晶の不純物含有量を低減でき、純度の高いCAN結晶を回収できるので好ましい。
【0018】
この際の蒸留条件としては、高純度のCAN結晶を得るには蒸留温度は低いほど好ましい。一般的には100℃以下、中でも70℃以下で行うことが好ましい。具体的には室温〜100℃、中でも40〜70℃、特に45〜70℃であることが好ましい。蒸留圧力は通常、466.6[hPa](約350mmHg)以下、好ましくは133.3[hPa](約100mmHg)以下、特に好ましくは40〜133.3[hPa](約30〜約100mmHg)である。蒸留圧力が低すぎると、蒸発分の凝縮液温は下がり、通常の水温での凝縮が困難となる場合がある。この場合には、冷凍機(チラー)等によるコンデンサー冷却を行えばよい。
【0019】
常圧蒸留では、通常、蒸留温度が100℃以上となり、CAN結晶の析出が100℃以上の高温で行われることになるので、CAN結晶中への不純物取り込みが多くなるおそれがある。一方、減圧蒸留では、蒸留温度が低いので、CAN結晶の析出が低温で行われるため、結晶内部への不純物の取り込みが少なく、高純度のCANが得られやすい。従って、減圧蒸留が好ましく用いられる。
【0020】
硝酸濃度は、通常、酸性水溶液に対して50重量%以上、好ましくは60重量%以上となるように上昇させる。例えば、(減圧)蒸留等によって溶液を濃縮する場合には、硝酸と水との共沸組成濃度上限(67%)まで硝酸濃度を上昇させるのが特に好ましい。上昇させた後の硝酸濃度が低すぎると、母液に対するCAN結晶の溶解度が高くなるので、セリウムの回収量および回収率が低下する。
蒸留など、加温により硝酸濃度を上昇させた場合、酸性水溶液は、通常、常温まで冷却して、温度の降下に伴って溶解できなくなった分のCANを析出させる。
【0021】
本発明は、酸性水水溶液の硝酸濃度を上昇させる際に、酸性水溶液にpH2以下における酸化電位が0.7〜1.6Vである金属を含有することを特徴とする。
pH2以下における酸化電位が0.7〜1.6Vである金属としては、例えば具体的にはクロム、ニッケル、コバルトなどが挙げられ、好ましくはクロムが用いられる。クロムの場合にはその価数が6価と3価との間にあることで顕著に本発明の効果が奏される。
【0022】
酸性水溶液中の、pH2以下における酸化電位が0.7〜1.6Vである金属の濃度は、CANを回収する酸性水溶液におけるセリウム、アンモニウムイオン及び硝酸濃度等の組成により適宜選択すればよい。
一般的には0.3重量%以下であればよく、酸性水溶液から効率的にセリウムを硝酸アンモニウムセリウム(IV)として回収するためには、0.001重量%以上、中でもは0.005重量%以上、更には0.01重量%以上、特に好ましくは0.05重量%以上であることが好ましい。またこの金属は、酸性水溶液中にイオンとして存在することが好ましい。
例えば、pH2以下における酸化電位が0.7〜1.6Vである金属としてクロムを用いる際に、クロムの濃度はセリウム3価濃度に対して、1/2〜1/10倍モル濃度、中で1/4〜1/7倍モル濃度、特にこの範囲内において1/6倍モル濃度近傍であるのが好ましい。酸性水溶液中のクロム含有量が多すぎると、クロムがCAN結晶に付着して純度が低下する場合があるので好ましくない。
【0023】
本発明において、酸性水溶液中に、pH2以下における酸化電位が0.7〜1.6Vである金属を含有させ、そして硝酸濃度を上昇させることで、硝酸アンモニウムセリウム(IV)としてセリウムを高い収率で回収できる。この理由は、次のように推察される。
酸性水溶液中の硝酸の濃度が上昇すると、CANの溶解度が低下し、4価セリウムが先にCAN結晶として析出する。溶液中の4価セリウムがCAN結晶として除去されると、全体の酸化電位が下がる為、逆に、pH2以下における酸化電位が0.7〜1.6Vである金属が、最高酸化電位を有するイオンとなる。よって該金属イオンが酸化剤として働き、3価セリウムを4価セリウムに酸化する。そして該金属イオン自身は還元され、価数の低いイオンとなる。
【0024】
生成した4価セリウムは、硝酸濃度の高い酸性水溶液中では溶解度が低いため、更にCAN結晶として析出する。このようにして、本願においては、従来はCANとして回収することができなかった3価セリウムをCANとして析出・回収することができるので、収率が画期的に高まるのである。
【0025】
本発明は、酸化電位が4価セリウム(pH=1の際に1.6V)よりは低いが、3価セリウムのそれ(pH=1の際に0.7V)よりは酸化電位が高い金属を酸性水溶液中に含有させることにより、pH2以下の酸性水溶液において、3価セリウムを4価セリウムに効果的に酸化することができることを見出し、完成したものである。
析出したCAN結晶は、濾過により母液から分離される。得られたCAN結晶は、結晶に付着した母液を除去するために、通常、高純度濃硝酸で洗浄する。
高純度硝酸による洗浄回数を増やすと、CAN結晶表面に存在する不純物を溶し出すことができるので、CANの純度を更に上げることができるが、CANの回収量は減少する。回収したCANの使用目的に応じて、洗浄回数は適宜決定される。高純度硝酸としては、通常、硝酸濃度が60重量%以上、好ましくは65重量%以上の濃硝酸を用いる。この際、高純度濃硝酸における総金属不純物濃度は低い方が好ましく、通常5ppm以下、好ましくは1ppm以下のものを用いる。
【0026】
更に、この様な高純度濃硝酸による洗浄の後、少量の高純度希硝酸にてCAN結晶を洗浄することによって、より純度を向上させ、且つ硝酸臭等を抑えることが出来るので好ましい。この際用いる高純度希硝酸の硝酸濃度は任意だが、一般的には1〜20重量%であり、中でも10重量%以下、特に5重量%以下であることが好ましい。また、高純度希硝酸における総金属不純物濃度も低い方が好ましく、通常5ppm以下、好ましくは1ppm以下のものを用いる。
【0027】
酸性水溶液中の硝酸濃度の上昇を行って、CANを析出・濾過した後の濾液には、通常、3価セリウムおよび微量の4価セリウムが溶存している。 以下に、酸性水溶液としてエッチング廃液を用いた例について具体的に説明する。このエッチング廃液はセリウム、アンモニウムイオン、及び硝酸を含有し、更に『pH2以下で酸化電位が0.7V〜1.6Vの間の酸化電位を持つ金属』としてクロムを含有する。
【0028】
セリウム、アンモニウムイオン、及び硝酸を含む酸性水溶液からなるエッチング液で金属クロムをエッチングすると、4価セリウムにより金属クロム(0価)は酸化されて6価クロムイオンとなり、酸性溶液に溶出する。4価セリウムは還元されて3価セリウムとなる。エッチング終了後のエッチング液(エッチング廃液。つまり酸性水溶液。)は、4価セリウムイオンが多量に存在する間は、4価セリウムの酸化電位が酸性水溶液中でのクロムの酸化電位より高く維持されているので、6価クロムイオンは安定して酸性水溶液中に存在できる。
【0029】
しかし、例えば減圧下での濃縮操作等にて硝酸濃度を上昇させると、その溶解度の低さから、4価セリウムは硝酸アンモニウムセリウム(IV)結晶となって析出する。すると、高酸化電位を維持していた4価セリウムが酸性水溶液中から減少するので、次第に高酸化電位を持つ6価クロムが支配的となる。そこで、6価クロムイオンが酸化剤として働き、溶存している3価セリウムは酸化されて4価セリウムとなる。この4価セリウムは高硝酸濃度下においては溶解度が低いためにCANとして更に析出する。
6価クロムが存在することによって、価数に拘わらず酸性水溶液中のセリウムを、硝酸アンモニウムセリウム(IV)として析出し製造し、回収することができるのである。硝酸濃度を高めることによる硝酸セリウムアンモニウム(IV)結晶の析出が終了した時点の酸性水溶液中には、少量の6価クロム、多量の3価クロム、3価のセリウム、そして微量の4価セリウムが溶存していると考えられる。
【0030】
CANを除去した後の酸性水溶液には、上述のように、3価セリウムと微量の4価セリウムとが含まれている。よって更に、これらのセリウムを硝酸アンモニウムセリウム(IV)として回収するためには、CANを除去した後の酸性水溶液に過酸化水素を添加することによりCAN結晶として析出させることができる。過酸化水素は通常、過酸化水素水として添加する。
この際、酸性水溶液中には、pH2以下での酸化電位が過酸化水素よりも高い金属イオン、具体的にはpH2以下での酸化電位が1.5V以上である金属が実質的に存在しないことが好ましい。この様な金属が実質的に存在しない酸性水溶液に過酸化水素を添加することにより、CANを除去した後の酸性水溶液中に溶存していた3価セリウムイオンが酸化されて4価セリウムイオンとなり、4価セリウムイオンは、直ちにCAN結晶となって析出するものと考えられる。
【0031】
過酸化水素を添加することによりCANが析出する理由は明かではないが、pH2以下での酸化電位が過酸化水素よりも高い金属イオンが大量に存在すると、過酸化水素は、該イオンに対して還元剤として作用するが、pH2以下での酸化電位が過酸化水素よりも高い金属イオンが実質的に存在しない場合には、3価セリウムイオンに対して過酸化水素が酸化剤として作用するためと推察される。
【0032】
pH2以下での酸化電位が1.5V以上である金属とは、具体的には、pH2以下での酸化電位が1.6V以上の金属であり、通常4価セリウム、6価マンガン、4価鉛等が挙げられる。
過酸化水素の添加量は、通常、4価セリウムが硝酸アンモニウムセリウム(IV)の結晶として析出し、溶液中に残っている3価セリウムを4価セリウムに価数を上げるのに必要な量であり、残存する3価セリウムのモル濃度に対して、通常1/5倍モル以上、好ましくは1/3倍モル以上で、通常等モル以下、好ましくは2/3倍モル以下である。この範囲の中でも、1/2倍モル近傍が好ましい。又、酸性水溶液中に6価クロム等が存在する場合には、過酸化水素の添加量は、上述の範囲より少なくてもよい。
【0033】
pH2以下での酸化電位が過酸化水素よりも高い金属が、酸性水溶液中に実質的に存在しないことは、過酸化水素を酸性水溶液に添加した際に、ガス(酸素ガス)の発生がないことで確認することができる。つまり、この様な金属が存在すると、過酸化水素が還元剤として働き、過酸化水素自身は酸化されるので酸素ガスが発生する。逆に過酸化水素が酸化剤として働く場合には、過酸化水素自身の酸素は酸化用に使われるので、酸素ガスは発生しない。
また、pH2以下での酸化電位が過酸化水素よりも高い金属イオンが実質的に存在しないとは、これらの金属イオンの含有量が通常、数10ppm以下である状態を示す。
【0034】
本発明の方法によって得られたCAN結晶は高純度であるので、そのまま上述したようなクロムのエッチング液を調整する際の原料として用いることが出来る。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果を奏する。
(1)高い回収率で、セリウムを回収できる。
(2)セリウムをエッチング液の原料等として有用な、硝酸アンモニウムセリウム(IV)として回収できる。
(3)クロムをエッチングしたエッチング廃液は、毒物である6価クロムを含んでいる。通常、6価クロムを含有する廃液には、還元剤を添加して、6価クロムを毒性の低い3価クロムに還元した後、処理されている。本発明の酸性水溶液としてクロムエッチング廃液を用いれば、この酸性水溶液中の6価クロムの大半が3価クロムに還元されているので、廃液処理の際に用いる還元剤の使用量が少なくなり、廃液処理が低コストで行うことができる。
(4)中間生成物である水酸化セリウムを生成させないので、水酸化セリウムの洗浄工程が不要となるので廃水処理量が少なくなり、プロセス全体としての製造コストの低減、環境負荷の低減を図ることができる。
(5)従来法に比較して、工程が簡略化され、短時間で回収が完了できる。
【0036】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例、比較例に於いては別段の断りのない限り、「%」は「重量%」を示す。
【0037】
<セリウムの分析方法>
4価セリウムと3価セリウムの合計量(トータルセリウム)、及び6価クロムと3価クロムの合計量(トータルクロム)はICP(発光分析)により測定した。また4価セリウムの量は酸化還元滴定にて測定した。この様にして得られたトータルセリウムから4価セリウムを差し引き、3価セリウムを、算出した。なお、本発明によって得られた結晶組成の分析については、常法によりこの結晶を水に溶解させて水溶液を作成し、この水溶液を分析サンプルとした。
【0038】
(実施例1)
塔頂部からの留出ラインに水冷コンデンサーを取り付けた1000ミリリットル(ml)のガラス製3方コルベンを用い、単蒸留を行った。尚、水冷コンデンサーの後部には減圧ポンプが取り付けてあり、減圧蒸留が可能になっている。そしてコルベンには、釜液温を測定するための温度計を取り付けた。
【0039】
コルベンに、以下に示す組成のクロムエッチング廃液600gを仕込み、減圧下53.3[hPa](40mmHg)で加温した。
4価セリウム : 1.96% (硝酸アンモニウムセリウム(IV)換算で7.67%)
3価セリウム : 1.00% (硝酸アンモニウムセリウム(III)換算で3.48%)
トータルクロム : 0.07%
硝酸 : 35%
残部 : 水
釜温約40℃で留出が始まると同時に、釜液中には細かい結晶が析出し、また、釜液は黒味を帯びてきた。この黒色は3価クロムの生成・溶解によるものと推察される。塔頂部から留出し、凝縮した液の量が400gになるまで、すなわち、釜液が200gになり、釜液が3倍に濃縮されるまで、蒸留を行った。蒸留終了時の釜温は約50℃であった。
【0040】
釜残液が常温になるまで放置冷却した後、濾液と結晶とに濾別したところ、硝酸と水分の合計含有量5.9%の結晶が60g得られた。濾液、ウエット結晶(未洗浄品)の組成を上記の方法により分析した。このウエット結晶(未洗浄品)における組成は以下の通りであった。
4価セリウム濃度 :21.78%(硝酸アンモニウムセリウム(IV)換算で 85.17%)
3価セリウム濃度 : 2.56%(硝酸アンモニウムセリウム(III)換算で 8.88%)
トータルクロム濃度 : 0.05%
残部 : 硝酸水溶液
【0041】
濾液のトータルセリウム濃度は2.66%、トータルクロム濃度は0.26%、残部は水、硝酸、金属不純物等であった。尚、濾液中のクロムの大半が3価のクロムであり、濾液中に溶解していた。
次に、結晶に付着した母液を除去する為、この結晶と同重量の濃度69.5%の高純度濃硝酸(総不純物金属量1ppm以下)を用いて懸濁洗浄、濾過して、52.5gの結晶(1回洗浄品)を得た。
得られたウエット結晶(1回洗浄品)おける組成は以下の通りであり、3価セリウムは共晶していないことが確認された。
4価セリウム :24.06%(硝酸アンモニウムセリウム(IV)換算で94.11%)
3価セリウム :0%(硝酸アンモニウムセリウム(III)換算で0%)
トータルクロム :0.007%
残部 :硝酸水溶液
【0042】
トータルセリウムの回収率は、以下の式から、71.1%であった。
[(52.5g×(0.2406+0))/(600g×(0.0196+0.0100))]×100=71.1%
また仕込み液中の4価セリウムに対する4価セリウムの回収率は、以下の式から107.4%だった。
[(52.5g×0.2406)/(600g×0.0196)]×100=107.4%
これは、廃液中に存在していた4価セリウムに加えて、3価セリウムとして存在していたセリウムの一部も、硝酸アンモニウムセリウム(IV)として回収していることを示す。
【0043】
さらに、この結晶(1回洗浄品)を結晶と同重量の濃度69.5%の硝酸(総不純物金属量1ppm以下)を用いて洗浄を3回繰り返し、合計して4回洗浄して得られたウエット結晶(4回洗浄品)は、クロム、鉄等の金属不純物含有量が1ppm以下の硝酸アンモニウムセリウム(IV)結晶であり、その収量は30gであった。またこのウエット結晶おける組成は以下の通りであり、3価セリウムは共晶しておらず、且つクロムが殆ど含有されていないことが確認された。
4価セリウム :24.10%(硝酸アンモニウムセリウム(IV)換算で94.29%)
3価セリウム :0%(硝酸アンモニウムセリウム(III)換算で0%)
トータルクロム :0.0001%以下
残部 :硝酸水溶液
【0044】
この時点での4価セリウムの回収率は、以下の式から61.5%であった。
[(30g×0.241)/(600g×0.0196)]×100=61.5%
またトータルセリウムの回収率は、以下の式から40.7%であった。
[((30g×(0.241+0))/(600g×(0.0196+0.0100))]×100=40.7%
蒸留開始から4回洗浄終了までの所要日数は1日であった。また4回洗浄によるクロムの除去率は99.9%であった。
【0045】
(実施例2)
実施例1において、減圧蒸留を常圧蒸留に変えた他は、実施例1と同様に行った。
釜液の温度110℃で沸騰が始まり、蒸留終了時の釜液の温度は約118℃であった。得られたウエット結晶(未洗浄品)は60gであった。ウエット結晶(未洗浄品)における組成は以下の通りであった。
4価セリウム :18.66%(硝酸アンモニウムセリウム(IV)換算で73.00%)
3価セリウム :5.48%(硝酸アンモニウムセリウム(III)換算で19.00%)
トータルクロム :0.09%
残部 :硝酸水溶液
【0046】
トータルセリウムの回収率は、以下の式から81.6%であった。
[(60g×(0.1866+0.0548))/(600g×(0.0196+0.01))]×100=81.6%
また仕込み液中の4価セリウムに対する4価セリウムの回収率は、以下の式から95.2%であった。
[(60g×0.1866)/(600g×0.0196)]×100=95.2%
【0047】
またこのウエット結晶(未洗浄品)を実施例1と同様に、硝酸濃度69.5%の高純度濃硝酸で1回洗浄した。
得られたウエット結晶(1回洗浄品)は52gであった。またその組成は以下の通りであった。
4価セリウム :20.12%(硝酸アンモニウムセリウム(IV)換算で78.76%)
3価セリウム :3.81%(硝酸アンモニウムセリウム(III)換算で13.21%)
トータルクロム :0.02%
残部 :硝酸水溶液
【0048】
トータルセリウムの回収率は、以下の式から70.0%であった。
[(52g×(0.2012+0.0381))/(600g×(0.0196+0.01))]×100=70.0%
また、仕込み液中の4価セリウムに対する4価セリウムの回収率は、以下の式から89.0%だった。
[(52g×0.2012)/(600g×0.0196)]×100=89.0%
常圧で蒸留を行うと、高温で結晶析出が起こるため、硝酸アンモニウムセリウム(III)結晶が共晶析出し、実施例1に比べてセリウム4価の収量が低くなったものと推察される。
【0049】
(比較例1)
実施例1において、クロムエッチング廃液の代わりに、クロムを含有しない、硝酸アンモニウムセリウム(IV)及び(III)を含む下記組成の水溶液600gを用いた以外は、実施例1と同様に実験を行った。
4価セリウム : 3%(硝酸アンモンセリウム(IV)換算で11.74%)
3価セリウム : 1%(硝酸アンモンセリウム(III)換算で3.48%)
硝酸 : 35%
残部 : 水
析出した結晶を実施例1と同様に分析した。尚、クロム等を含んでいないため、硝酸洗浄は実施しなかった。
【0050】
得られたウエット結晶(未洗浄品)は71.3gであった。またその組成は以下の通りであった。
4価セリウム :24.25%(硝酸アンモニウムセリウム(IV)換算で94.88%)
3価セリウム :0.0008%(硝酸アンモニウムセリウム(III)換算で0%)
残部 :硝酸水溶液
トータルセリウムの回収率は、以下の式から72.0%だった。
[(71.3g×0.2425)/(600g×(0.03+0.01))]×100=72.0%
また、仕込み液中の4価セリウムに対する、4価セリウムの回収率は、以下の式から96.1%だった。
[(71.3g×0.2425)/(600g×0.03)]×100=96.1%
【0051】
この結果から、回収された4価セリウムの量は、セリウム含有溶液中にある4価セリウムより増加しておらず、本発明のように3価セリウムを4価にして、硝酸アンモニウムセリウム(IV)の収量の増加を図ることは出来なかったことが判る。
以上の結果をまとめると次表のようになる。
【0052】
【表1】
【0053】
(実施例3)
塔頂部からの留出ラインにライニング製水冷コンデンサーを取り付けた500リットル[L]グラスライニング槽(撹拌機及びジャケット付き)を用いて単蒸留を行った。尚、グラスライニング製水冷コンデンサーの後部には水封式減圧ポンプが取り付けてあり、減圧蒸留が可能となっている。
グラスライニング槽には釜の内液温度及びジャケット温度を測定するための温度センサー、及び釜の内圧を測定及びコントロールするための圧力センサーが取り付けられている。
グラスライニング槽に、以下に示す組成のクロムエッチング廃液400kg(約388L)を仕込み、減圧下53.3[hPs](40mmHg)、ジャケット内温を70゜Cとして加温した。
4価セリウム濃度 :2.16%(硝酸アンモニウムセリウム(IV)換算で8.45%)
3価セリウム濃度 :1.54%(硝酸アンモニウムセリウム(III)換算で5.36%)
トータルクロム濃度 :0.10%
硝酸 :14%
残部 :水
【0054】
釜内温約40゜Cで留出が始まり、塔頂部からの留出速度とほぼ同容量の上記クロムエッチング廃液を連続的にグラスライニング槽(以下、単に「釜」ということがある。)へ供給し、釜内の液面がほぼ一定となるように蒸留を継続させた。そして凝縮して得られる液の量が800kgになるまで蒸留させた。即ち、蒸留終了時の釜内残液は400kgであり、釜内のクロムエッチング廃液は、3倍に濃縮されたことになる(1200kgのクロムエッチング廃液を400kgまで濃縮した)蒸留終了時の釜内の温度は約50゜Cであった。
【0055】
釜内を大気圧に復圧した後、ジャケット内に水を通して釜内温が常温になるまで冷却した。次いで、フッ素樹脂ライニングされた遠心分離器を用いて、釜内の濃縮液を結晶と濾液とに分離した。この得られたウエット結晶(未洗浄品)は106.6kgで、組成は以下の通りであった。
4価セリウム濃度 :25.1%(硝酸アンモニウムセリウム(IV)換算で98.
20%)
3価セリウム濃度 :0%
トータルクロム濃度 :0.012%
残部 :硝酸水溶液
また、分離した濾液中のトータルセリウム濃度は5.7%、トータルクロム濃度は0.39%、残部は、水、硝酸、金属不純物等であった。
【0056】
次いで結晶を、結晶と同重量の濃度69.5%の高純度濃硝酸(総不純物金属濃度1ppm以下)を用いて洗浄した。この洗浄は、遠心分離器内を回転させた状態で、遠心分離器内の結晶層に連続供給することにより行った。
この洗浄方法を4回行って得られたウエット結晶(4回洗浄品)の重量は79.3kgであった。また結晶組成は以下の通りであった。この結果より、この結晶(4回洗浄品)には3価セリウム及びクロムが除去された、極めて純度の高い硝酸アンモニウムセリウム(IV)結晶であることが判る。
4価セリウム :25.1%(硝酸アンモニウムセリウム(IV)換算で98.2%)
3価セリウム :0%
トータルクロム :0.0001%以下
残部 :硝酸水溶液
【0057】
この実施例におけるウエット結晶(4回洗浄品)におけるセリウムの回収率を実施例1と同様に求めた。
トータルセリウムの回収率=44.8%((79.3 X 0.251) /( 1200 X 0.037) X 100)
4価セリウムの回収率=76.8%((79.3 X 0.251) / (1200 X 0.0216) X 100)
尚、未洗浄のウエット結晶を高純度濃硝酸で洗浄した際に得られる濃硝酸洗浄濾液は、濃縮原料として釜に戻すことにより、更に効率良くセリウムを回収することが出来る。
Claims (15)
- 少なくとも3価セリウム、4価セリウム、アンモニウムイオン、及び硝酸を含む酸性水溶液から硝酸アンモニウムセリウム(IV)を製造する方法であって、該酸性水溶液がpH2以下における酸化電位が0.7〜1.6Vである金属を含有し、この酸性水溶液中の硝酸濃度を上昇させて、硝酸アンモニウムセリウム(IV)結晶を析出させることを特徴とする、硝酸アンモニウムセリウム(IV)の製造方法。
- 酸性水溶液中におけるアンモニウムイオン含有量が、セリウム濃度の2モル倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 酸性水溶液中の硝酸濃度を50重量%以上に上昇させることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
- 更に硝酸以外の酸性成分を含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の製造方法。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の製造方法によって得られた硝酸アンモニウムセリウム(IV)結晶を、硝酸濃度60重量%以上、総金属不純物含有量が1ppm以下の濃硝酸水溶液で洗浄することを特徴とする硝酸アンモニウムセリウム(IV)の製造方法。
- 濃硝酸水溶液での洗浄後、更に硝酸濃度が10重量%以下の希硝酸水溶液で洗浄することを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
- pH2以下での酸化電位が0.7〜1.6Vである金属が、6価クロムであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の製造方法。
- 100℃以下の温度で硝酸濃度を上昇させることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の製造方法。
- 酸性水溶液を減圧蒸留することにより硝酸濃度を上昇させることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の製造方法。
- 133.3hPa以下の減圧下にて減圧蒸留を行うことを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
- 酸性水溶液の硝酸濃度を上昇させて硝酸アンモニウムセリウム(IV)結晶を析出させた後、酸性水溶液に過酸化水素を添加し、更に硝酸アンモニウムセリウム(IV)結晶を析出させることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の製造方法。
- 過酸化水素を添加する酸性水溶液が実質的にpH2における酸化電位が1.5V以上である金属のイオンを含有しないことを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
- 酸性水溶液が、エッチング工程に使用した後のエッチング液であることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の製造方法。
- クロムエッチング工程に使用した後のエッチング液であることを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
- 請求項13または14の製造方法により得られた硝酸アンモニウムセリウム(IV)結晶を、エッチング液の原料として使用することを特徴とするエッチング液の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002168682A JP4175034B2 (ja) | 2001-06-11 | 2002-06-10 | 硝酸アンモニウムセリウム(iv)の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001-175181 | 2001-06-11 | ||
JP2001175181 | 2001-06-11 | ||
JP2002168682A JP4175034B2 (ja) | 2001-06-11 | 2002-06-10 | 硝酸アンモニウムセリウム(iv)の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003063822A JP2003063822A (ja) | 2003-03-05 |
JP4175034B2 true JP4175034B2 (ja) | 2008-11-05 |
Family
ID=19016364
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002168682A Expired - Fee Related JP4175034B2 (ja) | 2001-06-11 | 2002-06-10 | 硝酸アンモニウムセリウム(iv)の製造方法 |
Country Status (5)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4175034B2 (ja) |
KR (1) | KR100814309B1 (ja) |
CN (1) | CN1514807A (ja) |
TW (1) | TWI266749B (ja) |
WO (1) | WO2002100778A1 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100605365B1 (ko) * | 2004-12-23 | 2006-07-31 | 재단법인 포항산업과학연구원 | 크롬 에칭폐액으로부터 질산을 회수하고세륨암모니움질화물을 제조하는 방법 |
CN102443805A (zh) * | 2010-10-13 | 2012-05-09 | 江德馨 | 碱性蚀刻废液循环利用的方法 |
CN110904456B (zh) * | 2019-12-28 | 2022-01-14 | 上海天承化学有限公司 | 一种铜蚀刻液及其制备方法和应用 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11236633A (ja) * | 1998-02-24 | 1999-08-31 | Mitsubishi Chemical Corp | セリウムの回収方法 |
JP2000007332A (ja) * | 1998-06-18 | 2000-01-11 | Mitsubishi Chemicals Corp | セリウムの回収方法 |
JP3788185B2 (ja) * | 1999-04-27 | 2006-06-21 | 三菱化学株式会社 | クロム及びセリウムを含む溶液からのセリウムの回収方法 |
JP2002068741A (ja) * | 2000-08-24 | 2002-03-08 | Asahi Kagaku Kogyo Co Ltd | 硝酸アンモニウムセリウム(iv)の製造方法 |
-
2002
- 2002-06-07 KR KR1020037016166A patent/KR100814309B1/ko not_active IP Right Cessation
- 2002-06-07 WO PCT/JP2002/005686 patent/WO2002100778A1/ja active Application Filing
- 2002-06-07 CN CNA02811728XA patent/CN1514807A/zh active Pending
- 2002-06-10 JP JP2002168682A patent/JP4175034B2/ja not_active Expired - Fee Related
- 2002-06-11 TW TW091112630A patent/TWI266749B/zh not_active IP Right Cessation
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
TWI266749B (en) | 2006-11-21 |
JP2003063822A (ja) | 2003-03-05 |
CN1514807A (zh) | 2004-07-21 |
WO2002100778A1 (fr) | 2002-12-19 |
KR100814309B1 (ko) | 2008-03-18 |
KR20040030665A (ko) | 2004-04-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6468841B2 (ja) | 塩化鉄(iii)含有塩酸溶液中の金属塩化物を濃縮し、かつこれを該溶液から分離する方法 | |
US6383459B1 (en) | Method for purifying a tantalum compound using a fluoride compound and sulfuric acid | |
US4612172A (en) | Purification of molybdenum | |
JP3085776B2 (ja) | アジピン酸を回収する方法 | |
JP4175034B2 (ja) | 硝酸アンモニウムセリウム(iv)の製造方法 | |
JP3788185B2 (ja) | クロム及びセリウムを含む溶液からのセリウムの回収方法 | |
WO2015004375A1 (fr) | Procédé de purification du niobium et/ou du tantale | |
JP4275939B2 (ja) | タンタル化合物及び/又はニオブ化合物の回収方法 | |
JP4351912B2 (ja) | ニオブ化合物及び/又はタンタル化合物の精製方法 | |
JP4322122B2 (ja) | 高純度ニオブ化合物及び/又はタンタル化合物の精製方法 | |
JP5447824B2 (ja) | 亜硝酸ロジウム錯イオン溶液の精製方法と、そのアンモニウム塩の製造方法。 | |
JP4322008B2 (ja) | タンタル化合物及び/又はニオブ化合物の回収方法 | |
JP4326345B2 (ja) | 高純度ニオブ化合物及び/又はタンタル化合物の精製方法 | |
JPS63183138A (ja) | 金属ガリウムの精製方法 | |
JP4505952B2 (ja) | 高純度塩化第二鉄水溶液の製造法 | |
JP2001192744A (ja) | ルテニウムの精製法 | |
JPH0375223A (ja) | インジウムの回収方法 | |
JP2000327330A (ja) | 酸化ニオブの精製方法 | |
JP3882859B2 (ja) | 水加ヒドラジンの製造方法 | |
KR20010049291A (ko) | 크롬 및 세륨을 함유하는 용액으로부터 세륨을 회수하는방법 | |
JPH06322402A (ja) | フッ化カリウムの分離精製方法 | |
JPS627912B2 (ja) | ||
RU2154687C1 (ru) | Способ переработки отработанных серебряных катализаторов с получением чистого серебра или растворов его соединений, пригодных для приготовления катализаторов (варианты) | |
JPH035318A (ja) | シアン化第二金塩の製造方法 | |
JP2003231662A (ja) | 2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20041104 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20071129 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080408 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080523 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080729 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080811 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110829 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120829 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130829 Year of fee payment: 5 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |