JP3882859B2 - 水加ヒドラジンの製造方法 - Google Patents
水加ヒドラジンの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3882859B2 JP3882859B2 JP24786196A JP24786196A JP3882859B2 JP 3882859 B2 JP3882859 B2 JP 3882859B2 JP 24786196 A JP24786196 A JP 24786196A JP 24786196 A JP24786196 A JP 24786196A JP 3882859 B2 JP3882859 B2 JP 3882859B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hydrazine
- hydrated hydrazine
- impurities
- hydrated
- boiling point
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水加ヒドラジン製造プラントにおいて得られる粗水加ヒドラジン水溶液から不純物を選択的に除去する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水加ヒドラジンの製造方法として、ケトンの存在下にアンモニアを次亜塩素酸ナトリウムあるいは過酸化水素などの酸化剤で酸化してケタジンを合成し、このケタジンを加水分解する方法がある。製造された水加ヒドラジン中には原料に含まれる成分や製造プロセスで生成する反応中間体、副生物などの低濃度の不純物が含有され、これらの不純物の大部分は蒸留等の精製方法により除去することが可能である。
しかし、特に水加ヒドラジンより高沸点の不純物を蒸留により除去する場合、不純物の濃縮度が大きすぎると不純物の結晶が析出してその処理が困難となることがある。また、不純物の濃縮度が小さいと、不純物に同伴されて除去される水加ヒドラジンの量が多くなり経済的でない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の問題点を解決するためであり、その目的は、高純度の水加ヒドラジンを連続的かつ安定に製造するための工業的に簡便かつ経済的に有利な方法を提供することにある。具体的には、本発明の目的は、不純物を含有する水加ヒドラジン水溶液から水加ヒドラジンを損失することなく不純物を選択的に除去することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記の問題を解決するべく鋭意検討し本発明を完成させた。すなわち、本発明は、
(a)水加ヒドラジンより高沸点の不純物を含有する水加ヒドラジン水溶液を蒸留塔にフィードし、留出側に水加ヒドラジンを、缶出側に高沸点不純物及び水加ヒドラジン及びを分離する工程、
(b)高沸点不純物及び水加ヒドラジンを含有する缶出液から高沸点不純物を晶析分離させる工程、
(c)分離した水加ヒドラジン水溶液を蒸留塔に戻す工程
からなる水加ヒドラジンの製造方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
(a)工程において対象とする水加ヒドラジン水溶液としては、アンモニアとケトンと酸化剤から合成したケタジンを加水分解して得た粗水加ヒドラジン水溶液を挙げることができる。ケタジンの加水分解の方法としては、一定比率のケタジンと水とを蒸留塔に連続的に供給して加圧下で加水分解反応を行い、留出物としてケトンを、缶出物として水加ヒドラジン水溶液を得る方法が一般的であり、その場合、加水分解蒸留塔の缶出液が本発明の対象の水加ヒドラジン水溶液となる。さらに、粗水加ヒドラジン水溶液から蒸留により水加ヒドラジンより低沸点の不純物及び水を留出除去した濃縮水加ヒドラジン水溶液も本発明において対象とする水加ヒドラジン水溶液となる。また、水加ヒドラジン水溶液の濃度に特に制限はない。
【0006】
水加ヒドラジン水溶液には、ケタジン合成プロセスに由来する物質やケタジンの加水分解工程で生成する副生物などの不純物が含まれうる。特にメチルエチルケトンの存在下にアンモニアを過酸化水素等で酸化してケタジンを合成し、このケタジンを加水分解して得た水加ヒドラジンの水溶液に含まれる水加ヒドラジンより高沸点の代表的な不純物としては、以下の構造式を有するキレート剤等として有用なビスアセチルヒドラジン(以下、BADHと称す)が挙げられる。
【化1】
これらの不純物のうち水加ヒドラジンとの揮発度の差が大きいものを水加ヒドラジン水溶液から除去する方法としては、蒸留により分離する方法が一般的である。
【0007】
(a)工程における蒸留の形式に特に制限はなく、段塔や充填塔による精留によって行うこともできるし、特に水加ヒドラジンと高沸点不純物との蒸気圧の差が大きい場合は、単蒸留で行うことも可能である。また、連続蒸留のみならず、バッチ蒸留も同様に可能である。
(a)工程における蒸留は常圧下または減圧下で行うのが好ましい。すなわち、圧力は760mmHg以下であることが好ましく、10〜500mmHgであることがさらに好ましい。また、蒸留塔のボトム温度は蒸留圧力における水加ヒドラジンの沸点以上とし、かつ、塔頂部よりできるだけ不純物の少ない水加ヒドラジン水溶液が得られるような蒸留塔の形式及び運転条件とする。熱エネルギーコストの観点からいえば、圧力が低い方が蒸留塔内の温度が低くて済むので経済的であり好ましい。さらに、水加ヒドラジンの分解がより少なくて済むという点からも、圧力を下げて温度を低くする方が好ましい。
【0008】
缶出液中の高沸点不純物濃度は、不純物の種類や蒸留圧力にもよるが、好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは2〜30重量%となるように蒸留する。缶出液中の高沸点不純物濃度が高すぎて溶解度以上となると、蒸留塔内等で結晶が析出する恐れがある。また、高沸点不純物濃度が低すぎると、次の(b)工程における晶析の効率が悪くなる。
蒸留塔の留出液として得られた水加ヒドラジン水溶液は、さらに残存する不純物を除去して精製する工程、所定の濃度まで濃縮する工程等を経て、水加ヒドラジン水溶液の製品とする。
【0009】
(b)工程は、高沸点不純物を水加ヒドラジン水溶液中で晶析させて分離させる工程である。高沸点不純物の晶析は、公知の任意の方法、たとえば冷却操作や濃縮操作によって溶液中の不純物濃度を飽和濃度以上にする方法を用いることができる。高沸点不純物が、たとえばBADHのように、水加ヒドラジン水溶液中の溶解度が温度の上昇に伴って増加するような物質である場合は、(a)工程で得られた蒸留缶出液を単に冷却するだけでよい。
晶析時間は長い方が、一般に析出量及び析出した結晶の大きさが大きくなるので好ましい。しかし、晶析時間が長くなると晶析装置及び固液分離装置の規模が大きいものが必要となるので、晶析時間は析出速度と装置規模とを勘案して決められる。また、晶析時間を短縮するために適度の攪拌を行ったり、結晶の核となる物質を添加したりすることも有効な手段である。
【0010】
晶析させたスラリーから高沸点不純物を含む粗結晶と水加ヒドラジン水溶液とを固液分離するのは、公知の任意の方法、たとえば重力や遠心力を利用した沈降機や濾過機を用いて行うことができるが、粗結晶中に残存する水加ヒドラジンの量をできるだけ少なくするには遠心濾過機を使用するのが好ましい。また、連続式・回分式のいずれの方法も用いることができる。
分離した高沸点不純物の結晶は、そのままで、あるいは水などの溶媒に溶解させて、廃棄または回収することができる。
【0011】
(c)工程は、高沸点不純物を除かれた水加ヒドラジン水溶液を(a)工程の蒸留塔へ戻し、水加ヒドラジン成分を回収する工程である。(b)工程で分離された水加ヒドラジン水溶液は、わずかながら高沸点不純物を含有しているのが普通なので、蒸留塔の塔底部に戻すのが好ましい。なお、結晶化しない高沸点不純物の蓄積を防止するためには、(b)工程で得られた濾液の一部は系外に排出し、残りを(a)工程に戻すのが好ましい。
また本発明により、キレート剤等として有用なBADHの結晶を水加ヒドラジンと同時に製造することができる。BADHは、上記(a)〜(b)の工程により水加ヒドラジン水溶液から結晶として分離することができる。得られたBADHの結晶は他の高沸点不純物や水加ヒドラジンを含有する粗結晶である場合が多いので、さらに再結晶などの精製操作を行うことによりより純度の高いBADHを得ることができる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
カコジル酸の存在下、メチルエチルケトン、アンモニア及び過酸化水素を反応させてケタジンを合成した。このケタジンを加圧蒸留塔内で加水分解して40重量%水加ヒドラジン水溶液を得た。この40重量%水加ヒドラジン水溶液100gをガラス製100ml三ツ口フラスコに仕込み、200mmHgの減圧下で加熱して釜残液量が2.4gになるまで蒸留した。釜残液は水加ヒドラジン50重量%及びBADH10重量%を含有しており、25℃まで冷却すると白色の結晶が析出した。濾過により粗結晶0.4gと濾液2.0gとに分離したところ、粗結晶の組成はBADH55重量%、水加ヒドラジン25重量%、水20重量%であり、濾液は水加ヒドラジン55重量%及びBADH1重量%を含有していた。さらに、得られた粗結晶をエタノールに溶解して再結晶させたところ、BADH純度99重量%以上の結晶0.2gが得られた。
【0013】
実施例2
実施例1と同じ方法で得た40重量%水加ヒドラジン水溶液を減圧下で濃縮して80重量%の水加ヒドラジンを得た。この80重量%水加ヒドラジン水溶液を10.0kg/hの速度でステンレス鋼(SUS304)製蒸発缶に供給し、50mmHgの減圧下で留出速度が9.8kg/hとなるように加熱して連続蒸留を行った。缶出液は0.5kg/hの速度で連続的に抜出し、攪拌槽内でゆっくりと攪拌しながら30分間かけて冷却し結晶を析出させた。析出した結晶を含むスラリーは、バスケット型回分式遠心分離機にフィードして粗結晶と濾液とに分離した。濾液は0.3kg/hの速度で連続的に蒸発缶に供給した。蒸発缶にフィードした水加ヒドラジン量に対する留出した水加ヒドラジン量の比率は、99%であった。
比較例1
留出速度を9.5kg/h、缶出速度を0.5kg/hとし抜出した缶出液を蒸発缶に全く戻さないこと以外は、実施例2と同様に行った。蒸発缶にフィードした水加ヒドラジン量に対する留出した水加ヒドラジン量の比率は、96%であった。
【0014】
【発明の効果】
本発明によれば、不純物を含有する水加ヒドラジン水溶液から水加ヒドラジンを損失することなく不純物を選択的に除去することができ、経済的に効率よく水加ヒドラジンを製造することができる。
Claims (3)
- ケタジンを加水分解して水加ヒドラジンを製造する方法において、(a)水加ヒドラジンより高沸点の不純物を含有する水加ヒドラジン水溶液を蒸留塔にフィードし、留出側に水加ヒドラジンを、缶出側に高沸点不純物及び水加ヒドラジン及びを分離する工程、(b)高沸点不純物及び水加ヒドラジンを含有する缶出液から高沸点不純物を晶析分離させる工程、(c)分離した水加ヒドラジン水溶液を蒸留塔に戻す工程からなる水加ヒドラジンの製造方法。
- 不純物がビスアセチルヒドラジンであることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
- ケタジンが、メチルエチルケトンの存在下にアンモニアを酸化剤で酸化して合成したケタジンである請求項1記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24786196A JP3882859B2 (ja) | 1996-09-19 | 1996-09-19 | 水加ヒドラジンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24786196A JP3882859B2 (ja) | 1996-09-19 | 1996-09-19 | 水加ヒドラジンの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1095605A JPH1095605A (ja) | 1998-04-14 |
JP3882859B2 true JP3882859B2 (ja) | 2007-02-21 |
Family
ID=17169738
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24786196A Expired - Lifetime JP3882859B2 (ja) | 1996-09-19 | 1996-09-19 | 水加ヒドラジンの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3882859B2 (ja) |
-
1996
- 1996-09-19 JP JP24786196A patent/JP3882859B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1095605A (ja) | 1998-04-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TW424084B (en) | Method and apparatus for preparing purified terephthalic acid | |
JP2008500389A (ja) | 1,3−ジブロモアセトン、1,3−ジクロロアセトン及びエピクロロヒドリンの製造方法 | |
EP3820841A1 (en) | Process for producing 4,4'-dichlorodiphenyl sulfone | |
TWI343370B (en) | Method for producing ditrimethylolpropane | |
JP3085776B2 (ja) | アジピン酸を回収する方法 | |
WO2012033055A1 (ja) | ジトリメチロールプロパンの製造方法 | |
EP0469742B1 (en) | Production of acetaminophen | |
JP3110459B2 (ja) | p−アミノフェノール組成物の精製及びN−アセチル−p−アミノフェノールへの直接転化 | |
JP3882859B2 (ja) | 水加ヒドラジンの製造方法 | |
JP2661899B2 (ja) | トリシクラゾールの合成法 | |
JP2988019B2 (ja) | N−アルキルアミノエタンスルホン酸ナトリウムの製造方法 | |
JP3318992B2 (ja) | N−(α−アルコキシエチル)ホルムアミドの製造方法 | |
WO1991010633A1 (en) | Process for producing dipentaerythritol | |
JP2001226323A (ja) | 安息香酸ベンジルの回収方法 | |
EP0289298B1 (en) | Process for purifying crude 4-aminophenol | |
EP0136995A2 (en) | Preparation of 2-(methylthiomethyl)-6-(trifluoromethyl) aniline from ortho-aminobenzotrifluoride | |
JPS63132850A (ja) | 水蒸気ストリッピング方法 | |
JPH08325183A (ja) | ビスフェノールaの製造方法 | |
JPS6249253B2 (ja) | ||
JPH08176044A (ja) | 2−t−ブチルハイドロキノンの製造方法 | |
JP3780703B2 (ja) | 2−ブチルオクタン二酸の製造法 | |
JP4517678B2 (ja) | 精製ビスフェノールaの製造方法 | |
KR830000275B1 (ko) | 트리사이클아졸의 제법 | |
JPH03261736A (ja) | ジペンタエリスリトールの製造方法 | |
JPH09227476A (ja) | カルボン酸アミドの精製方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060829 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060906 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060926 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20061025 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20061107 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091124 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101124 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101124 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111124 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111124 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121124 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121124 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131124 Year of fee payment: 7 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |