JP4273733B2 - インクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットヘッドの製造方法に関し、詳しくは、複数に区切られた多数のインクチャネル内のインクをノズルプレートに形成されたノズル孔から吐出させるようにしたインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、分極した圧電素子板により形成される隔壁をせん断変形させることにより、該隔壁により区切られる多数のチャネル内のインクをノズルプレートに形成されたノズル孔から吐出させるようにしたマルチチャネル型インクジェットヘッドは、多数のチャネル(インク流路)を形成したヘッドチップの前面に、各チャネルに対応するように多数のノズル孔が形成されたノズルプレートを接合することにより製造される。
【0003】
このようなノズルプレートを製造する方法として、シート状のノズルプレートに対して、撥インク処理、保護部材形成、ノズル孔加工を施した後に、アクチュエータに貼り付けることで、撥インク処理が施されている部分に保護シートを貼って傷付けないようにする技術が知られている(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−156410号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のノズルプレートのノズル孔加工法においては、ノズルプレート1枚1枚に対して位置合わせを行う必要がでてくるので、極端に作業性が低下する問題がある。
また、同時に撥インク処理、保護シートの貼り合わせ処理も1枚1枚行わなければならないことになるので、作業効率が悪い欠点がある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、これら従来の問題を解決するもので、各工程作業時のノズルプレートの表面の傷付きを防止し、またノズル孔内へのゴミの進入を防止しながら、ノズルプレートのノズル孔加工時の位置合わせが容易であり、作業効率を向上することができるインクジェットヘッドの製造方法を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下の各発明によって解決される。
【0009】
即ち、請求項1に記載の発明は、複数のノズルプレートが作製可能なシート状のノズルプレート基材の片面に撥インク処理を施す第1の工程、前記ノズルプレート基材の撥インク処理面に保護シートの貼り付けを行う第2の工程、前記ノズルプレート基材にノズル孔加工を行う第3の工程、前記ノズルプレート基材を複数のノズルプレートに切断加工する第4の工程、前記ノズルプレートの保護シートが貼られていない側の面をインク流路部材に接着する第5の工程を有してなり、前記保護シートは、前記ノズルプレート基材に貼り付けられた状態で該ノズルプレート基材の両側からはみ出た2つのタグ部を有しており、前記第5の工程において、前記保護シートの前記タグ部を保持し、前記ノズルプレート基材に張力を与えながら接着を行うことを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法である。
【0010】
この請求項1に記載の発明によれば、シート状のノズルプレート基材に対して、切断加工ノズル孔加工作業時の撥インク膜の傷付きなどを防止し、またノズル孔内へのゴミの進入を防止しながら、複数ヘッド分の大きさのノズルプレート基材に撥インク処理、保護シート貼付け、ノズル加工を効率的に行うことができる。またノズルプレートの孔加工の位置合わせが容易である。しかも保護シートによりノズル孔を精度よく開けることができるのみならず、切断時の切断近傍での撥インク膜の剥がれや、損傷を発生させない効果がある。更に、タグ部を保持して作業ができるので、ノズルプレートの撥インク処理されていない側の面の汚れを防止できる。また、インク流路部材に接着する際に、タグ部を保持し張力を与えて接着すれば、しわの発生が無く精度良く接着できる。また、最後に剥離するときもタグ部を保持して容易に剥離できる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記保護シートを剥離する第6の工程を有することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法である。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、保護シートを剥がす手間なくインク射出することができるインクジェット記録ヘッドを得ることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記第3の工程におけるノズル孔加工及び前記第4の工程における切断加工を、レーザー加工により行なうことを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法である。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、切断加工及びノズル孔加工をレーザー加工により行なうことで、作業性、加工精度が向上する。
【0015】
請求項4に記載の発明は、前記第3の工程におけるノズル孔加工の際に、前記保護シートを貫通しないようにすることを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法である。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、ノズルプレートのノズル孔加工の際に、保護シートを貫通しないようにすることで、ノズル孔加工後の切断加工時などの各工程でノズル孔内へのゴミの進入するのを防止することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、前記保護シートは、紫外線照射によって粘着力が低下する粘着剤付きシートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法である。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、保護シートは紫外線照射によって粘着力が低下する粘着剤付きシートであり、最後に剥離する際、紫外線を照射すれば容易に剥離することができ作業性が向上するとともに、剥離の接着剤残り、撥インク膜のはがれを防止できる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、前記保護シートは、加熱によって粘着力が低下する粘着剤付きシートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法である。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、加熱により粘着力が低下する粘着剤のついた保護シートを用いることで、接着剤でノズルプレートをインク流路部材にはりつけた後の加熱硬化時の熱で、粘着力が低下し剥離しやすくなり、作業性が向上するとともに、剥離の接着剤残り、撥インク膜のはがれを防止できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0024】
本発明に係るインクジェット記録ヘッドの製造方法にかかるインクジェット記録ヘッドは、インクチャネル内のインクを該インクチャネルの一端に形成されたノズル孔からインク滴として吐出するように構成されたものであれば、インクを吐出するエネルギーを発生するための構造はどのようなタイプでもよいが、ここではインクチャネルを構成する側壁が分極された圧電性材料により形成され、この側壁に電界を印加することにより側壁をせん断変形させてインクチャネル内のインクを吐出する、いわゆるシェヤーモードタイプの記録ヘッドを例に挙げて説明する。
【0025】
図1は、インクジェットヘッドの一例であるマルチチャネル型インクジェットヘッドの構造例を示す一部破断斜視図である。
【0026】
同図において、1はヘッドチップ、2はノズルプレート、3はバックプレート、4はインクマニホールドである。
【0027】
同図に示すヘッドチップ1は、アクチュエータ基板11と、該アクチュエータ基板11の上面に接合されたカバー基板12とにより構成されている。
【0028】
アクチュエータ基板11は、電界を印加することにより変形を生じる2枚の圧電材料基板11a、11bを、分極方向を互いに反対に向けてエポキシ系接着剤等を用いて上下に接合されてなり、それら2枚の圧電材料基板11a、11bに亘って円盤状の砥石(ダイシングブレード)等の公知の研削機を用いて所定ピッチで互いに平行な複数列の溝が加工されることにより、チャネル13と隔壁14とが交互に形成されている。尚、本発明のインク流路部材は、本実施例におけるアクチュエータ基板11に相当する。
【0029】
各隔壁14の壁面には該隔壁14に電界を印加するための金属電極(図示せず)が形成されている。この金属電極の形成方法としては、蒸着法、スパッタ法、めっき法等の公知の手段を用いることができる。図示する態様では、隔壁14は分極方向の異なる2枚の圧電材料基板11a、11bからなるため、各金属電極は、それら両圧電材料基板11a、11bを駆動させるべく、少なくとも各隔壁14を構成している圧電材料基板11a及び11bに亘る側面の全面に形成されている。
【0030】
カバー基板12は、アクチュエータ基板11のチャネル13が形成されている上面にエポキシ系接着剤等を用いて接合される。このカバー基板12には、アクチュエータ基板11に用いられているものと同じ圧電材料基板を脱分極して使用すると、貼り合せた時にソリ、変形、熱膨張係数の差による剥離等が起こらないために好ましい。
【0031】
ヘッドチップ1の前端面には、ヘッドチップ1の複数のチャネル13に対応するように形成されたインク吐出用のノズル孔21を有するノズルプレート2が、また、ヘッドチップ1の後端面には、インク導入孔31を有するバックプレート3を介してチャネル13内にインクを供給するインクマニホールド4が接着剤を用いてそれぞれ接合されている。
【0032】
次に、本発明の特徴である上記ノズルプレート2にノズル孔21を加工し、ヘッドチップ1と接着する各製造工程について説明する。
【0033】
第1の工程
第1の工程は、複数のノズルプレートが作製可能なシート状のノズルプレート基材の片面に撥インク処理を施す工程である。
【0034】
ここで、複数のノズルプレートが作製可能な、というのは、インクジェット記録ヘッド複数個分の大きさであることを意味する。
【0035】
図2には、シート状のノズルプレート基材200が示されており、このノズルプレート基材200は、3つのノズルプレート2a、2b、2cに分割可能な大きさであり(図中の破線は仮想線)、記録ヘッド3個分の大きさである。
【0036】
ノズルプレート基材200の材料としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、アロマティツクポリアミドなどの樹脂シートを好ましく用いることができる。
【0037】
またノズルプレート基材200はシート状に形成されるため、その厚さは、例えば50〜130μmの範囲が好ましい。
【0038】
ノズルプレート基材200の片面(図面では上面200A)は、撥インク処理されるが、かかる撥インク処理の方法としては、例えば撥インク剤のコーティングなどが採用される。コーティング剤としては、PTFE、FEP、PFA、パーフルオロシクロポリマー等のフッ素樹脂が好ましい。
【0039】
第2の工程
第2の工程は、前記ノズルプレート基材の撥インク処理面に保護シートの貼り付けを行う工程である。
【0040】
図3に示すように、撥インク処理されたノズルプレート基材200に、撥インク処理面200Aの面に粘着剤201を介して保護シート202を貼付けることによりノズルプレート材203を得る。
【0041】
保護シート202は、ノズルプレート基材200より面積が大きく、ノズルプレート基材200に貼り付けられた状態で、ノズルプレート基材200からはみ出るタグ部202A、202Bを有していることが好ましい。
【0042】
タグ部202A、202Bを有していると、その後の各工程でタグ部をつかんで作業ができるので、ノズルプレート基材200の保護シートが無い側の汚れを低減できる。また最後の保護シートを剥離する際も、タグ部をつかんで容易に剥離することができる。
【0043】
保護シート202としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)が用いられ、厚さは、例えば20〜80μmの範囲が好ましい。
【0044】
粘着剤201としては、ゴム系粘着剤が好ましく用いられる。
【0045】
また、保護シート202は粘着剤付きシートであってもよく、その場合、紫外線照射等によって粘着力が低下する粘着剤付きシートであることが好ましい。保護シート202を剥離する時に、保護シートに紫外線を照射することで粘着剤の粘着力が低下し、容易に保護シート202のみを剥離することができ、作業性が向上する効果を有する。また撥インク膜上の粘着剤残りや、撥インク膜のはがれも防止できる。
【0046】
また、保護シート202は、熱により粘着力が低下する粘着剤付きシートであることも好ましい。この場合は紫外線を照射せずとも、ノズルプレートを接着剤(不図示)で接着後の加熱硬化時の熱により、剥離が容易になる。
【0047】
このように熱や紫外線などの付加的処理により粘着力が低下する粘着剤で保護シート202を貼りつければ、剥離が容易になり、撥インク膿上の粘着剤残りや、撥インク膜のはがれも防止できる。
【0048】
第3の工程
第3の工程は、前記ノズルプレート基材にノズル孔加工を行う工程である。
【0049】
図4に示すように、ノズルプレート材203の保護シート202の貼付面の反対面、即ちノズルプレート基材200底面からノズル孔加工を行う。ノズル孔加工は、レーザー加工により行うことが好ましい。
【0050】
ノズルプレート材203のノズル孔加工に使用するレーザは、エキシマレーザ等の紫外線レーザが適している。所定以上の酸素ガスの雰囲気下で、ノズルプレート基材200側からレーザ光を照射し、ノズルプレート基材200、粘着剤201を貫通して保護シート202に至るまでノズル孔加工を行い、ノズル孔21を形成する。この際、保護シート202を貫通しないようにすることで、その後の切断などの各工程でノズル孔21内へのゴミの進入を低減することができる。
【0051】
酸素ガスは、孔加工面1cm2あたり0.11/min(20℃)以上吹きかけながら、レーザ光205を照射して加工することが好ましい。
【0052】
レーザ光205を照射してノズル孔21を加工する時に発生するススが酸化してできたガスを取り除き、レーザ光205を照射して発生する飛散物の吹き出し部分に、常に消費される以上の酸素ガスを供給することが重要である。このように、レーザ光205を照射して、ノズル孔21がノズルプレート基材200、粘着剤201を貫通して保護シート202にまで加工され、ノズル孔21を高精度に加工することができる。
【0053】
このように、レーザ光205を照射して、ノズル孔21がノズルプレート基材200、粘着剤201を貫通して保護シート202にまで加工されるが、ノズル孔21の奥側端部21aを粘着剤201により保持した状態で加工することで、奥側端部21aが確実に切断された状態になりノズル孔21を高精度に加工することが可能である。
【0054】
また、レーザ光205を照射してノズル孔21を加工する時に発生するススが、所定以上の酸素ガスの雰囲気下で燃焼して除去され、加工後にノズルプレート材203を洗浄することが不要になり、その分加工コストを削減することができる。また、ノズル孔21にススが詰まることがなくなり、ノズル孔加工の品質精度が向上する。
【0055】
第4の工程
第4の工程は、前記ノズルプレート基材を複数のノズルプレートに切断加工する工程である。
【0056】
図5に示すように、記録ヘッド3個分の加工済みノズルプレート材203を記録ヘッド1個分の大きさに切断加工を施すことにより3個分のノズルプレート2a、2b、2cが得られる。
【0057】
ノズルプレート基材200側からノズルプレート材203の外形の切断工程を穴加工と同様にレーザー照射で行う。
【0058】
孔加工から切断までレーザー加工で連続的に行えるので効率が良い。
【0059】
ノズルプレート2a、2b、2cの外形加工に使用するレーザは、孔加工と同様にエキシマレーザ等の紫外線レーザが適している。
【0060】
第5の工程
第5の工程は、前記ノズルプレートの保護シートが貼られていない側の面をインク流路を有するアクチュエータ基板に接着する工程である。
【0061】
図6に示すように、第4の工程で得られた記録ヘッド1個分の大きさのノズルプレート2をアクチュエータ基板11に貼り付ける。
【0062】
該貼り付けは前記ノズルプレート2の保護シート202が貼られていない側の面をインク流路部材の一例であるアクチュエータ基板11に接着することにより行う。
【0063】
アクチュエータ基板11とノズルプレート2との接合に用いられる接着剤には、大別して熱硬化型接着剤、例えば熱硬化エポキシ接着剤、熱可塑性樹脂接着剤、加熱硬化シリコーン接着剤、フェノール樹脂系接着剤、付加型シリコーン接着剤等と、常温硬化型接着剤、例えば2液混合エポキシ接着剤、紫外線硬化接着剤、シアノアクリレート接着剤、溶剤揮発型接着剤、RTVシリコーン接着剤等とがあり、本発明においてはそのいずれを用いることもできる。
【0064】
ノズルプレート2は、図6に示すように、保護シート202が貼られた状態で、チャネル(インク室)13を有するアクチュエータ基板11に貼り付ける。この際タグ部202A、202Bを保持してノズルプレート2に張力を与えながら接着することで、しわが無く、高位置精度で接着できる。
【0065】
この後、インク吐出などの必要が生じた際は、保護シート202側から紫外線を照射する。
【0066】
このように複数のノズルプレートが作製可能なノズルプレート基材の片面に撥インク処理を施す第1の工程、前記ノズルプレート基材の撥インク処理面に保護シートの貼り付けを行う第2の工程、前記ノズルプレート基材にノズル孔加工を行う第3の工程、前記ノズルプレート基材を複数のノズルプレートに切断加工する第4の工程、前記ノズルプレートの保護シートが貼られていない側の面をインク流路部材に接着する第5の工程を経て本発明のインクジェット製造方法にかかるノズルプレートが作成される。
【0067】
このインクジェット記録ヘッドの製造方法によれば、シート状のノズルプレート基材に対して、切断加工ノズル孔加工作業時の撥インク膜の傷付きなどを防止し、またノズル孔内へのゴミの進入を防止しながら、複数ヘッド分の大きさのノズルプレート基材に撥インク処理、保護シート貼付け、ノズル加工を効率的に行うことができる。またノズルプレートの孔加工の位置合わせが容易である。しかも保護シートによりノズル孔を精度よく開けることができるのみならず、切断時の切断近傍での撥インク膜の剥がれや、損傷を発生させない効果がある。
【0068】
第6の工程
第6の工程、前記保護シートを剥離する工程である。
【0069】
第6の工程として貼り付けたノズルプレート2の保護シート202を剥がすことによりノズルプレート2が貼着されたインクジェット記録ヘッドが得られる。
【0070】
このとき、ノズルプレート基材200からはみ出たタグ部202A、202Bを保持して保護シート202を剥離させることができるので、容易に剥離することができる。
【0071】
第6の工程までを行ったインクジェット記録ヘッドの製造方法によれば、ユーザが保護シートを剥がす手間なくインク射出して使用することができる。
【0072】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、シート状のノズルプレート基材に対して、切断加工ノズル孔加工作業時の撥インク膜の傷付きなどを防止し、またノズル孔内へのゴミの進入を防止しながら、複数ヘッド分の大きさのノズルプレート基材に撥インク処理、保護シート貼付け、ノズル加工を効率的に行うことができる。またノズルプレートの孔加工の位置合わせが容易である。しかも保護シートによりノズル孔を精度よく開けることができるのみならず、切断時の切断近傍での撥インク膜の剥がれや、損傷を発生させない効果がある。更に、タグ部を保持して作業ができるので、ノズルプレートの撥インク処理されていない側の面の汚れを防止できる。また、インク流路部材に接着する際に、タグ部を保持し張力を与えて接着すれば、しわの発生が無く精度良く接着できる。また、最後に剥離するときもタグ部を保持して容易に剥離できる。
【0073】
請求項2に記載の発明によれば、保護シートを剥がす手間なくインク射出することができるインクジェット記録ヘッドを得ることができる。
【0074】
請求項3に記載の発明によれば、切断加工及びノズル孔加工をレーザー加工により行なうことで作業性、加工精度が向上する。
【0075】
請求項4に記載の発明によれば、ノズルプレートのノズル孔加工の際に、保護シートを貫通しないようにすることで、ノズル孔加工後の切断加工時などの各工程でノズル孔内へのゴミの進入するのを防止することができる。
【0076】
請求項5に記載の発明によれば、保護シートは紫外線照射によって粘着力が低下する粘着剤付きシートであり、最後に剥離する際、紫外線を照射すれば容易に剥離することができ作業性が向上するとともに、剥離の接着剤残り、撥インク膜のはがれを防止できる。
【0078】
請求項6に記載の発明によれば、加熱により粘着力が低下する粘着剤のついた保護シートを用いることで、接着剤でノズルプレートをインク流路部材にはりつけた後の加熱硬化時の熱で、粘着力が低下し剥離しやすくなり、作業性が向上するとともに、剥離の接着剤残り、撥インク膜のはがれを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マルチチャネル型インクジェットヘッドの構造例を示す一部破断斜視図
【図2】インクジェットヘッドの製造にかかるノズルプレートの第1の製造工程を示す図
【図3】インクジェットヘッドの製造にかかるノズルプレートの第2の製造工程を示す図
【図4】インクジェットヘッドの製造にかかるノズルプレートの第3の製造工程を示す図
【図5】インクジェットヘッドの製造にかかるノズルプレートの第4の製造工程を示す図
【図6】インクジェットヘッドの製造にかかるノズルプレートの第5の製造工程を示す図
【符号の説明】
1:ヘッドチップ
2:ノズルプレート
21:ノズル孔
21a:奥側端部
3:バックプレート
4:インクマニホールド
11:アクチュエータ基板(インク流路部材)
12:カバー基板
13:チャネル(インク室)
14:隔壁
200:ノズルプレート基材
200A:撥インク処理面
201:粘着剤
202:保護シート
202A、202B:タグ部
203:ノズルプレート材
205:レーザー光
Claims (6)
- 複数のノズルプレートが作製可能なシート状のノズルプレート基材の片面に撥インク処理を施す第1の工程、前記ノズルプレート基材の撥インク処理面に保護シートの貼り付けを行う第2の工程、前記ノズルプレート基材にノズル孔加工を行う第3の工程、前記ノズルプレート基材を複数のノズルプレートに切断加工する第4の工程、前記ノズルプレートの保護シートが貼られていない側の面をインク流路部材に接着する第5の工程を有してなり、前記保護シートは、前記ノズルプレート基材に貼り付けられた状態で該ノズルプレート基材の両側からはみ出た2つのタグ部を有しており、前記第5の工程において、前記保護シートの前記タグ部を保持し、前記ノズルプレート基材に張力を与えながら接着を行うことを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
- 前記保護シートを剥離する第6の工程を有することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
- 前記第3の工程におけるノズル孔加工及び前記第4の工程における切断加工を、レーザー加工により行なうことを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
- 前記第3の工程におけるノズル孔加工の際に、前記保護シートを貫通しないようにすることを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
- 前記保護シートは、紫外線照射によって粘着力が低下する粘着剤付きシートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
- 前記保護シートは、加熱によって粘着力が低下する粘着剤付きシートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
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