JP4273178B2 - N−置換カルバゾールの新規合成法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なカルバゾール誘導体の製法に関する。特にカルバゾール誘導体の3,6,2,7,および9位に限らずその他の部位に置換基を簡便に導入した置換カルバゾール誘導体を製造する方法、特にアミノ基のNと2,2'−ジハロ−1,1'−ビフェニル、2−ハロ−2'−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,1'−ビフェニルまたは2,2'−ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−1,1'−ビフェニルのハロゲンおよび/またはトリフルオロメタンスルホニルオキシが置換した2つの炭素とで2つのN−C結合を同時に形成させることでN含有ピロール環を形成するという全く新しい反応により、換言すれば一段階の反応により前記置換位置に置換基を持った産業上有用な置換カルバゾール誘導体を製造する方法に関する。前記置換カルバゾール誘導体はそれ自体で、またはポリマー化することにより、有機EL、蛍光材料、有機バッファー層構成材料などとして有用である。
【0002】
【従来の技術】
置換カルバゾール、特に2以上の置換基を有するカルバゾール誘導体を無置換カルバゾールから合成する場合、カルバゾール環自身の電子的性質から、求電子的反応はカルバゾールの3,6,9位でしかおこらなかった。したがってカルバゾールを含むポリマーとしては9位にビニル基を導入して重合するポリ(9?ビニルカルバゾール)が最も一般的であり、または3,6位において高分子を形成することが一般的であった。
【0003】
カルバゾール以外の出発原料から置換カルバゾールを合成するには、ナイトレンを経由する方法、フィッシャーインドール合成、トリアゾールを経由する方法がある(Gilchrisit, T. L. ;Heterocyclic Chemistry,Pitman Publishig Ltd.(1985))。その他置換基を導入する方法としてDieals-Alder反応(Kishbaugh, T. L. S.; Grible, G. W.;Tetrahedron Lett. 2001,42, 4783.)やニトロ基を利用した反応(H. Suschitzky and E. F. V. Scriven Ed. Progress in Heterocyclic Chemistry vol 7, Pergamon (1995))が挙げられる。またその他様々な置換基を導入することが容易な2-ニトロビフェニルをトリエチルフォスファイトを用いて閉環させる反応(Cadogan, J. I. G.; Wood, M, C.; Mackie, R. K.; Searle, R. J. G.J.Chem.Soc. 1965, 4831. e) Morin, J. F.; Leclerc, M. Macromolecules 2001, 34,4680.)やカチオンであるナフィオン-Hを用いて2,2'-ジアミノビフェニルを閉環させる反応(Yamato, T.; Hideshima, C.; Suehiro, K.;Tashiro, M.; Prakash, G. K. S.; Olah, G. A.J.Org.Chem.1991,56, 6248.)があげらる。しかし、いずれの方法も出発原料の合成に多段階を要し、トータルの収率も低い。
【0004】
カルバゾールは3,6,9位以外に置換基を導入することが困難であったことから、任意の位置に望む置換基を導入する多置換カルバゾールの製法の報告例は少ない。そのなかで置換基導入が容易なビフェニルを経由して遷移金属触媒を用いてアミノ化によりカルバゾール環を形成する反応はHartwigとJ. Woodらのによる、2-アミノ-2'-ヨードビフェニルから出発し、窒素−炭素結合を形成する例のみである(Driver, M. S.; Hartwig, J. F. J.Am.Chem.Soc. 1995, 117, 4708.Wood, J. L.; Stoltz, B. M.; Dietrich, H. J.; Pflum, D. A.; Petsch, D.T. J.Am.Chem.Soc. 1997, 119, 9641.)。またビフェニルを用いる反応例としては2−ニトロビフェニルをトリエチルフォスファイトを用いてカルバゾール環を形成させる反応(Cadogan, J. I. G.;Wood, M. C.;Mackie, R. K.; Searle, R.J. G.: J.Chem.Soc. 1965,4831.)2,2−ジアミノビフェニルとナフィオンを用いる(Yamato, T.; Hideshima, C,; Suehiro, K.; Tasjiro, M.; Prakash,G. K. S.; Olaf, G. A. J.Org.Chem. 1991,56, 6248)2例のみであり、いずれも適用できる化合物が限られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、カルバゾール環に前記産業上有用な様々な置換基を任意の位置に導入することができるカルバゾール誘導体の高効率製造方法を提供することである。
【0006】
カルバゾール環に置換基を導入する際に問題になってくるのはカルバゾール環自身の反応性の乏しさで、3,6位の求電子反応と9位のプロトン引き抜きをともなう求電子試薬との反応によってしか置換基を導入することが出来なかった。したがって、任意の位置に望むべき置換基が導入されたカルバゾール環を形成させるには全く新しい発想に基づく合成方法を開発する必要があった。
【0007】
そこで、本発明者は、カルバゾールのN含有環を合成の過程で形成させる、すなわちN置換アミン分子と2,2'−ジハロ−1,1'−ビフェニル、2−ハロ−2'−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,1'−ビフェニルまたは2,2'−ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−1,1'−ビフェニル1分子を用い前記アミノ基のNと2つのハロゲンまたは/およびトリフルオロメタンスルホニルオキシが置換した2つの炭素とで2つのN−C結合を同時に形成させN−カルバゾリル基のN含有ピロール環を形成させることを考えた。アリールハライド化物のアミノ化によるC−N結合の形成に利用されている、パラジウムなどの金属と嵩高な有機基を持つP配位子化合物の錯体を触媒とし、有機溶媒中で適当なハロゲン化水素受容体などとして機能するtert-ブトキシNaの存在下で反応させることにより前記新規な着想に基づく反応が進行し、前記本発明の目的化合物が効率的に得られることを確認し、前記各課題を解決することができた。
【0008】
前記嵩高な有機基を持つP配位子化合物を用いるアミノ化反応の触媒、ハロゲン化水素受容体などとして機能する塩については、例えば、〔文献;J. P. Wolfe, H. Tomori, J. P. Sadighi, J. J. Yin, S. L. Buchwald, J. Org. Chem. vol 65 p.1158 (2000).〕を参考資料として挙げることができる。また、このような技術を、本発明で利用する触媒を支持する根拠として挙げる。ここには、アリールハロゲン化物基質をPd触媒を利用してアミノ化する反応を効率的に進める触媒系を構築するための配位子化合物群が説明され、特に配位子として有機リン化合物を用いること、立体的に嵩高な配位子は、還元的除去反応によるC−N結合の形成を促進することが説明されている(1165頁、Discussionの項参照)。また、利用するPd源、配位子の選択は前記反応を成功させるかどうかの重要な点であり、P結合有機基の嵩高性、高電子密度およびホスフィン類は、アリールクロライドを容易にアニリン誘導体にすると共に、使用できるアリールクロライド化合物の範囲を拡大することができることが説明されている(1158頁左欄。)そして、図1の配位子群Aおよび該配位子の特性などが説明されている。また、前記本発明の反応は、ヨウ化銅、嵩高なジアミン配位子、例えばラセミトランス−1,2−シクロヘキサンジアミンおよびtert-ブトキシアルカリ金属(アルカリ金属はLi、NaまたはK)、アルカリ金属の炭酸、またはリン酸塩からなる群から選択されるハロゲン化水素受容体などとして機能する塩、例えば、リン酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムまたはtert-ブトキシNaなどの塩の触媒系を用いて進行させることもできる(この系の触媒については、文献、A. Klapars, J. C. Antilla, X. Huang, S. L. Buchwald J. Am. Chem. Soc.2001,123, 7727. を参照)。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、触媒MLn(MはPdまたはNi、Lは嵩高な有機P化合物配位子、nは整数である。)およびtert-ブトキシアルカリ金属(アルカリ金属はLi、NaまたはK)、アルカリ金属の炭酸、酢酸またはリン酸塩、有機アミンからなる群から選択されるハロゲン化水素受容体などとして機能する塩の組み合わせ、またはヨウ化銅、嵩高なジアミン配位子およびtert-ブトキシアルカリ金属(アルカリ金属はLi、NaまたはK)、アルカリ金属の炭酸塩、またはリン酸塩からなる群から選択されるハロゲン化水素受容体などとして機能する塩との組み合わせの存在する有機溶媒とからなる反応系を用い、R−NH2で表される第1級アミンと置換基を有していても良い2,2'−ジハロ−1,1'−ビフェニル、2−ハロ−2'−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,1'−ビフェニルまたは2,2'−ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−1,1'−ビフェニルとを反応原料として下記の反応によりR−Cz、(但し,Czは、置換または未置換のN−カルバゾリル基であり、RはカルバゾールのNと結合する置換基であり、該置換基は置換または未置換のアリール基並びに置換基または未置換のアルキル基である)で表されるカルバゾール誘導体を製造する方法である。
【0010】
【化2】
反応1
【0011】
但し、X1およびX2はハロゲン、およびトリフルオロメタンスルホニルオキシからなる群から独立に選択される置換基であり、Y、およびZは、メトキシ基、エステル基、ニトリル基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基又はアリール基、並びに−OAc、−OSO 2 CH 3 または−OSO 2 CF 3 基からなる群から選択される酸素原子含有基から独立に選択される置換基であり、nおよびmは1〜4から選択される整数である。Rは請求項1で定義したと同じである。
【0012】
好ましくは、少なくともカルバゾール環の2,7位または3,6位にメトキシ基、エステル基、ニトリル基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基又はアリール基、並びに−OAc、−OSO 2 CH 3 または−OSO 2 CF 3 基からなる群から選択される酸素原子含有基から独立に選択される基で置換されていることを特徴とする前記カルバゾール誘導体を製造する方法であり、より好ましくは、2位および2'位のハロゲン原子はBr、I、またはClから選択され、2,2'−ジハロ−1,1'−ビフェニルの場合それぞれのハロゲン原子は独立に選択されることを特徴とする前記カルバゾール誘導体を製造する方法である。
【0013】
【本発明の実施の態様】
本発明をより詳細に説明する。
A.カルバゾール誘導体は、光半導体材料、有機EL、有機ELのホール輸送材料などとして、また、2,7−ハロゲン置換誘導体は縮合重合してポリマー材料として、前記と同様の、またはN位にキラル基、または重合により光学異性を持つ材料を合成し、光学記録など光学素子材料として利用されており、これらの特性は、カルバゾール環の他の位置に種々の置換基を導入することにより、その機能性を向上させることができるから、種々の機能基で置換した、また多置換のカルバゾール誘導体が求められており、前記カルバゾール誘導体の簡易で、効率的な合成方法が求められている。本発明の合成法は、このような要求に合致したものである。
【0014】
前記、機能性を付与する置換基としては、メトキシ基、エステル基、ニトリル基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、酸素原子含有基、およびアリール基などを挙げることができ、目的に応じて選択される。例えば、電子共鳴効果を持つ置換基のメトキシ基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基などは、有機ELのホール輸送層として用いるためには有効な基である。ここで、酸素原子含有基とは、例えば、−OAc、−OSO2CH3、−OSO2CF3などを意味する。
【0015】
またハロゲンは、以下の反応2により、ポリマー材料を形成するのに有効な基であり、アルコキシ基、酸素原子含有基、アミノ基はハロゲンに容易に変換できるだけでなく、他の置換基を導入することにも有効な反応性の基である。
【0016】
【化3】
反応2
【0017】
但し、Rは請求項1で定義したと同じである。上記説明から明らかなように、反応原料であるNH2−RにおけるRも、前記官能基の説明に基づいて選択され、用いられる。
【0018】
B. アミノ化反応の基質の2,2'−ジハロ−1,1'−ビフェニル化合物において、ハロゲン原子は同一でも、異なっていても良く、Cl、BrおよびIから選択される。好ましいものとしては、BrとIとを組み合わせた場合、および両ハロゲンがBrの場合を挙げることができる。該ビフェニル化合物において機能性などの改善に有効な置換位置は4,4'位である。4,4'位に置換したメトキシ基、アミノ基、ニトロ基、ハロゲンまたはアリール基は本発明の反応に付随して高分子化、置換基導入が容易で、有機EL、蛍光材料、有機バッファー層構成材料の新規化合物の合成法を確立、または既知化合物の合成法を改善することができる。アミノ化反応の基質が2−ハロ−2'−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,1'−ビフェニルまたは2,2'−ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−1,1'−ビフェニルの場合においても、4,4'位にメトキシ基、アミノ基、ニトロ基、ハロゲンまたはアリール基を置換することにより上記特性の改善が見られる。
【0019】
C.触媒MLn(MはPdまたはNi、Lは嵩高な有機P化合物配位子、nは整数である。)において、配位子Lとして、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン、ビス(2−メチルフェニル)(フェニル)ホスフィン、(2−メチルフェニル)ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどのトリアリールホスフィン類、トリ(tert-ブチル)ホスフィン、トリ(イソプロピル)ホスフィンなどの嵩高のアルキル基を持つトリアルキルホスフィン類、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジ−tert-ブチルホスフィノ)ビフェニルなど有機ホスフィノ基置換ビフェニル類、1位、1位および1'位にフェニル基、嵩高なアルキル基、例えばtert-ブチル基、シクロヘキシル基からなる群から選択2つの有機基(異なるものから選択されても良い)をもつホスフィノ基を有するフェロセン類、その他に、図1の配位子群Aおよび配位子群Bに記載のものを挙げることができる。好ましいものとして、トリ(tert-ブチル)ホスフィンを挙げることができる。
【0020】
D.配位触媒のPd、Niなどの金属前駆体としては、Pd2(dba)3、Pd(dba)2、Pd(OAc)2、PdCl2〔P(メチルフェニル)3〕2、PdCl2(dppf)、Ni(cod)2、NiCl2とMeMgBrの混合物、Ni/C、NiCl2(1,10−フェナンスロリン)とMeMgBrの混合物などを挙げることができる。ここで、dba=トランス、トランス−ジベンジリデン アセトン(trans,trans-dibenzylidene acetone)、OAc=アセチル、dppf=1,1'−(ビスジフェニルホスフィノ)フェロセン〔1,1'-(bisdiphenylphosphino)ferrocene〕、cod=1,5−シクロオクタジエンである。
【0021】
E.前記触媒MLnと組み合わされる、反応中に発生するHX(Xはハロゲン原子)の受容体などとして機能する塩は、tert-ブトキシアルカリ(アルカリとしては、Li、Na、K)、リン酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、トリアルキルアミンなどを挙げることができる。
【0022】
前記触媒MLnを用いた系と同様に機能する触媒系として、ヨウ化銅、嵩高なジアミン配位子、例えばラセミ トランス−1,2−シクロヘキサンジアミンおよびtert−ブトキシアルカリ金属(アルカリ金属はLi、NaまたはK)、アルカリ金属の炭酸塩、またはリン酸塩からなる群から選択されるハロゲン化水素受容体などとして機能する塩、例えば、リン酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムまたはtert-ブトキシNaなどの塩との組み合わせを有用なものとして挙げることができる。
【0023】
F.反応溶媒としては、トルエン、ベンゼンなどの芳香族類、ヘキサン、エーテル、酢酸エチル、クロロホルム、塩化メチレン、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,2?ジメトキシエタン、ジグライムなどである。好ましくは、トルエン、ベンゼンなどの芳香族類である。G.反応温度は20〜150℃の範囲であり、好ましくは、80±20℃である。
【0024】
以下に示す実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、請求の範囲に記載に記載された構成の範囲に含まれるものであれば、本実施例に準ずる作用効果を持ち、本発明を限定するものではない。
【実施例】
実施例1
9−フェニルカルバゾールの合成。アニリン(46mg,0.50ミリモル)と2,2'ブロモ−1,1'−ビフェニル(156mg、0.60ミリモル)をトルエン(1.0mL)にとかし、金属前駆体としてPd2(dba)3(23mg、0.025ミリモル)と配位子化合物としてトリス(tertブチル)ホスフィン(20mg、0.10ミリモル)、ハロゲン化水素受容体などとして機能する塩としてtert−ブトキシシNa(115mg、1.20mmol)を加え、80℃で、24時間撹拌した。反応混合物を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、前記目的の化合物 105mg(収率86%)を得た。融点;95℃〜97℃であった。
【0025】
実施例2〜6
化合物2〜6を反応3により合成した。生成物、収量、方法を、実施例1も合わせて表1に示す。
【0026】
【化4】
反応3
【0027】
【表1】
【0028】
方法;
Aは、NaOt-Bu,Pd2(dba)3、(t-Bu)3P,トルエン、80℃、16時間Bは、Cs2CO3、Pd2(dba)3、(S)-(BNAP)、トルエン、100℃、3日Cは、K3PO4、Pd2(dba)3、L1、DME、100℃、3日但し、L1は以下の化合物である。
【0029】
【化5】
L1
【0030】
アニリン上に電子供与性基や電子吸引性基がつくアミンと2,2'-ジブロモビフェニル上に電子供与性基がつくハライドをクロスカップリングさせると1段階でカルバゾール環をいずれも高い収率で構築する。アミン、ハライドどちらにどのような置換基がついていても反応は進行すると思われる。
【0031】
B;前記本発明の化合物のUV吸収特性を示す。図2−1〜図2−3は、シクロヘキサン中に前記本発明の化合物を1×10−5モル溶解した溶液のUV特性を示す。カルバゾール上に電子供与性を置換基に有する化合物は長波長にシフトすることが観察される。これによりカルバゾール上の置換基の効果により化合物の物性に著しく影響を及ぼすといえる。このことからも多置換のカルバゾール環を合成することは非常に有用なことであると言い換えられる。
【0032】
C;前記本発明の化合物の蛍光特性を図4に示す。図3は、シクロヘキサン中に前記本発明の化合物を1×10−5モル溶解した溶液の蛍光特性を示す。番号は図4に示した化合物の番号に対応する。カルバゾール上に電子供与性の置換基に有する化合物は長波長にシフトすることが観察される。これによりカルバゾール上の置換基の効果により化合物の物性に著しく影響を及ぼすといえる。このことからも多置換のカルバゾール環を合成することは非常に有用なことであると言い換えられる。
【0033】
D;前記本発明の化合物群の物質特性図4に示す。
【0034】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明における新しい反応に基づく多置換カルバゾール誘導体の合成原理は、種々のアリール基やアルキル基と組み合わせた多置換カルバゾール誘導体を提供できるという優れた効果をもたらし、得られた多置換カルバゾール誘導体は、その後変換容易な官能基を有していることから種々の機能材料、特に有機EL、蛍光材料、有機バッファー層構成材料として有用な材料を合成できるという優れた効果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のMLnの配位子群例
【図2−1】 化合物1及び2の化合物UVスペクトル
【図2−2】 化合物3及び4の化合物UVスペクトル
【図2−3】 化合物5及び6の化合物UVスペクトル
【図3】 化合物1,2,3,7の蛍光特性
【図4】 化合物1,2,3,4,5,6,7の物質特性の一覧表
Claims (3)
- 触媒MLn(MはPdまたはNi、Lは嵩高な有機P化合物配位子、nは整数である。)およびtert-ブトキシアルカリ金属(アルカリ金属はLi、NaまたはK)、アルカリ金属の炭酸、酢酸またはリン酸塩、有機アミンからなる群から選択されるハロゲン化水素受容体などとして機能する塩の組み合わせ、またはヨウ化銅、嵩高なジアミン配位子およびtert-ブトキシアルカリ金属(アルカリ金属はLi、NaまたはK)、アルカリ金属の炭酸塩、またはリン酸塩からなる群から選択されるハロゲン化水素受容体などとして機能する塩との組み合わせの存在する有機溶媒とからなる反応系を用い、R−NH 2 で表される第1級アミンと置換基を有していても良い2,2'−ジハロ−1,1'−ビフェニル、2−ハロ−2'−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,1'−ビフェニルまたは2,2'−ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−1,1'−ビフェニルとを反応原料として下記の反応によりR−Cz、(但し,Czは、置換または未置換のN−カルバゾリル基であり、RはカルバゾールのNと結合する置換基であり、該置換基は置換アリール基または未置換アリール基並びに置換アルキル基または未置換アルキル基である)で表されるカルバゾール誘導体を製造する方法。
(但し、X1およびX2はハロゲン、およびトリフルオロメタンスルホニルオキシからなる群から独立に選択される置換基であり、Y、およびZは、メトキシ基、エステル基、ニトリル基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基又はアリール基、並びに−OAc、−OSO 2 CH 3 、−OSO 2 CF 3 基からなる酸素原子含有基から独立に選択される置換基であり、nおよびmは1〜4から選択される整数である。) - 少なくともカルバゾール環の2,7位または3,6位にメトキシ基、エステル基、ニトリル基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基又はアリール基、並びに−OAc、−OSO 2 CH 3 、−OSO 2 CF 3 基からなる酸素原子含有基から独立に選択される基で置換されていることを特徴とする請求項1に記載のカルバゾール誘導体を製造する方法。
- 2位および2'位のハロゲン原子はBr、I、またはClから選択され、2,2'−ジハロ−1,1'−ビフェニルの場合それぞれのハロゲン原子は独立に選択されることを特徴とする請求項1または2に記載のカルバゾール誘導体を製造する方法。
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