JP4271020B2 - 洗濯機 - Google Patents

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Description

本発明は洗濯機に関し、更に詳しくは、洗濯物投入口を開閉する蓋体の開放を禁止するための蓋体ロック装置を備える洗濯機に関する。
従来より、洗濯運転中或いは脱水運転中などに使用者が安易に蓋体を開いてしまうことがないように、蓋体を閉鎖状態でロックする蓋体ロック装置を備えた洗濯機が知られている。こうした蓋体ロック装置の一般的な構成としては、蓋体に開口や切欠などの係合部を設ける一方、外箱側に駆動源による駆動力によって上記係合部に向けて進出又は後退する運動を行う作動体を設ける。そして、蓋体が完全に閉鎖された状態で作動体を進出させて係合部に係合させ、それによって蓋体の開放を阻止する。
作動体の動作は比較的単純であるため、多くの場合、駆動源としてはロッドを直線上に進退運動させるソレノイドが利用されている(例えば特許文献1参照)。ソレノイドを利用した蓋体ロック装置では、通常、蓋体のロック実行時、ロック解除時のいずれか一方又は両方のときに短時間だけコイルに電流を流せばよい。通電時にソレノイドは発熱するが、通常の使用状態では蓋体のロック及びその解除の頻度はそれほど高くないため、ソレノイドの発熱が問題となることはあまりない。
しかしながら、いたずらなどによって蓋体のロック及びその解除動作が繰り返されると、ソレノイドの温度が徐々に上昇していって過熱による特性劣化や断線などを起こす可能性がある。また、ソレノイドは動作時に比較的大きな音を発生するため、特に夜間に洗濯を行う場合のように高い静粛性が要求される場合には、その動作音を低減する必要がある。
特開2001−162088号公報
本発明はこのような課題を解決するために成されたものであり、その主な目的は、蓋体を閉鎖状態でロックする蓋体ロック装置の過熱を防止することで高い信頼性を確保することができるとともに、蓋体ロック及びその解除動作時の騒音を抑制することができる洗濯機を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明は、外形を成す外箱と、該外箱に形成された洗濯物投入口を開閉する蓋体と、使用者の手動操作による前記蓋体の開放を阻止すべく該蓋体を閉鎖状態でロックする蓋体ロック手段と、を具備する洗濯機において、
前記蓋体ロック手段は、
前記外箱側に設けられた、駆動源であるトルクモータ、及び該トルクモータの回転駆動力により進退動作する作動体と、
前記蓋体に設けられ前記作動体の進出時に該作動体と係合する係合部と、
前記作動体が前記係合部に係合し得る位置で且つその作動体の最大進出位置よりも手前の位置に該作動体があることを検知する唯一の検知手段と、
該唯一の検知手段による検知結果を用いて前記蓋体ロック手段による蓋体のロック及びその解除を行うべく前記トルクモータの動作を制御する制御手段と、
を備え、前記制御手段は、蓋体をロックする際に、前記作動体が前記係合部に近づくように前記トルクモータを作動させ、前記検知手段により前記作動体が前記位置に来たことが検知されると、その時点又はそれから所定時間経過後に前記トルクモータへの通電を停止することを特徴としている。
本発明に係る洗濯機では、蓋体を閉鎖状態でロックする動作、又はそのロックを解除する動作の少なくともいずれか一方の動作を行うための駆動源としてトルクモータを利用している。トルクモータは低速で高いトルクを発生することができるため、作動体を比較的的短い距離の間で進退動作させる駆動力を与えるのに好適である。これにより、従来のように駆動源にソレノイドを利用したものとは異なり、蓋体のロック及びその解除についての動作に際して蓋体ロック手段は殆ど発熱を生じない。そのため、例えば蓋体のロックとその解除とが繰り返された場合でも、過熱による動作の不具合や故障などを回避することができる。また、トルクモータの動作音はソレノイドに比較して小さいので、蓋体のロック及びその解除動作の際に発生する騒音が低減される。
御手段は、蓋体ロックの実行時に、トルクモータを作動させることで作動体を係合部に近づく方向に移動させ、唯一の検知手段により作動体が所定位置に来たことを検知する(例えば検知信号のオフ→オン変化を検知する)と、その時点又はそれから所定時間が経過した時点でトルクモータの動作を停止させる。作動体の移動速度を考慮して作動体が最大進出位置に達すると推測されるような所定時間を予め決めておき、検知信号が得られてからその所定時間が経過した時点でトルクモータの動作を停止させるとよい。また、その検知位置において既に蓋体のロックが完全に為された状態であることが保証されている場合には、検知信号が得られた時点でトルクモータの動作を停止させればよい。
一方、蓋体ロックの解除時には、トルクモータを作動させることで作動体を係合部から離間させる方向に移動させ、上記検知手段により作動体が所定位置に来たことを検知する(例えば検知信号のオン→オフ変化を検知する)と、その時点から所定時間が経過した時点でトルクモータの動作を停止させる。具体的には、その作動体の移動速度を考慮して、作動体が最大後退位置又は確実に蓋体のロックが解除されて蓋体の開放に支障をきたさない位置に達すると推測されるような所定時間を予め決めておき、検知信号が得られてからその所定時間が経過した時点でトルクモータの動作を停止させるとよい。
これにより、例えば断線等によってトルクモータが正常に動作せずに作動体がロック位置とロック解除位置との途中で止まってしまった場合に、検知手段は非ロック状態であるとの検知信号を出力する。蓋体が十分にロックされていないにも拘わらずロックしていると誤検知すると、洗濯運転を継続する等の制御が行われてしまい、使用者が蓋体を開けてしまったときに安全性の点で問題があるが、本発明に係る洗濯機によれば、蓋体が十分にロックしていないときには非ロックであると検知することができる。それによって、検知手段を1個のみ設けながら、洗濯運転を停止する等の適切な制御を実行することができ、高い安全性を確保することができる。また、検知手段をロック側、ロック解除側にそれぞれ設ける必要がないので、製品コストを低減させることができる。
また、蓋体ロックを行う際に検知手段による検知からモータ停止制御までの時間がゼロか又は短いので、上述したようなトルクモータの停止制御の時間的なばらつきや停止制御が行われてから実際に作動体が停止するまでの時間遅延のばらつきなどがあまり問題とならず、蓋体のロックを確実に行える状態で作動体を停止させることができる。
本発明に係る洗濯機の具体的な一実施態様として、前記作動体は略直線上を進退自在であるロックピンを含み、前記係合部は該ロックピンの先端部が挿入される開口又は切欠を有する突片部であって、前記作動体の最大進出位置は、前記ロックピンが前記開口又は切欠を貫通し、該開口又は切欠の出口側端面からさらに所定長だけ突出した位置である構成とすることができる。
この構成では、トルクモータによる回転駆動力は回転運動−直線往復運動変換手段を介して作動体に伝達され、作動体に含まれるロックピンを往復運動させる。この場合、トルクモータの回転を停止させる位置に応じてロックピンもその往復運動範囲内の任意の位置で止めることが可能であるが、実際にはトルクモータの停止制御の時間的なばらつきや停止制御が行われてから実際にロックピンが停止するまでの時間遅延のばらつきなどを考慮する必要がある。上記構成では、ロックピンの先端面が開口又は切欠の出口側端面にあればロックピンは完全に開口又は切欠に掛かっており確実な蓋体のロックが出来るが、さらにロックピンはその出口側端面から所定長だけ突出した最大進出位置まで進む。したがって、蓋体をロックする際のロックピンの停止位置の許容範囲が広く、この許容範囲内でロックピンを停止させるための時間的余裕も十分に確保することができる。これにより、上記のような各種の時間的なばらつき要因があっても、容易に確実な蓋体ロックを行える。
またこうした構成の利点を活かすために、前記検知手段は、前記ロックピンの先端面が前記開口又は切欠の出口側端面近傍にあることを検知する構成とするとよい。
この構成では、例えば蓋体のロックを実行するためにトルクモータを駆動し、ロックピンが開口又は切欠の方向に進出してきて開口又は切欠に挿入され、ロックピンの先端面が開口又は切欠の出口端面付近に達すると検知手段により検知信号が得られる。このときには既に確実に蓋体がロックされた状態となっており、例えばその時点でトルクモータの駆動の停止指令を出せば、実際にロックピンが停止するまでに時間的遅延があったとしても上記許容範囲内で余裕を以てロックピンを停止させることが可能である。したがって、上記のような各種の時間的なばらつきの許容範囲自体が広くなり、機械的な寸法精度を緩くしたり電気回路を簡略化する等のコスト低減を行いつつ、蓋体を確実にロックすることで高い安全性を確保することができる。
本発明に係る洗濯機によれば、蓋体のロックとその解除が短時間の間に繰り返し行われた場合でも、蓋体ロック手段において過熱による動作の不具合や故障の発生が起こらず、高い信頼性を確保することができる。また、蓋体のロック及びその解除動作時に大きな騒音が発生しにくく、高い静粛性を達成することができる。
以下、本発明に係る洗濯機の一実施例であるドラム式洗濯機について、図面を参照して説明する。
図1は本実施例によるドラム式洗濯機の上蓋を閉鎖した状態の外観斜視図、図2は上蓋を開放した状態の上部外観斜視図、図3は上面一部破断図である。
本実施例のドラム式洗濯機において、外箱1の上面はやや丸みをもちつつ前下がり傾斜状であり、この上面には前後方向に大きな洗濯物投入口4が形成されている。この洗濯物投入口4を開閉するための上蓋2は前側蓋体2aと後側蓋体2bとから成り、使用者が前側蓋体2aに設けられた把手2cを掴んで上方に引き上げながら後方に押すと、図2に示すように、横方向に水平に延伸する軸3a、3bにより洗濯物投入口4の後方に二つ折り状態で起立可能である。
図3に示すように、上蓋2は左方に片寄って配置されており、上蓋2の右方手前側には前後方向に延伸して複数の操作キーや表示器が設けられた操作パネル5が配置されている。また、洗濯物投入口4を挟んで操作パネル5と反対側の左方には前後方向に延伸して、上面が開放したトレイ状の洗剤容器6が配置されている。上蓋2を閉鎖した状態では洗剤容器6は上蓋2に隠れて見えない。つまり、洗濯物投入口4を開閉する上蓋2が洗剤容器6の蓋を兼ねており、上蓋2を開いた状態において洗剤容器6内に洗剤類を収容することが可能となる。また、操作パネル5の前部の下方には、左右方向に進退自在のロック軸体75bを有する本発明における蓋体ロック手段としての上蓋ロック装置7が設けられている。そして、上蓋2が閉鎖した状態でロック軸体75bが左方に進出すると、上蓋2の側部裏面に形成されている、本発明における係合部としての突片2dに開口した係合穴2eにロック軸体75bの先端が貫通し、上蓋2は閉鎖状態でロックされる。なお、この点については後で詳述する。
次に、図4及び図5に基づき、本ドラム式洗濯機の内部構成について概略的に説明する。図4は本ドラム式洗濯機内部の要部の正面縦断面図、図5は同じく内部の右側面図である。図4、図5では外形を成す外箱1の記載は省略している。
台座部10の上には、周面が略円筒形状で両端面がほぼ閉塞された外槽11が、外箱1の左右側面にそれぞれ端面が対向する状態で、左右両側上方から吊下げ支持する二本のばね12と、前後方向に外槽11の下部を支え受ける二本のダンパ13とにより適度に揺動自在に保持される。外槽11の内部には、多数の通水穴が穿孔された略円筒形状の周面の両端面がほぼ閉塞されている横型のドラム14が、左右方向に延伸する水平軸線Cを中心に回転自在に設けられている。ドラム14の左端面中央に固着された主軸15は、外槽11の左端面に固定されている第1軸受ケース17に保持された軸受18により支承される。他方、ドラム14の右端面中央に固着された補助軸16は、外槽11の右端面に固定されている第2軸受ケース19に保持された軸受20により支承される。この主軸15及び補助軸16により水平軸線Cが形成される。
外槽11の左端面から左方へと突出した主軸15の先端には、アウタロータ型の直流モータであるドラムモータ21のロータ212が固定され、一方、モータ台を兼ねる第1軸受ケース17にはドラムモータ21のステータ211が固定される。図示しない制御部からステータ211に駆動電流が供給されるとそれに応じてロータ212が回転し、主軸15を介してロータ212と同一の回転速度でドラム14が回転駆動される。
外槽11の周面の上部から斜め前方にかけて、外箱1の洗濯物投入口4と一致する位置に、洗濯物を出し入れするための外槽開口111が設けられ、外槽開口111は外槽扉112により開閉自在である。また、ドラム14の周面にも洗濯物を出し入れするためのドラム開口141が設けられ、ドラム開口141は前後に観音開き構造を有する二枚の扉体から成るドラム扉142により開閉自在である。ドラム14は回転可能であるため、ドラム開口141が外槽開口111と径方向に一致した位置でドラム14が停止状態を保持するように、ステータ211の下方にはドラムロック機構22が設けられている。このドラムロック機構22から突出する係合凸部とロータ212に形成されている係合凹部とが噛み合い、ドラム14の停止位置(ロック位置)が決まる。
上記の通り、本洗濯機はドラム式洗濯機でありながら、外箱1の上面に設けられた上蓋2、外槽11の周面に設けられた外槽扉112、及びドラム14の周面に設けられたドラム扉142の3つを開放した状態で、上やや斜め前方からドラム14内に洗濯物を出し入れする構造となっている。これにより、渦巻き式洗濯機と同様の使い勝手が達成される。
次に、本実施例のドラム式洗濯機の特徴である上蓋ロック装置7の構成と動作について詳述する。図6は上蓋ロック装置7と上蓋2の突片2dとを前方から見た概略図、図7は上蓋ロック装置7の内部構成を示す上面透視図(a)及び側面透視図(b)、図8は上蓋ロック装置7の一部であるスライドレバー75の進退動作を説明するための要部の上面図、図9は上蓋ロックに関する電気系の構成図、図10は上蓋ロック及びその解除を行うためのトルクモータ72の動作に伴うスライドレバー75の進退動作を示すタイミング図である。
図6に示すように、上蓋ロック装置7から横方向に進退自在である、本発明におけるロックピンであるロック軸体75bの先端面は最大進出位置Laと最大後退位置Lbとの間で移動する。最大進出位置Laにあるとき、ロック軸体75bの先端面は上蓋ロック装置7とは反対側の係合穴2eの端面(本発明における出口側端面)の位置Lcから所定長だけ突出する。上蓋2が閉鎖ロックされた状態においてロック軸体75bと係合穴2eとの係合の余裕度が最も大きいのは、ロック軸体75bの先端面が最大進出位置Laにあるときであるが、実際にはその先端面が位置Lcにまで達していさえすれば、ロック軸体75bは係合穴2eに貫通していて十分な掛かりしろが確保されるので、確実に上蓋2を閉鎖状態でロックすることができる。したがって、上蓋2をロックする際には、ロック軸体75bの先端面が位置Laと位置Lcとの間にあるときにロック軸体75bを停止させればよい。なお、上記理由により、以下、位置Lcをロック保証位置と呼ぶ。
一方、最大後退位置Lbにロック軸体75bの先端面が来るときには、ロック軸体75b全体が上蓋ロック装置7内に引き込まれる。この最大後退位置Lbは上蓋ロック装置7にあって最も突片2dに近い基準位置Ldよりもさらに右方(つまり突片2dから遠い側)に設定されている。したがって、ロック軸体75bの先端面が基準位置Ldよりも上蓋ロック装置7側に引き込まれていさえすれば、突片2dとの間の距離を十分に確保することができ、例えば上蓋2を開閉する際に上蓋2が左右にガタついたとしても接触が生じない。
上蓋ロック装置7は、図7に示すように、ケース71の内部にトルクモータ72と本発明における作動体としてのスライドレバー75とが収容された構成を有する。トルクモータ72の回転軸72aには円盤状のプーリ73が取り付けられ、このプーリ73の上面には円柱状のポスト74が突設されている。一方、スライドレバー75は左端にケース71から突出して上記ロック軸体75bを備え、ケース71の内部に設けられた直立壁71aとの間に介挿されたばね76によって左方、つまりロック軸体75bが進出する方向に付勢されている。またスライドレバー75は略四角形状の開口部75aを有し、この開口部75aに上記ポスト74が遊嵌するようにケース71内に装着されている。
トルクモータ72に駆動電流が供給されて回転軸72aが所定方向に回転すると、それに応じてポスト74が回転軸72aの周囲を回転する。上述のようにスライドレバー75はばね76により図7中で左方向に付勢されているため、開口部75aの右縁部がポスト74の右端部に当接する。いま図8(a)に示すようにロック軸体75bが最大進出位置にある状態からトルクモータ72が駆動されると、プーリ73の回転に従ってポスト74が相対的に右方へ移動するのに伴い、スライドレバー75はばね76の付勢力に抗して右方へと引っ張られる。それによって、スライドレバー75と一体にロック軸体75bは後退(右方向へ移動)する。図8(b)に示すようにポスト74が最も右方に来たときにロック軸体75bの先端面は最大後退位置Lbに来る。さらにプーリ73が同方向へ回転してポスト74が相対的に左方へ移動し始めると、今度はスライドレバー75は左方へ移動し始めロック軸体75bは進出する。このように、この構成では、トルクモータ72による回転軸72aの同一方向への回転運動を、プーリ73、ポスト74、開口部75a、ばね76などの作用によってスライドレバー75の直線往復運動に変換している。
また、スライドレバー75には突部75cが側方に形成されており、ケース71内にはこのスライドレバー75の往復動によって突部75cに押される位置に設けられた第1接片77aと、それに対向する位置に設けられた第2接片77bとを含むスイッチ77が配置されている。このスイッチ77が本発明における検知手段である。突部75cによる押圧力がない状態では第1接片77aを保持するばね部の弾性によって第1接片77aは第2接片77bから離間しており、スイッチ77は開成状態にある。そして、スライドレバー75が左方に移動して所定位置に達すると突部75cが第1接片77aを押し、第2接片77bに接触することでスイッチ77は閉成する。
図9に示すように、このスイッチ77はマイクロコンピュータ等により構成される、本発明における制御手段としての制御回路30に接続され、制御回路30はトルクモータ72に駆動電流を供給する駆動回路31を制御する。スイッチ77のオン/オフのタイミングと、制御回路30によるトルクモータ72の駆動制御との関係を図10により説明する。
図10(b)は、基準位置Ldを位置0mmとしてロック軸体75bの進出方向をプラス(+)、後退方向をマイナス(−)で示し、トルクモータ72を回転速度30rpmで回転駆動させたときのロック軸体75bの先端面の位置の変化を示したグラフである。ロック軸体75bの先端面が最大後退位置Lbに来たときが図10(b)における下死点であり、この位置は−1mm、つまり基準位置Ldから更に1mm後退した位置である。一方、ロック軸体75bの先端面は理論上は上死点である10mmの位置まで進出可能であるが、ここではその0.5mm手前にストッパを設けており、実際の最大進出位置Laは9.5mmの位置である。上記スイッチ77によるオン/オフ検知位置は最大進出位置Laよりも1.5mm手前(つまり上死点より2mm手前)のロック保証位置Lc、つまりロック軸体75bの先端面が係合穴2eの出口側端面と面一になる位置に設定されている。したがって、スイッチ77による検知信号は図10(a)に示すように変化する。
上蓋2をロックする場合、及びそのロックを解除する場合のトルクモータ72の駆動制御は、スイッチ77による検知信号を基準にして行う。すなわち、上蓋2がロックされていない状態からロックする場合にはトルクモータ72へ駆動電流を供給し、上述したようにスライドレバー75を左方へと移動させる。そして、ロック軸体75bの先端面が位置8mmのロック保証位置Lcまで達するとスイッチ77による検知信号はオフからオンに変化する。この変化を検知すると制御回路30はトルクモータ72への通電を停止する。実際には通電を停止してもその瞬間にロック軸体75bの移動が停止するわけではなく、また装置の個体差などによってもそのロック軸体75bの停止のタイミングは若干ばらつく。
しかしながら、検知信号がオフ→オンに変化するのは、ロック軸体75bの先端面がちょうど係合穴2eの出口側端面と面一になり上蓋2のロックが十分に可能となった時点であり、また検知信号がオフ→オンに変化した時点から上死点に到達するまでには0.28secの時間的余裕が設けられていて、さらにロック軸体75bの先端面が上死点を通過してから再びロック保証位置Lcに達するまでにも約0.28secの時間的余裕がある。したがって、ロック軸体75bの先端面が最大進出位置Laとロック保証位置Lcとの間になるようにロック軸体75bを停止させるためには、検知信号がオフ→オンに変化した時点から0.5sec以上の時間的余裕が設定されている。それによって、上記のような時間的遅延やばらつきがあった場合でも、確実に上記範囲内にロック軸体75bを停止させることができる。これによって、ロック軸体75bが完全に係合穴2e内に挿入されているようにすることで、確実に上蓋2をロックすることができる。
一方、上蓋2がロックされている状態からそのロックを解除する場合には、トルクモータ72へ駆動電流を供給し、上述したようにスライドレバー75を右方へと移動させる。そして、ロック軸体75bの先端面が位置8mmであるロック保証位置Lcまで後退するとスイッチ77による検知信号はオンからオフに変化する。制御回路30はこの変化を検知してから時間のカウントを開始し、0.72secが経過したときにトルクモータ72への通電を停止する。このときには、上述した上蓋ロック実行時よりもスイッチ77による位置検知からトルクモータ72の電流停止制御までの時間が長いため、上記のような遅延やばらつきの影響が相対的に大きく現れるが、基準位置Ldと最大後退位置Lbとの間にも十分な時間的余裕があるため、ほぼ確実にこの間にロック軸体75bを停止させることができる。また、仮にロック軸体75bの先端面が基準位置Ldよりも左方にある(つまり進出した)状態でスライドレバー75が停止したとしても、その突出量が僅かであれば実質的には上蓋2の開閉には障害とならない。
また、この種のロック装置では、ロック位置を検知するスイッチとロック解除位置を検知するスイッチとをそれぞれ1個ずつ備えるのが一般的であるが、本実施例による上蓋ロック装置7ではスイッチを1個のみとし、その唯一のスイッチ77によりロック軸体75bがロック位置の側にある状態を検知している。これによって、スイッチを1個にしながら十分な安全性を確保している。すなわち、洗濯運転の途中で例えばトルクモータ72の断線等でスライドレバー75が動作し得なくなった場合、そのスライドレバー75つまりはロック軸体75bの位置によってロックが掛かっている場合とロックが掛かっていない場合とがある。本実施例の構成の場合、スイッチ77がオンしているときにはロック軸体75bは上蓋2の係合穴2eに完全に挿入された状態になっており、逆にその挿入が不十分(例えば途中まで挿入されている状態)であって力を加えれば上蓋2を開けることができるような状態であるときには、スイッチ77はオフしている。したがって、スイッチ77によるロック検知は安全側、つまり確実に上蓋2がロックされているときにロック状態であると判定し、それが確実でない場合には非ロック状態であると判定されるようになっている。すなわち、スイッチは1個でありながらフェイルセーフを達成できる構成となっており、それによって高い安全性を達成することができる。
なお、上記実施例は一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜変更又は修正することができることは明らかである。例えば、上記実施例では本発明における作動体は直線上を往復運動するものであったが、回転往復運動するものなどとしてもよいことは当然である。また上蓋に設けられた係合部は穴等の開口部でなくともよく、切欠、鈎状体等、作動体と係合可能な形状でありさえすればよいことも当然である。さらにまた、上記実施例は本発明をドラム式洗濯機に適用したものであるが、本発明は略垂直な軸を中心に洗濯槽を回転自在に設けた渦巻き式洗濯機に適用できることも明白である。
本発明の一実施例によるドラム式洗濯機において上蓋を閉鎖した状態の外観斜視図。 本実施例のドラム式洗濯機において上蓋を開放した状態の上部外観斜視図。 本実施例のドラム式洗濯機の上面一部破断図。 本実施例のドラム式洗濯機の内部の要部の正面縦断面図。 本実施例のドラム式洗濯機の内部の右側面図。 上蓋ロック装置と上蓋の突片とを前方から見た概略図。 上蓋ロック装置の内部構成を示す上面透視図(a)及び側面透視図(b)。 上蓋ロック装置の一部であるスライドレバーの進退動作を説明するための要部の上面図。 上蓋ロックに関する電気系の構成図。 上蓋ロック及びその解除を行うためのトルクモータの動作に伴うスライドレバー(ロック軸体)の進退動作を示すタイミング図。
符号の説明
1…外箱
2…上蓋
2a…前側蓋体
2b…後側蓋体
2c…把手
2d…突片
2e…係合穴
3a、3b…軸
4…洗濯物投入口
11…外槽
14…ドラム
30…制御回路
31…駆動回路
7…上蓋ロック装置
71…ケース
71a…直立壁
72…トルクモータ
72a…回転軸
73…プーリ
74…ポスト
75…スライドレバー
75a…開口部
75b…ロック軸体
75c…突部
76…ばね
77…ロック検知用スイッチ
77a…第1接片
77b…第2接片

Claims (3)

  1. 外形を成す外箱と、該外箱に形成された洗濯物投入口を開閉する蓋体と、使用者の手動操作による前記蓋体の開放を阻止すべく該蓋体を閉鎖状態でロックする蓋体ロック手段と、を具備する洗濯機において、前記蓋体ロック手段は、
    前記外箱側に設けられた、駆動源であるトルクモータ、及び該トルクモータの回転駆動力により進退動作する作動体と、
    前記蓋体に設けられ前記作動体の進出時に該作動体と係合する係合部と、
    前記作動体が前記係合部に係合し得る位置で且つその作動体の最大進出位置よりも手前の位置に該作動体があることを検知する唯一の検知手段と、
    該唯一の検知手段による検知結果を用いて前記蓋体ロック手段による蓋体のロック及びその解除を行うべく前記トルクモータの動作を制御する制御手段と、
    を備え、前記制御手段は、蓋体をロックする際に、前記作動体が前記係合部に近づくように前記トルクモータを作動させ、前記検知手段により前記作動体が前記位置に来たことが検知されると、その時点又はそれから所定時間経過後に前記トルクモータへの通電を停止することを特徴とする洗濯機。
  2. 請求項1に記載の洗濯機において、
    前記作動体は略直線上を進退自在であるロックピンを含み、前記係合部は該ロックピンの先端部が挿入される開口又は切欠を有する突片部であって、前記作動体の最大進出位置は、前記ロックピンが前記開口又は切欠を貫通し、該開口又は切欠の出口側端面からさらに所定長だけ突出した位置であることを特徴とする洗濯機。
  3. 請求項2に記載の洗濯機において、前記検知手段は、前記ロックピンの先端面が前記開口又は切欠の出口側端面近傍にあることを検知することを特徴とする洗濯機。
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