JP4270399B2 - シラン化合物共重合組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、シラン化合物共重合組成物に関し、さらに詳しくは、ケイ素原子に直結する少なくとも2個の水酸基と親水性のポリペプチドを有するシリル化ペプチドの1種以上と、加水分解によってケイ素原子に直結する水酸基が少なくとも2個生じるシラン化合物の加水分解物の1種以上とを水溶液中で縮重合させた後、このシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物にさらに、加水分解によってケイ素原子に直結する水酸基が1個生じるシラン化合物を付加反応させることによって得られ、シリル化ペプチドに基づく特性の上にさらにシラン化合物に基づく特性が付加されたシラン化合物共重合組成物に関する。
従来から、化粧品には、ポリペプチドを配合してポリペプチドの有する毛髪への収着作用、皮膚刺激の緩和作用、造膜による保護作用や保湿作用などを発揮させることが試みられ、さらにそれに加えて、シリコーンオイル(有機シリコーン化合物)や各種ポリマー類、界面活性剤類などを配合して、ポリペプチドの有する特性の上にそれらの配合剤の特性を付加することが試みられているが、配合剤によっては、ポリペプチドとの相溶性に乏しく、両者の特性を充分に発揮させることができないという問題があった。
例えば、シリコーンオイルは、優れた伸展性、艶・光沢の付与作用、撥水性付与による保護作用などを有するが、シリコーンオイルは、本来、疎水性(親油性)物質であり、親水性のポリペプチドとは相溶しにくく、水溶性化粧品には乳化剤を併用して配合しているが、乳化安定性に欠け、化粧品としての商品価値が損なわれやすいという問題があり、さらに、化粧品に使用した場合、先にシリコーンオイルと接触した部分にはポリペプチドが付着しにくく、その逆に、先にポリペプチドと接触した部分にはシリコーンオイルが付着しにくいため、両者の特性を充分に発揮させることができないという問題があった。
そのため、シリコーンに親水性を付与する目的でポリオキシアルキレン基を導入したポリオキシアルキレン変性シリコーンが水溶性化粧料に利用されているが、ポリペプチドとは異なり、イオン性を有しないため毛髪や皮膚に吸着しにくいという問題があった。
そこで、それらの問題を解決するため、疎水性のシリコーンオイルと親水性のポリペプチドとを反応させて、シリコーンオイルの特性とポリペプチドの特性を併せ持つペプチド変性シリコーン誘導体を合成し、シリコーンオイルとポリペプチドを併用配合する場合の欠点を解消し、シリコーンオイルの有する特性とポリペプチドの有する特性とを発揮させようとする試みがなされている(特許文献1)。
しかしながら、上記特許文献1に開示のペプチド変性シリコーン誘導体は、水に難溶または不溶のシリコーン部分の影響で、水中でのpH安定性や保存安定性が悪く、毛髪化粧品や皮膚化粧品が主として水溶性であることもあって、保存中に濁りを生じたり、沈殿を生じるという問題があり、また、上記ペプチド変性シリコーン誘導体の製造は、水に難溶または不溶のシリコーンオイルと水溶性ポリペプチドとを水中で反応させることによって行うため、反応性が悪く、従って、収率が低く、収率を向上させるためには、アルコールなどの水溶性有機溶媒を加えておかねばならないという問題もあった。
そこで、本発明者らは、それらの問題を解決するため、ペプチドのアミノ基に、ケイ素原子をただ一つ含む官能基を共有結合させたシリル化ペプチドを水系溶媒中で製造し(特許文献2〜3)、化粧品基材や繊維処理剤の配合剤として使用することができるようにしてきた。
しかしながら、この特許文献2〜3に記載のシリル化ペプチドは、毛髪や皮膚への収着性はよいが、ペプチド鎖に結合するシリル基が少ないため、伸展性やなめらかさの付与作用という点ではシリコーンオイルより劣るという問題があった。
また、一方、ポリペプチドに脂肪酸や官能基を付加したり、エステル化することによって、ポリペプチドの特性以外の特性を付加したポリペプチド誘導体を調製し、これを化粧品に配合し、ポリペプチドの有する毛髪や皮膚への収着作用を利用してそれらの特性を毛髪や皮膚上で発揮させる試みもなされていて、例えば、ペプチドの第4級アンモニウム誘導体、ペプチドの脂肪酸アシル化誘導体、ペプチドのエステル類などが化粧品に広く用いられている。
しかしながら、ポリペプチドに官能基を付加する場合、ペプチド鎖上でこれらの官能基が付加できる場所は限られているため、ある一定量以上には付加できず、そのため、発揮できる特性にも限界があった。
さらに、化粧品や化粧品基材の開発に携わる者にとっては、ポリペプチドが本来有する特性のほかに、2種以上の性質を付加し、それらをいずれも発揮させたいという要望がある。
特開平3−223207号公報 特開平8−59424号公報 特開平8−67608号公報
したがって、本発明は、ポリペプチドの優れた特性の上にシリコーン化合物の優れた特性を有し、さらに他の性質が付与された共重合組成物であって、しかも、有機溶媒などを使用せずに、水系で容易に製造できる共重合組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、下記の一般構造式(I)
Figure 0004270399
〔式中、R1 、R2 、R3 のうち少なくとも2個は水酸基で、残りは炭素数1〜3のアルキル基を示し、R4 は側鎖の末端にアミノ基を有する塩基性アミノ酸の末端アミノ基を除く側鎖の残基を示し、R5 はR4 以外のアミノ酸側鎖を示し、Aは結合手で−CH2 −、−(CH2 3 −、−(CH2 3 OCH2 CH(OH)CH2 −、−(CH2 3 S−、−(CH2 3 NH−および−(CH2 3OCOCH2 CH2 −よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を表し、qの平均値は0.06〜1.1、rの平均値は4〜14.9、q+rの平均値は5〜15である(ただし、qおよびrはアミノ酸の数を示すのみで、アミノ酸配列の順序を示すものではない)〕で表されるシリル化ペプチドの1種以上と
一般構造式(II):
6 nSiX(4−n) (II)
〔式中、nは0から2の整数で、R6 は炭素原子がケイ素原子に直接結合する有機基であり、n個のR6 は同じでもよく、異なっていてもよい。(4−n)個のXは水酸基、アルコキシ基、ハロゲン基、カルボキシル基およびアミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基である〕
で表されるシラン化合物を加水分解して得られる下記の一般構造式(III )
一般構造式(III ):
6 nSi(OH)pY(4−p−n) (III )
〔式中、nは0から2の整数で、pは2から4の整数、n+p≦4で、R6 は炭素原子がケイ素原子に直接結合する有機基であり、n個のR6 は同じでもよく、異なっていてもよい。(4−p−n)個のYはアルコキシ基、水素原子およびシロキシ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基である〕
で表されるシラン化合物の1種以上とを縮重合させた後、このシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物に、
下記の一般構造式(IV):
7 3 SiZ (IV)
〔式中、3個のR7 は炭素原子がケイ素原子に直接結合する有機基であり、3個のR7 は同じでもよく、異なっていてもよい。Zは水酸基、アルコキシ基、ハロゲン基、カルボキシル基およびアミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基である〕
で表されるシラン化合物を加水分解して得られる下記の一般構造式(V)
7 3 Si(OH) (V)
〔式中、3個のRは炭素原子がケイ素原子に直接結合する有機基であり、3個のR7 は同じでもよく、異なっていてもよい〕
で表されるシラン化合物の1種以上を付加させるときは、ゲル濾過分子量が1,800〜16,000で、一般構造式(I)で表されるシリル化ペプチドに基づく優れた特性と一般構造式(III)で表されるシラン化合物に基づく特性を併有し、さらに一般構造式(III)で表されるシラン化合物の付加官能基によって、一般構造式(I)で表されるシリル化ペプチドの有する特性以外の特性も発揮でき、しかもその共重合組成物中の水酸基に一般構造式(V)で表されるシラン化合物を付加させることによって、共重合組成物中の水酸基が減少しているので、共重合組成物がそれ以上の重合をする可能性が低く、保存安定性に優れたシラン化合物共重合組成物が得られることを見出し、本発明を完成するにいたった。なお、上記一般構造式(II)および(III)中のn、(4−n)、pおよび(4−p−n)はいずれも下付文字である。
本発明のシラン化合物共重合組成物は、一般構造式(I)で表されるシリル化ペプチドに基づく優れた特性と一般構造式(III)で表されるシラン化合物に基づいて付加された優れた特性を有している。すなわち、本発明のシラン化合物共重合組成物は、一般構造式(I)で表されるシリル化ペプチドの有するシリコーン化合物に基づく優れた特性とポリペプチドに基づく優れた特性を併有し、これを毛髪化粧品や皮膚化粧品に配合するときは、毛髪に艶や潤いを付与し、毛髪の櫛通り性を改善し、かつ毛髪の枝分かれを防止し、皮膚に艶や潤いを付与し、かつ皮膚をなめらかにし、なかでも、シャンプーなどの洗浄剤に配合したときには、泡を軟らかい感触にし、使用後の毛髪や皮膚をなめらかにするなどの特性を有し、かつ一般構造式(III)で表されるシラン化合物の付加官能基に基づいて、例えば、保湿性の向上、毛髪への収着性の向上、撥水性の向上、紫外線吸収能、抗菌・殺菌性、造膜性、増粘性などが付与されるようになる。
さらに、このシラン化合物共重合組成物は、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の水酸基に一般構造式(IV)で表されるシラン化合物を加水分解して得られる一般構造式(V)で表されるシラン化合物を付加させているので、遊離の水酸基が少ないため保存中の縮重合の可能性が低く、従って保存安定性にも優れている。
上記一般構造式(I)で表されるシリル化ペプチドにおいて、R4 は側鎖の末端にアミノ基を有する塩基性アミノ酸の末端アミノ基を除く側鎖の残基であるが、上記のような側鎖の末端にアミノ基を有する塩基性アミノ酸としては、例えば、リシン、アルギニン、ヒドロキシリシンなどが挙げられる。また、R5 はR4以外のアミノ酸側鎖を示すが、そのようなアミノ酸としては、例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン、セリン、トレオニン、バリン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、チロシン、フェニルアラニン、プロリン、ヒドロキシプロリンなどが挙げられる。
これらのR4 やR5 は、一般構造式(I)で表されるシリル化ペプチドのペプチドが特定されると自ずと特定されるものであるが、それらのペプチドの出発物質となる蛋白質のうち代表的なものについて、そのアミノ酸組成の一例を示すと、次の表1および表2に示す通りである。
Figure 0004270399
Figure 0004270399
一般構造式(I)で表されるシリル化ペプチドにおいて、qの平均値は0.06〜1.1であり、rの平均値は4〜14.9であり、q+rの平均値は5〜15であるが、これは次の理由に基づいている。
すなわち、qが上記範囲より大きくなると、側鎖のアミノ基に結合するシリル官能基が増え、ペプチド本来の毛髪への収着作用が減少し、rが上記範囲より大きくなると、ペプチド部分に対するシリル官能基部分の割合が少なくなって、シリル官能基部分が有する特性を充分に発揮することができなくなり、q+rが上記範囲より大きくなると、ペプチドとしての毛髪への収着性や浸透性が低分子量のペプチドに比べて減少する上に、保存中に凝集しやすくなり、保存安定性が低下する。なお、上記のq、rやq+rは、理論的には整数であるが、ペプチド部分として後述するような加水分解ペプチドが用いられていて、該加水分解ペプチドが分子量の異なるものの混合物として得られるため、測定値は平均値になる。
上記加水分解ペプチドとしては、例えば、前記のようなコラーゲン(その変成物であるゼラチンも含む)、ケラチン、絹フィブロイン(シルク)、セリシン、カゼイン、コンキオリン、エラスチン、鶏、あひるなどの卵の卵黄タンパク、卵白タンパク、大豆タンパク、小麦タンパク、トウモロコシタンパク、米(米糠)タンパク、ジャガイモタンパクなどの動植物由来のタンパク、あるいは、サッカロミセス属、カンディダ属、エンドミコプシス属の酵母菌や、いわゆるビール酵母、清酒酵母といわれる酵母菌より分離した酵母タンパク、キノコ類(担子菌)より抽出したタンパク、クロレラより分離したタンパクなどの微生物由来のタンパクを酸、アルカリ、酵素またはそれらの併用で部分的に加水分解して得られるペプチドが挙げられる。
上記のような一般構造式(I)で表されるシリル化ペプチドは特開平8−59424号や特開平8−67608号公報に公開の方法で水溶液中で容易に合成できる。
一般構造式(II)で表されるシラン化合物は、加水分解によってケイ素原子に直結する水酸基を少なくとも2個生じ、上記一般構造式(I)で表されるシリル化ペプチドと縮重合させるための一般構造式(III)で表されるシラン化合物となるが、このような一般構造式(II)で表されるシラン化合物の具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリコシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリコシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルオクタデシル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、3−(トリメトキシシリル)プロピルポリオキシエチレン(10)エーテル、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリコシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、メチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、3−クロロプロピルメチルジクロロシランなど、および、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリコシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリコシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリコシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのシランカップリング剤に、蛋白質、アルキル基、ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシプロピレンエーテル、アクリル系ポリマー、ポリエステル、樹脂酸、染料、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤、アルキルアンモニウム、芳香環などを結合させたものなどが挙げられる。
また、一般構造式(II)で表されるシラン化合物としては、市販品も使用することができる。そのような市販のシラン化合物としては、例えば、信越シリコーン(株)製のKBM04、KBM13、KBM22、KBM103、KBM202、KBM3063、KBM3103、KBM1003、KBM503、KBM502、KBM603、KBM602、KBM903、KBM573、KBM703、KBM803、KBM403、POLON MF50、KBM641、KBE04、KBE13、KBE22、KBE103、KBE1003、KBE502、KBE503、KBE603、KBE602、KBE903、KBE402、KA12、KA13、KA22、KA103、KA202、KA1003(いずれも、商品名)、東芝シリコーン(株)製のTSL8113、TSL8117、TSL8112、TSL8173、TSL8172、TSL8310、TSL8370、TSL8375、TSL8340、TSL8345、TSL8380、TSL8355、TSL8325、TSL8127、TSL8122、TSL8178、TSL8177、TSL8311、TSL8380、TSL8331、TSL8326、TSL8037、TSL8226、TSL8032、TSL8063、TSL8062、TSL8395(いずれも、商品名)、東レ・ダウコ−ニング・シリコ−ン(株)製のSZ6070、SZ6300、SH6020、SZ6023、SH6062、SH4060、AY43−021、SZ6072、SZ6030、PRX11、PRX19(いずれも、商品名)、日本ユニカー(株)製のA−189、A−186、A−187、A−1310(いずれも、商品名)などが挙げられる。
上記一般構造式(I)で表されるシリル化ペプチドと一般構造式(III)で表されるシリル化合物との反応は、例えば、まず、上記一般構造式(I)で表されるシリル化ペプチドの水溶液を塩酸や硫酸で酸性側に調整するか、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液で塩基性側に調整し、その中に一般構造式(II)で表されるシラン化合物を滴下することにより、上記一般構造式(II) で表されるシラン化合物のアルコキシ基やハロゲン基などが加水分解してケイ素原子に直結する水酸基を少なくとも2個有する一般構造式(III)で表されるシラン化合物になり、その後、中和することによって、一般構造式(I)で表されるシリル化ペプチドの水酸基と一般構造式(III)で表されるシラン化合物の水酸基とが縮重合して、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物が得られる。上記のように、一般構造式(II)で表されるシラン化合物から一般構造式(III)で表されるシラン化合物への加水分解は、一般構造式(I)で表されるシリル化ペプチドとの縮重合時に行われるので、上記一般構造式(II)で表されるシラン化合物の加水分解を上記縮重合系とは別の系で行う必要はない。
加水分解反応は、一般的にはpH2〜3で良好に進行するが、一般構造式(I)で表されるシリル化ペプチドによっては酸性側で不溶物が生じやすいものがあり、その際にはpH10〜11で行うのが好ましい。一般構造式(II)で表されるシラン化合物としてアルコキシシラン化合物を用いるときはpH調整はアルコキシシラン化合物の滴下前のみでよいが、一般構造式(II)で表されるシラン化合物としてハロゲン化シラン化合物やカルボキシシラン化合物を用いて塩基性側で反応する場合は反応中にpHが下がるので、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液などを添加してpHを10〜11に保つ必要がある。また、一般構造式(II)で表されるシラン化合物としてアミノシラン化合物を用いて酸性側で反応する場合は反応中にpHが上がるので、希塩酸や希硫酸などを添加してpHを2〜3に保つ必要がある。
反応温度は低すぎると反応が進行しにくく、高すぎると上記一般構造式(II)で表されるシラン化合物のアルコキシ基やハロゲン基が急激に加水分解するので、30〜60℃が好ましい。また、反応時間は、反応量によっても異なるが、上記一般構造式(II)で表されるシラン化合物を30分〜2時間かけて滴下し、その後、1〜6時間攪拌を続けるのが好ましい。
加水分解反応の終了時点では、反応溶液が酸性または塩基性のため、一般構造式(I)で表されるシリル化ペプチドや一般構造式(III)で表されるシラン化合物は解離しているので、反応溶液が酸性側の場合は水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液を添加し、反応溶液が塩基性側の場合は希塩酸や希硫酸などの酸水溶液を添加し攪拌して溶液を中和する。この中和によって縮重合が進みシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物が得られるが、中和後の攪拌は2〜10時間程度が好ましい。
つぎに、上記のようにして得られたシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物に、加水分解によってケイ素原子に直結する水酸基が1個生じた一般構造式(V)で表されるシラン化合物を反応させるが、このような加水分解によってケイ素原子に直結する水酸基が1個生じる一般構造式(IV)で表されるシラン化合物としては、例えば、ジメチルビニルクロロシラン、n−ブチルジメチルクロロシラン、tert−ブチルジメチルクロロシラン、tert−ブチルジフェニルクロロシラン、オクタデシルジメチルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、トリ−n−ブチルジメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリ−n−プロピルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン、トリメチルシリルアイオダイド、ジメチルエトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシランなどが挙げられる。
また、このほかにも、ヘキサメチルジシラザンやヘキサメチルジシロキサンのようなケイ素原子を2個有するシリル化合物も、加水分解によってケイ素原子に直結する水酸基が1個生じるので使用することができる。
このような一般構造式(IV)で表されるシラン化合物としては、市販品も使用することができる。そのような市販のシラン化合物としては、例えば、東芝シリコーン(株)製のTSL8305、TSL8216、TSL8217、TSL8218、TSL8080、TSL8066、TSL8253、TSL8258、TSL8031、TSL8254、TSL8061、TSL8268、TSL8126、TSL8318、TSL8317、TSL8121、TSL8111、TSL8269、TSL8820、TSL8238(いずれも、商品名)、東レ・ダウコ−ニング・シリコ−ン(株)製のPRX24、SZ6079(いずれも、商品名)などが挙げられる。
このようなシラン化合物は一般構造式(IV)から明らかなように、ケイ素原子に直結する反応基が一つであるため、それを加水分解して得られる一般構造式(V)で表されるシラン化合物は、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物中に存在する水酸基と反応して、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物中の水酸基を減少させ、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物がさらに縮重合するのを防止する。すなわち、この一般構造式(IV)で表されるシラン化合物を加水分解して得られる一般構造式(V)で表されるシラン化合物を反応させることによって、保存安定性のよいシラン化合物共重合組成物にすることができる。また、上記一般構造式(I)で表されるシリル化ペプチドと上記一般構造式(III)で表されるシラン化合物との反応において、溶液を中和して縮重合反応させる工程中に上記一般構造式(V)で表されるシラン化合物を反応させると、シラン化合物共重合組成物の分子量をコントロールすることができる。
シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物と一般構造式(V)で表されるシラン化合物との反応は、例えば、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の水溶液中に一般構造式(V)で表されるシラン化合物を滴下することにより、下記の反応式に示すようにシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の水酸基に一般構造式(V)で表されるシラン化合物の水酸基が結合する。なお、下記の反応式においては、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を簡略化して、単に「共重合組成物」で示す。
Figure 0004270399
ただし、上記一般構造式(IV)で表されるシラン化合物においてZがハロゲン基のシラン化合物は加水分解性がよいので、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物水溶液中に上記一般構造式(IV)で表されるシラン化合物を直接滴下することによって上記反応は進行するが、上記一般構造式(IV)で表されるシラン化合物でZがアルコキシ基のものや、ヘキサメチルジシロキサンなどのケイ素原子が2個のシラン化合物では、あらかじめpH2〜3の水溶液中で加水分解して一般構造式(V)で表されるシラン化合物とし、その後、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物水溶液に滴下する必要がある。
シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物と上記一般構造式(V)で表されるシラン化合物との反応温度は30〜60℃が好ましい。また、反応時間は、反応量によっても異なるが、一般構造式(V)で表されるシラン化合物の滴下に30分〜2時間、その後の攪拌は1〜6時程度が好ましい。
攪拌終了後、反応溶液を水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液で中和し、さらに2〜10時間程度攪拌を続けて反応を完結させることによって、シラン化合物共重合組成物が得られる。
上記の反応によって得られる共重合組成物は、次の組成式(R101112SiO1/2 )a (R1314SiO)b (R15SiO3/2 )c (SiO2 )d (R161/2 )e
〔式中R10〜R15はケイ素原子に直接炭素原子が結合する有機基であり、R13〜R15のうち少なくとも一つは結合手A(結合手Aは−CH2 −、−(CH2 3−、−(CH2 3 OCH2 CH(OH)CH2 −、−(CH2 3 S−、−(CH2 3 NH−または−(CH2 3 OCOCH2 CH2 −などの基を示す)を介してペプチドを結合するシリル化ペプチドからシリル官能基部分を除いた残基で、残りは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、フェニル基または結合手C(結合手Cは結合手Aに同じ)を介してシリル官能基に結合し得る化合物のシリル官能基部分を除いた残基を表し、それぞれ異なっていてもよく、また同じでもよく、R16は水素原子または低級アルキル基を表す。aは1以上の整数、b、c、d、eはそれぞれ0以上の整数で、b+c+d≧2かつb+c≧1、1≦e+a≦c+2d+2を満たす数を示す〕で表されるが、反応時のシラン化合物の量や種類を変化させることにより、種々の特性を有するシラン化合物共重合組成物を得ることができる。
例えば、反応時に一般構造式(I)で表されるシリル化ペプチド1モルに対して一般構造式(II)で表されるシラン化合物としてメチルジエトキシシランを1モル以上縮重合させると(多く縮重合させればさせるほど)、得られる共重合組成物はシリコーンの性質が強くなり、また、一般構造式(II)で表されるシラン化合物として3−(トリメトキシシリル)プロピルポリオキシエチレンエーテルなどの親水基を有する化合物を用い、これを一般構造式(I)で表されるシリル化ペプチドと縮重合させると、得られる共重合組成物は親水性が増すとともに化粧品に配合した時に保湿性を向上させる。さらに、一般構造式(II)で表されるシラン化合物として第4級アンモニウム塩が結合したジメチルオクタデシル−(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライドを用い、これを一般構造式(I)で表されるシリル化ペプチドと縮重合させると、一般構造式(I)で表されるシリル化ペプチドに基づく優れた特性の上に、例えば毛髪への収着性が顕著に向上するなど高級アルキル第4級アンモニウム塩の特性が付加される。
前記の中和反応終了後、反応液はpHを調整した後、液体のままあるいは粉末化して化粧品や繊維処理剤などへの配合剤として使用に供され、また、必要に応じて、イオン交換樹脂、透析膜、電気透析、ゲル濾過、限外濾過などによって精製した後、液体のままあるいは粉末化して使用に供される。
つぎに、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例に先立ち、実施例で使用するゲル濾過分析の条件、赤外線吸収スペクトル分析の測定条件について示す。また、以下の実施例などにおいて溶液や分散液の濃度を示す%は質量%である。
〔ゲル濾過分析〕
ゲル濾過分析は下記の条件で行った。なお、分析結果はそれぞれの実施例ごとにわけて図1〜5に示すが、得られた共重合組成物の結果を実線で、原料のシリル化ペプチドの結果を破線で示す。
分析カラム:東ソー(株)製 TSKgel G3000PW(7.5mmI D×30cm)
溶離液 ;0.1%トリフルオロ酢酸+45%アセトニトリル
溶出速度 ;0.3ml/min
検出器 ;UV検出器、220nm
標準試料 ;牛血清アルブミン(MW66,000)
カルボニック アンヒドラーゼ(MW29,000)
チトクロームC (MW12,400)
アプロチニン (MW 6,500)
インシュリン (MW 5,700)
α−MSH(メラノサイト刺激ホルモン)(MW 1,665)
ブラジキニン (MW 1,060)
〔赤外線吸収スペクトル分析〕
赤外線吸収スペクトル測定には、(株)島津製作所製FT−IR8200PC(以下、FT−IRという)を用い、試料が液体の場合は液体用セルを用い、試料を凍結乾燥などにより粉末化した場合はKBr錠剤法によって測定した。
実施例1
一般構造式(I)において、R1 =CH3 、R2 およびR3 =OHで、結合手Aが−(CH2 3 OCH2 CH(OH)CH2 −で、qの平均値=1.1、rの平均値=14.9、q+rの平均値=16のシリル化加水分解コラ−ゲンの30%水溶液100g(数平均分子量1750、0.017モル)を500mlのビーカーに入れ、希塩酸を用いてpH3に調整した。この溶液を湯浴上で40℃で攪拌しながらジメチルジエトキシシラン15.3g(0.086モル、シリル化加水分解コラーゲンに対して5当量)を1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに40℃で5時間攪拌を続けた。つぎに、水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整し、40℃で4時間攪拌を続けて縮重合させた。さらに、この溶液にトリメチルクロロシラン3.7g(0.034モル)を30分かけて滴下して混合攪拌した。この間、同時に20%水酸化ナトリウム水溶液を滴下して溶液のpHが7〜8になるように保った。滴下終了後、さらに3時間攪拌を続けて反応を完結した。反応終了後、反応液を濾過により不溶物を除去し、濃度を調整してシリル化加水分解コラーゲン−シラン化合物の共重合組成物の30%水溶液を135g得た。
得られた共重合組成物および原料のシリル化加水分解コラーゲンのゲル濾過分析の結果を図1に示すが、図1から明らかなように、得られた共重合組成物では、原料のシリル化加水分解コラーゲンのゲル濾過分子量約3600のピークはほとんど消失し、ゲル濾過分子量約12000付近に大きなピークが認められ、シリル化加水分解コラーゲンとシラン化合物とが共重合していることが確認された。
また、得られた共重合組成物およびその原料であるシリル化加水分解コラーゲンの一部をそれぞれFT−IRで分析して比較したところ、共重合組成物では1250cm-1付近のSi−CH3 に起因すると考えられるピークが増強され、また、Si−Oに起因すると考えられる1100cm-1付近のピークが検出され、共重合組成物がSi−O−Si結合を有していることが確認された。
実施例2
一般構造式(I)において、R1 =CH3 、R2 およびR3 =OHで、結合手Aが−(CH2 3 −で、qの平均値=1、rの平均値=6、q+rの平均値=7のシリル化加水分解ケラチンの25%水溶液100g(数平均分子量800、0.03モル)とメチルジエトキシシラン8g(0.06モル、シリル化加水分解ケラチンに対して2当量)およびトリメチルクロロシラン6.5g(0.06モル)を用いたほかは、実施例1と同様にしてシリル化加水分解ケラチン−シラン化合物の共重合組成物の20%水溶液を90g得た。
上記のようにして得られた共重合組成物およびその原料であるシリル化加水分解ケラチンの一部をゲル濾過分析したところ、図2に示すようなパターンを与え、原料として用いたシリル化加水分解ケラチンのゲル濾過分子量で約880のピークが減少し、ゲル濾過分子量約1800付近にピークが検出され、共重合組成物が生成していることが確認された。
また、得られた共重合組成物およびその原料であるシリル化加水分解ケラチンの一部をそれぞれFT−IRで分析したところ、実施例1と同様に、1250cm-1付近のピークおよび1100cm-1付近のピークから、共重合組成物がSi−O−Si結合を有していることが確認された。
実施例3
一般構造式(I)において、R1 、R2 およびR3 のすべてがOHで、結合手Aが−(CH2 3 OCH2 CH(OH)CH2 −で、qの平均値=0.5、rの平均値=5.5、q+rの平均値=6のシリル化加水分解大豆タンパクの25%水溶液100g(数平均分子量746、0.034モル)を500mlのビーカーに入れ、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH10.5に調整した。この溶液を55℃で攪拌しながら、メチルトリクロロシラン10g(0.068モル、シリル化加水分解大豆タンパクに対して2当量)を1.5時間かけて滴下した。この間、同時に水酸化ナトリウム水溶液を滴下して反応溶液のpHが10〜11になるように保った。滴下終了後、5時間攪拌を続けた後、この溶液を希塩酸を用いてpH6.5に調整し、55℃で5時間攪拌を続けて縮重合させた。さらに、この溶液にトリメチルクロロシラン14.7g(0.13モル)を1時間かけて滴下して混合攪拌した。この間、同時に20%水酸化ナトリウム水溶液を滴下して溶液のpHが7〜8になるように保った。滴下終了後、3時間攪拌を続けて反応を完結させた。反応終了後、この溶液を電気透析により脱塩精製し、濃度を調整してシリル化加水分解大豆タンパク−シラン化合物の共重合組成物の20%水溶液を102g得た。
上記のようにして得られた共重合組成物およびその原料であるシリル化加水分解大豆タンパクの一部をゲル濾過分析したところ、図3に示すようなパターンを与え、原料として用いたシリル化加水分解大豆タンパクのゲル濾過分子量で約900のピークが減少し、ゲル濾過分子量約2500付近に主ピークが検出され、共重合組成物が生成していることが確認された。
また、得られた共重合組成物およびその原料であるシリル化加水分解大豆タンパクの一部をそれぞれFT−IRで分析したところ、実施例1と同様に、1250cm-1付近のピークが増強され、また1100cm-1付近にピークが検出されることから、共重合組成物がSi−O−Si結合を有していることが確認された。
実施例4
一般構造式(I)において、R1 、R2 およびR3 のすべてがOHで、結合手Aが−(CH2 3 OCH2 CH(OH)CH2 −で、qの平均値=1、rの平均値=4、q+rの平均値=5のシリル化加水分解酵母タンパクの20%水溶液100g(数平均分子量600、0.033モル)を500mlのビーカーに入れ、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH10.5に調整した。この溶液を湯浴上で50℃で攪拌しながら、メチルジエトキシシラン8.8g(0.066モル、シリル化加水分解酵母タンパクに対して2当量)および3−(トリメトキシシリル)プロピルポリオキシエチレン(10)エーテル2g(0.003モル、シリル化加水分解酵母タンパクに対して0.1当量)との混合液を1.5時間かけて滴下し、滴下終了後さらに50℃で5時間攪拌を続けた。つぎに、希塩酸でpHを6.5に調整し、50℃で6時間攪拌を続けて重合させた。さらに、この溶液にトリメチルクロロシラン15.1g(0.14モル)を1時間かけて滴下して混合攪拌した。この間、同時に20%水酸化ナトリウム水溶液を滴下して溶液のpHが7〜8になるように保った。滴下終了後3時間攪拌を続けて反応を完結させた。反応終了後、濾過により不溶物を除去し、濃度を調整してシリル化加水分解酵母タンパク−シラン化合物の共重合組成物の20%水溶液を110g得た。
上記のようにして得られた共重合組成物およびその原料のシリル化加水分解酵母タンパクの一部をゲル濾過分析したところ、図4に示すパターンを与え、原料のシリル化加水分解酵母タンパクのゲル濾過分子量約800のピークは減少し、ゲル濾過分子量約2700付近に大きなピークが認められ、シリル化加水分解酵母タンパクとシラン化合物が共重合していることが確認された。
また、得られた共重合組成物およびその原料であるシリル化加水分解酵母タンパクの一部をそれぞれFT−IRで分析したところ、実施例1と同様に、1250cm-1付近のピークが増強され、また1100cm-1付近にピークが検出されることから、共重合組成物がSi−O−Si結合を有していることが確認された。
実施例5
一般構造式(I)において、R1 =CH3 、R2 およびR3 =OHで、結合手Aが−(CH2 3 −で、qの平均値=0.06、rの平均値=9.94、q+rの平均値=10のシリル化加水分解シルク30%水溶液100g(数平均分子量1250、0.024モル)を500mlのビーカーに入れ、希塩酸を用いてpH3に調整した。この溶液を湯浴上で50℃で攪拌しながらジメチルジエトキシシラン6.4g(0.048モル、シリル化加水分解シルクに対して2当量)およびジメチルオクタデシル−〔(3−トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライドの50%エタノール溶液を1.9g(0.002モル、シリル化加水分解シルクに対して0.08当量)との混合液を1.5時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに50℃で5時間攪拌を続けた。つぎに、水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整し、50℃で6時間攪拌を続けて縮重合させた。さらに、この溶液にトリメチルクロロシラン11g(0.1モル)を30分かけて滴下して混合攪拌した。この間、同時に20%水酸化ナトリウム水溶液を滴下して溶液のpHが7〜8になるように保った。滴下終了後、さらに3時間攪拌を続けて反応を完結した。反応終了後、反応液を濾過により不溶物を除去し、濃度を調整してシリル化加水分解シルク−シラン化合物の共重合組成物の30%水溶液を115g得た。
得られた共重合組成物および原料のシリル化加水分解シルクのゲル濾過分析の結果を図5に示すが、図5から明らかなように、得られた共重合組成物では、原料のシリル化加水分解シルクのゲル濾過分子量約1600のピークはほとんど消失し、ゲル濾過分子量約16000付近に大きなピークが認められ、シリル化加水分解シルクとシラン化合物とが共重合していることが確認された。
また、得られた共重合組成物およびその原料であるシリル化加水分解シルクの一部をそれぞれFT−IRで分析して比較したところ、共重合組成物では1250cm-1付近のSi−CH3 に起因すると思われるピークが増強され、また、Si−Oに起因すると考えられる1100cm-1付近のピークが検出され、共重合組成物がSi−O−Si結合していることが確認された。
〔共重合組成物で処理した毛髪表面のなめらかさの測定〕
上記実施例1〜5で得られたシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物で毛髪を処理し、毛髪の表面のなめらかさを測定した。
毛髪の処理は、上記実施例1〜5で得られた共重合組成物およびそれぞれの原料のシリル化ペプチドを10%水溶液になるように調製し、その中に長さ10cmで重さ1gの毛束を10分間浸漬し、毛束をヘアードライヤーで乾燥することによって行った。なお、比較対照として、実施例1〜5で用いた原料であるシリル化加水分解コラーゲン、シリル化加水分解ケラチン、シリル化加水分解大豆タンパク、シリル化加水分解酵母タンパク、シリル化加水分解シルクの10%水溶液で処理した毛髪の表面のなめらかさについても調べた。
毛髪の表面のなめらかさは、カトーテック(株)製の摩擦感テスターKES−SEを用いて測定したが、この装置においては、なめらかさ(ざらつき)は、試料の表面の一定距離を移動する摩擦子が感じる摩擦係数の平均偏差値で表され、単位は無次元であり、値が小さいほど「なめらかである」ことを示している。
各試料の表面を摩擦子が2cm移動したときの摩擦係数の平均偏差値を表3に示す。なお、測定値は各試料10回ずつの測定値の平均値である。
Figure 0004270399
表3に示すように、実施例1〜5で得られた共重合組成物で表面処理した毛髪表面の摩擦係数の平均偏差値は、いずれも未処理毛の摩擦係数の平均偏差値より10〜18%値が小さく、それぞれの実施例で使用した原料のシリル化ペプチドで処理した毛髪の摩擦係数の平均偏差値と比べても、それぞれ7〜10%小さく、毛髪の表面になめらかさが付与されているのが明らかであった。
〔共重合組成物の毛髪への収着性試験〕
上記実施例1〜5で得られたシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の毛髪への収着性を、Journal of SCCJ Vol.21,No.2記載の「毛髪の損傷度評価法(I)」中のカラム循環法に従って試験した。
すなわち、直径7.5mm、長さ75mmの液体クロマト用カラムに、平均長さ2mmに切断した毛髪1.8gを充填し、その中に実施例1〜5で得られたシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の濃度をそれぞれ2%に調整した試験液を流速2ml/minで一定時間循環させた。
循環後の試験液中の試料濃度は試験液をゲル濾過分析することによって求め、循環前後の試験液中の試料濃度の変化より毛髪1g当たりの試料の収着量を算出した。なお、毛髪への浸透による試料濃度の低下量は、対照に平均分子量1000のポリオキシエチレングリコールの2%水溶液を用いて上記と同じ条件下で試験液を循環させ、ポリオキシエチレングリコール濃度の低下量を毛髪への浸透によるものとして補正した。
また、比較対照として、各実施例で用いた原料のシリル化ペプチドの2%水溶液を使用して毛髪への収着性も調べ、循環時間が15分、30分、45分、60分、90分の時の実施例1〜5で得られた共重合組成物の毛髪への収着性を表4にそれぞれの原料の毛髪1g当たりの収着量(mg)を100としたときの指数(ただし、小数点以下は四捨五入による)で示す。
Figure 0004270399
表4に示す結果から明らかなように、実施例1〜5で得られたシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物は、毛髪への収着性を示す指数が100を超えていて、それぞれの原料のシリル化ペプチドに比べて、毛髪への収着性が高くなっていた。特に実施例5のシリル化加水分解シルク−シラン化合物共重合組成物の毛髪への収着性が原料のシリル化加水分解シルクに比べて高くなったのは、シリル化加水分解シルクとの縮重合に第4級アンモニウム塩が結合するシラン化合物(ジメチルオクタデシル−〔(3−トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド)を使用したので、その第4級アンモニウムによって共重合組成物がカチオン化され、毛髪への収着性が向上したためであると考えられる。
〔共重合組成物の吸湿性試験〕
上記実施例1〜5で得られたシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の吸湿性を調べた。
吸湿性試験は乾燥した粉砕羊毛を小型シャーレに入れ、その粉砕羊毛に共重合組成物の成分が0.3gになるように試料を含浸させ、定温乾燥器で恒量になるまで乾燥した。その後、相対湿度79.2%の恒湿槽にシャーレを入れ、24時間ごとに重量を測定して、羊毛1g当たりの吸湿量(g)を測定した。
また、比較対照として、各実施例において原料として用いたシリル化ペプチドについても上記実施例の場合と同様に羊毛1g当たりの吸湿量(g)を調べた。保存から1日(24時間)、2日(48時間)、3日(72時間)および4日(96時間)後の各実施例の羊毛1g当たりの吸湿量を表5にそれぞれの原料の場合の羊毛1g当たりの吸湿量を100としたときの指数(ただし、小数点以下は四捨五入による)で示す。
Figure 0004270399
表5に示す結果から明らかなように、実施例1〜5で得られたシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物は、保湿力の指標となる吸湿性の指数が100を超えていて、それぞれの原料のシリル化ペプチドに比べて、保湿力が高くなっていた。特に実施例4のシリル化加水分解酵母タンパク−シラン化合物共重合組成物の保湿力が原料のシリル化加水分解酵母タンパクに比べて高くなったのは、シリル化酵母タンパクとの縮重合にポリオキシエチレン基を10モル有するシラン化合物〔3−(トリメトキシシリル)プロピルポリオキシエチレン(10)エーテル〕を用いたので、そのポリオキシエチレン基の有する保湿力が共重合組成物の保湿力の向上に寄与したものと考えられる。
実施例1のシリル化加水分解コラーゲン−シラン化合物共重合組成物とその原料のシリル化加水分解コラーゲンのゲル濾過分析の結果を示す図である。 実施例2のシリル化加水分解ケラチン−シラン化合物共重合組成物とその原料のシリル化加水分解ケラチンのゲル濾過分析の結果を示す図である。 実施例3のシリル化加水分解大豆タンパク−シラン化合物共重合組成物とその原料のシリル化加水分解大豆タンパクのゲル濾過分析の結果を示す図である。 実施例4のシリル化加水分解酵母タンパク−シラン化合物共重合組成物とその原料のシリル化加水分解酵母タンパクのゲル濾過分析の結果を示す図である。 実施例5のシリル化加水分解シルク−シラン化合物共重合組成物とその原料のシリル化加水分解シルクのゲル濾過分析の結果を示す図である。

Claims (1)

  1. 下記の一般構造式(I)で表されるシリル化ペプチドの群から選ばれる少なくとも1種以上と、下記の一般構造式(II)で表されるシラン化合物を加水分解して得られる下記の一般構造式(III )で表されるシラン化合物の群から選ばれる少なくとも1種以上とを縮重合させた後、このシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物に、下記の一般構造式(IV)で表されるシラン化合物を加水分解して得られる下記の一般構造式(V)で表されるシラン化合物を付加させて得られ、ゲル濾過分子量が1,800〜16,000であることを特徴とするシラン化合物共重合組成物。
    一般構造式(I):
    Figure 0004270399
    〔式中、R1 、R2 、R3 のうち少なくとも2個は水酸基で、残りは炭素数1〜3のアルキル基を示し、R4 は側鎖の末端にアミノ基を有する塩基性アミノ酸の末端アミノ基を除く側鎖の残基を示し、R5 はR4 以外のアミノ酸側鎖を示し、Aは結合手で−CH2 −、−(CH2 3 −、−(CH2 3 OCH2 CH(OH)CH2 −、−(CH2 3 S−、−(CH2 3 NH−および−(CH2 3OCOCH2 CH2 −よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を表し、qの平均値は0.06〜1.1、rの平均値は4〜14.9、q+rの平均値は5〜15である(ただし、qおよびrはアミノ酸の数を示すのみで、アミノ酸配列の順序を示すものではない)〕
    で表されるシリル化ペプチド
    一般構造式(II):
    6 nSiX(4−n) (II)
    〔式中、nは0から2の整数で、R6 は炭素原子がケイ素原子に直接結合する有機基であり、n個のR6 は同じでもよく、異なっていてもよい。(4−n)個のXは水酸基、アルコキシ基、ハロゲン基、カルボキシル基およびアミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基である〕
    で表されるシラン化合物
    一般構造式(III ):
    6 nSi(OH)pY(4−p−n) (III )
    〔式中、nは0から2の整数で、pは2から4の整数、n+p≦4で、R6 は炭素原子がケイ素原子に直接結合する有機基であり、n個のR6 は同じでもよく、異なっていてもよい。(4−p−n)個のYはアルコキシ基、水素原子およびシロキシ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基である〕
    で表されるシラン化合物
    一般構造式(IV):
    7 3 SiZ (IV)
    〔式中、3個のR7 は炭素原子がケイ素原子に直接結合する有機基であり、3個のR7 は同じでもよく、異なっていてもよい。Zは水酸基、アルコキシ基、ハロゲン基、カルボキシル基およびアミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基である〕
    で表されるシラン化合物
    一般構造式(V):
    7 3 Si(OH) (V)
    〔式中、3個のRは炭素原子がケイ素原子に直接結合する有機基であり、3個のR7 は同じでもよく、異なっていてもよい〕
    で表されるシラン化合物
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