JP4266739B2 - 自動車のフィニッシャカバー - Google Patents

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本発明はフロントグリルとラジエータコアサポートアッパの間を車幅方向に亘って覆う自動車のフィニッシャカバーに関する。
従来、フロントグリルとラジエータコアサポートアッパの間にフィニッシャカバーを設けてラジエータコアサポートに搭載された熱交換器などの冷却部品等を隠すことによりボンネットフードの開放時における意匠性の向上を図っている(例えば、特許文献1参照)。
フランス特許公開番号FR2783766−A1号公報
しかしながら、従来の自動車のフィニッシャカバーにあっては、ボンネットフードの開放時における化粧板としてのみしか機能しない上、フロントエンドモジュールを車体に組付けた後に別工程でボルトやネジなどにより取付ける必要があった。
本発明の解決しようとする課題は、フィニッシャカバーを多機能化させ、特に吸気インレット機能を持たせることにより、ボンネットフードの開放時における意匠性の向上と、自動車の走行時におけるエンジンルーム側への好適な吸気が可能な自動車のフィニッシャカバーを提供することにある。
本発明の請求項1記載の自動車のフィニッシャカバーでは、フロントグリルとラジエータコアサポートアッパの間を車幅方向に亘って覆う自動車のフィニッシャカバーであって、前記フィニッシャカバーの後方からラジエータコアサポートアッパの上部まで伸びる延設部が設けられ、該延設部の内部に、前方の導入口から取り入れた外気を後方の排出口を介してエンジンルーム側へ導く空気導入路が形成され、前記フィニッシャカバーの上下方向における剛性がラジエータコアサポートアッパよりも低く設定されることを特徴とする。
本発明の請求項2記載の自動車のフィニッシャカバーでは、請求項1記載の自動車のフィニッシャカバーにおいて、前記延設部に熱交換器の上方を固定するための固定部が設けられると共に、該熱交換器がフィニッシャカバーを介してラジエータコアサポートに固定されることを特徴とする。
本発明の請求項3記載の自動車のフィニッシャカバーでは、請求項1または2記載の自動車のフィニッシャカバーにおいて、フィニッシャカバーの前端部にフロントグリルの後端部を固定するための固定部が設けられることを特徴とする。
請求項1記載の発明にあっては、フィニッシャカバーの延設部の内部に、前方の導入口から取り入れた外気を後方の排出口を介してエンジンルーム側へ導く空気導入路が形成されるため、フィニッシャカバーをエンジン側への吸気インレットとして機能させることが可能となる。
また、延設部はラジエータコアサポートアッパの上部まで延設されるため、ボンネットフードの開放時にラジエータコアサポートアッパ、熱交換器、構成部品の締結スクリュー等が目立たず、結果、意匠性を向上できる。
また、フィニッシャカバーの上下方向における剛性がラジエータコアサポートアッパよりも低く設定されるため、フィニッシャカバーを化粧板としての機能だけでなく、衝撃吸収材として機能させることが可能となる。
つまり、通常、自動車の車体前部に障害物に衝突した際の衝撃力は、エンジンフードが潰れることにより斜め方向に伝達・吸収されるが、該衝撃力に対する反力はラジエータコアサポートに達した際に急激に増加する。
しかしながら、本発明では延設部がラジエータコアサポートよりも先に潰れて変形することでボンネットフードを介して伝達された衝撃力を吸収でき、結果、該衝撃力に対する反力が急激に増加するのを防止できる。
請求項2記載の発明にあっては、フィニッシャカバーは前端部に熱交換器の上方を固定するための固定部が設けられると共に、該熱交換器がフィニッシャカバーを介してラジエータサポートに固定されるため、フィニッシャカバーを熱交換器の固定部材として機能させることができると共に、従来の発明に比べて、フィニッシャカバーを予めフロントエンドモジュールの構成部材としてモジュール化することで車体に組付ける際の組付け工数を削減できる。
請求項3記載の発明にあっては、前方側にフロントグリルの後端部を固定するための固定部が設けられるため、フィニッシャカバーを化粧板としての機能だけでなく、フロントグリルの固定部材として機能させることができ、これら両者を一体的に形成してボンネットフードの開放時における意匠性の向上に貢献できる。

以下、本発明の自動車のフィニッシャカバーの実施の形態を説明する。
図1は本実施の形態の自動車のフィニッシャカバーを備える車体前部構造の分解斜視図、図2は本実施の形態の自動車のフィニッシャカバーを備える車体前部構造の斜視図、図3はフィニッシャカバーの斜視図、図4は図3のS4−S4線におけるフィニッシャカバーの断面図、図5は図3のS5−S5線におけるフィニッシャカバーの取付け状態を説明する側断面図である。
図1、2に示すように、本実施の形態の自動車のフィニッシャカバーは、ラジエータコアサポート1と、モータファンユニット2と、熱交換器3と、バンパアーマチュア4と、フィニッシャカバー5を主要な構成としている。
前記ラジエータコアサポート1は車幅方向に伸びるラジエータコアサポートアッパ1aと、該ラジエータコアサポートアッパ1aに並行なラジエータコアサポートロア1bと、これらラジエータコアサポートアッパ1aとラジエータコアサポートロア1bを結合する中央のフードロックステイ1c及び左右のラジエータコアサポートサイド1d,1dによって構成され、前記ラジエータコアサポートアッパ1aのアッパサイド部1g,1gを除く全ての構成部材がガラス繊維強化樹脂で一体的に形成されている。
前記両ラジエータコアサポートサイド1d,1dにはサイドメンバ取付け部1e,1eがそれぞれ形成され、該サイドメンバ取付け部1e,1eの前方にバンパステイ6,6を介してバンパアーマチュア4が固定される。
前記フードロックステイ1cとラジエータコアサポートサイド1d,1dとの間にはモータファンシュラウド1f,1fがラジエータコアサポート1と一体的に形成され、該モータファンシュラウド1f,1fに後方のモータファンユニット2が固定される。
前記熱交換器3は、ラジエータ3aとコンデンサ3bが一体的に形成された一体型熱交換器であって、ラジエータ3aの左右上方に設けられた円柱状の搭載ピンP1,P1が後述するフィニッシャー5の固定孔5e,5eに、左右下方の円柱状の搭載ピンP2,P2がラジエータコアサポートロア1bのロアマウント部8,8にそれぞれ挿入された状態でラジエータコアサポート1に搭載される。
図3〜5に示すように、前記フィニッシャカバー5は後述するフロントグリルFとラジエータコアサポートアッパ1aとの間を覆うための化粧板であって、全体がポリプロピレンなどの樹脂で一体的に形成され、前端部にはフロントグリルFを固定するための固定孔(固定部)5d,5dが設けられ、その後方にはラジエータコアサポートアッパ1aの上部まで延びた延設部5aが形成されている。
前記延設部5aの中央には後述するフードロック11を装着するための開口部Oが形成され、該開口部Oの左右には、前後方向を除く周囲が囲繞された空気導入路R1,R2が形成されている(図4参照)。
前記空気導入路R1,R2は前方の導入口5bから取り入れた外気を後方の排出口5c(図5参照)を介してエンジンルーム側へ導くためのものであって、本実施の形態では空気導入路R1は図外のエンジンを冷却し、空気導入路R2は図外のオルタネータを冷却するために設けられている。
また、前述したようにフィニッシャカバー5はポリプロピレンなどの樹脂で形成される上、前記空気導入路R1,R2が形成される構造上、ガラス繊維強化樹脂製のラジエータコアサポートアッパ1aに比べて上下方向の剛性が低く設定されている。
さらに、前記延設部5aには、後述する熱交換器3の搭載ピンP1,P1を嵌挿固定するためのアッパマウント部(固定部)5e,5eが設けられている。
前記フィニッシャカバー5をラジエータコアサポート1に装着する際には、先ず、熱交換器3の左右上方の搭載ピンP1,P1をアッパマウント部5e,5eに嵌挿固定した後、該熱交換器3の左右下方の搭載ピンP2,P2をロアマウント部8,8に斜め上方から挿入する。
この状態から熱交換器3を正立させると、フィニッシャカバー5の一部とラジエータコアサポートアッパ1aとが複数の個所において嵌合し、これら両者が固定される。
さらに、本実施の形態ではフィニッシャカバー5とラジエータコアサポートアッパ1aとがネジなどで構成される固定部7を示しているが、フィニッシャカバー5に設けられたメール側クリップとラジエータコアサポートアッパ1aに設けられたフィメール側クリップとの係合による固定部であっても良い(図4,5参照)。
そして、ラジエータコアサポート1には前述した部材以外に、リザーバタンク10、フードロック11、ウォッシャタンク12、エアガイド13等が装着された状態でフロントエンドモジュールとして車体の組立工場に搬送された後、車体に組み付けられる(図1、2参照)。
そして、図5に示すように、前記車体の組立ラインではフロントグリルFの後端部がネジ等で構成される固定部9によりフィニッシャカバー5の固定孔5d,5dに固定され、これら両者が一体的に形成される。
このように構成された自動車のフィニッシャカバー5にあっては、フロントエンドモジュールの製造時及び車体への組付け時においては、フィニッシャカバー5を熱交換器3及びフロントグリルFを固定するための固定部材として兼用できると共に、熱交換器3をフィニッシャカバー5を介してラジエータコアサポート1に固定できる。
ボンネットフードの開放時においては、フィニッシャカバー5をフロントグリルFの後端部と連続的に一体的に形成できる上、延設部5aによってガラス繊維強化樹脂製のラジエータコアサポートアッパ1aの上部を隠すことができ、エンジンルーム内の意匠性をさらに向上できる。
また、自動車の走行時においては、空気導入路R1,R2を介して外気をエンジンやオルタネータに取り入れる吸気インレットとして機能させることが可能となる。
また、自動車の車体前部が障害物に衝突した際には、衝突時の衝撃力を延設部5aがラジエータコアサポートアッパ1aよりも先に潰れて変形することで吸収でき、結果、該衝撃力に対する反力が急激に増加するのを防止できる。
以上、説明してきたように、本実施の形態の自動車のフィニッシャカバーでは、フィニッシャカバー5に化粧板の機能の他、吸気インレット機能、衝撃吸収機能、冷却部品(熱交換器)固定機能、フロントグリル固定機能などを持たせて多機能化でき、エンジンフードの開放時における意匠性の向上は勿論、フロントエンドモジュールの製造・組立時、自動車の走行時及び障害物との衝突時において所望の効果を得ることができる。
以上本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明は上述の発明の実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、本実施の形態ではラジエータとコンデンサが一体的に形成された複合型の熱交換器としたが、別体であっても構わない。
さらに、空気導入路R1,R2の導入口と排出口を車幅方向にオフセットして設けて良い。
また、車両整備点検時の手付き剛性等を考慮して延設部5aに車幅方向に亘ってリブを複数形成しても良い。
本発明の本実施の形態の自動車のフィニッシャカバーの分解斜視図である。 本実施の形態の自動車のフィニッシャカバーの斜視図である。 フィニッシャカバーの斜視図である。 図3のS4−S4におけるフィニッシャカバーの断面図である。 図3のS5−S5におけるフィニッシャカバー装着後の断面図である。
符号の説明
F フロントグリル
P1、P2 搭載ピン
R1、R2 空気導入路
1 ラジエータコアサポート
1a ラジエータコアサポートアッパ
1b ラジエータコアサポートロア
1c フードロックステイ
1d ラジエータコアサポートサイド
1e サイドメンバ取付け部
1f モータファンシュラウド
1g アッパサイド部
2 モータファンユニット
3 熱交換器
4 バンパアーマチュア
5 フィニッシャカバー
5a 延設部
5b 導入口
5c 排出口
5d 固定孔
5e 固定孔(固定部)
6 バンパステイ
7、9 固定部
8 ロアマウント部
10 リザーバタンク
11 フードロック
12 ウォッシャタンク
13 エアガイド

Claims (3)

  1. フロントグリルとラジエータコアサポートアッパの間を車幅方向に亘って覆う自動車のフィニッシャカバーであって、
    前記フィニッシャカバーの後方からラジエータコアサポートアッパの上部まで伸びる延設部が設けられ、
    該延設部の内部に、前方の導入口から取り入れた外気を後方の排出口を介してエンジンルーム側へ導く空気導入路が形成され
    前記フィニッシャカバーの上下方向における剛性がラジエータコアサポートアッパよりも低く設定されることを特徴とする自動車のフィニッシャカバー。
  2. 請求項1に記載の自動車のフィニッシャカバーにおいて、
    前記延設部に熱交換器の上方を固定するための固定部が設けられると共に、該熱交換器がフィニッシャカバーを介してラジエータコアサポートに固定されることを特徴とする自動車のフィニッシャカバー。
  3. 請求項1または2記載の自動車のフィニッシャカバーにおいて、
    前記フィニッシャカバーの前端部にフロントグリルの後端部を固定するための固定部が設けられることを特徴とする自動車のフィニッシャカバー。
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