JP4263676B2 - 液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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本発明は液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置に係り、特にノズル(液滴吐出口)の高密度化の実現に好適な液滴吐出ヘッドの構造及びこれを用いたインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録装置は、インク吐出用のノズルを備えた記録ヘッドに対して記録紙等の記録媒体を相対的に移動させながら、印字信号に応じて記録ヘッドからインクを吐出させることにより記録媒体上にインク滴を着弾させ、そのインクドットによって画像を形成するものである。近時、画像の高解像度化に対応してノズルの高密度化を実現するために、ノズルと連通する圧力室を階層構造により立体的に配置した記録ヘッドが提案されている(特許文献1、特許文献2)。
特許文献1においては、圧力室と圧電素子からなるヘッドユニットが上下2段に積層された構造を有し、下段の第1段ヘッドユニット側にのみ共通のノズルプレートが設けられ、上段(第2段ヘッドユニット)の圧力室内のインクは第1段ヘッドユニットを通過する貫通穴を介してノズルから吐出されるようになっている。
特許文献2においては、列状に配列された複数個のノズルのうち一つ飛ばしの各ノズルに対応する第1圧力室と残りのノズルに対応する第2圧力室が積層され、両圧力室に対応する二つの圧電アクチュエータが剛体プレートを挟んで積層されている。
特開2001−146010号公報 特開2001−260347号公報
しかしながら、従来提案されている構造では、圧力室からノズルまでの距離が下段と上段とで異なるため、吐出特性が階層毎に異なっている。そのため、かかる従来の記録ヘッドを用いて画像記録を行うと、圧力室の配置階層に依存したムラやスジが入ることがある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ノズルに対する圧力室の配置構造や共通流路に対する圧力室の配置構造が異なる複数の吐出流路系を備えながら各ノズルの吐出性能の差を小さくすることができる液滴吐出ヘッドの構造及びこれを用いたインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、液滴を吐出する第1ノズル及び第2ノズルが形成されたノズルプレートと、前記第1ノズルに連通し該第1ノズルから吐出させる液体が充填される第1圧力室と、前記第1圧力室内の液体に圧力変化を生じさせて、対応する前記第1ノズルから液滴を吐出させる第1圧電素子と、前記第2ノズルに連通し該第2ノズルから吐出させる液体が充填される第2圧力室と、前記第2圧力室内の液体に圧力変化を生じさせて、対応する前記第2ノズルから液滴を吐出させる第2圧電素子と、を備えた液滴吐出ヘッドであって、前記第1及び第2圧電素子の変形による前記第1及び第2圧力室からの液体の吐出方向を下方向と見たときの前記第1圧力室の上面に前記第1圧電素子が配置されるとともに、前記第2圧力室の上面に前記第2圧電素子が配置され、前記第1圧力室と前記第2圧力室とが階層構造で前記ノズルプレートに対して異なる距離に配置され、前記第1圧力室から対応する前記第1ノズルまでの第1ノズル供給路の流路距離と前記第2圧力室から対応する前記第2ノズルまでの第2ノズル供給路の流路距離とが異なる構造を有するとともに、前記第1圧力室と前記第2圧力室のうち前記ノズルプレートから遠い距離の前記第2圧力室の上面に配置される前記第2圧電素子よりも更に上層に、前記第1圧力室及び前記第2圧力室に対して共通に液体を供給する共通流路が配置され、前記共通流路から前記第1圧力室に液体を導く第1供給側供給路と前記共通流路から前記第2圧力室に液体を導く第2供給側供給路は、それぞれ前記共通流路の下面から真下に向かってまっすぐに形成されており、前記共通流路から前記第1圧力室までの前記第1供給側供給路の流路距離と前記共通流路から前記第2圧力室までの前記第2供給側供給路の流路距離とが異なる構造を有し、前記第1ノズル供給路と前記第2ノズル供給路について、両者の音響抵抗及び音響イナータンスが略同一となる流路形状に構成され、かつ、前記第1供給側供給路と前記第2供給側供給路について、両者の音響抵抗及び音響イナータンスが略同一となる流路形状に構成されていることを特徴とする。
請求項1記載の液滴吐出ヘッドによれば、第1圧力室と第2圧力室をノズルプレートに対して階層構造で配置し、これらの圧力室に対して液体を供給する共通の共通流路を設ける構成となっている。第1圧力室と第2圧力室は、互いに圧力室からノズルまでの流路距離(ノズル供給路の流路距離)が異なるとともに、共通流路から圧力室までの流路距離(供給側供給路の流路距離)が異なる。これら複数の吐出流路系について、圧力室からノズルまでの流路(ノズル供給路)の音響抵抗及び音響イナータンスが略同一になるように、そのノズル供給路の形状(構造を含む)を設計したので、ノズル毎の液滴吐出性能(液滴体積、吐出速度、吐出方向など)を略均一にすることができる。
また、請求項1に係る発明によれば、共通流路と圧力室との間をつなぐ流路(供給側供給路)の音響抵抗及び音響イナータンスが略同一になるように、その供給側供給路の形状(構造を含む)を設計したので、供給側の供給性能を略均一化できる。これにより、ノズルからの液滴吐出性能の均一化を図ることが可能となる。さらに、圧力室をノズルプレートに対して階層構造で配置することにより、ノズルの高密度化を実現でき、吐出性能の均一化との両立を達成できる。
請求項記載の態様は、請求項1記載の液滴吐出ヘッドに係り、前記第1ノズル供給路と前記第2ノズル供給路の断面積及び長さの少なくとも一方の値を互いに異ならせるように設定することで、前記第1ノズル供給路と前記第2ノズル供給路の音響抵抗及び音響イナータンスを略同一にすることを特徴とする。
請求項記載の態様は、請求項1又は2記載の液滴吐出ヘッドに係り、前記第1ノズル供給路と前記第2ノズル供給路のうち少なくとも一方は、断面積が異なる流路が二つ以上組み合わされた構造を有していることを特徴とする。
請求項4記載の態様は、請求項2又は3記載の液滴吐出ヘッドに係り、前記第1ノズル供給路と前記第2ノズル供給路は、圧力室からノズルに向かって断面積が次第に小さくなる構造を有していることを特徴とする。
請求項記載の態様は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の液滴吐出ヘッドに係り、前記第1供給側供給路と前記第2供給側供給路の断面積及び長さの少なくとも一方の値を互いに異ならせるように設定することで、前記第1供給側供給路と前記第2供給側供給路の音響抵抗及び音響イナータンスを略同一にすることを特徴とする。
請求項記載の態様は、請求項1乃至5の何れか1項に記載の液滴吐出ヘッドに係り、前記第1供給側供給路と前記第2供給側供給路のうち少なくとも一方は、断面積が異なる流路が二つ以上組み合わされた構造を有していることを特徴とする。
請求項記載の態様は、請求項1乃至6の何れか1項に記載の液滴吐出ヘッドぶ係り、前記液滴吐出ヘッドは、複数枚のプレート部材を積層して形成され、前記プレート部材の積層の境界面で流路の断面積を変化させる構成であることを特徴とする。
かかる態様によれば、エッチング等の加工技術を利用して容易に流路の穴加工を行うことができる。
請求項記載の態様は、請求項1乃至7の何れか1項記載の液滴吐出ヘッドに係り、前記第1圧電素子と前記第2圧電素子を異なる駆動波形で駆動することにより、前記第1圧力室及び前記第2圧力室について略同等の吐出性能を実現することを特徴とする。
音響抵抗と音響イナータンスを合わせ込む流路設計に加えて、更に、吐出性能の差を小さくするように、それぞれ適切な駆動波形で圧力発生手段(第1圧電素子及び第2圧電素子)を駆動する態様が好ましい。
請求項記載の態様は、請求項1乃至の何れか1項記載の液滴吐出ヘッドをインクジェット記録ヘッドとして用い、該インクジェット記録ヘッドに対して被記録媒体を相対移動させながら、前記第1ノズル及び前記第2ノズルからインク滴を吐出することにより前記被記録媒体上に画像を記録することを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
なお、本発明の実施に際して、記録ヘッドの形態は特に限定されず、被記録媒体の送り方向と略直交する方向に記録ヘッドが往復動作しながら印字を行うシャトル方式の記録ヘッドであってもよいし、インクを吐出する複数のノズルが被記録媒体の送り方向と略直交する方向に前記印字媒体の全幅に対応する長さにわたって配列されたノズル列を有するフルライン型の記録ヘッドであってもよい。
「フルライン型の記録ヘッド」は、通常、被記録媒体の相対的な送り方向と直交する方向に沿って配置されるが、送り方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿って記録ヘッドを配置する態様もあり得る。また、記録ヘッドにおけるノズルの配列形態は、1列のライン状配列に限定されず、複数列からなるマトリックス配列でもよい。更には、被記録媒体の全幅に対応する長さに満たないノズル列を有する短尺記録ヘッドユニットを複数個組み合わせることによって、これらユニット全体として記録媒体の全幅に対応する画像記録素子列を構成する形態もあり得る。
「被記録媒体」は、記録ヘッドの作用によって画像の記録を受ける媒体(印字媒体、被画像形成媒体、記録媒体、受像媒体など呼ばれ得るもの)であり、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。なお、本明細書において「印字」という用語は、文字を含む広い意味での画像を形成する概念を表すものとする。
被記録媒体と記録ヘッドを相対的に移動させる移動手段(搬送手段)は、停止した(固定された)記録ヘッドに対して被記録媒体を搬送する態様、停止した被記録媒体に対して記録ヘッドを移動させる態様、或いは、記録ヘッドと被記録媒体の両方を移動させる態様の何れをも含む。
本発明によれば、圧力室からノズルまでのノズル供給路を圧力室からノズルまでの流路距離の相違に応じて異なる形状としつつ、これら異なる形状のノズル供給路を形成するに際し、それぞれの音響抵抗及び音響イナータンスが略同一になるようにしたので、ノズル毎の吐出性能(液滴体積、吐出速度、吐出方向など)の差を小さくできる。
また、本発明によれば、共通流路から圧力室までの供給側供給路を圧力室から共通流路までの流路距離の相違に応じて異なる形状としつつ、これら異なる形状の供給側供給路を形成するに際し、それぞれの音響抵抗及び音響イナータンスが略同一になるようにしたので、吐出性能の差を小さくするとともに圧力室への供給性能の差を小さくすることができる。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
図1(a) は本発明の第1の実施形態であるインクジェット記録ヘッドの構成を示す平面透視図である。同図に示したように、このインクジェット記録ヘッド10は、インクを吐出する複数のノズル4が被記録媒体(不図示)の送り方向と略直交する方向に被記録媒体の全幅に対応する長さにわたって配列されたノズル列を有するフルライン型のヘッドである。ノズル4は、ヘッド長手方向に沿う行方向及びその長手方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に配列されている。このようにノズル4を千鳥でマトリックス状に配列させた構造により、ヘッド長手方向に並ぶように投影された見かけ上のノズルピッチの高密度化を達成している。
また、図1(b) に示すように、複数のノズル4が2次元に配列された短尺のヘッドユニット10’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで被記録媒体の全幅に対応する長さのノズル列を有するフルライン型ヘッドを構成してもよい。
図2は本発明の第1の実施形態であるインクジェット記録ヘッドの構成を示す要部断面図である。同図に示したように、このインクジェット記録ヘッド10は、複数枚のプレート部材(11〜23)を積層接合して作製されており、内部において第1圧力室31と第2圧力室32とが積層方向(図2の上下方向)に階層的に形成された構造を有している。
この様にして複数枚のプレート部材にて階層的にヘッドが形成されるので、ヘッドの剛性が向上し、長手方向のそりも抑えることができる。
第1圧力室31に連通する第1ノズル41と第2圧力室32に連通する第2ノズル42は、ヘッド下面のノズルプレート11に形成されている。図示のとおり、第1圧力室31と第2圧力室32とは、インク吐出面(ノズル面44)側から見て部分的に重なり合う(オーバーラップする)ように立体的に配置されている。図2に示す構造のノズルをライン状又はマトリックス状に配列することによりノズルの高密度化が実現される。
また、ヘッド内には、下段の第1圧力室31にインクを供給する第1共通流路51と、上段の第2圧力室32にインクを供給する第2共通流路52が設けられており、これらの第1共通流路51及び第2共通流路52は図示のように各圧力室(31、32)に対応してそれぞれ異なる階層に配置されている。第1共通流路51及び第2共通流路52はインク供給源たる不図示のインクボトル(主タンク)又はサブタンク(補助タンク)と連通している。
図2において、符号55は第1圧力室31にインク吐出エネルギーを与える第1圧電素子であり、符号56は第2圧力室32にインク吐出エネルギーを与える第2圧電素子である。
第1圧力室31は第1供給側供給路61を介して第1共通流路51と連通するとともに、第1ノズル供給路71を介してインク吐出口たる第1ノズル41と連通している。同様に、第2圧力室32は第2供給側供給路62を介して第2共通流路52と連通するとともに、第2ノズル供給路72を介してインク吐出口たる第2ノズル42と連通している。既述のとおり、第1ノズル41及び第2ノズル42はともに同じノズルプレート11に形成されており、第1圧力室31から第1ノズル41までの距離(第1ノズル供給路71の長さ)と、第2圧力室32から第2ノズル42までの距離(第2ノズル供給路72の長さ)は異なる。
詳細は後述するが、本実施形態では、上記のように階層構造で配置された二つの圧力室(31,32)に対応する各ノズル(41, 42)のインク吐出性能が略同等となるように第1ノズル供給路71及び第2ノズル供給路72等の流路系が設計される。
本例において、第1ノズル供給路71は半径r、長さhの一様な円管となっている。第2ノズル供給路72は半径が異なる二つの円管を組み合わせた構造となっている。すなわち、第2ノズル供給路72は、第2圧力室32に近い側から半径r1 、長さh1 の円管(太管という。)と半径r2 (<r1 )、長さh2 の円管(細管という。)を組み合わせ、これらの中心軸を一致させて連結した構成からなる。なお、半径の異なる円管を組み合わせて流路を形成する場合には、圧力室側から順に半径が小さくなるように配置することにより、ノズル供給路内でのよどみ点が少なくなり、気泡排除性、リフィル性が向上する。
このような構造のインクジェット記録ヘッド10は、SUS板等の薄い板材にエッジング等で穴や溝を形成した流路プレートを含む複数のプレート部材(11〜23)を接合して作製することが好ましい。また、この場合、半径の異なる円管は異なる流路プレートによって構成される。これにより、一つの流路プレート内の穴が略均一の半径であるので、プレート内で半径の異なる穴を形成(エッチング等で加工)する場合と比較して、加工が容易である。
図2の例では、下から、ノズルプレート11、第1ノズル供給路プレート12、第2ノズル供給路プレート13、第1共通流路プレート14、第1共通流路供給路プレート15、第1圧力室プレート16、第1振動板プレート17、圧電素子回避プレート18、第3ノズル供給路プレート19、第2共通流路プレート20、第2共通流路供給プレート21、第2圧力室プレート22、第2振動板プレート23の順に積層された構成となっている。
ノズルプレート11には、インク吐出口となる第1ノズル41及び第2ノズル42が穿設されている。なお、「ノズル」は、液が吐出する最後の絞り部分である。なおノズル径に関して好ましくは、直径約数十μm、長さ数十μmに設計される。第1ノズル供給路プレート12は、第1ノズル供給路71の一部と第2ノズル供給路72の細管を構成する部材である。第2ノズル供給路プレート13は、第1ノズル供給路71の一部と第2ノズル供給路72の太管路の一部を構成する部材である。第1共通流路プレート14は、第1共通流路51の壁面と第1ノズル供給路71の一部及び第2ノズル供給路72の太管の一部を構成する部材である。第1共通流路供給路プレート15は、第1供給側供給路61と第1ノズル供給路71の一部及び第2ノズル供給路72の太管の一部を構成する部材である。第1圧力室プレート16は第1圧力室31の壁面と第2ノズル供給路72の太管の一部を構成する部材である。第1振動板プレート17は、第1圧力室31の上面を封止する(天井面をなす)とともに、第2ノズル供給路の太管路の一部を構成する部材である。また、第1振動板プレート17には第1圧力室31に対応する部位に第1圧電素子55が固設されている。
圧電素子は図示しない電極が形成され、電極は図示しない配線によって、図示しない駆動回路と接続されている。駆動回路により、圧電素子を駆動することができる。
圧電素子回避プレート18は、第1圧電素子55の配設空間を確保するための凹部18Aを有し、第1圧電素子55の更に上層への積層化を可能にしている。また、圧電素子回避プレート18は第2ノズル供給路72の太管の一部を構成している。
第3ノズル供給路プレート19は第2ノズル供給路72の太管の一部を構成する部材である。第2共通流路プレート20は、第2共通流路52の壁面と第2ノズル供給路72の太管の一部を構成する部材である。第2共通流路供給路プレート21は、第2供給側供給路62と第2ノズル供給路72の太管の一部を構成する部材である。第2圧力室プレート22は第2圧力室32の壁面構成する部材である。第2振動板プレート23は、第2圧力室32の上面を封止する(天井面をなす)部材であり、該第2振動板プレート23の上面には第2圧力室32に対応する部位に第2圧電素子56が固設されている。
第1圧電素子55を駆動すると第1圧力室31の体積が変化し、その変形に伴う圧力変化によって第1ノズル41からインク滴が吐出される。同様に第2圧電素子56を駆動することにより、第2ノズル42からインク滴が吐出される。記録すべき画像信号に応じて使用するノズルに対応する圧電素子を選択的に駆動することによって、所望の画像を記録することができる。
本例において、第1圧力室31の大きさと第2圧力室32の大きさは同等に設計され、第1共通流路51の大きさと第2共通流路52の大きさも同等に設計される。また、第1供給側供給路61の径と第2供給側供給路62の径も同等に設計され、更には第1ノズル41の径と第2ノズル42の径も同等に設計される。
数ピコリットルのインク滴を吐出するヘッドを実現するための各層の概略寸法例を図3の表に示す。なお、図3において、圧力室の大きさとは、図4(a) に示すように各圧力室(31,32)の断面形状の幅寸法W11、W12を意味する。また、図3における供給路径とは、図4(a) に示すように各供給側供給路(61,62)の円管径φ11、φ12を意味し、図3における共通流路の大きさとは、図4(a) に示すように各共通流路(51,52)の断面形状の幅寸法W21、W22を意味する。
図2で説明したインクジェット記録ヘッド10において、1つの圧力室(例えば第1圧力室31)、それに対応するノズル供給路(符号71)、ノズル(符号41)、供給側供給路(符号61)、圧電素子(符号55)、振動板(符号17)について音響モデルを示すと、図4(b) のようになる。
図4(b) において、符号180で示した部分は圧電素子と振動板の構成に対応し、符号182で示した部分はノズル、符号184で示した部分はノズル供給路、符号186で示した部分は供給側供給路、符号188で示した部分は圧力室の構成にそれぞれ対応している。
また、同図中の記号の意味は下記のとおりである。
「P」は圧電素子上に等価的にかかる圧力を示す。「C0 」は振動板と圧電素子から構成される弾性変形に基づく音響コンプライアンスを示す。「Cn 」はノズルメニスカスの音響コンプライアンスを示す。「Rn 」はノズルの音響抵抗、「Ln 」はノズルの音響イナータンス、「Rns」はノズル供給路の音響抵抗、「Lns」はノズル供給路の音響イナータンスをそれぞれ示す。「Lss」は供給側供給路の音響イナータンス、「Rss」は供給側供給路の音響抵抗、「C1 」は圧力室内のインクの体積弾性に基づく音響コンプライアンスを示す。
本実施形態において、図2で説明した第1圧力室31と第1ノズル41の間をつなぐ第1ノズル供給路71と、第2圧力室32と第2ノズル42の間をつなぐ第2ノズル供給路72に関しては、両者の音響抵抗と音響イナータンスが同等になるように、円管部の断面積と長さが決められている。
〔第1ノズル供給路71と第2ノズル供給路72の設計方法〕
ここで、第1ノズル供給路71と第2ノズル供給路72の設計方法について説明する。一般に、円管の音響抵抗R(Pa・ s/m 3 )と音響イナータンスL(kg/m4 ) はそれぞれ
以下の式で与えられる。
Figure 0004263676
Figure 0004263676
ただし、μ:流体の粘性係数(Pa・ s)、ρ: 流体の密度(kg/m 3 )、h:円管の長さ(m) 、S: 円管の断面積(m2 ) とする。
既述のとおり、第1ノズル供給路71は半径rの円管であり、第2ノズル供給路72は半径r1 ,r2 の円管を組み合わせた円管となっている。
これら異なる形状の円管における音響抵抗と音響イナータンスの一致条件を考える。すなわち、図5に示すように、半径r(一定)で長さhの円管(A)と、半径r1 ,長さh1 及び半径r2 ,長さh2 の二つの円管を組み合わせた円管(B)について、両者の音響抵抗及び音響イナータンスが一致する条件を考える。
式(1)、(2)から一致の条件は、
Figure 0004263676
Figure 0004263676
となる。したがって式(3)、(4)を満たす組み合わせであれば、円管(A),(B)の形状差があっても音響抵抗と音響イナータンスが一致することになる。
また、式(3),(4)から断面積S1 , S2 を求めると、以下のようになる。
Figure 0004263676
Figure 0004263676
〔計算例1〕
円管(A)の形状が図6の表に示すものであり、円管(B)の細管の半径r2 =50μm のとき、円管(B)の太管の長さh1 を 520〜1200μmの範囲で変えたときの太管の半径r1 、細い管の長さh2 を計算する。計算式は、式(5)、(6)を利用して、太管の断面積S1 及び細管の長さh2 を求め、断面積S1 から半径r1 を求める。
なお、二次式であることからS1 、h2 の解が二つ求まるが、h2 <0は管長さが負の値となって非現実的であるためh2 >0の方を採用する。図7に円管(B)の形状に関する計算結果を示す。
図7に示した計算結果から、円管(B)における径の太いノズル供給路長さh1 と半径r1 、径の細いノズル供給路長さh2 との関係を図示すると図8のようになる。
したがって、例えば、図5で示した円管(A)を第1ノズル供給路71に、円管(B)を第2ノズル供給路72にそれぞれ対応づけることにして、第1ノズル供給路71をh=500 μm、r=70μmの円管とし、第2ノズル供給路72をh1 =1000μm、r1 =131 μm、h2 =109 μm、r2 =50μmの円管とすれば、これら二つのノズル供給路(71、72)は同じ音響抵抗、音響イナータンスとなる。
〔計算例2〕
また、他の計算例として、前記計算例1における円管(A)と同じ形状の円管(A)に対して、円管(B)の細管の半径r2 を20〜69.99 μmの範囲で変えた時の太管の半径r1 、細管の長さh2 を計算する。計算式は、式(5)、(6)を利用して、太管の断面積S1 、細管の長さh2 を求め、断面積S1 から半径r1 を求める。
なお、二次式であることからS1 、h2 の解が二つ求まるが、h2 <0は管長さが負の値となって非現実的であるためh2 >0の方を採用する。図9に円管(B)の形状に関する計算結果を示す。
図9に示した計算結果から、径の細いノズル供給路部分の半径r2 と長さh2 、径の太いノズル供給路の半径r1 との関係を図示すると図10のようになる。
したがって、例えば、図5で示した円管(A)を第1ノズル供給路71に、円管(B)を第2ノズル供給路72にそれぞれ対応づけることにして、第1ノズル供給路をh=500 μm、r=70μmの円管とし、第2ノズル供給路72をh1 =1000μm、r1 =131 μm、h2 =109 μm、r2 =50μmの円管とすれば、これら二つのノズル供給路(71,72)は同じ音響抵抗、音響イナータンスとなる。
上記のようにして第1ノズル供給路71と第2ノズル供給路72の音響抵抗及び音響イナータンスを同等に設計することにより、第1ノズル41と第2ノズル42の吐出性能を同等にすることができる。こうして、ノズル毎の吐出性能を揃えることにより、高品質の画像を得ることができる。
上記実施形態においては、階層の異なる第1圧力室及び第2圧力室に対してそれぞれインクを供給する供給路側の形状については、階層が異なっていても同じ形状にするものと
して説明した。しかしながら、本発明の実施に際して、供給路側の形状が同一形状であることは必ずしも必要とされない。供給路側の流路形状について同等に構成することができない場合は、ノズル供給路の場合と同様に、少なくとも一方の供給路側について半径の異なる円管を二つ以上組み合わせた構造とし、音響抵抗と音響イナータンスが同一になるように断面積及び長さを設計する態様が可能である。
〔他の実施形態〕
図11は本発明の第2の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの構成を示す要部断面図である。同図において、図2と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図11に示したように、このインクジェット記録ヘッド100は、第1圧力室31と第2圧力室32とがノズルプレート11に対して異なる距離に配置されており、各圧力室(31, 32)に対して同じ共通流路150からインクが供給される構造になっている。
すなわち、ヘッド最上層部に共通流路150が設けられており、該共通流路150は第1供給側供給路161を介して第1圧力室31と連通するとともに、第2供給側供給路162を介して第2圧力室32と連通している。
本例では、共通流路150と第1圧力室31の間をつなぐ第1供給側供給路161は、半径が異なる3つの円管が組み合わされた構造を有している。一方、共通流路150と第2圧力室32の間をつなぐ第2供給側供給路162は、半径が異なる2つの円管が組み合わされた構造を有している。
なお、図11において、符号124は第2圧電素子56の配設空間を確保する第2圧電素子回避プレートであり、符号125及び126は供給側供給路(161,162)を形成する共通流路供給路プレートである。また、符号127は共通流路150を形成する共通流路プレートである。
上記の如く構成されたインクジェット記録ヘッド100では、第1圧力室31から第1ノズル41までの距離(第1ノズル供給路71の長さ)と、第2圧力室32から第2ノズル42までの距離(第2ノズル供給路72の長さ)が異なるとともに、共通流路150から第1圧力室31までの距離(第1供給側供給路161の長さ)と共通流路150から第2圧力室32までの距離(第2供給側供給路162の長さ)が異なる。
図5乃至図10で説明したようにノズル供給路(71,72)について音響抵抗と音響イナータンスが同一になるように流路形状が設計されるとともに、これと同様の手法を用いて供給側供給路(161,162)についても音響抵抗及び音響イナータンスを一致させるように流路形状が設計される。
本例では、共通流路150と第1圧力室31の間をつなぐ第1供給側供給路161は、半径が異なる3つの円管が組み合わされた構造を有している。一方、共通流路150と第2圧力室32の間をつなぐ第2供給側供給路162は、半径が異なる2つの円管が組み合わされた構造を有している。
なお、流路形状はこの例に限定されず、少なくとも一方の流路について断面積の異なる二つ以上の管路が組み合わされた構成とし、音響抵抗及び音響イナータンスを一致させるように形状を決定すればよい。
上述した第1及び第2の実施形態は、流路の形状を工夫することによって、吐出性能の均一化を達成するものである。
これに対し、圧電素子の駆動波形を工夫することによって吐出性能を均一にする態様もある。以下、その方法を説明する。
〔圧電素子の駆動波形の工夫〕
圧力室からノズルまでのノズル供給路の形状とノズル形状の組み合わせを設定し、圧電素子の駆動波形とその動作について考察する。
〔条件1〕
ノズルの形状:半径=15μm,長さ=30μm、ノズル供給路の形状:半径=75μm,長さ=500 μmとし、使用するインクについては、粘度=2cP, 密度=1000kg/m 3, 圧力伝搬速度(インク中の音速)=1500m/s とする。また、駆動条件は、図12に示すような台形駆動とした。かかる条件から求められた計算結果を図13に示す。
図13(a)は入力波形(1-1) とノズル内の圧力変動(2-1) を示したグラフである。横軸は時間(10 -5 s)を示し、縦軸は規格化された圧力(10 4 Pa) を示す。図13(b)はノズル供給路における流速(3-1) とノズルにおける流速(4-1) を示したグラフである。横軸は時間(10 -5 s)を示し、縦軸は規格化された流速(10 -8m/s)を示す。
〔条件2〕
ノズル供給路の長さの条件のみを変更して長さ=2000μmとし、他の条件については上記〔条件1〕と同様であるものとする。また、駆動条件についても〔条件1〕と同様とする。この場合の計算結果を図14に示す。
図14(a)は入力波形(1-2) とノズル内の圧力変動(2-2) を示したグラフである。図14(b)はノズル供給路における流速(3-2) とノズルにおける流速(4-2) を示したグラフである。この〔条件2〕では、〔条件1〕と比較して供給路長が長くなったことにより、ノズルでの流速が遅くなり、流速が最大値に達するまでの時間がかかるようになった(図13(b)と図14(b)を比較参照)。
〔条件3〕
流路の形状とインクパラメータについて、ノズル供給路の長さ=2000μmとし、他の条件は上記〔条件1〕と同様であるものとする。また、駆動条件は〔条件1〕に対して、振幅1.8倍、周期0.9倍とする。この場合の計算結果を図15に示す。
図15(a)は入力波形(1-3) とノズル内の圧力変動(2-3) を示したグラフである。図15(b)はノズル供給路における流速(3-3) とノズルにおける流速(4-3) を示したグラフである。同図に示したように、この〔条件3〕において、〔条件2〕に対して駆動パルスの振幅を大きく、かつ、周波数を高くしたことにより、ノズルでの流速、及び流速が最大値に達するまでの時間を〔条件1〕と略同等にすることができる(図13(b)と図15(b)を比較参照)。
このように、駆動波形によって吐出性能を均一にすることが可能である。例えば、圧力室からノズルまでの物理的距離が異なる圧力室毎に吐出駆動波形を変えることにより、吐出性能の均一化を実現できる。ノズル供給路を断面積一定の管路とする場合、圧力室からノズルまでの距離が遠いほど、駆動周波数を高く、振幅を大きくする態様が好ましい。
〔構造と駆動波形の組み合わせ〕
図2乃至図10で説明したように、音響抵抗と音響イナータンスを合わせ込む流路設計を行い、更に、それぞれの圧力室について適切な駆動波形を設定することにより、吐出性能の差を極めて小さくすることが可能である。
〔インクジェット記録装置の構成例〕
次に、上述した実施形態によるインクジェット記録ヘッド10又は100を適用したインクジェット記録装置の構成例について説明する。
図16は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置210は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数のインクジェット記録ヘッド(以下、ヘッドという。)212K,212C,212M,212Yを有する印字部212と、各ヘッド212K,212C,212M,212Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部214と、記録媒体たる記録紙216を供給する給紙部218と、記録紙216のカールを除去するデカール処理部220と、前記印字部212のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙216の平面性を保持しながら記録紙216を搬送する吸着ベルト搬送部222と、印字部212による印字結果を読み取る印字検出部224と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部226と、を備えている。
印字部212の各ヘッド212K,212C,212M,212Yに、図1乃至図15で説明したインクジェット記録ヘッド10又は100が用いられる。
図16に示したインク貯蔵/装填部214は、各ヘッド212K,212C,212M,212Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンクを有し、各タンクは所要の管路を介してヘッド212K,212C,212M,212Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部214は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
図16では、給紙部218の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部218から送り出される記録紙216はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部220においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム230で記録紙216に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図16のように、裁断用のカッター(第1のカッター)228が設けられており、該カッター228によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター228は、記録紙216の搬送路幅以上の長さを有する固定刃228Aと、該固定刃228Aに沿って移動する丸刃228Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃228Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃228Bが配置される。なお、カット紙を使用する場合には、カッター228は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙216は、吸着ベルト搬送部222へと送られる。吸着ベルト搬送部222は、ローラ231、232間に無端状のベルト233が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部212のノズル面及び印字検出部224のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト233は、記録紙216の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。図16に示したとおり、ローラ231、232間に掛け渡されたベルト233の内側において印字部212のノズル面及び印字検出部224のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ234が設けられており、この吸着チャンバ234をファン235で吸引して負圧にすることによって記録紙216がベルト233上に吸着保持される。
ベルト233が巻かれているローラ231、232の少なくとも一方に不図示のモータの動力が伝達されることにより、ベルト233は図16上の時計回り方向に駆動され、ベルト233上に保持された記録紙216は図1の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト233上にもインクが付着するので、ベルト233の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部236が設けられている。ベルト清掃部236の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部222に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部222により形成される用紙搬送路上において印字部212の上流側には、加熱ファン240が設けられている。加熱ファン240は、印字前の記録紙216に加熱空気を吹き付け、記録紙216を加熱する。印字直前に記録紙216を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部212の各ヘッド212K,212C,212M,212Yは、当該インクジェット記録装置210が対象とする記録紙216の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図17参照)。
ヘッド212K,212C,212M,212Yは、記録紙216の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれのヘッド212K,212C,212M,212Yが記録紙216の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
ベルト233によって記録紙216を搬送しつつ各ヘッド212K,212C,212M,212Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙216上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド212K,212C,212M,212Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録紙216と印字部212を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、記録紙216の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
図16に示した印字検出部224は、印字部212の打滴結果を撮像するためのイメージセンサを含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
本例の印字検出部224は、少なくとも各ヘッド212K,212C,212M,212Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列と、からなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が2次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
各色のヘッド212K,212C,212M,212Yにより印字されたテストパターン又は実技画像が印字検出部224により読み取られ、各ヘッドの吐出判定が行われる。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。
印字検出部224の後段には後乾燥部242が設けられている。後乾燥部242は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
多孔質のペーパーに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパーの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部242の後段には、加熱・加圧部244が設けられている。加熱・加圧部244は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ245で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は排紙部226から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置210では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部226A、226Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)248によってテスト印字の部分を切り離す。カッター248は、排紙部226の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター248の構造は前述した第1のカッター228と同様であり、固定刃248Aと丸刃248Bとから構成される。
また、図16には示さないが、本画像の排出部226Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
上述の説明では、いわゆるピエゾ方式のインクジェット記録ヘッドを例示したが、本発明は、加熱発泡用ヒータを用いてインクを加圧することによってインク滴を吐出させるサーマル方式のインクジェット記録ヘッドについても同様に適用可能である。また、本発明の適用範囲は上述したインクジェット記録装置に限定されず、処理液その他の液体を媒体に塗布する塗布装置など各種の液体吐出装置について本発明の液滴吐出ヘッドを適用することができる。
本発明の第1の実施形態であるインクジェット記録ヘッドの構成を示す平面透視図である。 インジェット記録ヘッドの他の構造例を示す平面透視図 本発明の第1の実施形態であるインクジェット記録ヘッドの構成を示す要部断面図 図2に示したインクジェット記録ヘッドの各層の概略寸法例を示す図表 図3に対応する寸法箇所を示したインクジェット記録ヘッドの要部断面図 1つの圧力室に対応する流路系の音響モデルを示した等価回路図 異なる形状の円管の例を示した図 図5に示した円管(A)の形状例を示す図表 図5に示した円管(B)の形状に関する計算例の結果を示す図表 図7の計算結果から得られる径の太いノズル供給路長さh1 と半径r1 、径の細いノズル供給路長さh2 との関係を示すグラフ 図5に示した円管(B)の形状に関する他の計算例の結果を示す図表 図9の計算結果から得られる径の細いノズル供給路部分の半径r2 と長さh2 、径の太いノズル供給路の半径r1 との関係を示すグラフ 本発明の第2の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの構成を示す要部断面図 圧電素子の駆動条件の一例を示す図表 図13(a)は〔条件1〕による入力条件とノズル内の圧力変動を示すグラフであり、図13(b)は〔条件1〕による供給側供給路及びノズルにおけるそれぞれの流速を示すグラフ 図14(a)は〔条件2〕による入力条件とノズル内の圧力変動を示すグラフであり、図14(b)は〔条件2〕による供給側供給路及びノズルにおけるそれぞれの流速を示すグラフ 図15(a)は〔条件3〕による入力条件とノズル内の圧力変動を示すグラフであり、図15(b)は〔条件3〕による供給側供給路及びノズルにおけるそれぞれの流速を示すグラフ 本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図 図16に示したインクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図
符号の説明
10…インクジェット記録ヘッド、11…ノズルプレート、31…第1圧力室、32…第2圧力室、41…第1ノズル、42…第2ノズル、51…第1共通流路、52…第2共通流路、55…第1圧電素子、56…第2圧電素子、61…第1供給側供給路、62…第2供給側供給路、71…第1ノズル供給路、72…第2ノズル供給路、100…インクジェット記録ヘッド、150…共通流路、161…第1供給側供給路、162…第2供給側供給路、210…インクジェット記録装置


Claims (9)

  1. 液滴を吐出する第1ノズル及び第2ノズルが形成されたノズルプレートと、
    前記第1ノズルに連通し該第1ノズルから吐出させる液体が充填される第1圧力室と、
    前記第1圧力室内の液体に圧力変化を生じさせて、対応する前記第1ノズルから液滴を
    吐出させる第1圧電素子と、
    前記第2ノズルに連通し該第2ノズルから吐出させる液体が充填される第2圧力室と、
    前記第2圧力室内の液体に圧力変化を生じさせて、対応する前記第2ノズルから液滴を
    吐出させる第2圧電素子と、
    を備えた液滴吐出ヘッドであって、
    前記第1及び第2圧電素子の変形による前記第1及び第2圧力室からの液体の吐出方向を下方向と見たときの前記第1圧力室の上面に前記第1圧電素子が配置されるとともに、前記第2圧力室の上面に前記第2圧電素子が配置され、
    前記第1圧力室と前記第2圧力室とが階層構造で前記ノズルプレートに対して異なる距離に配置され、
    前記第1圧力室から対応する前記第1ノズルまでの第1ノズル供給路の流路距離と前記第2圧力室から対応する前記第2ノズルまでの第2ノズル供給路の流路距離とが異なる構造を有するとともに、
    前記第1圧力室と前記第2圧力室のうち前記ノズルプレートから遠い距離の前記第2圧力室の上面に配置される前記第2圧電素子よりも更に上層に、前記第1圧力室及び前記第2圧力室に対して共通に液体を供給する共通流路が配置され、
    前記共通流路から前記第1圧力室に液体を導く第1供給側供給路と前記共通流路から前記第2圧力室に液体を導く第2供給側供給路は、それぞれ前記共通流路の下面から真下に向かってまっすぐに形成されており、
    前記共通流路から前記第1圧力室までの前記第1供給側供給路の流路距離と前記共通流路から前記第2圧力室までの前記第2供給側供給路の流路距離とが異なる構造を有し、
    前記第1ノズル供給路と前記第2ノズル供給路について、両者の音響抵抗及び音響イナータンスが略同一となる流路形状に構成され、かつ、前記第1供給側供給路と前記第2供給側供給路について、両者の音響抵抗及び音響イナータンスが略同一となる流路形状に構成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 前記第1ノズル供給路と前記第2ノズル供給路の断面積及び長さの少なくとも一方の値を互いに異ならせるように設定することで、前記第1ノズル供給路と前記第2ノズル供給路の音響抵抗及び音響イナータンスを略同一にすることを特徴とする請求項1記載の液滴吐出ヘッド。
  3. 前記第1ノズル供給路と前記第2ノズル供給路のうち少なくとも一方は、断面積が異なる流路が二つ以上組み合わされた構造を有していることを特徴とする請求項1又は2記載の液滴吐出ヘッド。
  4. 前記第1ノズル供給路と前記第2ノズル供給路は、圧力室からノズルに向かって断面積が次第に小さくなる構造を有していることを特徴とする請求項2又は3記載の液滴吐出ヘッド。
  5. 前記第1供給側供給路と前記第2供給側供給路の断面積及び長さの少なくとも一方の値を互いに異ならせるように設定することで、前記第1供給側供給路と前記第2供給側供給路の音響抵抗及び音響イナータンスを略同一にすることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の液滴吐出ヘッド。
  6. 前記第1供給側供給路と前記第2供給側供給路のうち少なくとも一方は、断面積が異なる流路が二つ以上組み合わされた構造を有していることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の液滴吐出ヘッド。
  7. 前記液滴吐出ヘッドは、複数枚のプレート部材を積層して形成され、前記プレート部材の積層の境界面で流路の断面積を変化させる構成であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の液滴吐出ヘッド。
  8. 前記第1圧電素子と前記第2圧電素子を異なる駆動波形で駆動することにより、前記第1圧力室及び前記第2圧力室について略同等の吐出性能を実現することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載の液滴吐出ヘッド。
  9. 請求項1乃至8の何れか1項記載の液滴吐出ヘッドをインクジェット記録ヘッドとして用い、該インクジェット記録ヘッドに対して被記録媒体を相対移動させながら、前記第1ノズル及び前記第2ノズルからインク滴を吐出することにより前記被記録媒体上に画像を記録することを特徴とするインクジェット記録装置。
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