JP4262788B2 - 人体吊り上げ装置及び衣服型吊り具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、人体の吊り上げ装置及び衣服型吊り具に関し、主として片半身が不自由な人を吊り上げ、吊り下げ対象とし、そのような人が介添え人や介護者等による助けを得ることなく、自身を懸吊ベルトを用いて吊り上げ、又は吊り下げて例えばベッドから車椅子や用便器等の福祉機器へ或いはその逆向きの移動を吊り上げ力の作用負担を軽減させて実現可能な人体の吊り上げ装置及び衣服型吊り具に関する。
【0002】
【従来の技術】
寝たきり状態などの身体障害状態にある人が通常の日常生活を過ごすためにはベッドと用便器や車椅子との間の乗り移り(以下、移乗と記載する)を行わなければならない。移乗を自力で行うことができない身体障害者の場合は、介護者が身体障害者を抱き上げて移乗させるという作業が行われている。然しながら、この抱き上げ作業は、肉体的労力を要し、このために介護者が関節痛や腰痛などを起こす問題も発生し、しかも吊り上げられたときに、身体障害者へ無理な力が作用しないように介護者が障害者の姿勢を整えてやらねばならないなどの煩瑣も伴う不都合があった。そのために、移乗介護を補助する装置、手段として移乗に際し、被介護者にハンモックやベルトなどで作られた吊り具を介護者が身体障害者の背面に装着し、吊り具ごと吊り上げて移乗させる介護手段がしばしば採用されており、装着性と安定性とを改善した介護用具が提供されている(例えば、特公平4−66586号公報を参照)。
【0003】
更に、身体障害者などを異なる位置間で移動する際に、その着衣にバンドや吊り環を取着し、吊りベルトで吊り上げたとき、同身体障害者の姿勢が腰掛け姿勢となるようにして介護人に掛かる負担を軽減するようにした移動用吊り装置なども既に提供されている(実公昭58−16747号公報を参照)。
しかし、このような介護用具や移動用吊り装置は介護者がいて操作することが前提であり、移乗する都度の吊り具の装着、吊り具と昇降装置との接続、水平移動時の揺れ防止、排泄時の衣服の着脱、吊り具等の機器類の異常時の安全性の確保を全て介護者が行うため、身体障害者自身が一人で上述した移乗の操作を遂行し得ない問題がある。
【0004】
更に、上述した従来技術に係る移動用吊り装置などでは、被懸吊者の姿勢の安定は図りながらも、吊り上げられたときに、被懸吊者に無理な吊り上げ力が作用して苦痛感を拭いきれない点で必ずしも完成域に達していない欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
依って、本発明の主目的は、上述の問題点や欠点を解決し、片半身が不自由な人などの健常状態にない人を吊り上げて位置の移動を行うことができる人体吊り上げ装置及び衣服型吊り具を提供せんとするものである。
本発明の他の目的は、一般家庭の室内等で利用して介護者による助勢を受けることなく、身体障害者や病気患者などが自力で普通の日常生活を送ることを補助することが可能な人体吊り上げ装置及び衣服型吊り具を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、吊り上げ対象となる人(以下、被懸吊者と言う)の両肩の上部を1対の肩吊りベルトに着脱自在に取着、結合し、また足のつけ根から膝部位に到る両腿の適所を1対の腿吊りベルトに着脱自在に取着、結合し、これらの肩吊りベルトと腿吊りベルトとを引き上げて被懸吊者を上方に吊り上げるとき、腿吊りベルトを所定長さ吊り上げた後に、肩吊りベルトと腿吊りベルトとを同時に漸次に被懸吊者の操作に応じて引き上げ、以て被懸吊者に掛かる吊り上げ力が、被懸吊者の背中全面からでん部周囲と腿の下面側に渡る広い範囲で分散され、被懸吊者の受ける吊り上げ時の負担を軽減し、苦痛感から解放し得る人体吊り上げ装置を得ることができるのである。
【0007】
すなわち、本発明によれば、両腿部に腿ベルト連結部を備え、両肩部に肩ベルト連結部を備える上半身と下半身とが一体の衣服型吊り具を装着した被懸吊者を上方に吊り上げる人体吊り上げ装置であって、下端が前記腿ベルト連結部と係合する腿吊りベルトと、下端が前記肩ベルト連結部と係合する肩吊りベルトと、前記腿吊りベルトと前記肩吊りベルトとを独立に巻き上げるベルト懸吊装置と、前記腿吊りベルトの巻き上げ長さと肩吊りベルトの巻き上げ長さとを検出する長さ検出手段と、前記ベルト懸吊装置を制御する制御装置と、前記ベルト懸吊装置を作動させるための操作手段と、を備え、前記制御手段は、前記操作手段に上昇入力があったときに前記腿吊りベルトのみの巻き上げを開始し、該腿吊りベルトの巻き上げ長さが所定値に達したときに前記腿吊りベルトの巻き上げを継続しつつ前記肩吊りベルトの巻き上げを開始し、前記腿吊りベルトと肩吊りベルトの両者を上昇させて前記被懸吊者を吊り上げることを特徴とする人体吊り上げ装置が提供される。
【0008】
このようにすれば、最初に被懸吊者の腿部が吊り上がった後に腿部と両肩とが同時に吊り上がるので、被懸吊者に掛かる力が該被懸吊者の着衣した衣服や衣服型の吊り具により、背中全面からでん部周囲の広い範囲に亘って分散するので、被懸吊者は苦痛感なく、吊り上げられるのである。
【0009】
また、このような人体吊り上げ装置によれば、被懸吊者が自身の片手で操作して懸吊ベルトの結合や取り外しを操作でき、しかも被懸吊者のベルト結合部を介して最初に被懸吊者の腿部が吊り上がった後に腿部と両肩とが同時に吊り上がるので、被懸吊者に掛かる力が該被懸吊者の背中全面からでん部周囲の広い範囲に亘って着衣を介して分散するので、被懸吊者は苦痛感なく、吊り上げられるのである。
【0010】
好ましくは、被懸吊者が常時、着衣可能に形成され、該被懸吊者の両肩部位と両腿部位とを含む所定個所に上記懸吊ベルトの下端を結合する上記ベルト結合部を有するように形成された衣服型吊り具を用いた人体吊り上げ装置とすれば、被懸吊者に掛かる吊り上げ力が同被懸吊者の背中全面からでん部周囲の広い範囲に亘って衣服型吊り具を介して分散するので、被懸吊者の苦痛感緩和又は解消効果は一層、顕著となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて、更に、詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る人体吊り上げ装置の一使用形態を示すための正面図、図2は、同装置の側面図であり、肩吊りベルトおよび腿吊りベルトから成る懸吊ベルトによる吊り上げ位置を明示した図、図3は、同装置が人体などの重量を荷重として直線路に沿って位置間を移動する場合の荷重移動手段の構成を示す図1の上方から見た上面図、図4は同装置の下面側から見た下面図、図5は同装置の動作制御手段の構成を示すブロック図、図6は、同装置に用いられる懸吊ベルトを独立的に駆動する電動モータの動作タイミングを示すタイミング図、図7は、被懸吊者が着衣した衣服型吊り具の一実施形態の正面図と背面図、図8は、被懸吊者が着衣した衣服型吊り具の他の一実施形態の正面図と背面図、図9は、懸吊ベルトの揺れ抑制留め具の一実施形態を示す正面図、図10は、懸吊ベルトに図9の揺れ抑制留め具を装着した状態を示す要部断面図、図11は、懸吊ベルトの揺れ抑制留め具の他の一実施形態を示す正面図、図12は、懸吊ベルトに図11の揺れ抑制留め具を装着した状態を示す要部断面図である。
【0012】
図1および図2を参照すると、一般家庭の室内における床面上に設置された人体吊り上げ装置の一実施形態を示し、特に、人体の全重量を吊り上げて異なる位置間を移動し得るように、耐荷重性の架装置構造に形成した例を示している。
両図において、床面に設置可能な1対の支柱1と、この支柱1に両端が連結されたレール2とによって耐荷重性の架手段50が形成され、この架手段50のレール2に支承されて後述する構造を有した荷重移動装置3が同レール2に沿って図1の左右方向に走行状態で移動可能に懸架されている。この荷重移動装置3には懸吊ベルト4のベルト懸吊装置3aが取着されており、このベルト懸吊装置3aから合成樹脂材、例えばナイロン材から成る懸吊ベルト4が後述するベルト駆動プーリ25a、25bなどに対して巻き上げ式に引き上げられ、また反対に巻き下げ式に引き下ろされる構成で垂下されている。
【0013】
上記懸吊ベルト4において一方のベルト4aは1対の腿吊りベルト4aを成しており、被懸吊者Mの両腿部の適所(被懸吊者Mの片手が届くほぼ両膝に近い位置)に下端が垂下し、他方のベルト4bは1対の肩吊りベルト4bを形成し、被懸吊者Mの両方の肩上部の個所に垂下している。上記腿吊りベルト4aには、図2に明示されているように、懸吊時に被懸吊者Mの揺れを抑制できるように、両腿部に結合された該1対の腿吊りベルト4aをひと纏めに結束状態にする後述する揺れ抑制留め具5が装備されている。
【0014】
上記の懸吊ベルト4は、上端側が上記のベルト懸吊装置3aのプーリ4c、4dに止着されて適宜量だけ該プーリ4c、4dの回りに巻回後に下方に垂下しており、下端側には被懸吊者Mによる操作性の良好な結合具、例えば周知のカラビナなどから構成される雄型結合具6a、6bが取付けられている。これらの雄型結合具6a、6bは被懸吊者Mが着衣した衣服吊り具8の両肩部位と両腿部位とに設けられた対応の雌型結合具7a、7bに結合して、懸吊ベルト4を衣服型吊り具8に被懸吊者Mが片手で簡単に結合できるように形成されている。
【0015】
図1および図2は、体の半身が不自由な身体障害者などの被懸吊者Mが、ベッド10から簡易用便器11へ自身の操作で移動し、また戻ってくることが可能なように架手段50のレール2に沿って水平移動する装置として構成されており、図示の状態はベッド10で懸吊ベルト4を結合してから、操作器9を被懸吊者M自身が片手で操作してベッド10の上面から上方へ吊り上げられた状態を示している。上記操作器9は、例えば、押し釦式のスイッチを有し、このスイッチを操作することにより、ベルト懸吊装置3aを作動して懸吊ベルト4を吊り上げおよび吊り下げの上下動々作を遂行させ得るとともに、架手段50のレール2に沿ってベッド10から用便器11まで、またその逆方向に荷重移動装置3を作動させて移動させ得る操作手段を成している。つまり、操作器9は後述する制御装置CLの構成要素を成しているのである。
【0016】
ここで、図3を参照すると、上述した架手段50のレール2に沿って水平移動可能な荷重移動装置3の詳細な構造を示しており、該荷重移動装置3と上記ベルト懸吊装置3aとを連結する結合基板12の上面側に移動用駆動電動機(以下、単に電動機という)13を固定、搭載し、この電動機13に減速機14と軸継手15を介して軸16を回転可能に結合している。軸16には適宜の歯数の歯車17が固定され、同歯車17と噛合した減速歯車18を介して駆動輪19を回転駆動して結合基板12と共にレール2に沿って走行移動するようになっている。この駆動輪19と適宜距離だけはなして従動輪20が設けられ、水平走行の進行時におけるヨーイング動作の発生を防止し、また、同様にローリング動作の発生を防止するために案内輪21が結合基板12の進行方向の前後に各1対、レール2の側面に転動接触させて設けられている。なお、電動機13としては、レール2に沿って前進と後進(又は左進、右進)が可能なように、かつ所望位置で停止が可能なように可逆性のサーボ電動機が用いられる。他の実施形態として電動機に代えて周知の直動ピストン装置などを用いて駆動源を構成しても良い。
【0017】
図4を参照すると、上記の結合基板12を下面側から見た状態を示し、ベルト懸吊装置3aが図示されている。結合基板12の下面側にベルト懸吊動作の駆動用の2つの懸吊駆動用電動機22a、22b(以下、電動機22a、22bという)が取付、固定されている。前者の電動機22aは腿吊りベルト4aの懸吊駆動用に設けられ、後者の電動機22bは肩吊りベルト4bの懸吊駆動用に設けられている。これらの電動機22a、22bはそれぞれ減速機23a、23bおよび軸継手24a、24bを介して各1つのベルト駆動プーリ25a、25bの軸26a、26bに連結されており、同軸26a、26bを介してベルト駆動プーリ25a、25bを回転駆動する構成になっている。さて、これらのベルト駆動プーリ25a、25bには既述した各1対で設けられる懸吊ベルト4(腿吊りベルト4a,4a、肩吊りベルト4b,4b)の一本のベルト4a、4bの上端が止着、固定されており、軸26a、26bと平行に設けられた他の軸32a、32bに取付けられた従動プーリ31a、31bの上周面に掛け渡した後に、下方に垂下させている。
【0018】
他方、上記軸26a、26bには歯車27a、27bが取付けられ、これらそれぞれの歯車27a、27bに噛合した歯車28a、28bを介して上記の軸26a、26bと平行に配設された他の軸29a、29bに回転駆動力を伝達し、これらの軸29a、29b上に取付けられている他のベルト駆動プーリ30a、30bを回転駆動している。ここで、歯車27a、27bとこれらに噛合した歯車28a、28bとは歯数比を1対1に選定することにより、軸29a、29bを軸26a、26bと同速度、逆方向に回転駆動するように構成している。そして、上記他のベルト駆動プーリ30a、30bにも懸吊ベルト4の他の一本のベルト4a、4bの上端が止着、固定され、下端が下方に垂下されている。
【0019】
そして、上記の軸26a、26b上に取着された歯車27a、27bは別の小歯車33a、33bを介して結合基板12に固定、配置された回転検出用のエンコーダ34a、34bに係合されており、これらのエンコーダ34a、34bから各軸26a、26bの回転量を検出し得るように構成され、同エンコーダ34aおよび34bの回転検出値は、後述する制御装置CLに送信される構成となっている。なお、エンコーダ34a、34bを設けて軸26a、26bの回転量を検出する構成に代えて電動機22a、22b自体にエンコーダを組み込んだサーボモータを用い、同電動機22a、22bの回転量検出を介して軸26a、26bの回転量の検出を行う構成としても良い。ここで、注目すべき点は、エンコーダ34a、34bは、軸26a、26bの回転検出を行うことを介して各3つのベルト駆動プーリ25a,30a,31aおよび25b,30b,31bの回転量を間接的に検出し、従って懸吊ベルト4の巻き上げ量や巻き下げ量をも間接的に検出することができるように構成されているのである。
【0020】
上述したベルト懸吊装置3aの構成から懸吊ベルト4の腿吊りベルト4a、肩吊りベルト4bの上下動による吊り上げ動作、吊り下げ動作を駆動源の電動機22a、22bの作動を制御して駆動できることが容易に理解できよう。しかも、腿吊りベルト4aと肩吊りベルト4bとはそれぞれ独立に駆動される構成を有しており、その吊り上げ量、吊り下げ量がエンコーダ34a、34bから検出できるのである。
【0021】
上述した機械的構成に加えて、本実施形態に係る人体吊り上げ装置は、図5に示す制御装置CLを備えている。すなわち、制御装置CLは、既述した操作器9が図示されていない適宜のインターフェースを介して接続されたマイクロプロセッサ35および所定の動作プログラムや動作制御データなどが記憶、登録されたメモリ36とを具備して構成されている。また、制御装置CLのマイクロプロセッサ35にはインターフェースを介して既述のエンコーダ34a、34bが接続され、更に、増幅器37、37を介して荷重移動装置3の駆動源を構成する可逆性電動機13およびベルト懸吊装置3aの駆動源を構成する2つの電動機22a、22bなどが接続されている。
【0022】
上述の構成を有する制御装置CLにおいては、操作器9を介して被懸吊者Mがスイッチを押動操作して入力された操作信号はマイクロプロセッサ35に送入され、このとき、マイクロプロセッサ35はメモリ36に記憶、登録された動作指令等のプログラムや指令データを読み出し、かつエンコーダ34a、34bからの検出出力値をも読み込み検知しながら増幅器37、37を介して可逆性電動機13やベルト懸吊装置3aの2つの電動機22a、22bを駆動するようになっている。
【0023】
ここで、図7および図8を参照すると、上述した本発明の実施形態に係る人体吊り上げ装置と組み合わせて用いられる衣服型吊り具の典型的な構造が図示されている。
すなわち、図7の(イ)および(ロ)は、衣服型吊り具8の第1の実施形態を示しており、半身付随などの原因で日常生活の行動が普通に遂行できない身体障害者のような被懸吊者Mが予め着衣する構造に形成されており、上半身、下半身が被懸吊者Mの体格に合わせた一体型に形成されており、背中側に何らの凹凸がない構造とされ、着用したままベッド10に常時、就寝していても、床ずれなどを起こさないように配慮、形成されている。この衣服型吊り具8の被懸吊者Mの側面から見て身体の前方側には、腿部の膝に近い上面個所と、両肩の上部個所との分散された両個所に既述の雌型結合具7a,7aと7b,7bが固着されており、これらの雌型結合具7a,7a、7b,7bは、被懸吊者Mが片手で懸吊ベルト4側の雄型結合具6a,6a、7a,7aと結合操作ができる範囲内の位置に設けられると同時に、後述するようにベッド10(図1、2参照)で身体をやや起こされた状態から懸吊ベルト4で吊り上げられたときに、被懸吊者Mのほぼ全域に分散して吊り上げ力が作用し、被懸吊者Mに吊り上げに力の負担から不快感が生じたり、床ずれの原因とならない位置に選定されている。つまり、被懸吊者Mの背中全面からでん部周囲と腿の下面にかけての広い範囲で被懸吊者Mが衣服型吊り具8を介して懸吊ベルト4により吊り上げ、支持されるので被懸吊者Mに圧迫感や窮屈感などの不快感を与えることがないのである。また、雌型結合具7b,7bの一端は衣服型吊り具8の肩の頂上部位に配置されるが、雌型結合具7b,7bが雄型結合具6b,6bと結合される部分は、胸部における片手の可動範囲内に配置されていることから、片手の可動範囲内に配置される雌型結合具7a、7aと共に、雄型結合具6a,6a、6b,6bと被懸吊者Mが片手だけを用いて簡単に結合できる点が注目される。
【0024】
なお、図7の(イ)、(ロ)において、衣服型吊り具8にはさらに被懸吊者Mが用便器11の位置に達して用便するときに、自在に開口することができる開口部8a(破線図示を参照)が前後に各穿設されており、この開口部8aは覆い形状の開口補助具39によって開閉自在に形成されている。この開口補助具39は先ず、その一辺39bが衣服型吊り具8の背面に固定され、そしてその対辺39a上の両側端に1対の引き紐40の下端が固定される。この引き紐40は吊り具8の肩から股下にかけて環状を成しているので、被懸吊者Mが引き紐40を身体の前面側で片手操作で引き下げれば、背中側の開口補助具39が開口し、同開口補助具39は背中面に引き上げられる。また、引き紐40を身体前面で被懸吊者Mが上方へ引けば、開口補助具39は背中から離れて開口部8aを閉鎖するように下ろされる。
【0025】
図8の(イ)、(ロ)は、衣服型吊り具8の他の実施形態を示しており、この吊り具8が図7の吊り具8と異なる点は、前後の開口部8aを開閉する開口補助具39’が四辺形の2枚の布からなり、それぞれが重なるように、それぞれの両側端を衣服型吊り具8の前後に固定されている。引き紐40’の一端は開口補助具39’の自由端に固定され、他端を衣服型吊り具8の前面に設けてある。従って、被懸吊者Mが衣服型吊り具8の前面の引き紐40’を片手で引くことによって、開口補助具39’は開口部8aを開口するのである。また、引き紐40’を離して、開口補助具39’の前面で片手で重ね合わせることにより、開口部8aの全体を閉鎖することができるのである。要するに、被懸吊者Mが用便器11上に移動して吊り下ろされた状態で引き紐40’を操作すると開口部8aを開口して用便が可能となり、用済み後に引き紐40’を離して片手でつくろい動作すれば、衣服型吊り具8は定常状態に戻るのである。
【0026】
上述した図7や図8に示した衣服型吊り具8は、被懸吊者Mの体形に一致させて予め適正な寸法に形成され、両腿上面部位の適所と両肩頂部とに懸吊ベルト4a,4a、4b,4bの雄型結合具6a,6a、6b,6bとの結合用の雌型結合具7a,7a、7b,7b及び開口部8aの開口補助具39または39’とを具備することにより、荷重移動装置3、ベルト懸吊装置3aと共働して被懸吊者Mの吊り上げ、吊り下ろし、位置間の移動を円滑に進行させ得るのである。
【0027】
なお、衣服型吊り具8と懸吊ベルト4との結合の失敗等によって被懸吊者Mの姿勢が崩れて落下してしまった場合や、停電、機器異常などのために吊り上げ装置の全体が停止した場合等の非常時には図5に図示した操作器9を操作することにより、制御装置CLのマイクロプロセッサ35が予めメモリ36に登録されている通報信号を呼び出し、家庭内の他の場所に要る健常者を呼びだしたり、または所要に応じて警備担当会社や外部の緊急連絡先に一報が届くように形成されているのである。このため、早急に被懸吊者Mの安全性を確保することもできる。
【0028】
次に、図9、図10を参照すると、既述した揺れ抑制留め具5の具体的な一実施形態が図示されている。
この揺れ抑制留め具5は、図1に図示されるように、腿吊りベルト4a,4aと衣服型吊り具8の腿部位との結合位置からやや上方域の同腿吊りベルト4a,4aを結束することにより、吊り上げ動作時や架手段50のレール2に沿って移動するときに被懸吊者Mの揺れを抑止し、安定した吊り上げ動作や吊り下ろし動作或いは移動の安定を図る手段として機能するものである。従って、図9の示す実施形態では、輪環状の結束部材5bの内面に予め雄ホック5cを縫い付け法等で止着し、この結束部材5bの内孔に予め腿吊りベルト4a,4aを挿通させておき、同ベルト4aの表面に対応の雌ホック5dを取着しておけば、雄ホック5cと雌ホック5dの係合により、結束部材5bは、図10に明示するように、常時、定位置で腿吊りベルト4a,4aを結束して安定的な揺れ止め作用を遂行するのである。なお、腿吊りベルト4a,4aには予め、図9に示すように、上下に適宜の間隔をおいて複数の雌ホック5dを配置しておけば、何れかの雌ホック5dを選択、使用することで、被懸吊者Mの体型や股関節の拘縮の程度に合わせて上下方向に結束位置を調整することもできる。
【0029】
このような結束部材5b、雄雌ホック5c、5dとから成る揺れ抑制留め具5を用いれば、架手段50のレール2に沿って水平移動の加速時などで懸吊ベルト4の腿吊りベルト4a,4aとベルト懸吊装置3aのプーリ30a、31aとの接触点を支点にして揺れが発生せず、揺れ抑制止め具5とベルト4a,4aとの結束位置を支点にした小幅の揺れとなり、揺れ幅を十分に低減、抑制して、被懸吊者Mの不安定感を解消することができるのである。なお、図10は、結束部材5bの雄ホック5cと腿吊りベルト4a,4aの雌ホック5dにおける上下方向の中央のホック5dとを係合させて結束を行っている状態を示している。
【0030】
図11、図12は、揺れ抑制留め具5の他の実施形態を示している。この実施形態では、輪環状の結束部材5bの内周面にループ状の合成繊維を植設した留めテープ5a’を縫い付け法などの適宜の方法で固定し、他方、腿吊りベルト4a,4aの表面に相手型の細かいフック状の合成繊維を植設した留めテープ5aを同じく縫い付け法または接着法などで止着し、このとき、留めテープ5a側は上下に適正な長さに亘って予め留めテープ5aを止着することにより、輪環状の結束部材5bによる結束位置を腿吊りベルト4a,4aの上下方向で調整できるようにしておくことが好ましい。この実施形態による揺れ抑制留め具5も図9、図10に示したものと全く同様な揺れ抑制作用を遂行して被懸吊者Mの吊り上げ動作、吊り下げ動作、水平移動時などにおける揺れ抑制を図ることができる。なお、図11は輪環状結束部材5bに止着されている留めテープ5a’が腿吊りベルト4a,4aの上下方向の適所で結束作用をしている状態を図示している。
【0031】
次に、本発明の実施形態に係る人体吊り上げ装置を用いて遂行される特徴的な人体吊り上げ方法および異なる位置間における移動方法に就いて、図1〜図5と共に図6に示す電動機13、22a 、22bの作動タイミングチャートを参照して以下に詳細に説明する。
すなわち、本発明による人体吊り上げ方法は、被懸吊者Mが自身で操作器9を駆使して吊り上げや吊り下ろしを遂行し、位置間の移動も遂行でき、さらに、半身不自由又は不随等の人が日常の生活の中で複数回にわたってベッド10と用便器11との間を吊り上げ操作を含めて移動しても衣服型吊り具8が被懸吊者Mの身体に対する最適位置からずれることのないように工夫されている人体吊り上げ方法を構成しているのである。
【0032】
このように繰り返し吊り上げ、吊り下げ、移動を行っても、衣服型吊り具8のずれが発生しない要因は、懸吊ベルト4(腿吊りベルト4a、肩吊りベルト4b)を用いて遂行される吊り上げ、吊り下ろしの一連の懸吊動作が巧みに動作順序を制御されていることに由来するものである。
すなわち、人体吊り上げ方法は、被懸吊者Mがベッド10上に臥寝している状態から通常のベッド10の起立によってやや起き上がり姿勢となった状態に移行してから吊り上げ動作が開始され、吊り上げられた状態でベッド10の位置から用便器11の上方位置まで水平移動し、そこから吊り下ろされて用便器11上に座し、用済み後に、再び用便器11の上方に吊り上げ動作し、水平移動によりベッド10上方まで戻り、同ベッド10の上方位置から吊り下ろし動作によりベッド10上に戻る一連の吊り上げ方法として遂行されるのである。
【0033】
これらの一連の吊り上げ、移乗動作は、操作器9による操作によって起動されるが、動作の駆動、つまり吊り上げ動作の駆動と停止、水平移動の駆動と停止は駆動源を構成する電動機13、22a、22b(図3、図4を参照)の作動タイミングを制御することにより遂行され、これらの動作タイミングが図6に図示されているのである。
【0034】
まず、ベッド10上にやや起き上がって座り姿勢となった被懸吊者Mが懸吊ベルト4を自分の着衣した衣服型吊り具8の結合具7a、7bに片手操作で結合してから操作器9をスイッチ押動すると吊り上げが開始される。つまり、操作器9の上昇スイッチを押動すると、この押動信号に応じてマイクロプロセッサ35が予め登録されたプログラムに従って一連の動作を遂行させる。すなわち、図6に示すタイミングt1で懸吊駆動用電動機22aを一方向、例えば正転させて、先ず1対の腿吊りベルト4a,4aを上昇させる。そして、被懸吊者Mの衣服型吊り具8を介して同被懸吊者Mの腿を座った姿勢における水平状態から膝関節を中心に約10°程度吊り上げる。続いて、作動タイミングt2において腿吊りベルト4a,4aと共に肩吊りベルト4b,4bにおいても同時に吊り上げを開始すべく、電動機22a、22bの両者を正転駆動させる。この結果、腿吊りベルトと肩吊りベルトとの両者の懸吊ベルト4が上昇して吊り上げを遂行する。つまり、上述のように電動機22aと電動機22bの起動タイミングをそれぞれt1、t2にずらすことにより、懸吊用電動機22aが衣服型吊り具8を腿位置で先ず引き上げる。故に、同衣服型吊り具8に対しては被懸吊者Mの脚の爪先方向に向かう張力を与えるから、肩と腿とを同時に懸吊した時には発生してしまうずれ、即ち、衣服型吊り具8が、被懸吊者Mの身体に対して頭部方向へせり上がるように成るずれの発生を解消することができるのである。
【0035】
次いで、動作タイミングt3で懸吊駆動用電動機22aの作動を停止させ、他方、懸吊駆動用電動機22bの回転駆動は動作タイミングt4まで正転駆動を続行させる。この結果、懸吊時の姿勢を図1に示すような安楽なものにすることができる。
次に、動作タイミングt5から被懸吊者Mが操作器9の水平移動用のスイッチを押動している間、マイクロプロセッサ35は水平移動の駆動用電動機13を正転作動させ、荷重移動装置3をレール2に沿って水平移動させ、用便器11の上方位置へ到達させる。次に、この位置で動作タイミングt6の時点に操作器9のスイッチの押動を被懸吊者Mが停止すると、同位置で停止する。
【0036】
動作タイミングt6とt7との所要の時間の間に被懸吊者Mは衣服型吊り具8の既述した開口部8aを開口して用便準備をする。その後、動作タイミングt7で被懸吊者Mが操作器9の下降スイッチを押動すると、マイクロプロセッサ35が懸吊駆動用電動機22a、22bを逆転させて腿吊りベルト4aと肩吊りベルト4bの両者を下降させ、衣服型吊り具8を介して被懸吊者Mを用便器11に着座させる。用便終了後は、動作タイミングt8で被懸吊者Mが再び操作器9の上昇スイッチを押動すれば、既述したベッド10からの吊り上げ動作と同じ過程を経過すべく、先ず、腿吊りベルト4a,4aを上昇させ、先に腿部位を水平から10°程度上方につり上げる。次に、動作タイミングt9で腿吊りベルト4aと肩吊りベルト4bとを同時に上昇させ肩、腿両方を吊る。更に動作タイミングt10で懸吊駆動用電動機22aを停止させ、動作タイミングt11まで他方の懸吊駆動用電動機22bを正転させる。そして、被懸吊者Mが衣服型吊り具8の開口部8aを閉鎖する。
【0037】
その後、動作タイミングt12から被懸吊者Mが操作器9の水平移動用のスイッチを押動すると、マイクロプロセッサ35により水平移動の駆動用電動機13を逆転させて被懸吊者Mは用便器11の上方位置からベッド10の上方位置へ戻る。そして動作タイミングt13に操作器9のスイッチ押動を停止すると、同ベッド10の上方で一旦、停止する。次に、動作タイミングt14で被懸吊者Mが操作器9の下降スイッチを押動すると、マイクロプロセッサ35は、懸吊駆動用の電動機22a、22bを逆転させて腿吊りベルト4a,4a、肩吊りベルト4b、4bを吊り下げ動作させるから、被懸吊者Mは衣服型吊り具8を着衣したままでベッド10に戻る。
【0038】
上述のように、被懸吊者M自身が操作器9を操作して自身の人体をベッド上から吊り上げ、このとき腿部位を先ず吊り上げてから肩部位を吊り上げる所定の動作順序を経過することにより、衣服型吊り具のずれを防止しつつ上昇するために吊り上げ力が人体の肩と腿の下面を経てでん部に到る全体面に分散して作用するから、苦痛感なく、吊り上げが達成され、安楽な移動姿勢をとることが可能となる。
【0039】
上述した腿吊りベルト4a,4aの上昇を先行させて約10°程度吊り上げる動作過程は、エンコーダ34a,34bから軸回転量の検出を介して得られるプーリ25a、30a、31aなどの回転量により腿吊りベルト4a,4aの引き上げ量をマイクロプロセッサ35が受信し、その引き上げ量を演算して所定値に達したときに、電動機22aの正転と他の電動機22bの正転とを同期して作動制御するようにしても良く、或いは予めメモリ36内に記憶、登録された所定のプログラムにおける時間スケジュールに従って制御するようにしても良い。
【0040】
以上、本発明を最も典型的な実施形態による人体吊り上げ装置およびそれを用いた人体吊り上げ方法として説明したが、種々の変形、改変が当業者なら容易に遂行し得ることは言うまでもない。例えば、上述した実施形態ではベッド10と用便器11との2位置間を移動する例としたが、架手段50のレール2を長尺化してベッド10、用便器11に加えて車椅子を所定位置に停止させておき、この車椅子との間の移乗などを行えるようにして機能拡大を図ることもできる。また架手段50の1対の支柱1,1を有した構造に限るものではなく、建物の柱を利用した方法などで構成するようにしても良い。
【0041】
【発明の効果】
以上の記載から明らかなように、本発明によれば、被懸吊者が常時、着衣した衣服型吊り具を巧みに利用し人体吊り上げ装置による人体吊り上げ作用が、介護者の介在もなく、身体障害者などが自身でかつ片手操作で吊り上げ、移動、吊り下げ等の一連の動作を制御、操作することができるので、従来の介護者に掛かる負担の軽減効果が著しい。しかも、被懸吊者が衣服型吊り具を常時、着衣しているので、1回の装着で吊り上げ、移動、吊り下げ等の一連動作を複数回に亘って自力で遂行でき、しかも吊り上げ時や移動時に発生する衣服型吊り具と被懸吊者の身体との間のずれが解消されているので、ずれに起因した吊り上げ力の偏りによる遍荷重が局部に作用する苦痛感が解消でき、身体の背中全面から臀部周囲と腿の下面にかける広い範囲に荷重が分散されるから、負担感がなく、床ずれの発生原因の低減にも寄与することが可能となる。
【0042】
また、被懸吊者が吊り上げられた状態で水平移動をするとき、加速時に発生し易い揺れが揺れ抑制留め具による腿吊りベルトの結束によって適正に抑制されるので、揺れが十分に抑制でき、故に、揺れによる移動の不安定感がなく、被懸吊者に与える安楽感を十分に向上させることができるのである。
また、衣服型吊り具は、開口部を有し、被懸吊者が半身不随等の身体障害者であっても、自分自身で片手操作で同開口部の開閉操作を行って用便等の処理を達成できるから、介護者による衣服の着脱などの煩瑣が解消され、特に、家庭内などにおける非専門介護者による助勢で日常生活を送る被懸吊者の場合には、その煩瑣解消の効果は著しい。しかも、何らかの異常時には異常通報を行われる装置構成も具備されているので、安全性の効果が大きいのである。
【0043】
なお、特許請求の範囲に記載した本発明は以下のような実施形態とすることも可能である。
特許請求の範囲に記載した本発明の装置において、懸吊ベルトの先端に雄型接続具を具備し、衣服型吊り具上に該雄型接続具と接続可能な雌型接続具を具備し、かつ被懸吊者が吊り上げなどの操作を行う操作器を具備し、前記雄型接続具と該雄型接続具の接続および操作器の操作を被懸吊者が片手で行えるようにした人体吊り上げ装置とすること。
【0044】
また、被懸吊者が吊り上げられた状態で水平移動を行う際に、身体の揺れを抑制することが可能な揺れ抑制留め具を該懸吊ベルトに具備した構成とした人体吊り上げ装置とすること。
更に、前記の衣服型吊り具に用便用の開口部を設け、かつ、同開口部を開閉可能な開口補助具を具備した構成とした人体吊り上げ装置とすること。
【0045】
また、被懸吊者や装置自体に異常が発生したときに非常通報するための通報装置を具備した人体吊り上げ装置とすること。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る人体吊り上げ装置の一使用形態を示すための正面図である。
【図2】同装置の側面図であり、肩吊りベルトおよび腿吊りベルトから成る懸吊ベルトによる吊り上げ位置を明示した図である。
【図3】同装置が人体などの重量を荷重として直線路に沿って位置間を移動する場合の荷重移動手段の構成を示す図1の上方から見た上面図である。
【図4】同装置の下面側から見た下面図である。
【図5】同装置の動作制御手段の構成を示すブロック図である。
【図6】同装置に用いられる懸吊ベルトを独立的に駆動する電動機の動作タイミングを示すタイミング図である。
【図7】被懸吊者が着衣した衣服型吊り具の一実施形態の正面図と背面図である。
【図8】被懸吊者が着衣した衣服型吊り具の他の一実施形態の正面図と背面図である。
【図9】懸吊ベルトの揺れ抑制留め具の一実施形態を示す正面図である。
【図10】懸吊ベルトに図9の揺れ抑制留め具を装着した状態を示す要部断面図である。
【図11】懸吊ベルトの揺れ抑制留め具の他の一実施形態を示す正面図である。
【図12】懸吊ベルトに図11に示す揺れ抑制留め具を装着した状態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
1…支柱
2…レール
3…荷重移動装置
3a…ベルト懸吊装置
4…懸吊ベルト
4a…腿吊りベルト
4b…肩吊りベルト
5…揺れ抑制留め具
5a…テープ式留め具
5b…輪環状結束部材
5c…雄形ホック
5d…雌形ホック
6a…雄型結合具
6b…雄型結合具
7a…雌型結合具
7b…雌型結合具
8…衣服型吊り具
9…操作器
10…ベッド
11…用便器
13…移動用駆動電動機
22a…懸吊駆動用電動機
22b…懸吊駆動用電動機
34a、34b…エンコーダ
35…マイクロプロセッサ
36…メモリ
38…通報装置
CL…制御装置
M…被懸吊者
Claims (3)
- 両腿部に腿ベルト連結部を備え、両肩部に肩ベルト連結部を備える上半身と下半身とが一体の衣服型吊り具を装着した被懸吊者を上方に吊り上げる人体吊り上げ装置であって、
下端が前記腿ベルト連結部と係合する腿吊りベルトと、
下端が前記肩ベルト連結部と係合する肩吊りベルトと、
前記腿吊りベルトと前記肩吊りベルトとを独立に巻き上げるベルト懸吊装置と、
前記腿吊りベルトの巻き上げ長さと肩吊りベルトの巻き上げ長さとを検出する長さ検出手段と、
前記ベルト懸吊装置を制御する制御装置と、
前記ベルト懸吊装置を作動させるための操作手段と、を備え、
前記制御手段は、前記操作手段に上昇入力があったときに前記腿吊りベルトのみの巻き上げを開始し、該腿吊りベルトの巻き上げ長さが少なくとも前記衣服型吊り具の前記腿部に対して張力を発生し腿部が吊り上げられる長さとなる所定値に達したときに、前記腿吊りベルトの巻き上げを継続しつつ前記肩吊りベルトの巻き上げを開始し、前記腿吊りベルトと肩吊りベルトの両者を上昇させて前記被懸吊者を吊り上げることを特徴とする人体吊り上げ装置。 - 前記制御手段は、更に、前記腿吊りベルトと肩吊りベルトの両者を上昇させて前記被懸吊者を吊り上げた後に、前記腿吊りベルトの巻き上げを停止し、前記肩吊りベルトのみを所定の動作タイミングになるまで巻き上げて前記被懸吊者の懸吊姿勢を整える請求項1に記載の人体吊り上げ装置。
- 請求項1または2に記載の人体吊り上げ装置用の衣服型吊り具であって、前記腿ベルト連結部が衣服型吊り具の前面部分の両腿部において膝部近傍となる位置に配置され、前記肩ベルト連結部の自由端が衣服型吊り具の前面部分の胸部にかかる位置に配置され、上半身と下半身とが一体に形成されるとともに股部分に開口部が穿設されている衣服型吊り具。
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