JPH06209970A - 介護用リフト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 寝たきり状態の人の介護のために、被介護者
の身体の一部や全身を所望の状態に自在に昇降させる介
護用リフトを提供する。 【構成】 ベッド１の左右方向への走行体６と、該走行
体６からそれぞれ独立して巻取り繰り出し自在に吊支さ
れた吊上索２０と、吊上索２０を捲回して走行体６に位
置変更自在に固定する位置可変シーブ２１と、走行体６
の左右方向への移動を案内するガイドフレーム４，４
と、該ガイドフレーム４，４を所定高さに保持する支柱
フレーム２，３と、走行体６及び吊上索２０の駆動源１
４，１７と、該駆動源１４，１７の制御装置２８とで構
成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は介護用リフトに関し、特
には、病人、老人、負傷者等の寝たきり状態の人の介護
のために、被介護者の身体の一部や全身を所望の状態に
自在に昇降させる装置である。

【０００２】

【従来の技術】病人、老人、負傷者等の寝たきり状態の
人の介護のための各種作業においては、被介護者の身体
の一部（足腰、下半身、上半身、脚、腕）や全身を上方
や側方に持ち上げて支えなければならず、相当の肉体的
苦痛を伴う。また、被介護者にとっても、無理な姿勢で
のおむつ交換等の介護に対しては苦痛を伴う。

【０００３】そして介護のためには、おむつ交換、身体
の清掃、着替え、寝返り、体位変換、床ずれ防止、入
浴、排便、車椅子の乗降、リハビリ、リハビリの補助、
敷布変換、ベッド清掃等々あらゆる介護作業において、
被介護者の身体を持ち上げて支持する必要性がある作業
ばかりである。例えば、車椅子に乗降させるだけでも、
介護者は多大の肉体的負担を伴い、介護者特に老人の介
護者では不可能に近い作業となる。

【０００４】介護者にとって、看護に際する肉体的負担
を軽減する必要があるし、又被介護者にとっても常に清
潔で気持ちのよい、用便、身体の清浄等の必要な看護を
望み、清潔で衛生的で、かつ、負担の少ない臥寝生活を
送りたいと希求しているのである。

【０００５】このような介護補助装置として、出願人は
先に「看護介助用ベッド」（実開平４−９９９２９号公
報参照）を提供した。この装置は、ベッドの側部に起倒
自在のポールを設け、該ポールを介してベッドに寝た者
を持ち上げる昇降動作の補助をすることができるように
したものであった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来例は被介護者の身体の昇降を一定の位置から吊り上げ
るだけのものであった。そのため、上記した各種の介護
作業の中で、被介護者は体格や介護作業の種類に応じて
吊り上げる位置や状態を最適のものに調節することがで
きず、使い勝手の悪い点もあった。すなわち、吊上索の
支持位置（支点）は固定されており、自由に調節するこ
とができなかった。

【０００７】そこで、本発明は上記事情に鑑み、病人、
老人、負傷者等の寝たきり状態の人の介護のために、被
介護者の身体の一部や全身を所望の状態に自在に昇降さ
せる介護用リフトを提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため、ベッドから所定高さの上部でベッドの左右方
向へ延伸するガイドフレームを設け、該ガイドフレーム
に走行体を移動可能に載置し、該走行体に複数の吊上索
を単独で又は同時に巻取り繰り出し可能に設けてベッド
に垂下させてなる介護用リフトの構成、更に左右方向へ
の走行体と、該走行体からそれぞれ独立して巻取り繰り
出し自在に吊支された吊上索と、吊上索を支持して走行
体に位置変更自在に固定する位置可変シーブと、走行体
の左右方向への移動を案内するガイドフレームと、該ガ
イドフレームを所定高さに保持する支柱と、走行体及び
吊上索の駆動源と、該駆動源の制御装置とからなる構成
及び前記位置可変シーブは走行体の上縁に引っかけるフ
ック部と、走行体の側面に当接する当接部と、当接部の
下部中央部に突設した軸と、その軸に回転可能に軸着す
るシーブとからなり、フック部を走行体から取り外して
分離できる構成を提供する。

【０００９】

【作用】上記構成の本発明によれば、ベッドに臥寝する
被介護者の下部にネット等を敷き、そのネットを走行体
の吊上索と連結して吊支し、ベッドの上方へ昇降させ又
はベッドの左右方向へ移動する。さらに、吊上索は各々
単独で昇降できるから、走行体の移動と併せて被介護者
の体格及び介護作業の目的に応じて被介護者の姿勢を様
々に変更できるとともに、微調整ができる。そして、吊
上索を支持している位置可変シーブの位置を自在に設
定、変更することができて、被介護者の体格及び介護作
業の目的に応じて最適の位置で及び状態で昇降させるこ
とができる。

【００１０】

【実施例】以下本発明の実施例を図に基づき説明する。
図１及び図２に示すように、ベッド１の左側及び右側か
ら所定の間隔Ｄをおいた部位に、それぞれ逆Ｕ字型又は
コ字型の支柱フレーム３，２を立設し、該支柱フレーム
２，３間をガイドフレーム４，４で連結し、該ガイドフ
レーム４，４と支柱フレーム２，３間を筋交いフレーム
５，５で連結し補強する。支柱フレーム２，３はベッド
幅Ｗ₁よりも大きい幅Ｗを有し、高さＨは大人の背丈若
しくはそれ以上とする。なお、支柱フレーム２，３は逆
Ｕ字型又はコ字型に限るものではなく、４本の単なる柱
であってもよいが、要するに、剛構造体を形成すること
が肝要である。

【００１１】ガイドフレーム４，４には走行体６が跨座
し、その走行体６には左右一対の走行装置７，７が搭載
されてガイドフレーム４，４に沿って移動可能に載置さ
れるとともに、４つの昇降装置８が搭載され、それらの
昇降装置８はそれぞれ独立して操作可能である。図８に
示すように、ガイドフレーム４は上面が平坦に構成でき
る角パイプ材を用い、後記する断面Ｈ字型のコロ１０が
脱線することなく上面を転動できるものとする。

【００１２】走行体６は、図２及び図３に示すように、
ベッド１の長さと同じか若しくはそれ以上の長さと、ベ
ッド幅Ｗ₁以下の幅を有するはしご状の枠体であって、
ガイドフレーム４，４に載置する端部９，９にそれぞれ
一対の断面Ｈ字型のコロ１０，１０が軸支され、そのコ
ロ１０，１０を電動で回転させるため、コロ１０と同軸
のギヤ１１にチェーンベルト１２がエンドレスに捲回さ
れ、そのチェーンベルト１２に出力ギヤ１３が噛合して
いる。出力ギヤ１３は端部９に固定したギヤドモーター
１４の減速機と接続されている。ギヤドモーター１４，
１４は同時に同じ回転をするように構成される。

【００１３】また、走行体６の端部９，９を結ぶ断面Ｕ
字型又はコ字型の縦杆１５，１５の下面に、端部９，９
付近でそれぞれ一対のブラケット１６，１６を突設し、
そのブラケット１６，１６にそれぞれギヤドモーター１
７，１７を固定し、図９に示すように、そのギヤドモー
ター１７の出力軸１８に減速歯車ａ，ｂを介してドラム
１９の軸１９ａを回転可能に連結する。ドラム１９はナ
イロンロープ等の吊上索２０の一端部を適宜の止着具で
固定し、かつ、捲回するとともに、他端部を位置可変シ
ーブ２１に掛けてベッド１上に垂下させる。吊上索２０
の垂下した端部にはフック２２が連結される。したがっ
て、ギヤドモーター１７を駆動すると、吊上索２０を巻
取り又は繰り出すことができる。なお、ドラム１９は停
電等の際に手動にて回転することができるように、ハン
ドル２３を設けてある。

【００１４】位置可変シーブ２１は、図４，図５，図
６，図７に示すように、走行体６の縦杆１５の上縁に引
っかけるフック部２４と、縦杆１５の側面に当接する当
接部２５と、当接部２５の下部中央部に突設した軸２６
と、その軸２６に回転可能に軸着するシーブ２７とから
なり、フック部２４を縦杆１５から位置可変シーブ２１
を取り外すと走行体６から分離できる。したがって、フ
ック部２４を縦杆１５の長手方向の何処にでも引っかけ
て固定できる。この位置可変シーブ２１は、図４，図５
に示す簡単な構成のもの、又は図６，図７に示すような
剛構造としたもの、のいずれでもよい。また、この位置
可変シーブ２１を縦杆１５に固定して動かないようにす
るためのロック手段をそれ自体又は縦杆１５に設けても
良い。

【００１５】そして、図１から図３に示すように、前記
ギヤドモーター１４，１７に配電をし、かつ、制御する
ための制御装置２８が走行体６の略中央部に搭載されて
いる。ギヤドモーター１４，１７の操作は、リモコンス
イッチ又は制御装置にアンテナを付けてワイヤレス・リ
モコンスイッチで行うようにする。

【００１６】次に、上記実施例の作用を説明すると、初
めに、ベッド１に臥寝する被介護者２９（図２参照）の
体格に合わせて吊上索２０の配置を調節する。これは、
位置可変シーブ２１の位置を縦杆１５の長手方向に対し
て自在に移動できる構成によって達成される。すなわ
ち、４つの位置可変シーブ２１を縦杆１５，１５からそ
れぞれ取り外して、被介護者の身長に合う位置に変更し
て再び縦杆１５の上縁にフック部２４を引掛けて固定す
るのである。

【００１７】そこで、図２において、ベッド１上に臥寝
する被介護者２９を持ち上げるときは、前記吊上索２０
のフック２２に引っかける係止具３１を四隅等に設けた
方形のナイロン製等のネット３０又はバンドを被介護者
２９の下に敷き、係止具３１にそれぞれフック２２を掛
け、ついで、リモコンスイッチを操作して４つのギヤド
モーター１７を同時に駆動してネット３０をベッド１上
に所望の高さで上昇させる。

【００１８】また、被介護者２９を入浴させるためにベ
ッド１から床面Ｆ側へ移動させるときは、上記のように
してネット３０を持ち上げ、ついで、リモコンスイッチ
を操作して２つのギヤドモーター１４，１４を同時に駆
動し走行体６をベッド１の真上から床面３２側へ走行さ
せると、ネット３０が吊上索２０に吊支されて移動す
る。そこで、床面３２に配置した浴槽（図示略）の上に
ネット３０が移動すると、再び４つのギヤドモーター１
７を同時に駆動してネット３０を浴槽内に下降させれば
よい。

【００１９】さらに、ベッド１上での被介護者の姿勢を
変更するとき、例えば、被介護者２９の足腰を持ち上げ
る必要がある場合には、前記ネット３０の足腰側の吊上
索２０，２０に対応するギヤドモーター１７，１７の両
方を同時に、リモコンスイッチにて駆動操作すればよ
い。また、上半身を起こす必要がある場合には、前記ネ
ット３０の頭部側の吊上索２０，２０に対応するギヤド
モーター１７，１７の両方を同時に、リモコンスイッチ
にて駆動操作すればよい。

【００２０】加えて、被介護者が寝返りをしたいとき
は、前記ネット３０の被介護者の左右いずれかの吊上索
２０，２０のみを寝返る方向へ吊り上げるようにリモコ
ンスイッチを操作する。また、手、脚、頭のみを持上げ
る必要があるときはフック２２にバンドを吊支し、その
バンドを手、脚、又は頭に回して吊上索２０を巻き上げ
操作すればよい。そして、各種介護作業の目的に応じた
適宜の部材をネット３０に代えて使用することができ
る。例えば、手足のリハビリ補助として使用する場合に
は手足の幅に応じたベルト等を使用すればよい。

【００２１】かくして、ギヤドモーター１４，１７を自
在に操作して走行体６の移動と４本の吊上索２０の全て
又は独立した昇降操作により、被介護者を所望する状態
に動かせることができ、看護者の肉体的疲労は著しく軽
減される。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したこの発明によれば、被介護
者を持ち上げるための４本の吊上索が、位置可変シーブ
の配置を変えることによって被介護者の体格に合わせて
持ち上げる位置を変更できるとともに、それぞれの吊上
索の吊り上げ動作を同時又は独立して行うことが出来、
かつ、走行体がベッドの左右方向へ移動できるようにし
たので、看護者はリモコンスイッチの操作だけで手軽
に、被介護者を所望状態に動かせることができ、肉体的
疲労も著しく軽減される。

【００２３】また、位置可変シーブが走行体から取り外
し自在の構成であるから、被介護者の体格及び介護作業
の目的に合わせて吊支する位置を調節することができ、
被介護者の適切な昇降を作業をすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す正面図。

【図２】図１の側面図。

【図３】走行体の平面図。

【図４】位置可変シーブの正面図。

【図５】図４の縦断面側面図。

【図６】位置可変シーブの正面図。

【図７】図６の縦断面側面図。

【図８】走行装置の断面正面図。

【図９】昇降装置の断面正面図。

【符号の説明】

１…ベッド ２，３…支柱フレーム ４…ガイドフレーム ６…走行体 ７…走行装置 ８…昇降装置 １０…コロ １４，１７…ギヤドモーター １９…ドラム ２０…吊上索 ２１…位置可変シーブ ２２…フック ２３…ハンドル ２４…フック部 ２５…当接部 ２６…軸 ２７…シーブ ２８…制御装置

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベッドから所定高さの上部でベッドの左
   右方向へ延伸するガイドフレームを設け、該ガイドフレ
   ームに走行体を移動可能に載置し、該走行体に複数の吊
   上索を単独で又は同時に巻取り繰り出し可能に設けてベ
   ッドに垂下させてなることを特徴とする介護用リフト。
2. 【請求項２】 左右方向への走行体と、該走行体からそ
   れぞれ独立して巻取り繰り出し自在に吊支された吊上索
   と、吊上索を支持して走行体に位置変更自在に固定する
   位置可変シーブと、走行体の左右方向への移動を案内す
   るガイドフレームと、該ガイドフレームを所定高さに保
   持する支柱と、走行体及び吊上索の駆動源と、該駆動源
   の制御装置とからなることを特徴とする介護用リフト。
3. 【請求項３】 前記位置可変シーブは走行体の上縁に引
   っかけるフック部と、走行体の側面に当接する当接部
   と、当接部の下部中央部に突設した軸と、その軸に回転
   可能に軸着するシーブとからなり、フック部を走行体か
   ら取り外して分離できる請求項２に記載の介護用リフ
   ト。